JPH07278196A - ヒトi型ホスホリパーゼa2レセプター - Google Patents
ヒトi型ホスホリパーゼa2レセプターInfo
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- JPH07278196A JPH07278196A JP6067368A JP6736894A JPH07278196A JP H07278196 A JPH07278196 A JP H07278196A JP 6067368 A JP6067368 A JP 6067368A JP 6736894 A JP6736894 A JP 6736894A JP H07278196 A JPH07278196 A JP H07278196A
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- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Abstract
ターおよびPLA2-Iレセプターをコードする遺伝子を提供
する。さらに、該遺伝子を有する発現ベクター、および
該発現ベクターを導入した形質転換体を提供し、該形質
転換体を培養することによりPLA2-Iレセプタータンパク
質を製造する方法も提供する。 【構成】 ヒトPLA2-Iレセプタータンパク質をコードす
る遺伝子が得られた。この遺伝子を有する発現ベクタ
ー、および該発現ベクターを導入した形質転換体が得ら
れ、該形質転換体を培養することによりヒトPLA2-Iレセ
プタータンパク質が生産される。さらに、ウシPLA2-Iレ
セプターをコードする遺伝子中のPLA2-Iに対して結合能
を有するドメインをコードする遺伝子に対応する部分
を、適当な宿主に導入することにより、PLA2-Iに対して
結合能を有するヒトPLA2-Iレセプタータンパク質が効果
的に生産され得る。これらのヒトPLA2-Iレセプタータン
パク質は、PLA2-Iレセプターのアゴニストおよびアンタ
ゴニストのスクリーニングに有用である。
Description
ゼA2レセプター;ヒトI型ホスホリパーゼA2レセプタ
ー遺伝子;該遺伝子を含む発現ベクター;該発現ベクタ
ーを有する形質転換体;および該形質転換体を用いたヒ
トI型ホスホリパーゼA2レセプターの製造方法に関す
る。
4)は、3-sn-ホスホグリセリドの2-アシルエステル結合
を加水分解するリン脂質分解酵素であり、哺乳類の膵臓
やヘビの毒液などに存在することが知られている。これ
までに知られているホスホリパーゼA2には、高分子量
細胞質内在型と低分子量分泌型があり、このうち低分子
量分泌型PLA2は、グループI型とグループII型とに
分けられる。グループI型PLA2(PLA2-I)は、哺乳類の
膵臓などに存在している。膵臓のPLA2は、膵液中に分泌
される消化酵素の1つであり、通常は前駆体として存在
し、トリプシンなどのタンパク分解酵素により加水分解
されて活性型となる。一方、グループII型PLA2は、血小
板などに多く存在し、おもに炎症反応に関与していると
考えられる。
にも存在することが、最近明らかとなり(Sakataら, Bi
ochim. Biophys. Acta, 1007, 124-126 (1989)、Seilha
merら, DNA, 5, 519-527 (1986)、Yasudaら, Biochim.
Biophys. Acta, 1046, 189-194 (1990)、Tojoら, J. Bi
ol. Chem., 263, 5724-5731 (1988))、PLA2-Iが、消化
酵素としての作用以外の作用も有している可能性が示唆
されている(Kanemasaら, Biochim. Biophys. Acta, 11
25, 210-214 (1992))。
レセプター)が、最近確認され、ウシ黄体の膜画分より
精製されたタンパク質が、分子量190,000の1つの糖タ
ンパク質からなることが判った(HanasakiおよびArita,
Biochim. Biophys. Acta, 1127, 233-241 (1992))。
さらに、ウシPLA2-Iレセプター遺伝子のクローニングが
報告された(Ishizakiら, J. Biol. Chem., 269, 5897-
5904 (1994))。
課題を解決するものであり、その目的は、ヒトI型ホス
ホリパーゼA2レセプター;ヒトI型ホスホリパーゼA2
レセプター遺伝子;該遺伝子を含む発現ベクター;該発
現ベクターを有する形質転換体;および該形質転換体を
用いたヒトI型ホスホリパーゼA2レセプターの製造方
法を提供することにある。
ウシ黄体より精製されたウシI型ホスホリパーゼA2レ
セプタータンパク質のアミノ酸配列を決定し、遺伝子組
換えの技術により、そのDNA配列およびウシI型ホス
ホリパーゼA2結合部位のみをコードするDNAを作成
し、これを用いてウシ低分子型ホスホリパーゼA2レセ
プターを発現させている(特願平6-40177)。このウシ
低分子型I型ホスホリパーゼA2レセプターのアミノ酸
配列をもとに、ヒト胎盤由来のcDNAライブラリーか
ら、ウシ低分子型I型ホスホリパーゼA2レセプターに
対応するヒト低分子型I型ホスホリパーゼA2レセプタ
ーのcDNAを得て、本発明を完成するに至った。
プターは、配列表の配列番号1の1位のValから411
位のValまでのアミノ酸配列を含む。
スホリパーゼA2レセプターをコードする。
は、配列表の配列番号1の1位のGから1233位のT
まででなる塩基配列を有する。
に記載のDNA配列を有する。
を宿主に導入して得られる。
類動物細胞である。
プターの製造方法は、上記形質転換体を培養する工程、
および産生されたヒトI型ホスホリパーゼA2レセプタ
ーを培養培地から回収する工程を包含する。
プタータンパク質およびそのDNA配列は、上記のよう
にウシI型ホスホリパーゼA2レセプタータンパク質お
よびそのDNAを利用して決定された。以下に、その工
程を説明する。
コードするDNAの配列決定 ウシPLA2-Iレセプタータンパク質をコードするDNAを
含むDNA断片の配列決定方法を以下に例示する。この
DNA断片の配列は、例えば、ウシ胎盤由来のcDNA
ライブラリー等をプローブを用いてスクリーニングし、
スクリーニングによって得られたDNAをDNAシーク
エンシングにより分析することにより、決定され得る。
は、例えば、ウシ胎盤由来のcDNAライブラリー等か
ら得ることができる。そのためには、まず、ウシ胎盤c
DNAライブラリーから、ウシPLA2-Iレセプタータンパ
ク質をコードする遺伝子のクローニングを行うためのプ
ローブが、例えば、次のようにして作成される。
アミノ末端のペプチド配列の決定を行う。例えばウシ黄
体膜画分より、一連の分離操作によって、単一な成分に
までウシPLA2-Iレセプタータンパク質を精製する(Hana
saki, K., Biochim. Biophys. Acta, 1127, 233-241 (1
992))。この精製ウシPLA2-Iレセプタータンパク質を、
例えば、Applied Biosystems 477A Protein Sequencer
を用いて分析する。この結果、精製ウシPLA2-Iレセプタ
ータンパク質のアミノ末端部分のアミノ酸配列が、図1
および配列表の配列番号14に示すように決定された。
直接的にあるいは間接的に、プローブを作成することが
できる。
ば、上記アミノ末端のアミノ酸配列をもとに、ポリメラ
ーゼチェーンリアクション(PCR)用のDNAプライ
マーを合成し、このプライマーを用いて、以下のように
して調製したPCR用の鋳型を増幅させて、スクリーニ
ング用のプローブとし得る。このPCR用の鋳型として
は、例えばウシPLA2-Iレセプタータンパク質が多く存在
していることが考えられるウシ黄体から得られるDNA
を用いることができる。このようなDNAは、例えば、
ウシ黄体から、グアニジウムチオシアナート法(Chomcz
ynski, P.ら, Anal. Biochem., 162, 156-159 (1987))
によって、RNAを抽出し、このRNAからcDNAを
調製する方法により、得られる。RNAからのcDNA
の調製は、まず、プライマーをRNAにアニーリングさ
せ、逆転写酵素により該プライマーからDNAを合成し
ていくことにより、行われ得る。この時、例えば、cD
NA合成およびプラスミドクローニングのためのSuperS
criptプラスミドシステム(BRL社製)が用いられ得る。
1 (1988)に記載の方法に従い、PCR自動化装置(Perk
in Elmer Cetus社製)を用いて行われ得る。
て、以下のスクリーニングに用いることができる。
NAをスクリーニングするためのライブラリーとして、
ウシ由来の様々なライブラリーが用いられ得る。このラ
イブラリーには、例えば、ウシ染色体ライブラリー、ウ
シ胎盤cDNAライブラリー、およびウシ腎臓細胞cD
NAライブラリーなどが含まれる。
に公知の方法で、上記(A)項で得られたプローブを用
いて行われ得る。このスクリーニング法には、例えば組
換えファージプラークのプラークハイブリダイゼーショ
ン法および組換え大腸菌のコロニーハイブリダイゼーシ
ョン法が含まれる。
挿入断片の塩基配列の決定は、例えば以下のように行わ
れる。まず、クローンの内部に存在する制限酵素部位を
用いて切断し、それぞれのDNA断片を各々適当なシー
クエンスベクター、例えば、M13mp18(宝酒造社製)お
よびM13mp19(宝酒造社製)にクローニングする。次に
クローニングした断片の塩基配列をジデオキシ法(Sang
er, F., Science, 214, 1205-1210 (1981))により決定
する。これにより、塩基配列が決定される。配列表の配
列番号7に、クローンを解析して得られた、ウシPLA2-I
レセプタータンパク質遺伝子を有するDNAの配列を示
す。ウシPLA2-Iレセプタータンパク質遺伝子のすべてを
含む配列が示されている。
パク質の発現 ウシPLA2-Iレセプタータンパク質遺伝子は、適当なベク
ターに組み込まれて、ウシPLA2-Iレセプタータンパク質
を発現させるための発現ベクターとされる。
母、昆虫細胞、または動物細胞に導入して、形質転換体
が作成される。この形質転換体を培養することによりウ
シPLA2-Iレセプタータンパク質が産生され得る。
にウシPLA2-Iレセプター遺伝子を含む発現ベクターを、
サル由来細胞COS7に導入することによって形質転換体を
作成し、この形質転換体を5%CO2存在下、37℃で
数日間培養することにより、ウシPLA2-Iレセプタータン
パク質が産生され得る。
パク質産生培養物、あるいはコントロールとして作成し
たウシPLA2-Iレセプタータンパク質をコードする遺伝子
を含まないコントロール培養物を遠心分離し、沈澱画分
の培養細胞を回収する。この培養細胞を洗浄した後、
125I放射性同位元素で標識したPLA2-Iを加えて、PLA2-
I−PLA2-Iレセプター間の結合反応を行わせる。このよ
うにして得られるPLA2-Iの特異的な結合量を測定すれ
ば、細胞表面上に発現したウシPLA2-Iレセプタータンパ
ク質の量がわかる(図4参照)。
ク質の発現 ウシPLA2-Iレセプタータンパク質のうち、膜結合部位で
ある配列表の配列番号7の1373位のGlyからカルボ
キシル末端側の配列を含まないアミノ酸配列からなるタ
ンパク質は分泌型であり、これをウシ分泌型PLA2-Iレセ
プタータンパク質という。ウシ分泌型PLA2-Iレセプター
タンパク質は、ウシPLA2-Iレセプタータンパク質をコー
ドする遺伝子から、例えば、配列表の配列番号7のアミ
ノ酸配列の1373位からカルボキシル末端側をコード
する部分を削ったcDNAが、ミスマッチを含むDNA
オリゴマーを用いて、作成され得る。
ンパク質遺伝子と同様に、適当なベクターに組み込まれ
て、ウシ分泌型PLA2-Iレセプタータンパク質を発現させ
るための発現ベクターとされ得る。
母、昆虫細胞、または動物細胞に導入して、形質転換体
が作成される。例えば、発現ベクターをサル由来細胞CO
S7に導入することにより形質転換体を作成し、この形質
転換体を培養することによって、PLA2-I結合能を有しか
つ細胞膜から培地中に遊離されるウシ分泌型PLA2-Iレセ
プタータンパク質が産生され得る。また、例えば、発現
ベクターをCHO細胞の染色体に組み込むことによって、
ウシ分泌型PLA2-Iレセプタータンパク質を恒常的に発現
し得る。
パク質の発現 ウシPLA2-Iレセプタータンパク質のアミノ酸配列のう
ち、PLA2-I結合部位である配列表の配列番号7のアミノ
酸配列の486位のLeuから940位のProまでのアミノ
酸配列から主としてなるタンパク質を、ウシ低分子型PL
A2-Iレセプタータンパク質という。ウシ低分子型PLA2-I
レセプタータンパク質は、ウシPLA2-Iレセプタータンパ
ク質をコードする遺伝子から、例えば、PLA2-I結合部位
である配列表の配列番号7のアミノ酸配列の486位か
ら940位をコードする部分を含むDNA断片が、適当
な制限酵素により切断され得る。このDNA断片は、ウ
シPLA2-Iレセプタータンパク質およびウシ分泌型PLA2-I
レセプタータンパク質の遺伝子と同様に、適当なベクタ
ーに組み込まれて、ウシ低分子型PLA2-Iレセプタータン
パク質を発現させるための発現ベクターとされ得る。
母、昆虫細胞、または動物細胞に導入して、形質転換体
が作成される。この形質転換体を培養することによりウ
シ低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質が産生され得
る。例えば、ウシ低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質
の発現ベクターを、サル由来細胞COS7に導入することに
より形質転換体を作成し、この形質転換体を培養するこ
とによって、PLA2-I結合能を有するウシ低分子型PLA2-I
レセプタータンパク質が、培養上清中に産生され得る。
また、例えば、発現ベクターをCHO細胞の染色体に組み
込むことによって、ウシ低分子型PLA2-Iレセプタータン
パク質を恒常的に発現し得る。
パク質をコードするDNAの配列決定 本発明のヒト低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質をコ
ードするDNAの配列は、例えば以下のように行われ
る。まず、ヒト胎盤由来のcDNAライブラリー等を鋳
型として、ウシ低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質の
アミノ酸配列をもとに設計されたDNAオリゴマーをプ
ライマーとして用いてPCRを行う。得られたPCR産
物を鋳型として、適当な合成DNAオリゴマーをプライ
マーとして用いて再度PCRを行い、2回目のPCR産
物を得る。この2回目のPCR産物であるDNA断片
を、ウシPLA2-Iレセプターの場合と同様に、M13mp18
(宝酒造社製)およびM13mp19(宝酒造社製)などの適
当なシークエンスベクターにクローニングし、例えば、
ジデオキシ法により塩基配列を決定し得る。決定された
塩基配列およびそれに対応するアミノ酸配列を配列表の
配列番号1に示す。
パク質の発現 本発明のヒト低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質遺伝
子は、ウシPLA2-Iレセプタータンパク質の遺伝子と同様
に適当なベクターに組み込まれて、ヒト低分子型PLA2-I
レセプタータンパク質を発現させるための発現ベクター
とされ得る。
母、昆虫細胞、または動物細胞に導入して、形質転換体
が作成される。この形質転換体を培養することによりヒ
ト低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質が産生され得
る。例えば、ヒト低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質
の発現ベクターを、サル由来細胞COS7に導入することに
より形質転換体を作成し、この形質転換体を培養するこ
とによって、PLA2-I結合能を有するヒト低分子型PLA2-I
レセプタータンパク質が、培養上清中に産生され得る。
また、例えば、発現ベクターをCHO細胞の染色体に組み
込むことによって、ヒト低分子型PLA2-Iレセプタータン
パク質を恒常的に発現し得る。
る。
子生物学的実験手法(DNAのアガロースゲル電気泳動、
ポリアクリルアミドゲル電気泳動、電気泳動分離したDN
Aを透析膜を用いてゲル中から回収する方法、フェノー
ル抽出、クロロフォルム抽出、エタノール沈殿、ライゲ
ーション、大腸菌の形質転換、組換え大腸菌の培養、プ
ラスミドDNAの調製、ファージDNAの調製、DNAの制限酵
素による切断、DNAの放射標識等)は Molecular clonin
g (Cold Spring Harbor Laboratory, New York,1982)
によった。同じく一般的な分子生物学的実験手法に用い
る試薬(制限酵素、DNA修飾試薬等)は、特に指示のな
いかぎり、宝酒造(株)より購入した。
チドのアミノ酸配列の決定 遺伝子のクローニングを行うためには、目的の遺伝子を
検出、同定するために用いるDNA断片が必要となる。こ
のようなDNA断片を得るために、まず、ウシ精製PLA2-I
レセプタータンパク質のアミノ末端のペプチドのアミノ
酸配列から、DNA塩基配列の決定のための情報を得るこ
とを試みた。
ノエチル−セファセルクロマトグラフィー、PLA2-I−ア
フィニティーゲルクロマトグラフィー、ゲルフィルトレ
ーションHPLCの一連の分離操作によって単一な成分にま
で精製されたウシPLA2-Iレセプタータンパク質(Hanasak
i, K.ら, Biochim. Biophys. Acta, 1127, 233-241 (19
92))15μgを、セントリコン100(米国アミコン社製)に
よって脱塩した後、10mM HCl, 20mMオクチルチオグルコ
シド溶液に溶解し、Applied Biosystems 477AProtein S
equencerを用いて分析した。その結果、アミノ末端から
の配列として、図1および配列表の配列番号14に示す
ように、23個のアミノ酸のアミノ酸配列を決定するこ
とができた。
合成 上記A項で決定することのできたアミノ酸配列をもとに
DNAオリゴマーを合成し、ポリメラーゼチェーンリアク
ション法 (PCR、Saiki, R. K.ら, Science, 239, 487-
494 (1988))によってDNAプローブ(以下に示す遺伝子
ライブラリーのスクリーニングに使用するためのプロー
ブ)の作成を行った。このPCRに用いるDNAオリゴマーの
設計、およびその作製は、以下の通りである。各アミノ
酸残基に対応するコドンを考慮して、決定したアミノ酸
配列の、ある領域をコードしうるDNA配列のすべてを網
羅する混合DNAオリゴマーを設計することができる。実
際には、哺乳動物で優先的に使用されるコドンを主に用
い、図1に示した塩基配列のうちアミノ末端側とカルボ
キシル末端側の配列をもとにそれぞれ(I)(配列表の配
列番号8)(II)(配列表の配列番号9)と(III)(配列
表の配列番号10)(IV)(配列表の配列番号11)のDN
Aオリゴマーを合成した。これらのうち(III)および(IV)
の2つは、タンパク質をコードしている遺伝子の相補鎖
の配列に基づくものである。これらのDNAオリゴマーは
短鎖であるため、核酸合成機(PharmaciaLKB Gene Assem
bler Plus, DNA Synthesizer)を用いて化学合成した。
これらのDNAオリゴマーは図1に示すような位置関係に
あるので、適当な試料を鋳型としてPCRを行えば、(I)と
(IV)のオリゴマーペアーからは65塩基対、(II)と(IV)
のオリゴマーペアーからは62塩基対のウシPLA2-Iレセ
プターcDNA断片が増幅されると予想できる。さらに、初
めにオリゴマー(I)と(IV)のペアーで増幅した産物をゲ
ル電気泳動によって分離し、鎖長が65塩基対であるDN
Aを分離回収し、これを(II)と(IV)のオリゴマーによる
2回目のPCRの鋳型として用いれば、さらに高い特異性
をもってウシPLA2-IレセプターcDNAを得ることができ
る。
ータンパク質が存在しているので、遺伝子クローニング
の材料としても黄体が適したものであると考えられる。
新鮮な状態で凍結されたウシ黄体7個より、グアニジウ
ムチオシアネート法(Chomczynski, P.ら, Anal. Bioche
m., 162, 156-159 (1987))によってRNAを抽出した。
プタータンパク質の分子量から計算して少なくとも45
00塩基以上であることが予想され、このように長いcD
NAの場合通常のオリゴdTプライマーを用いる方法による
cDNA調製のための反応では、完全長のcDNAが得られる可
能性が低くなることが知られている。
域の下流側の極く近傍に位置するDNAオリゴマーを、cDN
A化のプライマーとして用いることを試みた。ここでい
うcDNA化に用いたDNAオリゴマーは図1の(III)で示され
るものであり、実際には上記ウシ黄体RNA 10μgから、
このDNAオリゴマー(III)1pmoleをプライマーとしてc
DNAの調製を行った。このcDNA調製には、cDNA合
成およびプラスミドクローニングのためのSuperScript
プラスミドシステム(米国BRL社製)のcDNA合成反応系
を使用した。
の増幅と単離 上記B項で得られたDNAオリゴマー(I)と(IV)を用いて、
上記C項で得られたcDNA試料を鋳型としてウシPLA2-Iレ
セプターcDNAの増幅を行った。PCRには、酵素として米
国Perkin Elmer Cetus社のAmpliTaq DNA polymeraseを
用い、反応液の組成は当酵素の使用説明書に従った。増
幅装置はPerkin Elmer Cetus社のThermal cyclerを使用
し、94℃ 1分、37℃ 1分を15サイクル、引き続いて94℃
1分、50℃ 1分、72℃ 15秒を15サイクルで、増幅を行
った。PCR反応液200μlをクロロフォルム抽出、エタノ
ール沈殿した後、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動
にかけ、増幅産物をその分子量にしたがって分離した。
ウシPLA2-IレセプターcDNAが増幅されると予想される6
5塩基対に相当する付近のゲル断片を切り出して、ゲル
断片中に含まれるDNAを回収した。次に、回収したDNAを
鋳型とした2回目のPCRを、オリゴマー(II)と(IV)を用
いて行った(94℃ 1分、50℃ 1分、72℃ 1分を30サイク
ル)。このPCRの産物も上記と同様にクロロフォルム抽
出、エタノール沈殿の後ポリアクリルアミドゲル電気泳
動によって分離し、62塩基対に相当するDNAをゲルか
ら回収した。得られた2本鎖のDNAを、適当なクローニ
ングベクター内に挿入することによって大腸菌内でクロ
ーン化した。上記で単離したDNAは、クローニングベク
ターpBLUE SCRIPT(KS-)(米国STRATAGENE社)を制限酵素E
coRVで直鎖状にしジデオキシチミジンを付加したもの(H
olton, T.A.ら, Nucleic Acids Res., 19, 1156 (199
1))とライゲーションすることによって、このクローニ
ングベクター内に挿入した。ライゲーション液をフェノ
ール抽出、エタノール沈殿した後、この精製ライゲーシ
ョン液を用いて大腸菌C600株(米国CLONETECH社製)を
形質転換した。形質転換した大腸菌をアンピシリン50μ
g/mlを含むLB寒天培地で選択した。得られた形質転換
体の中から6株について、それらの大腸菌が保持するプ
ラスミドDNAを調製した。このうち4株に関して、これ
らのプラスミドDNAのEcoRV部位に挿入されているPCR産
物の塩基配列を、ジデオキシ法(Sanger,F., Science,
214, 1205-1210 (1981))によって決定した。これらの
うちの2クローンの塩基配列は、図1のオリゴマー(II)
と(IV)で挟まれる部分に相当するアミノ酸配列をコード
するものであった。
スクリーニング) 実施例1のD項のPCR増幅で得られたウシPLA2-Iレセプ
ターcDNA断片は、通常の遺伝子ライブリーのスクリーニ
ングにプローブとしてそのまま用いることができる。し
かしながら、感度の面で問題があり更に長いプローブの
取得が望ましい。さらに、このウシPLA2-Iレセプター遺
伝子の発現頻度が低いものであると予想されたため、cD
NAライブラリーではなく、その遺伝子の発現頻度によら
ず、すべての遺伝子領域を均等に含むと考えられる染色
体ライブラリーのスクリーニングを初めに行い、より長
いcDNA断片の単離を行った。
より購入したBovine Genomic Libraryを使用した。プロ
ーブには実施例1のD項で得られたcDNA断片を32P放射
性同位元素標識したものを用い、スクリーニング方法は
ライブラリー添付のプロトコールに従った。具体的には
まず、ファージ液の力価測定を行った後、1枚のプレー
ト当り約4万個のファージプラークを形成するだけのフ
ァージ液をライブラリー添付の大腸菌宿主と混合し、L
Bプレート(10×15cm)に重層した。このプレートを37
℃で一晩培養後、形成されたプラークをプラークハイブ
リダイゼーション法によってスクリーニングした。
行ったところ、1個の陽性クローンが得られた(図2の
pGE-1)。このクローンの塩基配列を解析したところ、
配列表の配列番号7に示す塩基配列のうち、1位から3
88位までに相当する領域を含んでいた。388位の塩
基の下流には介在配列(イントロン)(図2の破線部
分)が見られた。
のスクリーニング) 実施例2で明らかにすることのできた塩基配列をもと
に、配列表の配列番号7の257位から384位までの
128塩基対をPCR法によって増幅することのできるD
NAオリゴマーをプライマーとして合成した(配列表の
配列番号12および13)。実施例2で得られた陽性ク
ローンのDNA(pGE-1)を鋳型として、上記の128塩基
対よりなるDNA断片をPCR法によって特異的に増幅し、こ
の産物を32P放射性同位元素標識し、ウシ胎盤cDNAライ
ブラリーのスクリーニングに用いた。ウシ胎盤cDNAライ
ブラリーは米国CLONETECH社より購入したBovine Placen
ta cDNA Library(5'Stretch)を使用した。上記ライブラ
リーのスクリーニングはライブラリー添付のプロトコー
ルに従った。具体的には、実施例2に記載の染色体ライ
ブラリーのスクリーニング法と同様の工程でスクリーニ
ングを行った。合計約64万個のクローンのスクリーニ
ングを行い、図2のpNH-1で示されるウシPLA2-Iレセプ
ターcDNA断片を持つクローンを得た。得られたクローン
のcDNAを制限酵素で切断し、ゲル電気泳動にて分離回収
した後、32P放射性同位元素標識することによってDNA
プローブを調製した。この新しいプローブを用いて同じ
ライブラリーを再スクリーニング(約350万クロー
ン)することによって、pNH-1より下流側をコードする
クローン(図2のpMID-1およびpMID-7)を単離すること
ができた。このように、新しく得られたクローンから新
しいDNAプローブを調製して、互いにオーバーラップす
るクローンを順次得ることができた。
ライブラリーのスクリーニング) 種々の培養細胞あるいは組織でのウシPLA2-Iレセプター
の発現量を、スキャッチャードプロット解析によって測
定した結果、ウシ腎臓由来の細胞MDBK細胞株(ATCC CCL
22)が、他の臓器に比べてより多くのウシPLA2-Iレセ
プターを発現していることが認められた。実施例3まで
で得られていたcDNAをプローブとして、MDBK細胞株cDNA
ライブラリーのスクリーニングを行った(米国STRATAGE
NE社のBovine Kidney cDNA Library in the Lambda ZAP
II Vectorを使用した)。この結果、図2に示したpMD-6
およびpMD-24を含む複数の陽性クローンが得られた。ま
た、市販のライブラリーとは別に、MDBK細胞より抽出し
たRNAからcDNAを合成し、cDNA合成およびプラスミドク
ローニングのためのSuperScriptプラスミドシステム(B
RL社、前出)によってcDNAライブラリーを作成した。
DBK-11を含む複数のクローンが得られた。
の全一次構造の決定) 実施例4までで得られたcDNAクローンのうちpNH-1およ
びpMDBK-11の2つの塩基配列情報を重ね合わせると、ウ
シPLA2-IレセプターcDNAの全塩基配列を決定することが
できる。全塩基配列およびアミノ酸配列を配列表の配列
番号7に示す。これらのcDNAは、翻訳開始点と考えられ
るATGの上流279bp、ウシPLA2-Iレセプタータンパク
質をコードする4389bp、終止コドンから下流310
bp(mRNAの3'端に見られるpoly A tailを含む)からな
り、合計4978bpで構成されている。また、実際に、
pNH-1とpMDBK-11の2つのcDNA断片を、予め制限酵素Nco
Iで切断した後に連結させることによって、ウシPLA2-I
レセプタータンパク質全体をコードするcDNA断片を構築
することができる(後述)。
らレセプタータンパク質のアミノ酸残基数は1463で
あることがわかった。ただし、アミノ末端部分にシグナ
ルペプチド様の配列が見られ、精製タンパク質のアミノ
末端のアミノ酸配列(図1)が配列表の配列番号7のア
ミノ酸配列の21番目以降に見られることから、アミノ
末端の20残基はシグナルペプチドであり、シグナルペ
プチド切断後の成熟レセプタータンパク質のアミノ酸残
基数は1443と予想される。
ウシPLA2-Iレセプタータンパク質の輸送のため、あるい
は膜に対して正しく配向するために機能し、実際のPLA2
結合能はこの1443個のアミノ酸によって保持されて
いると考えられる。
バンクとのホモロジー検索を行った結果、レクチンの1
種であるマンノースレセプターとの間に、データバンク
中の他のタンパク質と比較して最も高いホモロジー(一
次構造全体で29%)が検出された。両者間のホモロジー
は一次構造全体にわたっており、特に、タンパク質の立
体構造の規定に重要であるシステイン残基の位置が極め
てよく保存されていた。マンノースレセプタータンパク
質は、多ドメイン構造であることが報告されているため
(Taylor, M. E.ら, J. Biol. Chem., 265, 12156-1216
2 (1990))、これをもとにウシPLA2-Iレセプタータンパ
ク質のドメイン構造を予想した。図3にウシPLA2-Iレセ
プターの推定されたドメインを示す構造模式図を示す。
図の下の数字は、各ドメインのアミノ末端のアミノ酸残
基の番号(配列表の配列番号7に対応)を表す。ウシPL
A2-Iレセプターは、図3に示すようにアミノ末端から順
に、シグナル配列(S)、システイン残基を多く含むド
メイン(C)、ファイブロネクチンタイプ2リピート様
ドメイン(T)、8個の糖結合領域様ドメイン(CRD1〜
CRD8、図中の1〜8)、膜結合領域(M)、および細胞
質内ドメイン(I)からなると考えられる。
タータンパク質の発現) cDNAクローンであるpNH-1とpMDBK-11は、いずれも図2
に示す制限酵素NcoI認識部位(配列表の配列番号7の塩
基配列799位に相当)以外の領域にNcoIで切断される
配列を持たないことが確かめられた。そのため、この両
者をNcoIで切断後、ゲル電気泳動によって、pNH-1から
はNcoIより上流側を、pMDBK11からはNcoIより下流側を
分離精製し、得られた2つのcDNA断片をライゲーション
反応によって連結した。連結したDNA断片をウシPLA2-I
レセプターcDNAと呼ぶ。このウシPLA2-IレセプターcDNA
を動物細胞用発現ベクターであるpSVL SV40後期プロモ
ーター発現ベクター(Pharmacia LKB)のプロモーター下
流域に順方向に挿入した。このプラスミドをウシPLA2-I
レセプター発現ベクターと呼ぶ。続いてこのウシPLA2-I
レセプター発現ベクターでサル由来のCOS7細胞をトラン
スフェクトした。トランスフェクションには米国GIBCO/
BRL Life Technologies, Inc.のLipofectin Reagentを
用い、方法はそのプロトコールによった。トランスフェ
クト3日後に、COS7細胞の解析を以下のように行った。
125I放射性同位元素標識したPLA2-Iの存在下におくこ
とによって、PLA2-I−PLA2-Iレセプター間の結合反応を
行わせた。結合しなかった遊離のPLA2-Iを洗浄にて除去
した後、細胞膜上に捕らえられた放射性同位元素量を測
定した。結果を図4に示す。図中のContおよびPLA2は、
それぞれ、コントロールプラスミドでトランスフェクト
した細胞およびウシPLA2-Iレセプター発現プラスミドで
トランスフェクトした細胞をそれぞれ3回測定した平均
値を表す。PLA2-I−PLA2-Iレセプター間の結合反応を大
過剰の未標識PLA2-I存在下で行ったときの放射性同位元
素量を非特異的結合量(図の斜線部分)とみなし、この
値をそれぞれの測定値である全結合量(図の点描部分)
から差し引いた値をウシPLA2-Iレセプターによる特異的
な結合量とした。その結果、cDNAを挿入していないコン
トロールプラスミドでトランスフェクトした細胞に比
べ、ウシPLA2-Iレセプター発現プラスミドでトランスフ
ェクトした細胞が有意に高いPLA2-I結合能(全結合量と
非特異的結合量の差)を有していることが明らかとなっ
た。このようにして、このcDNAが実際に機能を持つウシ
PLA2-Iレセプターをコードしていることが確認できた。
なお、PLA2-I結合能の測定は前出の論文(Hanasaki, K.
ら, Biochim. Biophys. Acta, 1127, 233-241 (1992))
に従って行った。
ーの発現) 配列表の配列番号7の1373位のGlyをコードするcDN
A配列(GGA)を終止コドンであるTGAに変換するために、
配列表の配列番号15のDNAオリゴマーを合成した。こ
のDNAオリゴマーは、1368位のLysから1372位の
Lysまでの5アミノ酸に対応する15塩基配列、1373
位のGlyをコードするコドンを終止コドンであるTGAに変
換する配列、およびこの終止コドンの3'側に制限酵素N
otIの認識配列であるGCGGCCGCを導入する配列を有す
る。このDNAオリゴマーと、制限酵素XbaI認識配列(配
列表の配列番号7の塩基配列4178位に相当)より上
流側にあってセンス鎖に対応するDNAオリゴマーとを用
いて、ウシPLA2-IレセプターcDNAを鋳型としたPCRを実
施例1のD項と同様の方法で行った。PCR増幅で得られ
たcDNAを、制限酵素XbaIとNotIで切断した。実施例6の
ウシPLA2-Iレセプター発現ベクターをXbaIとNotIで切断
して、ウシPLA2-IレセプターcDNAのXbaI認識配列から
3'側を欠いたcDNAを調製し、先のPCR増幅cDNA断片をこ
のcDNAへ挿入した。この結果得られたベクターDNAをウ
シ分泌型PLA2-Iレセプター発現ベクターと呼ぶ。このウ
シ分泌型PLA2-Iレセプター発現ベクターは、ウシPLA2-I
レセプター発現ベクターと比較して、ウシPLA2-Iレセプ
ターDNAの配列中1373位のアミノ酸Glyをコードする
配列が終止コドンに変わっており、また1374位以降
のアミノ酸をコードする部分を欠失している。
ターでサル由来COS7細胞をトランスフェクトした。この
細胞の培養上清中のPLA2-I結合能を、PLA2-Iとレセプタ
ータンパク質とをポリエチレングリコールを用いて共沈
させる方法(Hanasaki, K.ら, J. Biol. Chem., 267, 6
414-6420 (1992)) によって測定した。結果を図5に示
す。図の網掛部分は非特異的結合量を、点描部分は全結
合量を表す。その結果、cDNAを挿入していないコントロ
ールプラスミドでトランスフェクトした細胞(Cont)に
比べ、ウシ分泌型PLA2-Iレセプター発現プラスミドでト
ランスフェクトした細胞(PLA2)が非常に高いPLA2-I結
合能を有しており、このウシ分泌型PLA2-Iレセプター発
現ベクターから発現される組換え型レセプターは実際に
培地中に分泌され、野生型レセプターと同程度のPLA2-I
結合親和性(Kd値=0.8nM)を持っていることが判った。
シ低分子型PLA2-Iレセプタータンパク質の発現) 配列表の配列番号7に示した塩基配列の1794位に存
在する制限酵素StuIの認識部位から3165位に存在す
る制限酵素PflMIの認識部位までのDNA断片を、実施例6
のウシPLA2-IレセプターcDNAを各制限酵素で切断するこ
とにより調製し、大腸菌DNAポリメラーゼI(Klenow fr
agment)によってその末端を平滑化した。このDNA断片
を、実施例6のウシPLA2-Iレセプター発現ベクターを制
限酵素XhoIとXbaIで切断し末端を平滑化したベクターDN
Aと、ライゲーション反応によって連結した。連結して
得られたベクターDNAを、ウシ低分子型PLA2-Iレセプタ
ー発現ベクターと呼ぶ。このウシ低分子型PLA2-Iレセプ
ター発現ベクター中のウシPLA2-IレセプターcDNA部分
は、ウシ野生型PLA2-IレセプターcDNAと比較して、塩基
配列の426〜1793位および3162〜4176位
を欠失している。また、29位のアミノ酸をコードする
コドンが、連結によりGAGからGACに変わったため、Asp
がコードされている。同様に941位のアミノ酸もAsn
に変換されている。さらに、連結の結果、4176〜4
181位のXbaI認識部位中のTAGが終止コドンとして機
能するため、塩基配列の4178位以降のcDNA部分はタ
ンパク質には翻訳されない。従って、翻訳される部分は
配列表の配列番号7のアミノ酸配列の−20〜28位と
486〜940位の領域であり、28位と486位の間
にはAspが、940位のカルボキシル末端側にはAsnが付
加している。すなわち、発現されたウシ低分子型PLA2-I
レセプターのアミノ酸配列は、配列表の配列番号16に
示すとおりである。これはウシPLA2-Iレセプターのドメ
イン構造のCRD3〜CRD5に相当する領域をすべて含み、そ
れ以外の部分はほとんど含まない。
クターを、実施例7で行ったのと同様にCOS7細胞に導入
し、培養上清中のPLA2-I結合活性を測定した。その結果
を図6に示す。図の網掛部分は非特異的結合量を、点描
部分は全結合量を表している。その結果、培養上清中に
はPLA2-I結合活性が検出され、コントロールプラスミド
でトランスフェクトした細胞(Cont)に比べ、ウシ低分
子型PLA2-Iレセプター発現プラスミドでトランスフェク
トした細胞(PLA2)で高いPLA2-I結合能が見られた。こ
のことは、ウシPLA2-Iレセプターのドメイン構造のうち
のCRD3〜CRD5に相当する領域のみで、PLA2-Iと結合し得
ることを示している。
ターcDNAの一次構造の決定) A.DNAオリゴマーの合成 実施例5で決定したウシPLA2-Iレセプタータンパク質の
PLA2-I結合部位のアミノ酸配列をもとにDNAオリゴマー
を合成し、PCRを行った。このPCRにプライマーとして用
いるDNAオリゴマーの設計、およびその作製は、以下の
通りである。ウシPLA2-Iレセプタータンパク質のPLA2-I
結合部位付近(配列表の配列番号7のアミノ酸配列の5
05位〜1068位付近)のコドンの縮重の少ないアミ
ノ酸配列を選び、哺乳動物で優先的に使用されるコドン
を主に用いて、オリゴマー(V)(配列表の配列番号
2)、オリゴマー(VI)(配列表の配列番号3)、オリゴ
マー(VII)(配列表の配列番号4)、およびオリゴマー
(VIII)(配列表の配列番号5)の混合DNAオリゴマーを
合成した。これらのうち、オリゴマー(VII)および(VII
I)は、タンパク質をコードしている遺伝子の相補鎖の塩
基配列に基づくものである。これらのDNAオリゴマーは
短鎖であるため、核酸合成機(Pharmacia LKB Gene Asse
mbler Plus, DNA Synthesizer)を用いて化学合成した。
さらに、以下で明らかになったヒトPLA2-IレセプターcD
NA断片の相補鎖の塩基配列をもとに、DNAオリゴマー(I
X)(配列表の配列番号6)を合成した。
ターcDNAの増幅と単離 ウシの場合と同様に、ヒト胎盤にはPLA2-Iレセプターが
多く存在すると考えられる。そこで、ヒト胎盤より、グ
アニジウムチオシアネート法(Chomczynski, P.ら, Ana
l. Biochem., 162, 156-159 (1987))によってRNAを抽出
し、このRNAからオリゴdTプライマーを用いてcDNAを調
製してPCRの鋳型とした。
オリゴマー(V)および(VIII)を用いて、上記cDNA試料を
鋳型としてPCRを行った。PCRには、酵素として米国Perk
in Elmer Cetus社のAmpliTaq DNA polymeraseを用い、
反応液の組成は当酵素の使用説明書に従った。増幅装置
はPerkin Elmer Cetus社のThermal cyclerを使用し、94
℃ 0.5分、45℃ 1分、72℃ 2分を30サイクルで、増幅を
行った。PCR反応液10μlをクロロフォルム抽出、エタノ
ール沈殿した後、アガロースゲル電気泳動にかけ、増幅
産物をその分子量にしたがって分離した。PLA2-Iレセプ
ターcDNAが増幅されると予想される1680塩基対に相
当する付近のゲル断片を切り出して、ゲル断片中に含ま
れるDNAを回収した。次に、回収したDNAを鋳型とした2
回目のPCRを、オリゴマー(VI)と(VII)を用いて行った(9
4℃ 0.5分、45℃ 1分、72℃ 1分を30サイクル)。このPC
Rの産物も上記と同様にクロロフォルム抽出、エタノー
ル沈殿の後アガロースゲル電気泳動によって分離し、8
70塩基対に相当するDNAをゲルから回収した。得られ
た2本鎖のDNAを、クローニングベクターpBLUE SCRIPT
(KS-)(米国STRATAGENE社)を制限酵素EcoRVで直鎖状にし
ジデオキシチミジンを付加したもの(Holton, T.A.ら, N
ucleic Acids Res., 19, 1156 (1991))とライゲーショ
ンすることによって、このクローニングベクター内に挿
入した。ライゲーション液をフェノール抽出、エタノー
ル沈殿した後、この精製ライゲーション液を用いて大腸
菌C600株(米国CLONETECH社製)を形質転換した。形質
転換した大腸菌をアンピシリン50μg/mlを含むLB寒天
培地で選択した。得られた形質転換体から、その大腸菌
が保持するプラスミドDNAを調製し、プラスミドDNAのEc
oRV部位に挿入されているPCR産物の塩基配列を、ジデオ
キシ法(Sanger, F., Science, 214, 1205-1210 (198
1))によって決定した。上記オリゴマー(VI)と(VII)と
で挟まれた部分の塩基配列は、配列表の配列番号1の1
35位のLeuから411位のValのアミノ酸配列をコード
することが明らかになり、これはウシPLA2-Iレセプター
の配列表の配列番号7の646位のLeuから923位のV
alに相当するものであった。
の1回目のPCR産物を鋳型として、上記A項で得られた
(V)および(IX)の合成プライマーを用いてPCRを行った(9
4℃0.5分、50℃ 1分、72℃ 1分を30サイクル)。このPCR
の産物も上記と同様にクロロフォルム抽出、エタノール
沈殿の後アガロースゲル電気泳動によって分離し、約6
00塩基対に相当するDNAをゲルから回収した。得られ
た2本鎖のDNAを、クローニングベクターであるpBLUE S
CRIPT(KS-)(米国STRATAGENE社)内に挿入し、上記と同様
にジデオキシ法によって塩基配列を決定した。上記オリ
ゴマー(V)と(IX)とで挟まれた部分の塩基配列は、配列
表の配列番号1の1位のValから186位のPheのアミノ
酸をコードすることが明らかになり、これはウシPLA2-I
レセプターの配列表の配列番号7の512位のValから
697位のPheに相当するものであった。上記で得られ
たアミノ酸配列の情報と重ね合わせることにより、配列
表の配列番号1に示すヒト低分子型PLA2-Iレセプターの
アミノ酸配列が明らかになり、これはウシPLA2-Iレセプ
ターのPLA2-I結合部位に相当する領域であった。
ホスホリパーゼA2レセプター;ヒトI型ホスホリパー
ゼA2レセプター遺伝子;該遺伝子を含む発現ベクタ
ー;該発現ベクターを有する形質転換体;および該形質
転換体を用いたヒトI型ホスホリパーゼA2レセプター
の製造方法が提供される。
胞増殖作用(Aritaら, J. Biol. Chem., 266, 19139-19
141 (1991))や肺実質組織の収縮作用(Kanemasaら, FE
BS LETTERS, 303, 217-220 (1992))を示すことが報告
されている。従って、PLA2-Iレセプターのアゴニストお
よびアンタゴニストは、細胞増殖剤あるいは血管弛緩剤
などとして有用である。すなわち、ヒトPLA2-Iレセプタ
ーは、細胞増殖剤あるいは血管弛緩剤などとして期待さ
れる、PLA2-Iレセプターのアゴニストあるいはアンタゴ
ニストのスクリーニングに有用である。また、低分子型
のPLA2-Iレセプターであるため、野生型のレセプターよ
りも精製が容易であり、可溶性に保つための界面活性剤
を必要としない。従って、実験操作の簡便化が可能であ
り、PLA2-Iレセプターのアゴニストあるいはアンタゴニ
ストのスクリーニングに極めて有用である。さらに、ヒ
ト低分子型PLA2-Iレセプターは、PLA2-Iと結合した後、
細胞内への情報伝達を行わないので、PLA2-I阻害剤など
としても有用であり、特にヒトに対して特異性の高い阻
害剤として有用である。さらに、ヒト低分子型PLA2-Iレ
セプターは、PLA2-Iの結合に不必要な領域がないため、
アゴニストあるいはアンタゴニストの検索を含めたレセ
プター−リガンド間の相互作用解析を行うのにも有用で
ある。
er Glu Glu Cys Ser Ile Ser Met Pro Ser 465 470 475 480 Ile Cys Lys Arg Lys Lys Val Trp Val Ile Glu Lys Lys Lys Asp Ile 485 490 495 Pro Lys Gln His Gly Thr Cys Pro Asn 500 505
端アミノ酸配列およびプローブを作成するためのPCR
用のプライマーの配列を示す図である。
する、各クローンの位置および制限酵素地図を示す図で
ある。
されるウシPLA2-Iレセプターのドメイン構造の模式図で
ある。
する形質転換体とウシPLA2-Iレセプターを有さない形質
転換体のPLA2-Iに対する結合能を示す図である。
びウシ分泌型PLA2-IレセプターcDNAを含まないコントロ
ールベクターでCOS細胞をトランスフェクトして3日後
の培地200μl中のPLA2-I結合能を示す図である。
よびウシ分泌型PLA2-IレセプターcDNAを含まないコント
ロールベクターでCOS細胞をトランスフェクトして3日
後の培地200μl中のPLA2-I結合能を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 配列表の配列番号1の1位のValから4
11位のValまでのアミノ酸配列を含むヒトI型ホスホ
リパーゼA2レセプター。 - 【請求項2】 請求項1に記載のヒトI型ホスホリパー
ゼA2レセプターをコードするDNA配列。 - 【請求項3】 配列表の配列番号1の1位のGから12
33位のTまででなる塩基配列を有する、請求項2に記
載のDNA配列。 - 【請求項4】 請求項2または3に記載のDNA配列を
有する、発現ベクター。 - 【請求項5】 請求項4に記載の発現ベクターを宿主に
導入して得られる形質転換体。 - 【請求項6】 前記宿主が哺乳類動物細胞である、請求
項5に記載の形質転換体。 - 【請求項7】 請求項5に記載の形質転換体を培養する
工程、および産生されたヒトI型ホスホリパーゼA2レ
セプターを培養培地から回収する工程を包含する、ヒト
I型ホスホリパーゼA2レセプターの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6067368A JPH07278196A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ヒトi型ホスホリパーゼa2レセプター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6067368A JPH07278196A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ヒトi型ホスホリパーゼa2レセプター |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07278196A true JPH07278196A (ja) | 1995-10-24 |
Family
ID=13343011
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6067368A Pending JPH07278196A (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | ヒトi型ホスホリパーゼa2レセプター |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07278196A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109891245A (zh) * | 2016-08-12 | 2019-06-14 | 美国创新免疫科技有限公司 | 自身免疫疾病的诊断、预防和/或治疗 |
-
1994
- 1994-04-05 JP JP6067368A patent/JPH07278196A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109891245A (zh) * | 2016-08-12 | 2019-06-14 | 美国创新免疫科技有限公司 | 自身免疫疾病的诊断、预防和/或治疗 |
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