JPH07268585A - めっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
めっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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Abstract
素を多量に含有する高張力鋼板において、Fe酸化物皮
膜の密着性を良好にしこれら合金元素の表面濃化を抑制
して、めっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法を提供する 【構 成】 高張力鋼板を、O2 :0.01〜5vol%,H2
O:2vol%以上を含み、残部実質的にN2 からなる酸化
雰囲気中で、昇温速度15℃/sec以上で 400〜 800℃に加
熱し酸化処理後、H2 :3vol%以上を含む還元雰囲気中
で 800〜 880℃で還元焼鈍し、溶融亜鉛めっきし、必要
に応じてさらに加熱合金化処理を施す。
Description
鋼板の製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法に関するものである。
鋼板には、車体の軽量化および安全性の向上ならびに耐
食性の見地から、プレス加工性に優れることの他に高強
度であり、かつ耐食性の優れていることが要求されてい
る。そのため、特に高張力鋼板の表面処理化が強く要求
されている。
P,Crなどの合金元素が添加されている。これらの元
素を多量に含有する鋼板を、溶融亜鉛めっき設備で焼鈍
・めっきするとき、鋼板表面の加熱によってこれらの元
素、特にSiが選択的に酸化され、鋼板表層に拡散され
るため、これらの酸化物が濃化し、鋼板表面で皮膜を形
成する。これらの酸化物は還元焼鈍でも還元されず、溶
融亜鉛との濡れ性を著しく阻害し、めっき密着性を悪く
する。それにより、鋼板に溶融亜鉛が付着しない、いわ
ゆる不めっきがしばしば起こり、良好なめっき外観を呈
しない。
素が添加されている高張力鋼板に優れたプレス加工性を
付与するためには、800 ℃以上の高温で焼鈍する必要が
あるが、焼鈍温度が高くなると、これらの元素、特にS
iの表面濃化が顕著になり、めっき濡れ性を悪くし、著
しい不めっきを生じる。このため、溶融亜鉛めっきした
高張力鋼板を、プレス加工等を施す自動車用等の鋼板と
して供することはできなかった。
開昭55−122865号公報のようにあらかじめ鋼板
を酸化し、その後還元することにより合金元素の酸化物
皮膜の形成を抑制する方法がある。しかしながら、この
方法は、NOF(無酸化炉)の空気比を制御するもので
あり、鋼板表面はバーナーの炎または排ガスにより加熱
され、その雰囲気で酸化または還元されるものである。
従って、微妙な空気比の変化により鋼板表面のFe酸化
物量が変化し安定性を欠く。
号公報のように鋼板をある特定の空気比で、酸化膜生長
速度が一定値以上で酸化膜の厚みがある範囲になるよう
に酸化し、その後還元・めっきする方法がある。しか
し、この方法でもってしても、NOFの空気比で鋼板表
面のFe酸化物量を制御する以上、微妙な空気比の変化
により鋼板表面のFe酸化物量が変化し安定性を欠くこ
とは避けられない。
%以下の領域であるため、空気比の変化によりO2 量が
わずかに変化すると、鋼板のFe酸化物量が大きく変化
してしまうからである。また、これらの先行技術は、F
e酸化物皮膜を形成することによりその後の還元焼鈍に
おいて合金元素の表面濃化を抑制することについては述
べているが、Fe酸化物皮膜が通板中にロールなどによ
り剥離してしまい、その後の還元焼鈍で合金元素が表面
濃化してしまうことについては述べていない。すなわ
ち、NOFで空気比を制御した場合、一般に生成したF
e酸化物皮膜は剥離しやすいが、その密着性については
述べられていない。
P,Crなどの合金元素を多量に含有する鋼板に溶融亜
鉛めっきをするためには、これらの元素の表面濃化を抑
制する必要がある。この表面濃化を抑制する方法として
は、上記のようにNOFであらかじめ酸化し、その後還
元することによって合金元素の酸化皮膜の形成を抑制す
る方法があるが、これは空気比によって酸化膜の厚みを
調整するということのみであって、酸化により生成され
た酸化膜の厚みの再現性ならびにFe酸化物皮膜の密着
性について安定性に欠ける。
どの合金元素を多量に含有する高張力鋼板において、F
e酸化物皮膜の密着性を良好にし、これら合金元素の表
面濃化を抑制して、めっき外観の良好な高張力溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法および高張力合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
Crを合計で1.0 wt%以上含有する高張力鋼板を、O
2 :0.01〜5vol%,H2 O:2vol%以上を含み、残部実
質的にN2 からなる酸化雰囲気中で、昇温速度15℃/sec
以上で 400〜 800℃に加熱し酸化処理後、H2 :3vol%
以上を含む還元雰囲気中で 800〜 880℃で還元焼鈍し、
溶融亜鉛めっきすることを特徴とするめっき外観の良好
な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であり、上記酸
化雰囲気中にはCOやCO2 を実質的に含まないことが
望ましい。
た後、さらに加熱合金化処理を施してもめっき外観の良
好な高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。
するに際して、炉内をCOやCO2 を実質的に含まない
NOFではない雰囲気に制御することが望ましい。それ
によって合金元素の選択酸化を防ぎ良好なめっき性が確
保される。すなわち、酸化処理時に、バーナーを覆うな
どして鋼板がその炎で直接酸化されないようにしたう
え、排気されるガスの測定値に基づいて、燃焼ガスの送
入口と異なる部分から雰囲気ガスを送入して間接的に加
熱し、炉内の雰囲気を実質的にCOやCO2 を含まない
極めて限られた範囲に直接制御することが望ましい。
皮膜がロールなどにより剥離し、その後の還元焼鈍時に
添加元素の選択酸化が起こってめっき性が阻害されない
ように酸化処理を行うことは本発明の特に重要な課題で
ある。本発明では、鋼中にSi,Mn,P,Crなどの
合金元素が含有された高張力鋼板を、O2 :0.01〜5vol
%,H2 O:2vol%以上を含み、残部実質的にN2 から
なる酸化雰囲気中で、昇温速度15℃/sec以上で 400〜 8
00℃に加熱し酸化処理することにより、Fe酸化物量が
600 〜1800mg/m2 になるようにしている。
を0.01〜5vol%に限定したのは、O 2 が0.01vol %未満
では、鋼板のFe酸化物量が少ないため合金元素の表面
濃化を防止することができずに、めっき性を劣化させる
からであり、一方O2 含有量が5vol%を超えると、鋼板
のFe酸化物量が多くなり後の焼鈍で十分に還元され
ず、未還元物が残ってめっき性を劣化させるからであ
る。
金元素の表面濃化を抑制するのに十分なFe酸化物量は
得られず、H2 Oも同時に一定量含む必要があることを
我々は見いだした。図1に雰囲気中の酸素量とFe酸化
物量の関係を示すが、H2 Oが1vol%ではほとんど酸化
されず、2vol%では著しく酸化されている。従来は、空
気比により鋼板のFe酸化物量を制御しており、雰囲気
のO2 濃度が、図1の0.2vol%以下の領域であるため、
空気比の微妙な変化でO2 量がわずかに変化しても、鋼
板のFe酸化物量が大きく変化して、その制御に安定性
を欠いていた。一方、本発明では組成を予め調整した雰
囲気ガスを導入できるので、O2 量を安定に保つことが
できる。
以上と限定したのは、図1よりH2O2vol%以上でない
と合金元素の表面濃化を抑制するのに十分なFe酸化物
量が得られず、めっき性が劣化するためである。また、
本発明においても、望ましいO2 量の範囲は図1に示す
ように、酸化雰囲気中のH2 Oの範囲が、2vol%以上に
おいて、O2 量が少々変化しても鋼板のFe酸化物量が
一定になる範囲、すなわち0.3 〜2vol%の範囲である。
が剥離すると、その後の還元焼鈍時に合金元素が表面濃
化しめっき性が劣化するため、Fe酸化物皮膜が剥離し
ない条件で酸化する必要がある。この条件は図2より昇
温速度が15℃/sec以上であることを我々は見いだし、昇
温速度を15℃/sec以上に限定した。昇温速度が15℃/sec
未満では、昇温速度が遅く低温域で活性点から局所的に
酸化が進行し、Fe酸化物皮膜の密着性が不良となるた
め、Fe酸化物皮膜がロールなどによって簡単に剥離し
てしまい、後の還元焼鈍で合金元素が表面濃化してめっ
き性を劣化させるからである。それに対し昇温速度が15
℃/sec以上では、昇温速度が速く高温域で多数の活性点
から酸化が進行し、Fe酸化物皮膜の密着性が良好とな
るため、後の還元焼鈍でも合金元素の表面濃化を抑制で
きるからである。
mg/m2 の範囲である。Fe酸化物量が600 mg/m
2 未満では、鋼板のFe酸化物量が少なく合金元素の表
面濃化を防止することができず、めっき性を劣化させる
からであり、Fe酸化物量が1800mg/m2 を超える
と、鋼板のFe酸化物量が多すぎ、後の還元焼鈍で十分
還元されなかった未還元物が残り、めっき性を劣化させ
るからである。
のは、本発明の特定した雰囲気で酸化した場合、Fe酸
化物量が600 〜1800mg/m2 となるのはこの範囲だか
らである。本発明では、酸化処理雰囲気中にCOやCO
2 を実質的に含まないことが望ましい。一般にNOFで
焼鈍する場合、COやCO2 を含むことは避けられない
が、本発明者らは、図3に示すように、COやCO2 を
実質的に含まないときには、COやCO2 を含む場合よ
りも合金元素であるMn、Siの表面濃化抑制効果が大
きく、めっき性がより良好になることを見い出した。
2 およびH2 Oを調整したCOやCO2 を実質的に含ま
ない雰囲気ガスが準備される必要がある。この酸化処理
後、H23vol %以上の雰囲気中、800 〜880 ℃で還元焼
鈍するが、H23vol %未満では還元量が少なくて未還元
物が残り、不めっきが発生する。なお、焼鈍温度800 ℃
以上は高張力鋼板にプレス性を付与するためとFe酸化
物を十分に還元すために必要である。一方880 ℃超で
は、Fe酸化物が還元されすぎてMn、Siが表面に濃
化するので、上限は880 ℃とした。
力溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。またさらに、本発明
では、引き続き合金化処理することもできる。
設備で酸化・還元・めっきして、高張力溶融亜鉛めっき
鋼板を製造した。O2 : 0.001〜8vol %、H2 O: 1
〜20vol %、残部実質的にN2 からなる雰囲気中、昇温
速度3℃/sec以上で400 〜800 ℃に加熱し酸化処理した
後、H2 : 2〜20vol %の雰囲気中で還元焼鈍し溶融め
っきした。還元焼鈍は、鋼No.1が 830℃、鋼No.2が 800
℃、鋼No.3が 860℃で行った。また、めっき浴は、Al
を0.14wt%添加した浴で、めっき浴温度は、480 ℃とし
た。そのめっき外観の判定を表2に示すが、本発明の条
件外で酸化処理および還元焼鈍した場合、点状の不めっ
きが発生した。しかし、本発明の条件内で酸化処理およ
び還元焼鈍した場合、表面外観は良好で、不めっきは発
生しなかった。
っき鋼板を、加熱合金化処理して高張力合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を製造した。そのめっき外観の判定を表3に
示すが、本発明の条件外で酸化処理および還元焼鈍した
場合、点状の不めっきが発生した。しかし、本発明の条
件内で酸化処理および還元焼鈍した場合、表面外観は良
好だった。
度、雰囲気条件で酸化・還元処理を行うことによって、
Si,Mnを含有する高張力鋼板であっても、普通鋼と
同様にめっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板お
よび高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造できるよう
になった。
O2 含有量とFe酸化物量との関係を示すグラフ。
ラフ。
化量との関係を示すグラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 Si,Mn,Crを合計で1.0 wt%以上
含有する高張力鋼板を、O2 :0.01〜5vol%,H2 O:
2vol%以上を含み、残部実質的にN2 からなる酸化雰囲
気中で、昇温速度15℃/sec以上で 400〜 800℃に加熱し
酸化処理後、H2 :3vol%以上を含む還元雰囲気中で 8
00〜 880℃で還元焼鈍し、溶融亜鉛めっきすることを特
徴とするめっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法。 - 【請求項2】 酸化雰囲気中にCOやCO2 を実質的に
含まないことを特徴とする請求項1記載のめっき外観の
良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の方法によって溶
融亜鉛めっきした後、さらに加熱合金化処理を施すこと
を特徴とするめっき外観の良好な高張力合金化溶融亜鉛
めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP06231894A JP3385089B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | めっき外観の良好な高張力溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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JPH07268585A true JPH07268585A (ja) | 1995-10-17 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006348344A (ja) * | 2005-06-16 | 2006-12-28 | Jfe Steel Kk | 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
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1994
- 1994-03-31 JP JP06231894A patent/JP3385089B2/ja not_active Expired - Fee Related
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