JPH07285464A - 自動車の車体上部構造 - Google Patents

自動車の車体上部構造

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JPH07285464A
JPH07285464A JP6078914A JP7891494A JPH07285464A JP H07285464 A JPH07285464 A JP H07285464A JP 6078914 A JP6078914 A JP 6078914A JP 7891494 A JP7891494 A JP 7891494A JP H07285464 A JPH07285464 A JP H07285464A
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hood
impact
shock
shock absorber
outer panel
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Akito Sakai
昭人 酒井
Masanobu Yoshioka
政信 吉岡
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フードの移動距離を小さく抑えて頭部衝撃性
を低減する。 【構成】 エンジンルーム35上面を閉塞するフードア
ウタパネル33を備えたフード31に対する衝撃を吸収
する構造であって、衝撃を吸収して変形する衝撃吸収体
43を、エンジン37とフードアウタパネル33の間に
設け、フード31が衝撃を受けて所定距離だけ車体下方
に移動したときに衝撃吸収体43がエンジン37と干渉
するように、エンジン37とフードアウタパネル33の
間に所定の大きさの間隙(D1 +D2 +D3 )を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車の車体上部構造に
関し、頭部衝撃子がフードにより受ける衝撃を緩和する
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の自動車のフード構造を図
24〜図26に示す(実開昭61−26682号公報参
照)。図24は従来の車体上部構造を有する自動車を示
す斜視図、図25は図24の要部拡大図、図26は図2
5のV−V断面図である。
【0003】図24のように、フード1のフードアウタ
パネル3の車体下側(エンジンルーム5側)には、イン
ナパネル7が設けられている。インナパネル7は、枠体
9と、枠体9の内部に位置して枠体9を補強するインナ
リブ11を有している。枠体9の車体後部両側は、それ
ぞれフードヒンジ13を介して車体に回動自在に支持さ
れている。エンジンルーム5内にはエンジン15が配置
され、図25のようにエンジン15の車体上方に位置す
るインナリブ11間には、平板部17が架設されてい
る。平板部17には、エンジン15に対向するように切
り起こされた複数の切り起こし片19が設けられてい
る。図26のように、各切り起こし片19は断面略円弧
状に形成され、両端21が平板部17に連続している。
【0004】かかるフード構造によれば、歩行者の頭部
がフードアウタパネル3の外面に当たると、フードアウ
タパネル3及びインナリブ11がエンジンルーム5側に
突出するように変形し、さらに切り起こし片19がエン
ジンに突き当たり押圧されて潰れ変形する。すなわち、
エンジン15の車体上方におけるフード1のエネルギ吸
収量を切り起こし片19の変形により増大させ、フード
1の移動距離を少なくして必要なエネルギ吸収量を確保
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
フード1のエネルギ吸収量を確保していても、フード1
に対する頭部衝撃性が必ずしも緩和されているとは限ら
ない。
【0006】頭部衝撃耐性に関する実験データとして
は、図27に示すWSTC(Wayne State Tolerace Cur
ve)が知られている(社団法人 自動車技術会発行の
「新編自動車工学便覧<第3編>」(昭和58年9月3
0日 初版発行) 2−30頁、及び株式会社 山海堂
発行の「自動車工学全書 16巻 自動車の安全」(昭
和55年3月20日 初版発行) 201頁〜203頁
参照)。
【0007】WSTCのパラメータとして使用している
有効加速度は、平均加速度(加速度波形の積分値を作用
時間で除したもの)であり、衝突した際に頭部が受ける
平均反力に対応している。
【0008】このWSTCによれば、頭部衝撃子が受け
る平均反力がある程度小さくても(有効加速度=G1
)、持続時間が長くなる(持続時間>T1 )と危険領
域に達し、反対に平均反力が大きくても(有効加速度=
G2 )、持続時間が極めて短い(持続時間<T2 )と危
険領域に達せず安全域に属することが解る。
【0009】すなわち、頭部衝撃耐性は、加速度及び作
用時間の双方の要因によって定まるものであり、エネル
ギ吸収量が大きければ必ずしも頭部衝撃性が低くなると
は限らず、衝撃時の初期反力を所定時間内にある程度急
激に上昇させた方が、あまり高くない反力を長く維持す
るよりも頭部衝撃値を低くすることができる場合もあ
る。
【0010】また、WSTCは直線加速度下での実験デ
ータであり、頭部衝撃子(ヘッドインパクタ)がフード
1に衝突した際に受ける実際の衝撃は、直線加速度では
なく複雑な加速度波形を示すので、実際の衝撃にWST
Cを直接適用することはできない。このため、衝撃子を
用いた衝撃実験の結果等からWSTCを基礎に安全性を
評価する手法として、障害基準値のひとつであるHIC
値(Head Injury Criterion )を用いる方法が知られて
いる。
【0011】HIC値は、次の導出式
【数1】
【数2】 に従って算出される。両式中のt1 ,t2 は0<t1 <
t2 となる加速度作用中の任意の時間であり、a(t) は
衝撃子の頭部重心での加速度である。HIC値は、その
値が小さいほど安全性が高く、一般にHIC=1000
が安全限界とされている。
【0012】同式によれば、HIC値は、任意のt1 か
らt2 までの作用時間における平均加速度a12の2.5
乗値に作用時間(t2 −t1 )を乗じた値の最大値とし
て算出されることになる。すなわち、衝撃挙動(加速度
波形)が相違すれば原則としてHIC値も相違し、平均
加速度a12とその作用時間(t2 −t1 )がHIC値の
大小を決める要因となる。また、平均加速度a12とその
作用時間(t2 −t1)の関係は、フード1の反力とフ
ード1の移動距離の関係に置換えることができ、フード
1の反力とその移動距離によっても、HIC値の大小が
決定される。
【0013】これにより、衝撃エネルギの吸収量が大き
いからといって、一律にHIC値が小さくなるとはいえ
ず、エネルギ吸収量が同一であってもHIC値が相違す
る場合は多々あり得る。また、フード1のある一点にお
けるHIC値が低い値となっても、かかる一点から外れ
た他の点では、HIC値が高い値を示してしまう場合も
ある。
【0014】従って、図24のように、従来の構造で
は、断面略円弧状に形成された切り起こし片19の圧壊
反力の上昇が遅れ、長時間経過後まで比較的高い反力が
維持されてしまうおそれがあり、頭部衝撃性の低減を行
うためには、切り起こし片19の圧壊反力を下げてスト
ロークを大きくとる必要があった。
【0015】そこで、本発明は、フードの移動距離を小
さく抑えて十分なエネルギ吸収を確保すると共に、HI
C値を効率的に低下させて、頭部衝撃性を低減すること
ができる車体上部構造の提供を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
エンジンルーム上面を閉塞するフードアウタパネルを備
えたフードへの衝撃を吸収する自動車の車体上部構造で
あって、前記衝撃を吸収して変形する衝撃吸収体を、前
記エンジンルームに配置された衝撃干渉体と前記フード
アウタパネルの間に設け、前記フードが前記衝撃によっ
て所定距離だけ車体下方に移動したときに前記衝撃吸収
体が前記衝撃干渉体と干渉を開始するように、前記衝撃
干渉体と前記フードアウタパネルの間に所定の大きさの
間隙を設けたことを特徴とするものである。
【0017】請求項2記載の発明は、エンジンルーム上
面を閉塞するフードアウタパネルを備えたフードへの衝
撃を吸収する自動車の車体上部構造であって、前記エン
ジンルームに配置された衝撃干渉体と前記フードアウタ
パネルの間に、前記衝撃を吸収して変形する衝撃吸収体
を設け、前記衝撃干渉体上方の前記フードアウタパネル
の下面側に、前記衝撃を吸収して変形するインナリブを
設け、前記フードが前記衝撃によって所定距離だけ車体
下方に移動したときに前記インナリブが前記衝撃吸収体
と干渉を開始するように、前記衝撃吸収体と前記フード
アウタパネルの間に所定の大きさの間隙を設け、前記衝
撃吸収体と干渉したフードが前記衝撃によって所定距離
だけ車体下方に移動したときに前記衝撃吸収体が前記衝
撃干渉体と干渉を開始するように、前記衝撃干渉体と前
記フードアウタパネルの間に所定の大きさの間隙を設け
たことを特徴とするものである。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の自動車の車体上部構造であって、前記衝撃吸
収体は、前記フード側に設けたことを特徴とするもので
ある。
【0019】請求項4記載の発明は、請求項1又は請求
項2記載の自動車の車体上部構造であって、前記衝撃吸
収体は、前記エンジンルーム側に設けたことを特徴とす
るものである。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項4記載の自
動車の車体上部構造であって、前記衝撃吸収体は、前記
エンジンルームの車幅両側に配設されたストラットタワ
ーを連結して該ストラットタワーを支持することを特徴
とするものである。
【0021】請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項
5記載の自動車の車体上部構造であって、前記衝撃吸収
体は、前記衝撃干渉体の上部を覆うように設けたことを
特徴とするものである。
【0022】請求項7記載の発明は、請求項1〜請求項
6記載の自動車の車体上部構造であって、前記衝撃干渉
体はエンジンであり、前記衝撃吸収体は吸音材を備えた
ことを特徴とするものである。
【0023】
【作用】請求項1記載の発明では、フードが衝撃を受け
ると、フードアウタパネルが局所変形を起こし、フード
の初期反力が急増して最大反力となる。最大反力を得た
後、フードアウタパネルが沈み込み変形を起こし、フー
ドアウタパネルの慣性力によって反力が減少するが、フ
ードの移動距離が所定距離となると、衝撃吸収体が衝撃
干渉体に干渉し、衝撃吸収体が潰れ変形を起こして所望
の大きさの二次反力が生じ、反力の減少が的確に緩和さ
れる。さらにフードの移動が進み、衝撃エネルギが完全
に吸収されると、フードの移動が停止する。これによ
り、フードの反力とその移動距離の関係を理想的な状態
とすることができ、フードの移動距離を小さく抑えて十
分なエネルギ吸収を確保すると共に、HIC値を効率的
に低下させて、頭部衝撃性を緩和することができる。
【0024】請求項2記載の発明では、フードが衝撃を
受けると、フードアウタパネルが局所変形を起こし、フ
ードの初期反力が急増して最大反力となる。最大反力を
得た後、フードアウタパネルが沈み込み変形を起こし、
フードアウタパネルの慣性力によって反力が減少する。
このとき、衝撃吸収体とフードアウタパネルの間隙が所
定の大きさであるので、かかる沈み込み変形初期時にお
いて、インナリブが衝撃吸収体と干渉を開始して反力が
生じ、フードの反力減少の割合を所望の割合に抑えるこ
とができる。そしてフードアウタパネルの沈み込み変形
が進行し、フードの移動距離が所定距離となると、衝撃
吸収体が衝撃干渉体に干渉し、衝撃吸収体及びインナリ
ブが潰れ変形を起こして所望の大きさの二次反力が生
じ、反力の減少が的確に緩和される。さらにフードの移
動が進むと、衝撃干渉体及びインナリブが十分に潰れ変
形を起こして衝撃エネルギが完全に吸収されて、フード
の移動が停止する。これにより、フードの反力とその移
動距離の関係を理想的な状態とすることができ、フード
の移動距離を小さく抑えて十分なエネルギ吸収を確保す
ると共に、HIC値を効率的に低下させて、頭部衝撃性
を緩和することができる。
【0025】請求項3記載の発明では、請求項1又は請
求項2記載の発明の作用に加え、衝撃吸収体をフード側
に設けているので、エンジンルームに衝撃吸収体を設け
る必要がなく、エンジンルーム内の簡素化による設計自
由度の向上を図ることができる。
【0026】請求項4記載の発明では、請求項1又は請
求項2記載の発明の作用に加え、衝撃吸収体をエンジン
ルーム側に設けているので、フードの軽量化を図ること
ができ、フードの開閉性が向上する。
【0027】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
発明の作用に加え、衝撃吸収体はストラットタワーを連
結してこれを支持するので、ストラットタワーバーのよ
うな別部品を設けることなく、ストラットタワーの倒れ
が防止され、車両走行性の安定化を図ることができる。
【0028】請求項6記載の発明では、請求項1〜請求
項5記載の発明の作用に加え、衝撃干渉体の上方を覆う
ように衝撃吸収体を設けたので、衝撃干渉体上方のほぼ
全域での頭部衝撃性を確実に緩和することができる。
【0029】請求項7記載の発明では、請求項1〜請求
項6記載の発明の作用に加え、衝撃干渉体はエンジンで
あり、衝撃吸収体は吸音材を備えているので、エンジン
の上部に吸音材を設けることができ、エンジンからの騒
音を低減することができる。
【0030】
【実施例】本発明にかかる以下の各実施例は、移動距離
が制限を受ける自動車のフードのについて、HIC値を
効率的に低下させる構造とすることにより、頭部衝撃性
の低減を図るものである。
【0031】具体的には、フードの移動距離及びHIC
値を共に小さく抑えることが可能なフードの反力とその
移動量との理想的な関係を示す波形(理想波形)を、衝
撃時に必要とされるエネルギ吸収量と前記導出式(1)
(2)に基づき計算によって予め求めると共に、フード
の所定位置において衝撃実験を行い実際の反力の波形
(基礎波形)を求め、この基礎波形が理想波形に近付く
ようなフード構造とすることによって、少ない移動距離
でHIC値を効率的かつ確実に低下させている。
【0032】以下、本発明の請求項1、請求項3、及び
請求項6記載の発明にかかる第1実施例を図面に基づき
説明する。
【0033】図1は第1実施例にかかる自動車の車体上
部構造の要部を図2のH−H断面で示した断面図、図2
は図1のフードの平面図、図3は図2の衝撃吸収体の拡
大平面図である。
【0034】図1及び図2のように、フード31はフー
ドアウタパネル33を備えている。フードアウタパネル
33はエンジンルーム35の上面を閉塞し、エンジンル
ーム35内の中央部分には衝撃干渉体としてのエンジン
37が配置されている。フードアウタパネル33の車体
下側(エンジンルーム35側)の下面33aには、イン
ナパネル39が接着されている。インナパネル39は、
車体下側に突出する断面ハット状のインナリブ41を複
数有している。インナリブ41は、エンジン37上方に
位置するフードアウタパネル33の周りを囲むように配
設され、フードアウタパネル33とエンジン37の間に
は、衝撃吸収体43が設けられている。
【0035】衝撃吸収体43は、車幅方向に沿って2本
並設され、フードアウタパネル33側に設けられてい
る。各衝撃吸収体43は2つの支持ブラケット45の間
に架橋され、各衝撃吸収体43の両端は各支持ブラケッ
ト45に支持されている。図3のように、各支持ブラケ
ット45は、衝撃吸収体43が載置され固定される吸収
体固定部47と、衝撃吸収体47に対して放射状に伸び
る2本のアーム部49を備えている。図1のように、各
アーム部49の先端49aはインナリブ41に接合さ
れ、各アーム部49には、衝撃吸収部材43の車体下方
への移動を許容する易変形部51が設けられている。
【0036】衝撃吸収体43とエンジン37の間には、
衝撃吸収体43の下面を覆うようにカバー53が設けら
れている。そして、フードアウタパネル33とエンジン
37の間には、フードアウタパネル33が所定距離だけ
車体下方に移動したときに衝撃吸収体43がエンジン3
7と干渉を開始するように、所定の大きさの間隙が設け
られている。すなわち、フードアウタパネル33と衝撃
吸収部材43との間隙D1 と、衝撃吸収部材43とカバ
ー53との間隙D2 と、カバー53とエンジン37との
間隙D3 を合計した大きさが、所定の値(本実施例では
20mm程度)となるように設定されている。
【0037】図11の(a)〜(c)は、本実施例で用
いる衝撃吸収部材43a〜43cの具体的な形状の一例
を示している。
【0038】図11の(a)に示す衝撃吸収部材43a
は、板材56を断面略矩形となるようにコイル状に形成
したものであり、(b)に示す衝撃吸収部材43bは、
上下板57と側板59からなる断面略句形の筒状体を形
成し上下板57及び側板59に穴部61,63を設けた
ものであり、(c)に示す衝撃吸収部材43cは、上下
板65の間に縦壁67を設けたものである。各衝撃吸収
部材43a〜43cの素材としては、アルミ等の金属材
や樹脂材等が用いられている。
【0039】次に作用を説明する。
【0040】本実施例は、エンジン37上方のフード3
1への衝撃時にフードアウタパネル33がエンジン37
と干渉した場合でも、フード31の頭部衝撃性を緩和す
ることができるように、かかる位置におけるHIC値の
低減を図るものであり、前記フード31は、衝撃実験に
おいてHIC値を効率的に低下させることができる理想
波形(フードの反力(F)−フードの変形による移動距
離)に近似した波形が得られる構造となっている。
【0041】図4は理想波形Cm を示す概略図、図5〜
図7は衝撃実験を行った基礎構造を示す断面模式図、図
8は衝撃実験の結果として得た基礎波形C1 ,C2 ,C
3 と理想波形Cm を示している。
【0042】図4に示す理想波形Cm は、基礎構造にお
けるフード59の移動量及びHIC値を共に小さく抑え
ることができる理想的な反力の波形を、衝撃時に必要と
されるエネルギ吸収量と前記HICの導出式に基づき計
算によって求めたものである。理想波形Cm と図中横軸
の移動距離Sによって区画された内部面積Aは吸収エネ
ルギであり、この内部面積Aが、必要とされるエネルギ
吸収量となるように設定されている。なお、衝撃時に必
要とされるエネルギ吸収量は、衝撃実験や計算等によっ
て求める。
【0043】理想波形Cm では、移動距離Sの小さい変
形初期は初期反力が急増し、移動距離S1 のときに最大
反力F1 となり(図中pm )、移動距離S2 となる間に
反力がF2 まで急に減少するが、移動距離S2 以降の変
形後期において、二次反力が作用して反力減少の割合が
緩和されるショルダー部(図中qm )が表れ、さらに移
動距離S3 で再び反力が急に減少し、移動距離S0 で衝
撃エネルギが完全に吸収されて反力がほぼ零に達すると
いうものである。
【0044】図5のように基礎構造は、エンジン37と
フードアウタパネル33の間に衝撃吸収体43を設けた
ものである。衝撃吸収体43はエンジン37の上面37
aに載置され、フードアウタパネル33とエンジン37
の間には所定の大きさの間隙lが設けられている。基礎
構造に対する衝撃実験は、衝撃吸収体43上方のフード
アウタパネル33に衝撃子55を当て、衝撃子55の移
動距離と加速度を測定することにより行う。この衝撃子
55の移動距離及び加速度は、それぞれ図8中横軸に示
すフードの変形による移動距離(フードアウタパネル3
3の移動距離)及び図8中縦軸に示すフードの反力に対
応している。
【0045】ここで、図5のような基礎構造に対する衝
撃実験の結果として得られる波形C1 (図8の(c))
は、概念的には、図6のように衝撃吸収体43を設けず
にフードアウタパネル33のみを設けた場合の波形C2
(図8の(a))と、図7のようにフードアウタパネル
33を設けずに衝撃吸収体43のみを設けた場合の波形
C3 (図8の(b))を合わせた波形として求めること
ができ、基礎構造に対する衝撃実験の実際の結果は、前
記概念的に求めた波形C3 と近似する。
【0046】図6のようにフードアウタパネル33のみ
を設けて衝撃実験を行った場合は、図8(a)の波形C
2 のように、衝突直後の変形初期はフードアウタパネル
33が衝撃子55の外形状に沿って局所変形を起こし、
フードアウタパネル33の張力に依存する初期反力が急
激に増大し、移動距離Sが略S1 となった状態で最大反
力(略F1 )が得られる(図中p1 )。最大反力を得た
後は、フードアウタパネル33は衝撃子55から受けた
慣性力によって広い範囲で沈み込みを開始して、移動距
離Sの増大に伴って反力Fが急に減少し、反力Fが零と
なる。ところが、一般にこの状態に至るまでに十分なエ
ネルギ吸収量(面積A1 )を得ることはできず、フード
アウタパネル33は停止せずに、さらに移動してエンジ
ン37の上面37aと干渉して停止する。すなわち、こ
のエンジン37との干渉時に吸収されるエネルギ量(面
積A2 )が、衝撃吸収体43によって吸収しなければな
らないエネルギ量となる。
【0047】図7のように衝撃吸収体43のみを設けて
衝撃実験を行うと、図8の(b)の波形C3 ように、フ
ードアウタパネル33とエンジン37の間隙lだけ遅れ
て、フードアウタパネル33と衝撃吸収体43が干渉し
て衝撃吸収体43が潰れ変形を起す。この際、必要とさ
れるエネルギ吸収量は、上述のように面積A2 に対応し
ている。
【0048】したがって、フードアウタパネル33とエ
ンジン37の間隔lを所定の間隔に設定することによっ
て、波形C1 と波形C2 を合わせた際に、図8(c)の
波形C1 のように、前記理想波形Cm に近似した波形を
得ることができる。なお、波形C1 と横軸の移動距離S
によって囲まれる面積Aは、前記面積A1 と面積A2の
総和であり、必要なエネルギ吸収量が確保されている。
【0049】図9は、フードアウタパネル33とエンジ
ン37の間隙lの大きさを変えて行った衝撃実験の結果
から求めたHIC値を示している。同図のように、HI
C値は、間隙lが小さいほどが高く、間隙lが増大する
にしたがって低下している。そして、間隙lが20mm程
度となるまではHIC値が比較的急激に低下し、間隙l
が20mmの前後となった辺りからその低下の割合が緩や
かとなっていることが確認できる。これに対し、運転者
の前方視界の確保のためには、フードアウタパネル33
とエンジン37との間隙lは小さく設定する方が望まし
い。したがって、フードの移動距離を小さく抑えるとと
もに、HIC値を効率的に低下させるという両者の要求
を両立して満足させるには、間隙lを20mm程度に設定
すれば良いことが解る。
【0050】なお、フードアウタパネル33とエンジン
37との間隙lは、図10の(a)のように、衝撃吸収
体43をフードアウタパネル33側に設けて衝撃吸収体
43とエンジン37の間に設けた場合や、同図の(b)
のように、衝撃吸収体43をフードアウタパネル33と
エンジン37の中間に設け衝撃吸収体43の上方の間隙
1 と下方の間隙l2 に分けた場合(l1 +l2 =l)
にも、フードアウタパネル33と衝撃吸収体43の間に
間隙lを設けた場合の結果とほぼ同一の結果が得られ
る。
【0051】このように、本実施例にかかるフード31
はフードアウタパネル33とエンジン37の間隙(D1
+D2 +D3 )の大きさを20mm程度に設定してあるの
で、フード31に対して衝撃実験を行うと、変形初期は
フードアウタパネル33が衝撃子55の外形状に沿って
局所変形を起こして初期反力が急増し、移動距離Sが略
S2 となった状態で最大反力(略F1 )が得られ、最大
反力を得た後は、フードアウタパネル33は衝撃子55
から受けた慣性力によって広い範囲で沈み込みを開始し
て反力Fが急に減少し、移動距離Sが略S3 に達すると
反力が略F2 まで低下し、その後、フードアウタパネル
33と衝撃吸収体43が干渉して所望の二次反力が生
じ、的確なショルダー部が表れ、衝撃吸収体43が十分
に潰れて衝撃エネルギが完全に吸収されると、反力Fが
再び急激に減少してほぼ零となる。したがって、本実施
例によれば、理想波形Cm と近似した波形が得られ、少
ない移動距離でHIC値を効果的に低下させて、頭部衝
撃性を緩和することができる。
【0052】また、衝撃吸収体43をフード31側に設
けているので、エンジンルーム35に衝撃吸収体43を
設ける必要がなく、エンジンルーム35内の簡素化によ
る設計自由度の向上を図ることができる。
【0053】図12〜図14は第1実施例の変形例を示
している。この変形例は、エンジン37の上面37aを
覆うような板状の衝撃吸収体69を設けたものであり、
この衝撃吸収体69も、前記衝撃吸収体43と同様に支
持ブラケット45に支持されている。
【0054】図14の(a)〜(c)は、この変形例で
用いる衝撃吸収部材69a〜69cの具体的な形状の一
例を示している。
【0055】図14の(a)に示す衝撃吸収部材69a
は、板材71に複数の切欠73を形成し切り起し片75
を立設したものであり、(b)及び(c)に示す衝撃吸
収体63b,63cは、板材71を切欠いて2つの斜設
部77aの間に底部77bを有する突部77を切り起し
たものである。(b)に示す衝撃吸収体63bと(c)
に示す衝撃吸収体63cは、前者では2つの斜設部77
aがほぼ同程度の傾きであるのに対し、後者では一方の
斜設部77aがほぼ垂直に傾いている点と、前者では底
部77bが板状であるのに対し、後者では底部77bが
ほぼ線状である点で相違している。
【0056】このように、エンジン37の上面37aを
覆うように衝撃吸収体69を設けることにより、フード
アウタパネル33のエンジン37上方のほぼ全域におい
て、理想波形Cm と近似した波形が得られ、少ない移動
距離でHIC値を効果的に低下させて、頭部衝撃性を確
実に緩和することができる。
【0057】次に、本発明の請求項1及び請求項4〜請
求項7記載のの発明にかかる第2実施例を図面に基づき
説明する。
【0058】この第2実施例は、衝撃吸収体83をエン
ジンルーム35側に設けている点で第1実施例と相違し
ている。
【0059】図15は第2実施例にかかる自動車の車体
上部構造を示す断面図、図16は図5の平面図、図17
は図15のJ−J断面図である。なお、前記第1実施例
と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略す
る。
【0060】図15〜図17のように、本実施例にかか
るフード81のフードアウタパネル33とエンジン37
の中間には、衝撃吸収体83が配設されている。衝撃吸
収体83の上面83aとフードアウタパネル33の間隙
D4 と、衝撃吸収体83の下面83bとエンジン37の
間隙D5 を合わせたフードアウタパネル33とエンジン
37の間隙の大きさは、第1実施例と同様に20mm程度
となるように設定されている。
【0061】エンジンルーム35の車幅両側には、スト
ラットタワー89が配設され、ストラットタワー89
は、フードリッジ87から車幅内側に突出するように設
けられている。ストラットタワー89の上面89aに
は、円筒部89bが突設され、この円筒部89bの周囲
には3本のボルト・ナット91が設けられている。
【0062】衝撃吸収体83は上部板体83aと下部板
体83bが接合されたもので、両板体83a,83bの
間には閉断面Nが形成されている。衝撃吸収体83はエ
ンジン37の上方を覆うように設けられ、その両端部8
4がストラットタワー89の上面89aに連結されてい
る。衝撃吸収体83の両端部84には、前記ストラット
タワー上面89aの円筒部89bに外嵌される孔部84
aが形成されており、衝撃吸収体83の両端部84は、
車幅両側のストラットタワー89の円筒部89bに外嵌
され、前記ボルト・ナット91によって共締めされてい
る。これにより、衝撃吸収体83がストラットタワー8
9を連結して支持した状態となり、ストラットタワー8
9の倒れが防止されている。
【0063】また、図17のようにエンジン37上方に
は、アクセルワイヤなどのようにエンジン37に接続さ
れる線状部材85が配設されているので、この線状部材
85との非接触状態を維持するため、衝撃吸収体83の
下部板体83bには、線状部材85の間には所定の隙間
を形成する湾曲状の凹部86が設けられている。
【0064】このような第2実施例によれば、フードア
ウタパネル33とエンジン37の間隙(D4 +D5 )の
大きさを、第1実施例と同様に20mm程度に設定してあ
るので、衝撃時に理想波形Cm と近似した波形が得ら
れ、少ない移動距離でHIC値を効果的に低下させて、
頭部衝撃性を緩和することができる。
【0065】また、衝撃吸収体83をエンジンルーム3
5側に設けているので、フード81の軽量化を図ること
ができ、フード81の開閉性が向上する。
【0066】また、衝撃吸収体83はストラットタワー
89を連結してこれを支持するので、ストラットタワー
バー(図示外)のような別部品を設けることなく、スト
ラットタワー89の倒れが防止され、ストラットタワー
89の剛性が向上し、車両走行性の安定化を図ることが
できる。
【0067】なお、エンジン37の上方を覆うように衝
撃吸収体83を設けたので、エンジン37上方のフード
アウタパネル33のほぼ全域での頭部衝撃性を確実に緩
和することができる点は、第1実施例と同様である。
【0068】また、図18のように、衝撃吸収体83の
閉断面N内に、グラスウール等のような吸音材91を設
けることにより、エンジン37の上方を吸音材91によ
って覆うことができ、エンジン37からの騒音の低減を
図ることができる。この場合、衝撃吸収体83の上部板
体83a及び下部板体83bに、穴部93を形成するこ
とにより、衝撃吸収体83の圧壊反力及びエネルギ吸収
量を的確に調節できるとともに、吸音材91による防音
効果をさらに向上させることができる。
【0069】次に、本発明の請求項2及び請求項4〜請
求項7記載のの発明にかかる第3実施例を図面に基づき
説明する。
【0070】この第3実施例は、衝撃吸収体83とフー
ドアウタパネル33の間にインナリブ41を設けている
点で第1実施例と相違している。
【0071】図19は第3実施例にかかる自動車の車体
上部構造を示す断面図、図20は図19のK−K断面図
である。なお、前記第1実施例及び第2実施例と同一の
部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0072】図19及び図20のように、本実施例にか
かるフード95は、エンジン37上方のフードアウタパ
ネル33に、フードインナリブ41を備えたフードイン
ナパネル39を接着により設けたもので、衝撃吸収体8
3の上面83aとフードインナリブ41の間隙D6 と、
衝撃吸収体83の下面83bとエンジン37の間隙D7
を合わせたフードアウタパネル33とエンジン37の間
隙の大きさは、第1実施例及び第2実施例と同様に20
mm程度となるように設定されている。また、衝撃吸収体
83とフードアウタパネル33の間隙としての前記衝撃
吸収体83の上面83aとインナリブ41の間隙D6 に
ついても、フードアウタパネル33が所定距離だけ車体
下方に移動して、後述のようにフード95の反力が最大
反力となったときに、インナリブ41が衝撃吸収体83
と干渉するような所定の大きさに設定されている。衝撃
吸収体83は、第2実施例と同様にエンジン37の上方
を覆うように設けられ、その両端部84がストラットタ
ワー89の上面89aに連結されている。これにより、
衝撃吸収体83がストラットタワー89を連結して支持
した状態となり、ストラットタワー89の倒れが防止さ
れている。また、エンジン37上方には線状部材85が
配設され、衝撃吸収体83の下部板体83bには、線状
部材85の間には所定の隙間を形成する湾曲状の凹部8
6が設けられている。
【0073】次に作用を説明する。本実施例にかかるフ
ード19は、第1実施例と同様に、衝撃実験において理
想波形に近似した波形が得られる構造となっている。
【0074】図21は基礎構造に対する衝撃実験時の変
形状態を示し、図22は本実施例にかかるフード95に
対する衝撃実験時の変形状態を示している。また、図2
3は基礎構造に対する衝撃実験の結果として得た基礎波
形C4 と理想波形Cm を示している。なお、本実施例に
かかるフード95に対する衝撃実験の結果として得られ
る波形は理想波形Cm と近似しているため、図示を省略
してある。
【0075】図21のように基礎構造は、衝撃吸収体8
3を備えていない点を除き、上記本実施例の構成と同一
である。
【0076】基礎構造に対する衝撃実験の変形状態と、
各状態におけるフードの移動距離Sと反力Fの関係を、
図21及び図23に基づき説明する。
【0077】図21の(a)のように初期停止状態[イ
ンナリブ41の初速度v0 =0]にあるフードアウタパ
ネル33に、衝撃子55[衝撃子55の初速度V0
0]が干渉すると、(b)のように衝撃子55からフー
ドアウタパネル33に力が加わってフードアウタパネル
33が加速される。この間において、衝撃子55の速度
1 はインナリブ41の速度v1 よりも大きく[V1
1 ]、フードアウタパネル33が衝撃子55の外形状
に沿って局所変形を起し、図23中の範囲Iに示すよう
に、初期反力が上昇して最大反力(略F1 )となる(図
中p4 )が、その後、フードアウタパネル33は衝撃子
55から受けた慣性力によって広い範囲で沈み込みを開
始し、反力Fが急激に低下し始める。
【0078】図21の(c)のようにフードアウタパネ
ル33が十分加速され、衝撃子55の速度V2 がインナ
リブ41の速度v2 よりも小さくなると[V2
2 ]、図23中の範囲IIに示すように、フードの反力
Fが零となる。
【0079】フードの移動が進み、図21の(d)のよ
うにインナリブ41がエンジン37との干渉を開始する
と、衝撃子55の速度V3 は零とならずにインナリブ4
1の速度v3 のみが零となる[V3 >0,v3 =0]。
すなわち、インナリブ41が衝撃エネルギを吸収して潰
れ変形を起し、図23中の範囲III に示すように、高い
反力Fが発生する(図中)。
【0080】そして、インナリブ41が十分に変形して
衝撃エネルギが完全に吸収されると、図21の(e)の
ようにフードの移動が停止し、図23中の位置IVに示す
ように、反力Fが零となる。
【0081】このように基礎波形C4 では、変形初期に
フードアウタパネル33による初期反力が急増して最大
反力となる(図中p4 )までは、理想波形Cm に近似し
ている。
【0082】ところが、基礎波形C4 では、最大反力と
なった後の反力Fの低下の割合が理想波形Cm に比し極
めて大きく、また、変形後期において反力FがF2 とな
った後もさらに反力Fが低下してしまい、その後に反力
Fがほとんど緩和されることなく零となり、ショルダー
部(図中qm )がほとんど表れない点で、理想波形Cm
と大きく相違している。すなわち、インナリブ41がエ
ンジン37と干渉する前の吸収エネルギ(図23中の面
積A3 )では十分なエネルギ吸収量が確保できず、エン
ジン37との干渉時に大きな吸収エネルギ(図23中の
面積A4 )を得るための高い反力Fが発生してしまうの
で、衝撃開始から長時間経過後に反力Fが上昇してしま
い(図中r4 )、頭部衝撃性に対して悪影響を及ぼして
しまう。
【0083】これに対し、本実施例にかかるフード95
は、図22の(a)のように初期停止状態[インナリブ
41の初速度v0 =0]にあるフードアウタパネル33
に、衝撃子55[衝撃子55の初速度V0 >0]が干渉
すると、(b)のように衝撃子55からフードアウタパ
ネル33に力が加わってフードアウタパネル33が加速
される。この間において、衝撃子55の速度V1 はイン
ナリブ41の速度v1よりも大きく[V1 >v1 ]、フ
ードアウタパネル33が衝撃子55の外形状に沿って局
所変形を起し、前記基礎構造と同様に、図23中の範囲
Im における初期反力が上昇して最大反力(略F1 )と
なる。
【0084】フードが最大反力を生じると、フードアウ
タパネル33は衝撃子55から受けた慣性力によって広
い範囲で沈み込みを開始するが、このとき、(b)のよ
うにインナリブ41が衝撃吸収体83と干渉を開始する
ので、その後は(c)のようにインナリブ41と衝撃吸
収体83の干渉によって反力が生じ、基礎構造に比し反
力Fの急激な低下が抑えられ、図23中の範囲IIm にお
ける理想波形Cm とほぼ同等に反力Fが低下する。
【0085】そして、フードの移動距離Sが所定距離に
達すると、図22の(d)のように衝撃吸収体83がエ
ンジン37と干渉を開始し、衝撃吸収体83を介してイ
ンナリブ41エンジン37と干渉する。このとき、衝撃
子55の速度V3 は零とならずにインナリブ41の速度
3 のみが零となる[V3 >0,v3 =0]。すなわ
ち、インナリブ41及び衝撃吸収体83が衝撃エネルギ
を吸収して潰れ変形を起し、フードに所望の二次反力が
発生し、反力Fの全体の低下の割合が緩和されて、図2
3中の範囲III における理想波形Cm とほぼ同様のショ
ルダー部(図中qm )が得られる。
【0086】インナリブ41及び衝撃吸収体83が十分
に変形して衝撃エネルギが完全に吸収されると、図22
の(e)のようにフードの移動が停止し、図23中の位
置IVにおける理想波形Cm のように反力Fが零となる。
【0087】このように、本実施例にかかるフード95
に対して衝撃実験を行うと、変形初期はフードアウタパ
ネル33が衝撃子55の外形状に沿って局所変形を起こ
して初期反力が急増し、移動距離Sが略S2 となった状
態で最大反力(略F1 )が得られ、最大反力を得た後
は、フードアウタパネル33は衝撃子55から受けた慣
性力によって広い範囲で沈み込みを開始するとともに、
インナリブ41がエンジン37と干渉して反力Fが的確
な割合で減少し、移動距離Sが略S3 に達すると反力が
略F2 まで低下し、その後、インナリブ41及び衝撃吸
収体83がエンジン37と干渉して潰れ変形を起し、所
望の二次反力が生じて的確なショルダー部が表れ、イン
ナリブ41及び衝撃吸収体83が十分に潰れると、反力
Fが再び急激に減少して零となり、フードの移動が停止
する。すなわち、本実施例によれば、第1実施例と同様
に理想波形Cm と近似した波形が得られる。
【0088】上述のように第3実施例によれば、フード
アウタパネル33とエンジン37の間隙(D6 +D7 )
の大きさを、第1実施例と同様に20mm程度に設定し、
かつフードアウタパネル33と衝撃吸収体83の間隙D
6 の大きさを所定の大きさに設定してあるので、最大反
力後における反力の低下の割合が大き過ぎ、また二次反
力が小さくショルダー部(図23中のqm )がほとんど
表れない構造に対して、最大反力後の反力の低下を的確
な割合とし、かつ二次反力を的確に増大させることがで
きる。これにより、衝撃時に理想波形Cm と近似した波
形が得られ、少ない移動距離でHIC値を効果的に低下
させて、頭部衝撃性を緩和することができる。
【0089】また、第2実施例と同様に、衝撃吸収体8
3をエンジンルーム35側に設けているので、フード8
1の軽量化によりフード81の開閉性が向上し、衝撃吸
収体83はストラットタワー89を連結してこれを支持
するので、車両走行性の安定化を図ることができ、エン
ジン37の上方を覆うように衝撃吸収体83を設けたの
で、エンジン37上方のフードアウタパネル33のほぼ
全域での頭部衝撃性を確実に緩和することができる。
【0090】また、衝撃吸収体83の閉断面内に吸音材
を設けることにより、エンジン37からの騒音の低減を
図ることができる点も、第2実施例と同様である。
【0091】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1記載
の発明によれば、フードの移動距離が所定距離となると
衝撃吸収体が衝撃干渉体に干渉し、衝撃吸収体が潰れ変
形を起こして所望の大きさの二次反力が生じ、反力の減
少が的確に緩和されるので、フードの反力とその移動距
離の関係を理想的な状態とすることができ、フードの移
動距離を小さく抑えて十分なエネルギ吸収を確保すると
共に、頭部衝撃性を緩和することができる。
【0092】請求項2記載の発明によれば、フードの移
動距離が所定距離となるとインナリブが衝撃干渉体と干
渉し、最大反力後のフードアウタパネルの沈み込み変形
初期時に、フードの反力減少の割合を所望の割合に抑え
ることができ、また、フードの移動距離が所定距離とな
ると衝撃吸収体が衝撃干渉体に干渉し、衝撃吸収体が潰
れ変形を起こして所望の大きさの二次反力が生じ、反力
の減少が的確に緩和されるので、フードの反力とその移
動距離の関係を理想的な状態とすることができ、フード
の移動距離を小さく抑えて十分なエネルギ吸収を確保す
ると共に、頭部衝撃性を緩和することができる。
【0093】請求項3記載の発明によれば、請求項1又
は請求項2記載の発明の効果に加え、エンジンルーム内
の簡素化による設計自由度の向上を図ることができる。
【0094】請求項4記載の発明によれば、請求項1又
は請求項2記載の発明の効果に加え、フードの軽量化に
よるフードの開閉性の向上を図ることができる。
【0095】請求項5記載の発明によれば、請求項4記
載の発明の作用に加え、ストラットタワーバーのような
別部品を設けることなく、車両走行性の安定化を図るこ
とができる。
【0096】請求項6記載の発明によれば、請求項1〜
請求項5記載の発明の効果に加え、衝撃干渉体上方のほ
ぼ全域での頭部衝撃性を確実に緩和することができる。
【0097】請求項7記載の発明によれば、請求項1〜
請求項6記載の発明の効果に加え、吸音材によってエン
ジンからの騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例にかかる自動車の車体上部構造の要
部を示す断面図である。
【図2】図1のフードの平面図である。
【図3】図2の衝撃干渉体の拡大平面図である。
【図4】理想波形Cm を示す概略図である。
【図5】第1実施例の基礎構造を示す断面図である。
【図6】第1実施例の基礎構造を示す断面図である。
【図7】第1実施例の基礎構造を示す断面図である。
【図8】フードの反力Fと移動距離Sの関係を示す波形
の概略図であり、(a)は図6の基礎構造に対応する波
形C2 を示し、(b)は図7の基礎構造に対応する波形
C3 を示し、(c)は図6の基礎構造に対する波形C1
及び理想波形Cm を示している。
【図9】エンジンとフードアウタパネルの間隙lとHI
C値との関係を示す概略図である。
【図10】他の基礎構造を示す断面図である。
【図11】衝撃吸収体を示す斜視図である。
【図12】第1実施例の変形例を示すフードの平面図で
ある。
【図13】図12の衝撃干渉体の拡大平面図である。
【図14】衝撃吸収体を示す斜視図である。
【図15】第2実施例にかかる自動車の車体上部構造を
示す側断面図である。
【図16】図15のフードの平面図である。
【図17】図15のJ−J断面図である。
【図18】吸音材を備えた衝撃吸収体を示す斜視図であ
る。
【図19】第3実施例にかかる自動車の車体上部構造を
示す側断面図である。
【図20】図19のK−K断面図である。
【図21】基礎構造に対する衝撃実験時の変形状態を示
す断面図である。
【図22】第3実施例にかかるフードに対する衝撃実験
時の変形状態を示す断面図である。
【図23】第3実施例の基礎波形C4 と理想波形Cm を
示す概略図である。
【図24】従来の車体上部構造を有する自動車を示す斜
視図である。
【図25】図24の要部拡大図である。
【図26】図25のV−V断面図である。
【図27】WSTCを示す図である。
【符号の説明】
31 フード 33 フードアウタパネル 33a フードアウタパネルの下面 35 エンジンルーム 37 エンジン(衝撃干渉体) 41 インナリブ 43 衝撃吸収体 43a 衝撃吸収体 43b 衝撃吸収体 43c 衝撃吸収体 69 衝撃吸収体 69a 衝撃吸収体 69b 衝撃吸収体 69c 衝撃吸収体 81 フード 83 衝撃吸収体 89 ストラットタワー N 閉断面 D1 +D2 +D3 衝撃干渉体とフードアウタパネルの
間隙 D4 +D5 衝撃干渉体とフードアウタパネルの間隙 D6 +D7 衝撃干渉体とフードアウタパネルの間隙 D6 衝撃吸収体とフードアウタパネルの間隙

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンルーム上面を閉塞するフードア
    ウタパネルを備えたフードへの衝撃を吸収する自動車の
    車体上部構造であって、 前記衝撃を吸収して変形する衝撃吸収体を、前記エンジ
    ンルームに配置された衝撃干渉体と前記フードアウタパ
    ネルの間に設け、 前記フードが前記衝撃によって所定距離だけ車体下方に
    移動したときに前記衝撃吸収体が前記衝撃干渉体と干渉
    を開始するように、前記衝撃干渉体と前記フードアウタ
    パネルの間に所定の大きさの間隙を設けたことを特徴と
    する自動車の車体上部構造。
  2. 【請求項2】 エンジンルーム上面を閉塞するフードア
    ウタパネルを備えたフードへの衝撃を吸収する自動車の
    車体上部構造であって、 前記エンジンルームに配置された衝撃干渉体と前記フー
    ドアウタパネルの間に、前記衝撃を吸収して変形する衝
    撃吸収体を設け、 前記衝撃干渉体上方の前記フードアウタパネルの下面側
    に、前記衝撃を吸収して変形するインナリブを設け、 前記フードが前記衝撃によって所定距離だけ車体下方に
    移動したときに前記インナリブが前記衝撃吸収体と干渉
    を開始するように、前記衝撃吸収体と前記フードアウタ
    パネルの間に所定の大きさの間隙を設け、 前記衝撃吸収体と干渉したフードが前記衝撃によって所
    定距離だけ車体下方に移動したときに前記衝撃吸収体が
    前記衝撃干渉体と干渉を開始するように、前記衝撃干渉
    体と前記フードアウタパネルの間に所定の大きさの間隙
    を設けたことを特徴とする自動車の車体上部構造。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の自動車の車
    体上部構造であって、 前記衝撃吸収体は、前記フード側に設けたことを特徴と
    する自動車の車体上部構造。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の自動車の車
    体上部構造であって、 前記衝撃吸収体は、前記エンジンルーム側に設けたこと
    を特徴とする自動車の車体上部構造。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の自動車の車体上部構造で
    あって、 前記衝撃吸収体は、前記エンジンルームの車幅両側に配
    設されたストラットタワーを連結して該ストラットタワ
    ーを支持することを特徴とする自動車の車体上部構造。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5記載の自動車の車体
    上部構造であって、 前記衝撃吸収体は、前記衝撃干渉体の上部を覆うように
    設けたことを特徴とする自動車の車体上部構造。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6記載の自動車の車体
    上部構造であって、 前記衝撃干渉体はエンジンであり、 前記衝撃吸収体は吸音材を備えたことを特徴とする自動
    車の車体上部構造。
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JP2008514478A (ja) * 2004-09-24 2008-05-08 ルノー・エス・アー・エス 補強内張が設けられた自動車のフード
JP2011011658A (ja) * 2009-07-02 2011-01-20 Furukawa-Sky Aluminum Corp 歩行者保護性に優れたフードパネル及び車両フロント部構造
WO2012001799A1 (ja) * 2010-06-30 2012-01-05 いすゞ自動車株式会社 エンジンフードの支持構造

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