JPH07276131A - トリミング時の刃物高速退避方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 少ないストリップのロスで刃物をストリップ
から離脱させることが可能なトリミング時の刃物高速退
避方法を提供する。 【構成】 両側に上下一対の円板状の刃物１１を備え、
該刃物１１でストリップ１０の両側を切断するサイドト
リマーにおけるトリミング時の刃物高速退避方法であっ
て、前記刃物１１のトーイン角を保持した状態で前記ス
トリップ１０の送り速度に応じて該刃物１１を板幅外方
向に移動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼帯等のストリップの
サイドトリマーにおいて、トリミング中にトラブルが発
生した場合や刃物交換する場合等のトリミング時の刃物
高速退避方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、圧延の後酸洗する連続処理ライン
等に組み込まれているサイドトリマーにおいては、トリ
ミング作業中に刃欠け等のトラブルが発生した場合、通
常、図７に示すように刃物７０がストリップ７１のサイ
ドクリッピング７２された位置、又は図８に示すように
後行材７３が先行材７４より幅狭材になる位置までトリ
ミングを続け、その位置に達するとラインを停止してい
た。また、特公平５−５５２４７号公報には、刃物を水
平旋回させると共に、ストリップを板幅方向へ水平移動
させ、トリミング中のストリップを一旦ストリップの内
側に入り込んだ後に外側に移動する切断曲線に沿ってス
トリップから切り取るターレット式サイドトリマーのカ
ッタナイフ交換方法が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トラブ
ル発生後もサイドクリッピング７２された位置、又は後
行材７３が幅狭材になる位置までトリミングを続けるこ
とはストリップ７１、７５の無駄を出すばかりでなく、
刃欠け発生時には製品の品質が悪くなるという問題点が
あった。また、特公平５−５５２４７号の場合は、旋回
機構が必ず必要であり、装置が複雑であるという問題点
があった。また、ストリップから切り抜ける場合には、
刃物とストリップとの角度を適正値に制御しないと、急
激な負荷変動により刃欠けが発生するという問題点があ
った。本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、
少ないストリップのロスで刃物をストリップから離脱さ
せることが可能なトリミング時の刃物高速退避方法を提
供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載のトリミング時の刃物高速退避方法は、両側に上下
一対の円板状の刃物を備え、該刃物でストリップの両側
を切断するサイドトリマーにおけるトリミング時の刃物
高速退避方法であって、前記刃物のトーイン角を保持し
た状態で前記ストリップの送り速度に応じて該刃物を板
幅外方向に移動するように構成されている。請求項２記
載のトリミング時の刃物高速退避方法は、両側に上下一
対の円板状の刃物を備え、該刃物でストリップの両側を
切断するサイドトリマーにおけるトリミング時の刃物高
速退避方法であって、前記刃物を板幅外方向に徐々に移
動しながら、該刃物を切り抜け角度以内で外角方向に徐
々に水平旋回するように構成されている。ここで、外角
方向とは、ストリップの送り方向とは逆の方向をいう。
請求項３記載のトリミング時の刃物高速退避方法は、請
求項２記載のトリミング時の刃物高速退避方法におい
て、前記刃物は外角方向に水平旋回した後、前記ストリ
ップの切り抜け手前あるいは切り抜け後に、更に逆旋回
して旋回前の角度に戻るように構成されている。請求項
４記載のトリミング時の刃物高速退避方法は、両側に上
下一対の円板状の刃物を備え、該刃物でストリップの両
側を切断するサイドトリマーにおけるトリミング時の刃
物高速退避方法であって、前記刃物を板幅外方向に徐々
に移動さながら、前記刃物を外角方向に僅少角度内で水
平旋回した後、逆旋回を行って元の角度に戻して該刃物
を板端内側に位置させ、しかる後該刃物をそのままの角
度で板幅外方向に徐々に移動するように構成されてい
る。ここで、僅小角度とは０〜±１０度程度の角度をい
う。請求項５記載のトリミング時の刃物高速退避方法
は、請求項２〜４のいずれか１項に記載のトリミング時
の刃物高速退避方法において、前記刃物の移動を、前記
ストリップの送り速度を通常のトリミング時の送り速度
より遅くして行うように構成されている。

【０００５】

【作用】請求項１記載のトリミング時の刃物高速退避方
法においては、刃物のトーイン角を保持した状態でスト
リップの送り速度に応じて前記刃物を板幅外方向に移動
させるので、刃物はトーイン角を保持した状態でストリ
ップの両側を斜め方向で直線的に切り進み、そしてトー
イン角でストリップを切り抜けて刃物がストリップから
離れる。請求項２及び３記載のトリミング時の刃物高速
退避方法においては、刃物を板幅外方向に徐々に移動し
ながら、該刃物を切り抜け角度以内で外角方向に徐々に
水平旋回するので、刃物が曲線状にストリップの両端側
まで速く切り進む。そして、水平旋回は切り抜け角度以
内で行われるので、刃物がストリップを切り抜けるとき
に刃物に大きな負荷変動がかからない。請求項４記載の
トリミング時の刃物高速退避方法においては、刃物を板
幅外方向に徐々に移動させながら、前記刃物を外角方向
に僅小角度で水平旋回させるので、刃物が曲線状にスト
リップの両端側に速く切り進む。この場合、水平旋回は
僅小角度で行うので、刃物に大きな負荷がかからない。
そして、その後逆水平旋回をして元の角度に戻し、その
ままの角度で板幅外方向へ徐々に移動するので、刃物に
かかる負荷が小さい状態でストリップの両側を切断す
る。請求項５記載のトリミング時の刃物高速退避方法に
おいては、請求項２〜４のいずれか１項に記載のトリミ
ング時の刃物高速退避方法における作用の他に、刃物の
移動を、ストリップの送り速度を通常のトリミング時の
送り速度より遅くしかつ水平旋回は僅小角度で行うの
で、刃物が旋回しても刃物に大きな負荷がかからない。

【０００６】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図１は本発明の第１の実施例に係るトリミ
ング時の刃物高速退避方法を適用してストリップを刃物
で切断する状態を示す説明図、図２は同刃物の旋回角度
（ｙ軸に対する）（θ）と刃物のｙ方向の移動距離との
関係を示すグラフ、図３は本発明の第２の実施例に係る
トリミング時の刃物高速退避方法を適用してストリップ
を刃物で切断する状態を示す説明図、図４は同刃物の旋
回角度（ｙ軸に対する）（θ）と刃物のｙ方向の移動距
離との関係を示すグラフ、図５は本発明の第３の実施例
に係るトリミング時の刃物高速退避方法を適用してスト
リップを刃物で切断する状態を示す説明図、図６は同刃
物の旋回角度（ｙ軸に対する）（θ）と刃物のｙ方向の
移動距離との関係を示すグラフである。

【０００７】図１及び図２を参照しながら本発明の第１
の実施例に係るトリミング時の刃物高速退避方法につい
て説明する。一例として鋼材からなり、厚み０．６ｍｍ
のストリップ１０（通常厚みは０．１〜９．５ｍｍ程
度）をｘ方向に２００ｍｐｍの速度で送り、トーイン角
を−０．２度（通常−１〜０度の範囲）にした刃物１１
でストリップ１０の両側を一定幅で切断している途中
で、刃欠け等の発生により走間幅替えを行ってストリッ
プ１０から刃物１１を離脱させる場合については（スト
リップの右半分について述べる）、先ず、刃物１１のト
ーイン角及びストリップ１０の送り速度をそのままの状
態に保ち、両側の刃物１１をｙ方向（板幅外方向）へ２
０ｍｍ／ｓｅｃの速度で移動させる。刃物１１は図２に
示すようにトーイン角−０．２度を保った状態でストリ
ップ１０を直線状で斜め方向に切り進み、ストリップ１
０の端部から刃物１１が切り抜ける。このようにするこ
とにより、ストリップ１０を切り抜ける場合に刃物１１
が欠けることはなく、また、ストリップ１０のロスが大
幅に少なくて済む。更に、この方法であればサイドトリ
マーには刃物の旋回機構が必要でないので、サイドトリ
マーの機構が簡単になる。

【０００８】次に、図３及び図４を参照しながら本発明
の第２の実施例に係るトリミング時の刃物高速退避方法
について説明する。本実施例では前記実施例と同じスト
リップ１０をｘ方向に前記実施例と同じ２００ｍｐｍの
速度で送り、トーイン角が０度の刃物１１でストリップ
１０の両側を一定幅で切断している途中において、刃物
１１を高速退避させる場合について述べる。先ず、スト
リップ１０の送り速度を１００ｍｐｍに減速する。次
に、両側の刃物１１を軸線が切断曲線の法線となるよう
ｙ方向（板幅外方向）へ移動させながら刃物１１をスト
リップ１０と略平行な状態から徐々に外角方向に水平旋
回（旋回角度０〜６度）させる。その後ストリップ１０
の送り速度を変えずに刃物１１の移動速度を制御しなが
らストリップ１０を切り進み、切り抜き手前で同様に旋
回速度を制御しながら逆方向に水平旋回させてストリッ
プ１０から切り抜く。この場合、刃物１１の旋回角度は
図４に示すように変化する。なお、ストリップ１０の切
り抜け時はストリップ１０と刃物１１は６度以下の角度
になるようにする。このようにすることにより、ストリ
ップ１０の無駄を少なくしてストリップ１０から刃物１
１を離すことができ、また、刃物も欠け難くなる。ま
た、本実施例では刃物のトーイン角を０度としたが、−
１〜０度の範囲でトーイン角を設けてもよい。

【０００９】更に、図５及び図６を参照しながら本発明
の第３の実施例に係るトリミング時の刃物高速退避方法
について説明する。本実施例では前記実施例と同じスト
リップ１０を使用してｘ方向に前記実施例と同じ２００
ｍｐｍの速度で送り、トーイン角が０度の刃物１１でス
トリップ１０の両側を一定幅で切断している途中におい
て、刃物１１を高速退避させる場合について述べる。先
ず、ストリップ１０の送り速度を１００ｍｐｍに減速す
る。次に、両側の刃物１１を軸線が切断曲線の法線とな
るようｙ方向（板幅外方向）へ移動させながら刃物１１
をストリップ１０と略平行な状態から徐々に外角方向に
水平旋回（旋回角度０〜６度）させる。その後、ストリ
ップ１０の送り速度を変えずに刃物１１の移動速度及び
旋回速度を制御しながら逆方向に旋回を行って刃物１１
をストリップ１０と平行な位置に戻す。その結果、スト
リップ１０は端近くまで曲線状に速く切られる。そし
て、ストリップ１０の送り速度及び刃物１１の移動速度
を変えずに、刃物１１をストリップ１０の進行方向に対
して平行状態を保ったままで直線状で斜め方向に切り進
んでストリップ１０から刃物１１を離脱させる。この場
合、刃物１１の旋回角度は図６に示すように変化する。
このようにすることにより、ストリップ１０の無駄を少
なくしてストリップ１０から刃物１１を離すことがで
き、また、刃物１１も欠け難い。また、本実施例では刃
物１１のトーイン角を０度としたが、−１〜０度の範囲
でトーイン角を設けてもよい。

【００１０】

【発明の効果】請求項１記載のトリミング時の刃物高速
退避方法は、刃物のトーイン角を保持した状態でストリ
ップの送り速度に応じて前記刃物を板幅外方向に移動さ
せるので、ストリップがライン方向に一定距離進む間に
ストリップから刃物を離脱させることができる。従っ
て、従来のようにストリップから刃物を離すためにサイ
ドクリッピングされた位置又は後行材が幅狭材の位置ま
でトリミングを続ける必要がなくなり、ストリップのロ
スを大幅に減少させることができ、更に、刃物を高速退
避させるために退避時間が短く、トラブル等に迅速に対
応できる。また、トーインを固定トーインで行えば装置
の機構が簡単となり、旋回機構及びトーイン付与機構を
有しないサイドトリマーでも刃物の高速退避が可能であ
る。請求項２及び３記載のトリミング時の刃物高速退避
方法は、刃物を板幅外方向に徐々に移動しながら、該刃
物を切り抜け角度以内で外角方向に徐々に水平旋回する
ので、刃物に欠け等を生じることなく、速くストリップ
から刃物を離すことができる。従って、ストリップの無
駄を少なくすることができ、更に、刃物を高速退避させ
るために退避時間が短く、トラブル等に迅速に対応でき
る。請求項４記載のトリミング時の刃物高速退避方法
は、刃物を板幅外方向に徐々に移動さながら、刃物を外
角方向に僅少角度内で水平旋回及び逆旋回を行った後、
該刃物をそのままの角度で板幅外方向に徐々に移動する
ので、刃物に大きな負荷変動をかけずに速くストリップ
から刃物を離すことができる。従って、ストリップの無
駄を少なくすることができ、更に、刃物を高速退避させ
るために退避時間が短く、トラブル等に迅速に対応でき
る。請求項５記載のトリミング時の刃物高速退避方法
は、請求項２〜４のいずれか１項に記載のトリミング時
の刃物高速退避方法における効果の他にも、刃物の移動
は、ストリップの送り速度を通常のトリミング時の送り
速度より遅くして行うので、刃物が旋回しても刃物に大
きな負荷がかからない効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係るトリミング時の刃
物高速退避方法を適用してストリップを刃物で切断する
状態を示す説明図である。

【図２】同刃物の旋回角度（ｙ軸に対する）（θ）と刃
物のｙ方向の移動距離との関係を示すグラフである。

【図３】本発明の第２の実施例に係るトリミング時の刃
物高速退避方法を適用してストリップを刃物で切断する
状態を示す説明図である。

【図４】同刃物の旋回角度（ｙ軸に対する）（θ）と刃
物のｙ方向の移動距離との関係を示すグラフである。

【図５】本発明の第３の実施例に係るトリミング時の刃
物高速退避方法を適用してストリップを刃物で切断する
状態を示す説明図である。

【図６】同刃物の旋回角度（ｙ軸に対する）（θ）と刃
物のｙ方向の移動距離との関係を示すグラフである。

【図７】従来例に係るサイドトリマーの刃物がストリッ
プのサイドクリッピング位置にある状態を示す説明図で
ある。

【図８】従来例に係るサイドトリマーの刃物がストリッ
プから離れた状態を示す説明図である。

【符号の説明】

１０ ストリップ １１ 刃物

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両側に上下一対の円板状の刃物を備え、
   該刃物でストリップの両側を切断するサイドトリマーに
   おけるトリミング時の刃物高速退避方法であって、前記
   刃物のトーイン角を保持した状態で前記ストリップの送
   り速度に応じて該刃物を板幅外方向に移動することを特
   徴とするトリミング時の刃物高速退避方法。
2. 【請求項２】 両側に上下一対の円板状の刃物を備え、
   該刃物でストリップの両側を切断するサイドトリマーに
   おけるトリミング時の刃物高速退避方法であって、前記
   刃物を板幅外方向に徐々に移動しながら、該刃物を切り
   抜け角度以内で外角方向に徐々に水平旋回することを特
   徴とするトリミング時の刃物高速退避方法。
3. 【請求項３】 前記刃物は外角方向に水平旋回した後、
   前記ストリップの切り抜け手前あるいは切り抜け後に、
   更に逆旋回して旋回前の角度に戻る請求項２記載のトリ
   ミング時の刃物高速退避方法。
4. 【請求項４】 両側に上下一対の円板状の刃物を備え、
   該刃物でストリップの両側を切断するサイドトリマーに
   おけるトリミング時の刃物高速退避方法であって、前記
   刃物を板幅外方向に徐々に移動さながら、前記刃物を外
   角方向に僅少角度内で水平旋回した後、逆旋回を行って
   元の角度に戻して該刃物を板端内側に位置させ、しかる
   後該刃物をそのままの角度で板幅外方向に徐々に移動す
   ることを特徴とするトリミング時の刃物高速退避方法。
5. 【請求項５】 前記刃物の移動を、前記ストリップの送
   り速度を通常のトリミング時の送り速度より遅くして行
   う請求項２〜４のいずれか１項に記載のトリミング時の
   刃物高速退避方法。