JPH07278277A - 生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基におけるエステル - Google Patents

生体内分解性ポリマーの末端カルボキシル基におけるエステル

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JPH07278277A
JPH07278277A JP3255395A JP3255395A JPH07278277A JP H07278277 A JPH07278277 A JP H07278277A JP 3255395 A JP3255395 A JP 3255395A JP 3255395 A JP3255395 A JP 3255395A JP H07278277 A JPH07278277 A JP H07278277A
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正久 岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】徐放性製剤用基剤等として有用なエステルの提
供。 【構成】α−ヒドロキシモノカルボン酸からなり、重量
平均分子量が約1,500ないし約50,000であり、末端カル
ボキシル基を有する直鎖状ポリエステルの末端カルボキ
シル基におけるエステル。 【効果】本発明のエステルは、徐放性製剤用基剤として
用いることができる。該徐放性製剤用基剤は、光,熱,
湿気,着色等に対して安定であり、かつ低毒性である。
また、本発明のエステルを用いて製造される徐放性製剤
は、薬物の長期間にわたる定常的な放出を示し、持続的
で安定な効果が得られる。しかも、徐放性製剤投与直後
における薬物の過剰放出が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、徐放性製剤用基剤等と
して有用なエステルに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平5−112468号公報には、ポ
リ乳酸およびグリコール酸/ヒドロキシカルボン酸〔H
OCH(C2-8アルキル)COOH〕共重合体を混合し
てなる徐放性製剤用基剤が記載されている。特開平2−
212436号公報には、乳酸及び/又はグリコール酸
とオキシカルボン酸とを直接脱水重縮合して得た徐放性
基剤が記載されている。特開平4−173746号公報
には、乳酸およびグリコール酸の共重合体とポリ−γ−
ブチロラクトン,ポリ−δ−バレロラクトンおよび/ま
たはポリ−ε−カプロラクトンとが混合されたポリマー
混合物に薬剤を含有させた徐放性機能を有する薬剤・ポ
リマー複合体が記載されている。特開昭62−2124
23号公報には、ポリリンゴ酸メチルエステル等のヒド
ロキシポリカルボン酸エステルの重合体または共重合体
が記載されている。特開昭63−92641号公報に
は、β−ベンジルマレート・乳酸共重合体が記載されて
いる。しかしながら、これらは、α−ヒドロキシモノカ
ルボン酸からなり、末端カルボキシル基を有する直鎖状
ポリエステルの末端カルボキシル基におけるエステルと
は構造が異なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】薬物をポリエステルに
分散させたタイプの徐放性製剤においては薬物の放出性
を任意にコントロールできることが望ましい。一般に、
徐放性製剤において、薬物の放出期間は基剤であるポリ
エステルの組成や分子量によって調節されている。一
方、徐放性製剤投与後の薬物の初期放出は大き過ぎる場
合がある。このような初期放出により薬物の局所濃度、
ひいては血液中濃度が急激に上昇し、望ましくない作用
が出現する場合がある。したがって、初期放出の少ない
徐放性製剤の製造を可能にする基剤の開発が望まれてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために鋭意研究の結果、本発明者らは、末端カルボキシ
ル基をアルキル基でエステル化した直鎖状ポリエステル
と末端カルボキシル基を有する直鎖状ポリエステルとを
混合して用いることにより、驚くべきことに初期放出の
少ない、しかも良好な徐放性を示す徐放性製剤を製造で
きることを見い出した。この知見に基づいてさらに鋭意
検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は(1)α−ヒドロキシモノカルボン酸から
なり、重量平均分子量が約1,500ないし約50,000であ
り、末端カルボキシル基を有する直鎖状ポリエステルの
末端カルボキシル基におけるエステル、(2)乳酸−グ
リコール酸共重合体の末端カルボキシル基におけるエス
テルである上記(1)に記載のエステル、(3)アルキ
ルエステルである上記(1)に記載のエステル、および
(4)アルキルエステルが炭素数1ないし3のアルキル
エステルである上記(3)に記載のエステルに関する。
【0005】本明細書における重量平均分子量および数
平均分子量とは、ポリスチレンを基準物質として、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定
したポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分
子量をいう。測定は、GPCカラムKF804L×2
(昭和電工製)を使用、移動相としてクロロホルムを用
いた。また、分散度は(重量平均分子量/数平均分子
量)により算出される。本発明において、末端カルボキ
シル基を有する直鎖状ポリエステルは、α−ヒドロキシ
モノカルボン酸からなり、重量平均分子量が約1,500な
いし約50,000であり、水に難溶または不溶であり、生体
内適合性で、生体内で分解されるものである。末端カル
ボキシル基を有する直鎖状ポリエステルは、GPC測定
による数平均分子量と末端基定量による数平均分子量と
がほぼ一致する直鎖状ポリエステルである。末端基定量
による数平均分子量は以下のようにして算出される。ま
ず、ポリエステル(約1〜3g)を、アセトン(25m
l)とメタノール(5ml)との混合溶媒に溶解し、室
温(20℃)で攪拌下、フェノールフタレインを指示薬
として、溶液中のカルボキシル基を0.05Nアルコー
ル性水酸化カリウム溶液で速やかに滴定することによ
り、末端基定量による数平均分子量を次式から算出す
る。 末端基定量による数平均分子量=20000×A/B A:ポリエステルの質量(g) B:滴定終点までに添加した0.05Nアルコール性水
酸化カリウム溶液の量(ml) 以下、これを末端基定量による数平均分子量と表記す
る。例えば、1種類以上のα−ヒドロキシモノカルボン
酸類から無触媒脱水重縮合法で合成され、末端に遊離の
カルボキシル基を有するポリエステルでは、GPC測定
による数平均分子量と末端基定量による数平均分子量と
がほぼ一致する。これに対し、環状二量体から触媒を用
いて開環重合法で合成され、末端に遊離のカルボキシル
基を実質的に有しないポリエステルでは、末端基定量に
よる数平均分子量がGPC測定による数平均分子量を大
きく上回る。従って、この相異によりポリエステルは末
端に遊離のカルボキシル基を有するポリエステルと、末
端に遊離のカルボキシル基を実質的に有しないポリエス
テルとに明確に区別することができる。
【0006】末端基定量における数平均分子量が絶対値
であるのに対し、GPC測定による数平均分子量は各種
分析・解析条件(例えば移動相の種類、カラムの種類、
基準物質、スライス幅の選択、ベースラインの選択な
ど)によって変動する相対値であるため、両者の数値に
よる一義的な関連付けは困難であるが、例えばGPC測
定による数平均分子量と末端基定量による数平均分子量
とがほぼ一致するとは、末端基定量による数平均分子量
がGPC定量による数平均分子量の約0.4倍から約2
倍、好ましくは約0.5倍から約2倍、さらに好ましく
は約0.8倍から約1.5倍の範囲であることをいう。
また、末端基定量による数平均分子量がGPC測定によ
る数平均分子量を大きく上回るとは、末端基定量による
数平均分子量がGPC測定による数平均分子量の約2倍
を越える場合をいう。
【0007】本発明のα−ヒドロキシモノカルボン酸か
らなり、末端カルボキシル基を有する直鎖状ポリエステ
ル(以下、単に末端カルボキシル基を有する直鎖状ポリ
エステルと略する場合もある)の重量平均分子量は、約
1,500ないし約50,000である。重量平均分子量は、好ま
しくは約2,000ないし約40,000、特に好ましくは約5,000
ないし約25,000である。本発明のα−ヒドロキシモノカ
ルボン酸は、一種であっても、二種以上の混合物であっ
てもよい。末端カルボキシル基を有する直鎖状ポリエス
テルは、例えばα−ヒドロキシモノカルボン酸類(例、
グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロ
キシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒ
ドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、
2−ヒドロキシカプリル酸等)の単独重合体(例、乳酸
重合体)、または2種以上の共重合体(例、乳酸/グリ
コール酸共重合体、2−ヒドロキシ酪酸/グリコール酸
共重合体)、あるいはこれら単独重合体および/または
共重合体の混合物(例、乳酸重合体と2−ヒドロキシ酪
酸/グリコール酸共重合体との混合物)等である。
【0008】α−ヒドロキシモノカルボン酸からなり、
重量平均分子量が約1,500ないし約50,000であり、末端
カルボキシル基を有する直鎖状ポリエステルの特に好ま
しい具体例としては、例えば特開昭61−28521号
公報に記載された乳酸/グリコール酸からなる共重合
体、特開平5−112468号公報に記載された(A)
ポリ乳酸および(B)グリコール酸/α−ヒドロキシカ
ルボン酸〔HOCH(C2-8アルキル)COOH〕共重
合体の混合物が挙げられる。
【0009】特に乳酸/グリコール酸共重合体を用いる
場合、その組成比(乳酸/グリコール酸)(モル%)
は、好ましくは100/0ないし約40/60である。さらに好
ましくは、約90/10ないし約50/50である。ここにおい
て、組成比が、100/0である場合は、乳酸のホモポリマ
ーを意味する。乳酸/グリコール酸共重合体の重量平均
分子量は、好ましくは約5,000から約25,000である。さ
らに好ましくは、約7,000から約20,000である。また、
乳酸/グリコール酸共重合体の分散度(重量平均分子量
/数平均分子量)は、好ましくは約1.2から約4.0であ
る。さらに好ましくは、約1.5から約3.5である。乳酸/
グリコール酸共重合体の分解・消失速度は、組成あるい
は分子量によって大きく変化するが、一般的にはグリコ
ール酸分率が低いほど分解・消失が遅いため、グリコー
ル酸分率を低くするかあるいは分子量を大きくすること
によって放出期間を長くすることができる。逆にグリコ
ール酸分率を高くするかあるいは分子量を小さくするこ
とによって放出期間を短くすることもできる。
【0010】(A)ポリ乳酸および(B)グリコール酸
/α−ヒドロキシカルボン酸〔HOCH(C2-8アルキ
ル)COOH〕共重合体の混合物を用いる場合、該ヒド
ロキシカルボン酸は、好ましくは2−ヒドロキシ酪酸、
2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシ−3メチル酪
酸、2−ヒドロキシカプロン酸等である。特に好ましく
は、2−ヒドロキシ酪酸である。これらのヒドロキシカ
ルボン酸は、D−体、L−体およびD−、L−体の何れ
でもよいが、D−体とL−体との混合物を用いることが
好ましい。この際、D−体/L−体(モル%)は、好ま
しくは約75/25ないし約25/75である。さらに好ましく
は、約60/40ないし約40/60である。特に好ましくは、
約55/45ないし約45/55である。グリコール酸/α−ヒ
ドロキシカルボン酸〔HOCH(C2-8アルキル)CO
OH〕共重合体(以下、グリコール酸共重合体と略す
る)におけるグリコール酸とヒドロキシカルボン酸との
組成比は、グリコール酸が約10ないし約75モル%、残り
がヒドロキシカルボン酸である場合が好ましい。さらに
好ましくは、グリコール酸が約20ないし約75モル%、残
りがヒドロキシカルボン酸である場合である。これらグ
リコール酸共重合体の重量平均分子量は、通常約2,000
から約50,000である。好ましくは、約3,000から約40,00
0である。さらに好ましくは、約8,000から約40,000であ
る。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、好ま
しくは約1.2から約4.0である。さらに好ましくは、約1.
5から約3.5である。
【0011】上記ポリ乳酸は、D−体、L−体、および
これらの混合物の何れでもよいが、D−体とL−体との
混合物を用いることが好ましい。この際、D−体/L−
体(モル%)は、好ましくは約75/25ないし約20/80で
ある。さらに好ましくは、約60/40ないし約25/75であ
る。特に好ましくは、約55/45ないし約25/75である。
ポリ乳酸の重量平均分子量は、好ましくは約1,500ない
し約30,000である。さらに好ましくは、約2,000ないし
約20,000である。特に好ましくは、約3,000ないし約15,
000である。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)
は、好ましくは約1.2から約4.0である。さらに好ましく
は、約1.5から約3.5である。
【0012】(A)ポリ乳酸と(B)グリコール酸共重
合体との混合比〔(A)/(B)(重量%)〕は、通常
約10/90ないし約90/10である。好ましくは、約20/80
ないし約80/20である。さらに好ましくは、約30/70な
いし約70/30である。(A)、(B)のうち何れかの成
分が多すぎると(A)もしくは(B)成分を単独で使用
した場合とほとんど同じ薬物放出パターンを有する製剤
しか得られず、混合基剤による放出後期の直線的な放出
パターンが期待できない。グリコール酸共重合体および
ポリ乳酸の分解・消失速度は分子量あるいは組成によっ
て大きく変化するが、一般的にはグリコール酸共重合体
の分解・消失速度のほうが速いため、混合するポリ乳酸
の分子量を大きくする、あるいは(A)/(B)で表さ
れる混合比を大きくすることによって放出期間を長くす
ることができる。逆に、混合するポリ乳酸の分子量を小
さくする、あるいは(A)/(B)で表される混合比を
小さくすることによって放出期間を短くすることもでき
る。さらに、使用するヒドロキシカルボン酸の種類や割
合を変化させることにより、放出期間を調節することも
できる。
【0013】末端カルボキシル基におけるエステルとし
ては、例えば薬理学的に享受しうるもの等が用いられ、
具体的には、例えばアルキルエステル、アリールエステ
ル、アラルキルエステル等が挙げられる。ここにおい
て、アルキルエステルとしては、例えば塩素、臭素、フ
ッ素等のハロゲン原子、例えばメチルカルボニル、エチ
ルカルボニル、ブチルカルボニル等の炭素数1ないし8
のアルキル−カルボニル及びニトロ基から選ばれる1な
いし3個の置換基を有していてもよい例えばメチル、エ
チル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチ
ル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペン
チル、sec-ペンチル、neo-ペンチル、tert-ペンチル、
1−エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、1,
1−ジメチルブチル、2、2−ジメチルブチル、3、3
−ジメチルブチル、2−エチルブチル等の炭素数1ない
し6のアルキル−エステルが挙げられる。
【0014】アリールエステルとしては、例えば塩素、
臭素、フッ素等のハロゲン原子、例えばメチルカルボニ
ル、エチルカルボニル、ブチルカルボニル等の炭素数1
ないし6のアルキル−カルボニル及びニトロ基から選ば
れる1ないし3個の置換基を有していてもよい例えばフ
ェニル、ナフチル等の炭素数6ないし10のアリール−
エステルが挙げられる。アラルキルエステルとしては、
例えば塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子、例えばメ
チルカルボニル、エチルカルボニル、ブチルカルボニル
等の炭素数1ないし6のアルキル−カルボニル及びニト
ロ基から選ばれる1ないし3個の置換基を有していても
よい例えばベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチ
ル、トリチル等の炭素数7ないし19のアラルキル−エ
ステル等が挙げられる。
【0015】末端カルボキシル基におけるエステルとし
ては、好ましくはアルキルエステルである。該エステル
は、さらに好ましくは、例えばメチルカルボニル、エチ
ルカルボニル、ブチルカルボニル等の炭素数1ないし6
のアルキル−カルボニル及びニトロ基から選ばれる1な
いし3個の置換基を有していてもよい例えばメチル、エ
チル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチ
ル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペン
チル、sec-ペンチル、neo-ペンチル、tert-ペンチル、
1−エチルプロピル、n-ヘキシル、イソヘキシル、1,
1−ジメチルブチル、2、2−ジメチルブチル、3、3
−ジメチルブチル、2−エチルブチル等等の炭素数1な
いし6のアルキル−エステルが挙げられる。エステル
は、特に好ましくは、例えばメチル、エチル、n-プロピ
ル、iso-プロピル等の炭素数1ないし3のアルキル−エ
ステルである。
【0016】本発明のエステルは、α−ヒドロキシモノ
カルボン酸からなり、重量平均分子量が約1,500ないし
約50,000であり、末端カルボキシル基を有する直鎖状ポ
リエステル(以下、原料ポリマーと略する場合もある)
の末端カルボキシル基をエステル化反応に付すことによ
り製造される。エステル化反応は、自体公知の方法、例
えば以下の方法により行なわれる。 (1)原料ポリマーをジアゾアルカン(例えばジアゾメ
タン,フェニルジアゾメタン,ジフェニルジアゾメタン
など)と反応を阻害しない溶媒(例えばテトラヒドロフ
ラン,ジオキサンなどのエーテル類,酢酸エチルなどの
エステル類,アセトニトリルなどのニトリル類、ジクロ
ロメタン,ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類
など)の混合液中で反応させる。反応温度は約0℃ない
し還流温度である。反応時間は約2分から20時間であ
る。 (2)原料ポリマーのアルカリ金属塩(例、ナトリウム
塩,カリウム塩,リチウム塩など)を活性化アルキルハ
ライド(例えばメチルヨーダイド,ベンジルブロミド,
p−ニトロ−ベンジルブロミド,m−フェノキシベンジ
ルブロミド,p−t−ブチルベンジルブロミド,ピバロ
イルオキシメチルクロリドなど)と反応させる。本反応
は、反応を阻害しない溶媒(例えばジメチルホルムアミ
ド,ジメチルアセトアミド,ヘキサメチルホスホルアミ
ドなどのアミド類、アセトンなどのケトン類)中で実施
される。反応温度は、約0℃ないし60℃である。反応
時間は、約2分から4時間である。この反応液中にトリ
エチルアミンなどを共存させても反応の進行には差しつ
かえない。
【0017】(3)原料ポリマーをアルコール、例えば
メタノール,エタノール,ベンジルアルコールなどと反
応させる。この反応は、カルボジイミド縮合剤(例えば
ジシクロヘキシルカルボジイミド,1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノイソプロピル)−カルボジイミド
など)の存在下で行なわれる。反応温度は、約0℃ない
し還流温度である。反応時間は、約15分ないし18時
間である。溶媒としては、反応を阻害しない溶媒、例え
ばクロロホルム,ジクロロメタン,ジクロロエタンなど
のハロゲン化炭化水素類が用いられる。 (4)原料ポリマーを酸ハロゲン化物(たとえば、エチ
ルクロロホーメート,ベンジルクロロホーメートなど)
と反応させて得られた酸無水物をアルコール(例えばメ
タノール,エタノール,ベンジルアルコールなど)と、
上記(3)に記載の反応条件下で反応させる。この酸無
水物は原料ポリマーを酸ハロゲン化物、例えば酸クロリ
ドと、反応を阻害しない溶媒(例えばテトラヒドロフラ
ンなどのエーテル類,ジクロロメタンなどのハロゲン化
炭化水素類など)の中で反応させることにより得られ
る。反応温度は、25℃ないし還流温度である。反応時
間は、約15分ないし10時間である。
【0018】本発明のエステルは、徐放性製剤、例えば
マイクロカプセルなどの基剤として用いられる。本発明
のエステルでは、カルボキシル基間の水素結合がほとん
どなく、また、塩基性薬物と末端カルボキシル基との反
応もほとんどない。従って、該エステルを用いて製造し
た徐放性製剤では、基剤の疎水性が高まることによる製
剤中への水の侵入の遅れなどにより、投与直後の薬物の
初期放出が抑制される。さらに、本発明のエステルを含
有する徐放性製剤用基剤は、末端カルボキシル基を有す
る直鎖状ポリエステルのみを含有する徐放性製剤用基剤
と比較した場合、加水分解速度が遅いために長期間にわ
たって薬物を放出しうる徐放性製剤の基剤として有利に
用いられる。
【0019】本発明のエステルを徐放性製剤用基剤とし
て用いる場合、該エステルと末端カルボキシル基を有す
る直鎖状ポリエステルとを混合して用いることが好まし
い。ここにおいて、末端カルボキシル基を有する直鎖状
ポリエステルは、前記と同様のものが用いられる。混合
する際の重量比は、通常約100/0ないし約5/95であ
る。好ましくは約100/0ないし約30/70、さらに好まし
くは約100/0ないし約50/50である。本発明のエステル
(C)と混合して用いる末端カルボキシル基を有する直
鎖状ポリエステル(D)は、それぞれ共重合体あるいは
単独重合体の何れでもよく、また、例えば1種類の
(C)と2種類の(D)など3種類以上の直鎖状ポリエ
ステルを組み合わせて用いてもよい。末端カルボキシル
基を有する直鎖状ポリエステルの種類、重量平均分子
量、分散度などの組み合わせおよび本発明のエステルの
種類、重量平均分子量などの選択基準は所定の薬物放出
期間が得られること、また、投与後初期の過剰な薬物放
出が十分抑制されることである。
【0020】代表的な例として、末端カルボキシル基が
アルキル基でエステル化された乳酸/グリコール酸共重
合体(E)と末端カルボキシル基を有する乳酸/グリコ
ール酸共重合体(F)の組み合わせが挙げられる。
(E)と(F)の重量比は、約100/0ないし約5/95、
好ましくは約100/0ないし約20/80、さらに好ましくは
約100/0ないし約50/50である。(E)と(F)それぞ
れにおいて、乳酸とグリコール酸の比は同じでもあるい
は異なっていてもよい。また、(E)と(F)それぞれ
の重量平均分子量は同じであってもあるいは異なってい
てもよい。他の代表的な例として、末端カルボキシル基
がアルキル基でエステル化されたポリ乳酸(G)と末端
カルボキシル基を有するグリコール酸/2−ヒドロキシ
酪酸共重合体(H)が挙げられる。(G)と(H)の重
量比は、通常約100/0ないし約5/95、好ましくは約100
/0ないし約20/80、さらに好ましくは約100/0ないし
約50/50である。また、(G)と(H)それぞれの重量
平均分子量は同じであってもあるいは異なっていてもよ
い。
【0021】本発明のエステルを含有してなる徐放性製
剤用基剤は、任意の薬物を用いることにより徐放性製剤
とすることができる。薬物としては特に限定されない
が、例えば生理活性を有するペプチド、抗腫瘍剤、抗生
物質、解熱,鎮痛,消炎剤、鎮咳去たん剤、鎮静剤、筋
弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレル
ギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利尿
剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、ホル
モン剤、麻薬拮抗剤、骨粗鬆症治療剤、血管新生阻害剤
などが挙げられる。
【0022】生理活性を有するペプチドとしては、2個
以上のアミノ酸によって構成されるもので、分子量約2
00ないし約80000のものが好ましい。生理活性を
有するペプチドの具体例としては、例えば黄体形成ホル
モン放出ホルモン(LH−RH),これと同様の作用を
有する類縁体であって、例えば式〔I〕(Pyr)Glu-R1-Tr
p-Ser-R2-R3-R4-Arg-Pro-R5 〔I〕〔式中、R1はHi
s,Tyr,Trpまたはp−N H2−Phe、R2はTyrまた
はPhe、R3はGlyまたはD型のアミノ酸残基、R4はL
eu,IleまたはNle、R5はGly−NH−R6(R6はHま
たは水酸基を有しまたは有しない低級アルキル基)また
はNH−R6(R6は前記と同意義)を示す〕で表わされる
ペプチドまたはその塩が挙げられる〔米国特許第3,8
53,837,同 第4,008,209,同第3,972,
859,英国特許第1,423,083,プロシーデイン
グス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・ア
メリカ(Proceedings of the National Academy of Sci
ences of the United States ofAmerica),第78巻,
6509〜6512頁(1981年)参照〕。上記式
〔I〕において、R3で示されるD型のアミノ酸残基と
しては、例えば炭素数が9までのα−D−アミノ酸
(例、D−Leu,Ile,Nle,Val,Nval,Abu,Ph
e,Phg,Ser,Thr,Met,Ala, Trp,α−Aibu
等)などがあげられ、それらは適宜保護基(例、t−ブ
チル,t−ブトキシ,t−ブトキシカルボニル等)を有
していてもよい。勿論、ペプチド〔I〕の酸塩(例、炭
酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩等),金属錯
体化合物(例、銅錯体、亜鉛錯体等)もペプチド〔I〕
と同様に使用しうる。
【0023】式〔I〕で表わされるペプチドおよび以下
に示すペプチドにおけるアミノ酸,保護基等に関し、略
号で表示する場合、IUPAC−IUB コミッション
・オン・バイオケミカル・ノーメンクレーチュアー(Co
mmission on Biochemical Nomenclature)による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものとし、ま
た、アミノ酸に関し光学異性体がありうる場合は、特に
明示しなければL体を示すものとする。上記式〔I〕で
示される代表的な化合物として、R1=His,R2=Ty
r,R3=D−Leu,R4=Leu, R5=NHCH2−CH3
であるペプチド(本ペプチドの酢酸塩は、一般名酢酸リ
ュープロレリンと称し、以下TAP−144と略記する
こともある)が挙げられる。また、LH−RH類縁体と
しては、LH−RH拮抗物質(米国特許第4,086,2
19号,同第4,124,577号,同第4,253,99
7号,同第4,317,815号参照)等も挙げられる。
【0024】また、生理活性を有するペプチドとして
は、例えばサイトカインが挙げられる。該サイトカイン
としては、例えばリンホカイン,モノカインなどが挙げ
られる。リンホカインとしては、例えばインターフェロ
ン(アルファ,ベータ,ガンマ),インターロイキン
(IL−2〜IL−12)などが挙げられる。モノカイ
ンとしては、例えばインターロイキン(IL−1),腫
瘍壊死因子(TNF)などが挙げられる。サイトカイン
は、好ましくはリンホカインであり、特に好ましくはイ
ンターフェロン(アルファ,ベータ,ガンマ)などであ
る。
【0025】また、生理活性を有するペプチドとして
は、例えばインスリン,ソマトスタチン,ソマトスタチ
ン誘導体(米国特許第4,087,390号,同第4,0
93,574号,同第4,100,117号,同第4,25
3,998号参照),成長ホルモン,プロラクチン,副
腎皮質刺激ホルモン(ACTH),メラノサイト刺激ホ
ルモン(MSH),甲状腺ホルモン放出ホルモン〔(Py
r)Glu-His-ProNH2 の構造式で表わされ、以下TRHと
略記することもある〕その塩およびその誘導体(特開昭
50−121273号,特開昭52−116465号公
報参照),甲状腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホ
ルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),パソプ
ッレシン,パソプッレシン誘導体{デスモプレシン〔日
本内分泌学会雑誌,第54巻,第5号,676〜691
頁(1978年)〕参照},オキシトシン,カルシトニ
ン,副甲状腺ホルモン,グルカゴン,ガストリン,セク
レチン,パンクレオザイミン,コレシストキニン,アン
ジオテンシン,ヒト胎盤ラクトーゲン,ヒト絨毛性ゴナ
ドトロピン(HCG),エンケファリン,エンケファリ
ン誘導体〔米国特許第4,277,394号,ヨーロッパ
特許出願公開第31567号公報参照〕,エンドルフイ
ン,キョウトルフイン,タフトシン,サイモポイエチ
ン,サイモシン,サイモスチムリン,胸腺液性因子(T
HF),血中胸腺因子(FTS)およびその誘導体(米
国特許第4,229,438号参照),およびその他の胸
腺因子〔医学のあゆみ,第125巻,第10号,835
〜843頁(1983年)〕,コロニー誘発因子(CS
F),モチリン,ダイノルフイン,ボムベシン,ニュー
ロテンシン,セルレイン,ブラジキニン,ウロキナー
ゼ,アスパラギナーゼ,カリクレイン,サブスタンス
P,神経成長因子,細胞増殖因子,神経栄養因子,血液
凝固因子の第VIII因子,第IX因子,塩化リゾチーム,ポ
リミキシンB,コリスチン,グラミシジン,バシドラシ
ン,エリスロポエチン(EPO),血小板増殖因子(ト
ロンボポエチン)およびエンドセリン拮抗作用を有する
ペプチド類(ヨーロッパ特許公開第436189号,同
第457195号,同496452号,特開平3−94
692号,同3−130299号公報参照)など、さら
にはこれらの生理活性ペプチドのフラグメントまたはそ
れらの誘導体などが挙げられる。
【0026】抗腫瘍剤としては、例えばブレオマイシ
ン,メソトレキセート,アクチノマイシンD,マイトマ
イシンC,硫酸ビンプラスチン,硫酸ピンクリスチン,
ダウノルビシン,アドリアマイシン,ネオカルチノスタ
チン,シトシンアラビノシド,フルオロウラシル,テト
ラヒドロフリル−5−フルオロウラシル,クレスチン,
ピシバニール,レンチナン,レバミゾール,ベスタチ
ン,アジメキソン,グリチルリチン,ポリI:C,ポリ
A:U,ポリICLCなどが挙げられる。抗生物質とし
ては、例えばゲンタマイシン,ジベカシン,カネンドマ
イシン,リビドマイシン,トブラマイシン,アミカシ
ン,フラジオマイシン,シソマイシン,塩酸テトラサイ
クリン,塩酸オキシテトラサイクリン,ロリテトラサイ
クリン,塩酸ドキシサイクリン,アンピシリン,ピペラ
シリン,チカルシリン,セファロチン,セファロリジ
ン,セフォチアム,セフスロジン,セフメノキシム,セ
フメタゾール,セファゾリン,セフォタキシム,セフォ
ペラゾン,セフチゾキシム,モキサラクタム,チエナマ
イシン,スルファゼシン,アズスレオナムなどが挙げら
れる。
【0027】解熱,鎮痛,消炎剤としては、例えばサリ
チル酸,スルピリン,フルフェナム酸,ジクロフェナッ
ク,インドメタシン,モルヒネ,塩酸ペチジン,酒石酸
レポルファノール,オキシモルフォンなどが挙げられ
る。鎮咳去たん剤としては、例えば塩酸エフェドリン,
塩酸メチルエフェドリン,塩酸ノスカピン,リン酸コデ
イン,リン酸ジヒドロコデイン,塩酸アロクラマイド,
塩酸クロフェダノール,塩酸ピコペリダミン,クロペラ
スチン,塩酸プロトキロール,塩酸イソプロテレノー
ル,硫酸サルブタモール,硫酸テルブタリンなどが挙げ
られる。鎮静剤としては、例えばクロルプロマジン,プ
ロクロルペラジン,トリフロペラジン,硫酸アトロピ
ン,臭化メチルスコポラミンなどが挙げられる。筋弛緩
剤としては、例えばメタンスルホン酸プリジノール,塩
化ツボクラリン,臭化パンクロニウムなどが挙げられ
る。抗てんかん剤としては、例えばフェニトイン,エト
サクシミド,アセタゾラミドナトリウム,クロルジアゼ
ポキシドなどが挙げられる。抗漬瘍剤としては、メトク
ロプロミド,塩酸ヒスチジンなどが挙げられる。抗うつ
剤としては、イミプラミン,クロミプラミン,ノキシプ
チリン,硫酸フェネルジンなどが挙げられる。抗アレル
ギー剤としては、例えば塩酸ジフェンヒドラミン,マレ
イン酸クロルフェニラミン,塩酸トリペレナミン,塩酸
メトジラジン,塩酸クレミゾール,塩酸ジフェニルピラ
リン,塩酸メトキシフェナミンなどが挙げられる。
【0028】強心剤としては、例えばトランスパイオキ
ソカンファー,テオフィロール,アミノフィリン,塩酸
エチレフリンなどが挙げられる。不整脈治療剤として
は、例えばプロプラノール,アルプレノロール,ブフェ
トロール,オキシプレノロールなどが挙げられる。血管
拡張剤としては、例えば塩酸オキシフェドリン,ジルチ
アゼム,塩酸トラゾリン,ヘキソベンジン,硫酸バメタ
ンなどが挙げられる。降圧利尿剤としては、例えばヘキ
サメトニウムブロミド,ペントリニウム,塩酸メカミル
アミン,塩酸エカラジン,クロニジンなどが挙げられ
る。糖尿病治療剤としては、例えばグリミジンナトリウ
ム,グリピザイド,塩酸フェンフォルミン,塩酸ブフォ
ルミン,メトフォルミンなどが挙げられる。抗凝血剤と
しては、例えばヘパリンナトリウム,クエン酸ナトリウ
ムなどが挙げられる。止血剤としては、例えばトロンボ
プラスチン,トロンビン,メナジオン亜硫酸水素ナトリ
ウム,アセトメナフトン,ε−アミノカプロン酸,トラ
ネキサム酸,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,ア
ドレノクロムモノアミノグアニジンメタンスルホン酸塩
などが挙げられる。
【0029】抗結核剤としては、例えばイソニアジド,
エタンブトール,パラアミノサリチル酸などが挙げられ
る。ホルモン剤としては、例えばプレドニゾロン,リン
酸ナトリウムプレドニゾロン,デキサメタゾン硫酸ナト
リウム,ベタメタゾンリン酸ナトリウム,リン酸ヘキセ
ストロール,酢酸ヘキセストロール,メチマゾールなど
が挙げられる。麻薬拮抗剤としては、例えば酒石酸レバ
ロルファン,塩酸ナロルフィン,塩酸ナロキソンなどが
挙げられる。骨粗鬆症治療剤としては、例えば(硫黄含
有アルキル)アミノメチレンビスフォスフォン酸などが
挙げられる。血管新生抑制剤としては、例えば血管新生
抑制ステロイド[サイエンス(Science)第221巻7
19頁(1983年)参照],フマギリン(ヨーロ ッ
パ特許公開第325119号公報参照),フマギロール
誘導体(ヨーロッパ特許公開第357061号,同第3
59036号,同第386667号,同第415294
号公報参照)などが挙げられる。
【0030】上記した薬物は、それ自身であっても、塩
として用いてもよく、好ましくは薬理学的に許容される
塩が用いられる。このような塩としては、薬物がアミノ
基などの塩基性基を有する場合、無機酸(例、塩酸,硫
酸,硝酸など),有機酸(例、炭酸,コハク酸,酢酸,
プロピオン酸,トリフルオロ酢酸など)などとの塩が挙
げられる。薬物がカルボキシル基等の酸性基を有する場
合、無機塩基(例、ナトリウム,カリウム等のアルカリ
金属、カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属
など)や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミ
ン類、アルギニン等の塩基性アミノ酸類など)などとの
塩が挙げられる。また、薬物は、金属錯体化合物(例、
銅錯体,亜鉛錯体等)を形成していてもよい。
【0031】上記した薬物のうち、水溶性の薬物の場合
に過剰の初期放出が認めれることが多いため、本発明に
おいては、水溶性の薬物を用いることがより好ましい。
薬物の水溶性は、n−オクタノールと水との油水分配率
で定義され、油水分配率が1以下、好ましくは0.1以
下の薬物を用いることが好ましい。油水分配率の測定
は、「物理化学実験法」鮫島実三郎著,裳華房刊,昭和
36年に記載された方法に従えばよい。すなわち、まず
試験管中にn−オクタノールおよびpH5.5の緩衝液
(1対1の等量混合物)を入れる。該緩衝液としてはた
とえばゼーレンゼン(Sφerensen)緩衝液〔Ergeb. Phy
siol. 12,393(1912)〕,クラークルブス
(Clark-Lubs)緩衝液〔J. Bact. ,(1),109,
191(1917)〕,マクルベイン(Macllvaine)緩衝
液〔J. Biol. Chem.49,183(1921)〕,ミカ
エリス(Michaelis)緩衝液〔Die Wasser-stoffionenko
nzentration. p. 186(1914)〕,コルソフ(Ko
lthoff)緩衝液〔Biochem. Z, 179,410(192
6)〕などが挙げられる。これに薬物を適宜量投入し、
さらに栓をして恒温槽(25℃)に浸し、しばしば強く
振盪する。そして薬物が両液層間に溶け、平衡に達した
と思われる頃、液を静置あるいは遠心分離し、上下各層
より別々にピペットにて一定量の液をとり出し、これを
分析して各層の中における薬物の濃度を決定し、n−オ
クタノール層中の薬物の濃度/水層中の薬物の濃度の比
をとれば、油水分配率となる。
【0032】薬物は、好ましくは生理活性を有するペプ
チドであり、さらに好ましくはLH−RH類縁体または
サイトカインである。薬物は、特に好ましくは、LH−
RH拮抗物質またはインターフェロン(アルファ,ベー
タ,ガンマ)等である。
【0033】LH−RH拮抗物質の具体例としては、前
立腺癌、前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫、思春期
早発症、乳癌等のホルモン依存性の疾病および避妊に有
効なペプチドおよびその塩が挙げられ、具体的には、例
えば米国特許第5110904号、ジャーナル・オブ・
メディシナル・ケミストリー(Journal of MedicinalCh
emistry),第34巻,2395〜2402頁(199
1年)、リーセント・リザルツ・イン・キャンサー・リ
サーチ(Recent Results in Cancer Research),第1
24巻,113〜136頁(1992年)などに記載の
ペプチドおよびその塩が挙げられる。
【0034】さらに具体的には、LH−RH拮抗物質と
しては、例えば一般式〔II〕で示されるペプチドおよび
その塩が挙げられる。
【化1】 〔式中、Xはアシル基を、R1,R2,R4は芳香環基
を、R3はD-アミノ酸残基または式
【化2】 (式中、R3'は複素環基を示す)で表される基を、R5
は式 -(CH2n-R5'(式中、n=2または3を、
5'は置換されていてもよいアミノ基を示す)で表され
る基,芳香環基またはO−グリコシル基を、R6は式-
(CH2n-R6'(式中、n=2または3を、R6'は置
換されていてもよいアミノ基を示す)で表される基を、
7はD-アミノ酸残基またはアザグリシル基を、Qは水
素原子または低級アルキル基を示す〕
【0035】一般式〔II〕中、Xで示されるアシル基
は、好ましくはカルボン酸から誘導されるアシル基であ
る。該アシル基としては、例えばそれぞれ置換されてい
てもよいC2-7アルカノイル,C7-15シクロアルケノイ
ル(例,シクロヘキセノイル等),C1-6アルキルカル
バモイル(例,エチルカルバモイル等),5または6員
複素環カルボニル(例,ピペリジノカルボニル等)およ
びカルバモイル基等が挙げられる。アシル基は、好まし
くは置換されていてもよいC2-7アルカノイル基(例,
アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブチリル,ペ
ンタノイル,ヘキサノイルまたはヘプタノイル等)、さ
らに好ましくは置換されていてもよいC2-4アルカノイ
ル基(例,アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブ
チリル等)である。置換基としては、例えばC1-6アル
キルアミノ基(例、メチルアミノ,エチルアミノ,ジエ
チルアミノ,プロピルアミノ等),C1-3アルカノイル
アミノ基(例、ホルミルアミノ,アセチルアミノ,プロ
ピオニルアミノ等),C7-15シクロアルケノイルアミノ
基(例,シクロヘキセノイルアミノ等),C7-15アリル
カルボニルアミノ基(例,ベンゾイルアミノ等),5ま
たは6員複素環カルボキサミド基(例,テトラヒドロフ
リルカルボキサミド,ピリジルカルボキサミド,フリル
カルボキサミド等),水酸基,カルバモイル基,ホルミ
ル基,カルボキシル基,5または6員複素環基(例、ピ
リジル,モルホリノ等)等が挙げられる。該置換基は、
好ましくは5または6員複素環カルボキサミド基(例,
テトラヒドロフリルカルボキサミド,ピリジルカルボキ
サミド,フリルカルボキサミド等)等である。
【0036】Xは、好ましくは5または6員複素環カル
ボキサミド基で置換されていてもよいC2-7アルカノイ
ル基である。Xは、さらに好ましくはテトラヒドロフリ
ルカルボキサミド基で置換されていてもよいC2-4アル
カノイル基である。Xの具体例を挙げれば、アセチル,
【化3】 等である。上記したテトラヒドロフリルカルボキサミド
アセチルにおけるテトラヒドロフリルは、特に好ましく
は(2S)−テトラヒドロフリルである。
【0037】R1,R2またはR4で示される芳香環基と
しては、例えば炭素数6ないし14の芳香環基が挙げら
れる。このような芳香環基としては、例えばフェニル,
ナフチル,アントリルなどが挙げられる。好ましくは、
炭素数6ないし10の芳香環基、例えばフェニル,ナフ
チルなどが挙げられる。これらの芳香環基は、芳香環基
上の適当な位置に1ないし5個、好ましくは、1ないし
3個の適当な置換基を有していてもよい。該置換基とし
ては、例えば水酸基,ハロゲン,アミノトリアゾリルで
置換されたアミノ基,アルコキシ基などが挙げられる。
好ましくは、例えば水酸基,ハロゲン,アミノトリアゾ
リルで置換されたアミノ基などが挙げられる。ここにお
いて、ハロゲンとしては、例えばフッ素,塩素,臭素,
ヨウ素等が挙げられる。アミノトリアゾリルで置換され
たアミノ基におけるアミノトリアゾリル基としては、例
えば3-アミノ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル,
5-アミノ-1H-1,3,4-トリアゾール-2-イル,5-
アミノ-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル,3-アミ
ノ-2H-1,2,4-トリアゾール-5-イル,4-アミノ-
1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル,4-アミノ-2H
-1,2,3-トリアゾール-5-イルなどが挙げられる。ア
ルコキシ基としては、好ましくは炭素数1ないし6のア
ルコキシ基(例、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イ
ソプロポキシ,ブトキシ,イソブトキシなど)が挙げら
れる。R1は、さらに好ましくはナフチル基またはハロ
ゲノフェニル基である。R2は、さらに好ましくはハロ
ゲノフェニルである。R4は、さらに好ましくはヒドロ
キシフェニル基またはアミノトリアゾリルアミノで置換
されたフェニル基である。
【0038】R3で示されるD-アミノ酸残基としては、
炭素数3ないし12のα-D-アミノ酸残基が好ましい。
該アミノ酸としては、例えばロイシン,イソロイシン,
ノルロイシン,バリン,ノルバリン,2−アミノ酪酸,
フェニルアラニン,セリン、トレオニン,メチオニン,
アラニン,トリプトファン,アミノイソ酪酸などが挙げ
られる。これらのアミノ酸は適宜保護基(例、t-ブチ
ル、t-ブトキシ、t-ブトキシカルボニルなどの当技術
分野で慣用される保護基)を有していてもよい。
【0039】R3'で示される複素環基としては、窒素原
子または硫黄原子のヘテロ原子を1ないし2個を含み、
ベンゼン環と縮合していてもよい5または6員の複素環
基が挙げられる。具体例としては、例えばチエニル,ピ
ロリル,チアゾリル,イソチアゾリル,イミダゾリル,
ピラゾリル,ピリジル,3-ピリジル,ピリダジニル,
ピリミジニル,ピラジニル,3-ベンゾ〔b〕チエニ
ル,3-ベンゾ〔b〕-3-チエニル,インドリル,2-イ
ンドリル,イソインドリル,1H-インダゾリル,ベン
ゾイミダゾリル,ベンゾチアゾリル,キノリル,イソキ
ノリルなどが挙げられる。R3'は、特に好ましくはピリ
ジルまたは3-ベンゾ〔b〕チエニルである。
【0040】R5で示される芳香環基としては、上記
1,R2またはR4で定義した芳香環基と同様のものが
用いられる。該芳香環基は、芳香環基上の適当な位置に
1ないし5個、好ましくは、1ないし3個の適当な置換
基を有していてもよい。このような置換基としては、上
記R1,R2またはR4で定義した置換基と同様のものが
用いられる。このうち特に好ましくは、アミノトリアゾ
リルで置換されたアミノ基である。R5で示されるO−
グリコシル基におけるグリコシル基としては、好ましく
は、6単糖類およびその誘導体の基が挙げられる。該6
単糖類としては、例えばD−グルコース,D−フルクト
ース,D−マンノース,D−ガラクトース,L−ガラク
トースなどが挙げられる。また、誘導体としては、例え
ばデオキシ糖(L−およびD−フコース,D−キノボー
ス,L−ラムノースなど),アミノ糖(D−グルコサミ
ン,D−ガラクトサミンなど)が挙げられる。さらに好
ましくは、デオキシ糖(L−およびD−フコース,D−
キノボース,L−ラムノースなど)である。特に好まし
くはL−ラムノースである。
【0041】R5'で示される置換されていてもよいアミ
ノ基における置換基としては、例えばアシル基,カルバ
モイル基,アシル基で置換されていてもよいカルバゾイ
ル基またはアルキルでモノもしくはジ置換されていても
よいアミジノ基などが挙げられる。上記アシル基および
アシル基で置換されていてもよいカルバゾイル基におけ
るアシル基としては、例えばニコチノイル,フロイル,
テノイルなどが挙げられる。モノもしくはジアルキルア
ミジノ基におけるアルキル基としては、炭素数1から4
の直鎖もしくは分枝状のアルキル基が用いられる。該ア
ルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert
-ブチルなどが挙げられる。特に好ましくはメチル基ま
たはエチル基が挙げられる。
【0042】R6'で示される置換されていてもよいアミ
ノ基における置換基としては、例えばアルキル基、アル
キルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミジノ基
などが挙げられる。上記アルキル基およびモノもしくは
ジアルキルアミジノ基におけるアルキル基としては、上
記R5'で定義したアルキル基と同様のものが用いられ
る。R7で示されるD-アミノ酸残基としては、炭素数3
ないし9のD-アミノ酸残基が好ましく、例えばD-アラ
ニル,D-ロイシル,D-バリル,D-イソロイシル,D-
フェニルアラニルなどが挙げられる。さらに好ましくは
炭素数3〜6のD-アミノ酸残基、例えばD-アラニル,
D-バリルなどが挙げられる。特に好ましくは、R7は、
D-アラニルである。Qで示される低級アルキル基とし
ては、上記R5'で定義したアルキル基と同様のものが用
いられる。Qは、特に好ましくはメチル基である。
【0043】R1の具体例を挙げれば、
【化4】 2の具体例を挙げれば、
【化5】
【0044】R3の具体例を挙げれば、
【化6】 4の具体例を挙げれば、
【化7】
【0045】R5の具体例を挙げれば、
【化8】
【化9】
【化10】
【0046】R6の具体例を挙げれば、
【化11】 7の具体例を挙げれば、
【化12】
【0047】ペプチド〔II〕が1種以上の不斉炭素原子
を有する場合、2種以上の光学異性体が存在する。この
ような光学異性体およびこれらの混合物も本発明に含ま
れる。一般式〔II〕で表されるペプチドは、自体公知の
方法により製造できる。該ペプチドの製造法の具体例
は、例えば米国特許第5110904号などに記載され
ている。ペプチド〔II〕は塩として用いてもよく、好ま
しくは、薬理学的に許容される塩が用いられる。このよ
うな塩としては、該ペプチドがアミノ基などの塩基性基
を有する場合、無機酸(例、塩酸,硫酸,硝酸など),
有機酸(例、炭酸,重炭酸,コハク酸,酢酸,プロピオ
ン酸,トリフルオロ酢酸など)などとの塩が挙げられ、
ペプチドがカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無
機塩基(例、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属、
カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属など)
や有機塩基(例、トリエチルアミン等の有機アミン類、
アルギニン等の塩基性アミノ酸類など)などとの塩が挙
げられる。また、該ペプチドは、金属錯体化合物(例、
銅錯体,亜鉛錯体等)を形成していてもよい。ペプチド
〔II〕の塩は、好ましくは有機酸(例、炭酸,重炭酸,
コハク酸,酢酸,プロピオン酸,トリフルオロ酢酸な
ど)との塩である。特に好ましくは酢酸との塩である。
【0048】ペプチド〔II〕またはその塩の特に好まし
い例を以下に示す。 (1)NAcD2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-NMeTyr-DLys(Nic)-
Leu-Lys(Nisp)-Pro-DAlaNH2またはその酢酸塩 (2)NAcD2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-NMeTyr-DLys(Azagl
yNic)-Leu-Lys(Nisp)-Pro-DAlaNH2またはその酢酸塩 (3)NAcD2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-NMeTyr-DLys(Azagl
yFur)-Leu-Lys(Nisp)-Pro-DAlaNH2またはその酢酸塩
【化13】 (5)NAcD2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-Tyr-DhArg(Et2)-Le
u-hArg(Et2)-Pro-DAlaNH2またはその酢酸塩
【0049】本明細書中で使用される略号は次のような
意味を示す。 NAcD2Nal :N-アセチル-D-3-(2-ナフチル)アラニル D4ClPhe :D-3-(4-クロロフェニル)アラニル D3Pal :D-3-(3-ピリジル)アラニル NMeTyr :N-メチルチロシル DLys(Nic):D-(イプシロン-N-ニコチノイル)リシル Lys(Nisp):(イプシロン-N-イソプロピル)リシル DLys(AzaglyNic):D-〔1-アザ-(N-ニコチノイル)グリ
シル〕リシル DLys(AzaglyFur):D-〔1-アザ-(N-2-フロイル)グリシ
ル〕リシル DhArg(Et2):D-(N,N'-ジエチル)ホモアルギニル
【0050】本発明の徐放性製剤において、薬物の配合
量は、該薬物の種類、所望の薬理効果および効果の持続
期間などによって異なるが、基剤であるエステルに対し
て、好ましくは、約0.01から約50%(w/w)用
いられる。さらに好ましくは、約0.1から約40%
(w/w)用いられる。特に好ましくは、約1から約3
0%(w/w)用いられる。
【0051】本発明の徐放性製剤、例えばマイクロカプ
セルは、以下に示すA法,B法あるいはこれに準ずる方
法により製造することができる。 (A法)まず、水に薬物を溶解あるいは分散し、これに
必要があればゼラチン、寒天、アルギン酸、ポリビニー
ルアルコールあるいは塩基性アミノ酸などの薬物保持物
質を加えて溶解もしくは懸濁し、内水相とする。これら
の内水相中には、薬物の安定性あるいは溶解性を保つた
めのpH調整剤として、たとえば炭酸,酢酸,シュウ
酸,クエン酸,酒石酸,コハク酸,リン酸またはそれら
のナトリウム塩あるいはカリウム塩,塩酸,水酸化ナト
リウム,アルギニン,リジンおよびそれらの塩などを添
加してもよい。また、さらに薬物の安定化剤として、た
とえばアルブミン,ゼラチン,クエン酸,エチレンジア
ミン四酢酸ナトリウム,デキストリン,亜硫酸水素ナト
リウム,ポリエチレングリコールなどのポリオール化合
物などを、あるいは保存剤として、たとえばパラオキシ
安息香酸エステル類(例、メチルパラベン,プロピルパ
ラベンなど),ベンジルアルコール,クロロブタノー
ル,チメロサールなどを添加してもよい。
【0052】このようにして得られた内水相液を、エス
テルを含む溶液(油相)中に加え、ついで乳化操作を行
い、W/O型乳化物を調製する。上記エステルを含む溶
液は、エステルを有機溶媒中に溶解したものが用いられ
る。有機溶媒としては、沸点が約120℃以下で、かつ
水と混和しにくい性質のもので、エステルを溶解するも
のであればよく、例えばハロゲン化炭化水素類(例、ジ
クロロメタン,クロロホルム,クロロエタン,トリクロ
ロエタン,四塩化炭素など),脂肪酸エステル(例、酢
酸ブチルなど),エーテル類(例、イソプロピルエーテ
ルなど),芳香族炭化水素類(例、ベンゼン,トルエ
ン,キシレンなど)などが挙げられる。これらは2種以
上混合して用いてもよい。乳化操作は、公知の分散法が
用いられる。該分散法としては、例えば断続振とう法,
プロペラ型撹拌機あるいはタービン型撹拌機などのミキ
サーによる方法,コロイドミル法,ホモジナイザー法,
超音波照射法などが挙げられる。
【0053】ついで、このようにして調製したW/O型
乳化物を、マイクロカプセル化工程に付す。マイクロカ
プセル化工程としては、以下に示すように、例えば水中
乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法あるいはこれに準ずる方
法等が挙げられる。 (1)水中乾燥法 W/O型乳化物をさらに第3相目の水相中に加え、W/
O/W型乳化物を形成させた後、油相中の溶媒を除去
し、マイクロカプセルを製造する。上記した第3相目の
水相中に、乳化剤を加えてもよい。乳化剤としては、一
般に安定なO/Wエマルションを形成できるものであれ
ばいずれでもよい。具体的には、例えばアニオン性界面
活性剤(オレイン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウ
ム,ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活
性剤(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
〔ツイーン(Tween)80,ツイーン(Tween)60,ア
トラスパウダー社〕,ポリオキシエチレンヒマシ油誘導
体〔HCO-60,HCO-50,日光ケミカルズ〕など),ポリビ
ニルピロリドン,ポリビニルアルコール,カルボキシメ
チルセルロース,レシチン,ゼラチン,ヒアルロン酸な
どが挙げられる。これらの中の1種類か、いくつかを組
み合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は、約0.
001から20%(w/w)の範囲から適宜選択でき
る。さらに好ましくは約0.01から10%(w/w)
の範囲で用いられる。特に好ましくは約0.05から5
%(w/w)の範囲で用いられる。油相中の溶媒を除去
する方法は、自体公知の方法に従って行うことができ
る。例えばプロペラ型撹拌機あるいはマグネチックスタ
ーラーなどで撹拌しながら常圧もしくは徐々に減圧にし
て溶媒を蒸発させる方法、ロータリーエバポレーターな
どを用いて真空度を調節しながら溶媒を蒸発させる方法
などが挙げられる。このようにして得られたマイクロカ
プセルは、遠心分離あるいは瀘過して分取した後、マイ
クロカプセルの表面に付着している遊離の薬物、薬物保
持物質、乳化剤などを、蒸留水で数回繰り返し洗浄した
後、再び、蒸留水などに分散して凍結乾燥する。洗浄中
の粒子同士の凝集を防ぐために、洗浄液である蒸留水に
凝集防止剤を加えてもよい。該凝集防止剤としては、例
えばマンニトール,ラクトール,ブドウ糖,デンプン類
(例、コーンスターチ等)などの水溶性多糖、グリシ
ン,アラニン等のアミノ酸、ゼラチン,フィブリン,コ
ラーゲン等のタンパク質、塩化ナトリウム,臭化ナトリ
ウム,炭酸カリウム,リン酸水素ナトリウム等の無機塩
類などが挙げられる。必要であれば加温し、減圧下でマ
イクロカプセル中の水分および有機溶媒の除去をより完
全に行う。
【0054】(2)相分離法 W/O型乳化物に撹拌下、コアセルベーション剤を徐々
に加え、エステルを析出、固化させ、マイクロカプセル
を製造する。コアセルベーション剤としては、エステル
の溶媒に混和する高分子系、鉱物油系または植物油系の
化合物で、エステルを溶解しないものであればよい。具
体的には、例えばシリコン油,ゴマ油,大豆油,コーン
油,綿実油,ココナツ油,アマニ油,鉱物油,n-ヘキ
サン,n-ヘプタンなどが挙げられる。これらは2種以
上混合して用いてもよい。このようにして得られたマイ
クロカプセルは、瀘過して分取した後、ヘプタン等によ
り繰り返し洗浄し、コアセルベーション剤を除去する。
さらに、水中乾燥法と同様の方法で遊離薬物および溶媒
の除去を行う。
【0055】(3)噴霧乾燥法 W/O型乳化物を、ノズルを用いてスプレードライヤー
(噴霧乾燥器)の乾燥室内へ噴霧し、極めて短時間に微
粒化液滴内の有機溶媒を揮発させ、微粒状のマイクロカ
プセルを製造する。該ノズルとしては、二流体ノズル
型、圧力ノズル型、回転ディスク型等が挙げられる。こ
のとき、所望により薬物とエステルとの有機溶媒溶液と
同時にマイクロカプセルの凝集防止を目的として前述の
凝集防止剤の水溶液を別ノズルより噴霧することも有効
である。このようにして得られたマイクロカプセルは、
必要であれば加温し、減圧下でマイクロカプセル中の水
分および有機溶媒の除去をさらに行う。
【0056】(B法)本発明の徐放性製剤は、例えば薬
物とエステルとを、水と実質的に混和しない溶媒にいっ
たん溶解または分散し、ついで溶媒を除去することによ
っても製造される。水と実質的に混和しない溶媒は、水
に実質的に混和せず、エステルを溶解し、得られる溶液
がさらに薬物を溶解するものであればよい。好ましく
は、水に対する溶解度が常温(20℃)で3%以下であ
る溶媒である。また該溶媒の沸点は120℃以下である
ことが好ましい。該溶媒としては、例えばハロゲン化炭
化水素(例、ジクロロメタン,クロロホルム,クロロエ
タン,トリクロロエタン,四塩化炭素など)、炭素数3
以上のアルキルエーテル類(例、イソプロピルエーテル
など)、脂肪酸のアルキル(炭素数4以上)エステル
(例、酢酸ブチルなど)、芳香族炭化水素(例、ベンゼ
ン,トルエン,キシレンなど)等が挙げられる。これら
は2種以上適宜の割合で混合して用いてもよい。溶媒と
して、さらに好ましくはハロゲン化炭化水素(例、ジク
ロロメタン,クロロホルム,クロロエタン,トリクロロ
エタン,四塩化炭素など)である。特に好ましくはジク
ロロメタンである。
【0057】溶媒を除去する方法は、自体公知の方法に
従って行うことができる。例えばプロペラ型撹拌機ある
いはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常圧も
しくは徐々に減圧にして溶媒を蒸発させる方法、ロータ
リーエバポレーターなどを用いて真空度を調節しながら
溶媒を蒸発させる方法などが挙げられる。
【0058】薬物を上記の薬物の配合量の定義で示した
重量比率になるようにエステルの有機溶媒溶液に加え、
薬物とエステルとの有機溶媒溶液を作る。この際、エス
テルの有機溶媒溶液中の濃度は、エステルの分子量,有
機溶媒の種類によって異なるが、一般的には約0.01
ないし約80%(w/w)である。さらに好ましくは約
0.1ないし約70%(w/w)である。特に好ましく
は約1ないし約60%(w/w)である。このようにし
て得られる薬物とエステルとの有機溶媒溶液を上記した
W/O型乳化物の場合と同様にして、マイクロカプセル
化工程に付す。マイクロカプセル化工程は、前記したよ
うに、例えば水中乾燥法、相分離法、噴霧乾燥法あるい
はこれに準じた方法等により行われる。
【0059】このようにして得られたマイクロカプセル
は、そのままあるいはマイクロカプセルを原料物質とし
て種々の剤形に製剤化し、非経口剤(例、筋肉内,皮
下,臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔,直
腸,子宮などへの経粘膜剤等)、経口剤〔例、カプセル
剤(例、硬カプセル剤,軟カプセル剤等),顆粒剤,散
剤等の固形製剤、シロップ剤,乳剤,懸濁剤等の液剤
等〕などの製剤とすることができる。これらの製剤は、
製剤工程において通常用いられる自体公知の方法により
製造することができる。注射剤は、例えばマイクロカプ
セルを分散剤(例、Tween 80,HCO-60,カルボキシメチ
ルセルロース,アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤
(例、メチルパラベン,プロピルパラベン、ベンジルア
ルコールなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウム,グリ
セリン,マンニトール,ソルビトール,ブドウ糖など)
などと共に水性懸濁剤とするか、オリーブ油,ゴマ油,
ラッカセイ油,綿実油,コーン油などの植物油、プロピ
レングリコールなどに分散して油性懸濁剤とすることに
より製造することができる。このようにして得られた注
射剤に、さらに賦形剤(例えばマンニトール,ソルビト
ール,ラクトース,ブドウ糖など)を加えて、再分散し
た後、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して固形化し、用時
に、注射用蒸留水あるいは適当な分散媒を加えると、よ
り安定した徐放性注射剤を製造することができる。マイ
クロカプセルを例えば懸濁注射剤として使用する場合、
マイクロカプセルの粒子径は、懸濁注射剤としての分散
度および通針性を満足する範囲であればよく、好ましく
は約1から300μmである。さらに好ましくは、約5
から150μmである。マイクロカプセルを無菌製剤に
するには、例えば製造全工程を無菌にする方法,ガンマ
線で滅菌する方法,防腐剤を添加する方法等が挙げられ
るが、特に限定されない。
【0060】経口剤は、例えばマイクロカプセルに賦形
剤(例、乳糖,白糖,デンプンなど)、崩壊剤(例、デ
ンプン,炭酸カルシウムなど)、結合剤(例、デンプ
ン,アラビアゴム,カルボキシメチルセルロース,ポリ
ビニールピロリドン,ヒドロキシプロピルセルロースな
ど)または滑沢剤(例、タルク,ステアリン酸マグネシ
ウム,ポリエチレングリコール6000など)を添加し
て圧縮成形し、ついで所望により、味のマスキング,腸
溶性あるいは持続性の目的のためのコーティングを行う
ことにより製造することができる。該コーティングは、
自体公知の方法により行えばよく、コーティング剤とし
ては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース,エ
チルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロ
キシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコー
ル,ツイーン80,プルロニックF68,セルロースア
セテートフタレート,ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社,
西ドイツ,メタクリル酸・アクリル酸共重合体)および
酸化チタン,ベンガラ等の色素等が用いられる。
【0061】経鼻投与製剤は、固状、半固状または液状
のいずれであってもよい。例えば、固状の製剤は、マイ
クロカプセルをそのまま、あるいは賦形剤(例、グルコ
ース、マンニトール、デンプン、微結晶セルロースな
ど)、増粘剤(例、天然ガム類、セルロース誘導体、ア
クリル酸重合体など)などを添加、混合して粉状とする
ことにより製造することができる。液状の製剤は、注射
剤の場合とほとんど同様にして、油性あるいは水性懸濁
剤とすることにより製造することができる。半固状の製
剤は、水性または油性のゲル剤、あるいは軟膏状のもの
がよい。また、これらの製剤はいずれも、pH調節剤
(例、炭酸、リン酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウ
ムなど)、防腐剤(例、パラオキシ安息香酸エステル
類、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなど)な
どを含んでいてもよい。
【0062】坐剤は、油性または水性の固状、半固状あ
るいは液状のいずれであってもよい。坐剤を製造する際
に使用する油性基剤としては、微粒子製剤を溶解しない
ものであればよく、例えば高級脂肪酸のグリセリド
〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベ
ル社)など〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイ
ナマイトノーベル社)など〕、あるいは植物油(例、ゴ
マ油、大豆油、綿実油など)などが挙げられる。また、
水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、
プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば
天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アク
リル酸重合体などが挙げられる。
【0063】上記したマイクロカプセル以外にも、適当
な方法で薬物を分散させた生体内分解型高分子組成物を
溶解し、球状,棒状,針状,ペレット状,フィルム状等
に賦形して本発明の徐放性製剤を製造することもでき
る。該生体内分解型高分子組成物は、例えば特公昭50
−17525号公報に記載の方法にしたがって製造され
る。さらに具体的には、薬物および高分子重合物を溶媒
に溶かし、溶媒を適当な方法(例、噴霧乾燥,フラッシ
ュ蒸発等)によって除去することにより該生体内分解型
高分子組成物を製造できる。本発明の徐放性製剤は、筋
肉内,皮下,臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻
腔,直腸,子宮などへの経粘膜剤、経口剤〔例、カプセ
ル剤(例、硬カプセル剤,軟カプセル剤等),顆粒剤,
散剤等の固形製剤、シロップ剤,乳剤,懸濁剤等の液剤
等〕などとして投与することができる。本発明の徐放性
製剤は、好ましくは注射用として用いられる。
【0064】本発明の徐放性製剤は、低毒性で哺乳動物
(例、ヒト,牛,豚,犬,ネコ,マウス,ラット,ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。徐放性製剤
の投与量は、薬物の種類と含量、剤形、薬物放出の持続
時間、対象疾病、対象動物などによって種々異なるが、
薬物の有効量であればよい。薬物の1回あたりの投与量
は、例えば徐放性製剤が1カ月製剤である場合、好まし
くは、成人1人当たり約0.01ないし100mg/kg体
重である。さらに好ましくは、約0.05ないし50mg
/kg体重である。特に好ましくは、約0.1ないし10
mg/kg体重である。1回あたりの徐放性製剤の投与量は
成人1人当たり好ましくは、約0.1mgないし500mg
/kg体重の範囲から適宜選ぶことができる。さらに好ま
しくは、約0.2mgないし300mg/kg体重の範囲から
適宜選ぶことができる。投与回数は、数週間に1回、1
か月に1回、あるいは数か月に1回等、薬物の種類と含
量、剤形、薬物放出の持続時間、対象疾病、対象動物な
どによって適宜選ぶことができる。
【0065】以下に参考例,実施例および実験例を挙げ
て本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明
を限定するものではない。以下、%は特記しない限り重
量%を示す。 参考例1 窒素導入管および冷却管を備えた1000mlの4口フ
ラスコに90%D、L−乳酸水溶液300gと90%L
−乳酸水溶液100gを仕込み、窒素気流下100℃、
500mmHgから150℃、30mmHgまで4時間
かけて減圧加熱して留出水を除去した。さらに、3〜5
mmHg、150〜180℃で10時間減圧加熱した後
冷却し、琥珀色のポリ乳酸を得た。得られた重合体を1
000mlのジクロロメタンに溶解し、60℃の温水中
に一定速度で撹拌下注入した。分離してくる餅状の高分
子重合体を集め、30℃で真空乾燥した。得られたポリ
乳酸のGPC測定による重量平均分子量及び数平均分子
量並びに末端基定量による数平均分子量は、それぞれ4,
200、2,192、1,572であったことから末端カルボキシル
基を有するポリエステルであることを確認した。 参考例2 窒素導入管および冷却管を備えた1000mlの4口フ
ラスコにグリコール酸182.5gとD,L−2−ヒド
ロキシ酪酸166.6gを仕込み、窒素気流下100
℃,500mmHgから150℃,30mmHgまで
3.5時間かけて減圧加熱して留出水を除去した。さら
に、5〜7mmHg,150〜180℃で32時間減圧
加熱した後冷却し、琥珀色のグリコール酸・2−ヒドロ
キシ酪酸共重合体を得た。得られた重合体を1000m
lのジクロロメタンに溶解し、60℃の温水中に一定速
度で撹拌下注入した。分離してくる餅状の高分子重合体
を集め、25℃で真空乾燥した。得られたグリコール酸
・2−ヒドロキシ酪酸共重合体のGPC測定による重量
平均分子量及び数平均分子量並びに末端基定量による数
平均分子量は、それぞれ14,700、5,700、2,400であった
ことから末端カルボキシル基を有するポリエステルであ
ることを確認した。
【0066】参考例3 参考例2で得られたグリコール酸・2−ヒドロキシ酪酸
共重合体と実施例1で得られたポリ乳酸のメチルエステ
ルとの等量混合物4.4gをジクロロメタン9.1g
(7.0ml)に溶解し、さらに米国特許第51109
04号に記載の方法により製造したNAcD2Nal-D4ClPhe-D
3Pal-Ser-NMeTyr-DLys(Nic)-Leu-Lys(Nisp)-Pro-DAlaNH
2(TAP社製、以下生理活性ペプチドAと略記する)
の酢酸塩600mgを溶解した。得られる溶液を、予め
17℃に調節しておいた0.1%ポリビニルアルコール
(EG−40、日本合成化学製)水溶液1000ml中
に注入し、タービン型ホモミキサーを用い、7000r
pmでO/Wエマルションとした。得られたO/Wエマ
ルションを室温で3時間攪拌してジクロロメタンを揮散
させ、油相を固化させた後、遠心分離器(05PR−2
2、日立製作所)を用いて1500rpmで捕集した。
これを蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行ない、遊離
薬物等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルに少量
の蒸留水を加えて再分散した後、D−マンニトール0.
3gを加え、分散液を凍結乾燥して、マイクロカプセル
を粉末として得た。マイクロカプセル中の生理活性ペプ
チドAの含有率は9.3%であった。 参考例4 重量平均分子量 5,100 の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=50/50(モル%))(和光
純薬製)と実施例2で得られた乳酸・グリコール酸のエ
チルエステルとの等量混合物1.0gをジクロロメタン
2.0g(1.5ml)に溶解し、さらにヒトインター
フェロンアルファ(7.0×107国際単位/mg)4
0mgを分散した。得られる分散液を、予め17℃に調
節しておいた0.1%ポリビニルアルコール(EG−4
0、日本合成化学製)水溶液300ml中に注入し、タ
ービン型ホモミキサーを用いて6500rpmでO/W
エマルションとした。得られたO/Wエマルションを室
温で3時間攪拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を
固化させた後、遠心分離器(05PR−22、日立製作
所)を用いて1500rpmで捕集した。これを再び蒸
留水に分散後、さらに遠心分離を行ない遊離薬物等を洗
浄した。捕集されたマイクロカプセルに少量の蒸留水を
加えて再分散した後、D−マンニトール50mgを加
え、分散液を凍結乾燥して、マイクロカプセルを粉末と
して得た。マイクロカプセル中のヒトインターフェロン
アルファの活性は5.75×105(国際単位/mgマ
イクロカプセル)であった。
【0067】参考例5 実施例2で得られた乳酸・グリコール酸のエチルエステ
ル1.0gをジクロロメタン2.0g(1.5ml)に
溶解し、さらにヒトインターフェロンアルファ(2.0
×108国際単位/mg)40mgを分散した。得られ
る分散液を、予め17℃に調節しておいた0.1%ポリ
ビニルアルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶
液300ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用
いて6500rpmでO/Wエマルションとした。得ら
れたO/Wエマルションを室温で3時間攪拌してジクロ
ロメタンを揮散させ、油相を固化させた後、遠心分離器
(05PR−22、日立製作所)を用いて1500rp
mで捕集した。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心
分離を行ない遊離薬物等を洗浄した。捕集されたマイク
ロカプセルに少量の蒸留水を加えて再分散した後、D−
マンニトール50mgを加え、分散液を凍結乾燥して、
マイクロカプセルを粉末として得た。マイクロカプセル
中のヒトインターフェロンアルファの活性は2.48×
106(国際単位/mgマイクロカプセル)であった。
【0068】参考例6 重量平均分子量 5,100 の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=50/50(モル%))(和光
純薬製)と実施例2で得られた乳酸・グリコール酸のエ
チルエステルとの等量混合物0.9gをジクロロメタン
2.0g(1.5ml)に溶解し、さらに遺伝子組み換
え型インスリン(和光純薬製)100mgを分散した。
得られる分散液を、予め18℃に調節しておいた5%マ
ンニトールを含む0.1%ポリビニルアルコール(EG
−40、日本合成化学製)水溶液350ml中に注入
し、タービン型ホモミキサーを用いて6500rpmで
O/Wエマルションとした。得られたO/Wエマルショ
ンを室温で3時間攪拌してジクロロメタンを揮散させ、
油相を固化させた後、遠心分離器(05PR−22、日
立製作所)を用いて1500rpmで捕集した。これを
再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行ない遊離薬物
等を洗浄した。捕集されたマイクロカプセルに少量の蒸
留水を加えて再分散した後、D−マンニトール50mg
を加え、分散液を凍結乾燥して、マイクロカプセルを粉
末(476mg)として得た。マイクロカプセル中のイ
ンスリンの含有率は7.95%であった。 参考例7 重量平均分子量 5,000 の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=50/50(モル%))(和光
純薬製)と実施例2で得られた乳酸・グリコール酸のエ
チルエステルとの等量混合物4.5gをジクロロメタン
6.5g(5.0ml)に溶解し、この溶液にN-(S)-Te
trahydrofur-2-oyl-Gly-D2Nal-D4ClPhe-D3Pal-Ser-NMeT
yr-DLys(Nic)-Leu-Lys(Nisp)-Pro-DAlaNH2(TAP社
製、以下生理活性ペプチドBと略記する)の酢酸塩50
0mgを蒸溜水0.6mlに溶解した溶液を加え、ター
ビン型ホモミキサーで60秒間混合してW/Oエマルシ
ョンを得た。このW/Oエマルションを16℃に冷却し
た後、予め16℃に調節しておいた0.1%ポリビニル
アルコール(EG−40、日本合成化学製)水溶液10
00ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用いて
7000rpmでW/O/Wエマルションとした。得ら
れたW/O/Wエマルションを室温で3時間攪拌してジ
クロロメタンを揮散させ、W/Oエマルションを固化さ
せた後、遠心分離器(05PR−22、日立製作所)を
用いて2000rpmで捕集した。以下、実施例1と同
様にして、マイクロカプセルを粉末として得た。マイク
ロカプセル中の生理活性ペプチドBの含有率は9.2%
であった。
【0069】比較例1 重量平均分子量 5,100 の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=50/50(モル%))(和光
純薬製)1.5gをジクロロメタン2.6g(2.0m
l)に溶解し、さらにヒトインターフェロンアルファ
(1.5×108国際単位/mg)60mgを分散し
た。得られる分散液を、予め17℃に調節しておいた
0.1%ポリビニルアルコール(EG−40、日本合成
化学製)水溶液300ml中に注入し、タービン型ホモ
ミキサーを用いて6500rpmでO/Wエマルション
とした。得られたO/Wエマルションを室温で3時間攪
拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた
後、遠心分離器(05PR−22、日立製作所)を用い
て1500rpmで捕集した。これを再び蒸留水に分散
後、さらに遠心分離を行ない遊離薬物等を洗浄した。捕
集されたマイクロカプセルに少量の蒸留水を加えて再分
散した後、D−マンニトール50mgを加え、分散液を
凍結乾燥して、マイクロカプセルを粉末として得た。マ
イクロカプセル中のヒトインターフェロンアルファの活
性は2.24×106(国際単位/mgマイクロカプセ
ル)であった。
【0070】実施例1 40%水酸化カリウム水溶液168mlとエチルエーテ
ル824mlの混液に氷冷撹拌下ニトロソメチル尿素8
1.5gを少しずつ加える。生じた黄色のエーテル層を
分液し、粒状の水酸化カリウムを加え乾燥する。その水
酸化カリウムを除去し、ジアゾメタン溶液約800ml
を得た。参考例1と同様の方法で製造した重量平均分子
量約5,000のポリ乳酸80gをジクロロメタン50
0mlに溶解し、撹拌冷却した。氷冷下、上記したジア
ゾメタン溶液を滴下し、その後室温下で2時間撹拌し
た。一夜放置後、溶媒を減圧留去し、残留物を室温で真
空乾燥することによりポリ乳酸のメチルエステル79g
を得た。得られたポリ乳酸のメチルエステルのGPC測
定による重量平均分子量及び数平均分子量並びにメチル
末端から算出された数平均分子量は、それぞれ5,250、
2,960、1,820であった。また、末端基定量による残存カ
ルボキシル基は、乳酸として0.1%以下であったこと
から、末端カルボキシル基を有しないポリエステルであ
ることを確認した。 実施例2 40%水酸化カリウム水溶液168mlとエチルエーテ
ル1000mlの混液に氷冷撹拌下、ニトロソエチル尿
素104gを少しずつ加えた。生じた黄色のエーテル層
を分液し、粒状の水酸化カリウムを加え乾燥した。つい
で水酸化カリウムを除去し、ジアゾエタン溶液約900
mlを得た。重量平均分子量約5,000の乳酸・グリコー
ル酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50(モル
%))(和光純薬製)、130gをジクロロメタン19
00mlに溶解し、撹拌冷却した。氷冷下、上記したジ
アゾエタン溶液を滴下し、その後室温下2時間撹拌し
た。一夜放置後、溶媒を減圧留去し、残留物を室温で真
空乾燥することにより乳酸・グリコール酸のエチルエス
テル131gを得た。得られた乳酸・グリコール酸のエ
チルエステルのGPC測定による重量平均分子量及び数
平均分子量は、それぞれ5,120、2,320であった。また、
末端基定量による残存カルボキシル基は、乳酸として
0.1%以下であったことから、末端カルボキシル基を
有しないポリエステルであることを確認した。
【0071】実施例3 重量平均分子量約7,500の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=75/25(モル%))(和光
純薬製)15gとヨウ化エチル7.8gをアセトン15
0mlに溶解した。得られる溶液に炭酸カリウム1.3
8gを加え、6時間還流した。還流液を冷却後、無機物
をろ過し、ろ液を減圧下濃縮した。濃縮液をジクロロメ
タン100mlに溶解し、10%エタノール水100m
lで3回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫
酸マグネシウムをろ別し、減圧下濃縮乾固し、乳酸・グ
リコール酸共重合体のエチルエステル12.5gを得
た。得られた乳酸・グリコール酸のエチルエステルのG
PC測定による重量平均分子量及び数平均分子量は、そ
れぞれ5,330、3,220であった。また、末端基定量による
残存カルボキシル基は、乳酸として0.1%以下であっ
たことから、末端カルボキシル基を有しないポリエステ
ルであることを確認した。
【0072】実施例4 重量平均分子量約7,500の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=75/25(モル%))(和光
純薬製)9gをジクロロメタン20mlとエタノール2
0mlとの混合溶媒に溶解した。得られる溶液を撹拌冷
却下、トリエチルアミン0.45ml,クロルギ酸エチ
ル0.29ml,およびN,N−ジメチルアミノピリジ
ン0.36gを加え、さらに2時間撹拌した後、ジクロ
ロメタン50mlと水50mlとを加え、ジクロロメタ
ン層を分液した。ジクロロメタン層を10%エタノール
水50mlで2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥
した。硫酸マグネシウムをろ別し、減圧下濃縮乾固し、
乳酸・グリコール酸共重合体のエチルエステル7.7g
を得た。得られた乳酸・グリコール酸のエチルエステル
のGPC測定による重量平均分子量及び数平均分子量
は、それぞれ9,220、5,230であった。また、末端基定量
による残存カルボキシル基は、乳酸として0.1%以下
であったことから、末端カルボキシル基を有しないポリ
エステルであることを確認した。
【0073】実施例5 重量平均分子量約7,500の乳酸・グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸=75/25(モル%))(和光
純薬製)6gをジクロロメタン60mlとエタノール6
0mlとの混合溶媒に溶解した。得られる溶液を撹拌冷
却下、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノイソプロ
ピル)−カルボジイミド塩酸塩3.83gを加え、一夜
撹拌した。水50mlを加え、ジクロロメタン層を分液
した。ジクロロメタン層を10%エタノール水40ml
で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸
マグネシウムをろ別し、減圧下濃縮乾固し、乳酸・グリ
コール酸共重合体のエチルエステル5.2gを得た。得
られた乳酸・グリコール酸のエチルエステルのGPC測
定による重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれ
6,620、3,350であった。また、末端基定量による残存カ
ルボキシル基は、乳酸として0.1%以下であったこと
から、末端カルボキシル基を有しないポリエステルであ
ることを確認した。
【0074】実験例1 参考例3で得られたマイクロカプセル約14mg(生理
活性ペプチドAとして1.35mg)を分散媒(2.5
mgのカルボキシメチルセルロース、0.5mgのポリ
ソルベート80、25mgのマンニトールを溶解した蒸
留水)0.5mlに分散して、10週齢雄性SDラット
の背部皮下に22G注射針で投与した。投与後一定時間
毎にラット尻尾より採血し、RIA法で血液中の生理活
性ペプチドAを定量した結果を〔表1〕に示す。
【表1】 --------------------------------------------------------------------- 生理活性ペプチドA濃度(ng/ml) --------------------------------------------------------------------- 1日 1週 2週 3週 4週 6週 --------------------------------------------------------------------- 実験例1 1.75 4.41 4.31 3.19 2.43 0.76 --------------------------------------------------------------------- 末端カルボキシル基をメチル基でエステル化したポリ乳
酸を使用することにより、投与後1日目の血中薬物濃度
が少なく、投与後の初期放出が非常に少ないことが判明
した。しかもその後1ケ月に渡り血中濃度はほぼ一定で
あり、徐放性も良好であった。
【0075】実験例2 参考例4で得られたマイクロカプセル約87mg(ヒト
インターフェロンアルファとして5.0×107国際単
位)を分散媒(2.5mgのカルボキシメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート80、25mgのマン
ニトールを溶解した蒸留水)0.5mlに分散して8週
齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与し
た。投与後一定時間毎にラット尻尾より採血し、EIA
法で血液中の ヒトインターフェロンアルファ を定量し
た結果を〔表2〕に示す。 実験例3 比較例1で得られたマイクロカプセルを用い、実験例2
と同様にして血液中のヒトインターフェロンアルファを
定量した結果を〔表2〕に示す。
【表2】 -------------------------------------------------------------------- ヒトインターフェロンアルファ濃度(国際単位/ml) --------------------------------------------------------------------- 3時間 6時間 1日 2日 3日 7日 9日 --------------------------------------------------------------------- 実験例2 5042.6 3934.3 162.3 122.6 139.9 113.8 43.8 実験例3 5127.2 6121.6 65.9 42.9 32.3 1.9 0.0 --------------------------------------------------------------------- 末端カルボキシル基をエチル化した乳酸・グリコール酸
共重合体を使用することにより、投与後の初期放出が抑
制されながらしかもその後の定常状態の血中濃度が高く
維持されており、徐放性も良好であるとの結果が得られ
た。
【0076】実験例4 参考例5で得られたマイクロカプセル約20mg(ヒト
インターフェロンアルファとして5.0×107国際単
位)を分散媒(2.5mgのカルボキシメチルセルロー
ス、0.5mgのポリソルベート80、25mgのマン
ニトールを溶解した蒸留水)0.5mlに分散して8週
齢雄性SDラットの背部皮下に22G注射針で投与し
た。投与後一定時間毎にラット尻尾より採血し、EIA
法で血液中のヒトインターフェロンアルファを定量し
た。ラット1匹あたりの投与量が実験例2とほぼ同様で
あるにもかかわらず、投与後14日目においても血液中
のヒトインターフェロンアルファの濃度は133国際単
位/mlを維持していた。末端カルボキシル基をエチル
化した乳酸・グリコール酸共重合体を使用することによ
り、徐放性が良好であるとの結果が得られた。
【0077】本発明のエステルは、徐放性製剤用基剤と
して用いることができる。該徐放性製剤用基剤は、光,
熱,湿気,着色等に対して安定であり、かつ低毒性であ
る。本発明のエステルを用いて製造される徐放性製剤
は、薬物の長期間にわたる定常的な放出を示し、持続的
で安定な効果が得られる。しかも、徐放性製剤投与直後
における薬物の過剰放出が少ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 正久 神奈川県横浜市都築区中川1−2F1204 (72)発明者 佐野 淳典 埼玉県鶴ケ島市松ケ丘3丁目25−3

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−ヒドロキシモノカルボン酸からなり、
    重量平均分子量が約1,500ないし約50,000であり、末端
    カルボキシル基を有する直鎖状ポリエステルの末端カル
    ボキシル基におけるエステル。
  2. 【請求項2】乳酸−グリコール酸共重合体の末端カルボ
    キシル基におけるエステルである請求項1記載のエステ
    ル。
  3. 【請求項3】アルキルエステルである請求項1記載のエ
    ステル。
  4. 【請求項4】アルキルエステルが炭素数1ないし3のア
    ルキルエステルである請求項3記載のエステル。
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