JPH07264979A - 改質バターとその製造方法 - Google Patents

改質バターとその製造方法

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JPH07264979A JP6058896A JP5889694A JPH07264979A JP H07264979 A JPH07264979 A JP H07264979A JP 6058896 A JP6058896 A JP 6058896A JP 5889694 A JP5889694 A JP 5889694A JP H07264979 A JPH07264979 A JP H07264979A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 種々の連続バター製造機で製造したバター、
あるいはそれを凍結処理した凍結バターを改質し、メタ
ルチャーンで製造した特級バターと同質の優れた展延性
や曲げ強度特性を持つ低コストのバターを提供すること
を目的とする。 【構成】 バター中に分散する水粒子の直径の平均値が
3μm以下、その標準偏差値が1μm以下であり、かつ
該バター中の空気含有率が10Nml/Kg以下であるよ
うな改質バターである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改質バターとその製造方
法に関するものである。本発明の改質バターは、製菓・
製パン用の原料バターとして用いることができる。
【0002】
【従来の技術】バターの製造は1955年頃からそれま
で用いていたチャーン法に代わってバターをクリームか
ら連続的に製造する方法が研究され、現在では技術の進
歩によって一般用途向けのバターではチャーン法による
バターと大差のないバターが製造できる、大量生産に適
した連続バター製造装置が開発されている。このような
方法には(1)連続チャーニング、水洗、加塩、ワーキ
ングを一つの機械に組み合わせたフリッツ法やコンティ
マブ法、(2)特殊分離機で脂肪率80%程度の高濃度
クリームを作り、冷却とワーキングを組み合わせて相転
移を行いバターを製造するアルファ法やメレシン法、あ
るいは(3)濃度25〜30%のクリームを加熱、解乳
化し、ホエーを再分離してバターの組成と同じに調整し
たミックスを急冷装置で冷却固化するクリーマーパッケ
ージ法やチェリーバレル法などがある。これらの方法に
よって製造されたバターは品質的にも安定しており、連
続的生産によりコストの低減も図れることから、家庭用
バターの大半は現在このような方法によって製造されて
いる。ところが製菓・製パン用としてはより高い特性を
持つバターが必要とされる。例えばパイの製造において
パイを膨らませるために用いられるバターは、パイ生地
中にサンドイッチ状に入れられたバターが何度もの折り
畳み処理の中で切れたり割れたりしないで均一に伸びて
広がる性質、いわゆる展延性あるいは腰の強さが求めら
れ、この用途には現在でもバッチ式のチャーン法で製造
した特級バターが使用されることが多い。これは、上記
の連続式バター製造機で製造したバターは一般用途向け
には品質的に優れたものであるが、展延性や曲げ強度な
どの特性においては従来のチャーン法で製造したバター
の方が優れているからである。現在このようなチャーン
法を用いるバターの製造装置としてはメタルチャーン等
が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように連続バター
製造機で製造したバターは一般消費用としては充分な特
性を有しているが、パイ製造などの特殊用途ではさらに
高い展延性や曲げ強度などの特性を必要とする。現在、
このようなバターとしてはチャーン法で製造した特級バ
ターが使用されているが、バッチ式で生産効率が悪く、
例えば代表的なコンティマブ方式の連続バター製造機の
製造能力が約5t/Hrであるのに対し代表的メタルチ
ャーンの例では0.3〜0.5t/Hr程度と約6〜1
0%程度の製造能力しかない。また、チャーン法で製造
するために専用の原料の前処理が必要であり、作業が煩
雑になるという問題もある。本発明は以上のような問題
点を考慮し、上記の種々の連続バター製造機で製造した
バター、あるいはそれを凍結処理した凍結バターを改質
し、メタルチャーンで製造した特級バターと同等の優れ
た展延性や曲げ強度特性を持つ低コストのバターを提供
することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のような目
的を達成するために次のような改質バターとその製造方
法を提供するものである。すなわち、バター中に分散す
る水粒子の直径の平均値が3μm以下、その標準偏差値
が1μm以下であり、かつ該バター中の空気含有率が1
0Nml/Kg以下であるような改質バターであり、その
改質バターを製造する方法としては、バターを原料と
し、バター中に分散する水粒子の直径の平均値が3μm
以下、その標準偏差が1μm以下になるように剪断処理
および/または混練処理して均質化する際、該処理中あ
るいはその前後においてバター中の空気含有率が10N
ml/Kg以下となるように脱気処理を行う改質バターの
製造方法である。メタルチャーンで製造したバターが通
常の連続バター製造機で製造したバターより展延性や曲
げ強度特性等で優れている理由としては、これまで種々
の説明が試みられてきたが、現在でも完全な解明には至
っていない。一般的にメタルチャーンによるバター製造
では連続製造機に比べて穏やかな混練を加えて脂肪を凝
集させるため、バター中の脂肪球が壊れにくく、このこ
とがメタルチャーンバターの展延性や曲げ強度特性を向
上させていると考えられる。実際、コンティマブ等の連
続バター製造機ではかなり強い混練が加えられるため、
製造したバター中には脂肪球は殆ど見られないが、メタ
ルチャーンで製造したバターでは多くの脂肪球が認めら
れる。従って、連続バター製造機で製造したバターにメ
タルチャーンバターと同等の特性を持たせるにはこの脂
肪球を再生することが考えられるが、現在の技術では一
度破壊された脂肪球を復元することは極めて困難で、こ
の意味では連続バター製造機で製造したバターをチャー
ン法で製造したバターと同様の組織に改質することは不
可能であるといえる。実際このような連続バター製造機
で製造したバターの改質はこれまで報告されていない。
しかし実際のバターの物性はこの脂肪球以外にも多くの
要因に関係し、空気含有率や被混練度、バター内の水の
分散状態等にも大きく影響される。特に、展延性や曲げ
強度特性に関してはバター中の油脂成分と水分の分散状
態や空気含有率が大きく寄与すると考えられる。そこで
本発明者らは、これらの因子を制御しながら連続バター
製造機で製造したバターを改質して、メタルチャーンバ
ターと同等の展延性や曲げ強度特性を持たせる検討を行
った。先ず、混練がバター物性に及ぼす影響について検
討を加えた。この場合、一度製造したバターに不用意に
混練を加えると離水し易いバター、すなわちリーキーな
バターになるという問題が経験的に知られており、従来
のバター改装機においても比較的穏やかな混練が行われ
ている。しかし、バターの改質にはかなり強い混練が必
要であり、また、脱気を行うにもある程度の混練を必要
とするので、このようなバターの改質を行うためには先
ずこの離水の問題を解決する必要があった。
【0005】本発明者らは、このバターの混練下での離
水及びその制御方法を詳しく研究し次のような知見を得
た。すなわち、 (1)通常のバターに分散する水粒子は1〜12μm程
度に分布するが、離水を始めたバターでは10〜30μ
m以上の大きな水粒子を多数含むようになる。 (2)水粒子の成長は剪断力の弱い混練で起き易くな
る。強い剪断を加えながら混練を行うと、水粒子の細分
化が頻繁に起こり、一方では混練により水粒子同士の衝
突による合成が起こる。一定の剪断を伴う混練下では、
これらが釣り合うところで平衡状態の水滴の粒径分布が
決定されるので、離水を起こさずによく混練するには、
混練に見合う強い剪断を加えれば良い。 (3)一般的にバターに混練を加えるとその組成が固く
なることが知られているが、このような強い剪断及び混
練を加えたバターはむしろ幾分柔らかくなり、この剪断
/混練処理が15℃以下、好ましくは10℃以下で行わ
れれば、長期保存しても品質的な劣化を起こさない。 これらの結果から、従来制御の難しかったバターの混練
時の離水を抑制することが可能となった。すなわち、従
来の混練では空気の混入を防ぐために比較的弱い混練が
行われていたが、この場合の混練は練りの作用が大き
く、剪断の作用はほとんどない。従って、混練を行うと
離水が発生しやすい。混練度を大きくして離水を抑制す
るには、混練度に対応する剪断を加えればよい。
【0006】本発明者らはこのことを確認するために、
強い混練と剪断を同時に発生する装置として二軸の混練
押出し装置を製作し、バターの改質を試みた。その結
果、剪断力の弱いスクリューでは離水が発生するが、剪
断力の強いスクリューでは予想通り離水は発生せず、組
織的に緻密で一様な木目の細かいバターを得ることがで
きた。このように改質されたバターの曲げ強度特性を試
験したところ、原料バターよりはかなり改善されていた
ものの、メタルチャーン製のバターに比べるとまだ不十
分であった。そこで原因について検討したところ、強い
混練下でバター中の空気も微細化されて分散し、冷蔵庫
内でのエージングにおけるバターの組織形成に悪影響を
与えていることが判った。そこで上記の二軸の混練押出
し装置に脱気装置を設置し、併せて混練時のバターの昇
温を防止するために冷媒を循環できるジャケットを設置
して、種々の条件下で改質バターの製造を試みた。その
結果、通常の連続バター製造装置で製造している分散す
る水粒子の平均直径が約5μm、その標準偏差が約2.
7μmのバターに15℃以下、好ましくは1〜10℃の
温度で強い剪断を伴う混練を加えかつ脱気処理を加えた
ところ、バター中に分散する水粒子の分布は大きく変化
し平均直径は3μm以下、その標準偏差が1μm以下、
かつ該バター中の空気含有率は5Nml/Kg以下となっ
た。ここで、5Nml/Kgは15℃−1気圧下でバター
1Kg中に含まれる空気の体積が5mlであることを示し
ている。この改質バターの特性試験を実施したところ、
チャーン法(メタルチャーン)で製造した特級バターと
ほぼ同等の優れた展延性および曲げ強度特性を示すこと
を確認した。この効果は連続バター製造装置で製造した
バターを原料としても、またそれを凍結処理して保存し
た原料を用いても同様に発揮された。すなわち、連続バ
ター製造装置で製造したバター、またはこのバターを凍
結処理した凍結バターを原料とし、これに強い剪断を伴
う混練と脱気処理を加えることで、メタルチャーンで製
造したバターと同様の特性を有する改質バターが得られ
ることが確認された。
【0007】上述したように本改質バターは、通常の連
続バター製造装置で製造するバターとは微視的構造や展
延性、あるいは曲げ強度特性が全く異なり、また外観的
にも連続バター製造装置で製造するバターに比べて非常
に緻密で滑らかな組織を持ち、連続バター製造装置で製
造するバターとは完全に異なるバターである。また本改
質バターは脱気処理によってその空気含有率も10Nm
l/Kg以下、好ましくは5Nml/Kg以下に調整される
ことから、通常10〜80Nml/Kgの空気含有率をも
つ連続製造機によるバターとは異なっている。また、本
改質バターはチャーン法のバターと同等の展延性あるい
は曲げ強度特性を持つが、以下の理由でこのチャーン法
のバターとも完全に異なるバターである。即ち、チャー
ン法のバターでは多くの乳由来の脂肪球が多数存在する
のに対し、本改質バターでは脂肪球はほぼ完全に破壊さ
れている。また、メタルチャーンバター中の水粒子は平
均直径が約4.6μm、標準偏差値が2.6μmと連続
バター製造装置で製造するバターに近いのに対し、本改
質バターは上述のように分散する水粒子は平均直径が小
さくその標準偏差値も小さい。さらに本改質バターで
は、強い剪断を伴う混練によって水粒子の均一分散と共
に通常のチャーン法のバターでは脂肪球中に多く存在す
る低融点脂肪が、脂肪球の破壊によって外部に放出さ
れ、混練によって脂肪の分散状態も均一化されている点
も異なっている。このようにこの改質バターは従来の連
続製造機で製造したバターとは勿論、チャーン法による
バターとも明らかに本質的に異なる新しいバターであ
り、その特徴は、バター中に分散する水粒子の大きさが
その平均値、ばらつき共に小さく、混練により組織が緻
密で滑らかであり、かつ空気含有率が非常に小さいこと
である。
【0008】この改質バターの製造は以下の方法により
行うことが出来る。即ち、通常の連続バター製造機で製
造するバター、あるいはこれを凍結した凍結バターを原
料として、これを離水を生じないように、かつバター中
に分散する水粒子の平均直径が少なくとも3μm以下、
標準偏差値が1μm以下になるように強い剪断を加えな
がら混練して均質化する際、該混練処理中、あるいはそ
の前後においてバター中の空気含有率が10Nml/Kg
以下、好ましくは5Nml/Kg以下になるように脱気処
理を加える。バターに剪断を加えながら離水を生じない
ように混練する装置として、スクリュー及びバレルに強
い剪断力と混練力を発生できるように配慮した二軸の同
方向あるいは異方向回転の混練押出し装置を用い、該混
練装置中あるいはその前後にバター中の空気含有率が少
なくとも10Nml/Kg以下、好ましくは5Nml/Kg
以下になるように脱気処理を行う脱気装置を備えたバタ
ー改質装置が利用できる。この時、バターに強い混練を
施すと大きな発熱を伴うので、混練時のバターの温度を
15℃以下、好ましくは1〜10℃程度に維持する冷却
装置を設けた方が良い。
【0009】
【実施例】 改質バターの製造 連続バター製造装置(コンティマブ)で製造して凍結保
存した−20℃の凍結バターを図1のバター改質装置を
用いて改質した。コンプレッサーエアー(13)が除菌
フィルター(9)、空気除湿器(10)、空気圧レギュ
レータ(11)からなる無菌除湿空気発生器(12)で
無菌除湿され、さらに空気冷却器(8)を経て出てきた
無菌除湿エアーが凍結ブロックバター(2)のある粉砕
機(1)に供給され、凍結ブロックバター(2)が衛生
的に粉砕される。粉砕機(1)はモータ(3)で駆動さ
れる粉砕刃(4)のある粉砕ロータ(5)があり、ジャ
ケット用冷却水入口(6)から冷却水がジャケットに供
給されバレルを冷却してジャケット用冷却水出口(7)
から排水されるようになっている。以上のような凍結バ
ター粉砕機(1)で粉砕された粉砕バター(14)は粉
砕バター供給機(15)のモータ(16)で駆動される
供給スクリュー(17)でパイプ(37)からバター流
量を一定にするためのバッファリング装置(19)でバ
ター流量が一定にされてバター(18)が二軸混練押出
機(24)に送られる。コンプレッサーエアー(23)
が空気制御ユニット(22)を経てバッファリング装置
(19)のシリンダーに供給されてピストン(20)に
作用するようになっており、ピストン位置検出センサー
(21)によりピストン移動位置が制御されるようにな
っている。又二軸混練押出機(24)はモータ(25)
で駆動されるスクリュー(27)があり、バター供給部
(28)から送られたバター(18)はスクリュー(2
7)で強い剪断が加えられながら混練される。この混練
中に脱気部(31)から真空ポンプ(35)で減圧度調
整器(34)を経由して脱気される。二軸混練押出機
(24)のスクリュー(27)にはスクリューとスクリ
ュー間、及びスクリューとバレルの間の間隔を小さく
し、剪断力と混練力を同時に強めるような設計を施した
噛み合い型のボールスクリューを使用し、これを90〜
120rpm で回転させた。脱気はスクリューピッチを広
げた部分に対応する脱気部(31)を真空ポンプ(3
5)で減圧弁(34)を調整しながら減圧し、均一に6
00mmHgで行った。ジャケット用冷却水入口(29)
(30)から冷却水をジャケット(26)に供給し、ジ
ャケット用冷却水出口(33)から排水してバレルを冷
却し、バター温度は二軸混練押出機の供給部(28)で
約0℃であり、混練、脱気処理中はバター出口(36)
のバター温度が約10℃となるように制御した。原料バ
ターとしては上述の混練バター以外にも連続バター製造
装置(コンティマブ)で製造した直後のバターを粉砕バ
ター供給機に直接供給して試験したが、得られた改質バ
ターの特性は凍結バターの場合とほぼ同様であった。
【0010】 改質バターの空気含有量 バター中の空気は従来から、その組織や官能的な特性に
悪影響を及ぼし、また保存中にバターの酸化による品質
劣化を促進することから極力減少する努力が払われてき
た。そこで本改質バターの製造方法では、バターに対し
脱気処理を行った。本改質バターの空気含有量の測定結
果を表1に示す。原料ブロックバターが60〜80Nm
l/Kgの空気を含有するのに対し、本改質バターでは5
Nml/Kg以下となっており、外観的にも極めて緻密
で、きめの細かい一様な組織が得られた。
【表1】
【0011】 改質バターの微視的構造 このようにして得られたバターの位相差顕微鏡による水
粒子の観察結果を図4、図5、図6に示す。図4は原料
としたブロックバター、図6は本改質バターであり、比
較のためメタルチャーンバター(図5)の観察も行っ
た。図中の粒子はバター中に約16%程度含まれる水の
粒子である。尚、図のスケールは約800倍に拡大した
ものである。原料ブロックバターでは小さい粒子から1
0μmを越えるものまで種々の大きさの粒子が含まれて
いるが、本改質バターでは大きな粒子は認められず、粒
径のばらつきも小さい。図2にそれぞれの粒径分布を、
また表2に平均粒径及び標準偏差を示した。原料ブロッ
クバターの平均粒径が約5μm、その標準偏差が約2.
8μmであるのに対し、本改質バターでは平均粒径が約
2.6μm、その標準偏差が約0.8μmであり、平均
粒径とそのばらつきが共に小さくなっている。即ち、粒
子が小さくなり、かつ均一化されている。一方、メタル
チャーンバターの水分散は原料ブロックバターに近く、
その統計値も平均粒径が約4.6μm、その標準偏差が
約2.6μmとほぼ原料ブロックバターと同じである。
以上の点から本改質バターは、その微視的構造が原料ブ
ロックバターやメタルチャーンバターと異なり、バター
中に分散する水粒子の粒径が小さく、かつそのばらつき
も小さいことが確認された。
【表2】
【0012】 改質バターの曲げ強度特性 図3に本改質バターの曲げ強度特性を示した。試料とし
ては、原料ブロックバター、メタルチャーンバター及び
本改質バターからそれぞれ1cm×1cm×5cmの四角柱を
切り出し、これをそれぞれ両端から1cmの所を保持し、
四角柱の中央を横向きにした直径1cmの金属製円柱で下
方に加圧して押し下げ(以下これを曲げという)、その
ときの金属製円柱の位置と応力を計測した。計測は、バ
ターの溶融を防止するために5℃の恒温室内で行った。
図3に示すように、原料ブロックバターあるいは市販の
家庭用バターが約3mmの曲げで破断したのに対し、本改
質バターでは約6mmの曲げに対しても破断せず曲げに対
して破断しにくいバター、いわゆる腰の強いバターにな
っていることが確認された。パイ製造に用いるバターに
はこの腰の強さが不可欠なことから、従来、腰の強いメ
タルチャーンバターが使用されているが、図3に示す本
改質バターはメタルチャーンバターと同等かあるいはそ
れ以上の曲げ強度を有することが確認され、改質処理が
本バターのレオロジー物性を変化させていると考えられ
た。
【0013】 改質バターの製パイ特性及び官能評価 パイ生地中にサンドイッチ状に入れられたバターが数度
の折り畳み処理をしても切れたり割れたりしないような
腰の強さ、いわゆる展延性を評価するために、製パイ試
験を実施した。この結果を表3に示す。
【表3】 試料としては、(a)連続バター製造機で製造した凍結
バターを従来の工程で改装したバター、(b)メタルチ
ャーンバター、(c)連続バター製造機で製造した凍結
バターを本発明による方法で処理したバター(本改質バ
ター)の3種類を用い、それぞれ24個のパイを試作
し、その評価を行った。その結果、表に示すように、非
常に良好と判断されたものが(a)で2個、(b)で1
0個であったのに対し、本改質バター(c)では15個
が得られた。この他、手への付着性やパイ生地との馴染
み性等の作業性や、パイ断面のきめの細かさ、パイの膨
張率、歪み性等を加えて総合評価を行ったところ、本改
質バターは、従来の工程で改装したバターより明らかに
優れており、メタルチャーンバターと同等かそれ以上の
製パイ特性を有する、展延製の高いバターであることが
確認された。また、組織的に滑らかで伸びが良いため
に、パン等への塗りやすさが大きく改善されていること
も官能的に確認された。さらに、ガスクロマトグラフィ
ーを用いた分析により、脱気処理による香気成分の損失
も全くないことが確認され、官能試験による風味および
色合い等も良好であった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、生産効率のよい連続型
バター製造機で製造したバター、あるいはそれを凍結処
理した凍結バターを原料として、製造コストの高いメタ
ルチャーンで製造する特級バターと同等かそれ以上の優
れた展延性や曲げ強度特性を持つバターを低コストで提
供することができる。本改質バターは、製菓・製パン用
途には勿論、一般家庭で使用する場合でもパン等に塗り
やすく、伸びの良い高品質バターとして使用することが
出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質バターの製造システムの模式図
【図2】均質バター中の水粒子の粒径分布図
【図3】改質バターの曲げ強度特性図
【図4】原料としたブロックバターの水分散の状態図
【図5】メタルチャーンバターの水分散の状態図
【図6】改質バターの水分散の状態図
【符号の説明】
1 凍結バター粉砕機 2 凍結ブロックバター 3 モーター 4 粉砕刃 5 粉砕ロータ 6 ジャケット用冷却水入口 7 ジャケット用冷却水出口 8 空気冷却器 9 除菌フィルター 10 空気除湿器 11 空気圧レギュレーター 12 無菌除湿空気発生器 13 コンプレッサーエアー 14 粉砕バター 15 粉砕バター供給機 16 モーター 17 供給スクリュー 18 供給されるバター 19 供給バターのバッファリング装置 20 ピストン 21 ピストン位置検出センサー 22 空気圧制御ユニット 23 コンプレッサーエアー 24 二軸混練押出し装置 25 モーター 26 ジャケット 27 スクリュー 28 バター供給部 29 ジャケット用冷却水入口 30 ジャケット用冷却水入口 31 脱気部 32 排出部 33 ジャケット用冷却水出口 34 減圧度調整器 35 真空ポンプ 36 改質バター出口

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バター中に分散する水粒子の直径の平均
    値が3μm以下、その標準偏差値が1μm以下であり、
    かつ該バター中の空気含有率が10Nml/Kg以下であ
    ることからなる改質バター。
  2. 【請求項2】 バターを原料とし、バター中に分散する
    水粒子の直径の平均値が3μm以下、その標準偏差値が
    1μm以下になるように剪断処理および/または混練処
    理して均質化する際、該処理中あるいはその前後におい
    てバター中の空気含有率が10Nml/Kg以下になるよ
    うに脱気処理を行う改質バターの製造方法。
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