JPH07270570A - 原子炉の耐震サポート付炉心支持構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、原子炉圧力容器内のシュラウ
ド表面、特に継手部に取り付けられた補強板にサポート
を取り付けることにより、シュラウドの補強機能とシュ
ラウドに生ずる地震時の水平力を受ける耐震サポート機
能の両方を兼ね備えた耐震サポート付炉心支持構造物の
提供にある。 【構成】容易に分割、もしくは伸縮可能な構造のサポー
ト５をシュラウド１の継手外面に設け、そのサポート５
と一体となった補強板４をシュラウド１の外面に取り付
けることによって、シュラウド１に生ずる地震時の水平
荷重を受けることができる構造である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子炉の炉心支持構造
物に関する。

【０００２】

【従来の技術】図９は、従来の沸騰水型原子炉の原子炉
炉心支持構造物の概略を示すものであり、シュラウド１
は、炉心領域１０の水平方向支持及び炉水流路の隔壁と
しての機能をしているが、このシュラウド１の重量を原
子炉圧力容器２に支持する際に、シュラウド１の下端に
おいて、シュラウドサポートレグ１１，シュラウドサポ
ートシリンダー１２を介して圧力容器下鏡部１３に固定
されている。

【０００３】上記のような炉心支持構造物においては、
構造上熱変形を許容できる形状とするため、剛構造とす
ることができず、地震時の水平荷重を受けた場合、その
耐震性が問題になることも考えられる。

【０００４】このような問題を解決するため、シュラウ
ドの水平荷重を支持するための耐震サポートが公知例と
して、特開昭60−231197号に示されている。

【０００５】図１０において、シュラウド１の上端部と
原子炉圧力容器２との間において、前記シュラウド１の
位置規制部材が備わっている。

【０００６】図１１，図１２にその詳細を示すが、この
位置規制部材は、原子炉圧力容器２に固定された圧力容
器側ブロック１４、この原子炉圧力容器側ブロック１４
に固定されたレストレイントブロック１５及びシュラウ
ド１に固定されたシュラウド側ブロック１６とから構成
されている。

【０００７】前記レストレイントブロック１５は、原子
炉圧力容器側ブロック１４とボルト１７によって固定さ
れ、さらに、そのシュラウド側の面には、シュラウド側
ブロック１６を挿入するための溝１５ａが形成されてい
る。

【０００８】この溝１５ａは、下部側において深溝とな
るような斜面溝から構成され、また、この溝１５ａに挿
入するシュラウド側ブロック１６の溝面は、前記斜面溝
に当接するように斜面端となっている。

【０００９】また、図１３，図１４は、前記位置規制部
材とほぼ同様の構成を採るが、図１１，図１２と異なる
部分は、レストレイントブロック１５の端面がシュラウ
ド側ブロック１６に設けられた溝１６ａに挿入するよう
になっている。

【００１０】この場合において、前記シュラウド側ブロ
ック１６の溝１６ａは、上端部において深溝となる斜面
溝で構成され、また、レストレイントブロック１５の端
面は、前記斜面溝に当接するような斜面溝となってい
る。

【００１１】このように、レストレイントブロック１５
とシュラウド側ブロック１６との斜面部を介した相互の
当接において、例えば、シュラウド１と原子炉圧力容器
２との材質の相違による熱膨張差（シュラウド１の熱膨
張率が原子炉圧力容器２のそれより大きい）により、図
１５に示すように、半径方向及び垂直方向それぞれに、
締め付け力が働くことになって、シュラウド１の支持を
強固にすることができる。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】特開昭60−231197号で
公知の従来の耐震サポートは、これまで、単にシュラウ
ドを支持する目的しかもっておらず、シュラウド継手部
などの補強板という機能を兼ね備えたものにはなってい
なかった。

【００１３】運転年数が増えてきたプラントに対して
は、中性子照射の影響を考慮し、シュラウドの溶接継手
部等の補強を考慮した耐震サポート付炉心支持構造物を
考えておく必要がある。

【００１４】更に、特開昭57−175291号公報，特開昭58
−15193号公報，特開昭60−7387 号公報，特開昭60−23
1197号公報で公知の従来の耐震サポートは、いずれも原
子炉圧力容器内壁においてブロックの取付けを実施して
いるが、この技術を現在運転中の既設プラントに適用す
る場合、原子炉圧力容器内壁へブロックの取り付けは、
非常に困難な作業を伴う。

【００１５】また、原子炉圧力容器内壁に取り付けられ
た原子炉圧力容器側ブロックとシュラウド外面に取り付
けたシュラウド側ブロックは、原子炉圧力容器およびシ
ュラウドの熱膨張差を考慮し、それぞれ原子炉圧力容器
およびシュラウドの中心線に対し、平行に据え付けなけ
ればならず、高精度の据付けが要求される。

【００１６】従って、ブロック間の取り合いを考慮する
ことなく原子炉圧力容器側への作業が伴わないような構
造が望ましい。

【００１７】上記従来技術では、これらの問題点を解決
する具体的手段についての記載は無く、更に、補強まで
を考えた技術は未確立であった。

【００１８】そこで、本発明の目的は、シュラウドの継
手部を補強する補強機能とシュラウドに作用する地震時
の水平方向荷重を低減する耐震機能を備え、しかも、据
付けが比較的容易で据付け後の信頼性が高いシュラウド
の耐震サポート付炉心支持構造物を提供することにあ
る。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記目的は、シュラウド
外面側のみにシュラウドを補強する機能とシュラウドの
地震時の水平荷重をサポートする機能を兼ね備えた耐震
サポートをボルト，ナット等の機械的手段または、溶接
により設定することで、達成することができる。

【００２０】

【作用】シュラウドの外面に、容易に他のブロックを据
付けることが可能、もしくは伸縮できる構造をもつ板を
補強板として、ボルト構造によって取り付ける。

【００２１】前記補強板をシュラウドに取付け後、補強
板に別のブロックを組み合わせる、もしくは伸縮できる
構造部を調整することにより、原子炉圧力容器と一定の
隙間をもつ耐震サポートとする。

【００２２】前記隙間は、原子炉運転時に生じる原子炉
圧力容器とシュラウドの熱膨張差を考慮して設定され、
原子炉運転時には、原子炉圧力容器とシュラウドの熱膨
張差により、隙間がなくなり、シュラウド外面に取り付
けられた前記補強板は、地震時の水平荷重を受けること
ができる。

【００２３】ボルトまたは、溶接でシュラウドに取り付
けられている補強板に耐震サポートを取り付けることに
より、水平荷重を補強板とサポートで受けるため、補強
板のみでシュラウドの地震時の水平荷重を受けるより
も、補強板に作用する地震時の水平荷重が低減でき、ま
たは、補強板をシュラウドに取付けるためのボルトの本
数の減少及び溶接量の減少が図れる。

【００２４】さらに、シュラウドをボルト結合などの構
造により取り外すことが可能な原子炉においては、シュ
ラウドの固定部に生ずる水平荷重を小さくすることがで
き、シュラウドの取付け部の構造を簡単にすることがで
きる。

【００２５】また、このサポート付炉心支持構造物にお
いては、シュラウド外面のみに取り付ける補強板によ
り、サポートを行うため、原子炉圧力容器内壁側へブロ
ックを取り付けたりといった作業を必要としない。

【００２６】運転中の既設プラントにおいては、原子炉
圧力容器内壁への機器等の取り付けは困難であるため、
このような構造は非常に優位である。

【００２７】さらに、補強板とサポートが一体となった
サポート付炉心支持構造物をシュラウドの周方向また
は、高さ方向に複数個取り付けることによって、あらゆ
る方向のシュラウドの水平荷重を支持することができ
る。

【００２８】

【実施例】図１〜図４は、本発明の第一実施例である。

【００２９】図１，図２のように、原子炉圧力容器２と
シュラウド１の間にシュラウド１の補強板４がボルト
３，ナット１８などの機械的構造により、シュラウド１
の段付部外面から取り付けられている。

【００３０】また、補強板４の外面にはシュラウド１の
地震時の水平荷重を受けるための図４に示すブロック５
を取り付けるための溝４ｂが設けられているブロック４
ａが取り付けられている。

【００３１】ブロック４ａと一体となった補強板４を始
めにシュラウド１の外面に取り付け、その後、溝４ｂを
介し図４に示す形状のブロック５を上側からはめ込む。

【００３２】更に、ブロック５の固定を行うため、ブロ
ック固定用ボルト６を差し込む、このブロック５のブロ
ック固定用ボルト６を差し込むための穴は、地震等によ
る水平荷重発生時に、ブロック５とブロック４ａが面接
触可能とするために長穴とする。

【００３３】このような構造の補強板４を、シュラウド
１の外面のみに取付けることにより、シュラウドの継手
部を補強する補強機能とシュラウドに作用する地震時の
水平方向荷重を低減する耐震機能を備え、比較的簡単な
構造であるため、据付け後の信頼性が高いシュラウドの
耐震サポート付炉心支持構造物を提供することができ
る。

【００３４】この構造は、図１に示すシュラウド段付部
だけでなく、図３のように段差のない部分にも適用でき
る。

【００３５】図５，図６は、本発明の第二実施例であ
り、原子炉圧力容器２内のシュラウド１の溶接継手部を
補強する構造を示した図である。

【００３６】図５において、補強板４がボルト３，ナッ
ト１８などの機械的構造により、シュラウド１の外面に
取り付けられている。

【００３７】このような構造により、シュラウド１の溶
接部１ａは、補強板４とボルト３により補強される。

【００３８】また、補強板４の外面には、ねじ穴が設け
られてあるブラケット７が結合されており、このブラケ
ット７にサポート用ボルト８が組み込まれている。

【００３９】この実施例においては、ブラケット７にサ
ポート用ボルト８をねじ込んだ状態で、補強板４をシュ
ラウド１の外面に取り付ける。

【００４０】その後、ブラケット７に組み込まれている
サポート用ボルト８を必要とするサポートの長さが確保
できるまで回転させる。

【００４１】更に、このサポート用ボルト８の回転防止
のために、固定ねじ９を用いサポート用ボルト８を固定
する。

【００４２】また、この固定ねじ９を用いなくともサポ
ート用ボルト８とブラケット７の部分に廻り止め溶接を
行ってもよい。

【００４３】このような構造の補強板４を、シュラウド
１の外面のみに取付けることにより、シュラウドの継手
部を補強する補強機能とシュラウドに作用する地震時の
水平方向荷重を低減する耐震機能を備えたシュラウドの
耐震サポート付炉心支持構造物を提供することができ
る。

【００４４】この構造は、図５に示すシュラウド段付部
だけでなく、図６のように段付の無いシュラウド部分に
も適用できる。

【００４５】また、図示はしないが、図５，図６のよう
なボルトとねじ穴の代わりに、キーとキー溝の組み合わ
せのような水平方向に、スライド可能な構造を用いて、
シュラウド外面に、スライド構造を有する補強板を取付
け後、スライド機構により、必要とするサポートの長さ
を確保するスライド構造式の耐震サポート付炉心支持構
造物も考えられる。

【００４６】図７，図８は、本発明の第一実施例をシュ
ラウド上部に適用し、第二実施例をシュラウド中間部に
適用したシュラウド耐震サポート付炉心支持構造物の実
施例である。

【００４７】このように、必要に応じて、実施例１また
は、実施例２に示すような耐震サポートをシュラウドの
異なる高さ位置、または、シュラウドの周方向に複数個
使用することにより、シュラウドの継手部を補強する補
強機能とシュラウドに作用する地震時の水平方向荷重を
低減する耐震機能を備えた耐震サポート付炉心支持構造
物を得ることができる。

【００４８】また、図示はしていないが、上述の耐震サ
ポートは、原子炉圧力容器内壁に取り付けられている複
数個のジェットポンプの間のスペースを利用し取り付け
られている。

【００４９】

【発明の効果】本発明によれば、シュラウドの継手部を
補強する補強機能とシュラウドに作用する地震時の水平
方向荷重を低減する耐震機能を備え、しかも、据付けが
比較的容易で、据付け後の信頼性が高いシュラウドの耐
震サポート付炉心支持構造物を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例によるシュラウド耐震サポ
ートの上面図。

【図２】図１の立面図。

【図３】本発明の第１実施例によるシュラウド耐震サポ
ートをシュラウド段無し部に適用した場合の上面図。

【図４】図１，図２，図３中のサポートブロックの斜視
図。

【図５】本発明の第２実施例によるシュラウド耐震サポ
ートの立面図。

【図６】本発明の第２実施例によるシュラウド耐震サポ
ートをシュラウド段無し部に適用した場合の立面図。

【図７】本発明の第１実施例と第２実施例とを同一原子
炉内に採用した場合の原子炉圧力容器の図８におけるＡ
−Ａ矢視平断面図。

【図８】本発明の第１実施例と第２実施例とを同一原子
炉内に採用した場合の原子炉圧力容器の縦断面図。

【図９】従来の原子炉圧力容器の縦断面図。

【図１０】従来技術によるシュラウド耐震サポートを備
えた原子炉圧力容器の縦断面図。

【図１１】従来技術によるシュラウド耐震サポートの上
面図。

【図１２】図１１の立面図。

【図１３】他の従来技術によるシュラウド耐震サポート
の上面図。

【図１４】図１３の立面図。

【図１５】従来技術によるシュラウド耐震サポートの斜
視図。

【符号の説明】

１…シュラウド、２…原子炉圧力容器、３…補強板固定
用ボルト、４…シュラウド補強板、５…サポートブロッ
ク、６…ブロック固定用ボルト、７…ブラケット、８…
サポート用ボルト、９…サポートボルト固定用ねじ、１
０…原子炉炉心領域、１１…シュラウドサポートレグ、
１２…シュラウドサポートシリンダー、１３…原子炉圧
力容器下鏡、１４…原子炉圧力容器側ブロック、１５…
レストレイントブロック、１６…シュラウド側ブロッ
ク、１７…レストレイントブロック固定用ボルト、１８
…補強板固定用ナット。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 秀康 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 布施 元正 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 林 英策 茨城県日立市幸町三丁目１番１号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】原子炉圧力容器にシュラウドサポートレグ
   及びシュラウドサポートシリンダーを介し、該シュラウ
   ドサポートシリンダー上端にボルト，フランジ等の機械
   的手段または、円周溶接により固定され、継ぎ手により
   形成される円筒形状のシュラウドを内包する沸騰水型原
   子炉において、前記シュラウド外面に前記シュラウドを
   補強する補強機能および地震等において、前記シュラウ
   ドに作用する水平方向荷重をサポートする機能を有する
   耐震サポートを設けたことを特徴とする原子炉の耐震サ
   ポート付炉心支持構造物。
2. 【請求項２】請求項１において、前記シュラウド継手部
   外面に耐震サポートを設けることを特徴とする原子炉の
   耐震サポート付炉心支持構造物。
3. 【請求項３】請求項１又は請求項２において、前記耐震
   サポートを前記シュラウド外面の同一高さの周方向に複
   数個設置することを特徴とする原子炉の耐震サポート付
   炉心支持構造物。
4. 【請求項４】請求項１又は請求項２において、前記耐震
   サポートを前記シュラウド外面の異なる複数個の高さ位
   置に設置することを特徴とする原子炉の耐震サポート付
   炉心支持構造物。
5. 【請求項５】請求項１又は請求項２において、前記耐震
   サポートは、ブロックを取り付けるための溝が設けられ
   ている補強板、前記補強板を前記シュラウドに固定する
   ボルト，ナット、前記補強板に取り付けられた耐震サポ
   ートの一部となるブロックにより構成され、前記補強板
   を前記シュラウド外面にボルト，ナットで据付けた後、
   前記ブロックを前記シュラウドに取り付けられた前記補
   強板に取付け固定することにより、補強機能および地震
   等により前記シュラウドに作用する地震時の水平荷重を
   サポ−トする機能を有することを特徴とする原子炉の耐
   震サポート付炉心支持構造物。
6. 【請求項６】請求項１又は請求項２において、前記耐震
   サポートは、シュラウドを補強するねじ穴付補強板、前
   記補強板を前記シュラウドに固定するボルト，ナット、
   前記ねじ穴付補強板に取付くサポート用ボルトにより構
   成され、前記ねじ穴付補強板にあらかじめサポート用ボ
   ルトを組込み、前記補強板を、前記シュラウドに前記ボ
   ルトにより取り付けた後、前記補強板にあらかじめ設定
   したサポート用ボルトを回転させることにより、耐震サ
   ポートの長さを調整可能としたことを特徴とする原子炉
   の耐震サポート付炉心支持構造物。