JPH0727240Y2 - 車両のシート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両の急停止時等にシートベルト（安全ベル
ト）の拘束性を向上させる車両のシートに関する。

（従来技術及びその問題点） 車両のシートに装備されているシートベルトは、例え
ば、衝突事故発生時等に着座している乗員をシートに拘
束して、車両内部に激突するいわゆる二次衝突を防止し
ている。

ところで、車両のシートは、適度な弾性力を有するパッ
ド部材を備えており、乗心地が確保されている。このた
め、車両の急停車例えば、衝突時等において、シートベ
ルトに拘束された乗員の下半身がシートクッションのパ
ッド部材をつぶしながらシートベルトの腰ベルトの下を
前方にもぐり込む、いわゆるサブマリン現象が発生する
虞れがあるという問題があった。

本考案は上述の問題点を解決するためになされたもの
で、車両の急停止時において、サブマリン現象の防止を
図り、シートベルトの拘束性を向上させる車両のシート
を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案によれば、ベースプレ
ートに載置され後部が当該ベースプレートに軸支され、
前部が上方向に回動可能なシートクッションと、該シー
トクッションの前部に配設されるラックと、前記ベース
プレートに配設され前記ラック上を噛合しながら相対移
動可能なピニオンギヤと、該ピニオンギヤを回動させる
べく前記ベースプレートに配設される火薬式のアクチュ
エータとを備えたことを特徴とする車両のシートが提供
される。

（作用） 車両の急停車等の非常時に、火薬式アクチュエータが瞬
時に駆動することによりピニオンギヤを回動してラック
を上動させ、それにともなってシートクッションの前部
を上動させる。シートクッションはその後部を中心とし
て上方に回動して前部を瞬時に持ち上げる。これによ
り、サブマリン現象が防止される。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。

第１図及び第２図は本考案を適用した車両のシートを示
し、シートのシートクッション１は、車両の床面に並設
固定されたロアレール3,3上に滑動可能に配設されたア
ッパレール4,4の上面に固着されたベースプレート５上
に、ヒンジ機構６（第１図）及びチルトアップ機構７を
介して載置されている。

シートクッション１は、ボトムプレート８（第２図）上
にパッド部材、表皮部材（共に図示せず）等を重合させ
て構成されている。

ヒンジ機構６は、ブラケット９及びシャフト10等より構
成され、ブラケット９は、ベースプレート５の一側縁後
部に立設され、その上部には軸孔が穿設されている。シ
ャフト10は、シートクッション１の後部に車幅方向に沿
って配設され、その一端をシートクッション１の側部よ
り突出させて前記ブラケット９の軸孔に、ベアリング11
を介して嵌合されている。これによりシートクッション
１は、後端がベースプレート５に回動自在に軸支され、
シートクッション１の前部1aを持ち上げることが可能と
される。

チルトアップ機構７は、シャフト12、火薬式パイロ13及
び一対のラック14等より構成されている。シャフト12の
略中央部には回転プーリ15が固定されており、また、両
端部には後述する各ラック14に噛合するピニオンギヤ16
が固定されている。シャフト12はプレート５の前部上方
に車幅方向に沿って配置され、ベースプレート５に立設
された一対のブラケット17,17により回転自在に支持さ
れている。即ち、各ブラケット17の上部には軸孔17aが
穿設されており、当該各軸孔17aにシャフト12が貫通し
ている。そして、この各軸孔17aとシャフト12間にはそ
れぞれベアリング18が介在されている。

火薬式パイロ13はシャフト12を回転させるアクチュエー
タで、ベースプレート５の前端に配設されている。この
火薬式パイロ13は、シリンダ内にピストンが収納され、
当該シリンダの基端には、火薬室が設けられており、車
両の衝突を検知するセンサ（図示せず）からの信号で着
火する構成になっている。前記ピストンの基端にはワイ
ヤ23の一端が連結されており、当該ワイヤ23の他端は後
方に延出し、回転プーリ15に巻き付け固定されている。

各ラック14は縦長のリング状をなし、シートクッション
１の前部1aの上動に対応するように彎曲した形状とされ
ており、各下端がボトムプレート８の前端両側部に立設
固定されている。各ラック14の内面の一側例えば、前側
には、第３図に示すように、ピニオンギヤ16に噛合する
歯14aが刻設されている。そしてこのラック14は、通常
時において歯14aの上部にピニオンギヤ16が噛合されて
いる（図中実線位置）。

以下作用を説明する。

前記センサにより例えば、車両の衝突が検出されると、
火薬式パイロ13の火薬室内の炸薬が爆発し、これにより
発生したガスでピストンが瞬時に移動し、ワイヤ23を介
して回転プーリ15を第１図中矢印Ｃで示す方向に回転さ
せる。これに伴ないシャフト12が同方向に回転して、ピ
ニオンギヤ16を回転させる。

このピニオンギヤ16の回転により、ラック14がボトムプ
レート８と共に上動（第３図中２点鎖線）する。この結
果、シートクッション１がヒンジ機構６のシャフト10を
中心として矢印Ｃ方向に回動し、当該シートクッション
１の前部1aが持ち上げられる。

シャフト10,12はベアリング11,18により軸支されている
ために極めてスムーズに回転し、シートクッション１の
前部1aは、瞬時に持ち上げられる。

（考案の効果） 以上説明したように本願考案によれば、車両の衝突時に
瞬時に対応できるような火薬式のアクチュエータを用
い、このアクチュエータの駆動力を損失することなく確
実にシートクッションに伝達するためにラックアンドピ
ニオン機構を用いているので、車両の急停車時、例えば
不意の衝突において、瞬時にシートクッションの前部を
持ち上げることができ、この結果、いわゆるサブマリン
現象の発生を防止してシートベルトの拘束性を向上させ
ることができる。つまり、本願考案は、車両が衝突した
時に、瞬時に且つ確実に乗員をシートベルトで拘束で
き、乗員の安全を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した車両のシートの一実施例を示
す要部斜視図、第２図は第１図の矢線II−II線に沿う断
面図、第３図は第１図の矢印III方向から視たラックと
ピニオンとの噛合状態を示す図である。 １…シートクッション、６…ヒンジ機構、７…チルトア
ップ機構、12…シャフト、13…火薬式パイロ、14…ラッ
ク、16…ピニオンギヤ、23…ワイヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ベースプレートに載置され後部が当該ベー
   スプレートに軸支され、前部が上方向に回動可能なシー
   トクッションと、該シートクッションの前部に配設され
   るラックと、前記ベースプレートに配設され前記ラック
   上を噛合しながら相対移動可能なピニオンギヤと、該ピ
   ニオンギヤを回動させるべく前記ベースプレートに配設
   される火薬式のアクチュエータとを備えたことを特徴と
   する車両のシート。