JPH07282694A - 磁気アーク駆動併用熱パッファ形ガス遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 充電電流遮断動作時の再点弧の発生を防止す
ると共に、アークの磁気駆動力が十分に得られる、高い
消弧性能の磁気アーク駆動併用熱パッファ形ガス遮断器
を提供する。 【構成】 昇圧室内に、固定コンタクト１、磁気コイル
２、アークランナ３を収納し、昇圧室壁10に形成したノ
ズル４から可動コンタクト５が昇圧室内に出入りして前
記固定コンタクトと接触開離を行う磁気アーク駆動併用
熱パッファ形ガス遮断器において、固定コンタクトと可
動コンタクトとを、両コンタクトの端部が接触すること
により通電するバットコンタクトとする。固定コンタク
トの外径が小さくなることにより、アークランナと可動
コンタクトの間の距離を短くし、磁界中心とアークとの
距離を小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、消弧方式として、磁気
アーク駆動方式と熱パッファ方式を併用したガス遮断器
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３に従来の磁気アーク駆動併用熱パッ
ファ形ガス遮断器を示す。図は、図示しないガス遮断器
容器内部に絶縁ガスと共に封入された電流遮断部分の断
面を示す。また、図において、中心線より右半分は固定
コンタクトと可動コンタクトが接触している状態を示
し、左半分は開離している状態を示している。

【０００３】図示の磁気アーク駆動併用熱パッファ形ガ
ス遮断器においては、昇圧室を形成する昇圧室容器１０
内に、円筒形に形成された固定コンタクト１、磁気コイ
ル２、アークランナ３を収納する。固定コンタクト１の
磁気コイル２を支持する部分には、固定コンタクト１と
磁気コイル２の間の空間に位置する環流口８が設けられ
る。昇圧室容器１０にノズル４が形成され、可動コンタ
クト５がノズル４を通して昇圧室内に出入りし、固定コ
ンタクト１との接触、開離を行う。可動コンタクト５が
昇圧室内に入っている時は、ノズル４が塞がれて昇圧室
内はほぼ密封された状態となる。

【０００４】ガス遮断器の通電時には、可動コンタクト
５は円筒形の固定コンタクト１の中空部内に入り込み、
固定コンタクト１の内周部と可動コンタクト５の外周部
が接触する。固定コンタクト１には、接触のための弾性
力を付けるために、円筒の先端に複数のスリットが入れ
られ、分割された複数のコンタクトが形成される。次
に、上記従来のガス遮断器の電流遮断時の消弧作用につ
いて説明をする。

【０００５】電流遮断時には、可動コンタクト５は図示
右半分に示した状態から、図示しない駆動機構により下
方へ移動させられる。この移動に伴い、可動コンタクト
５が固定コンタクト１と開離すると、両コンタクト間に
アークが発生する。更に可動コンタクト５が下方へ移動
すると、アークは固定コンタクト１からアークランナ３
へ移行し、アークランナ３と可動コンタクト５との間に
アークが発生する。

【０００６】アークがアークランナ３に移行することに
より、磁気コイル２に電流が流れる。この磁気コイル２
が発生する磁界によりアークが駆動され、アークはアー
クランナ３上を高速で移動をする。このアークの移動に
より、絶縁ガスが相対的にアークに吹き付けられること
となり、磁気アーク駆動による消弧が行われる。またこ
の間、アークは密封された昇圧室内の絶縁ガスを加熱す
るので、昇圧室内部のガス圧力が高くなる。

【０００７】可動コンタクト５がさらに下方に移動をし
て、その先端がノズル４から外れると、昇圧室内の高圧
絶縁ガスは、ノズル４と可動コンタクト５の間の隙間か
ら高速で室外へ流出する。この時、高速のガス流がアー
クに対して吹き付けられ、熱パッファによる消弧が行わ
れる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】以上説明した従来の磁
気アーク駆動併用熱パッファ形ガス遮断器においては、
可動コンタクト５とアークランナ３との間隔ａが通常２
mmより大きく形成される。このため、例えば、８４ｋｖ
定格で充電電流を遮断する時、アークランナ３と可動コ
ンタクト５との間で再点弧が発生する可能性がある。

【０００９】この再点弧が発生する理由について説明を
すると、開極と同時に電流を遮断した場合に最も厳しい
条件となり、この場合、従来例のガス遮断器では、第１
遮断相遮断後回復電圧が発生するが、他の２相が遮断す
るまでに発生する電圧では極間閃絡はせず、３相とも遮
断した後第１遮断相のアークランナ３と可動コンタクト
５の間で閃絡し再点弧を生じる。再点弧発生の原因とし
て、回復電圧に対してアークランナ３と可動コンタクト
５と開離距離が充分でないために起こる。

【００１０】この再点弧の発生を防止するために、アー
クランナ３の内径を小さくしてアークランナ３と可動コ
ンタクト５との間隔を小さくし、再発弧の領域（第１遮
断相遮断後他の２相が遮断するまでの時間）でアークラ
ンナ３と可動コンタクト５間で閃絡させ、再点弧しない
アークランナ可動コンタクト５の開離距離がとれる。し
かし、この場合、アークランナ３の先端（内径）と磁気
コイル２により発生する磁界の中心との距離が遠くな
る。このため、アークと磁界中心との距離が遠くなって
アークの磁気駆動力が低下し、消弧性能が低下する。

【００１１】また、磁気コイル２をアークランナ３の先
端に近づけなければならないため、固定コンタクト１の
外径と磁気コイル２の内径の間の空間及び環流口８の大
きさが小さくなる。このため、アークランナ３と可動コ
ンタクト５の間で発生するアークにより加熱されたホッ
トガス１２がスムーズに環流口８等を通って昇圧室内に
移動することができない。したがって、アーク部分に滞
留したホットガスは過剰に加熱されることとなり、消弧
性能を低下させる。

【００１２】このように、従来の磁気アーク駆動併用熱
パッファ形においては、再点弧の発生を防止することと
アークの磁気駆動力を十分に得ることの両方を満足する
ものが得られなかった。本発明は、遮断動作時の再点弧
の発生を防止すると共に、アークの磁気駆動力が十分に
得られる、高い消弧性能の磁気アーク駆動併用熱パッフ
ァ形ガス遮断器を提供することを目的とするものであ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、昇圧室内に、固定コンタクト、磁気コイ
ル、アークランナを収納し、昇圧室壁に形成したノズル
から可動コンタクトが昇圧室内に出入りして前記固定コ
ンタクトと接触開離を行う磁気アーク駆動併用熱パッフ
ァ形ガス遮断器において、固定コンタクトと可動コンタ
クトとを、両コンタクトの端部が接触することにより通
電するバットコンタクトとする。

【００１４】

【作用】固定コンタクトと可動コンタクトをバットコン
タクトとすることにより、固定コンタクトの直径を小さ
くすることができる。これに伴い、磁気コイルの内径及
び外径を小さくし、磁界の中心位置をアークランナの先
端に近づけることができる。つまり、アークランナの先
端を可動コンタクトに近づけて再点弧の発生を防止する
ようにした場合であっても、アークランナの先端に発生
しているアークと磁界中心との距離を短くすることがで
きる。

【００１５】したがって、本発明によれば、再点弧の発
生を防止すると共に、アークの磁気駆動力が十分に得ら
れる磁気アーク駆動併用熱パッファ形が得られる。

【００１６】

【実施例】図１に本発明の磁気アーク駆動併用熱パッフ
ァ形ガス遮断器の１実施例を示す。図は、８４ｋｖ用ガ
ス遮断器の例を示し、図示しないガス遮断器容器内部に
絶縁ガスと共に封入された電流遮断部分の断面を示す。
また、図において、中心線より右半分は固定コンタクト
と可動コンタクトが接触している状態を示し、左半分は
開離している状態を示している。

【００１７】昇圧室を形成する昇圧室容器１０内に、円
筒形に形成された固定コンタクト１、磁気コイル２、ア
ークランナ３を収納する。固定コンタクト１の磁気コイ
ル２を支持する部分には、固定コンタクト１と磁気コイ
ル２の間に位置する環流口８が形成される。昇圧室容器
１０の一部にノズル４が形成され、可動コンタクト５が
ノズル４を通して昇圧室内に出入りし、固定コンタクト
１との接触、開離を行う。また、可動コンタクト５が昇
圧室内に入っている時は、ノズル４が塞がれて昇圧室容
器１０内部はほぼ密封された状態となる。

【００１８】可動コンタクト５と固定コンタクト１との
接触は、両コンタクトの端部が接触することにより通電
するバットコンタクトとされる。ガス遮断器の通電時に
は、電流は、上部端子１１、固定コンタクト１、可動コ
ンタクト５という経路を通って流れる。この通電時に固
定コンタクト１と可動コンタクト５との間に必要な接圧
を与えるために、可動コンタクト５と可動コンタクト支
持部材９の間にバネ６が設けられ、可動コンタクト５を
固定コンタクト１側に付勢をする。なお、この接圧を得
るためのバネ６は、固定コンタクト１側に設けることも
できる。また、可動コンタクト５と支持部材９との間の
電気的接触は、導電性バネにより形成された接触子７に
より行われる。また、従来から使用されている接触子を
用いても良い。

【００１９】さらに、本実施例においては、磁気コイル
２、アークランナ３、可動コンタクト５の関係が図２に
示す関係に設定される。なお、図２では中心線の左半分
のみを図示している。アークランナ３の先端（内径）と
可動コンタクト５との間隔ａは、２mm以下（０＜ａ≦２
mm）とされる。また、磁気コイル２により発生する磁界
の中心Ｃから磁気コイル２の角との距離Ａと、磁界の中
心Ｃからアークランナ３の先端までの距離Ｂとの関係
を、２≧Ａ／Ｂ＞１とする。この理由については後述す
る。

【００２０】次に、上記従来のガス遮断器の電流遮断時
の消弧作用について説明をする。電流遮断時には、可動
コンタクト５の支持部材７が図示右半分に示した状態か
ら、図示しない駆動機構により下方へ移動させられる。
この移動に伴い、可動コンタクト５が固定コンタクト１
と開離すると、両コンタクト間にアークが発生する。更
に可動コンタクト５が下方へ移動すると、アークは固定
コンタクト１からアークランナ３へ移行し、アークラン
ナ３と可動コンタクト５との間にアークが発生する。

【００２１】アークがアークランナ３に移行することに
より、遮断電流は、上部端子１１、固定コンタクト１、
磁気コイル２、アークランナ３、アーク、可動コンタク
ト５の経路を通って流れる。これにより、磁気コイル２
に電流が流れ、この磁気コイル２が発生する磁界により
アークが駆動され、アークはアークランナ３上を高速で
移動をする。このアークの移動により、絶縁ガスが相対
的にアークに吹き付けられることとなり、磁気アーク駆
動による消弧が行われる。またこの間、アークは密封さ
れた昇圧室内の絶縁ガスを加熱するので、昇圧室内部の
ガス圧力が高くなる。

【００２２】可動コンタクト５がさらに下方に移動をし
て、その先端がノズル４から外れると、昇圧室内の高圧
絶縁ガスは、ノズル４と可動コンタクト５の間の狭い隙
間から高速で室外へ流出する。この時、高速のガス流が
アークに対して吹き付けられ、熱パッファによる消弧が
行われる。以上説明した実施例においては、アークラン
ナ３と可動コンタクト５の間の距離を２mm以下と小さく
しているため、充電電流の電流０点でアークが消弧され
た後、アークランナ３と可動コンタクト５間に発生する
電圧が上昇すると、低電圧の間に再発弧が発生する。こ
のため、再点弧の発生が防止され、電流遮断時に再点弧
による異常電圧が発生することがなくなる。

【００２３】本実施例では、このようにアークランナ３
と可動コンタクト５の距離を短くした上で、更に、アー
クランナ３の先端と磁気コイル２との関係を、前述の２
≧Ａ／Ｂ＞１の関係というように小さくすることができ
る。これにより、アークと磁界中心が近づき、アークに
対して十分な駆動力を発生させることができ、磁気アー
ク駆動による消弧性能が高くなる。

【００２４】このように、アークランナ３と可動コンタ
クト５との間隔を小さくしながら、アークと磁界中心の
距離も小さくできるのは、固定コンタクト１と可動コン
タクト５との接触を、バットコンタクトにより行わせて
いることによる。すなわち、バットコンタクトとするこ
とにより、固定コンタクト１の外径を小さくすることが
でき、磁気コイル２の内径及び外径を小さくし、磁界中
心Ｃをアークランナ４の先端に近づけることができる。

【００２５】さらに、上記の各関係を充足した上で、固
定コンタクト１と磁気コイル２の内径との間隔及び環流
口８を大きくすることもできる。これにより、アークラ
ンナ３と可動コンタクト５の間で発生するアークにより
加熱されたホットガスは、固定コンタクト１と磁気コイ
ル５間の空間から環流口８を通る経路を通って、昇圧室
内にスムーズに移動する。これにより、アークにより加
熱したホットガスがその場所で滞留して過剰に熱せられ
ることがなくなるので、消弧性能が向上する。

【００２６】

【発明の効果】本発明によれば、磁気アーク駆動併用熱
パッファ形ガス遮断器において、遮断動作時の再点弧の
発生を防止すると共に、アークの磁気駆動力が十分に得
られ、高い消弧性能の磁気アーク駆動併用熱パッファ形
ガス遮断器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のガス遮断器の実施例の側面断面図。

【図２】図１のガス遮断器の各部分の位置関係を説明す
るための概略図。

【図３】従来のガス遮断器の側面断面図。

【符号の説明】

１…固定コンタクト ２…磁気コイル ３…アークランナ ４…ノズル ５…可動コンタクト ６…バネ ７…接触子 ８…環流口 ９…可動コンタクト支持部材 １０…昇圧室容器 １１…上部端子 １２…ホットガス Ｃ…磁界中心

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇圧室内に、固定コンタクト、磁気コイ
   ル、アークランナを収納し、昇圧室壁に形成したノズル
   から可動コンタクトが昇圧室内に出入りして前記固定コ
   ンタクトと接触開離を行う磁気アーク駆動併用熱パッフ
   ァ形ガス遮断器において、固定コンタクトと可動コンタ
   クトとを、両コンタクトの端部が接触することにより通
   電するバットコンタクトとしたことを特徴とする磁気ア
   ーク駆動併用熱パッファ形ガス遮断器。