JPH07287098A - 放射線像変換パネル - Google Patents

放射線像変換パネル

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JPH07287098A
JPH07287098A JP6101996A JP10199694A JPH07287098A JP H07287098 A JPH07287098 A JP H07287098A JP 6101996 A JP6101996 A JP 6101996A JP 10199694 A JP10199694 A JP 10199694A JP H07287098 A JPH07287098 A JP H07287098A
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JP
Japan
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phosphor
support
softening temperature
polymer
phosphor layer
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JP6101996A
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Hidemiki Suzuki
英幹 鈴木
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛍光体の充填密度が高い蛍光体層を有し、且
つ蛍光体層と支持体との接着性が優れた放射線像変換パ
ネルを提供する。 【構成】 支持体と、該支持体上に設けられたポリマー
及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とからなる放射線像
変換パネルにおいて、該蛍光体層の層厚の1/2の位置
から支持体側にある該蛍光体層の下層を構成するポリマ
ーの軟化温度が、層厚の1/2の位置から反支持体側に
ある該蛍光体層の上層を構成するポリマーの軟化温度よ
り低いことを特徴とする放射線像変換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、輝尽性蛍光体を用いた
放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代る方法として、
たとえば特開昭55−12145号公報などに記載され
ているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が
知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放
射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートとも称する)を
利用するもので、被写体を透過したあるいは被検体から
発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収さ
せ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの
電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該
輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍
光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に
読み取って電気信号を得、得られた電気信号に基づいて
被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生
するものである。
【0003】この放射線像変換方法によれば、従来の放
射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写
真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で
情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利
点がある。従って、この方法は、特に医療診断を目的と
するX線撮影等の直接医療用放射線撮影において利用価
値の非常に高いものである。
【0004】放射線像変換方法に用いられる放射線像変
換パネルは、基本構造として、支持体とその片面に設け
られた輝尽性蛍光体層とからなるものである。なお、蛍
光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必
要としない。また、この輝尽性蛍光体層の支持体とは反
対側の表面(支持体に面していない側の表面)には一般
に、透明な保護膜が設けられていて、蛍光体層を化学的
な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0005】輝尽性蛍光体層は一般に、輝尽性蛍光体と
これを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもので
あり、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち
励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するも
のである。従って、被写体を透過したあるいは被検体か
ら発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線
像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには
被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの
蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を
照射することにより輝尽発光光として放出させることが
でき、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に
変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化
することが可能となる。
【0006】放射線像変換方法は上述のように非常に有
利な画像形成方法であるが、この方法に用いられる放射
線像変換パネルも従来の放射線写真法に用いられる増感
紙と同様に、高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性
など)の良好な画像を与えるものであることが望まれ
る。放射線像変換パネルの感度は、基本的にはパネルに
含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に依存し、
この総発光量は蛍光体自体の発光輝度によるのみなら
ず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても異な
る。蛍光体の含有量が多いことはまたX線等の放射線に
対する吸収も大であることを意味するから、一層高い感
度が得られ、同時に画質(特に、粒状性)が向上する。
一方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場
合には、蛍光体粒子が密に充填されているほどその層厚
を薄くすることができるから、散乱による励起光の広が
りを少なくすることができ、相対的に高い鮮鋭度を得る
ことができる。
【0007】蛍光体層を支持体上に形成し、そしてこの
蛍光体層を圧縮することにより得られる放射線像変換パ
ネルが特開昭59−126299号公報、特開昭59−
126300号公報に開示されている。このようにして
得られる放射線像変換パネルは、蛍光体層を圧縮処理す
ることで、蛍光体層中の蛍光体の密度をそれまでの放射
線像変換パネルよりも高くしたものであった。その結
果、この放射線像変換パネルは鮮鋭度においては向上し
たが、反面、圧縮処理により蛍光体が一部破壊されるた
めに粒状性という面ではむしろ劣化してしまう場合があ
るという問題があった。
【0008】そこで、特開平2−278197号公報で
は、蛍光体層のポリマーとして軟化温度または融点が3
0〜150℃である熱可塑性エラストマーを用いて、こ
の蛍光体層を軟化温度または融点以上の温度で圧縮する
ことにより得られる放射線像変換パネルが提案されてい
る。本発明者の検討によれば、このようにして得られる
放射線像変換パネルは、優れた鮮鋭度、そして粒状性を
有するものであるが、まだ蛍光体層に使用する蛍光体の
材料によっては蛍光体層のその充填密度が充分とは言え
ず、従って優れた鮮鋭度が得られないこと、さらにはパ
ネルを撮影装置内の搬送中に蛍光体層と支持体との間で
剥離し易いとの問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、蛍光体の充
填密度が高い蛍光体層を有し、且つ蛍光体層と支持体と
の接着性が優れた放射線像変換パネルを提供することを
目的とする。また、本発明は、優れた鮮鋭度を有する放
射線像変換パネルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、蛍光体層
を、層中のポリマーの軟化温度または融点以上の温度で
圧縮することにより得られる放射線像変換パネルの蛍光
体層中の蛍光体の充填密度を上げるために検討を重ねて
きた。本発明者は、熱圧縮処理の際の、蛍光体層の表面
と支持体側とに実質的に付与される温度に差異があるこ
とに着目し、更に検討を重ねた結果、支持体側と表面側
(反支持体側)にそれぞれ軟化温度が異なるポリマーを
使用する、即ち、支持体側に低い軟化温度のポリマー
を、そして表面側に高い軟化温度のポリマーを使用する
ことにより、蛍光体層の内部も蛍光体層表面側とほぼ同
様な蛍光体の充填密度が得られることが判明した。ま
た、このような構成の蛍光体層とすることにより蛍光体
層と支持体との接着性も顕著に向上し、衝撃により蛍光
体層の支持体から剥離することがない耐衝撃性に優れた
放射線像変換パネルが得られることも明らかになった。
【0011】本発明は、支持体と、該支持体上に設けら
れたポリマー及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とから
なる放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層の層厚の
1/2の位置から支持体側にある該蛍光体層の下側部分
を構成するポリマーの軟化温度が、層厚の1/2の位置
から反支持体側にある該蛍光体層の上側部分を構成する
ポリマーの軟化温度より低くなるようにされていること
を特徴とする放射線像変換パネルにより達成することが
できる。
【0012】上記放射線像変換パネルの好ましい態様
は、下記の通りである。 1)蛍光体層の下側部分を構成するポリマーの軟化温度
が、30〜130℃(好ましくは30〜80℃)の範囲
にある上記放射線像変換パネル。 2)上側部分を構成するポリマーの軟化温度が、50〜
150℃(好ましくは50〜120℃)の範囲にある上
記放射線像変換パネル。 3)上側部分を構成する結合剤の軟化温度と下側部分を
構成するポリマーの軟化温度の差が、5〜50℃の範囲
にある上記放射線像変換パネル。 4)上記ポリマーが、熱可塑性エラストマーからなる上
記の放射線像変換パネル。 5)上記ポリマーが、熱可塑性ポリウレタンエラストマ
ーからなる上記放射線像変換パネル。 6)上記蛍光体層が、支持体上に熱圧縮(好ましくはポ
リマーの軟化温度または融点以上で)により形成あるい
は融着されている上記放射線像変換パネル。 本発明で言う上記軟化温度は、ピカット軟化温度であ
る。これは、1kgの荷重が懸かった標準圧子(直径1
mm)が試料(ポリマー)表面から1mm侵入した時の
温度を測定することにより求められる。
【0013】本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体粒
子を分散状態で含有支持するポリマーからなる蛍光体層
が支持体上に設けられた基本構成を有する。本発明の放
射線像変換パネルの一例の断面を示す模式図を図1に示
す。支持体1の上に、蛍光体層2が形成されており、そ
の上にさらに透明保護膜3が設けられている。蛍光体層
2は、蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にあ
るその蛍光体層の下側部分2aと層厚の1/2の位置か
ら反支持体側にあるその蛍光体層の上側部分2bから構
成されている。下側部分2aと上側部分2bは二層に明
確に区別されたものでも、外観上区別されないものでも
良いが、蛍光体層の下側部分2aを構成するポリマーの
軟化温度が、蛍光体層の上側部分2bを構成するポリマ
ーの軟化温度より低いことが必要である。即ち、蛍光体
層は一層からなるものでも、あるいは二層以上から形成
されていても良いが、上記条件を満足する必要がある。
また、軟化温度は、蛍光体層の上側部分及び下側部分の
各層に含まれる全ポリマーの平均の軟化温度である。上
記蛍光体層を形成するには、下側部分と上側部分を、そ
れぞれの蛍光体シートを作製した後支持体に圧縮して融
着する方法、あるいは、下側部分と上側部分を、それぞ
れの塗布液を支持体上に同時に重層塗布し、その後圧
縮、融着する方法を利用することが好ましい。これらの
方法は、後で詳述する。
【0014】本発明の放射線像変換パネルは、例えば、
次に述べるような方法により製造することができる。本
発明の放射線像変換パネルにおける蛍光体層に使用され
る蛍光体について述べる。輝尽性蛍光体は、先に述べた
ように放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発
光を示す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が40
0〜900nmの範囲にある励起光によって300〜5
00nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であること
が望ましい。本発明の放射線像変換パネルに用いられる
輝尽性蛍光体としては、二価ユーロピウム賦活アルカリ
土類金属ハロゲン化物系蛍光体およびセリウム賦活希土
類オキシハロゲン化物系蛍光体が、高輝度の輝尽発光を
示すので好ましい。ただし、本発明に用いられる輝尽性
蛍光体は、このような蛍光体に限られるものではなく、
放射線を照射したのちに励起光を照射した場合に輝尽発
光を示す蛍光体であればいかなるものであってもよい。
【0015】上述のような輝尽性蛍光体とポリマーとを
適当な溶剤に加え、これを充分に混合してポリマー溶液
中に輝尽性蛍光体が均一に分散した塗布液を調製する。
ポリマーとしては、一般に常温で弾力を持ち、加熱され
ると流動性を持つようになる熱可塑性エラストマーが好
適に用いられる。熱可塑性エラストマーの例としては、
ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビ
ニル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイ
ソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエン
ゴム、シリコンゴムなどを挙げることができる。ポリウ
レタン、ポリエステル及びポリオレフィンが好ましく、
特にポリウレタンが好ましい。本発明で使用するポリマ
ーは、これらの熱可塑性エラストマーは単独であっても
良いし、二種以上の混合物でも良い。また、この熱可塑
性エラストマー以外のポリマー(例、エポキシ樹脂)
を、更に使用しても良い。エポキシ樹脂は、通常黄変防
止のために使用される。上記の熱可塑性エラストマーの
うち、軟化温度または融点が30℃〜300℃であるも
のが一般的に用いられるが、30℃〜200℃のものが
好ましく、30℃〜150℃のものを用いるのがさらに
好ましい。
【0016】本発明では、蛍光体層の下側部分を構成す
るポリマーとしては、30〜130℃の軟化温度を有す
るものが好ましく、さらに30〜80℃の軟化温度のも
の、特に30〜60℃の軟化温度のものが好ましい。ま
た、上側部分を構成するポリマーとしては、50〜15
0℃の軟化温度を有するものが好ましく、さらに50〜
120℃の軟化温度のもの、特に50〜100℃の軟化
温度のものが好ましい。本発明では、下側部分を構成す
るポリマーの軟化温度が上側部分を構成するポリマーの
軟化温度より低いことが必要であり、その差が、5〜5
0℃の範囲にあることが好ましく、更に5〜30℃の範
囲にあることが好ましい。上記ポリマーの軟化温度は、
使用されるポリマーが一種の場合はそのポリマーの軟化
温度を意味し、二種以上のポリマーの混合物の場合はそ
の混合物の軟化温度を意味する。本発明で言う軟化温度
は、上記のようにピカット軟化温度である。
【0017】塗布液調製用の溶剤の例としては、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール
などの低級アルコール;メチレンクロライド、エチレン
クロライドなどの塩素原子含有炭化水素;アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケト
ン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂
肪酸と低級アルコールとのエステル;ジオキサン、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノメチルエーテルなどのエーテル;そして、それら
の混合物を挙げることができる。塗布液における結合剤
と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換
パネルの特性、蛍光体の種類などによって異なるが、一
般には結合剤と蛍光体との混合比は、1:1乃至1:1
00(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:8乃
至1:40(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
【0018】なお、塗布液には、該塗布液中における蛍
光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後
の蛍光体層中におけるポリマーと蛍光体との間の結合力
を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合さ
れていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の
例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親
油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑
剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジ
ル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステ
ル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸
ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そ
して、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエ
ステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエス
テルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸と
のポリエステルなどを挙げることができる。
【0019】上記のようにして調製された蛍光体とポリ
マーとを含有する塗布液を、次に、シート形成用の仮支
持体の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を
形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえ
ば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコータ
ーなどを用いることにより行なうことができる。本発明
では、通常、蛍光体層の上側部分用と下側部分用、それ
ぞれの塗布液を用意し、二種の塗膜が形成される。仮支
持体は、例えば、ガラス、金属の板、あるいは従来の放
射線写真法における増感紙(または増感用スクリーン)
の支持体として用いられている各種の材料、あるいは放
射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に
選ぶことができる。そのような材料の例としては、セル
ロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、
ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフィルム、
アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シー
ト、通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二酸化チ
タンなどの顔料を含有するピグメント紙、ポリビニルア
ルコールなどをサイジングした紙、アルミナ、ジルコニ
ア、マグネシア、チタニアなどのセラミックスの板ある
いはシートなどを挙げることができる。仮支持体上に蛍
光体層形成用塗布液を塗布し、乾燥ののち、仮支持体か
らはがして放射線像変換パネルの蛍光体層となる蛍光体
シートとする。従って、仮支持体の表面には予め離型剤
を塗布しておき、形成された蛍光体シートが仮支持体か
らはがし易くなるようにしておくことが好ましい。本発
明では、通常、蛍光体シートを蛍光体層の上側部分用と
下側部分用の二枚作製する。
【0020】次に、上記のように形成した二枚の蛍光体
シートとは別に、放射線像変換パネルの支持体を用意す
る。この支持体は、蛍光体シートを形成する際に用いる
仮支持体と同様の材料から任意に選ぶことができる。公
知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層の
結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとし
ての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させる
ために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチ
ンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、
あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反
射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質か
らなる光吸収層などを設けることが知られている。本発
明において用いられる支持体についても、これらの各種
の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線
像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択する
ことができる。さらに、特開昭58−200200号公
報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向
上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の
蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層あるいは光
吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味
する)には微小の凹凸が形成されていてもよい。
【0021】先に得られた二枚の蛍光体シートを、支持
体上に、蛍光体層の下側部分用、上側部分用の順に載
せ、ポリマーの軟化温度または融点以上の温度で、圧縮
しながら支持体上に接着する。本発明の圧縮処理のため
に使用される圧縮装置の例としては、カレンダーロー
ル、ホットプレスなど一般に知られているものを挙げる
ことができる。たとえば、カレンダーロールによる圧縮
処理は、支持体上に上記蛍光体シートを載せ、ポリマー
の軟化温度または融点以上に加熱したローラーの間を一
定の速度で通過させることにより行なわれる。ただし、
本発明に用いられる圧縮装置はこれらのものに限られる
ものではなく、上記のようなシートを加熱しながら圧縮
することのできるものであればいかなるものであっても
よい。圧縮の際の圧力は、50kgw/cm2 以上が一
般的で、200〜700Kgw/cm2 が好ましい。上
下のロール温度は、上記のように軟化温度または融点以
上が一般的であり、軟化温度より10〜50℃高い温度
で行なうことが好ましい。また、上と下のロール温度を
一般に同じ温度で行なうことが好ましい。送り速度は
0.1〜5.0m/分が好ましい。
【0022】あるいは、蛍光体層の上側部分用と下側部
分用、それぞれの塗布液を、重層塗布用塗布機を用い
て、支持体上に下側部分、上側部分をこの順で同時重層
塗布し、二種の塗膜を形成する。次いで、上記と同様に
ポリマーの軟化温度または融点以上の温度で、圧縮処理
を行なうことによって、支持体上に本発明の蛍光体層を
設けても良い。
【0023】上記のようにして支持体上に形成された蛍
光体層の充填率は、次の(I)式により理論的に求める
ことができる。 (ただし、V :蛍光体層の全体積 Vair :蛍光体層中の空気体積 A :蛍光体層の全重量 ρx :蛍光体の密度 ρy :結合剤の密度 a :蛍光体の重量 b :結合剤の重量)
【0024】通常の放射線像変換パネルにおいては、前
述のように支持体に接する側とは反対側の蛍光体層の表
面に、蛍光体層を物理的および化学的に保護するための
透明な保護膜が設けられている。このような透明保護膜
は、本発明による放射線像変換パネルについても設置す
ることが好ましい。透明保護膜は、たとえば、酢酸セル
ロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;あ
るいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢
酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマーなどの合
成高分子物質のような透明な高分子物質を適当な溶媒に
溶解して調製した溶液を蛍光体層の表面に塗布する方法
により形成することができる。あるいは、ポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチ
レン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどからなるプ
ラスチックシート;および透明なガラス板などの保護膜
形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接
着剤を用いて接着するなどの方法によっても形成するこ
とができる。保護膜の膜厚は一般に約0.1乃至20μ
mの範囲にある。
【0025】さらに、得られる画像の鮮鋭度を向上させ
る目的で、上記の少なくともいずれかの層に励起光を吸
収し、輝尽発光光は吸収しないような着色層を加えても
よい(特公昭59−23400号参照)。次に本発明の
実施例を記載する。ただし、これらの各実施例は本発明
を制限するものではない。
【0026】
【実施例】
[実施例1] 下側部分用蛍光体シート組成 蛍光体:BaFBr0.85I0.15:Eu2+ 200g ポリマー:ポリウレタンエラストマー(T-5265[固形]; 8.0g ピカット軟化温度:45℃;大日本インキ化学工業(株)製) 黄変防止剤:エポキシ樹脂(EP1004[固形]; 2.0g ピカット軟化温度:100℃;油化シエルエポキシ(株)製) 但し、上記ポリウレタンエラストマーとエポキシ樹脂の
混合物のピカット軟化温度は45℃であった。上記蛍光
体シート組成の材料を、メチルエチルケトンに加え、プ
ロペラミキサーで分散させて、粘度が30PS(25
℃)の塗布液を調製した(結合剤/蛍光体比=1/2
0)。これをシリコン系離型剤が塗布されているポリエ
チレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上
に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して下側部分
用蛍光体シート(厚み150μm)を形成した。
【0027】 上側部分用蛍光体シート組成 蛍光体:BaFBr0.85I0.15:Eu2+ 200g ポリマー:ポリウレタンエラストマー(U-8165[固形]; 8.0g ピカット軟化温度:69℃;クラレ(株)製) 黄変防止剤:エポキシ樹脂(EP1004[固形]; 2.0g 油化シエルエポキシ(株)製) 但し、上記ポリウレタンエラストマーとエポキシ樹脂の
混合物のピカット軟化温度は69℃であった。上記蛍光
体シート組成の材料を、メチルエチルケトンに加え、プ
ロペラミキサーで分散させて、粘度が30PS(25
℃)の塗布液を調製した(結合剤/蛍光体比=1/2
0)。これをシリコン系離型剤が塗布されているポリエ
チレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上
に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して下側部分
用蛍光体シート(厚み150μm)を形成した。
【0028】また、さらに別途に下塗層形成用塗布液と
して、軟質アクリル樹脂(固形分で90g及びニトロセ
ルロース(50g)をメチルエチルケトンに加え分散、
混合して、粘度が3〜6PS(25℃)の分散液を調製
した。厚さ300μmのポリエチレンテレフタレート
(支持体)をガラス板上に水平に置き、上記の下塗層形
成用塗布液をドクターブレードを用いて支持体上に均一
塗布した後、25℃から100℃に徐々に上昇させて塗
布膜の乾燥を行ない、支持体上に下塗層を形成した(塗
布膜の厚さ:15μm)。
【0029】さらに、支持体上に形成された下塗層上
に、先に作製しておいた下側部分用及び上側部分用の蛍
光体シート二枚をこの順で載せ、圧縮を行った。圧縮
は、カレンダーロールを用いて、500Kgw/cm2
の圧力、上ロール温度を100℃、下ロール温度を10
0℃、そして送り速度を1.0m/分の条件にて連続的
に行なった。この圧縮により、蛍光体シートと支持体と
は完全に融着した。この圧縮の後、ポリエステル系接着
剤が片面に塗布されているポリエチレンテレフタレート
の透明フィルム(厚さ10μm)を、接着剤側を下にむ
けて蛍光体層上に接着することによって透明保護膜を形
成した。以上のようにして、支持体、下塗層、二層より
なる蛍光体層、透明保護膜から構成された放射線像変換
パネルを製造した。
【0030】[比較例1]実施例1において、蛍光体シ
ートとして厚み150μmから300μmに変更した下
側部分用蛍光体シートのみを作製し、そしてこの厚み3
00μmの下側部分用蛍光体シートを用いて、圧縮温度
を上下ロール共100℃から80℃に変更して圧縮した
以外は実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層
及び透明保護膜から構成された放射線像変換パネルを製
造した。なお、圧縮温度100℃で行った場合は、蛍光
体層がロールに融着したため、パネルを作製することが
できなかった。
【0031】[比較例2]実施例1において、蛍光体シ
ートとして厚み150μmから300μmに変更した上
側部分用蛍光体シートのみを作製し、そしてこの厚み3
00μmの下側部分用蛍光体シートを用いて圧縮した以
外は実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層及
び透明保護膜から構成された放射線像変換パネルを製造
した。
【0032】得られた放射線像変換パネルを、蛍光体層
の充填密度、蛍光体の充填率及びパネルの耐衝撃性につ
いて下記のように評価した。 (1)蛍光体層の充填密度 得られらたパネルの蛍光体層から、幅方向に5箇所の地
点で蛍光体層の一部を採取し、密度を測定し、五個の平
均値を充填密度として示した。 (2)蛍光体の充填率 得られらたパネルの蛍光体層の蛍光体充填率を(I)式
によって求めた。ただし、蛍光体の密度は、5.1g/
cm3 結合剤の密度は、1.14g/cm3 である。 (3)パネルの耐衝撃性 厚い金属板が垂直に固定された水平な台を用意し、金属
板から約50cm離れた台上に、得られたパネルを支持
体の裏面が台に接するように載置し、次いでパネルを4
m/秒の速度で金属板に向かって移動させ、パネルを金
属板に衝突させた(これは、パネルが装置内でパネル集
積部に落下する時の衝撃を想定したものである)。この
衝撃により、パネルの蛍光体層に発生する異常を観察
し、下記のように評価した。 AA:パネルに損傷が見られない。 CC:部分的に蛍光体層の剥離が見られる。 結果を表1に示す。
【0033】
【表1】 表1 ────────────────────────────── 充填密度 蛍光体充填率 耐衝撃性 (g/cm3) (%) ────────────────────────────── 実施例1 3.69 72.3 AA ────────────────────────────── 比較例1 3.58 70.2 CC 比較例2 3.57 70.0 CC ──────────────────────────────
【0034】表1から明らかなように、実施例1で得ら
れた本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体層の内部も
表面側とほぼ同様に熱圧縮されているため、充填密度及
び充填率が高い。このようなパネルは、高い鮮鋭度を示
す。また、同様の理由から蛍光体層の支持体と接する領
域に於ても、蛍光体層内のポリマーが充分に熱軟化さ
れ、支持体との良好な接着性が確保されているため、耐
衝撃性においても優れたものとなっていると考えられ
る。
【0035】(4)放射線像変換パネルの画質の評価 また、上記のようにして製造した各々の放射線像変換パ
ネルの画質を、次に記載する方法により評価した。すな
わち、放射線像変換パネルに、管電圧80KVpのX線
を照射したのち、He−Neレ−ザ−光(632.8n
m)で走査して蛍光体を励起し、蛍光体層から放射され
る輝尽発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再
生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を
得た。得られた蛍光体層から輝尽発光光量測定し、また
得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空間周波数:
2サイクル/mm)により鮮鋭度を測定した。鮮鋭度
(%)はCTF(コントラスト伝達関数)(%)として
表わした。
【0036】得られた結果をまとめて図2にグラフの形
で示す。図2は、たて軸に鮮鋭度(空間周波数2サイク
ル/mmにおけるCTF値)をとっており、上方にプロ
ットされるほど鮮鋭度が高いことを表わす。よこ軸は、
輝尽発光光量を示しており、右にプロットされるほど発
光光量が大きいことを示す。図2より明らかなように、
本発明の放射線像変換パネルは、従来の蛍光体層中のポ
リマーの軟化温度が一定なパネルに比較して、鮮鋭度に
おいても輝尽発光光量においても、向上していることが
分る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線像変換パネルの断面の模式図を
示す。
【図2】実施例、比較例による放射線像変換パネルの画
質を表わすグラフである。
【符号の説明】
1 支持体1 2 蛍光体層 2a 蛍光体層の下側部分 2b 蛍光体層の上側部分 3 透明保護膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に設けられたポリ
    マー及び輝尽性蛍光体からなる蛍光体層とからなる放射
    線像変換パネルにおいて、 該蛍光体層の層厚の1/2の位置から支持体側にある該
    蛍光体層の下側部分を構成するポリマーの軟化温度が、
    層厚の1/2の位置から反支持体側にある該蛍光体層の
    上側部分を構成するポリマーの軟化温度より低くなるよ
    うにされていることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 【請求項2】 該下側部分を構成するポリマーの軟化温
    度が、30〜130℃の範囲にある請求項1に記載の放
    射線像変換パネル。
  3. 【請求項3】 該上側部分を構成するポリマーの軟化温
    度が、50〜150℃の範囲にある請求項1に記載の放
    射線像変換パネル。
  4. 【請求項4】 該上側部分を構成するポリマーの軟化温
    度と該下層を構成するポリマーの軟化温度の差が、5〜
    50℃の範囲にある請求項1に記載の放射線像変換パネ
    ル。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002533737A (ja) * 1998-12-23 2002-10-08 デュール デンタル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト X線像のための平板記憶素子

Cited By (2)

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