JPH07278086A - ヒドロキサム酸誘導体およびそれを含有する医薬製剤 - Google Patents

ヒドロキサム酸誘導体およびそれを含有する医薬製剤

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JPH07278086A
JPH07278086A JP6251094A JP25109494A JPH07278086A JP H07278086 A JPH07278086 A JP H07278086A JP 6251094 A JP6251094 A JP 6251094A JP 25109494 A JP25109494 A JP 25109494A JP H07278086 A JPH07278086 A JP H07278086A
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JP6251094A
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Masashi Isozaki
正史 磯崎
Hiroaki Kasukawa
博明 粕川
Keiichi Nakazawa
圭一 中澤
Keiko Hoki
恵子 伯耆
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】下記一般式(1)で示されるN−ヒドロキシ−
N−(1−フェニルエチル)−4−(3−(4−メトキ
シフェノキシ)スチリル)ベンズアミドなどのヒドロキ
サム酸誘導体およびそれを含有する医薬製剤。 【化1】 (R1は、フェニル基など、Lは炭素数が1〜8のアル
キレンなど、nは0または1の整数、R2は、水素、炭
素数が1〜4のアルキル基など、Mは、水素、アルコイ
ル基などを示す。) 【効果】平滑筋細胞に対する増殖抑制作用を有し、血管
壁肥厚防止薬として有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、平滑筋細胞増殖抑制作
用を有し、血管壁肥厚防止薬として有効なヒドロキサム
酸誘導体、およびそれを含有する医薬製剤に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】狭心症、心筋梗塞等における病態の発症
は、それに先行して生ずる冠動脈硬化症が大きな原因で
あることが知られている。動脈硬化によって生じる内腔
の狭小化や血管の弾性消失が、心筋組織への栄養および
酸素不足をもたらし、上記病態を誘導する。血管内腔の
狭小化は、泡末化マクロファージやコレステロールの内
壁への蓄積に加え、血管中膜平滑筋細胞の内膜への遊
走、内膜での増殖によって生じる細胞繊維性内膜肥厚が
その大きな原因であると言われている。狭心症、心筋梗
塞の治療手段としては、抗血栓薬や血管拡張薬等が症状
改善を主たる目的として使用されているが、動脈硬化に
よって招来される血管内腔の狭小化や弾性の消失を根本
的に治療するまでには、至っていない。前記病態の治療
が可能な医薬品は現在のところ知られていない。そのた
め、血管の狭小化をもたらしている内膜肥厚を防止ある
いは治療することの可能な医薬品が切望されている。
【0003】近年、狭小化した血管を外科的に治療する
方法として、経皮的冠動脈拡張術(Percutaneous Trans
luminal Coronary Angioplasty:PTCA)が普及しつつあ
る。PTCA術は大腿動脈などからバルーンカテーテル
を遠隔的に挿入してゆき、狭窄部でバルーンを膨らま
せ、物理的に血管を拡張させるものである。しかし、こ
の治療法の最大の問題点は、施行後3〜6ケ月で、施行
例の30〜50%に再び狭窄が起きることである(Spen
cer B.King III; Am.J.Candiol,1987,60(3),1B )。この
再狭窄は、コレステロールの沈着は観察されず、むしろ
そのほとんどを平滑筋細胞やこの細胞が産生する細胞間
マトリックスによって構成された、いわゆる細胞繊維性
内膜肥厚である。従って、PTCA術後の再狭窄防止、
ひいては動脈硬化の治療法としては、血管内腔で生じる
平滑筋細胞の遊走、増殖を抑制することが有効である。
現在のところ、そのような従来技術としてはカテコール
誘導体(特許公報特開平4−154720号)が報告さ
れているが、平滑筋細胞の増殖をより強く抑制する活性
物質の出現が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、PT
CA術後の再狭窄防止薬、自家血管及び人工血管移植後
の再狭窄防止薬ひいては動脈硬化の治療薬および予防薬
として有用である化合物およびこれを有効成分とする血
管壁肥厚防止薬を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規のヒ
ドロキサム酸誘導体に関し、それらの薬理活性を鋭意検
討した結果、驚くべくことに本発明のヒドロキサム酸化
合物が、PDGFや血清によって惹起される培養平滑筋
細胞の増殖抑制作用を特異的に抑制することを見い出
し、本発明を完成させた。前記本発明とは以下の通りで
ある。
【0006】 下記一般式(1)で示されるヒドロキ
サム酸誘導体。
【0007】
【化3】
【0008】(式1中、R1は、フェニル基またはアリ
ールオキシフェニル基、または、下記一般式(2)を示
し、Lは、炭素数が1〜8のアルキレン、炭素数が2〜
8のアルケニレン、−(CH2m−O−(mは、0また
は1〜4の整数)、−CO−を示し、nは0または1の
整数を示し、R2 は、水素、炭素数が1〜4のアルキル
基、アルキル部分の炭素数が1〜4のアリールアルキル
基を示し、Mは、水素、アルコイル基、アルコキシカル
ボニル基、医薬上許容されるカチオンを示す。)
【0009】
【化4】
【0010】(式2中、R3は、アリール、アルキル部
分の炭素数が1〜4のアリールアルキル基を示す。)
【0011】 上記記載のヒドロキサム酸誘導体を
含有してなる医薬製剤。 上記記載のヒドロキサム酸誘導体を含有してなる
血管壁肥厚防止薬。
【0012】本明細書において「アルキレン」とは、直
鎖状または分岐状のアルカンより誘導される二価の基、
例えば、−CH2−、−CHCH3−、−C(CH3
2−、−CH(C25)−、−CH2CH2−、−CH2
HCH3−,−C(CH32C(CH32−、−CH2
2CH2−、などを意味する。
【0013】本明細書において「アルケニレン」とは、
直鎖状または分岐状のアルケンより誘導される二価の
基、例えば、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、
−CH=CHCH(CH3)−、−C(CH3)=CHC
2−、−CH2CH=CHCH2−、−C(CH32
H=CHC(CH32−、などを意味する。
【0014】本明細書において「アルキル」とは、炭素
数1〜4個の直鎖状または分岐鎖基を意味し、これには
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−
ブチル基などが含まれるが、これらに限定されるもので
はない。
【0015】本明細書において「アルコキシ」とは、−
OR4(R4はアルキル基)を意味し、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、sec−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−
ブトキシ基などが含まれるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0016】本明細書において「アルコイル」とは、−
COR4(R4はアルキル基)を意味し、これには、ホル
ミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イ
ソブチリル基、ピバロイル基などが含まれるが、これら
に限定されるものではない。
【0017】本明細書において「アルコキシカルボニ
ル」とは、−COR5(R5はアルコキシ基)を意味し、
これには、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基、sec−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカル
ボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが含ま
れるが、これらに限定されるものではない。
【0018】本明細書において「アリール」とは、置換
または非置換の炭素環式または複素環式芳香族基(置換
基は、ハロゲノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、およびハ
ロゲン置換アルキル基から選ばれる)を意味し、これに
はフェニル基、1−または2−ナフチル基、2−、3−
または4−ピリジル基、2−または3−フリル基などが
含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0019】本明細書において「アリールオキシ」と
は、−OR6(R6はアリール基)を意味し、これにはフ
ェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基など
が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0020】本明細書において「アリールアルキル」と
は、アルキル基にアリール基が結合したものを意味し、
これにはフェニルメチル基(ベンジル基)、1−フェニ
ルエチル基、2−フェニルエチル基、1−ナフチルエチ
ル基、2−ピリジルメチル基、ベンズヒドリル基などが
含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0021】本明細書において「ハロゲン」とは、フッ
素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子に由来する基
を意味する。
【0022】本明細書において「ハロゲン置換アルキ
ル」とは、1またはそれ以上のハロゲンで置換された上
記アルキル基を意味し、これにはクロロメチル基、トリ
フルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基などが
含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0023】本発明において「医薬上許容されるカチオ
ン」とは、非毒性カチオンを意味し、これには、ナトリ
ウム、カリウム、マグネシウムなどのアルカリおよびア
ルカリ土類金属に基づくカチオンが含まれるがこれらに
限定されるものではない。
【0024】本発明の化合物は、いずれも文献未載の新
規化合物であり、例えば一般式(1)で表される化合物
は下記一般式(3)で表されるカルボン酸誘導体に、カ
ルボン酸活性化剤を反応させてカルボキシル基における
反応性誘導体に導びき、ついで、下記一般式(4)で表
されるヒドロキシアミン誘導体と反応させることによっ
て製造することができる。
【0025】
【化5】
【0026】(式3中のR1、L、nは前記一般式
(1)と同じ意味をもつ。)
【0027】
【化6】
【0028】(式4中のR2は前記一般式(1)と同じ
意味をもつ、Zは水素原子、またはベンジル基等の適当
な保護基を示す。)
【0029】さらに、例えば一般式(1)でLが−CO
−で表される化合物は下記一般式(5)で表されるカル
ボン酸誘導体に、カルボン酸活性化剤を反応させてカル
ボキシル基における反応性誘導体に導びき、ついで、下
記一般式(6)で表されるピペラジン誘導体と反応させ
ることによって製造することができる。
【0030】
【化7】
【0031】(式5中のR2、nは前記一般式(1)と
同じ意味を有する、Zは水素原子またはベンジル基等の
適当な保護基を示す。)
【0032】
【化8】
【0033】(式6中のR3は前記一般式(1)と同じ
意味を有する。)
【0034】カルボン酸誘導体(3)および(5)とカ
ルボン酸活性化剤との反応において、カルボン酸活性化
剤としては、例えば塩化チオニル、五塩化リン、クロロ
ギ酸エステル(クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチ
ル)、塩化オキサリル、カルボジイミド類(例、N,
N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド(WSC))などがあげられるが、カルボジイ
ミド類とN−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ルまたはヒド
ロキシコハク酸イミドを併用してもよい。この反応は通
常、例えば塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン
化炭化水素類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキ
サン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロ
ピルエーテルなどのエーテル類、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはこれら
の混合溶媒などの存在下に行われる。反応温度は通常−
10℃〜50℃である。
【0035】この反応において、カルボン酸活性化剤と
して、塩化チオニル、塩化オキサリルまたは五塩化リン
を用いた場合は反応性誘導体として酸ハロゲン化物が得
られ、カルボン酸活性化剤としてクロロギ酸エステルを
用いた場合には反応性誘導体として混合酸無水物が得ら
れ、またカルボン酸活性化剤としてカルボジイミド類を
用いた場合には反応性誘導体として活性エステルが得ら
れる。
【0036】カルボン酸誘導体(3)のカルボキシル基
における反応性誘導体とヒドロキシアミン誘導体(4)
との反応、およびカルボン酸誘導体(5)のカルボキシ
ル基における反応性誘導体とピペラジン誘導体(6)と
の反応は該反応誘導体が酸ハロゲン化物である場合は例
えば塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトンなど
の溶媒中、脱酸剤(ピリジン、トリエチルアミン、炭酸
カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムな
ど)の存在下に無水または含水条件下に行なわれる。反
応温度は−50℃〜100℃、好ましくは−10℃〜3
0℃である。該反応性誘導体が活性エステルまたは混合
酸無水物である場合はカルボン酸誘導体(3)および
(5)のカルボン酸活性化剤との反応で用いた溶媒と同
様な溶媒中で行なうことができる。この場合の反応温度
は通常0〜30℃で反応時間は通常1〜5時間である。
【0037】このように製造されるヒドロキサム酸誘導
体(1)は、自体公知の分離、精製手段(例えば、クロ
マトグラフィー、再結晶)などにより単離採取すること
ができる。
【0038】本発明のヒドロキサム酸誘導体は、血管壁
肥厚防止薬として経口的にも非経口的(例えば、静脈
内、筋肉内、皮下)にも投与することができる。本発明
の有効成分化合物の投与量は、患者の年齢、体重、症状
によって異なるが、通常、1日当たり約0.1〜100
0mg/Kg、好ましくは1〜100mg/Kgを1〜3回に分け
て投与する。
【0039】本発明の化合物は有効成分もしくは有効成
分の1つとして単独または製剤担体と共に公知の製剤技
術によって錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、シロップ
剤、水剤、懸濁剤、注射剤、点眼剤、もしくは座剤等の
投与に適した任意の製剤形態をとることができる。具体
的な製剤担体としては、でんぷん類、ショ糖、乳糖、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セ
ルロース、アルギン酸ナトリウム、リン酸水素カルシウ
ム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸、
および合成ケイ酸アルミニウム等の賦形剤、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ゼラチンおよびポリビニルピロリドン等の結合
剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋カル
ボキシメチルセルロースナトリウムおよび架橋ポリビニ
ルピロリドン等の崩解剤、ステアリン酸マグネシウムお
よびタルク等の滑沢剤、セルロースアセテートフタレー
ト、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサ
クシネート、メタアクリル酸およびメタアクリル酸メチ
ルコーポリマー等の被覆剤、ポリエチレングリコール等
の溶解補助剤、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン、ソ
ルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンセチルエ
ーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬
化ヒマシ油およびグリセリルモノステアレート等の乳化
剤、EDTAなどのキレート剤、緩衝剤、保湿剤、防腐
剤、カカオ脂およびウイテブゾールW35等の基剤を挙
げることが出来る。
【0040】
【実施例】次に実施例、参考例、試験例をあげて本発明
をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例、
参考例、試験例に限定されるべきものではない。
【0041】(実施例1)(a) N−ベンジルオキシ−N−(1−フェニルエチ
ル)−4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリ
ル)ベンズアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸(1.94g,5.6mmol)に、塩化チオニル(10
ml)を加え、室温で1時間撹拌した。この混合溶液を減
圧下濃縮し、4−(3−(4−メトキシフェノキシ)ス
チリル)安息香酸塩化物を得た。次いで、O−ベンジル
−N−(1−フェニルエチル)ヒドロキシアミン(1.
27g,5.6mmol)の塩化メチレン(20ml)溶液に
トリエチルアミン(0.78ml,5.6mmol)を加え、氷
冷下で先に得た酸塩化物の塩化メチレン(8ml)溶液を
滴下し,室温でー時間撹拌した。反応液に水を加え塩化
メチレンで抽出した。塩化メチレン層は、水および飽和
塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲ
ルクロマトグラフィーに付し、塩化メチレン溶出画分よ
り白色固体の目的化合物(1.5g,48.2%)を得
た。
【0042】Mp:133.0−134.5℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.68(3
H,d,J=7.0Hz)、3.79(3H,S)、4.12
(2H,d,J=9.2Hz)、4.52(2H,d,J=9.
2Hz)、5.79(1H,q,J=7.0)、6.7−7.8
(24H,m)
【0043】(b) N−ヒドロキシ−N−(1−フェ
ニルエチル)−4−(3−(4−メトキシフェノキシ)
スチリル)ベンズアミドの合成 N−ベンジルオキシ−N−(1−フェニルエチル)−4
−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズ
アミド(1.5g,2.7mmol)の、塩化メチレン(14
ml)溶液に、氷冷下で、1.0M三塩化ホウ素塩化メチ
レン溶液(3.24ml,3.24mmol)を滴下し、室温に
て撹拌した。反応液にメタノールを加えた後、溶媒を減
圧留去して、得られた残渣に塩化メチレンを加え、水お
よび飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を
シリカゲルクロマトグラフィーに付し、0.5%メタノ
ール−塩化メチレン溶出画分より下記式(7)にその構
造を示し、下記の性質を示す白色固体の目的化合物
(0.83g,66.1%)を得た。
【0044】Mp:161−163℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.68(3
H,d,J=7.0Hz)、3.81(3H,S)、5.3(1
H,q,J=7.0Hz)、6.7−7.6(19H,m) MS(FAB):466(M+1)
【0045】
【化9】
【0046】(実施例2)N−ヒドロキシ−N−メチル−4−(3−(4−メトキ
シフェノキシ)スチリル)ベンズアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸(0.69g,2.0mmol)とN,N−ジメチルホル
ムアミド(0.16ml,2.0mmol)の塩化メチレン(1
0ml)溶液に氷冷下で塩化オキサリル(0.38ml,4.
4mmol)を滴下して酸塩化物に変換後、この溶液をN−
メチルヒドロキシアミン塩酸塩(0.34g,4mmol)
とトリエチルアミン(1.12ml,8mmol)のテトラヒ
ドロフラン(10ml)−水(2ml)溶液に氷冷下滴下
し、室温で撹拌した。反応液を減圧留去後、酢酸エチル
溶液とし、1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣
をシリカゲルクロマトグラフィーに付し、塩化メチレン
溶出画分より下記式(8)にその構造を示し、下記の性
質を示す白色固体(再結晶:酢酸エチル−ヘキサン)の
目的の化合物(0.27g,50.6%)を得た。
【0047】Mp:159−161℃1 H−NMR(60MHz、DMSO−d6) δ:3.3
(3H,s)、3.8(3H,s)、6.7−7.8(14
H,m)、9.9(1H,s)
【0048】
【化10】
【0049】(実施例3)N−ヒドロキシ−N−イソプロピル−4−(3−(4−
メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズアミドの合成 N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−イソプ
ロピルヒドロキシアミン塩酸塩を用いる以外は実施例2
の方法に準じて、下記式(9)にその構造を示し、下記
の性質を示す目的化合物を製造した。
【0050】Mp:156−157℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3+CD3OD) δ:
1.29(6H,d,J=6.72Hz)、3.84(3H,
s)、4.3−4.8(1H,m)、6.8−7.7(14
H,m)
【0051】
【化11】
【0052】(実施例4)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−ス
チリルベンズアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸に代えて4−スチリル安息香酸を用いる以外は実施
例1の方法に準じて、下記式(10)にその構造を示
し、下記の性質を示す目的化合物を製造した。
【0053】Mp:172−174℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.70
(3H,d,J=6.90Hz)、5.30(1H,q,J=
6.90Hz)、7.10−7.62(16H,m)
【0054】
【化12】
【0055】(実施例5)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−ス
チリルシンナムアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸に代えて4−スチリルけい皮酸を用いる以外は実施
例1の方法に準じて、下記式(11)にその構造を示
し、下記の性質を示す目的化合物を製造した。
【0056】Mp:196−198℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.72(3
H,d,J=6.9Hz)、5.65(1H,m)、6.58−
8.03(18H,m)
【0057】
【化13】
【0058】(実施例6)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(3−フェノキシスチリル)シンナムアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸に代えて4−(3−フェノキシスチリル)けい皮酸
を用いる以外は実施例1の方法に準じて、下記式(1
2)にその構造を示し、下記の性質を示す目的化合物を
製造した。
【0059】Mp:165−167℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.68(3
H,d,J=6.7Hz)、5.65(1H,m)、6.61−
8.08(23H,m)
【0060】
【化14】
【0061】(実施例7)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(2−(3−(4−メトキシフェノキシ)フェニル)エ
チル)ベンズアミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸に代えて4−(2−(3−(4−メトキシフェノキ
シ)フェニル)エチル)安息香酸を用いる以外は実施例
1の方法に準じて、下記式(13)にその構造を示し、
下記の性質を示す油状の目的化合物を製造した。
【0062】1H−NMR(60MHz、CDCl3
δ:1.67(3H,d,J=6.8Hz)、2.90(3H,
bs)、3.77(3H,s)、5.12(1H,q,J=
6.8Hz)、6.40−7.68(17H,m)
【0063】
【化15】
【0064】(実施例8)N−ヒドロキシ−N−(1−(2−フリル)エチル)−
4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベン
ズアミドの合成 N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−(1−
(2−フリル)エチル)ヒドロキシアミン塩酸塩を用い
る以外は実施例2の方法に準じて、下記式(14)にそ
の構造を示し、下記の性質を示す目的化合物を製造し
た。
【0065】Mp:151−153℃1 H−NMR(60MHz、CDCl3) δ:1.61(3
H,d,J=6.6Hz)、3.81(3H,s)、5.22
(1H,m)、6.37(1H,m)、6.78−7.55
(17H,m) MS(FAB):456(M+1)
【0066】
【化16】
【0067】(実施例9)N−ヒドロキシ−N−(1−(2−ピリジル)エチル)
−4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベ
ンズアミドの合成 N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−(1−
(2−ピリジル)エチル)ヒドロキシアミン塩酸塩を用
いる以外は実施例2の方法に準じて、下記式(15)に
その構造を示し、下記の性質を示す油状の目的化合物を
製造した。
【0068】1H−NMR(60MHz,CDCl
δ:1.71(3H,J=7.8Hz),3.79(3H,
s),5.93(1H,m),6.75−8.42(18
H,m)
【0069】
【化17】
【0070】(実施例10)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(3−(4−クロロフェノキシ)−スチリル)ベンズア
ミドの合成 4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)安息
香酸に代えて4−(3−(4−クロロフェノキシ)スチ
リル)安息香酸を用いる以外は実施例1の方法に準じ
て、下記式(16)にその構造を示し、下記の性質を示
す目的化合物を製造した。
【0071】Mp:168−169℃1 H−NMR(60MHz,CDCl3) δ:1.7(3
H,d,J=6.9Hz),5.27(1H,q,J=6.9H
z),6.9−7.6(19H,m)
【0072】
【化18】
【0073】(実施例11)N−アセトキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズア
ミドの合成 N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズア
ミド(698mg,1.5mmol)とトリエチルアミン(1
83mg,1.8mmol)の塩化メチレン(10ml)溶液
に、氷冷下、塩化アセチル(130mg,1.65mmol)
を滴下し、室温にて撹拌した。反応液に塩化メチレンを
加え、飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和塩化ナト
リウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィーに付し、塩化メチレン溶出画分より下記
式(17)にその構造を示し、下記の性質を示す油状の
目的化合物(460mg,60%)を得た。
【0074】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:1.6(3H,d,J=7.0Hz),1.9(3H,
s),3.8(3H,s),5.7(1H,q,J=7.0H
z),6.5−7.7(19H,m)
【0075】
【化19】
【0076】(実施例12)N−エトキシカルボニルオキシ−N−(1−フェニルエ
チル)−4−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリ
ル)ベンズアミドの合成 塩化アセチルに代えてクロロギ酸エチルを用いる以外は
実施例11の方法に準じて、下記式(18)にその構造
を示し、下記の性質を示す油状の目的化合物を製造し
た。
【0077】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:1.1(3H,t,J=7.1Hz),1.7(3H,d,
J=7.0Hz),3.8(3H,s),4.1(2H,q,J
=7.1Hz),5.7(1H,q,J=7.0Hz),6.6−
7.8(19H,m)
【0078】
【化20】
【0079】(実施例13)(a) N−((N−tert−ブトキシカルボニル)
−グリシルオキシ)−N−(1−フェニルエチル)−4
−(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズ
アミドの合成 N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
(3−(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズア
ミド(1.14g,2.45mmol)とN−tert−ブト
キシカルボニルグリシン(515mg,2.94mmol)の
塩化メチレン(25ml)溶液に、1−エチル−3−(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(563m
g,2.94mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(35
9mg,2.94mmol)を加え、室温にて撹拌した。反応
液に塩化メチレンを加え、1規定塩酸、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し
て得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付
し、塩化メチレン溶出画分よりN−((N−tert−
ブトキシカルボニル)−グリシルオキシ)−N−(1−
フェニルエチル)−4−(3−(4−メトキシフェノキ
シ)スチリル)ベンズアミド(1.52g,100%)
を得た。
【0080】(b) N−グリシルオキシ−N−(1−
フェニルエチル)−4−(3−(4−メトキシフェノキ
シ)スチリル)ベンズアミド塩酸塩の合成 N−((N−tert−ブトキシカルボニル)−グリシ
ルオキシ)−N−(1−フェニルエチル)−4−(3−
(4−メトキシフェノキシ)スチリル)ベンズアミド
(1.0g,1.6mmol)の塩化メチレン(8ml)溶液
に、氷冷下、塩酸ガスを吹き込み、室温にて撹拌した。
反応液の溶媒を減圧留去して、下記式(19)にその構
造を示し、下記の性質を示す目的化合物(460mg,5
1%)を得た。
【0081】Mp:153−155℃1 H−NMR(60MHz,DMSO−d6) δ:1.6
(3H,d,J=6.9Hz),3.8(3H,s),3.9−
4.2(2H,m),5.5(1H,q,J=6.9Hz),
6.7−8.0(19H,m)
【0082】
【化21】
【0083】(実施例14)N−ヒドロキシ−N−メチル−4−(4−(4−クロロ
ベンズヒドリル)ピペラジニルメチル)シンナムアミド
の合成 4−((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニ
ル)メチル)けい皮酸(1.22g,2.73mmol)と
N,N−ジメチルホルムアミド(0.21ml,12.73m
mol)の塩化メチレン(14ml)溶液に氷冷下で塩化オ
キサリル(0.521ml,16.0mmol)を滴下し、2時
間撹拌し、この溶液を、N−メチルヒドロキシアミン塩
酸塩(0.46g,5.46mmol)とトリエチルアミン
(2.28ml,16.38mmol)のテトラヒドロフラン
(15ml)−水(3ml)溶液に滴下し、室温で2時間撹
拌した。反応液を減圧下濃縮し酢酸エチルを加え、水、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウ
ム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶
媒を減圧留去して得られる残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィーに付し、塩化メチレン溶出画分より下記式(2
0)にその構造を示し、下記の性質を示す白色固体の目
的化合物(0.81g,62.3%)を得た。
【0084】Mp:104−106℃1 H−NMR(60MHz,DMSO−d6) δ:2.37
(8H,bs),3.25(3H,s),3.49(2H,
s),4.31(1H,s),7.0−7.7(15H,
m),10.0(1H,s)
【0085】
【化22】
【0086】(実施例15)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニル)
メチル)シンナムアミドの合成 N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−(1−
フェニルエチル)ヒドロキシアミン塩酸塩を用いる以外
は実施例14の方法に準じて下記式(21)にその構造
を示し、下記の性質を示す目的化合物を製造した。
【0087】Mp:175−177℃1 H−NMR(400MHz,DMSO−d6) δ:1.5
1(3H,d,J=6.80Hz),2.10−2.70(8
H,m),3.48(2H,s),4.31(1H,s),
5.74(1H,q,J=6.80Hz),7.00−7.70
(20H,m),9.81(1H,bs)
【0088】
【化23】
【0089】(実施例16)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニル)
メチル)ベンズアミドの合成 4−((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニ
ル)メチル)けい皮酸に代えて4−((4−(4−クロ
ロベンズヒドリル)ピペラジニル)メチル)安息香酸
を、N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−
(1−フェニルエチル)ヒドロキシアミン塩酸塩を用い
る以外は実施例14の方法に準じて下記式(22)にそ
の構造を示し、下記の性質を示す目的化合物を製造し
た。
【0090】Mp:157−158℃1 H−NMR(400MHz,CDCl3) δ:1.62
(3H,d,J=7.02Hz),2.34−2.57(8H,
m),3.52(2H,s),4.22(1H,s),5.
64(1H,bs),7.14−7.40(18H,m),
9.29(1H,bs)
【0091】
【化24】
【0092】(実施例17)N−アセトキシ−N−イソプロピル−4−((4−(4
−クロロベンズヒドリル)ピペラジニル)メチル)シン
ナムアミドの合成 N−メチルヒドロキシアミン塩酸塩に代えてN−イソプ
ロピルヒドロキシアミン塩酸塩を用いる以外は実施例1
4の方法に準じて製造したN−アセトキシ−N−イソプ
ロピル−4−((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピ
ペラジニル)メチル)シンナムアミド(475g,0.
942)の塩化メチレン(10ml)溶液に撹拌下、氷冷
下においてトリエチルアミン(0.158ml,1.13mm
ol)、塩化アセチル(0.737ml,1.04mmol)を加
え1時間撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水およ
び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィーに付し、1%メタノール−
クロロホルム溶出画分より下記式(23)にその構造を
示し、下記の性質を示す油状の目的の化合物(0.81
g、62.3%)を得た。
【0093】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:1.40(6H,d,J=6.60Hz),1.90−2.
98(8H,m),2.24(3H,s),3.48(2
H,s),4.18(1H,s),4.45−5.18(1
H,m),6.57(1H,d,J=15.4Hz),6.85
−7.75(13H,m),7.72(1H,d,15.7H
z)
【0094】
【化25】
【0095】(実施例18)N−ヒドロキシ−N−メチル−4−((4−(2−メト
キシフェニル)ピペラジニル)メチル)シンナムアミド
の合成 4−((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニ
ル)メチル)けい皮酸に代えて4−((4−(2−メト
キシフェニル)ピペラジニル)メチル)けい皮酸を用い
る以外は実施例14の方法に準じて下記式(24)にそ
の構造を示し、下記の性質を示す目的化合物を製造し
た。
【0096】Mp:154−155℃1 H−NMR(60MHz,DMSO−d6) δ:2.4−
2.7(8H,m),3.2(3H,s),3.5(2H,
s),3.75(3H,s),6.8−7.7(10H,
m),9.9(1H,s)
【0097】
【化26】
【0098】(実施例19)N−ヒドロキシ−N−メチル−4−((4−(2−メト
キシフェニル)ピペラジニル)エトキシ)シンナムアミ
ドの合成 4−((4−(4−クロロベンズヒドリル)ピペラジニ
ル)メチル)けい皮酸に代えて4−(2−(4−(2−
メトキシフェニル)ピペラジニル)エトキシ)けい皮酸
を用いる以外は実施例14の方法に準じて下記式(2
5)にその構造を示し、下記の性質を示す油状の目的化
合物を製造した。
【0099】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:2.7−3.3(10H,m),3.37(3H,
s),3.85(3H,s),4.15(2H,t,J=6H
z),6.7−7.7(10H,m)
【0100】
【化27】
【0101】(実施例20)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
((4−(2−メトキシフェニル)ピペラジニル)カル
ボニル)シンナムアミドの合成 (a) N−ベンジルオキシ−N−(1−フェニルエチ
ル)−4−カルボキシシンナムアミド(0.8g、2mmo
l)と1−(2−メトキシフェニル)ピペラジン(0.4
1g、2.1mmol)と1−エチル−3−(3−ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.38g、
2mmol)の塩化メチレン(10ml)溶液を、室温にて撹
拌した。反応液を塩化メチレンで希釈し飽和塩化アンモ
ニウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し
て得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーに付
し、塩化メチレン溶出画分よりN−ベンジルオキシ−N
−(1−フェニルエチル)−4−((4−(2−メトキ
シフェニル)ピペラジニル)カルボニル)シンナムアミ
ド(0.66g、57%)を得た。
【0102】(b) 前述のN−ベンジルオキシ−N−
(1−フェニルエチル)−4−((4−(2−メトキシ
フェニル)ピペラジニル)カルボニル)シンナムアミド
を(0.66g、1.1mmol)の塩化メチレン(10ml)
溶液に、氷冷下で1.0M三塩化ホウ素塩化メチレン溶
液(3ml、3mmol)を滴下し、室温にて撹拌した。反応
液にメタノールを加えた後、溶媒を減圧留去し、得られ
た残渣に塩化メチレンを加え、水および飽和塩化ナトリ
ウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
溶媒を減圧留去して得えられた残渣をシリカゲルクロマ
トグラフィーに付し、0.5%メタノール−塩化メチレ
ン溶出画分より下記式(26)にその構造を示し、下記
の性質を示す油状の目的化合物(0.51g、91%)
を得た。
【0103】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:1.65(3H,d,J=7Hz),2.5−3.2(4
H,m),3.3−4.0(4H,m),3.9(3H,
s),5.85(1H,q,J=7Hz),6.6−7.75
(15H,m)
【0104】
【化28】
【0105】(実施例21)N−ヒドロキシ−N−(1−フェニルエチル)−4−
((4−ベンジルピペラニジル)カルボニル)シンナム
アミドの合成 1−(2−メトキシフェニル)ピペラジンに代えて1−
ベンジルピペラジンを用いる以外は実施例20の方法に
準じて下記式(27)にその構造を示し、下記の性質を
示す油状の目的化合物を製造した。
【0106】1H−NMR(60MHz,CDCl3
δ:1.63(3H,d,J=7Hz),2.18−2.6
(4H,m),3.6−3.75(6H,m),5.9(1
H,q,J=7Hz),6.6−7.71(16H,m)
【0107】
【化29】
【0108】(参考例) (a) p−トルイル酸メチルエステル(15g,0.
1mmol)の四塩化炭素(500ml)溶液にN−ブロモコ
ハク酸イミド(19.6g,0.11mol)および過酸化
ベンゾイル(2.66g,0.011mol)を加え80℃
で1時間撹拌した。反応液をろ過し減圧下濃縮後、酢酸
エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽
和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、溶媒を減圧留去して4−ブロモメチル安息
香酸メチルエステルを得た。前記のエステルに亜リン酸
トリエチル(20.6ml,0.12mol)を加え130℃
で3時間半撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、水お
よび飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を
シリカゲルクロマトグラフィーに付し、塩化メチレン溶
出画分より4−(ジエトキシホスホリルメチル)安息香
酸メチルエステル(22.7g,79.3%)を得た。
【0109】(b) 60%水素化ナトリウム(0.4
3g,10.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド
(50ml)溶液に撹拌下、氷冷下において4−(ジエト
キシホスホリルメチル)安息香酸メチルエステル(3.
09g,10.8mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド
溶液を加えた。3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズ
アルデヒド(1.89ml,9mmol)を加えた後、室温で
5時間撹拌した。反応物に水を加え、酢酸エチルで抽出
した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して4−(3−
(4−メトキシフェノキシ)−スチリル)安息香酸メチ
ルエステル(2.05g,65.7%)を得た。
【0110】(c) 前記のエステル(2.05g,5.
69mmol)のメタノール(28ml)溶液に、2規定水酸
化ナトリウム(12.27ml,24.5mmol)と水(5m
l)を加え、60℃で撹拌した。この混合溶液を減圧下
濃縮し、水を加え6N−HClにより結晶を析出させ、
ろ過後乾燥させ下記式(28)にその構造を示し、下記
の性質を示す4−(3−(4−メトキシフェノキシ)−
スチリル)安息香酸(1.94g,98.4%)を得た。
【0111】Mp:>300℃1 H−NMR(60MHz,DMSO−d6) δ:3.77
(3H,s),6.62−8.06(14H,m)
【0112】
【化30】
【0113】(試験例)培養平滑筋細胞の増殖抑制作用 6週齢Wistar系雄性ラット(日本チャールズリバ
ー社製)の胸部大動脈から中膜平滑筋層を取り出し、1
mm2の切片にした後、25cm3の培養フラスコ(コーニン
グ社製)にはりつけ、10%血清を含むDulbecc
o modified eagle medium(以
下DMEMと略す:日水社製)中で、2〜3週間37℃
95%O2+5%CO2の条件下にてインキュベーター
で培養した。切片から伸長し、分裂した細胞を初代培養
平滑筋細胞として採取した。初代培養平滑筋細胞は、直
径9cmのシャーレ(コーニング社製)にて10%血清
(ギブコ社製)を含むDMEM中で培養し、コンフルエ
ントに達する3〜4日目に3倍量に継代した。この操作
を4〜8回繰り返す間の、すなわち、継代数5〜9代の
間の細胞を用いて試験を行った。
【0114】上記培養平滑筋細胞は24穴プレート(フ
ァルコン社製)に8×103個の平滑筋細胞/穴/70
0μlDMEMの割合で播種した。オーバーナイト後、
無血清にし、2日間インキュベーターで培養した。この
条件下では、培養平滑筋細胞は細胞周期がG0期(休止
期)になり、分裂しなくなる。試験の供したヒドロキサ
ム酸誘導体はDMSOに溶解後、10%血清+DMEM
によりまず100倍に希釈し、さらに10%血清+DM
EMで20倍に希釈した。つまり2000倍希釈試験溶
液を上記条件下の細胞に添加し、4日間培養した後、コ
ールターカウンター(日科機社製)にて細胞数をカウン
トした。結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】表1に示す如く本発明化合物は培養平滑筋
細胞の増殖作用を顕著に抑制した。なお、表中50%抑
制濃度とは本発明化合物導入しない場合における培養平
滑筋細胞増殖能を100%とした場合、該ヒドロキサム
酸誘導体の導入により前記培養平滑筋細胞の増殖能を5
0%まで抑制するために要した本発明化合物の溶液濃度
を意味する。
【0117】一方、細胞周期がG0期の培養平滑筋細胞
をヒドロキサム酸誘導体を含む0.5%血清+DEME
溶液中で3日間培養した場合は、細胞数を増加あるいは
減少させることはなかった。すなわち、本発明化合物は
増殖期の平滑筋細胞の増殖のみを特異的に抑制し、細胞
傷害作用は有しないことがわかった。
【0118】(急性毒性)ICR系雄性マウス(5週
齢)を用いて経口および静脈内投与により急性毒性試験
を行った結果、本発明の化合物のLD50値はいずれも1
000mg/kg以上であり、有効性に比べて高い安全性が
確認された。
【0119】
【発明の効果】本発明に係る新規なヒドロキサム酸誘導
体およびこれを含有する血管壁肥厚防止薬はPTCA術
後の再狭窄防止薬ひいては動脈硬化の治療薬として有効
に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 295/12 A 295/14 A 295/18 A 307/52 (72)発明者 伯耆 恵子 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)で示されるヒドロキサム
    酸誘導体。 【化1】 (式1中、R1は、フェニル基またはアリールオキシフ
    ェニル基、または、下記一般式(2)を示し、Lは、炭
    素数が1〜8のアルキレン、炭素数が2〜8のアルケニ
    レン、−(CH2m−O−(mは、0または1〜4の整
    数)、−CO−を示し、nは0または1の整数を示し、
    2は、水素、炭素数が1〜4のアルキル基、アルキル
    部分の炭素数が1〜4のアリールアルキル基を示し、M
    は、水素、アルコイル基、アルコキシカルボニル基、医
    薬上許容されるカチオンを示す。) 【化2】 (式2中、R3は、アリール、アルキル部分の炭素数が
    1〜4のアリールアルキル基を示す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載のヒドロキサム酸誘導体を含
    有してなる医薬製剤。
JP6251094A 1993-11-08 1994-10-17 ヒドロキサム酸誘導体およびそれを含有する医薬製剤 Pending JPH07278086A (ja)

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JP6251094A JPH07278086A (ja) 1993-11-08 1994-10-17 ヒドロキサム酸誘導体およびそれを含有する医薬製剤

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