JPH0727564Y2 - 燃料電池 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネル
ギーに変換させるエネルギー部門で用いられる燃料電池
のうち、特に、内部マニホールド型の溶融炭酸塩型燃料
電池に関するものである。

［従来の技術］ 現在までに提案されている燃料電池のうち、たとえば、
溶融炭酸塩型燃料電池は、第８図に一例を示す如く、電
解質として溶融炭酸塩を多孔質物質にしみ込ませたタイ
ル（電解質板）１をカソード（酸素極）２とアノード
（燃料極）３の両電極で両面から挟み、カソード２側に
カソードガス（酸化ガス）OGを供給すると共にアノード
３側にアノードガス（燃料ガス）FGを供給することによ
り反応を行わせて発電が行われるようにしたものを１セ
ルＩとし、各セルＩをセパレータ４を介し多層に積層し
てスタックとし、上下のホルダーを介して締め付けるよ
うにしてある。

従来のセパレータで、内部マニホールド型のものは、第
９図乃至第11図に一例を示す如く、周辺部にカソードガ
ス（酸化ガス）とアノードガス（燃料ガス）を流すため
のマニホールド５と６を別個に有し且つ中央部分にガス
通路７を形成したセンタープレート８と、電極反応部と
なる中央部分を切り抜いて周辺部のみとすると共に上記
マニホールド5,6の部分も切り抜いた形状として上記セ
ンタープレート８の周辺の上下両面に配して外縁部を全
周にわたり接合させたマスクプレート10a,10bと、上記
センタープレート８の周辺においてその上下に配して上
記マスクプレート10a,10bの内側に重合させたサポート
プレート14a,14bとからなり、更に、上記マスクプレー
ト10a,10bのタイル１と接する部分のほぼ全面をウェッ
トシール部として周辺部を全面にわたりシールするよう
にしていることから、広い範囲のウェットシール部の全
面で面圧を受けたときに該面圧により押しつぶされるの
を防止するために、内側にガス流路形成兼支持材として
のコルゲート板11,12を全面にわたり設置し、カソード
ガス用のマニホールド５では、センタープレート８とマ
スクプレート10bとを重合して、カソードガスOGがコル
ゲート板11の方へのみ流され、又、アノードガス用のマ
ニホールド６では、センタープレート８とマスクプレー
ト10aとを重合して、アノードガスFGがコルゲート板12
の方へのみ流されるようにしてある。

［考案が解決しようとする課題］ ところが、上記従来のコルゲート板を用いて成形したセ
パレータの場合には、上述したようにマスクプレート10
a,10bのタイル１と接する部分の全面がウェットシール
部としてあって、全面にわたり受ける面圧によりつぶさ
れないようにガス流路形成兼支持材としてコルゲート板
11,12を全面にわたり配置させている構成上、マニホー
ルド5,6から反応部へと流されるカソードガスOGやアノ
ードガスFGが広い範囲にわたってコルゲート板11や12を
通ることになるので、ガスの流配が良くないと共に、多
数の支持材が必要であった。

そこで、本考案は、簡易な構造により電池の面内流配
（流量配分性能）の均一化を図り電池の高性能化及び長
寿命化が図れるようにしようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記課題を解決するために、カソードガスを
流すマニホールドとアノードガスを流すマニホールドと
を設けたセンタープレートの周辺に、シールプレートを
両面側に配し、更に、電極反応部となる中央部分を切り
抜き且つ周辺部に上記各マニホールドに対応させて開口
を形成したマスクプレートを周辺部の上下両面側に配置
して、マスクプレートの内側に支持材を配置するように
してある構成のセパレータにおいて、電極反応部の周縁
と上記各マニホールド部の周縁のみをウェットシール部
として、当該部分のみにマスクプレートの支持材を配置
してなる構成のセパレータを、少なくとも燃料電池セル
の仕切りとして用いてなる燃料電池とする。又、上記電
極反応部周縁のマニホールド周縁のみをウェットシール
部とし、該ウェットシール部の下にのみマスクプレート
の支持材を配置するようにした上部及び下部ホルダーを
用いるようにする。

［作用］ ウェットシール部が限定されていて、その部分のみにマ
スクプレートの支持材を配置するようにするので、ウェ
ットシール部にかかる面圧は支持材で受けることができ
てつぶされることはなく、又、電極反応部と各マニホー
ルドとの間は中空にしたままとすることができて、ガス
が拡散し易くなり、流配の均一化が図れ、又、支持材を
大幅に省略できる。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図乃至第４図は本考案の燃料電池に用いるセパレー
タの実施例を示すもので、第９図乃至第11図に示した従
来のコルゲート板を用いて成形してなるセパレータの構
成に代えて、カソードガスOGの給排用のマニホールド５
とアノードガスFGの給排用のマニホールド６とを周辺部
に設け且つ中央部にガス通路７を形成したセンタープレ
ート８と、該センタープレート８の周辺に沿って上下両
面に配し、外周部を接合してシールしたシールプレート
9a,9bと、電極反応部となる中央部分を切り抜いて周辺
部のみとし且つ該周辺部に上記マニホールド5,6に対応
させてマニホールド5,6を形成して上記シールプレート9
a,9bの外側に位置させるようにしたマスクプレート10a,
10bと、からなる構成とし、且つウェットシール部を電
極反応部Ｆの辺縁部の所要寸法幅の部分ａと各マニホー
ルド5,6の各周縁部の所要寸法幅の部分ｂとに分けて、
これらの各部分ａとｂでウェットシールを行わせるよう
にし、該分割した各部分のウェットシール部ａとｂのみ
に、ガス流路形成兼マスクプレート10a,10bの支持材と
してのコルゲート板11,12を置き、ウェットシール部の
面圧でマスクプレート10a,10bがつぶれることなく支持
させるようにし、上記電極反応部Ｆの辺縁とマニホール
ド5,6の周縁との間の部分ｃをマスクプレートの支持材
が存在しない中空部分としたセパレータIIを構成する。
１はタイル（電解質板）、２はカソード（酸素極）、３
はアノード（燃料極）、13はパンチ板である。

燃料電池のセルを積層してスタックとするときは、タイ
ル１の表裏両面に、カソード２とアノード３の両電極を
両面から挟むように配して、カソード２側にカソードガ
ス（酸化ガス）が、又、アノード３側にアノードガス
（燃料ガス）がそれぞれ供給されるようにした燃料電池
のセルＩを、前記した構成のセパレータIIを介して順次
積層させるようにし、次いで、上下にホルダーを配して
全体を所定の締付力で締め付けるようにする。

燃料電池のスタックが構成された場合、上記の締付力に
よりカソード２とアノード３がタイルに均一に接触させ
られると共に、周辺部ではウェットシール部によりシー
ルされ、ガス漏れがないようにされる。

本考案の燃料電池で用いるセパレータIIは、ウェットシ
ール部を電極反応部Ｆの辺縁部とマニホールド5,6の周
縁部のａとｂに分割して、ウェットシールを行わせるよ
うにしてあるため、面圧を受けるのはウェットシール部
ａとｂのみであり、それ以外の部分ｃでは面圧を受ける
ことがなくなる。そのため、マスクプレート10a,10bの
支持材としてコルゲート板11,12を置くのは、ウェット
シール部ａとｂにおけるマスクプレート10a,10bの内側
だけでよく、それ以外の部分ｃでは支持材としてのコル
ゲート板を不要にすることができる。したがって、電極
反応部Ｆの辺縁部とマニホールド5,6の周縁部との間を
中空にすることができて、ガスが拡散し易くなり、ガス
の流配の均一化が図れることになる。

次に、第５図及び第６図は下部ホルダー14のマニホール
ド５と６の部分を示すもので、カソードガス用のマニホ
ールド５とアノードガス用のマニホールド６の各周辺部
を所要寸法幅にわたりウェットシール部ａとし、このウ
ェットシール部ａのマスクプレート10aの内側にのみ、
ガス流路形成兼マスクプレート10aの支持材としてのコ
ルゲート板11を置いた構成として、それ以外の部分ｃを
中空構造とし、且つ上記マニホールド５の部分では、カ
ソードガスOGがコルゲート板11を通過するが、マニホー
ルド６の部分では、アノードガスFGがそのままマニホー
ルド６を通過するようにしてある。

ホルダー14でも、マニホールド５と６の部分ではウェッ
トシールを分けて行わせるようにしてあるので、ウェッ
トシール部のみにガス流路形成兼マスクプレートの支持
材を置くだけで良く、それ以外の部分ｃは中空にでき、
前記セパレータIIの場合と同様の効果が得られる。

次に、第７図は上記構成としたセパレータII、ホルダー
14を用いて燃料電池スタックを組み立てるときの一例を
示す斜視図であり、15は上部のホルダー、16はガス給排
用管である。

なお、実施例ではパンチ板13を用いている場合を示した
が、省略してもよいこと、マスクプレートの支持材とし
て、コルゲート板11,12を用いた場合を示したが、エン
ボス等の如きガス流路の方向性のないものでもよい。ま
た、シールプレート9aとマスクプレート10a及びシール
プレート9bとマスクプレート10bは一体としてもよい。

［考案の効果］ 以上述べた如く、本考案の燃料電池によれば、少なくと
もセパレータとして、周辺部にマニホールドを有するセ
ンタープレートと、該センタープレートの周辺を両面か
ら挟むように配して外周を接合したシールプレートと、
中央部分を切り抜き且つ周辺部にマニホールドを形成し
て上記両面のシールプレートの外側に重ねるように配し
たマスクプレートと、からなり、且つ電極反応部の周辺
とマニホールドの周辺を所要の幅にわたりウェットシー
ル部として、該ウェットシール部のマスクプレート内側
のみに、ガス流路形成兼マスクプレートの支持材を置い
た構成のセパレータを用いるようにするので、セパレー
タの全面がウェットシール部であった従来のものに比
し、電極反応部周辺とマニホールド部周辺のウェットシ
ールを分割して行うことが可能となって、その以外の部
分を中空にすることができ、ガスの拡散がし易くなって
流配の均一化が図れ、これに伴い電池の高性能化及び長
寿命化を図ることができ、又、上記ウェットシール部以
外を中空にできることからマスクプレートの支持材が不
要になる、等の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の燃料電池に用いるセパレータの一例を
示す平面図、第２図は第１図のＡ矢視拡大図、第３図は
第１図のＢ矢視拡大図、第４図は第１図のＣ矢視拡大
図、第５図及び第６図はホルダーの異なるマニホールド
部の断面図、第７図は燃料電池のスタック組立の一例を
示す斜視図、第８図は従来の燃料電池の一例を示す切断
面図、第９図は従来のセパレータの平面図、第10図は第
９図のＤ矢視拡大図、第11図は第９図のＥ矢視拡大図で
ある。 １…タイル、２…カソード、３…アノード、5,6…マニ
ホールド、７…ガス通路、８…センタープレート、9a,9
b…シールプレート、10a,10b…マスクプレート、11,12
…コルゲート板（ガス流路形成兼支持材）、Ｉ…セル、
II…セパレータ、Ｆ…電極反応部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料電池のセルをセパレータを介して積層
   してスタックとする燃料電池において、少なくともセパ
   レータとして、中央部分にガス通路を形成し且つ周辺部
   にカソードガス用とアノードガス用のマニホールドを有
   するセンタープレートと、該センタープレートの周辺の
   両面側に配して外周を接合させたシールプレートと、中
   央部分を切り抜いて周辺部のみとして上記シールプレー
   トの外側に配し且つ周辺部にマニホールドを有するマス
   クプレートとからなり、更に、電極反応部の周辺と上記
   各マニホールド部の周辺をウェットシール部として、該
   ウェットシール部のみにマスクプレートの支持材を配置
   してなる構成のセパレータを用いてなることを特徴とす
   る燃料電池。