JPH07279025A - 熱圧着された耐水性ポリビニルアルコール系長繊維不織布及びその製法 - Google Patents

熱圧着された耐水性ポリビニルアルコール系長繊維不織布及びその製法

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JPH07279025A
JPH07279025A JP6068543A JP6854394A JPH07279025A JP H07279025 A JPH07279025 A JP H07279025A JP 6068543 A JP6068543 A JP 6068543A JP 6854394 A JP6854394 A JP 6854394A JP H07279025 A JPH07279025 A JP H07279025A
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JP
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pva
fiber
polymer
nonwoven fabric
melting point
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JP6068543A
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English (en)
Inventor
Masaji Asano
正司 浅野
Sumihito Kiyooka
純人 清岡
Koichi Tejima
宏一 手島
Masahiro Sato
政弘 佐藤
Akio Omori
昭夫 大森
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリビニルアルコール系長繊維不織布におい
て、化学接着剤を全く使用する事なく、熱圧着のみで接
着された、耐水性と高強度と熱圧着性(ヒートシール
性)を兼備した、農業園芸用資材、生活関連資材用とし
て好適な素材を提供する。 【構成】 高融点ポリビニルアルコール系ポリマーと低
融点耐水性ポリマーを特定範囲内でブレンドし、低温混
合紡糸を行なう事により得られる、高融点ポリビニルア
ルコール系ポリマーが海成分、低融点耐水性ポリマーが
島成分である海島構造繊維からなる長繊維不織布であっ
て、繊維間の接着に化学接着剤が全く使用されず、熱圧
着で島成分の低融点ポリマーが繊維表面に押し出されて
繊維同志の接着がなされた耐水性と高強度と熱圧着性
(ヒートシール性)を兼備したポリビニルアルコール系
長繊維不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐水性ポリビニルアルコ
ール系(以下PVA系と略記)長繊維不織布に関するも
ので、従来困難とされていた耐水性PVA長繊維不織布
でありながら、熱圧着のみにより接着が形成されている
高強力な耐水性PVA長繊維不織布に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】現在、スパンボンド不織布に代表される
長繊維不織布は、カード法等で得られる短繊維不織布に
比べて、引張強力・引裂強力が高い、繊維の脱落や端部
がほつれない、生産性が高い等の優れた特長を有するた
め様々な用途に用いられている。これまでの所、スパン
ボンド不織布を構成する繊維素材としては熱可塑性樹脂
を溶融紡糸延伸する、いわゆる溶融紡糸繊維より製造さ
れるものが一般的で、ポリエステル、ポリプロピレン、
ナイロン等に限られていた。それに対してPVA系繊維
は、高い強度、優れた耐候性、吸水性、吸湿性等の点
で、前記溶融紡糸繊維に勝る性能を有する事から、織編
物や乾式、湿式双方の短繊維不織布として種々製造さ
れ、産業資材分野等を中心に広く使用されている。
【0003】しかしその紡糸方法が乾式法や湿式法であ
るため、紡糸→延伸→開繊→捕集→接着と繊維製造工程
と不織布製造工程を連続した一般的スパンボンドの製造
を行なうには、工程、製造設備とも複雑化し、高い生産
性も望めない等の理由でスパンボンド法での長繊維不織
布は工業的に製造されていない。唯一の提案として特開
平2−191760号公報では、トウ状態のPVA系長
繊維を機械的に幅方向へ拡幅する方法でつくられたPV
A系長繊維不織布が提案されている。しかし該長繊維不
織布はトウを拡幅したものであるため幅方向の強力が非
常に小さく実用性において問題のあるものであるもので
あった。
【0004】それに対して本発明者等は、特願平4−2
1905号で、PVA系ポリマーを乾式又は湿式、ある
いは乾湿式法により一旦、無撚の連続マルチフィラメン
ト束を製造した後、該マルチフィラメント束を出発原料
に開繊→捕集→接着の不織布化を行ない製造したPVA
系長繊維不織布について提案している。すなわち特願平
4−21905号のひとつの提案は、PVA系長繊維に
対して熱融着性長繊維を混繊し、熱融着によって両繊維
間を接着したPVA系長繊維不織布である。この場合は
確かに、樹脂バインダー接着をしなくても、タテ方向、
ヨコ方向の強力異方性の少ない長繊維不織布が得られ
る。しかしその強力レベルは両繊維の繊維強力から予想
されるものより遥かに低くなってしまう事が判明した。
その理由はPVA系長繊維と熱融着性長繊維とは一見接
着状態となるが両者は異種ポリマーであるためその接着
力は経時的にそれもかなり短時間で低下してしまうから
である事もその後の検討で分った。又、該熱融着性長繊
維は、PVA系繊維に比べると遥かに親水性、吸水性、
吸湿性が乏しく、これを相当量混繊使用するため得られ
た混繊不織布もPVA系長繊維不織布のひとつの特長で
ある親水性、吸水性、吸湿性の特徴が大きく損なわれて
しまう。
【0005】それに対して本発明者等は特開平4−21
905号において別に提案している、PVA系長繊維ウ
エブを化学接着剤すなわちケミカルバインダーにより接
着したPVA系長接着不織布は上記の様な問題もなくタ
テ方向、ヨコ方向の強力の異方性が少なく、しかもその
強力レベルも高いものが得られる。しかしこのようなP
VA系長繊維不織布を得るためには、アクリル系、メラ
ミン系、PVA系等のポリマーがケミカルバインダーと
して単独又は複合して使用する必要がある。例えば、耐
水性ビニロンを材料とする乾式不織布に、アクリル系、
メラミン系、PVA系等のポリマー接着剤のエマルジョ
ンまたは有機溶剤溶液を単独又は複合して塗布するか含
浸し、乾燥する方法が一般的に実施されているが、エマ
ルジョンの場合は、ポリマーの乾燥に時間を要するため
低速生産しかできないし、ローラーなどにバインダーや
その変質物が固着する問題を克服する必要がある。又こ
の様な不織布は通常のPVA繊維素材と同様、熱圧着等
によって容易にかつ良好強固に圧着する性質、いわゆる
ヒートシール性を有すものでなく、溶融紡糸系長繊維不
織布つまり一般のスパンボンド不織布ならばほぼ全てが
有する実用上の重要な性能のひとつを欠くという問題も
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、従来技術
では、他の溶融紡糸系繊維からなる一般の長繊維不織布
“スパンボンド不織布”では実現されていない、高強
力、高耐候、高吸水、高吸湿性とそれら“スパンボンド
不織布”がほぼ一様に有する耐水性と熱圧着性(ヒート
シール性)とを兼備するようなPVA系ポリマーからな
る熱圧着によって接着された“ノーバインダー”のPV
A系長繊維不織布は得られていない。従って本発明の課
題は熱圧着により接着された、熱圧着性(ヒートシール
性)を有する耐水性PVA系長繊維不織布とその製造方
法を提供する事である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に対して、本発
明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成した。す
なわち本発明は、融点が220℃以上であるPVA系ポ
リマー(A)及び融点又は融着温度が210℃未満であ
る耐水性ポリマー(B)からなり、(A)と(B)の重
量比が98:2〜55:45の範囲内であり、(A)が
海成分で(B)が島成分である海島構造PVA系長繊維
からなり、繊維の交点及び接触点の少なくとも一部が熱
圧着により接着しているPVA系長繊維不織布であり、
そしてこのような不織布の製造方法として、上記海島構
造PVA系長繊維からなるウエッブを温度80〜230
℃、線圧1kg/cm以上又は面圧2kg/cm2以上
で熱圧着する方法を用いるものである。
【0008】本発明のPVA系長繊維不織布を構成する
繊維は、海島構造を有する多成分繊維であって、融点2
20℃以上であるPVA系ポリマー(A)が海成分であ
る。マトリックスとなる海成分PVA系ポリマー(A)
の融点が220℃未満では本発明繊維の耐熱性、耐水性
が不十分となり実用に耐える繊維を得ることが出来な
い。また高強度繊維を得ることができない。海成分PV
A系ポリマー(A)の融点が225℃以上であるとさら
に好ましい。海成分ポリマー(A)の融点の上限に特別
な限定はないが、融点が260℃以上であるPVAは一
般的ではない。
【0009】海成分PVA系ポリマー(A)の具体例を
あげると、重合度500〜24,000で、ケン化度が
99〜100モル%の高ケン化度PVAである。重合度
が1500〜4000、ケン化度が99.5〜100モ
ル%であると耐水性及び熱圧着性の点でさらに好まし
い。またエチレン、アリルアルコール、イタコン酸、ア
クリル酸、無水マレイン酸とその開環物、アリールスル
ホン酸、ピバリン酸ビニルの如く炭素数が4以上の脂肪
酸ビニルエステル、ビニルピロリドン及び上記イオン性
基の一部また全量中和物などの変性ユニットにより変性
したPVAも包含される。変性ユニットの量は1モル%
未満、好ましくは0.5モル%以下である。変性ユニッ
トの導入法は、共重合でも後反応でも特別な限定はな
い。変性ユニットの分布はランダムでも、ブロックでも
限定はない。ブロック的に分布させると結晶化阻害効果
が小さく、ランダムより多く変性しても高融点を保ちう
る。高ケン化度の高融点PVA系ポリマーを連続相とす
ることにより高融点ポリマー単独繊維に近い性能を得る
ことができ、また繊維の最表層を高融点ポリマーとする
ことにより、繊維製造工程における膠着とそれによる不
織布製造時の開繊不良発生を防止することが可能とな
る。
【0010】本発明のPVA系長繊維不織布を構成する
海島繊維の島成分として融点または融着温度が210℃
未満の耐水性ポリマー(B)を用いる。融点が210℃
以上であると熱圧着温度が高くなり過ぎ、熱圧着時海成
分のPVA系ポリマー(A)の配向性・結晶性を破壊し
易いので好ましくない。なお融点を持たない耐水性の非
晶ポリマーであっても、その非晶性ポリマーチップを所
定温度に加熱し、0.1kg/cm2の圧力を10分間
印加した際チップ同志が融着する最低温度を融着温度と
した時、融着温度が210℃未満の耐水性非晶ポリマー
は本発明の耐水性ポリマー(B)に包含され、島成分耐
水性ポリマー(B)として有効に用いることができる。
島成分耐水性ポリマー(B)の融点、あるいは融着温度
(以下この温度も融点という語に含めて使用する)が2
00℃以下であるとより好ましく、190℃以下である
とさらに好ましい。さらに海成分と島成分の融点差が1
5℃以上であると、熱圧着時の繊維寸法変化が小さくな
るので好ましい。融点差が30℃以上であるとより好ま
しく、50℃以上であるとさらに好ましい。融点が21
0℃未満の耐水性ポリマーは低配向、低結晶性であるた
め、繊維のマトリックスである海成分に用いると、低強
度、低耐熱性となるので不都合である。また低融点ポリ
マー(B)が繊維最表面に存在すると繊維製造工程にお
いて膠着し易く不織布製造工程での開繊不良の原因とな
る。この点からも低融点ポリマー(B)は島成分とする
ことが必要である。
【0011】本発明にいう融点210℃未満の耐水性ポ
リマー(B)の具体例としては、エチレン/=ビニルア
ルコールコポリマー(モル組成比50/50〜20/8
0)、エチレン/酢ビコポリマー(モル組成比=92/
8〜20/80)、ポリビニルブチラール、ポリビニル
ホルマール、炭素数3〜20の脂肪酸のビニルエステル
で変性されたPVA、変性アクリル樹脂、ポリイソプレ
ンなどの炭化水素系エラストマー、ポリウレタン系エラ
ストマーなどがあげられる。とりわけ、熱接着性、性能
再現性(安定性)、コストの点で、エチレン/ビニルア
ルコールコポリマー(モル組成比=50/50〜20/
80)、エチレン/酢ビコポリマー(モル組成比=92
/8〜20/80)のPVA系ポリマーは本発明のPV
A系長繊維不織布を構成する繊維の島成分として有用で
ある。島成分ポリマーの重合度に特別な限定はないが、
島成分は、繊維強度に寄与せず、接着性に寄与すること
が重要であるから、熱圧着時流動性のよい低重合度、例
えば100〜1000が好ましい。
【0012】本発明のPVA系長繊維不織布を構成する
海島繊維の海成分/島成分のブレンド比〔(A)/
(B)〕は重量比で98/2〜55/45の範囲であ
る。海成分の高融点PVA系ポリマー(A)が55%よ
り少ないと高強度繊維が得られない。またこの高融点P
VA系ポリマー(A)が55%より少なくなり、低融点
耐水性ポリマー(B)が45%より多くなると、低融点
耐水性ポリマー(B)が海成分となる傾向になり、硬着
の点で好ましくない。一方、低融点耐水性ポリマー
(B)が2%より少ないと、実用に耐える熱圧着性能を
得ることができない。強度と熱圧着性のバランスより、
海/島ブレンド比が95/5〜60/40であるとより
好ましく、92/8〜70/30であるとさらに好まし
い。
【0013】また本発明のPVA系長繊維不織布を構成
する繊維において島成分と低融点ポリマー(B)は繊維
の最表層に存在することは好ましくないが、最表層近く
に存在することが好ましい。最表層近辺での海成分の最
小厚み(島成分の低融点ポリマーの繊維最表面までの最
近接距離)は、熱圧着時最表層の高融点PVA系ポリマ
ー(A)が破れ、島成分の低融点耐水性ポリマー(B)
が表面に押し出され接着力を得るために重要である。最
表層より0.01〜2μの内側に島成分を存在させるこ
とが好ましい。島成分は繊維断面方向に均一に分布させ
てもよいが、表面側により集中して分布させることが好
ましい。また島成分は繊維軸方向に連続であってもよい
が、必ずしも連続である必要はなく、球状或いは断続し
た細長い棒状あるいはラグビーボール状であってもよ
い。本発明を構成する海島繊維には、前記高融点PVA
系ポリマー(A)及び低融点耐水性ポリマー(B)の他
に、上記した性能を大きく損なわない範囲内で各種の安
定剤、添加剤、その他のポリマー等が添加されていても
よい。
【0014】次に本発明のPVA系長繊維不織布におい
て重要な点として、前記の如きPVA系長繊維からなる
ウエブが熱圧着によって、該ウエブ中の繊維の交差点及
び接触点の全部あるいは一部分が接着している事があ
る。すなわち、本発明のPVA系長繊維不織布は接着法
として“ケミカルボンド”されない“ノーバインダー”
不織布である事が重要である。PVA系長繊維不織布に
おいても、他の長繊維不織布や短繊維不織布と同様、ア
クリル系、合成ゴム系、酢酸ビニルコポリマー系、ポリ
ウレタン系やPVA系等のケミカルバインダーによって
接着が可能でそれぞれ良好な機械的物性を得る事は可能
である。
【0015】しかし、PVA系バインダー以外のケミカ
ルバインダーによって接着を行なった場合にはPVA系
長繊維不織布の特徴である親水性すなわち吸水性、吸湿
性が著しく損なわれてしまってPVA系素材の親水性不
織布としての有用性が失われてしまう。PVA系のバイ
ンダーを用いた場合には吸水性、吸湿性が損なわれる事
はないが、バインダー用として使用されるPVA系ポリ
マーは低重合度、低ケン化度であるため、耐水性の低下
は避け難く、親水性ありながらも高い耐水性を目的とす
る本発明のPVA系長繊維不織布を得る事はできない。
又、ケミカルバインダー処理を行なうためには専用の処
理工程装置を通す必要があるため工程が増えると同時に
該処理では湿式プロセスであるため乾燥工程が必須とな
り、そのため工程速度が上がらないとか、エネルギー消
費が増大するとか、作業環境が汚れやすいとか、廃バイ
ンダーの処理とか、生産性の向上を妨げる問題も多い。
それに対して熱圧着によってPVA系長繊維ウエブをウ
エブ中の繊維の交差点及び接触点の全部あるいは一部が
接着しているならば上記の様な問題は全く生じない。
【0016】従って本発明のPVA系長繊維不織布にお
いては、PVA系長繊維からなるウエブが熱圧着によっ
て、該ウエブ中の繊維の交差点及びその接触点の全部あ
るいは一部分が接着している事が重要である。
【0017】又、既に前記している如く、本発明のPV
A系不織布は長繊維からなる不織布すなわちPVA系長
繊維不織布である事が肝要である。すなわち、本発明の
不織布の様にケミカルバインダーによって接着されない
ノーバインダー不織布において、原料繊維が“短繊維”
=“カットステープル”でカード法等により作成された
短繊維不織布、就中、熱圧着によって接着されたもの
は、長繊維を原料に作成された長繊維不織布に比べると
著しく低い引張強力、引裂強力しか得る事が出来ない。
そのため20g/m2以下の低目付製品を実用性強力を
保持して作る事はできない。又、それ以上の目付であっ
ても長繊維不織布と同じ強力を得ようとするためには、
より高目付にする必要があって経済的でない。本発明の
様にノーバインダーで熱圧着のみで接着して充分な高強
力不織布を実現させるためには、PVA系不織布は、P
VA系長繊維を原料に作成されたPVA系長繊維不織布
でなければならない。
【0018】次に本発明のPVA系長繊維不織布におい
て大事な事として、該不織布は温度230℃以下、線圧
10kg/cmまたは面圧10kg/cm2以下で熱圧
着する事によって圧着可能である事がある。本発明のP
VA系長繊維不織布が実用に供される場合その多くは袋
状やポット状その他各種形態へ縫製や成形加工される。
その場合不織布が熱圧着性を有していない場合、ミシン
縫製や化学接着剤を用いて縫製や成形加工を行なわなけ
ればならず、それでは、加工速度、公害、安全性の点で
熱圧着加工すなわちヒートシール加工に比べて著しく劣
ったものとなっている。それに対してPVA系長繊維不
織布が熱圧着する事ができれば、高速、無公害、安全な
工程で2次元状はもちろん3次元状構造体へ成形加工が
可能となる。とりわけ、温度が230℃以下、線圧10
kg/cmまたは面圧10kg/cm2以下で熱圧着す
る事ができれば該熱圧着成形加工が汎用のヒートシーラ
ーで容易に実施できる。
【0019】従って本発明のPVA系長繊維不織布は温
度230℃以下、線圧10kg/cmまたは面圧10k
g/cm2以下で熱圧着可能である事が好ましく、より
好ましくは温度200℃以下、線圧5kg/cmまたは
面圧5kg/cm2以下、さらに好ましくは温度160
℃以下、線圧3kg/cmまたは面圧3kg/cm2
下である。
【0020】次に本発明のPVA系長繊維不織布の製造
方法について記載する。前記の高融点PVA系ポリマー
(A)と低融点耐水性ポリマー(B)を98/2〜55
/45の割合で溶媒に溶解して紡糸原液を得る。ここに
いう溶媒とは少なくとも高融点PVA系ポリマー(A)
を溶解する溶媒でなければならない。低融点耐水性ポリ
マー(B)をも溶解する共通溶媒であることがより好ま
しいが、必ずしも溶解しなくとも、高融点PVA系ポリ
マー溶液中で10μ以下に分散するよう粉砕分散が可能
であれば使用可能である。分散粒径が5μ以下であると
好ましく、1μ以下であるとさらに好ましい。両ポリマ
ーの共通溶媒に溶解しても両ポリマーの相溶性如何によ
っては均一透明溶液とはならない。むしろ紡糸原液状態
で高融点PVA系ポリマー(A)がマトリックス(海)
相、低融点耐水性ポリマー(B)の液滴が島相に微分散
したポリマーブレンド溶液となって、濁りのある均一微
分散相分離液となることが好ましい。勿論、両ポリマー
の相溶性が良好である場合は均一透明溶液となり、繊維
化時、高融点ポリマー(A)が海成分となるよう原液・
紡糸条件をとればよい。
【0021】次に得られた原液を乾式紡糸、乾湿式紡糸
あるいは湿式紡糸する。乾式紡糸においては、溶媒が蒸
発する間に高融点ポリマー(A)がマトリックス(海成
分)、低融点ポリマー(B)が島となるよう紡糸延伸条
件を選定し、得られた繊維を捲き取る。乾湿式紡糸にお
いては、原液をノズルより一旦不活性気体層(例えば空
気層)に吐出し、次いで固化液に通し、固化と原液溶媒
の抽出を行い、湿延伸、乾熱延伸を施こし捲き取る。ま
たは湿式紡糸においては、原液をノズルより直接固化液
に吐出し、固化、抽出を行ない、湿延伸、乾熱延伸を施
こし捲き取る。この場合、捲き取り糸には撚りが入らぬ
よう捲き取る事が肝要である。いずれの紡糸法において
も高融点ポリマー(A)が海成分に低融点ポリマー
(B)が島成分になるように原液及び紡糸条件を配慮す
る必要がある。具体的には海成分となるべき高融点ポリ
マー(A)のブレンド比を多くすることが有効である。
【0022】次に得られた、無撚で巻き取られたPVA
系長繊維は本発明者等が既に特開平5−125648号
で提案した方法、すなわち開繊した繊維束を圧縮空気流
とともに噴射させる多錘よりなるエアガンとその両端に
圧縮空気流のみを噴射させるサイドガンとを一列に並
べ、その下流に四方が平面板で囲われた、入口部から出
口部に向かいそのスリット幅が狭くなるように調整され
たフードを配置し、該フード内に該エアガンより圧縮空
気流とともに無撚繊維束を噴射、通過させ、隣接エアガ
ンからの開繊フィラメントが互いに交絡するように、移
動する捕集コンベアー上に捕集する方法により、幅方向
に目付変動率の小さい長繊維ウエブとされる。もちろん
ウエブ化の際には、上記したPVA系長繊維以外の繊維
が、上記した本発明の効果を著しく損なわない範囲内
で、他の繊維を添加することができ、またバインダー樹
脂や繊維を一部使用することもできる。次に該ウエブを
圧着温度80℃〜230℃かつ線圧1kg/cmまたは
面圧2kg/cm2以上の条件で熱圧着することで、本
発明の耐水性PVA系長繊維不織布は得られる。
【0023】本発明において熱圧着とは、80℃以上の
温度で1kg/cm以上の線圧または2kg/cm2
上の面圧を印加することにより繊維を接着することをい
う。温度が80℃未満、線圧1kg/cm未満、あるい
は面圧2kg/cm2未満では最表層の高融点PVA系
ポリマー相(A)が破れず、島成分の低融点耐水性ポリ
マー(B)が繊維表面に押し出されてこないので接着力
が低い。最表層の高融点ポリマー(A)を昇温し柔らか
くなった状態で圧力を加えることにより最表層のポリマ
ー相を破り、表層近くにある接着成分の低融点ポリマー
(B)が押し出され接着することが可能となる。熱圧着
温度が高過ぎると、海成分の分子配向や結晶までこわれ
る可能性があるので、230℃以上とすべきではない。
海/島のポリマー仕様、分布状態及び印加圧力などによ
り、適正圧着温度は変わるが、100〜210℃が好ま
しく、120〜200℃であるともっと好ましく、13
0〜190℃であるとさらに好ましい。
【0024】また印加圧力があまり高いと海成分の繊維
構造をこわしてしまい、熱圧着後の繊維強力が低下する
ので好ましくない。熱カレンダーローラーなどによる線
圧は500kg/cm以下が好ましい。線圧が200k
g/cm以下であるともっと好ましく、100kg/c
m以下であるとさらに好ましい。熱プレスなどによる面
圧は1000kg/cm2以下が好ましい。面圧が40
0kg/cm2以下であるともっと好ましく、200k
g/cm2以下であるとさらに好ましい。通常は5〜5
0kg/cmの線圧あるいは10〜100kg/cm2
の面圧が使用される。熱圧着時間は0.01〜10秒程
度の短い時間でも熱圧着可能である。短時間処理で接着
しうることが熱圧着法の極めて重要な特性である。本発
明繊維の場合熱圧着時間を10分以上とすると却って接
着力が低下する傾向にある。この原因は不明であるが、
ポリマーの結晶化に関係すると推測される。このため、
処理時間の長い面圧印加タイプの熱プレス法より処理時
間の短かい線圧印加タイプの熱カレンダーロール法がよ
り好ましく熱圧着に使用しうる。
【0025】以上の様な理由から本発明のPVA系長繊
維不織布は、前記のPVA系長繊維ウエブを圧着温度8
0〜230℃かつ線圧1kg/cm以上または面圧2k
g/cm2以上の条件で熱圧着にすることにより製造さ
れる事が重要である。
【0026】従来の親水性不織布の製造は、製造工程中
に接着剤を付与する工程と接着力発現のための乾燥ある
いはキュアリング工程が必須であり、しかも乾燥あるい
はキュアリングに1分以上を要するため高額の設備投資
が必要であるとともに、品質確保のためラインスピード
を抑えざるをえず、高速製造が困難である。また接着剤
付与工程〜乾燥・キュアリング工程の間で接着剤或いは
その変質物が設備に固着し、それが原因で不織布の欠点
が発生したり、設備の運転を停止して固着物を除去、洗
浄する必要がある。一方、本発明不織布の製造法を用い
て親水性のPVA系長繊維不織布を製造すると、接着工
程が熱圧着法であるため、熱カレンダーローラーに通す
のみで3秒以内で接着でき、高速・簡便に製造しうる。
また接着剤を使用しないため設備に接着剤やその変質物
が固着しないため、不織布に欠点が発生することはな
く、したがって固着物を洗浄除去するための設備の運転
停止する必要もない。
【0027】本発明により、親水性かつ耐水性のPVA
系長繊維不織布を熱圧着法に製造することが初めて可能
となり、高速、簡便、無公害で製造することが可能とな
った。又、本発明のPVA系長繊維不織布において、汎
用の溶融紡糸繊維からなる一般の長繊維不織布“スパン
ボンド不織布”では実現不可能であった高強力、高耐
候、高吸水、高吸湿性と、又従来のPVA系不織布では
実現できなかった耐水性と熱接着性(ヒートシール性)
とを兼備した長繊維不織布が実現された。
【0028】本発明におけるパラメーターの定義とその
測定法は次の如くである。 1.融点 結晶性ポリマーの場合、メトラー社示差走査熱量測定装
置(DSC−20)を用い、試料ポリマーを窒素下20
℃/minの速度で昇温した際、吸熱ピークを示す温度
を測定する。
【0029】2.融着温度 非晶性ポリマーの場合、ポリマーチップを所定温度の熱
風乾燥機にいれ、0.1kg/cm2の圧力を10分間
印加した際、チップ間の境界が判定できない程度にチッ
プ同志が融着する最低の温度を測定する。
【0030】
【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例によって限定されるものではない。実
施例中、%は特にことわらない限り重量にもとずく値で
ある。実施例、比較例中の繊維の強度及び伸度はインス
トロン引張試験機で、試料つかみ間隔10cm、引張速
度5cm/分で測定した。又、不織布の強度および伸度
は繊維の場合と同様インストロン引張試験機で試料つか
み幅を2.5cmとして他は同一条件で測定した。引裂
強力はシングルタング法で測定した。
【0031】実施例1 重合度1750、ケン化度99.9モル%で融点が23
3℃のPVAをポリマー(A)とし、エチレン/ビニル
アルコールコポリマー=32/68(モル比)、重合度
870で融点が186℃のクラレ製EVAL−Fをポリ
マー(B)として、各々15%と5%となるように90
℃のDMSOに窒素下混合撹拌し、溶解した。高融点P
VA系ポリマー/低融点耐水性ポリマーのブレンド比は
75/25であった。得られたブレンド溶液は曳糸性の
良好な半濁溶液で90℃で8時間放置しても2相に分離
する傾向はなく、安定な分散溶液であった。
【0032】この紡糸原液を孔径0.08mm、孔数5
00のノズルを通し、メタノール70%とDMSO30
%よりなる3℃の固化液中に湿式紡糸した。得られた固
化糸篠は白濁状であり、両ポリマーが相分離しているこ
とが推定された。またこの時固化液には特別な濁りは発
生しなかった。この固化糸に5.0倍の湿延伸を施こ
し、メタノール液に浸漬して固化糸篠中のDMSOを抽
出洗浄し、鉱物油系油剤を付与し、100℃で乾燥し、
次いで225℃で全延伸倍率が15倍となるよう乾熱延
伸した。得られた1000dr/500fのフィラメン
トに硬着はなく、水中溶断温度が125℃で耐水性は良
好であった。単糸強度は12.3g/drであった。ま
た断面観察より、円型断面であり、高融点のPVA
(A)が海成分で、低融点のEVAL−F(B)が島成
分となっており、その島数は少なくとも100ケは存在
しており、最表面より1μ以内に島成分が多数存在して
いることがわかった。
【0033】この繊維を一旦無撚で巻取った後、特開平
5−125648号で提案の前記方法により、開繊、捕
集して目付30g/m2のPVA系長繊維ウエブを作
り、ついでこれをロール温度200℃、ロール線圧45
kg/cm、処理速度30m/分のカレンダーロール処
理で接着して本発明のPVA系長繊維不織布を作成し
た。得られた不織布は手で揉んだりしても単糸へばらけ
たり毛羽立つ事はなかった。さらに該不織布を走査型電
子顕微鏡観察したところ、不織布の中で繊維の交差点や
接触部の多くの部分で、繊維同志の接着しているところ
が認められた。この不織布の裂断長はタテ方向9.2k
m、ヨコ方向7.7kmと高い値となった。また、熱圧
着後の不織布を沸騰水中へ投入しても特別な変化は全く
見られず耐水性は良好であった。
【0034】比較例1 実施例1で得られたPVA系繊維を集束、機械捲縮、カ
ットして2dr、繊維長51mmのステーブル繊維を作
成した。これをローラーカードにより目付30g/m2
の短繊維ウエブ化し、ついで実施例1と同一の条件でカ
レンダーロール処理して接着してPVA系短繊維不織布
を得た。このPVA系短繊維不織布の裂断長を測定した
ところ、タテ方向6.9km、ヨコ方向2.4kmとな
って本発明のPVA系長繊維不織布より大巾に弱いもの
であった。
【0035】比較例2 実施例1のポリマー(A)である重合度1750、ケン
化度99.9モル%のPVAのみをDMSOに16%と
なるよう実施例1と同様に溶解した。得られた溶液は均
一透明液であった。この紡糸原液を実施例1と同様に紡
糸延伸を行なった。固化糸篠はほぼ透明であり、実施例
1のような白濁相分離は見られなかった。得られた繊維
の断面を観察しても均一であり、海島構造はみられなか
った。この繊維を、実施例1と同様に、開繊、捕集して
PVA長繊維ウエッブを作り、やはり実施例1と同一条
件でカレンダーロール接着した。得られたPVA長繊維
不織布は一見接着しているように見えたが、手で揉むと
単糸は剥れてタテ0.8km、ヨコ0.2kmの裂断長
しかなく、弱い不織布しか得られなかった。
【0036】比較例3 実施例1のポリマー(B)であるEVAL−FのみをD
MSOに26%となるよう実施例1と同様に溶解した。
得られた溶液は透明であった。この紡糸原液を実施例1
と同様に紡糸しようと試みたが、固化液がメタノール/
DMSO=70/30では固化せず紡糸不能であった。
固化液をメタノール100%にしても固化せず紡糸不能
であった。固化液をアセトン100%にし、湿延伸浴、
抽出浴もアセトンに変更すると紡糸が可能となり、湿延
伸を4.5倍施こし、80℃で乾燥すると硬着の殆どな
い繊維が得られた。固化糸篠はほぼ透明であり、得られ
た繊維の断面も均一で、海島構造は観察できなかった。
この繊維を実施例1と同様に開繊捕集してEVAL−F
長繊維ウエッブを作り、やはり実施例1と同一条件でカ
レンダーロール接着した。熱接着時ウエッブの寸法が半
分以上収縮し、得られたものは、接着はよくしていた
が、粗硬で不織布といえるものではなかった。
【0037】比較例4 PVAとEVAL−Fのブレンド比を99/1とする以
外は実施例1と同様に紡糸、延伸した。得られた繊維
は、膠着なく、断面円型で、強度も15.4g/dと高
強度であった。これを実施例1と同様に開繊捕集して本
発明外のPVA系長繊維ウエッブを作り、やはり実施例
1と同じ条件でカレンダーロール接着処理を行なった。
得られた不織布は一見接着しているように見えたが、手
で揉むと簡単に剥がれ、不織布強度が小さかった。本繊
維の如く低融点成分が少量では熱圧着性向上効果は不十
分であった。
【0038】比較例5 PVAとEVAL−Fのブレンド比を50/50とする
以外は実施例1と同様に紡糸、延伸しようとした。しか
し、乾燥後糸篠は、膠着が激しく、断面も変形してお
り、正常な糸は得られなかった。また固化液に濁りが見
られた。EVAL−Fが、完全な島成分とならず、一部
海成分相を形成したためと推定される。この様な繊維は
開繊が不可能で長繊維ウエブとして得る事ができなかっ
た。
【0039】実施例2 重合度1750、ケン化度99.3モル%で融点が23
3℃のPVAと、エチレン/ビニルアルコールコポリマ
ー=47/53(モル比)、重合度750で融点163
℃のクラレ製EVAL−Gとをブレンド比が80/20
となる混合し、全PVA濃度が25%となるよう窒素下
90℃でDMSOに加熱撹拌溶解した。得られたブレン
ド溶液はかなり濁っていたが、8時間の静置では凝集し
て2相に分離する傾向はみられず安定な分散液であっ
た。
【0040】この紡糸原液を孔径0.12φ、孔数80
のノズルより12mmのエヤーギャップを通して実施例
1と同じ固化液に乾湿式紡糸した。得られた固化糸篠は
白濁状であり、両PVAが相分離していることが推定さ
れた。またこの時固化液には特別な濁りは発生しなかっ
た。固化糸篠は、実施例1と同じように、湿延伸、抽
出、オイリング、乾燥した。次いで225℃で全延伸倍
率が12.5倍となるよう乾熱延伸を施こし、240d
/80fのフィラメントを得た。この繊維に硬着はな
く、水中溶断温度は124℃と耐水性良好であり、単糸
強度は13.1g/drであった。また断面観察より、
円型断面であり、高融点のPVAが海成分で、低融点の
EVAL−Gが島成分となっており、最表面より1μ以
内に島成分が多数存在していることがわかった。
【0041】この繊維を一旦無撚で巻取った後、実施例
1と全く同じ方法で開繊捕集して目付30g/m2のP
VA系長繊維ウエッブを作り、これに温度200℃、線
圧45kg/cm、処理速度30m/分の熱接着条件で
熱カレンダーロール処理を施こした。カレンダー処理に
よる寸法変化はあまりなかった。得られた不織布はよく
接着しており、手で揉んでも単糸がバラケることはな
く、タテ方向9.4km、ヨコ方向6.9kmの裂断長
を示した。また熱圧着後の不織布を沸騰水中に投入して
も特別な変化は見られず耐水性は良好であった。また繊
維の断面形状も円型であることがわかった。又、このP
VA系長繊維不織布を富士インパルス製ポリシーラーで
両面ヒートシールした。シール部の接着力は、ちなみに
VPB−102(市販クラレ製紙用ビニロンの主体繊
維)/VPB−105=90/10で同様に抄紙、乾
燥、ヒートシールした紙に比べても、明らかに優れてい
て良好なヒートシール性を有していた。この際のシール
時の温度は210℃、圧力は2kg/cmと推定され
た。
【0042】実施例3 DMSOを撹拌しながら、重合度2400、ケン化度9
9.8モル%で融点が235℃のPVAと、重合度が9
40、融着温度が50℃以下のエチレン/酢ビ=32/
68(モル比)コポリマーの35%メタノール溶液とを
添加し、窒素置換し90℃にて加熱溶解した。PVA/
コポリマーのブレンド比を9/1となるよう混合し、全
ポリマー濃度が20%となるよう溶解した。得られた溶
液は濁っていたが、凝集相分離の傾向はみられなかっ
た。この紡糸原液を実施例2と同様に湿式紡糸し、22
0℃で全延伸倍率が14倍となるよう乾熱延伸を施こ
し、2500d/1000fのフィラメントを得た。こ
の繊維に硬着はなく、水中溶断温度は128℃であり、
単糸強度は15.7g/drであった。また断面観察よ
りエチレン/酢ビ=32/68(モル比)コポリマーが
島成分となっており、最表面より1μ以内に島成分が多
数存在しているこがわかった。
【0043】この繊維を一旦無撚で巻き取った後実施例
と同じ方法で開繊捕集して目付30g/m2のPVA系
長繊維のウエッブを作り、これに温度190℃、線圧4
5kg/cm、処理速度30m/Mの熱接着条件で熱カ
レーダーロール処理を施こした。カレーダー処理による
寸法変化はあまりなく、得られた不織布はよく接着して
おり、手で揉んでも単糸がバラケることはなく、タテ
9.6km、ヨコ7.6kmの裂断長を示し、十分実用
に耐える強度であった。また熱圧着後の不織布を100
℃の熱水に投入しても変化は見られず良好な耐水性を示
した。この不織布を2枚重ねて、3辺を富士インパルス
製ポリシーラーでヒートシールした所、袋状のものに成
形加工することができ、手でハクリしても簡単には剥が
れない接着力を有する袋が熱圧着法のみで得られた。
【0044】
【発明の効果】本発明は、高融点の高ケン化度PVA
(A)と低融点の耐水性ポリマー(B)とを所定のブレ
ンド比で混合し、低温均一固化紡糸する事により、高融
点PVA系ポリマー(A)を海成分とし、低融点耐水性
ポリマー(B)を島成分とし、低融点耐水性ポリマー
(B)を繊維の最表面には存在しないか、表層に極く近
接して存在せしめ、高強度とした、すなわち高融点の高
ケン化度PVA(A)をマトリックスとして海成分に存
在せしめて、高配向高結晶化せしめており、湿潤下でも
寸法が安定しており、通常状態においては普通の繊維と
して取扱うことが可能であるが、熱圧着すると、最表面
のマトリックス相が破れ、島成分の低融点ポリマー
(B)が繊維表面に押し出され、繊維同志が接着され
る。従来困難であった熱圧着性の高強度親水性繊維から
なるノーバインダーの熱接着された長繊維不織布であ
る。そのため本発明のPVA系長繊維不織布は汎用の溶
融紡糸繊維からなる一般の長繊維不織布“スパンボンド
不織布”では実現不可能であった高強力、高耐候、高吸
水、高吸湿性と又従来のPVA系不織布では実現できな
かった耐水性と熱接着性(ヒートシール性)とを初めて
兼備した長繊維不織布である。そのため、該不織布は農
業園芸用資材としてべたかけ材、ハウス内張りカーテ
ン、遮熱材、風よけ材、果実保護材や各種被覆材として
好適に利用される。又、生活関連資材用として各種包材
やキッチン洗濯用品、ワイパー類にも好適に利用され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 政弘 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 大森 昭夫 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が220℃以上であるポリビニルア
    ルコール系ポリマー(A)及び融点又は融着温度が21
    0℃未満である耐水性ポリマー(B)からなり、(A)
    と(B)の重量比が98:2〜55:45の範囲内であ
    り、(A)が海成分で(B)が島成分である海島構造ポ
    リビニルアルコール系長繊維からなり、繊維の交点及び
    接触点の少なくとも一部が接着しているポリビニルアル
    コール系長繊維不織布。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の海島構造ポリビニルアル
    コール系長繊維からなるウエッブを温度80〜230
    ℃、線圧1kg/cm以上又は面圧2kg/cm2以上
    で熱圧着する請求項1記載の不織布の製法。
JP6068543A 1994-04-06 1994-04-06 熱圧着された耐水性ポリビニルアルコール系長繊維不織布及びその製法 Pending JPH07279025A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004149973A (ja) * 2002-10-31 2004-05-27 Nissen Chemitec Corp ホットメルト接着材および当該接着材を使用する土木建築工法
CN110735230A (zh) * 2019-11-13 2020-01-31 生纳科技(上海)有限公司 一种耐水性聚乙烯醇纳米纤维膜及其制备方法和复合滤料

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