JP4599567B2 - 温度応答性デプシペプチドポリマー - Google Patents

温度応答性デプシペプチドポリマー Download PDF

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Description

本発明は、新規な温度応答性材料に関する。更に詳しくは、バリン酸残基とアミノ酸残基が脱水縮合されてできたデプシペプチドを構成成分として持つ温度応答性ポリマーに関する。本発明のポリマーは、水または緩衝液中で温度に応答し凝集する性質を利用して、生体吸収性組成物、環境分解性組成物、細胞接着剤、マイクロカプセル、バイオマシン、バイオセンサー、分離膜、検査キットなどを構成するのに有用である。
(1)デプシペプチドおよび関連材料の現況:
(1a:アミノ酸を用いた材料)ポリアミノ酸は蛋白質のモデル物質として多くの研究が行われてきた。ポリアミノ酸は例えば、アミノ酸とホスゲンとの反応で得られるN-カルボキシアミノ酸無水物の開環重合によって容易に得ることができる(非特許文献1)。ポリアミノ酸を生体材料や土壌中での分解性材料として利用する研究はアミノ酸が天然由来の化合物であり生体内で容易に分解されるであろうとの考えから行われている(非特許文献2)。
ポリアミノ酸やオリゴアミノ酸は式1に示すように主鎖がアミド結合で連結された高分子であり、分子間または分子内で強固な水素結合を形成して安定な高次構造を持つことを特徴としている。多くの研究より製剤の容易さや生体分解性は分子間や分子内相互作用の強弱と密接に関連があるとわかった。
Figure 0004599567
実際、無極性の側鎖を持つポリアミノ酸やオリゴアミノ酸は溶融法や溶液法で成型加工することができない。しかし側鎖保護のなされた極性アミノ酸、例えばアスパラギン酸やグルタミン酸、を含むポリアミノ酸は溶融成型が可能であった。また有機溶媒にも比較的溶けやすい。これは強固な水素結合の形成が阻害されたため、成型加工が可能になったと考察されている(非特許文献3)。
しかしこの様にして成型された材料でも、生体分解速度の遅いことが欠点であった。例えばラット皮下に埋め込んだ場合、最も早い場合で90日後に35%しか分解が起きていない(非特許文献4)。よって主鎖のアミド結合間の水素結合によって分子間または分子内に強固な相互作用を持つポリアミノ酸やオリゴアミノ酸は、成型加工や分解性の点で生体材料としては適さないことがわかった。
(1b:ヒドロキシ酸を用いた材料) ポリヒドロキシ酸またはオリゴヒドロキシ酸は式2に示すように主鎖がエステル結合で連結された物質である。エステル結合は水素結合を形成することができないので、ポリヒドロキシ酸は分子間または分子内に強固な相互作用を持たない。そのためにポリヒドロキシ酸はポリアミノ酸より優れた生体内での分解性を示すことが期待される。
Figure 0004599567
実際にポリヒドロキシ酸は分子量の比較的低いもの(1万前後)に関しては溶融成型が比較的容易である。また生体内での分解速度は分子量に依存して大きく変化し、低分子量のものほど分解速度は速い。また生体内で完全に分解し消失する(非特許文献5)。
このような性質からポリヒドロキシ酸は、ポリ乳酸やポリ(乳酸-co-グリコール酸)(-co-は共重合化合物を示す記号)が臨床的にも生体材料として実用化されている。また逆に欠点も明らかになってきた。例えば、分解過程で多量の酸性成分を放出するため、体内に炎症をおこす、耐酸性のある物質しか生体材料として利用できない、分子間や分子内相互作用がほとんどないために機械的強度が低い、ことの3点である。
(1c:ヒドロキシ酸とアミノ酸を用いた材料) デプシペプチドは式3に示すように主鎖がエステル結合とアミド結合で連結されたポリマーまたはオリゴマーである。その構造の骨格はアミド結合とエステル結合からできている。
Figure 0004599567
骨格に含まれるアミド結合からは分子内と分子間に強い相互作用を起こし構造安定化や機械的強度による剛直性が期待される。またエステル結合からは相互作用が弱いまたは反発を起こしやすいために構造不安定化や機械的強度の減少による柔軟性が期待される。従ってデプシペプチドはアミノ酸やヒドロキシ酸によるオリゴマーやポリマーの特徴を生かした材料とすることができる。つまりアミノ酸とヒドロキシ酸の種類や組成、配列を変化させることで幅広い特性を持つ材料を合成することができる。このようにデプシペプチドは極めて魅力的な物質である。
実際にデプシペプチドについてはさまざまな研究が行われた。例えばヒドロキシ酸の側鎖をH-、CH3-、(CH3)2CH-、(CH3)2CH-CH2-のように疎水性と立体障害の大きさを変化させると生体内での分解速度が2週間から6ヶ月まで幅広く調節できることがわかっている。また生体組織との接合面に炎症はみられないことも特徴的である(非特許文献6)。
(2)温度応答性材料の現況:
近年、温度を上昇させることで凝集する温度応答性材料の研究に注目が集まっている。これらは水を多く含有する性質を利用して創傷被覆材料、マイクロカプセル、バイオマシン、バイオセンサー、分離膜などへの利用が期待されている。
(2a:ビニルポリマー) 温度応答性材料中でも最も研究が盛んであるのは、ポリ(N置換メタクリルアミド)またはポリ(N置換アクリルアミド)というビニルポリマーを主成分とした材料である(例えば、特許文献1〜6)。ビニルポリマーは生体内や土壌中での分解ができないためにこれを改良する研究も盛んである。例えばデンプン(特許文献7)、デキストラン(特許文献8)、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール(特許文献9)との共重合体が用いられているが、生体や土壌で分解されないビニルオリゴマーの残留は依然として問題となりうる。
(2b:その他の材料)
デプシペプチドのように種類や組成、配列を変化させることで製剤や分解性に幅広い特性を持たせることはできないものの、生体や土壌で安全な化合物にまで分解可能な材料が幾つか知られている。例えばポリエーテルエステル(特許文献10)、メチルセルロース(特許文献11)、ポリ(N-置換アスパラギン)(特許文献12)、デンプンまたはアルギン酸-ペプチド共重合体(特許文献13)である。特にメチルセルロース材料は市販の目薬成分として実用化されている。
近年発達した遺伝子組み換えによる方法も温度応答性材料の開発に用いられている(特許文献14または15)。これはエラスチンと呼ばれる蛋白質のモデル物質合成やその構造研究がもとになっている(非特許文献7)。これらはアミノ酸配列や組成を変化させて幅広い特性を持つ温度応答性材料とすることが可能である。主に用いられている基本配列は-Gly-Aaa-Gly-Baa-Pro-(配列番号1:Aaaはバリンをはじめとするほとんどのα−アミノ酸、Baaはバリンまたはイソロイシン)である。生体材料として用いる際の問題点としては菌体を破砕して抽出精製する際の、発熱物質と呼ばれる菌体由来の不純物の混入に注意しなくてはならない。また数グラム単位での合成には、数百リットル以上の大規模な培養設備が必要となる。
(3)温度応答性デプシペプチドの合成研究と問題点:
本発明の実施に於いて用いられるデプシペプチド単位の一態様、-Gly-Val-Gly-Hmb-Pro-(Hmb = バリン酸残基)は発明者らによって合成法が報告されている(非特許文献8)。しかし有機溶媒を含まない水系溶媒中で温度応答性を示す材料にならないと考えられた。なぜなら同じ文献には関連化合物であるBoc-(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)n-OBzl (n = 1-3) (Boc = t-ブトキシカルボニル、OBzl = ベンジルエステル)が報告されているが、これらは長さが短くかつ末端に保護基が付いていることもあり、ヘキサフルオロイソプロパノールを2.5%以上含有することによってしか水溶液にすることができず、従ってそれらの溶液に於いては目視や濁度による温度応答性は観測されなかったからである。そのためデプシペプチド単位、-Gly-X2-Gly-Hmb-Pro-(X2 = 任意のα−アミノ酸残基)は温度応答性を示す材料には不適であるとみなし、十分な検討がなされなかった。
特開平7-228639号公報 特開平8-143631号公報 特開平9-169850号公報 特開平10-273451号公報 特開2000-212144号公報 特開2000-344834号公報 特開2002-256075号公報 特開2003-252936号公報 特開平11-322941号公報 特開2000-80158号公報 特開2003-160473号公報 特開2004-35791号公報 特開2002-256075号公報 特表2001-514263号公報 特表2004-501784号公報 Journal of Organic Chemistry 1985年、50巻、715ページ Journal of Biomedical Materials Research、1977年、11巻、405ページ Journal of Macromolecular Science-Chemistry、1984年、A21巻、561ページ Macromolecular Chemie、1983年、184巻、1761ページ Biomaterials、1989年、10巻、569ページ Journal of Biomedical Materials Research、1990年、24巻、1173ページ Progress in Biophysics and Molecular Biology、1992年、57巻、23ページ Peptide Science 2003、日本ペプチド学会、2004年、177ページ
本発明の課題は、広範な特性の分子設計ができるデプシペプチドと温度応答性を組み合わせた新規な材料を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成するために新たな配列に着目した。即ち従来は不溶性のために注目されてこなかったエラスチン中の配列、-Gly-Val-Gly-Val-Ala-Pro-(配列番号2)に着目し、バリン酸に置換したデプシペプチド、-Gly-X1-Gly-Hmb-Ala-Pro-(X1は任意のα-アミノ酸残基)の合成を行った。最初にBoc-(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)n-OBzl(n = 1-6)の合成を行った。これらは特に3〜6量体(n = 3-6)に於いてカルボキシ末端やアミノ末端の保護基を外すことにより容易に水溶液となり目視による明瞭な温度応答性を示すことが確認された。つづいて重合化合物(例えばpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro))や共重合化合物(例えばpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala- Pro)-co-(Gly-Lys(Z)-Gly-Val-Ala-Pro)))などの誘導体を合成し、その温度応答性を確認した。
そこで再び当初のデプシペプチド単位、-Gly-X2-Gly-Hmb-Pro-(X2は任意のアミノ酸残基)をもつ化合物(例えばpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro))について検討したところ当初の予想と異なり水溶性があり、水系溶媒中での温度応答性を見出した。そのためpoly(Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro)やpoly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)などの関連化合物の合成を行った。このように種々のバリン酸残基を含むデプシペプチドについて鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)
-R1-Hmb-R2- (I)
(式中、Hmbは下記式(II)のバリン酸残基を示し、R1はエステル結合で結合したアミノ酸、ポリペプチドまたはヒドロキシ酸、R2はアミド結合で結合したアミノ酸もしくはポリペプチド、またはエステル結合で結合したヒドロキシ酸を表す)
Figure 0004599567
で表される繰り返し単位を有し、アミノ酸残基及びヒドロキシ酸残基の総数が18以上であるポリマー化合物を提供する。
具体的には、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が-Gly-Hmb-を含むポリマー化合物が好ましく、上記一般式(I)が-Gly-Hmb-Pro-または-Gly-Hmb-Ala-Pro-を含むポリマー化合物がより好ましく、上記一般式(I)が、-Gly-X1-Gly-Hmb-Ala-Pro-または-Gly-X2-Gly-Hmb-Pro-
(X1及びX2はα−アミノ酸残基を示す)であるポリマー化合物が特に好ましい。
本発明のポリマー化合物はまた、上記ポリマー化合物の末端に糖鎖配列、タンパク質、多糖、金属錯体または高分子担体、ゲル、フィルム、ラテックス粒子、金属微粒子、プラスチックプレートが結合したものであってもよい。
本発明はさらに、上記のいずれかのポリマー化合物を含む温度応答性組成物を提供する。
図1は本発明の一実施態様である、poly[(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)n-co- (Gly7-Lys(Z)8- Gly9-Val0-Ala11-Pro12)1-n]についてDMSO-d6中30℃で測定した500MHz 1H NMRスペクトルである。 図2は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)をMALDI-TOF質量分析法により測定したスペクトルである。 図3は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(1 mg/1000μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、40〜60℃の間で10℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に測定された、温度変化円偏光二色性スペクトルである。 図4は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、25℃に維持した際の写真である。 図5は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、55℃に維持した際の写真である。 図6は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、40〜57℃の間で1℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に500 nmの波長で見かけ上の吸光度を測定し、プロットしたグラフである。縦軸は見かけの吸光度、横軸は温度(℃)を示す。 図7は本発明の一実施態様である、poly[(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)-co-(Gly- Lys(Z)-Gly-Va-Ala-Pro)]の水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、33〜50℃の間で1℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に500 nmの波長で見かけ上の吸光度を測定し、プロットしたグラフである。縦軸は見かけの吸光度、横軸は温度(℃)を示す。 図8は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)の水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、20〜30℃の間で1℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に500 nmの波長で見かけ上の吸光度を測定し、プロットしたグラフである。縦軸は見かけの吸光度、横軸は温度(℃)を示す。 図9は本発明の一実施態様である、TFA・H-(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)5-OHの水溶液(1 mg/50μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、47〜59℃の間で1℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に500 nmの波長で見かけ上の吸光度を測定し、プロットしたグラフである。縦軸は見かけの吸光度、横軸は温度(℃)を示す。 図10は本発明の実施態様である、X-(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)n-Yの水溶液(濃度:1.0 mg/20μl)を直径5mmのガラス管に入れ、80℃で加温した際の凝集の様子を記載した。++は強い凝集を、+は凝集を、−は凝集が見られないことを、×は水に難溶なため検査できないことを示す。 図11は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)の水溶液(0.1 mg/1000μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、−10〜40℃の間で10℃毎に温度上昇させ、各温度での温度平衡になった際に測定された、温度変化円偏光二色性スペクトルである。 図12は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(10 mg/1000μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、0℃と20℃に維持した際の写真である。 図13は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(10 mg/1000μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、0〜20℃の間で1℃毎に温度を上昇または下降させ、各温度での温度平衡になった際に、500 nmの波長を用いて透過率(%)を測定した。グラフの縦軸は濁度(100-透過率(%))として記載した。横軸は温度(℃)を示す。 図14は本発明の一実施態様である、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の水溶液(20 mg/1000μl)を1 mm厚の石英製吸収スペクトル用セルに入れ、0〜20℃の間で1℃毎に温度を上昇または下降させ、各温度での温度平衡になった際に、500 nmの波長を用いて透過率(%)を測定した。グラフの縦軸は濁度(100-透過率(%))として記載した。横軸は温度(℃)を示す。
本発明の化合物は、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、アミノ酸残基及びヒドロキシ酸残基の総数が18以上であるポリマー化合物である。
-R1-Hmb-R2- (I)
ここで、R1はエステル結合で結合したアミノ酸、ポリペプチドまたはヒドロキシ酸を表し、R2はアミド結合で結合したアミノ酸もしくはポリペプチド、またはエステル結合で結合したヒドロキシ酸を表す。また、Hmbは下記式(II)のバリン酸残基を示す。
Figure 0004599567
R1及びR2に含まれるアミノ酸(ポリペプチドを構成するものも含む)はα−アミノ酸が好ましい。また、側鎖が修飾されたもの、側鎖にペプチドなどが結合したものなどであってもよい。また、R1及びR2がポリペプチドの場合、アミノ酸の数が1〜20個のものが好ましく、2〜9個のものがより好ましい。
R1及びR2に含まれるアミノ酸(ポリペプチドを構成するものも含む)の種類は、温度応答性組成物の成分に合わせて、応答温度や溶解性や膨潤性の調節を目的として選択が行われる。例えば一般に電荷を帯びることがなければ、アミノ酸X1側鎖の疎水性が大きいほど応答温度が低温側へ、親水性が大きいほど高温側に調節することが可能である。これは発明者らの関連研究(例えばMacromolecules、1998年、31巻、3383ページ;Macromolecules、1996年、29巻、1065ページなど)やウリーらの研究例(特表2004-501784)により明らかである。
ヒドロキシ酸とは水酸基を有するカルボン酸を意味し、式(III)で表されるバリン酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸などが挙げられる。
Figure 0004599567
本発明のポリマー化合物は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が-Gly-Hmb-を含むものが好ましく、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が-Gly-Hmb-Pro-または-Gly-Hmb-Ala-Pro-を含むものがより好ましい。
一般式(I)の繰り返し単位としてより具体的には、-Gly-X1-Gly-Hmb-Ala-Pro-、-Gly-X2-Gly-Hmb-Pro-などが挙げられる。ここで、X1 、X2は任意のα−アミノ酸残基を示している。ただし、繰り返し単位はこれらのものには限定されない。
本発明のポリマー化合物は上記構造単位が複数回繰り返された構造を有する化合物である。ポリマー化合物の構造は直鎖状構造が好ましいが、アミノ酸側鎖から分岐した分岐鎖を有するものであってもよい。
繰り返しの回数は化合物に含まれるアミノ酸残基及びヒドロキシ酸残基の総数が18個以上であれば特に制限されず、繰り返し回数が2〜10個程度のオリゴマーであってもよい。なお、本発明のポリマー化合物に含まれるアミノ酸残基及びヒドロキシ酸残基の総数は好ましくは1000個以下、より好ましくは500個以下である。本発明のポリマー化合物は分子量1500〜10万であることが好ましく、1500〜5万であることがより好ましい。なお、本発明のポリマー化合物のN末端及びC末端の少なくとも一方のアミノ酸残基が脱保護された場合、水系環境への溶解に、より適している。
本発明のポリマー化合物は、一般式(I)の繰り返し単位を2種類以上含むものであってもよいし、一般式(I)の繰り返し単位と他の繰り返し単位、例えばポリペプチドなどを含むものであってもよい。
本発明のポリマー化合物は、例えば、まず、繰り返し単位の化合物(デプシペプチド)を合成し、これを重合させることにより得ることができる。重合は通常のアミド縮合反応によって行うことができるが、反応性側鎖を有するアミノ酸が含まれる場合は側鎖を保護して重合反応を行うことが好ましい。
また、セグメント縮合と呼ばれる一単位ずつの伸長反応を用いることもできる。
本発明のポリマー化合物は、末端に他の化合物や材料が結合したものであってもよい。末端はアミノ末端側とカルボキシ末端側のいずれか一方でもよいし、両方でもよい。
他の化合物や材料には、ヒドロキシ酸配列、アミノ酸配列、糖鎖配列、タンパク質、多糖、金属錯体または高分子担体、ゲル、フィルム、ラテックス粒子、金属微粒子、プラスチックプレートなどを使用することができる。他の化合物や材料とは、共有結合、配位結合、イオン結合、疎水性相互作用、水素結合などで結合させることができる。
本発明の化合物は温度応答性を有しているものが好ましい。温度応答性とは、例えば、水中または緩衝液中において、低温側の第一の温度から高温側の第二の温度まで加温されることで凝集する性質をいう。第一の温度、第二の温度はポリマー化合物に含まれるアミノ酸の種類や末端に結合させる他の化合物の種類によって異なり、ポリマー化合物ごとに適宜設定されるが、第二の温度と第一の温度の差は10℃以上であることが好ましい。
例えば、応答のゆっくりしたポリマー化合物の場合、第二の温度と第一の温度の差は30℃位必要である。これは図4と図5に示されるように、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)は25℃から55℃に加温することで凝集が観測される。
また例えば、応答がより早いポリマー化合物の場合、第二の温度と第一の温度の差は10〜20℃位で十分である。これは図12に示されるように、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)は0℃から20℃に加温することで明瞭に凝集が観測される。
なお、凝集は目視、分光光度計を用いた透過率変化やみかけ上の吸光度変化などによって確認することができる。
このような性質により、本発明のポリマー化合物は温度応答性組成物の製造に用いることができる。
温度応答性組成物は、本発明のポリマー化合物または上記他の化合物や材料に結合した本発明のポリマー化合物を単独、または、生理学的に許容される担体と組み合わせて使用される。
生理学的に許容される担体は、特に制限されず、粉体、散剤などの固形剤であってもよいが、本発明のポリマー化合物は、通常、液体の担体と組み合わせることにより液剤として利用される。すなわち、液剤の担体としては、水、生理食塩水、緩衝液(リン酸緩衝液など)、アルコール水溶液(エタノール水溶液など)、多価アルコール水溶液(5%グリセリン水溶液、エチレングリコール水溶液、プロピレングリコール水溶液など)、糖水溶液(5%グルコース水溶液、ブドウ糖水溶液など)、アルブミン水溶液(5%アルブミン溶液など)などが例示できる。なお、液剤は、溶液剤、懸濁剤、乳剤、軟膏剤、エアゾール剤、貼付剤(パスタ剤、パップ剤)などであってもよい。液剤中の温度応答性材料 (又は温度応答性重合体)の濃度は、重合体の溶液粘度などに応じて、例えば、0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜30重量%(例えば、1〜15重量%)、特に1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
温度応答性組成物は、生理的又は薬理的に許容される種々の添加剤、例えば、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(セルロースエーテル類など)などの高分子、保存剤、安定剤、乳化剤や懸濁化剤、pH調整剤、緩衝剤、薬剤(殺菌剤、消毒剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、鎮痛剤、止血剤など)などを含んでいてもよい。
本発明の温度応答性組成物は、温度に応答して凝集する(例えば、液体からゲルへ変化する)という性質を有しており、さらに生体内での安全性が高いという利点もある。そのため、生体(例えば、患部など)への適用により、塗布部にゲル状の皮膜を形成できる。本発明のポリマーや組成物は生体内で分解吸収される組成物、土壌などの環境下で分解吸収される組成物、細胞接着剤、創傷被覆材料、マイクロカプセル、バイオマシン、バイオセンサー、分離膜、検査キットなどを構成するのに利用できる。これは発明者らの関連研究を踏まえれば容易に開発することが可能である(例えば、吉田ら、Advanced Materials、1997年、9巻、757ページ;廣木ら、Journal of Polymer Science、1998年、36巻、1495ページ;特開平7-233194;吉田ら、Drug Design and Delivery、1991年、7巻、159ページ;真下ら、北関東医学、1991年、41巻、311ページ)。
以下本発明の実施態様である、-Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro-ユニットの合成方法、およびこれらを用いて得られる、2〜6量体 -(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)n- (n = 1-6)、重合化合物 poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)、共重合化合物 poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)- co-(Gly-Lys(Z)-Gly-Val-Ala-Pro))の合成方法をについて合成の詳細をそれぞれ実施例1〜4に示す。またその他の実施態様として、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro) とpoly(Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro)とpoly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro) について合成の詳細をそれぞれ実施例5〜7に示す。また実施に於いて共通した操作は合成手順1〜3として示した。しかし以下の具体例は本発明を限定するものではなく、例えば保護基や縮合剤を他の慣用のものと置換することなど、適宜変更できることは勿論である。
その他のデプシペプチド単位、つまり例えば、-Gly-X1-Gly-Hmb-Pro-や-Gly-X2-Gly-Hmb-Pro-に於けるX1とX2への任意のアミノ酸残基の導入は実施例のNα-t-ブトキシカルボニル-L-バリンに代えて、対応するNα-t-ブトキシカルボニル-アミノ酸を使用することで同様に実施される。
なお、以下の実施例では次のような略号を使用した。
(アミノ酸誘導体)
Boc-Gly-OH:Nα-t-ブトキシカルボニル-グリシン
Boc-Ala-OH:Nα-t-ブトキシカルボニル-L-アラニン
Boc-Val-OH:Nα-t-ブトキシカルボニル-L-バリン
Boc-Thr-OH:Nα-t-ブトキシカルボニル-L-トレオニン
Boc-Lys(Z)-OH:Nα-t-ブトキシカルボニル-Nε-ベンジルオキシカルボニル-L-リジン
HCl・H-Pro-OBzl:L-プロリン ベンジルエステル 塩酸塩
(アミノ酸の主鎖および側鎖保護基)
Boc:tert-ブトキシカルボニル(t-Bu-O-CO-)
OBzl:ベンジル(-O-CH2-C6H5
(ペプチド合成用試薬、その関連化合物)
DCC:N,N'-ジクロロへキシルカルボジイミド
DCUrea:ジシクロへキシルウレア
HOSu:N-ヒドロキシスクシンイミド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
TFA:トリフルオロ酢酸
(Boc)2O:ジ-t-ブチルカルボネート
NMM:N-メチルモルフォリン
EDC・HCl:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩
DMAP:N,N'-ジメチルアミノピリジン
(溶媒)
THF:テトラヒドロフラン
CHCl3:クロロホルム
CDCl3:重水素化クロロホルム
AcOEt:酢酸エチル
DMF:N,N'-ジメチルホルムアミド
DMSO-d6:重水素化ジメチルスルホキシド
MeOH:メタノール
Et2O:ジエチルエーテル
(その他)
TLC:薄相クロマトグラフィー
[合成手順1:Boc-L-アミノ酸の合成]
L-アミノ酸または側鎖を保護したL-アミノ酸(1.0 mol)を4M NaOH (250 ml, 1.0 mol)に溶かし、氷-MeOHで徐々に冷却しながら最小量のジオキサンに溶かした(Boc)2O (240.0 g, 1.1 mol)を30分かけて徐々に加えた。氷浴で1時間、室温で1時間半攪拌した。析出したNa2CO3をろ去し、Na2SO4で乾燥させた。ろ過後ろ液を減圧濃縮し、残渣をヘキサンで結晶化させた。その後、AcOEt-ヘキサンで再結晶を行い、Boc-L-アミノ酸を得た。
[合成手順2:アミノ基末端の脱保護反応、脱Boc化合物の合成]
アミノ基をN-α-t-ブトキシカルボニル保護したペプチド化合物を300 mlナスフラスコに入れドラフト内でTFA(または4M HClのジオキサン溶液)を加え溶解させた。直ちに塩化カルシウム管で蓋をし、水分の混入を防いだ。TLCにより反応の終了を確認後、濃縮しTFA臭(または塩酸臭)がなくなるまで繰り返し蒸留Et2Oを加えて濃縮すると最終的にTFA塩(または塩酸塩)の白色粉末を得る。収率は、ほぼ定量的である。
[合成手順3:縮合反応]
アミノ基をN-α-t-ブトキシカルボニルで保護し、カルボキシル末端を脱保護したペプチド化合物 (2.1 mmol) を300 ml 三角フラスコに入れ蒸留CHCl3に溶かし、HOBt (0.28 g, 2.1 mmol)、EDC・HCl (0.40 g, 2.1 mmol)(またはDCC (0.43 g, 2.1 mmol ))を加え攪拌した。次に300 mlのナスフラスコにアミノ基を上記合成手順2で脱保護しTFA塩のペプチド化合物 (1.4 mmol) を入れNMMでTFA塩を中和する。ほぼ等モル(0.15 ml, 1.40 mmol)で中和を確認できるが、結晶性が悪い塩の場合やや多くなることがある。二つの溶液を混合攪拌しながら、直ちに氷冷し反応を開始した。そのままゆっくり室温に戻して一晩攪拌する。この混合物をエバポレーターにより濃縮しAcOEtに溶かしてから、(DCCを使用した場合はAcOEtに不溶のDCUreaを除く)10%クエン酸、蒸留水飽和NaHCO3蒸留水、飽和食塩水で洗浄を行いNa2SO4で乾燥し濃縮してオイル状または無色粉末の縮合生成物を得る。これを、シリカゲルクロマトグラフィー(蒸留CH3Cl-石油エーテル)またはゲルろ過クロマトグラフィー(ファルマシア製LH20、DMFまたはMeOH)により精製する。無色粉末の場合はAcOEt-蒸留Et2Oや蒸留CH3Cl-石油エーテルの溶媒系を用いて再結晶により精製しても良い。収率はおおよそ70-90%の範囲で得ることができる。
[実施例1]
(1)Boc-Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro-OBzlの合成
(1a:バリン酸の合成) 1 L三口丸底フラスコにバリン (835 g, 0.5 mol )を入れ1M H2SO4 500 ml (18 M H2SO4 27.7 ml) に蒸留水を加えて500mlに溶かした。次に氷冷攪拌下で0℃以下のまま、亜硝酸ナトリウム飽和水溶液2等量 (69.17 g) を2時間かけて加えた。泡がでなくなるまで攪拌後、Et2O (約1L)で抽出した。NaHCO3で乾燥後、濃縮し白色の結晶を得た。収量:45.7 g (77.5%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 4.15 (1H, Hmb αCH); 2.09 (1H, HmbβCH); 1.50, 1.00 (6H, HmbγCH 3).
(1b:Boc-Gly-OSuの合成)
Boc-Gly-OH (1.54 g, 8.82 mmol) を500 mlのナスフラスコに入れ蒸留CHCl3に溶かし、DCU ( 2.18 g, 10.58 mmol)、HOSu (1.21 g, 10.58 mmol) を入れ冷却下で攪拌を開始した。一晩放置後、TLCにより反応の終了を確認後、濃縮しDCUreaをろ過した後、AcOEtに溶かし再度析出したDCUreaをろ過した。その後、濃縮しAcOEt-蒸留Et2Oによる再結晶を2回行いBoc-Gly-OSuを得た。収量:1.74 g (63.9%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 5.04 (1H, Boc-Gly NH); 4.27, 4.23 (2H, Gly αCH2); 2.79 (4H, OSu); 1.40 (9H, Boc t-Bu).
(1c:Boc-Gly-Hmb-OHの合成)
Boc-Gly-OSu (1.00 g, 3.7 mmol) を500 mlナスフラスコに入れ、蒸留THFに溶かし、さらにDMAP (0.040 g, 0.37 mmol)を入れ溶かした。次に300mlナスフラスコにバリン酸 (0.52 g, 4.4 mmol)を入れ蒸留THFに溶かしピリジン (0.29 ml, 4.4 mmol)を入れカルボキシ末端側を保護した。2つの溶液を混ぜ合わせ冷却下で攪拌した。TLCで反応終了を確認後、濃縮しAcOEtを入れ希釈したのち、1M HCl水溶液、蒸留水で洗浄後、飽和NaHCO3水溶液により生成物を抽出し2M HCl水溶液でpH2〜3にした後、再度AcOEtで抽出し溶媒転換を行った。その後蒸留水と飽和NaCl水溶液で洗浄、Na2CO3で乾燥させた後、濃縮し無色オイル状生成物を得た。収量:1.1 g (ほぼ定量的). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 9.25 (1H, Hmb -COOH); 6.40, 5.12 (1H, Boc-Gly NH); 4.95 (1H, Hmb αCH); 4.13, 4.11 (1H, Gly αCH2); 2.28 (1H, HmbβCH); 1.50 (9H, Boc t-Bu); 1.02 (6H, HmbγCH 3).
(1d:HCl・H-Pro-OBzlの合成)
排気フード内で1L三口丸底フラスコにベンジルアルコール (100 mL) を入れ冷却攪拌する。そこへ塩化チオニル (50.0 g, 0.420 mol) を1時間かけて滴下する。つづいてプロリン (22.0 g, 0.190 mmol) を加えて、ゆっくり室温に戻しそのまま3日間攪拌を続けた。ベンジルアルコールをロータリーエバポレーターで除き、蒸留Et2Oを加えて結晶化させた。精製は熱エタノールより再結晶を繰り返すことで行った。収量:20.87 g (45.5%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.30 (5H, -OBzl C6H5); 5.21 (2H, OBzl -CH2-); 4.80 (1H, Pro αCH); 3.51 (2H, ProδCH 2); 2.20, 1.90 (2H, ProβCH 2); 1.99 (2H, ProγCH 2).
(1e:Boc-Ala-Pro-OBzlの合成)
Boc-Ala-OH (9.4 g, 50 mmol)を蒸留CHCl3に溶かしDCC (10 g, 50 mmol) を加えた。別のナスフラスコにHCl・H-Pro-OBzl (10 g, 41 mmol)の蒸留CHCl3溶液を用意しNMM (4.5 ml, 41 mmol)で中和した。両者を氷冷下で混合攪拌し縮合反応を開始した。そのままゆっくりと室温へ戻し終夜攪拌した後、系を濃縮した。残渣にEtOAcを加え、析出するDCUreaを繰り返し除いた。溶液は10%クエン酸、蒸留水飽和NaHCO3蒸留水、飽和食塩水で洗浄を行いNa2SO4で乾燥し濃縮して無色粉末を得た。これをAcOEt-蒸留Et2Oによる再結晶で精製した。収量:13.2 g (85%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.33 (5H, -OBzl C6H5); 5.36 (1H, Ala NH); 5.14 (2H, OBzl -CH2-); 4.58 (1H, Pro αCH); 4.45 (1H, Ala αCH); 3.60 (2H, ProδCH 2); 2.20, 1.90 (2H, ProβCH 2); 1.99 (2H, ProγCH 2); 1.41 (9H, Boc t-Bu); 1.28 (3H, AlaβCH 2).
(1f:Boc-Gly-Hmb-Ala-Pro-OBzlの合成)
Boc-Gly-Hmb-OH (4.59 g, 16.6 mmol)、HOBt (2.25 g, 16.6 mmol)、EDC・HCl (3.17 g, 16.6 mmol)、HCl・H-Ala-Pro-OBzl (4.15 g, 13.34 mmol)、NMM (1.46 ml, 13.34 mmol)を使用し、縮合反応を行った。この後、CHCl3:MeOH=97:3の展開溶媒でシリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行い、オイル状目的物を得た。
収量:3.91 g (54.9%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.35, 7.14 (2H, Ala NH, Gly NH); 7.35 (5H, -OBzl, C6H5); 5.15 (2H, -OBzl, -CH2-); 5.08 (Hmb αCH); 4.70 (1H, Ala αCH); 4.57 (1H, Pro αCH); 4.02 (2H, Gly αCH2); 2.27, 2.00 (2H, ProβCH 2); 2.00 (1H, ValβCH); 1.35 (3H, AlaβCH 2); 1.45 (9H, Boc t-Bu); 0.93 (6H, ValγCH 3); 2.00 (2H, ProγCH 2); 3.65 (2H, ProδCH 2), 0.98 (9H, Boc t-Bu).
(1g:Boc-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro-OBzlの合成)
Boc-Val-OH (0.52 g, 2.41 mmol)、HOBt (0.32 g, 2.41 mmol)、EDC・HCl (0.46 g, 2.41 mmol)、TFA・H-Gly-Hmb-Ala-Pro-OBzl (1.02 g, 1.87 mmol)、NMM (0.20 ml, 1.87 mmol) を使用し、縮合反応を行い、オイル状の生成物を得た。収量:1.18 g (77.1%). 1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.34 (5H, -OBzl C6H5); 7.12 (1H, Ala NH); 6.80 (1H, Gly NH); 5.38 (1H, Val NH); 5.15 (2H, -OBzl -CH2-); 5.07 (1H, Hmb αCH); 4.72 (1H, Ala αCH); 4.61 (1H, Pro αCH); 4.21 (1H, Val αCH); 4.05 (2H, Gly αCH2); 2.21 (2H, ProβCH 2); 2.09 (1H, HmbβCH); 1.95 (1H, ValβCH); 1.29 (3H, AlaβCH 3); 2.00 (2H, ProδCH 2); 0.90, 0.81 (12H, ValγCH 3, HmbγCH 3); 3.64, 3.50 (2H, ProδCH 2); 0.98 (9H, Boc t-Bu).
(1h:Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OBzlの合成)
Boc-Gly-OH (0.369 g, 2.11 mmol) HOBt (0.284 g, 2.11 mmol)、EDC・HCl (0.40 g, 2.11 mmol)、TFA・H-Val-Gly-Hmb-Ala- Pro-OBzl (0.90 g, 1.40 mmol)、NMM (0.15 ml, 1.40 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はゲルろ過クロマトグラフィーにより行った。収量:0.39 g(40%、オイル状生成物)。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):8.47 (1H, Gly3 NH); 8.14 (1H, Ala5 NH); 7.63 (1H, Val2 NH); 6.98 (1H, Gly NH); 7.34 (5H, -OBzl C6H5); 5.09 (2H, -OBzl -CH2-); 4.76 (1H, Hmb4 αCH); 4.50 (1H, Ala5 αCH); 4.33 (1H, Pro6 αCH); 4.21 (1H, Val2 αCH); 3.90, 3.58 (4H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.20 (2H, Pro6 CH2); 2.10, 2.00 (2H, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.18 (3H, Ala5βCH 3); 2.00 (2H, Pro6γCH 2); 0.86 (12H, Val2γCH 3, Hmb4γCH 3); 3.56 (2H, Pro6δCH 2).
[実施例2]
(2)Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)n-OBzl (n = 2〜6) の合成
(2a:Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OHの合成)
500mlのナスフラスコにBoc-Gly1- Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OBzl (1.14 g, 1.65mmol) を入れ、MeOHに溶解させ、パラジウムカーボン粉末を加えた。装置を組み立てた後、ナスフラスコをH2で満たしてから攪拌し、接触還元反応を開始した。液面の上昇より反応の進行を確認しつつTLCにより原料のスポットが消えたことで反応の終了とした。その後、パラジウムカーボン粉末を除去しろ液を濃縮した。その後、ベンゼンを加えて共沸を行った。残渣に蒸留CH3Cl-石油エーテルを加え結晶化させた。収量:9.28 g(93%)、[α]D 20:-87.4 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:117-119 °C. 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):12.39 (1H, OH); 8.51 (1H, Gly3 NH); 8.14 (1H, Ala5 NH); 7.63 (1H, Val2 NH); 6.99 (1H, Boc-Gly1 NH)
; 4.77 (1H, Hmb4 αCH); 4.49 (1H, Ala5 αCH); 4.21 (2H, Pro6 αCH, Val2 αCH); 3.89, 3.60 (4H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.00 (4H, Pro6-γ, βCH 2); 1.18 (2H, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.37 (9H, Boc t-Bu); 0.85 (12H, Val2γCH 3, Hmb4γCH 3); 3.50 (2H, Pro6δCH 2).
(2b:Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)2-OBzlの合成)
TFA・H-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6-OBzl (0.28 g, 0.41 mmol)、NMM (0.04 ml, 0.41 mmol)、Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6-OH (0.25 g, 0.41 mmol)、EDC・HCl (0.09 g, 0.41 mmol)、HOBt (0.06 g, 0.41 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製は蒸留CHCl3-蒸留Et2Oの溶媒系で再結晶を繰り返すことで行った。収量:0.37 g (75.8%)、[α]D 20:-101.2 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:123-126°C. 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.40 (2H, Gly3 NH); 8.14 (3H, Ala5 NH, Gly1 NH); 7.61 (2H, Val2 NH); 6.99 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.33 (5H, -OBzl C6H5); 5.09 (2H, -OBzl -CH2-); 4.77 (2H, Hmb4 αCH); 4.50 (2H, Ala5 αCH); 4.38, 4.28 (2H, Pro6 αCH); 4.23 (2H, Val2 αCH); 3.92, 3.52 (8H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.09 (1H, Hmb4βCH); 1.86 (1H, Val2βCH); 2.18, 1.95 (2H, Pro6βCH 2); 1.19 (6H, Ala5βCH 3); 1.17 (9H, Boc t-Bu); 0.86 (24H, Val2γCH 3, Hmb4γCH 3); 1.98 (4H, Pro6γCH 2); 3.57 (4H, Pro6δCH 2).
(2c:Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)3-OBzlの合成)
TFA・H-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6)2-OBzl (0.33 g, 0.28 mmol)、(0.03 ml, 0.28 mmol)、Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5- Pro6-OH (0.16 g, 0.28 mmol)、EDC・HCl (0.04 g, 0.27 mmol)、HOBt (0.03 g, 0.28 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はゲルろ過クロマトグラフィーにより行った。収量:0.37 g (80%)、[α]D 20:-110.6 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:152-154°C. 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.48 (3H, Gly3 NH); 8.12 (5H, Ala5, Gly3 NH); 7.62 (3H, Val2 NH); 6.99 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.34 (5H, -OBzl C6H5); 5.09 (2H, -OBzl -CH2-); 4.77 (3H, Hmb4 αCH); 4.51 (3H, Ala5 αCH); 4.29, 4.20 (3H, Pro6 αCH); 4.23 (3H, Val2 αCH); 3.91, 3.70 (12H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.00, 2.20 (6H, Pro6βCH 2); 1.85, 2.00 (6H, Val2βCH, HmbβCH); 1.37 (9H, Boc t-Bu); 2.05 (6H, Pro6γCH 2); 0.89 (36H, Val2, Val4, HmbγCH 3); 3.58 (6H, Pro6δCH 2).
(2d:Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)4-OBzlの合成)
TFA・H-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6)3-OBzl (0.34 g, 0.20 mmol)、NMM (0.02 ml, 0.20 mmol)、 Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6-OH (0.12 g, 0.30 mmol)、EDC・HCl (0.05 g, 0.30 mmol)、HOBt (0.04 g, 0.30 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はゲルろ過クロマトグラフィーにより行った。収量:0.34 g, 77%、[α]D 20:-114.2 deg. (MeOH, c 0.1)、融点150-156°C. 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):8.46 (4H, Gly3 NH); 8.14 (7H, Ala5, Gly1 NH); 7.63 (4H, Val2 NH); 6.98 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.35 (5H, -OBzl, C6H5); 5.09 (2H, -OBzl, -CH2-); 4.75 (4H, Hmb4 αCH); 4.50 (4H, Ala5 αCH); 4.29, 4.18 (4H, Pro6 αCH); 4.18 (4H, Val2 αCH); 3.92, 3.71 (16H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.0 (24H, Pro6βCH 2, Pro6γCH 2, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.18 (12H, Ala5βCH 3); 1.37 (9H, Boc t-Bu); 0.84 (48H, Val2γCH 3); 2.00 (8H, Pro6δCH 3); 3.53 (8H, Pro6δCH 2).
(2e:Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)5-OBzlの合成)
TFA・H-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6)4-OBzl (0.34 g, 0.15 mmol)、NMM (17μl, 0.15 mmol)、Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5- Pro6-OH (0.11 g, 0.19 mmol )、EDC・HCl (0.03 g, 0.19 mmol)、HOBt (0.02 g, 0.19 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はゲルろ過クロマトグラフィーにより行った。収量:0.28 g (67%)、[α]D 20:-113.8、融点:159-162°C. 1H NMR (DMSO-d6, 300MHz):8.45 (5H, Gly3 NH); 8.11 (9H, Ala5, Gly1 NH); 7.60 (5H, Val2 NH); 6.94 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.33 (5H, -OBzl -C6H5); 5.04 (2H, -OBzl -CH2-); 4.75 (5H, Hmb4 αCH); 4.50 (5H, Ala5 αCH); 4.26 (5H, Pro6 αCH); 4.17 (5H, Val2 αCH); 3.90, 3.69 (20H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.00 (30H, Pro6βCH 2, Pro6γCH 2, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.19 (15H, Ala5βCH 3); 1.36 (9H, Boc t-Bu); 0.84 (60H, Val2γCH 3, Hmb4γCH 3); 2.00 (10H, Pro6γCH 2); 3.44 (10H, Pro6δCH 2).
(2f:Boc-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)6-OBzlの合成)
TFA・H-(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4- Ala5-Pro6)5-OBzl (0.28 g, 0.10 mmol)、NMM (11.7μl, 0.10 mmol)、Boc-Gly1-Val2-Gly3-
Hmb4-Ala5-Pro6-OH (0.07 g, 0.12 mmol)、EDC・HCl ( 0.01 g, 0.12 mmol)、HOBt (0.01 g, 0.12 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はゲルろ過クロマトグラフィーにより行った。収量:0.10 g (33%)、[α]D 20:-120.1 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:164-166°C.
[実施例3]
(3)poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の合成
(3a:Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OSuの合成)
Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6- OH (0.38 g, 0.63 mmol) を蒸留DMFに溶かしDCC (0.14 g, 0.69 mmol) とHOSu (0.08 g, 0.69 mmol) を入れ氷冷下で攪拌を開始した。一晩後、TLCにより反応の終了を確認後、DCUreaを除去したのち濃縮すると白色粉末を得た。収量:0.35.g(80%)。1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):8.50 (1H, Gly3 NH); 8.23 (1H, Ala5 NH); 7.63 (1H, Val2-NH); 6.99 (1H, Boc-Gly1 NH); 4.78 (1H, Hmb4 αCH); 4.71 (1H, Pro6 αCH); 4.52 (1H, Ala5 αCH); 4.23 (1H, Val2 αCH); 3.92, 3.60 (4H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.79 (4H, -OSu); 2.00 (4H, Pro6βCH 2, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.21 (3H, Ala5βCH 3); 1.37 (9H, Boc t-Bu); 0.88 (12H, Val2γCH 3, Hmb4γCH 3); 2.00 (2H, Pro6γCH 2), 3.57 (2H, Pro6δCH 2).
(3b:TFA・H-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OSuの合成)
Boc-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5- Pro6-OSu (0.20 g, 0.28 mmol) をTFAによりアミノ基末端を脱保護し白色粉末を得た。収量:0.18 g(89%)。1H NMR (DMSO-d6, 300MHz):8.60 (1H, Gly3 NH); 8.45 (1H, Ala5 NH); 8.25 (1H, Val2 NH); 7.94 (1H, Boc-Gly1 NH); 4.78 (1H, Hmb4 αCH); 4.70 (1H, Pro6 αCH); 4.51 (1H, Ala5 αCH); 4.29 (1H, Val2 αCH); 3.95, 3.50 (4H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.79 (4H, OSu); 2.00 (6H, Pro6βCH 2, Pro6γCH 2, Val2βCH, Hmb4βCH); 1.21 (3H:Ala5βCH 3); 0.88 (12H, Val2γCH 2, Hmb4γCH 2); 3.50 (2H, Pro6δCH 2).
(3c:poly(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)の合成、蒸留DMF中の重合反応)
TFA・H-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OSu (0.18 g, 0.25 mmol) を100 mlナスフラスコに入れ蒸留DMFに溶かし攪拌を開始した。系中へテトラエチルアミン (139μl, 0.25 mmol) を滴下し、重合を開始した。2週間後、溶液がゲル化した時点で質量分析法により分子量を確認した。更に高分子量化させるため、EDC・HCl (0.05 g, 0.25 mmol) とHOBt (0.03 g, 0.25 mmol) を加え再度、2週間攪拌を行った。その後、分子量3500以下を通す半透膜で透析を1週間行い凍結乾燥により目的物を得た。収量:15 mg(8%)、融点172-180°C.
(3d:poly(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)の合成、蒸留ジオキサン中の重合反応)
TFA・H-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OSu( 0.80 g, 1.12 mmol )を100 mlナスフラスコに入れ蒸留Dioxaneに溶かし攪拌を開始した。系中へテトラエチルアミン (155μl, 1.12 mmol) を滴下し、重合を開始した。2週間後、溶液がゲル化した時点で質量分析法により分子量を確認した。更に高分子量化させるため、ゲル状のpolymerを蒸留DMFに溶かしてEDC・HCl (0.21 g, 1.12 mmol) とHOBt (0.15 g, 1.12 mmol) を加え再び、2週間攪拌を行った。その後、分子量3500以下を通す半透膜で透析を1週間行い凍結乾燥により無色粉末を得た。収量:91 mg(11%)、融点175-180°C、平均分子量6500(MALDI-TOF 質量分析法による見かけの数値)。
[実施例4]
(4)poly[(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)-co-(Gly7-Lys(Z)8-Gly9-Val10-Ala11-Pro12)]の合成
(4a:Boc-Lys(Z)-Gly-Val-Ala-Pro-OMe(配列番号3)の合成)
TFA・H-Gly-Val-Ala-Pro-OMe (配列番号4)(0.50 g, 1.06 mmol)、NMM (TFA塩の中和用にほぼ等モル)、Boc-Lys(Z)-OH (0.48 g, 1.28 mmol)、EDC・HCl (0.24 g, 1.28 mmol)、HOBt (0.17 g, 1.28 mmol) を使用し、縮合反応を行った。蒸留CHCl3-蒸留Et2Oで結晶化した。収量:0.50 g(65%)、[α]D 20:-65.1 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:115-117°C. 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):8.15 (1H, Ala NH); 7.99 (1H, Lys(Z) εNH); 7.61 (1H, Val NH); 7.19 (1H, Gly NH); 6.86 (1H, Lys(Z) NH); 7.34 (5H, Z- C6H5); 4.98 (2H, Z -CH2-); 4.46 (1H, Ala αCH); 4.27 (1H, Pro αCH); 4.18 (1H, Val αCH); 3.85 (1H, Lys(Z) αCH); 3.63 (2H, Gly αCH2); 2.13, 1.92 (2H, ProβCH 2); 2.13 (1H, ValβCH 2); 1.05 (3H, AlaβCH 3); 1.56 (2H, Lys(Z) βCH 2); 1.89 (2H, ProγCH 2); 0.78 (6H, Val-γCH 3); 1.45 (2H, Lys(Z), γCH 2); 3.60 (2H, ProδCH 2); 1.80 (2H, Lys(Z) δCH 2); 2.95 (2H, Lys(Z) εCH 2); 1.18 (3H, -OMe); 1.36 (9H, Boc t-Bu).
(4b:Boc-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5-Pro6-OMe(配列番号5)の合成)
TFA・H-Lys(Z)-Gly-Val-Ala-Pro- OMe (配列番号6)(0.48 g, 0.69 mmol)、NMM (82μl, 0.72 mmol)、Boc-Gly-OH (0.137 g, 0.785 mmol)、EDC・HCl (0.149 g, 0.785 mmol)、HOBt (0.105 g, 0.785 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製は蒸留CHCl3-蒸留Et2Oによる再結晶で行った。収量:0.33 mg(65%)、[α]D 20:-60.5 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:130-132°C. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz):8.29 (1H, Lys(Z)2εNH); 8.14 (1H, Ala5 NH); 7.87 (1H, Val4 NH); 7.62 (1H, Lys(Z)2 NH); 7.18 (1H, Gly3 NH); 6.89 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.32 (5H, Z- C6H5); 4.98 (2H, Z- -CH2-); 4.46 (1H, Ala5 αCH); 4.29-4.16 (3H, Pro6 αCH, Val4 αCH, Lys(Z)2 αCH), 3.70 (4H, Gly1 αCH2, Gly3 αCH2); 2.17, 2.00 (2H, Pro6βCH 2); 2.00 (1H, Val4βCH 2); 1.17 (3H, Ala5βCH 3); 1.62 (2H, Lys(Z)2βCH 2); 2.00 (2H, Pro6γCH 2); 0.79 (6H, Val4γCH 3); 1.39 (2H, Lys(Z)2γCH 2); 3.60 (2H, Pro6δCH 2); 1.80 (2H, Lys(Z)2δCH 2); 2.94 (2H, Lys(Z)2εCH 2); 1.18 (3H, -OMe); 1.36 (9H, Boc t-Bu).
(4c:Boc-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5-Pro6-OH(配列番号7)の合成)
Boc-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5- Pro6-OMe (配列番号5)(0.33 g, 0.42 mmol) を100 mlナスフラスコに入れMeOHと水の混合溶液にに溶かし、1M NaOH水溶液 (0.637 ml)を入れ、冷却下で攪拌を開始した。1時間後TLCにより反応終了を確認後、溶液を濃縮しether洗浄を行った。その後、1N HClでpHを3〜4付近にし、CHCl3で抽出し飽和NaCl水溶液で洗浄、続いてNa2SO4で乾燥を行った。精製は蒸留CHCl3-蒸留Et2Oによる再結晶で行った。収量:0.27 mg(84%)、[α]D 20:-63.1 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:105-109°C. 1H NMR (CDCl3, 300 MHz):8.19 (1H, Lys(Z)2εNH); 8.13 (1H, Ala5 NH); 7.87 (1H, Val4 NH); 7.62 (1H, Lys(Z)4 NH); 7.18 (1H, Gly3 NH); 6.89 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.34 (5H, Z- C6H5); 4.98 (2H, Z-CH2), 4.46(1H, Ala5 αCH); 4.25-4.05 (3H, Pro6αCH, Val4αCH, Lys(Z)2αCH); 3.70 (4H, Gly1αCH 2, Gly3αCH 2); 2.15, 1.90 (2H, Pro6βCH 2); 1.90 (1H, Val4βCH 2); 1.18 (3H, Ala5βCH 3); 1.62 (2H, Lys(Z)2βCH 2); 1.90 (2H, Pro6γCH 2); 0.77 (6H, Val4γCH 3); 1.45 (2H, Lys(Z)2γCH 2); 3.60 (2H, Pro6δCH 2); 1.80 (2H, Lys(Z)2δCH 2); 2.94 (2H, Lys(Z)2εCH 2), 1.36 (9H, Boc t-Bu).
(4d:Boc-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5-Pro6-OSu(配列番号8)の合成)
Boc-Gly-Lys(Z)-Gly-Hmb-Ala- Pro-OH (配列番号7)(0.27 g, 0.35 mmol) を蒸留DMFに溶かしDCC ( 0.08 g, 0.42 mmol) とHOSu (0.05 g, 0.42 mmol) を入れ冷却下で攪拌を開始した。一晩後、TLCにより反応の終了を確認後、DCUreaを除去した溶液を濃縮すると白色粉末が得られた。収量:0.24 mg(80%). 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz):8.25 (1H, Lys(Z)2εNH); 8.21 (1H, Ala5 NH); 7.86 (1H, Val4 NH); 7.63 (1H, Lys(Z)2 NH); 7.19 (1H, Gly3 NH); 6.89 (1H, Boc-Gly1 NH); 7.35 (5H, Z- C6H5); 4.98 (2H, Z- -CH2-); 4.68 (1H, Ala5αCH); 4.67 (1H, Pro6αCH); (2H, Val4αCH, Lys(Z)2αCH); 3.70 (4H, Gly1αCH 2, Gly3αCH 2); 2.31, 1.90 (2H, Pro6βCH 2); 1.90 (1H, Val4βCH 2); 1.18 (3H, Ala5βCH 3); 1.48 (2H, Lys(Z)2βCH 2); 1.90 (2H, Pro6γCH 2); 0.78 (6H, Val4γCH 3); 1.39 (2H, Lys(Z)2γCH 2); 3.55 (2H, Pro6δCH 2); 1.35 (2H, Lys(Z)2δCH 2); 2.94 (2H, Lys(Z)2εCH 2); 1.36 (9H, Boc t-Bu); 2.78 (4H, OSu).
(4e:TFA・H-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5-Pro6-OSu(配列番号9)の合成)
Boc-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4- Ala5-Pro6-OSu (配列番号8)(0.13 g, 0.16 mmol) をTFAによりアミノ基末端を脱保護し白色粉末を得た。収量:0.13 g(90%). 1H NMR (DMSO-d6, 300MHz):8.51 (1H, Ala5-NH); 8.29 (1H, Lys(Z)2εNH); (1H, Val4 NH); (1H, Lys(Z)2 NH), 7.20 (1H, Gly3 NH); 7.98 (3H, Gly1 NH); 7.34 (5H, Z- C6H5); 5.00 (2H, Z- -CH2-); 4.48, 4.33, 4.28, 4.20 (4H, AlaαCH, ProαCH, ValαCH, Lys(Z) αCH); 3.70 (4H, Gly1αCH 2, Gly3αCH 2); 2.13, 1.93 (2H, Pro6βCH 2); 1.93 (1H, Val4βCH 2); 1.23 (3H, Ala5βCH 3); 1.67 (2H, Lys(Z)2βCH 2); 1.93 (2H, Pro6γCH 2); 0.82 (6H, Val4γCH 3); 1.52 (2H, Lys(Z)2γCH 2); 3.55 (2H, Pro6δCH 2); 1.82 (2H, Lys(Z)2δCH 2); 2.96 (2H, Lys(Z)2εCH 2); 2.78 (4H, OSu).
(4f:Poly[(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)-co-(Gly7-Lys(Z)8-Gly9-Val0-Ala11-Pro12)]、蒸留ジオキサン中の重合反応)
TFA・H-Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6-OSu (0.430 g, 0.600 mmol) とTFA・H-Gly1-Lys(Z)2-Gly3-Val4-Ala5-Pro6-OSu (配列番号9)(0.040 g, 0.050 mnol) を0.90:0.10のモル比で加えて蒸留ジオキサンに溶かした。テトラエチルアミン (90μl, 0.65 mmol) を加えることで重合を開始した。1週間攪拌後、質量分析法により分子量を確認した。更にEDC・HCl ( 0.12 g, 0.65 mmol) とHOBt (0.08 g, 0.65 mmol) を追加してもう1週間攪拌した。その後、分子量3500以下を除去する透析を1週間行い凍結乾燥により共重合化合物を得た。図1に示すように1H NMRスペクトルより共重合組成比を検討した。Lys(Z)8シグナルの積分比より見ることで組成比が0.93:0.07とわかった。収量:35.8 mg、融点164-170°C、平均分子量6000(MALDI-TOF 質量分析法による見かけの数値)。
. 1H NMR (DMSO-d6, 500MHz):8.42 (Gly3 NH); 8.11 (Gly1 NH, Ala5 NH); 7.60 (Val2 NH); 7.33 (Z-, C6H5), 4.98 (Z, -CH2-); 4.75 (Hmb4, αCH); 4.50 (Ala5αCH); 4.26 (Pro6αCH); 4.18 (Val2, αCH); 3.89 (Gly3αCH 2); 3.96 (Gly1αCH 2); 2.00, 1.81 (Pro6βCH 2); 2.00 (Val2βCH 2); 1.19 (Ala5βCH 3); 2.00 (Pro6
γCH 2); 0.82 (Val2γCH 3); 3.59, 3.54 (Pro6, δCH 2).
(4g:Lys(Z)8側鎖の脱保護反応、poly[(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)-co-(Gly7-Lys8-Gly9-Val0-Ala11-Pro12)] の合成)
50mlのナスフラスコ中 poly[(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Ala5-Pro6)n-co-(Gly7-Lys(Z)8-Gly9-Vall0-Ala11-Pro12)1-n] (10 mg) をMeOHに溶解させた後、パラジウムカーボン粉末を加えた。接触還元反応装置を組み立て、系全体を水素ガスで置換し攪拌を開始した。反応の進行は水素ガスの消費量とTLCによる原料スポットの消失で確認し、反応の終了を決めた。その後、パラジウムカーボン粉末を除去しろ液を濃縮した。残渣にベンゼンを加えて共沸により水分を除いた。これを蒸留CHCl3-石油エーテルの溶媒系で繰り返し再沈殿した。Lys(Z)8側鎖が脱保護されたことは1H NMR スペクトルによって確認した。収量:9 mg(90%)、1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 8.42 (Gly3 NH); 8.11 (Gly1 NH, Ala5 NH); 7.60 (Val2 NH); 4.76 (Hmb4, αCH); 4.50 (Ala5αCH); 4.27 (Pro6, αCH); 4.27 (Val2, αCH); 3.90 (Gly3, αCH 2); 3.70 (Gly1, αCH 2); 2.00, 1.83 (Pro6βCH 2); 2.00 (Val2, βCH 2); 2.00 (Hmb4βCH); 1.19 (Ala5βCH 3); 2.00 (Pro6γCH 2); 0.87 (Val2γCH 3); 3.59, 3.50 (Pro6δCH 2).
[実施例5]
(5)poly(Gly1-Val2-Gly3-Hmb4-Pro5) の合成
(5a:Boc-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
HCl・H-Pro-OBzl (10.22 g, 42.3 mmol) を500 mlナスフラスコに入れ、蒸留クロロホルム (250 ml) を加えてマグネチックスターラーを用いて攪拌し、溶解させた。そして、NMM (4.70 ml, 42.6 mmol)、Boc-Gly-Hmb-OH (13.99 g, 50.8 mmol)、HOBt (7.74 g, 57.3 mmol) を加えた。そして、氷冷しながらDCC (12.01 g, 58.2 mmol) を加え、攪拌した。反応終了後、DCUreaをろ去して濃縮した。その後、EtOAc (300 ml) を加えて1時間放置した。再びDCUreaをろ去した後、10%クエン酸水溶液3回、食塩水1回、飽和NaHCO3水溶液3回、食塩水1回の順に洗浄した。有機相はNa2SO4を加えて乾燥の後、濃縮した。展開溶媒として酢酸エチル:ベンゼン = 1:9を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しオイル状生成物を得た。不純物がわずかに残っていたが、そのまま次の実験に進んだ。収量:7.0 g(68%).
(5b:Boc-Val-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
HCl・H-Gly-Hmb-Pro-OBzl (9.36 g, 22.6 mmol)、NMM (2.50 ml, 22.6 mmol)、Boc-Val-OH (7.44 g, 34.2 mmol)、HOBt (4.66 g, 34.5 mmol)、DCC (7.14 g, 34.6 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はEtOAc:ベンゼン = 1:9を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しオイル状生成物を得た。不純物と目的物がわずかに残っていたが、そのまま次の実験で用いた。収量:11.8 g(93%).
(5c:Boc-Gly-Val-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
HCl・H-Val-Gly-Hmb-Pro-OBzl (5.03 g, 9.79 mmol)、NMM (1.10 ml, 9.97 mmol)、Boc-Val-OH (2.82 g, 15.9 mmol)、HOBt (2.17 g, 16.1 mmol)、EDC・HCl (3.04 g : 15.7 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はEtOAc:ベンゼン = 4:1を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。収量:2.03 g (34%)、融点51-54°C、[α]D 20:-94.0、エレクトロスプレー質量分析:619.5 ([M+H]+), 641.4 ([M+Na]+).
(5d:Boc-Gly-Val-Gly-Hmb-Pro-OHの合成)
300 mlナスフラスコにBoc-Gly-Val-Gly- Hmb-Pro-OBzl (2.51 g, 4.06 mmol) を入れ、MeOH (30 ml) に溶かした。その後、パラジウムカーボンをミクロスパチュラ一杯分加え攪拌を開始した。系を水素ガスに置換し接触還元を約24時間行った。反応終了後、パラジウムカーボンをろ去した後、MeOHを留去し、残渣にヘキサン (30 ml) を加えて結晶化させた。その後、EtOAc (20 ml)、ヘキサン (50 ml) で再結晶を行った。収量:1.85 g (86%)、融点73-77°C、[α]D 20:-89 deg. (MeOH, c 0.1).
(5e:Boc-Gly-Val-Gly-Hmb-Pro-OSuの合成)
Boc-Gly-Val-Gly-Hmb-Pro-OH (0.34 g, 0.64 mmol) を50 mlナスフラスコに入れ、DMF 5 mlに溶かした。そして、HOSu (0.10 g, 0.87 mmol) 加え、氷冷しながらDCC (0.17 g, 0.82 mmol) を加えて一晩攪拌した。反応終了後、生成したDCUreaをろ別し、ろ液は濃縮した。残渣にEtOAcを加え再びDCUreaをろ別した。真空ポンプで乾燥させると無色固体が得られた。収量:0.36 g(89%)、[α]D 20:-79 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:45-49°C.
(5f:poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)の合成、蒸留CHCl3中の重合反応)
TFA・H-Gly-Val-Gly- Val-Pro-ONSu (0.27 g, 0.58 mmol) を50mlナスフラスコにいれ、蒸留CHCl3 (10 ml) に溶解させた。氷冷しながらTEA (0.081 ml, 0.58 mmol) 加えて攪拌した。1時間後、氷浴をはずし、室温で2週間攪拌を行った。その後、分子量3500以下を通す半透膜で透析を1週間行い、凍結乾燥により無色粉末を得た。収量:53 mg(22%)、融点173-186°C. 平均分子量5000 (MALDI-TOF 質量分析法による見かけの数値)。
[実施例6]
(6)poly(Gly1-Thr2-Gly3-Hmb4-Pro5) の合成
(6a:Boc-Thr-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
HCl・H-Gly-Hmb-Pro-OBzl (11.24 g, 27.1 mmol)、NMM (3.30 ml, 29.9 mmol)、Boc-Thr-OH (7.40 g, 33.8 mmol)、HOBt (3.77 g, 27.4 mmol)、DCC (7.35 g, 35.6 mmol) により縮合反応を行った。展開溶媒としてEtOAc:ベンゼン = 4:1によるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色オイルを得た。収量:6.03 g(38%).
(6b:Boc-Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
HCl・H-Thr-Gly-Hmb-Pro-OBzl (4.89 g, 9.48 mmol)、NMM (1.05 ml, 9.53 mmol)、Boc-Val-OH (2.75 g, 15.5 mmol)、HOBt (1.28 g, 9.47 mmol)、EDC・HCl (2.75 g, 14.3 mmol) により縮合反応を行った。展開溶媒がEtOAc:ベンゼン = 1:1であるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色結晶を得た。収量:4.40 g(75%)、[α]D 20:-80 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:70-72°C、エレクトロスプレー質量分析:621.4 ([M+H]+), 643.4 ([M+Na]+).
(6c:Boc-Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro-OHの合成)
100mlナスフラスコにBoc-Gly-Thr-Gly- Hmb-Pro-OBzl (1.00 g, 1.61 mmol) を入れ、MeOH (15 ml) に溶かした。その後、パラジウムカーボンをスパチュラ一杯入れ攪拌した。そして、水素ガスにより接触還元を約4時間行った。反応終了後、パラジウムカーボンをろ去して濃縮によりMeOHを除いて、ヘキサン(30 ml) を加えて結晶化させた。その後、EtOAc (10 ml)、ヘキサン (20 ml) で再結晶を行った。収量:0.73 g(86%)、[α]D 20:-77 deg. (MeOH, c 0.1)、融点:96-97°C、エレクトロスプレー質量分析:569.3 ([M+Na]+).
(6d:Boc-Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro-OSuの合成)
Boc-Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro-OH (0.71 g, 1.34 mmol)を100 mlナスフラスコに入れ、DMF (10 ml) に溶かした。そして、HOSu (0.23 g, 2.01 mmol) 加え、氷冷しながらDCC (0.41 g, 2.01 mmol) を加えて一晩攪拌した。反応終了後、DCUreaをろ別し、ろ液は濃縮した。EtOAcを加えて不溶なDCUreaを再び除いた。再び濃縮し無色のオイルを得た。収量:1.0 g(ほぼ定量的).
(6d:poly(Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro)の合成、蒸留CHCl3中の重合反応)
TFA・H-Gly-Thr-Gly- Val-Pro-OSu (0.93 g, 1.34 mmol) を100 mlナスフラスコにいれ、蒸留CHCl3 (15 ml) に溶解させた。氷冷しながらTEA (0.19 ml, 1.36 mmol) を加えて攪拌した。1時間後、氷浴をはずし、室温で2週間攪拌を行った。その後、分子量3500以下を通す半透膜で透析を1週間行い、凍結乾燥により無色粉末を得た。収量:31 mg(6%)、融点:162-176°C、数平均分子量4000(MALDI-TOF 質量分析法によるみかけの数値)。
[実施例7]
(7)poly(Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5) の合成
(7a:Boc-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
Boc-Gly-Hmb-OH (10.71 g, 38.9 mmol) を蒸留CHCl3に溶かしDCC (8.03 g, 38.9 mmol) とHOBt (5.96 g, 38.9 mmol)を加えた。別のナスフラスコにHCl・H-Pro-OBzl (10.34 g, 35.4 mmol)の蒸留CHCl3溶液を用意しNMM (3.89 ml, 35.4 mmol) で中和した。両者を攪拌し縮合反応を開始した。そのままゆっくりと室温へ戻し終夜攪拌した後、系を濃縮した。残渣にEtOAcを加え、析出するDCUreaを繰り返し除いた。溶液は10%クエン酸、蒸留水、飽和NaHCO3、蒸留水、飽和NaClで洗浄を行いNa2SO4で乾燥し濃縮してオイル状目的物を得た。
収量:15.39 g (94.0 %).
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): 7.33 (5H, -OBzl C6H5); 5.13 (2H, -OBzl -CH2-); 4.84 (1H, Hmb αCH); 4.60 (1H, Gly NH); 4.01 (2H, Gly αCH2); 3.84 (1H, Pro αCH); 3.62 (2H, Pro δCH2); 2.20 (2H, Pro βCH2); 2.04 (1H, Hmb βCH); 2.00 (2H, Pro γCH2); 1.44 (9H, Boc t-Bu); 1.00 (3H, Hmb γCH3).
(7b:Boc-Ile-Gly-Hmb-Pro-OBzlの合成)
Boc-Ile-OH・1/2H2O (8.86 g, 36.9 mmol)、EDC・HCl (6.43 g, 36.9 mmol)、HOBt (4.98 g, 36.9 mmol)、HCl・H-Gly-Hmb-Pro-OBzl (13.37 g, 33.5 mmol)、NMM (3.69 ml, 33.5 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はカラムクロマトグラフィー (EtOAc:ベンゼン = 1:9) で精製しオイル状目的物を得た。
収量:17.76 g (92.0 %), エレクトロスプレー質量分析:576.4 ([M+H]+), 598.4 ([M+Na]+).
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.32 (1H, Gly NH); 7.33 (5H, -OBzl C6H5); 6.64 (1H, Ile NH); 5.09 (2H, -OBzl -CH2-); 4.87 (1H, Hmb αCH); 4.38 (1H, Pro αCH); 4.00 (1H, Ile αCH); 3.80 (2H, Gly αCH2); 3.72 (2H, Pro δCH2); 2.19, 1.88 (2H, Pro βCH2); 2.01 (1H, Hmb βCH); 1.88 (2H, Pro γCH2); 1.66 (1H, Ile βCH); 1.35 (9H, Boc t-Bu); 1.14 (2H, Ile γCH2); 0.92 (3H, Ile γCH3); 0.89 (3H, Ile δCH3); 0.78 (3H, Hmb γCH3).
(7c:Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OBzlの合成)
Boc-Gly-OH (2.58 g, 14.7 mmol)、EDC・HCl (2.83 g, 14.7 mmol)、HOBt (1.99 g, 14.7 mmol)、HCl・H-Ile-Gly-Hmb-Pro-OBzl (6.88 g, 13.4 mmol)、NMM (1.47 ml, 13.4 mmol) を使用し、縮合反応を行った。精製はカラムクロマトグラフィー (EtOAc:ベンゼン = 1:10) で精製しオイル状目的物を得た。
収量:4.93 g (58.1 %), エレクトロスプレー質量分析:633.5 ([M+H]+), 655.5 ([M+Na]+).
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.50 (1H, Gly3 NH); 7.64 (1H, Ile2 NH); 7.32 (5H, -OBzl C6H5); 6.96 (1H, Gly1 NH); 5.09 (2H, -OBzl -CH2-); 4.88 (1H, Hmb4 αCH); 4.37 (1H, Pro5 αCH); 4.23 (2H, Pro5 δCH2); 3.98 (2H, Gly3 αCH2); 3.92 (1H, Ile2 αCH); 3.72 (2H, Gly1 αCH2); 2.19, 1.80 (2H, Pro5 βCH2); 2.02 (1H, Hmb4 βCH); 1.93 (2H, Pro5 γCH2); 1.68 (1H, Ile2 βCH); 1.36 (9H, Boc t-Bu); 1.14 (2H, Ile2 γCH2); 0.92 (3H, Ile2 γCH3); 0.88 (3H, Ile2 δCH3); 0.79 (3H, Hmb4 γCH3)
(7d:Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OHの合成)
Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OBzl (4.93 g, 7.79 mmol) をMeOHに溶かし、パラジウムカーボン粉末を加えた。装置を組み立てた後、ナスフラスコをH2で満たしてから攪拌し、接触還元反応を開始した。液面の上昇より反応の進行を確認しつつTLCにより原料のスポットが消えたことで反応の終了とした。その後、パラジウムカーボン粉末を除去しろ液を濃縮した。その後、ベンゼンを加えて共沸を行い、オイル状目的物を得た。
収量:4.34 g (定量的).
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.49 (1H, Gly3 NH);7.60 (1H, Ile2 NH);6.95 (1H, Gly1 NH);4.90 (1H, Hmb4 αCH);4.22 (1H, Pro5 αCH); 4.22 (1H, Ile2 αCH); 3.98 (2H, Gly3 αCH2); 3.79 (2H, Pro5 δCH2); 3.53 (2H, Gly1 αCH2); 2.07, 1.75 (2H, Pro5 βCH2); 1.97 (1H, Hmb4 βCH); 1.97 (2H, Pro5 γCH2); 1.67 (1H, Ile2 βCH); 1.36 (9H, Boc t-Bu); 1.14 (2H, Ile2 γCH2); 0.98 (3H, Hmb4 γCH3); 0.84 (3H, Ile2 γCH3); 0.79 (3H, Ile2 δCH3).
(7e:Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OSuの合成)
Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OH (4.34 g, 8.00 mmol) を蒸留DMFに溶かしDCC (1.82 g, 8.80 mmol) を加え、氷冷下で攪拌を開始した。そのままゆっくりと室温へ戻し終夜攪拌した後、DCUreaを除去した。その後、濃縮し、脱水Et2O/石油エーテルで結晶化させ目的物を得た。
収量:4.09 g (79.9 %).
1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz): 8.52 (1H, Gly3 NH); 7.62 (1H, Ile2 NH); 6.96 (1H, Gly1 NH); 4.92 (1H, Hmb4 αCH); 4.74 (1H, Pro5 αCH); 4.23 (1H, Ile2 αCH); 3.93 (2H, Gly3 αCH2); 3.77 (2H, Pro5 δCH2); 3.55 (2H, Gly1 αCH2); 2.78 (4H, -OSu); 2.45, 1.99 (2H, Pro5 βCH2); 1.99 (1H, Hmb4 βCH); 1.99 (2H, Pro5 γCH2); 1.66 (1H, Ile2 βCH); 1.36 (9H, Boc t-Bu); 1.04 (2H, Ile2 γCH2); 0.93 (3H, Hmb4 γCH3); 0.81 (3H, Ile2 γCH3); 0.76 (3H, Ile2 δCH3).
(7f:HCl・H-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OSuの合成)
Boc-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OSu (2.47 g, 3.86 mmol)を4M HCl/ジオキサン (9.7 ml)によりアミノ基末端を脱保護し、目的物を得た。
収量:2.33 g (定量的).
(7g:poly(Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5)の合成)
HCl・H-Gly1-Ile2-Gly3-Hmb4-Pro5-OSu (1.51 g, 2.62 mmol) を蒸留DMFに溶かし、系中にテトラエチルアミン (0.36 mL, 2.62 mmol)を滴下し、重合を開始した。2週間後反応溶液を濃縮し、CHCl3に溶解し、蒸留水、飽和NaHCO3で洗浄を行った。その後、脱水Et2Oで結晶化させ、その生成した固体を3日間蒸留水に溶かし、それを凍結乾燥した後、目的物を得た。
収量:0.67 g (57.8 %)、融点:176-189℃、数平均分子量2640 (MALDI-TOF 質量分析法による見かけの数値)
[実施例8]
(8)MALDI-TOF法による質量分析:
本発明により得られた化合物のうち、重合反応で合成された化合物がどの程度の大きさの分子量を持ったポリマーであるかを確かめるためにMALDI-TOF法による質量分析を行った。ここには図2にpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の例を示した。その結果、スペクトルの高分子量側(分子量3000以上)の領域でピークが約481毎に観測されることから、重合反応によりポリマーを生成したことが確認された。ここで用いた試料は透析により分子量3500以下の成分を除いたものを用いている。低分子量側(分子量3000以下)のシグナルは分析装置内で分解または多価イオンに由来するピークと帰属される。また高分子量側の各ピークの強度は照射レーザーの強度によって変化するため、分子量分布そのものには対応していない。実際にはレーザー強度を上げることで分子量1万以上の成分を観測することも可能であった。
[実施例9]
(9)円偏光二色性スペクトル:
本発明により得られた化合物について温度変化円偏光二色性スペクトルを測定した。これは目視観測による温度応答性変化とは異なった情報を得ることができる。例えば溶液構造についての知見である。ここには例として、図3にpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)、図11にpoly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)を示した。
図3のスペクトルは212 nmに等円二色性点を示しながら変化した。希薄水溶液(1 mg/mL)のために凝集はみられない。温度が上昇するに従って196 nmに見られる負のバンドが減少してゆくことがわかる。これは発明者らの関連研究により溶液構造がより乱雑になってゆくためと考えられている(例えば、奥ら、Journal of Polymer Science, Part A, Polymer Chemistry、2000年、38巻、4524ページ)。
また、図11のスペクトルでは220 nmに等円二色性点を示しながら変化した。低温時では195 nmに負の極大を示し、温度が上昇するにつれて210 nmに正の極大、225 nmに負の極大を示した。温度上昇に伴い195 nmに見られる負の極大が減少している。これは図3の場合と同様な傾向であり、同様な構造変化が考えられる。希薄水溶液 (0.1 mg/mL) のため凝集は見られない。
[実施例10]
(10)温度応答性の写真観測:
本発明により得られた化合物についてそれらの水系溶液を加温することによる温度応答性変化を写真により観測した。ここには例として、図4と図5にpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)の、図12にはpoly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)の場合を示した。図4と図5では25℃では透明な水溶液が55℃に加温することで白濁することがわかる。図12では0℃では透明な水溶液が20℃に加温することで白濁することがわかる。これらの白濁現象は加熱と冷却を交互に行うことで何度も繰り返し観測することができる。
[実施例11]
(11)みかけの吸光度による温度応答性の観測:
本発明により得られた化合物についてそれらの水系溶液を加温することによる温度応答性変化をみかけの吸光度により観測した。観測波長には500 nmを用いた。これは目視による光の散乱即ち白濁する現象に対応している。ここには図6〜9にpoly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)、poly[(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)-co-(Gly-Lys(Z)-Gly-Va-Ala-Pro)]、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)、poly(Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro)、TFA・H-(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)5-OH の例を示した。グラフの縦軸は透過率ではなく見かけの吸光度を用いた。これにより温度応答の鋭敏さを比較することができる。目視による観測との対応では、見かけの吸光度がおおよそ0.1を越えた時点で十分に凝集が進行し、これ以上ほとんど変化が起きていないと感じている。
[実施例12]
(12)温度応答性の可逆的な観測:
本発明により得られた化合物についてそれらの水系溶液を加温することによる、可逆的な温度応答性変化を透過率により観測した。ここでは観測波長には500 nmを用いた。これは目視による光の散乱即ち白濁する現象に対応している。ここには図13と14にpoly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)の濃度別の例を示した。その結果、透過率50%のときの温度を転移温度とした場合、ポリマー濃度が10 mg/mLの場合、加熱時に転移温度10.2℃、冷却時に転移温度9.2℃であった。より高濃度な20 mg/mLの条件では、加熱時の転移温度5℃とより低温である値を示した。同じく冷却時の転移温度は3.5℃という値を示した。いずれも可逆的な転移現象であると確認できた。
[実施例13]
(13)温度応答性の目視観測:
本発明により得られた化合物についてそれらの水系溶液を加温することによる温度応答性変化を目視により観測した。ここには図10に -Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro- 単位を一定数(3または6)持つ化合物と poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Ala-Pro)、poly(Gly-Val-Gly-Hmb-Pro)、poly(Gly-Thr-Gly-Hmb-Pro)、poly(Gly-Ile-Gly-Hmb-Pro)、の例を示した。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、温度応答性デプシペプチドポリマーやこれを含む温度応答性組成物を得ることができる。本発明のポリマーや組成物は生体内で分解吸収される組成物、土壌などの環境下で分解吸収される組成物、細胞接着剤、創傷被覆材料、マイクロカプセル、バイオマシン、バイオセンサー、分離膜、検査キットなどを構成するのに利用できる。また、本発明のポリマーや温度応答性組成物は生体内での安全性が高いという利点も有している。

Claims (2)

  1. Gly-X1-Gly-Hmb-Ala-ProまたはGly-X2-Gly-Hmb-Pro(式中、X1及びX2はα-アミノ酸残基を示し、Hmbは下記式(II)のバリン酸残基を示す。)で表されるデプシペプチドを縮合重合させること、または前記デプシペプチドをペプチドと共重合させることによって得られる、アミノ酸残基及びバリン酸残基の総数が18以上である直鎖状デプシペプチドポリマー。
    Figure 0004599567
  2. 請求項に記載のデプシペプチドポリマーを含む温度応答性ゲル化能を有する組成物。
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