JPH0726481U - 建築工事用手摺 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 躯体の開口部を遮断する設置の容易な建築工
事用の手摺を提供する。 【構成】 パイプ１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄを相
互に連結して成る外管１２の両側に、Ｕ字状の内管１
４，１５を摺動自在に嵌合せしめ、伸縮自在の手摺桁１
１を構成する。一方、前記内管１４に、手摺脚１６に固
設したパイプ１６ａ，１６ｂを摺動自在に嵌合せしめる
とともに、前記外管１２には他方の手摺脚１７を固着す
る。また、その双方の手摺脚１６，１７の基端にキャッ
プ１８，１９を嵌合し、打設されるコンクリートに手摺
脚１６，１７が直接埋没することを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、建築工事用の手摺に関し、特に躯体に形成される開口部の遮断に有 用で、且つ設置が非常に簡易な手摺である。

【０００２】

【従来の技術】

近年、人口の過密化が著しい大都市圏にあって、コンクリート建築物の高層化 が顕著である。

【０００３】 このコンクリート建築物は、柱、梁、及び壁の型枠を組み立て、更にスラブ型 枠を組み立てた後、コンクリートの打設を行って躯体を構築し、その後に建具の 取り付けや設備の導入が成されている。

【０００４】 ところで、そのコンクリート建築物の工事中、柱間などに形成される躯体の開 口部には、保安上手摺が設けられている。

【０００５】 従来、この手摺として、一般に図６に示すような構造のものが知られ、利用さ れている。

【０００６】 この手摺１は、鋼管などから成る外管２ａと内管２ｂを嵌合した伸縮自在の手 摺桁２と、この手摺桁２に固着した手摺脚３，３とにより構成され、前記開口部 に立設した鞘管に手摺脚３，３が差し込まれるようになっている。

【０００７】 なお、内管２ｂは、外管２ａに設けられた蝶ボルト４によって固定されるよう になっている。

【０００８】 また、手摺脚３，３は、図示するように、一方が外管２ａに固着せしめられ、 他方が内管２ｂに固着せしめられている。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の手摺１によれば、開口部の口幅に応じて手摺桁２の 長さ調整を行えるので好ましいが、手摺脚３，３の幅もそれと同時に変わるので 、この手摺脚３，３が差し込まれる鞘管の位置を正確に決めておかないと、手摺 桁３の長さが開口部の口幅より大きくなり、この手摺１が設置できなくなる危険 性があった。

【００１０】 また、開口部の柱に仕上げの塗装を施す場合、これに近接する手摺１が障害と なるケースが多々あり、作業上の問題とされていた。

【００１１】 また、その手摺１は、型枠を構築した時点で設置するので、その後コンクリー トが打設されると、躯体完成後における排除が困難となる欠点があった。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案は、外管と内管を嵌合して成る伸縮自在の手摺桁と、この手摺桁を支持 する複数本の手摺脚とにより構成される建築工事用手摺に於いて、前記手摺桁に 対し、少なくとも一つの手摺脚を摺動自在に取り付けたことを特徴とする建築工 事用手摺を提供することにより、上記課題を達成するものである。

【００１３】 また、本考案は、前記手摺脚の基端に円筒状のキャップを嵌合することによっ て、上記課題を達成するものである。

【００１４】

【作用】

本考案の建築工事用手摺によれば、外管に螺入された蝶ボルトを緩めると、手 摺桁が伸縮自在となる。

【００１５】 一方、手摺脚に設けた蝶ボルトを緩めると、この手摺脚が手摺桁の内管に沿っ て摺動可能な状態になる。

【００１６】 従って、躯体開口部のスラブに立設した鞘管に、手摺脚を差し込むことによっ て本願手摺の設置を行い、その後、手摺桁を伸長させることによって前記開口部 を完全に遮断し得る。

【００１７】 換言すれば、前記鞘管を正確な位置に立設しなくても、手摺脚の差し込みが可 能で、且つ手摺桁を開口部の口幅に合わせて調整することができる。

【００１８】

【実施例】

以下、本考案の建築工事用手摺に係わる実施例を図面に基づいて詳細に説明す る。

【００１９】 図１は、本考案の建築工事用手摺を示す分解図であり、図中の符号１１は手摺 桁、１６，１７は手摺脚である。

【００２０】 その手摺桁１１は、外管１２と、この外管１２の両側に摺動自在に嵌合される 内管１４，１５とにより構成され、全体が長方形の枠状を呈している。

【００２１】 なお、前記外管１２は、ステンレス鋼管などから成る複数のパイプ１２ａ，１ ２ｂ，１２ｃ，１２ｄを相互に連結せしめることによって構成され、同径とされ ている前記パイプ１２ａ，１２ｂが平行し、このパイプ１２ａ，１２ｂに前記パ イプ１２ｃ，１２ｄが直交している。

【００２２】 一方、内管１４，１５は、前記パイプ１２ａ，１２ｂの内径とほぼ同一の外径 を有するステンレス鋼管などをＵ字形に湾曲して成り、その両端が上述の如く外 管１２のパイプ１２ａ，１２ｂに摺動自在に嵌合されるのである。

【００２３】 なお、前記パイプ１２ａの両端には、図示する如く蝶ボルト１３ａ，１３ｂが 螺入されていて、嵌合された内管１４，１５を保持できるようになっている。

【００２４】 他方、手摺脚１６，１７は、ステンレス鋼管などから成り、その一方の手摺脚 １６が手摺桁１１に対して摺動自在に取り付けられている。

【００２５】 即ち、手摺脚１６は、その先端に固着されたパイプ１６ａと中間部に介在され たパイプ１６ｂを備え、このパイプ１６ａ，１６ｂが前記手摺桁１１の内管１４ に摺動自在に嵌合されているのである。

【００２６】 なお、他方の手摺脚１７は、前記外管１２のパイプ１２ｂに直交する状態に固 着されている。

【００２７】 また、前記パイプ１６ａ，１６ｂは、内管１４の外径とほぼ同一の内径を有す るステンレス鋼管などから成り、その軸線は手摺脚１６に直交している。

【００２８】 更に、一方のパイプ１６ａには、図示する如く蝶ボルト１６ｃが螺入されてい て、手摺脚１６を所定の位置に固定できるようになっている。

【００２９】 ところで、図中の符号１８，１９は、塩化ビニールなどの合成樹脂から成るキ ャップである。

【００３０】 このキャップ１８，１９は凸字状を呈する筒体で、径の小さい上側が前記手摺 脚１６，１７の基端に嵌合されるようになっている。

【００３１】 次に、図２で明らかにしているように、前記手摺桁１１は蝶ボルト１３ａ，１ ３ｂを緩めることにより伸縮自在であり、且つ手摺脚１６は蝶ボルト１６ｃを緩 めることによって内管１４に沿って摺動するようになる。

【００３２】 従って、手摺桁１１の長さ調整と手摺脚１６，１７の幅調整を別々に行うこと ができる。

【００３３】 次に、図３は上述の建築工事用手摺の使用状態を示す斜視図であり、図中の符 号Ｈ，Ｈは柱で、Ｒは開口部、Ｓはスラブである。

【００３４】 この図で明らかにしているように、本考案の建築工事用手摺は、躯体における 柱Ｈ，Ｈの間に形成される開口部Ｒなどを遮断し、作業者の転落を防止するもの である。

【００３５】 前記柱Ｈ，Ｈ間におけるスラブＳには、手摺脚１６，１７の外径とほぼ同一の 内径を有する鞘管ｅ，ｅが立設されており、その鞘管ｅ，ｅに手摺脚１６，１７ を差し込むことにより本願手摺が設置されている。

【００３６】 なお、柱Ｈ，Ｈの仕上げなどを行う場合、蝶ボルト１３ａ，１３ｂ，１６ｃを 緩めて手摺桁１１を縮小させれば、手摺桁１１が作業の障害となることはない。

【００３７】 ところで、この建築工事用手摺は、スラブＳにコンクリートの打設を行う以前 から設置されるので、コンクリートが打設された後には手摺脚１６，１７の基端 がコンクリート内に埋没するようになる。

【００３８】 その状態を示したものが図４（ａ）で、図中の符号Ｃが打設されたコンクリー トである。

【００３９】 この図で明らかなように、コンクリートＣは鞘管ｅ，ｅの上端まで打設される のであるが、その鞘管ｅ，ｅの上端には手摺脚１６，１７に嵌合したキャップ１ ８，１９の径の大きい下側を嵌合させているので、コンクリートＣが鞘管ｅ，ｅ と手摺脚１６，１７との接合部に流入することはない。

【００４０】 従って、コンクリートＣの硬化後においても、手摺脚１６，１７の抜き取りは 容易に成されるのである。

【００４１】 なお、鞘管ｅ，ｅから手摺脚１６，１７を抜き取った後においては、その鞘管 ｅ，ｅ内に図４（ｂ）に示す如くコンクリートＣを充填しているとともに、キャ ップ１８，１９は上端を切断してコンクリートＣに埋め込むようにしている。

【００４２】 次に、図５は本考案の建築工事用手摺に係わる他の実施例を示す正面図で、図 中の符号２１は手摺桁、２６，２７は手摺脚である。

【００４３】 この実施例で示す建築工事用手摺は、手摺桁２１に対して双方の手摺脚２６， ２７が摺動するようにしたことを特徴としている。

【００４４】 前記手摺桁２１は、外管２２と、この外管２２の両側に摺動自在に嵌合される 内管２４，２５とにより構成され、全体が長方形の枠状を呈している。

【００４５】 なお、前記外管２２は、ステンレス鋼管などから成る複数のパイプ２２ａ，２ ２ｂ，２２ｃ，２２ｄを相互に連結せしめることによって構成され、同径とされ ている前記パイプ２２ａ，２２ｂが平行し、このパイプ２２ａ，２２ｂに前記パ イプ２２ｃ，２２ｄが直交している。

【００４６】 一方、内管２４，２５は、前記パイプ２２ａ，２２ｂの内径とほぼ同一の外径 を有するステンレス鋼管などをＵ字形に湾曲して成り、その両端が上述の如く外 管２２のパイプ２２ａ，２２ｂに摺動自在に嵌合されるのである。

【００４７】 なお、前記パイプ２２ａの両端には、図示する如く蝶ボルト２３ａ，２３ｂが 螺入されていて、嵌合された内管２４，２５を保持できるようになっている。

【００４８】 他方、手摺脚２６，２７は、ステンレス鋼管などから成り、その双方の手摺脚 ２６，２７が手摺桁２１に対して摺動自在に取り付けられている。

【００４９】 即ち、手摺脚２６，２７は、その先端に固着されたパイプ２６ａ，２７ａと中 間部に介在されたパイプ２６ｂ，２７ｂを備え、パイプ２６ａ，２６ｂが前記手 摺桁２１の内管２４に、そしてパイプ２７ａ，２７ｂが前記手摺桁２１の内管２ ５にそれぞれ摺動自在に嵌合されているのである。

【００５０】 なお、前記パイプ２６ａ，２６ｂ，２７ａ，２７ｂは、内管２４，２５の外径 とほぼ同一の内径を有するステンレス鋼管などから成り、その軸線は手摺脚２６ ，２７に直交している。

【００５１】 また、パイプ２６ａ，２６ｂには、図示する如く蝶ボルト２６ｃ，２７ｃが螺 入されていて、手摺脚２６，２７を所定の位置に固定できるようになっている。

【００５２】 ところで、図中の符号２８，２９は塩化ビニールなどの合成樹脂から成るキャ ップである。

【００５３】 このキャップ２８，２９は、凸字形状を呈する筒体であり、径の小さい上側が 前記手摺脚２６，２７の基端に嵌合されるようになっている。

【００５４】 なお、本実施例における建築工事用手摺の使用方法は、上述の使用方法と同一 であるので、その説明は省略する。

【００５５】 なお、本考案に係わる建築工事用手摺は、上記実施例の構成に限定されるもの ではなく、例えば外管１２，２２に手摺脚１６，１７，２６，２７を摺動自在に 取り付けるようにしてもよい。

【００５６】 また、手摺桁１１，２１は、鋼管を単に伸縮自在に連結せしめた棒状のものと してもよい。

【００５７】

【考案の効果】 本考案の建築工事用手摺は、上述の如く構成されているため、以下に記すよう な効果を奏する。

【００５８】 （１）本考案は、外管と内管を嵌合して成る伸縮自在の手摺桁と、この手摺桁 を支持する複数本の手摺脚とにより構成される建築工事用手摺に於いて、前記手 摺桁に手摺脚を摺動自在に取り付けたことにより、手摺桁の長さ調整と手摺脚の 幅調整を別々に行えるので、設置が極めて容易で、且つ躯体開口部を完全に遮断 できるという優れた効果を奏する。

【００５９】 （２）特に、手摺脚を差し込むための鞘管を正確な位置に立設しなくても、手 摺脚をその鞘管に差し込み可能で、且つその後に手摺桁の長さを調整して開口部 を完全に遮断できるので、その設置作業を迅速に行えるという優れた効果を奏す る。

【００６０】 （３）また、躯体開口部に近接する柱の仕上げなどを行う場合、手摺脚を鞘管 に差し込んだ状態のまま手摺桁を縮小できるので、設置した本願手摺が作業障害 となることがないという優れた効果を奏する。

【００６１】 （４）一方、手摺脚の基端にキャップを嵌合することにより、スラブに打設さ れるコンクリートに手摺脚が直接埋没しないので、コンクリートの打設後におい ても手摺脚の抜き取りを容易に成し得るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の建築工事用手摺を示す分解図

【図２】同手摺を示す正面図

【図３】同手摺の使用状態を示す斜視図

【図４】（ａ）はスラブにコンクリートを打設したとき
の手摺脚の基端の状態を示す断面図、（ｂ）はキャップ
がスラブ内に埋設されたときの状態を示す断面図

【図５】本考案における他の実施例を示す正面図

【図６】従来の建築工事用手摺を示す正面図

【符号の説明】

１１ 手摺桁 １２ 外管 １３ａ，１３ｂ 蝶ボルト １４，１５ 内管 １６，１７ 手摺脚 １６ａ，１６ｂ パイプ １６ｃ 蝶ボルト １８，１９ キャップ Ｈ 柱 Ｒ 開口部 Ｓ スラブ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外管と内管を嵌合して成る伸縮自在の手
   摺桁と、この手摺桁を支持する複数本の手摺脚とにより
   構成される建築工事用手摺に於いて、前記手摺桁に対
   し、少なくとも一つの手摺脚を摺動自在に取り付けたこ
   とを特徴とする建築工事用手摺。
2. 【請求項２】 手摺脚の基端に円筒状のキャップが嵌合
   されていることを特徴とする請求項１記載の建築工事用
   手摺。