JPH07264789A - 回転電機の固定子巻線の巻線方法及びその保持方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】回転電機のスロットの寸法を小さくし、回転電
機全体の寸法を小型化する固定子巻線を提供する。 【構成】固定子巻線４を複数の巻線区間に区分し、端子
側の巻線区間には定格電圧階級のケーブルからなる高圧
側巻線４ａを巻回し、高圧側巻線４ａと中性点との間の
巻線区間にはその巻線区間の巻線に加わる電圧に対応す
る電圧階級のケーブルからなる低圧側巻線４ｂを巻回す
るので、低圧側巻線４ｂは太さが細くなり、スロット２
の寸法を小型化できる。その結果、回転機全体を小型化
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、回転電機の固定子巻
線の巻線方法及びその保持方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、高圧水中電動機などは固定子巻線
にケーブルが使用され、ケーブルが固定子鉄心のスロッ
トに収容されている。図４は従来の固定子巻線の巻線方
法による固定子鉄心のスロットの断面図である。図４に
おいて、固定子鉄心１にはスロット２を備え、スロット
２内の固定子巻線４は定格電圧階級のケーブルが１種類
で巻かれている。高圧用巻線は一般に星型に接続され、
中性点側は低圧で、端子側は定格電圧がかかる。

【０００３】図５は従来の他の固定子鉄心のスロットの
断面図である。従来は固定子巻線４にケーブルを使用す
る回転電機では、巻線作業の作業性及び巻線に傷をつけ
ないために占積率を小さくとっていたため、巻線作業完
了時にはスロット２と固定子巻線４との間に隙間ができ
ていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の固定子巻線は、
１種類の巻線で巻回され、巻線を収容するためにスロッ
ト２の断面寸法が大きくなり、固定子鉄心１の強度をも
たせかつ磁束密度に制限があるため、固定子鉄心１が大
きくなって回転電機の寸法が大きくなるという問題があ
った。また、従来は固定子巻線４を保持するためコイル
エンド部でしばり紐でしばって固定させていたが、固定
子巻線４とスロット２との間に隙間があるため、電磁振
動や機械的振動等で巻線が互いに擦り合って摩耗すると
いう問題があった。

【０００５】この発明は、回転電機の固定子鉄心のスロ
ットの寸法を小さくし、回転電機の全体の寸法を小型化
する固定子巻線の巻線方法を提供することを目的とす
る。

【０００６】この発明は、回転電機の固定子巻線がスロ
ット内で動かないように保持され、巻線相互の擦れによ
る摩耗を防止できる回転電機の固定子巻線の保持方法を
提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】固定子巻線にケーブルを
用いて星型結線される回転電機において、前記固定子巻
線を複数の巻線区間に区分し、端子側の巻線区間には定
格電圧階級のケーブルを巻回し、このケーブルと中性点
との間の巻線区間には、その巻線区間の巻線に加わる電
圧に対応する電圧階級のケーブルを巻回することによっ
て、上記目的を達成する。

【０００８】また、固定子巻線を２つの巻線区間に区分
し、端子側には定格電圧階級のケーブルを巻回し、この
ケーブルと中性点との間の巻線区間には、前記定格電圧
の１／２の電圧階級のケーブルを巻回すれば、スロット
を小型化する上に好適である。

【０００９】さらに、固定子巻線にケーブルを用いる回
転電機において、固定子巻線とスロットとの間のスペー
サとして、前記固定子巻線と同種または類似のケーブル
からなるくさび線をスロットにまたがり連続して、前記
スロットの内径側の前記固定子巻線と前記スロットとの
間の隙間に挿入することによって、上記目的を達成す
る。

【００１０】

【作用】この発明においては、固定子巻線を複数の巻線
区間に区分し、端子側の巻線区間には定格電圧階級のケ
ーブルを巻回し、そのケーブルと中性点との間にはその
巻線区間の固定子巻線に加わる電圧に対応する電圧階級
のケーブルを巻回するので、中性点側の巻線は細くな
り、スロット寸法を小さくできる。その結果回転電機の
寸法を小型化できる。

【００１１】また、この発明においては、固定子巻線と
固定子鉄心のスロットとの間のスペーサとして固定子巻
線と同種または類似のケーブルからなるくさび線をスロ
ットにまたがり連続して、固定子巻線とスロットとの間
の隙間に挿入するので、巻線はスロット内で動かないよ
うに拘束され巻線同士が擦れることはない。

【００１２】

【実施例】実施例１ 図１はこの発明の複数のケーブルを用いた巻線方法によ
る固定子鉄心の溝の断面図である。図１において、図４
と同じ部位は同一符号を用いるものとする。図１の例は
固定子巻線４を２つの巻線区間に区分し、端子側から半
ばまでの巻線区間には定格電圧階級（例えば6.6 ＫＶ）
のケーブルからなる高圧側巻線４ａを巻回し、高圧側巻
線４と中性点との巻線区間には定格電圧の１／２の電圧
階級（例えば3.3 ＫＶ）のケーブルからなる低圧側巻線
４ｂを巻回する。低圧側巻線４ｂは太さが細くなるの
で、スロット２の断面寸法を小さくできる。スロット２
の内面には固定子鉄心で固定子巻線が擦れないようにす
べり３を挿入し、高圧側巻線４ａと低圧側巻線４ｂとの
間にはケーブルの摩耗防止のためニトリルゴムからなる
クッション５を挿入している。スロット２が小型化され
るので、回転電機全体を小型化できる。

【００１３】図１の例は巻線区間を２つに区分したが、
３つの巻線区間に区分することもできる。定格電圧を6.
6 ＫＶとすると、端子側には6.６ＫＶ用のケーブルを用
い、中間部には4.4 ＫＶ用のケーブルを用い、中性点側
には3.3 ＫＶ用のケーブルを用いる。

【００１４】実施例２ 図２はこの発明の固定子巻線と同種のケーブル線をスペ
ーサとして用いた実施例による固定子鉄心のスロットの
断面図である。図２において図５と同じ部位は同じ符号
を用いるものとする。図２の例は固定子巻線４とスロッ
ト２とのスペーサとして固定子巻線４と同種または類似
のケーブル（例えば架橋ポリエチレン線またはポリ塩化
ビニール線）からなるくさび線６をスロット２に跨がっ
て連続させて、スロット２の内径側の固定子巻線４とス
ロット２との隙間に入る本数だけ挿入した。そのため、
固定子巻線４がスロット２内に拘束されるので、電磁振
動や機械振動等による巻線同士の擦れによる摩耗を防止
できる。図３は図２の固定子鉄心の内径側からみた展開
図である。図３において、くさび線６はスロット２にま
たがり連続的に一連挿入されている。くさび線６は細い
ケーブルを用いてスロット２と固定子巻線４との隙間に
２本ないし３本挿入することもできる。

【００１５】

【発明の効果】この発明によれば、ケーブルを用いて星
型結線される固定子巻線を、複数の巻線区間に区分し、
端子側には定格電圧階級のケーブルを用い、中性点側に
は巻線区間に加わる電圧に対応する電圧階級のケーブル
を巻回するので、低圧側巻線は太さが細くなり、スロッ
トの寸法を小型化できる。その結果回転電機全体を小型
化できる。

【００１６】また、この発明によれば、固定子巻線と固
定子鉄心のスロットとの隙間に固定子巻線と同種または
類似のケーブルを隙間に入る本数だけ挿入し、スロット
内で巻線を拘束するので、電磁振動や機械振動等による
巻線同士の擦れによる摩耗を防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１の固定子巻線の巻線方法に
よる回転電機の固定子鉄心のスロットの断面図である。

【図２】この発明の実施例２の固定子巻線の保持方法に
よる回転電機の固定子鉄心のスロットの断面図である。

【図３】図２の固定子鉄心の内径側からみた展開図であ
る。

【図４】従来の固定子巻線の巻線方法による固定子鉄心
のスロットの断面図である。

【図５】従来の固定子巻線の他の固定子鉄心のスロット
の断面図である。

【符号の説明】

１ 固定子鉄心 ２ スロット ３ すべり ４ 固定子巻線 ４ａ 高圧側巻線 ４ｂ 低圧側巻線 ５ クッション ６ くさび線

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定子巻線にケーブルを用いて星型結線さ
   れる回転電機において、前記固定子巻線を複数の巻線区
   間に区分し、端子側の巻線区間には定格電圧階級のケー
   ブルを巻回し、このケーブルと中性点との間の巻線区間
   には、その巻線区間の巻線に加わる電圧に対応する電圧
   階級のケーブルを巻回することを特徴とする回転電機の
   固定子巻線の巻線方法。
2. 【請求項２】請求項１記載の回転電機の固定子巻線の巻
   線方法において、前記固定子巻線を２つの巻線区間に区
   分し、端子側には定格電圧階級のケーブルを巻回し、こ
   のケーブルと中性点との間の巻線区間には、前記定格電
   圧の１／２の電圧階級のケーブルを巻回することを特徴
   とする回転電機の固定子巻線の巻線方法。
3. 【請求項３】固定子巻線にケーブルを用いる回転電機に
   おいて、固定子巻線とスロットとの間のスペーサとし
   て、前記固定子巻線と同種または類似のケーブルからな
   るくさび線をスロットにまたがり連続して、前記スロッ
   トの内径側の前記固定子巻線と前記スロットとの間の隙
   間に挿入することを特徴とする回転電機の固定子巻線の
   保持方法。