JPH07275135A - 金属製断熱二重容器、その製造方法および内部加熱式断熱二重容器 - Google Patents

金属製断熱二重容器、その製造方法および内部加熱式断熱二重容器

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JPH07275135A
JPH07275135A JP6881994A JP6881994A JPH07275135A JP H07275135 A JPH07275135 A JP H07275135A JP 6881994 A JP6881994 A JP 6881994A JP 6881994 A JP6881994 A JP 6881994A JP H07275135 A JPH07275135 A JP H07275135A
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JP
Japan
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pipe
double container
outer cylinder
heat
inner cylinder
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Pending
Application number
JP6881994A
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English (en)
Inventor
Seiichi Ito
精一 伊藤
Toru Goto
亨 後藤
Kazuhiro Kawamura
一弘 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Publication date
Application filed by Japan Oxygen Co Ltd, Nippon Sanso Corp filed Critical Japan Oxygen Co Ltd
Priority to JP6881994A priority Critical patent/JPH07275135A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造コストの低減を図り、また製造過程に要
求される精度を低減することにより製造を容易化し、も
って製造不良を削減する。 【構成】 有底筒状の内筒24と外筒26が、それらの
間に断熱層34を形成して接合一体化されて構成される
金属製断熱二重容器22において、内筒の底部46に穿
設された内孔54と、外筒の底部48に穿設された外孔
56を筒状の金属製パイプ50が貫通し、パイプが、パ
イプの外周面に段差64が形成されるように、拡径部6
0と縮径部62とを有して構成され、内孔の縁部と外孔
の縁部が、それぞれパイプの縮径部に沿って折曲し密着
するフランジ66,68とされてパイプと接合されてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属製断熱二重容器に
関するもので、特に、例えば電気湯沸し魔法瓶等のよう
に、内部に加熱手段を配備した断熱二重容器に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】例えば、電気湯沸し魔法瓶においては、
容器本体が内筒および外筒よりなる断熱二重構造とさ
れ、かつこの断熱二重構造の容器本体の内部に電気ヒー
タなどの加熱手段を配備されてなるものが提案されてい
る。このような構造の電気湯沸し魔法瓶においては、電
気ヒータを容器本体の内部に配備させるために、容器本
体の内筒と外筒の各底部の一部を重ね合わせると共に、
この重ね合わせ部に孔を形成し、この孔を貫通させた状
態で電気ヒータを容器本体内部に配備させる手段が採ら
れていた。
【0003】しかしながら、この魔法瓶であると、内筒
と外筒の各底部の一部を密着状態に重ね合わせて接合す
る必要があり、内筒および外筒を製作する際に、高い精
度が要求され、また容器本体の組立作業性が悪い等の欠
点がある。そこでこれらの不具合を解決するものとし
て、実公昭63−49214号公報に記載されている構
造のものがある。
【0004】これは、図10に示すように、空間4を形
成するように容器本体1を構成する内筒2および外筒3
の各底部5,6を、それらとは別部材からなり、底部1
1を有しつつ下面が開放されているコ字状の連結部材7
によって、間隔を保って連結し、その連結部材7の底部
11に孔13を設け、その孔13と底部5に穿設されて
いる孔12及び連結部材7の中をリード線21が貫通
し、これに接続された電気ヒータ14が容器本体内部に
配置して構成されている。尚、この例では、連結部材7
の挿入されている外筒3の底部6の孔9の縁部には直立
部10が形成され、連結部材7の挿入が容易化されてい
る。
【0005】この構成の魔法瓶を製造するには、まず、
内筒2と外筒3を固定した後に、外筒3の底部6の孔9
内に連結部材7を嵌め込む。次に、底部6と連結部材7
の接触部分、および連結部材7の孔13の縁部と、内筒
2の底部5のこれと接触する部分とにろう材を配置す
る。そして、真空加熱炉内で、真空排気と共に、ろう付
けすることにより、図10に示される構成の真空二重容
器が製造される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の真空二重容器であると、コ字状の有底筒状の連結部
材7を必要とするので、これを製造するための専用の絞
り型や孔開け用ポンチ型等の金型が必要となり、製造コ
ストが高いものであった。また、製造する際に、連結部
材7の底部11と内筒2の底部5、および連結部材7の
側面と外筒3の底部6を面接触させ、ろう付けするの
で、内・外筒2,3と連結部材7の接触する部分に高い
平面度が要求され、内・外筒2,3の底部5,6に傾き
があると、ろう材が全周にいきわたらず、密封が不完全
となり、排気不良となることがある。さらには、貫通孔
13からろう材が食み出ることもあり、外観上の支障を
きたすこともあった。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、特殊な形状の連結部材を用いることなく、製
造コストの低減を図り、また製造過程に要求される精度
を低減することにより製造を容易化し、もって製造不良
を削減した金属製断熱二重容器、およびその製造方法、
さらにその断熱二重容器を利用した内部加熱式断熱二重
容器を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の金属製断熱二重
容器は、有底筒状の内筒と外筒が、それらの間に断熱層
を形成して接合一体化されて構成される金属製断熱二重
容器において、前記内筒の底部に穿設された内孔と、外
筒の底部に穿設された外孔を筒状の金属製パイプが貫通
し、該パイプが、該パイプの外周面に段差が形成される
ように、拡径部と縮径部とを有して構成され、前記内孔
の縁部と外孔の縁部が、それぞれ前記パイプの縮径部に
沿って折曲し密着するフランジとされてパイプと接合さ
れていることを特徴とするものである。
【0009】請求項2記載の発明は、内筒、外筒および
パイプの各部材のいずれもが同種材料にて構成され、内
筒と外筒、内筒とパイプ、およびパイプと外筒とがそれ
ぞれ溶接またはろう付けにて接合されていることを特徴
とする請求項1記載の金属製断熱二重容器である。
【0010】請求項3記載の発明は、内筒、外筒および
パイプの各部材の内のいずれか1つのみが異種材料で構
成され、該異種材料からなる部材と他の部材とがろう付
けにより接合され、同種材料からなる部材間は溶接また
はろう付けにより接合されていることを特徴とする請求
項1記載の金属製断熱二重容器である。
【0011】請求項4記載の発明は、内筒、外筒および
パイプの各部材がそれぞれ異なる材料で構成され、各部
材間がろう付けにより接合されていることを特徴とする
請求項1記載の金属製断熱二重容器である。
【0012】請求項5記載の発明は、内筒、外筒および
パイプの各部材が、ステンレス鋼、チタン合金、鉄の金
属群からそれぞれ選択される金属材料で構成されること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属製断
熱二重容器である。
【0013】請求項6記載の発明は、内筒の口元部の先
端と外筒の口元部の先端のどちらか一方が他方を巻き込
むように折り返し、巻き締められていることを特徴とす
る請求項1〜5のいずれかに記載の金属製断熱二重容器
である。
【0014】請求項7記載の発明は、外筒の底部に、封
止板で封止された、真空排気用の排気孔が形成されてい
ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金
属製断熱二重容器である。
【0015】請求項8記載の発明は、断熱層が真空排気
されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
記載の金属製断熱二重容器である。
【0016】請求項9記載の発明は、断熱層内に、キセ
ノン、クリプトン、アルゴンの内から選択される1種ま
たは2種以上の低熱伝導度気体が封入されていることを
特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属製断熱
二重容器である。
【0017】請求項10記載の発明は、断熱層に、パー
ライト、カーボンブラック、シリカ粉末、エアロゾル、
ケイ藻土の微粉末、低熱伝導のスペーサの少なくともい
ずれか1種を充填してなる請求項1〜9のいずれかに記
載の金属製断熱二重容器である。
【0018】請求項11記載の金属製断熱二重容器の製
造方法は、有底筒状の内筒の底部に穿設された内孔の縁
部に形成されたフランジと、パイプに形成された縮径部
とを接合する工程と、有底筒状の外筒の底部に穿設され
た外孔の縁部に形成されたフランジと、パイプに形成さ
れた縮径部とを接合する工程と、前記内筒と外筒とを、
これらの間に間隙部を有する二重壁を形成するように、
それぞれの口元部で組み合わせて固定する工程とを経る
ことにより、前記内筒と外筒とパイプとを一体化した
後、真空加熱炉内にて、前記間隙部内を真空排気するか
低熱伝導度のガスを封入して密封することを特徴とする
ものである。
【0019】請求項12記載の発明は、低熱伝導度ガス
が、キセノン、クリプトン、アルゴンの内から選択され
る1種または2種以上であることを特徴とする請求項1
1に記載の金属製断熱二重容器の製造方法である。
【0020】請求項13記載の発明は、請求項11又は
12記載の金属製断熱二重容器の製造方法において、内
筒のフランジ又は外筒のフランジとパイプとの接合の少
なくとも一方が溶接であることを特徴とするものであ
る。
【0021】請求項14記載の発明は、請求項11又は
12記載の金属製断熱二重容器の製造方法において、内
筒のフランジ又は外筒のフランジとパイプとの接合の少
なくとも一方がろう付けであることを特徴とするもので
ある。
【0022】請求項15記載の発明は、請求項11〜1
4のいずれかに記載の金属製断熱二重容器の製造方法に
おいて、間隙部内の真空排気よりも以前に、該間隙部内
に、パーライト、カーボンブラック、シリカ、エアロゾ
ル、ケイ藻土の微粉末、低熱伝導のスペーサの少なくと
もいずれか1種を充填しておくことを特徴とするもので
ある。
【0023】請求項16記載の発明は、請求項11〜1
5のいずれかに記載の金属製断熱二重容器の製造方法に
おいて、内筒と外筒の口元部から間隙部内を真空排気し
つつ、または低熱伝導度ガスに置換しつつ、両口元部を
ろう付けし内筒と外筒を接合一体化することを特徴とす
るものである。
【0024】請求項17記載の発明は、請求項11〜1
5のいずれかに記載の金属製断熱二重容器の製造方法に
おいて、外筒の底部に穿設された排気孔にろう材を介し
て封止板を載置し、真空加熱炉内にて、前記排気孔から
間隙部内を真空排気しつつ、または低熱伝導度ガスに置
換しつつ、封止板で排気孔を封止することを特徴とする
ものである。
【0025】請求項18記載の発明は、請求項11〜1
5のいずれかに記載の金属製断熱二重容器の製造方法に
おいて、外筒の底部に穿設された排気孔にろう材を介し
て封止板を載置し、真空加熱炉内にて、前記排気孔から
間隙部内を真空排気しつつ、または低熱伝導度ガスに置
換しつつ、封止板で排気孔を封止すると共に、内筒と外
筒の口元部からも間隙部内を真空排気しつつ、または低
熱伝導度ガスに置換しつつ、両口元部をろう付けし内筒
と外筒を接合一体化することを特徴とするものである。
【0026】請求項19記載の内部加熱式断熱二重容器
は、有底筒状の内筒と外筒が、それらの間に断熱層を形
成して接合一体化され、前記内筒の底部に穿設された内
孔と、外筒の底部に穿設された外孔を筒状の金属製パイ
プが貫通し、該パイプが、該パイプの外周面に段差が形
成されるように、拡径部と縮径部とを有して構成され、
前記内孔の縁部と外孔の縁部が、それぞれ前記パイプの
縮径部に沿って折曲し密着するフランジとされてパイプ
と接合されてなる金属製断熱二重容器と、前記内筒の内
部に配備され、内筒内に収容される収容体を加熱する加
熱手段とを有し、該加熱手段に接続された配線が、前記
パイプ内を通じて前記金属製断熱二重容器の外部に抜出
されていることを特徴とするものである。
【0027】請求項20記載の発明は、前記加熱手段が
電気ヒータで、配線が該電気ヒータと電源を接続するも
のであることを特徴とする請求項19記載の内部加熱式
断熱二重容器である。
【0028】
【作用】上記連結部材に該当するものとして、本発明に
おいて用いられるものは、例えばコ字状などの特殊な形
状が要求されるものではなく、外周面に段差の形成され
ているパイプが適用され得るので、専用の絞り型や孔開
け用ポンチ型等の金型は不要であり、また市販のパイプ
をも流用できるので、製造コストの低減を図ることがで
きる。
【0029】また、パイプと内筒および外筒とは、パイ
プの外周面に沿ったフランジが当該パイプの外周面に面
接触し密着するようになるので、溶接やろう付けなどの
接合方法を適用でき、強固にパイプを内筒および外筒に
固定することができる。特に、ろう付け等の接合に係
り、内筒および外筒の高い平面度が要求されるのは、実
際にパイプと接触するフランジだけですむので、内・外
筒の底部の傾き等はろう付けに作用せず、また調整も容
易である。したがって、ろう材のいきわたり不足ないし
密封の不完全に起因する排気不良や、ろう材の食み出し
等の不具合を解消することができる。
【0030】また、内筒および外筒と、パイプの接合は
ろう付けの他に溶接により接合することもできる。した
がって、たとえば、内筒、外筒およびパイプの各部材の
いずれもが同種材料にて構成されている場合には、内筒
と外筒、内筒とパイプ、およびパイプと外筒とをそれぞ
れ溶接またはろう付けにて接合し、内筒、外筒およびパ
イプの各部材の内のいずれか1つのみが異種材料で構成
されている場合には、その異種材料からなる部材と他の
部材とをろう付けにより接合し、同種材料からなる部材
間は溶接またはろう付けにより接合し、内筒、外筒およ
びパイプの各部材がそれぞれ異なる材料で構成されてい
る場合には、各部材間をろう付けにより接合することな
どができる。
【0031】したがって、内筒、外筒およびパイプの各
部材には、それぞれ必要に応じて各種の材料を選択し適
用することができる。例えば、それぞれに、ステンレス
鋼、チタン合金、鉄、ステンレス鋼−鉄−ステンレス鋼
などの構造を有するクラッド鋼などを適用することがで
きる。
【0032】また、特に間隙部の真空排気時において、
内筒もしくは外筒が座屈することがあるが、本発明のよ
うに金属製パイプを設けておくことによって、強度が向
上し、座屈を防止することができる。
【0033】また、内筒と外筒の接合において、各々の
口元部の接合をろう付けで行なう際には、内筒の口元部
の先端と外筒の口元部の先端のどちらか一方が他方を巻
き込むように折り返し、巻き締めることによって、接合
強度が高まる上に、断熱層の密封性を高めることができ
る。また、ろう材の外部への流出を防ぐこともできる。
【0034】また、内筒の折曲されてなるフランジまた
は外筒の折曲されてなるフランジと、パイプをろう付け
する場合、折曲部外角がパイプの段差に当接するように
し、ろう材を折曲部の外角部に配置し、これを溶融し、
ろう付けすることによって、溶融したろう材がフランジ
とパイプの間にいき渡り易くなり、ろう付けによる密封
性を高めることができる。
【0035】間隙部の排気は、内・外筒の口元部から真
空排気することの他、外筒の底部に排気孔を穿設してお
き、これにろう材を介して封止板を載置し、真空加熱炉
内にて、排気孔から間隙部内を真空排気しつつ、封止板
で排気孔を封止しても良い。さらには、内・外筒の口元
部からの真空排気と、外筒に穿設された排気孔からの真
空排気を併用することもでき、たとえば間隙部の容積が
大きい場合などには、この方法によって真空排気の効率
を向上することができる。
【0036】また、間隙部を真空排気する際に、間隙部
に、パーライト、カーボンブラック、シリカ、エアロゾ
ル、ケイ藻土などの微粉末や、グラスウール等の低熱伝
導のスペーサを充填しておくことことにより、低い真空
度で真空排気することが可能となる。
【0037】断熱層内は、真空とすることの他、例え
ば、キセノン、クリプトン、アルゴンなどの低熱伝導度
気体を封入しておくことも望ましい。断熱層が真空であ
ると、二重容器の外方から常時かかる大気圧に抗するた
め、その力を分散させるために極力曲面を有する形状に
するなどの工夫がほどこされ、二重容器の全体形状が概
ね円筒形状等に制約されてしまう。よって、意匠に制約
がかかり、また、円筒形状であっては、容積効率が低い
ものである。しかしながら、断熱層を真空封止する代り
に、上記したような低熱伝導度気体を封入しておくこと
で、断熱性が低下することなく、大気圧との差圧を小さ
くすることができ、形状の制約から解放される。したが
って、多様な意匠の創作を図ることができ、また容積効
率を高めることも可能となる。また、断熱層を複数層設
け、積層断熱構造とすることも可能となる。積層断熱構
造とすることにより、断熱性能をより向上させることが
でき、単層の真空断熱層よりも断熱性能を高めることも
できる。
【0038】本発明の内部加熱式断熱二重容器である
と、加熱手段を有さない断熱容器と比して、ガスコンロ
等の加熱器具を別個に用いることなく、断熱容器内に収
容した収容体を加熱し、かつ保温することができる。特
に、加熱器具にて加熱したものを断熱容器の中に収容す
るのであると、加熱器具から断熱容器内に移しかえる際
の熱損失が少なからず生じてしまうが、本発明の内部加
熱式断熱二重容器であると、移しかえる必要がないの
で、熱損失は生じない。また、本発明の内部加熱式断熱
二重容器であると、内筒の内部に配備される加熱手段が
電気ヒータなどの場合に、電気ヒータにエネルギーを供
給する電線や電気ヒータを制御する制御装置と結線する
配線が、断熱二重容器を貫通するパイプ内を通じて断熱
二重容器の外部に抜出されるので、断熱二重容器の外部
から、内筒内の加熱手段にエネルギを供給し続けたり、
また制御したりすることができる。
【0039】
【実施例】図面を参照して本発明の実施例を説明する。 〔実施例1〕図1に示す内部加熱式断熱二重容器20
は、調理用鍋として用いられるもので、有底円筒状の内
筒24と、内筒24よりも大径かつ略同形状の外筒26
とを有してなる金属製断熱二重容器22と、その内筒2
4の内部に配備される加熱手段28とを有して概略構成
される。金属製断熱二重容器22は、その内筒24と外
筒26の間隙に断熱層34が形成され、それぞれの口元
部78,80において気密に接合されて二重構造をなし
ている。また、その上部には断熱性を有した蓋36が設
けられている。蓋36は略円盤状の上蓋体37と、有底
筒状の下蓋体39とから概略構成されている。上蓋体3
7と下蓋体39はそれらの周部において接合一体化され
ており、上蓋体37と下蓋体39の間に形成される空隙
にはグラスウール、発泡スチロールなどの断熱材41が
収納される。尚、符号35は把手である。
【0040】加熱手段28には、電気ヒータなどが用い
られ、図示するようにヒータ30やヒータ固定台32な
どから構成され得る。電気ヒータとしては、例えば、シ
ーズヒータ、鋳込みヒータや、ニクロム線等の金属電熱
線を板状雲母等に巻き付けた帯状のマイカヒータ等が好
適とされる。加熱手段28には、サーモスタット等の温
度調節機器が付設されることが望ましい。ヒータ30は
断熱二重容器22の外部に位置するヒータ制御装置40
や電源42と配線44にて接続され、エネルギの供給を
受けたり、また制御される。内筒24の内部であって、
ヒータ30の上部には、鍋などの収容体38が出し入れ
自在に収容され、加熱および保温が施される。
【0041】本実施例の金属製断熱二重容器22におい
ては、図2及び図3に示されるように、その内筒24の
底部46には内孔54が、外筒26の底部48には外孔
56が穿設され、それら内孔54および外孔56を貫通
するように金属製パイプ50が設けられる。尚、内筒2
4、外筒26、パイプ50の各部材には、それぞれステ
ンレス鋼、チタン合金、鉄などが適用されるが、図1〜
3に示す本実施例では、いずれも同種の材料を用いたも
のとする。
【0042】パイプ50は、図2(b)に示すように、
貫通孔52を有する円筒状のもので、外周面58に段差
64が形成されるように、厚さの厚い拡径部60と薄い
縮径部62とを有して構成されている。尚、肉厚が一定
であったとしても、その外周面に段差が形成されれば良
く、一定厚であって屈曲することにより拡径部と縮径部
が形成されて段差が生じるようなものも本発明に該当さ
れるものとなる。ヒータ30と接続している配線44
は、このパイプ50の貫通孔52内を通り、内筒24の
内側から外筒26の外側に抜出される。
【0043】また、パイプ50の貫通する内孔54の縁
部と、外孔56の縁部には、それぞれパイプ50の縮径
部62に沿って折曲し密着するフランジ66,68が形
成されている。この際、フランジ66の折曲部64の折
曲部外角74と、フランジ68の折曲部72の折曲部外
角76は、それぞれパイプ50の段差64にできるだけ
当接するようにすることが望ましい。
【0044】また、内筒24の口元部78と、外筒26
の口元部80は断熱層34を密封するように接合される
が、この例においては図3(b)に示されるように、内
筒24の口元部78の先端は、外筒26の口元部80の
先端を巻き込むように折り返し、巻き締められている。
【0045】尚、この例では、外筒26の底部48に、
封止板82で封止された排気孔84が形成されている。
【0046】この金属製断熱二重容器22を製造するに
は、まず図8(a)に示すように、パイプ50の縮径部
62と、内筒24の底部46に穿設された内孔54の縁
部に形成されたフランジ66を密着し、パイプ50とフ
ランジ66を溶接し、接合する。次に、図8(c)に示
すように、内筒24と外筒26とをそれらの間に間隙部
34を形成するように口元部78,80にて組み合わせ
ると共に、上述したように内筒24に接合されたパイプ
50の縮径部62と、外筒26のフランジ68とを密着
させ、溶接し、接合する。その後、内筒24の口元部7
8の先端が外筒26の口元部80の先端を巻き込むよう
に折り返し、巻締めを行なう。さらに、これを上下逆さ
にしておいて、図3(c)に示すように、内筒24の口
元部78及び外筒26の口元部80の近傍に、ろう材8
6を配置する。また、底部48に穿設された排気孔84
には、ろう材を介して封止板82を載置しておく。これ
を真空加熱炉内にて、加熱し、ろう材を溶融し、両口元
部78,80の間および排気孔84から、間隙部34内
を真空排気し、かつ密封する。こうして図2に示される
ような金属製断熱二重容器22が製造される。図1に示
す内部加熱式断熱二重容器20は、この金属製断熱二重
容器22に、加熱手段28や、蓋36、肩部材88など
の所定の各種部品の取付工程等を経ることにより製造さ
れる。
【0047】尚、上記製造例においては、パイプ50を
外筒26よりも内筒24に先に接合したが、外筒26に
先に接合することもできる。即ち、図8(b)に示すよ
うに、パイプ50の縮径部62と、外筒26の底部48
に穿設された外孔56の縁部に形成されたフランジ68
を密着し、パイプ50とフランジ68を溶接し、接合す
る。次に、図8(c)に示すように、内筒24と外筒2
6とをそれらの間に間隙部34を形成するように口元部
78,80にて組み合わせると共に、上述したように外
筒26に接合されたパイプ50の縮径部62と、内筒2
4のフランジ66とを密着させ、溶接し、接合すれば良
い。
【0048】この例の内部加熱式断熱二重容器20を調
理器として使用する場合は、例えば次のようにして使用
する。まず、調理材料(例えば、玉葱、人参、肉)を鍋
(収容体)38内に入れ、電気ヒータ30に通電し、収
容体38を加熱し、調理材料を炒める。これに、適量の
水を鍋(収容体)38内に入れ、電気ヒータ30にて所
要時間加熱し、収容体38が所定温度に達したところ
で、加熱を中止する。この後は、そのまま金属製断熱二
重容器22の断熱性能によって、収容体38は、所定温
度に保持されるので、煮込みが続行される。こうして、
煮込み、炊飯、煮付け等の各種調理が行なわれる。この
例では、鍋38の底に電気ヒータ30が接触しているの
で、鍋38の全体に素早く熱が伝達されるとともに、熱
が金属製断熱二重容器の外部に漏れないので、効率良く
収容体38の中の収容物を加熱することができる。
【0049】本実施例に示す金属製断熱二重容器22な
いしこの金属製断熱二重容器22を用いる内部加熱式断
熱二重容器20であると、例えばコ字状などの特殊な形
状が要求される連結部材を必要とせず、外周面に段差6
4の形成されている略円筒状のパイプ50が適用され得
るので、専用の絞り型や孔開け用ポンチ型等の金型は不
要であり、また市販のパイプをも流用でき、製造コスト
の低減を図ることができる。
【0050】また、パイプ50と内筒24及び外筒26
とは、パイプ50の外周面58に沿ったフランジ66,
68がパイプ50の外周面58に面接触し密着するよう
になるので、溶接を適用でき、強固にパイプ50を内筒
24及び外筒26に固定することができる。
【0051】また、特に間隙部34の真空排気時におい
て、内筒24もしくは外筒26が座屈することがある
が、金属製パイプ50を設けておくことによって、強度
が向上し、座屈を防止することができる。
【0052】また、内筒24と外筒26の接合を各々の
口元部78,80においてろう付けで行なっているが、
内筒24の口元部78の先端が外筒26の口元部80の
先端を巻き込むように折り返し、巻き締めているので、
接合強度が高まる上に、断熱層34の密封性が高い。ま
た、ろう材の外部への漏れを防ぐことができる。
【0053】また、間隙部34の排気を、内・外筒2
4,26の口元部78,80からの真空排気と、外筒2
6に穿設された排気孔84からの真空排気を併用してい
るので、真空排気の効率が高い。
【0054】〔実施例2〕図4に実施例2の金属製断熱
二重容器を示す。実施例2の金属製断熱二重容器90
は、実施例1の金属製断熱二重容器22と異なり、内筒
24とパイプ50は同種材料で構成されるが、外筒92
を異なる材料で構成したものである。この例では、外筒
92のフランジ94を断熱二重容器90の外方から内方
に向けて折曲してある。
【0055】この金属製断熱二重容器90を製造する際
には、内筒24のフランジ66とパイプ50は同種材料
でなるので、溶接により接合されている。パイプ50と
外筒92とは異なる材料で構成されているので、外筒9
2のフランジとパイプ50とは、その折曲部外角にろう
材96を配置し、ろう付けすることにより接合され、ま
た、内筒24と外筒92とも異なる材料で構成されてい
るので、内・外筒24,92の口元部78,98の接合
もろう材86によりろう付けすることにより接合してい
る。この場合、内・外筒24,92の口元部78,98
から、間隙部34内を真空排気する。
【0056】〔実施例3〕図5に実施例3の金属製断熱
二重容器を示す。実施例3の金属製断熱二重容器100
は、実施例1の金属製断熱二重容器22と異なり、外筒
26とパイプ50は同種材料で構成されるが、内筒10
2を異なる材料で構成したものである。
【0057】この金属製断熱二重容器100を製造する
際には、外筒26のフランジ68とパイプ50は同種材
料でなるので、溶接により接合されている。パイプ50
と内筒102とは異なる材料で構成されているので、内
筒102のフランジ104とパイプ50とは、その折曲
部外角にろう材96を配置し、ろう付けすることにより
接合され、また、内筒102と外筒26とも異なる材料
で構成されているので、内・外筒102,26の口元部
の接合もろう材86により、ろう付けし、接合してい
る。この場合、内筒102および外筒26の口元部から
間隙部34内を真空排気する。
【0058】〔実施例4〕図6に実施例4の金属製断熱
二重容器を示す。実施例4の金属製断熱二重容器110
は、実施例1の金属製断熱二重容器22と異なり、内筒
24と外筒26は同種材料で構成されるが、パイプ11
2を異なる材料で構成したものである。この例では、外
筒26のフランジ68を断熱二重容器110の外方から
内方に向けて折曲してある。
【0059】この金属製断熱二重容器110を製造する
際には、内筒24と外筒26とは口元部において溶接に
より接合されている。パイプ112と、内・外筒24,
26とは異なる材料で構成されているので、それぞれの
フランジ66,68とパイプ112とは、それらの折曲
部外角にろう材96を配置し、ろう付けすることにより
各フランジ66,68は縮径部114に接合されてい
る。この場合、間隙部34の真空排気は、外筒26の底
部に穿設された排気孔84より行なう。
【0060】〔実施例5〕図7に実施例5の金属製断熱
二重容器を示す。実施例5の金属製断熱二重容器120
は、実施例1の金属製断熱二重容器22と異なり、内筒
102、外筒92、パイプ112の全てが相互に異なる
材料で構成されている。また、外筒92のフランジ94
は、断熱二重容器120の外方から内方に向けて折曲し
てある。
【0061】この金属製断熱二重容器120を製造する
際には、内筒102と外筒92が異なる材料で構成され
ているので、その口元部において、ろう材86により、
ろう付けされている。さらに、内筒102とパイプ11
2、および外筒92とパイプ112もそれぞれ異なる材
料で構成されているので、内筒102のフランジ104
とパイプ112の縮径部114とは、その折曲部外角に
ろう材96を配置し、ろう付けすることにより接合さ
れ、また、外筒92のフランジ94とパイプ112と
も、その折曲部外角にろう材96を配置し、ろう付けす
ることにより接合されている。この場合、内・外筒の口
元部から間隙部34内を真空排気する。
【0062】上述したように、本実施例によれば、内
筒、外筒、パイプの各部材の接合に、ろう付け、溶接の
いずれも適用できるので、同種材料または異種材料を問
わず、用いることができ、材料選択の幅が広い。
【0063】上記各実施例においては、パイプは略円筒
状であるが、これに限定されるものではない。例えば、
図9に示すように、パイプ51に波形部53を形成する
こともできる。波形部53をパイプ51に形成すること
により、内筒46側からパイプ51を介して外筒92に
熱が伝達することによる伝熱損失を減少させることがで
き、さらに保温効果を向上させることができる。
【0064】尚、間隙部34を真空排気する際に、間隙
部34内に、パーライト、カーボンブラックなどの微粉
末や、グラスウール等を充填しておくことことにより、
比較的低い真空度で真空排気することが可能となる。
【0065】尚、断熱層34は、真空とすることの他、
例えば、キセノン、クリプトン、アルゴン、若しくはこ
れらの混合ガスなどの低熱伝導度気体を封入しておくこ
とも望ましい。断熱層34を真空封止する代りに、上記
したような低熱伝導度気体を封入しておくことで、断熱
性が低下することなく、大気圧との差圧を小さくするこ
とができ、形状の制約から解放される。したがって、多
様な意匠(たとえば、角形容器)の創作を図ることがで
き、また容積効率を高めることも可能となる。また、断
熱層を複数層設け、積層断熱構造とすることも可能とな
る。積層断熱構造とすることにより、断熱性能をより向
上させることができ、単層の真空断熱層よりも断熱性能
を高めることもできる。低熱伝導度気体の封入は、一
旦、間隙部を真空排気した後に、低熱伝導度気体を所定
圧力で注入し、密封することで容易に行なわれる。
【0066】尚、上記実施例は、調理用鍋の加熱ないし
保温にかかる金属製断熱二重容器および内部加熱式断熱
二重容器を例をとしたが、本発明はこれに限定されるも
のではなく、断熱二重容器および内部に加熱手段を配備
した断熱二重容器であれば適用できるもので、たとえば
電気湯沸し魔法瓶などにも適用されるものである。
【0067】
【発明の効果】本発明の金属製断熱二重容器は、有底筒
状の内筒と外筒が、それらの間に断熱層を形成して接合
一体化されて構成される金属製断熱二重容器において、
前記内筒の底部に穿設された内孔と、外筒の底部に穿設
された外孔を筒状の金属製パイプが貫通し、該パイプ
が、該パイプの外周面に段差が形成されるように、拡径
部と縮径部とを有して構成され、前記内孔の縁部と外孔
の縁部が、それぞれ前記パイプの縮径部に沿って折曲し
密着するフランジとされてパイプと接合されていること
を特徴とするものである。
【0068】本発明の金属製断熱二重容器の製造方法
は、有底筒状の内筒の底部に穿設された内孔の縁部に形
成されたフランジと、パイプに形成された縮径部とを接
合する工程と、有底筒状の外筒の底部に穿設された外孔
の縁部に形成されたフランジと、パイプに形成された縮
径部とを接合する工程と、前記内筒と外筒とを、これら
の間に間隙部を有する二重壁を形成するように、それぞ
れの口元部で組み合わせて固定する工程とを経ることに
より、前記内筒と外筒とパイプとを一体化した後、真空
加熱炉内にて、前記間隙部内を真空排気するか低熱伝導
度のガスを封入して密封することを特徴とするものであ
る。
【0069】本発明の内部加熱式断熱二重容器は、有底
筒状の内筒と外筒が、それらの間に断熱層を形成して接
合一体化され、前記内筒の底部に穿設された内孔と、外
筒の底部に穿設された外孔を筒状の金属製パイプが貫通
し、該パイプが、該パイプの外周面に段差が形成される
ように、拡径部と縮径部とを有して構成され、前記内孔
の縁部と外孔の縁部が、それぞれ前記パイプの縮径部に
沿って折曲し密着するフランジとされてパイプと接合さ
れてなる金属製断熱二重容器と、前記内筒の内部に配備
され、内筒内に収容される収容体を加熱する加熱手段と
を有し、該加熱手段に接続された配線が、前記パイプ内
を通じて前記金属製断熱二重容器の外部に抜出されてい
ることを特徴とするものである。
【0070】本発明によれば、外周面に段差の形成され
ている程度の形状のパイプが適用され得るので、専用の
金型は不要であり、また市販のパイプをも流用できるの
で、製造コストの低減を図ることができる。
【0071】また、パイプと、内筒および外筒とは、パ
イプの外周面に沿ったフランジが当該パイプの外周面に
面接触し密着するようになるので、溶接やろう付けなど
の接合方法を適用でき、強固にパイプを内筒および外筒
に固定することができる。特に、ろう付け等の接合に係
り、内筒および外筒の高い平面度が要求されるのは、実
際にパイプと接触するフランジだけですむので、内・外
筒の底部の傾き等はろう付けに作用せず、製造過程にお
いて要求される精度も低く、製造が容易であり、また調
整も容易である。したがって、ろう材のいき渡り不足な
いし密封の不完全に起因する排気不良や、ろう材の食み
出し等の不具合を解消することができる。
【0072】また、内筒および外筒と、パイプの接合は
ろう付けの他に溶接により接合することもできるので、
たとえば、内筒、外筒およびパイプの各部材のいずれも
が同種材料にて構成されている場合には、内筒と外筒、
内筒とパイプ、およびパイプと外筒とをそれぞれ溶接ま
たはろう付けにて接合し、内筒、外筒およびパイプの各
部材の内のいずれか1つのみが異種材料で構成されてい
る場合には、その異種材料からなる部材と他の部材とを
ろう付けにより接合し、同種材料からなる部材間は溶接
またはろう付けにより接合し、内筒、外筒およびパイプ
の各部材がそれぞれ異なる材料で構成されている場合に
は、各部材間をろう付けにより接合することなどができ
る。
【0073】したがって、内筒、外筒およびパイプの各
部材には、それぞれ必要に応じて各種の材料を選択し適
用することができるので、材料選択の幅が広い。
【0074】また、本発明のように金属製パイプを設け
ておくことによって、強度が向上し、座屈を防止するこ
とができる。
【0075】また、内筒と外筒の接合において、各々の
口元部の接合をろう付けで行なう際には、内筒の口元部
の先端と外筒の口元部の先端のどちらか一方が他方を巻
き込むように折り返し、巻き締めることによって、接合
強度が高まる上に、断熱層の密封性を高めることができ
る。また、ろう材の外部への流出を防止することができ
る。
【0076】また、内筒の折曲されてなるフランジまた
は外筒の折曲されてなるフランジと、パイプをろう付け
する場合、各フランジが縮径部に面接触し且つ折曲部外
角がパイプの段差に当接するようにし、ろう材を折曲部
の外角部に配置し、これを溶融し、ろう付けすることに
よって、溶融したろう材がフランジとパイプの間にいき
渡り易くなり、ろう付けによる密封性を高めることがで
きる。
【0077】間隙部の排気は、内・外筒の口元部から真
空排気することの他、外筒の底部に排気孔を穿設してお
き、これにろう材を介して封止板を載置し、真空加熱炉
内にて、排気孔から間隙部内を真空排気しつつ、封止板
で排気孔を封止しても良く、さらには、内・外筒の口元
部からの真空排気と、外筒に穿設された排気孔からの真
空排気の併用もでき、真空排気の効率をより向上するこ
ともできる。
【0078】また、間隙部を真空排気する前に、間隙部
に、パーライト、カーボンブラックなどの微粉末や、グ
ラスウール等のスペーサを充填しておくことことによ
り、比較的低い真空度で真空排気することが可能とな
る。
【0079】断熱層内は、真空とすることの他、例え
ば、キセノン、クリプトン、アルゴンなどの低熱伝導度
気体を封入しておくことで、断熱性が低下することな
く、大気圧との差圧を小さくすることができ、形状の制
約から解放される。従って、多様な意匠の創作を図るこ
とができ、また容積効率を高めることも可能となる。ま
た、断熱層を複数層設け、積層断熱構造とすることも可
能となる。積層断熱構造とすることにより、断熱性能を
より向上させることができ、単層の真空断熱層よりも断
熱性能を高めることもできる。
【0080】本発明の内部加熱式断熱二重容器である
と、内筒の内部に配備される加熱手段が電気ヒータなど
の場合に、電気ヒータにエネルギーを供給する電線や電
気ヒータを制御する制御装置と結線する配線が、断熱二
重容器を貫通するパイプ内を通じて断熱二重容器の外部
に抜出されるので、断熱二重容器の外部から、内筒内の
加熱手段にエネルギを供給し続けたり、また制御したり
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内部加熱式断熱二重容器の一実施例を
示す部分断面側面図である。
【図2】実施例1の金属製断熱二重容器を示すもので、
図2(a)は側断面図、図2(b)はパイプの側断面図
である。
【図3】図3(a)は図2(a)のパイプ部分の部分拡
大側断面図、図3(b)は図2(a)の口元部の部分拡
大断面図、図3(c)はろう材の配置を示す口元部の部
分拡大断面図である。
【図4】実施例2の金属製断熱二重容器を示すもので、
図4(a)は側断面図、図4(b)は図4(a)のA部
の部分拡大側断面図、図4(c)は図4(a)のB部の
部分拡大側断面図である。
【図5】実施例3の金属製断熱二重容器を示すもので、
図5(a)は側断面図、図5(b)は図5(a)のC部
の部分拡大側断面図、図5(c)は図5(a)のD部の
部分拡大側断面図である。
【図6】実施例4の金属製断熱二重容器を示すもので、
図6(a)は側断面図、図6(b)は図6(a)のE部
の部分拡大側断面図、図6(c)は図6(a)のF部の
部分拡大側断面図である。
【図7】実施例5の金属製断熱二重容器を示すもので、
図7(a)は側断面図、図7(b)は図7(a)のG部
の部分拡大側断面図、図7(c)は図7(a)のH部の
部分拡大側断面図である。
【図8】本実施例の製造過程の一例を示す工程図であ
る。
【図9】パイプの一態様例を示す側断面図である。
【図10】従来例の電気湯沸し魔法瓶を示す一部断面側
面図である。
【符号の説明】
1・・・容器本体、 2・・・内筒、 3・・
・外筒、4・・・空間、 5・・・底部、
6・・・底部、7・・・連結部材、 9・・・孔、
11・・・底部、12・・・孔、 13・
・・貫通孔、 14・・・電気ヒータ、20・・・内部
加熱式断熱二重容器、 21・・・リード
線、22・・・金属製断熱二重容器、
24・・・内筒、26・・・内筒、 28・・・加熱手
段、 30・・・電気ヒータ、34・・・断熱層(間隙
部)、 38・・・収容体、44・・・
配線、 46・・・底部、 48・・・底
部、50・・・パイプ、 51・・・パイプ、
52・・・貫通孔、54・・・内孔、 56・・・外孔、
58・・・外周面、60・・・拡径部、 6
2・・・縮径部、 64・・・段差、66・・・フラン
ジ、 68・・・フランジ、 70・・・折曲部、7
2・・・折曲部、 74・・・折曲部外角、 76・・
・折曲部外角、78・・・口元部、 80・・・口元部、
82・・・封止板、84・・・排気孔、 86
・・・ろう材、90・・・金属製断熱二重容器、
92・・・外筒、94・・・フランジ、 96・・・
ろう材、 98・・・口元部、100・・・金属製断
熱二重容器、 102・・・内筒、104
・・・フランジ、 110・・・金属製断熱二重容器、11
2・・・パイプ、 120・・・金属製断熱二重容器。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底筒状の内筒と外筒が、それらの間に
    断熱層を形成して接合一体化されて構成される金属製断
    熱二重容器において、 前記内筒の底部に穿設された内孔と、外筒の底部に穿設
    された外孔を筒状の金属製パイプが貫通し、 該パイプが、該パイプの外周面に段差が形成されるよう
    に、拡径部と縮径部とを有して構成され、 前記内孔の縁部と外孔の縁部が、それぞれ前記パイプの
    縮径部に沿って折曲し密着するフランジとされてパイプ
    と接合されていることを特徴とする金属製断熱二重容
    器。
  2. 【請求項2】 内筒、外筒およびパイプの各部材のいず
    れもが同種材料にて構成され、内筒と外筒、内筒とパイ
    プ、およびパイプと外筒とがそれぞれ溶接またはろう付
    けにて接合されていることを特徴とする請求項1記載の
    金属製断熱二重容器。
  3. 【請求項3】 内筒、外筒およびパイプの各部材の内の
    いずれか1つのみが異種材料で構成され、該異種材料か
    らなる部材と他の部材とがろう付けにより接合され、同
    種材料からなる部材間は溶接またはろう付けにより接合
    されていることを特徴とする請求項1記載の金属製断熱
    二重容器。
  4. 【請求項4】 内筒、外筒およびパイプの各部材がそれ
    ぞれ異なる材料で構成され、各部材間がろう付けにより
    接合されていることを特徴とする請求項1記載の金属製
    断熱二重容器。
  5. 【請求項5】 内筒、外筒およびパイプの各部材が、ス
    テンレス鋼、チタン合金、鉄の金属群からそれぞれ選択
    される金属材料で構成されることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の金属製断熱二重容器。
  6. 【請求項6】 内筒の口元部の先端と外筒の口元部の先
    端のどちらか一方が他方を巻き込むように折り返し、巻
    き締められていることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の金属製断熱二重容器。
  7. 【請求項7】 外筒の底部に、封止板で封止された、真
    空排気用の排気孔が形成されていることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の金属製断熱二重容器。
  8. 【請求項8】 断熱層が真空排気されてなることを特徴
    とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属製断熱二重
    容器。
  9. 【請求項9】 断熱層内に、キセノン、クリプトン、ア
    ルゴンの内から選択される1種または2種以上の低熱伝
    導度気体が封入されていることを特徴とする請求項1〜
    7のいずれかに記載の金属製断熱二重容器。
  10. 【請求項10】 断熱層に、パーライト、カーボンブラ
    ック、シリカ粉末、エアロゾル、ケイ藻土の微粉末、低
    熱伝導のスペーサの少なくともいずれか1種を充填して
    なる請求項1〜9のいずれかに記載の金属製断熱二重容
    器。
  11. 【請求項11】 有底筒状の内筒の底部に穿設された内
    孔の縁部に形成されたフランジと、パイプに形成された
    縮径部とを接合する工程と、 有底筒状の外筒の底部に穿設された外孔の縁部に形成さ
    れたフランジと、パイプに形成された縮径部とを接合す
    る工程と、 前記内筒と外筒とを、これらの間に間隙部を有する二重
    壁を形成するように、それぞれの口元部で組み合わせて
    固定する工程とを経ることにより、前記内筒と外筒とパ
    イプとを一体化した後、 真空加熱炉内にて、前記間隙部内を真空排気するか低熱
    伝導度のガスを封入して密封することを特徴とする金属
    製断熱二重容器の製造方法。
  12. 【請求項12】 低熱伝導度ガスが、キセノン、クリプ
    トン、アルゴンの内から選択される1種または2種以上
    であることを特徴とする請求項11に記載の金属製断熱
    二重容器の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12記載の金属製断熱
    二重容器の製造方法において、内筒のフランジ又は外筒
    のフランジとパイプとの接合の少なくとも一方が溶接で
    あることを特徴とする金属製断熱二重容器の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項11又は12記載の金属製断熱
    二重容器の製造方法において、内筒のフランジ又は外筒
    のフランジとパイプとの接合の少なくとも一方がろう付
    けであることを特徴とする金属製断熱二重容器の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項11〜14のいずれかに記載の
    金属製断熱二重容器の製造方法において、間隙部内の真
    空排気よりも以前に、該間隙部内に、パーライト、カー
    ボンブラック、シリカ、エアロゾル、ケイ藻土の微粉
    末、低熱伝導のスペーサの少なくともいずれか1種を充
    填しておくことを特徴とする金属製断熱二重容器の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 請求項11〜15のいずれかに記載の
    金属製断熱二重容器の製造方法において、内筒と外筒の
    口元部から間隙部内を真空排気しつつ、または低熱伝導
    度ガスに置換しつつ、両口元部をろう付けし内筒と外筒
    を接合一体化することを特徴とする金属製断熱二重容器
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項11〜15のいずれかに記載の
    金属製断熱二重容器の製造方法において、外筒の底部に
    穿設された排気孔にろう材を介して封止板を載置し、真
    空加熱炉内にて、前記排気孔から間隙部内を真空排気し
    つつ、または低熱伝導度ガスに置換しつつ、封止板で排
    気孔を封止することを特徴とする金属製断熱二重容器の
    製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項11〜15のいずれかに記載の
    金属製断熱二重容器の製造方法において、外筒の底部に
    穿設された排気孔にろう材を介して封止板を載置し、真
    空加熱炉内にて、前記排気孔から間隙部内を真空排気し
    つつ、または低熱伝導度ガスに置換しつつ、封止板で排
    気孔を封止すると共に、内筒と外筒の口元部からも間隙
    部内を真空排気しつつ、または低熱伝導度ガスに置換し
    つつ、両口元部をろう付けし内筒と外筒を接合一体化す
    ることを特徴とする金属製断熱二重容器の製造方法。
  19. 【請求項19】 有底筒状の内筒と外筒が、それらの間
    に断熱層を形成して接合一体化され、前記内筒の底部に
    穿設された内孔と、外筒の底部に穿設された外孔を筒状
    の金属製パイプが貫通し、該パイプが、該パイプの外周
    面に段差が形成されるように、拡径部と縮径部とを有し
    て構成され、前記内孔の縁部と外孔の縁部が、それぞれ
    前記パイプの縮径部に沿って折曲し密着するフランジと
    されてパイプと接合されてなる金属製断熱二重容器と、 前記内筒の内部に配備され、内筒内に収容される収容体
    を加熱する加熱手段とを有し、 該加熱手段に接続された配線が、前記パイプ内を通じて
    前記金属製断熱二重容器の外部に抜出されていることを
    特徴とする内部加熱式断熱二重容器。
  20. 【請求項20】 前記加熱手段が電気ヒータで、配線が
    該電気ヒータと電源を接続するものであることを特徴と
    する請求項19記載の内部加熱式断熱二重容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107344655A (zh) * 2017-07-31 2017-11-14 白明军 一种内钛外钢的真空器皿结构
CN115122047A (zh) * 2022-06-15 2022-09-30 浙江飞剑工贸有限公司 一种内钛外不锈钢真空保温容器的制造方法

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