JPH0726370A - ターゲットとその製造方法および該ターゲットを用いて形成された膜 - Google Patents

ターゲットとその製造方法および該ターゲットを用いて形成された膜

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JPH0726370A
JPH0726370A JP19420593A JP19420593A JPH0726370A JP H0726370 A JPH0726370 A JP H0726370A JP 19420593 A JP19420593 A JP 19420593A JP 19420593 A JP19420593 A JP 19420593A JP H0726370 A JPH0726370 A JP H0726370A
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JP19420593A
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Otojiro Kida
音次郎 木田
Yoko Suzuki
陽子 鈴木
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】金属基体上にSiを主成分とし、In、Zn、
SnおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも1種
の金属のリン化物を含有するターゲット層がプラズマ溶
射により形成されるスパッタリング用ターゲットとその
製造方法および該ターゲット用いて形成される膜。 【効果】酸素雰囲気中でのスパッタでも高導電率を有す
るスパッタターゲットを得られ、大面積の成膜が高速で
でき、安定的に低屈折率の透明薄膜を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低屈折率を有する酸化
物透明薄膜を、スパッタリングにより形成する際に用い
るスパッタリング用ターゲットとその製造方法および該
ターゲットを用いて形成された膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からガラス、プラスチック等の透明
基板に薄膜を形成して光学的機能を付加したものとして
ミラー、熱線反射ガラス、低放射ガラス、干渉フィルタ
ー、カメラレンズやメガネレンズの反射防止コート等が
ある。
【0003】通常のミラーでは無電解メッキ法でAg
が、また、真空蒸着法、スパッタリング法などでAlや
Crなどが形成される。このうちでCr膜は比較的丈夫
なのでコート面が露出した表面鏡として一部用いられて
いる。
【0004】熱線反射ガラスは酸化チタンや酸化スズ等
がスプレー法、CVD法あるいは浸漬法等で形成されて
きた。最近では金属膜、窒化膜、スズをドープした酸化
インジウム(ITO)等をスパッタリング法でガラス表
面に形成したものが熱線反射ガラスとして使われるよう
になってきた。スパッタリング法は膜厚コントロールが
容易で、かつ複数の膜を連続して形成でき、透明酸化膜
と組合わせて透過率、反射率、色調などを設計すること
が可能である。このため意匠性を重視する建築などに需
要が伸びている。
【0005】室内の暖房機や壁からの輻射熱を室内側に
反射する低反射ガラス(Low Emissivity
ガラス)は銀を酸化亜鉛で挟んだZnO/Ag/ZnO
の3層系またはZnO/Ag/ZnO/Ag/ZnOの
5層系(特開昭63−239043号公報参照)などの
構成をもち、複層ガラスか合せガラスの形で使われる。
近年ヨーロッパの寒冷地での普及が目ざましい。
【0006】レンズ等の反射防止コートは酸化チタン、
酸化ジルコニウム等の高屈折率膜と酸化ケイ素、フッ化
マグネシウム等の低屈折率膜を交互に積層する。通常は
真空蒸着法が用いられ、成膜時は基板加熱して耐擦傷性
の向上を図っている。
【0007】表面鏡や単板の熱線反射ガラスおよびレン
ズ等の反射防止コートなどはコートされた膜が空気中に
露出した状態で使用される。このため化学的な安定性や
耐摩耗性に優れていなければならない。一方、低反射ガ
ラスでも複層ガラスまたは合せガラスになる前の運搬や
取り扱い時の傷などにより不良品が発生する。このため
安定で耐摩耗性に優れた保護膜あるいは保護膜を兼ねた
光学薄膜が望まれている。
【0008】耐久性向上のためには通常化学的に安定で
透明な酸化物膜が空気側に設けられる。これらの酸化膜
としては酸化チタン、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ジ
ルコニウム、酸化ケイ素等があり、また、低屈折率を有
する代表的な膜としてフッ化マグネシウム等があり、必
要な性能に応じて選択され使用されてきた。酸化チタ
ン、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ジルコニウムは屈折
率が高く、一方酸化ケイ素、フッ化マグネシウムは屈折
率が低い。
【0009】しかし、これらの膜は大面積の基板への成
膜は困難であり、建築用ガラスや自動車用ガラス等の大
面積の成膜が必要なところには対応できなかった。とい
うのは大面積の成膜には直流スパッタリング法が最適で
あるが、低屈折率を有する透明薄膜を提供する適当なタ
ーゲット材がなく、大面積成膜の可能な直流スパッタリ
ング法を用いて所望の薄膜を得ることができなかったか
らである。
【0010】例えば酸化ケイ素薄膜を直流スパッタリン
グ法で成膜するには導電性を有するSiターゲットを酸
素を含む雰囲気で反応スパッタして二酸化ケイ素薄膜を
形成する方法が考えられるが、Siターゲットはスパッ
タ中に表面が酸化して導電性が低下し、スパッタを安定
的に持続させることができなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一方、スパッタ用プレ
ーナ型ターゲットは、無機化合物の原料を混合し成形、
焼成およびスパッタ装置に合った形状にするための加工
およびボンディングと長い工程を通って作成される。こ
のなかで成形、焼成、加工、ボンディング等の工程は、
ターゲットが小さい場合には大がかりな治具装置は必要
でないが、大型の生産機用ターゲットでは上記治具装置
は大がかりとなり、またボンディングにおいてもターゲ
ットをターゲットホルダー金属板に接合する場合分割し
て加工接合する等して作製されているが、大がかりな装
置、高価なInハンダを大量に使用する等、労力、コス
トがかかる。
【0012】さらに建築用の大面積ガラスのスパッタに
おいては、生産性を上げるため高いスパッタパワーをか
け成膜速度を上げているが、この場合ターゲットの冷却
が成膜速度を制限しており、ターゲットの割れ、剥離等
のトラブルが起きている。
【0013】このため、ターゲットが任意の形状や構造
に対応でき、また大面積の基板への低屈折率透明薄膜を
安定して成膜できるターゲットが望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術が有
していた種々の課題を解決しようとするものであり、金
属基体上にアンダコートを形成し、次いで、Siを主成
分とし、In、Zn、SnおよびGaからなる群から選
ばれる少なくとも1種の金属のリン化物を含有する粉末
を高温プラズマガス中で半溶融状態にしつつ、このプラ
ズマガスにより該アンダコート上に輸送してターゲット
層を形成して製造することを特徴とするスパッタリング
用ターゲットの製造方法を提供する。
【0015】また、本発明は、金属基体上に、Siを主
成分とし、In、Zn、SnおよびGaからなる群から
選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物を含有する粉
末を、プラズマ溶射することにより形成されるターゲッ
ト層を有することを特徴とするスパッタリング用ターゲ
ットおよび該ターゲットを用いてスパッタリングして形
成されることを特徴とする膜を提供する。
【0016】本発明は、ターゲット層として、In、Z
n、SnおよびGaからなる群から選ばれる少なくとも
1種の金属のリン化物を含有しSiを主成分とする粉末
を、例えば、プラズマ溶射装置を用いて半溶融状態に
し、金属基体上に付着せしめ、直接スパッタリング用タ
ーゲットとなるターゲット層を形成するものである。
【0017】これによって成形する工程、焼成する工
程、複雑な構造や種々の形状に加工する工程、ボンディ
ング工程を必要としない。ただ溶射粉末を得る工程、特
に容易に入手できない複雑な化合物の場合、化学的合成
あるいは固相反応を利用して作製する。この粉末を粉砕
または造粒しさらに分級して、溶射に適当な流動しやす
い粒径に揃えることで利用できる。
【0018】本発明のターゲット層となる粉末において
は、Siに対するIn、Zn、SnおよびGaからなる
群から選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物の含有
量は特に限定されないが、Siが70〜99.99wt
%に対して、0.01〜30wt%含有することが好ま
しい。
【0019】スパッタすべきターゲットとなる層が、I
n、Zn、SnおよびGaからなる群から選ばれるうち
少なくとも1種の金属のリン化物が0.01wtwt%
以下では、成膜した場合、アーキングが激しく起こり安
定して成膜できず、また30wt%より多いと成膜して
得られる薄膜の屈折率が大きくなり好ましくは、0.0
1〜10wt%とすることがアーキングも少なく低屈折
率膜を安定して得られるので望ましい。
【0020】なお、本発明のターゲットとなる粉末に
は、他の成分が本発明の目的効果を損なわない範囲にお
いて含まれても差し支えないが、可及的に少量にとどめ
ることが望ましい。
【0021】本発明で用いるターゲット層となる粉末
は、次の方法で作製することができる。即ち平均粒径が
1μm以下のSi粉末と、In、Zn、SnおよびGa
からなる群から選ばれるうち少なくとも1種の金属のリ
ン化物の粉末を所定量秤量し、ボールミルを用いて3時
間以上、アセトンを溶媒として湿式混合して、泥漿を作
成し、防爆式スプレイドライヤーにて20〜100μm
程度の粒径に乾燥した溶射粉末を得ることが必要であ
る。
【0022】また、同様にSi粉末とIn、Zn、Sn
およびGaからなる群から選ばれるうち少なくとも1種
の金属のリン化物の粉末を、ボールミルを用いてアセト
ンを溶媒として3時間以上湿式混合し、これをエバポレ
ーターにて乾燥し、この粉末を非酸化雰囲気下の電気炉
中で1000〜1200℃で焼成する。これにより得ら
れる塊状の粉末を、粉砕し分級して20〜100μmの
粒径の溶射粉末を得てもよい。
【0023】これらの溶射粉末は、100μmより大き
いと、高温プラズマガス中で半溶融状態にしにくく、ま
た20μmより小さいと、プラズマ溶射時に高温プラズ
マガス中に分散してしまい金属基体上には付着しにくく
なるため好ましくない。
【0024】金属基体としては、ステンレスや銅などの
種々の金属が使用できる。ターゲット材料となるターゲ
ット粉末のプラズマ溶射に先だって、密着性向上のた
め、その金属基体の表面を、Al23 やSiCの砥粒
を用いてサンドブラストするなどにより荒しておくこと
が必要である。あるいは、またこれらの金属基体の表面
をV溝状に加工した後、Al23 やSiCの砥粒を用
いてサンドブラストしてより密着性を向上させることも
好ましい。
【0025】金属基体表面を荒した後に、溶射するター
ゲット材料と金属基体との熱膨張差を緩和し、また、機
械的、熱的な衝撃による剥離にも耐えるよう密着力を高
めるため、アンダコート層を形成しておくのが好まし
い。
【0026】かかるアンダコートとしては、金属基体の
熱膨張係数とターゲットとなる材料の熱膨張係数との中
間の熱膨張係数を有する層(以下A層という)およびタ
ーゲットとなる材料に近い熱膨張係数を有する層(以下
B層という)からなる群から選ばれる少なくとも1層で
あることが好ましい。特に両方の層を形成し、金属基体
/A層/B層/ターゲット材料被膜層という構成という
構成とするのが最適である。
【0027】アンダコート層がA層あるいはB層だけで
あっても、それらが金属や合金である場合は、弾性が高
く脆さが小さいので、ターゲットとなる被膜層の金属基
体への密着力を高めることができる。好ましくはB層の
熱膨脹係数が、ターゲットとなる被膜層の熱膨張係数±
2×10-6/℃の範囲内であることが最適である。
【0028】アンダコートの材料としては、Mo、T
i、Ni、Nb、Ta、W、Ni−Al、Ni−Cr、
Ni−Cr−Al、Ni−Cr−Al−Y、Ni−Co
−Cr−Al−Yなどの導電性粉末を用いることができ
る。アンダコートの膜厚は、それぞれ30〜100μm
程度が好ましい。
【0029】具体的には、アンダコートの材料は、ター
ゲットとなる層の熱膨張係数に応じて変える必要がある
(金属基体として使用可能な銅やステンレス等の熱膨脹
係数は、17〜18×10-6/℃である)。
【0030】例えば前記ターゲット層の場合(熱膨張係
数5〜6×10-6/℃)では、アンダコートA層の好ま
しい熱膨張係数は12〜15×10-6/℃であり、その
材料としてNi、Ni−Al、Ni−Cr、Ni−Cr
−Al、Ni−Cr−Al−、Ni−Co−Cr−Al
−Y等があげられる。またアンダコートB層の好ましい
熱膨張係数は5〜8×10-6/℃であり、その材料とし
てはMo、W、Ta、Nb等があげられる。
【0031】またかかるアンダコート材料のなかから、
ターゲット材料に近い熱膨張係数をもつアンダコートと
金属基体に近い熱膨脹係数をもつアンダコートとを傾斜
組成的に変化させたアンダコート層を設けても、より密
着性が高くなり好ましい。
【0032】その上に前述のターゲットとなる粉末を、
高温プラズマガス中、好ましくはAr、Ar+H2 など
の非酸化雰囲気下での高温プラズマガス中で半溶融状態
にしつつ、このガスにより、上記アンダコート上に輸送
して付着させ、スパッタすべきターゲットとなる被覆層
を形成する。
【0033】好ましくは、前述のターゲットとなる粉末
を減圧下のAr等の非酸化雰囲気下での高温プラズマガ
ス中で行う減圧プラズマ溶射法により形成する。
【0034】上記アンダコートを挿入することにより2
〜5mm以上の膜厚の安定な密着性の高いターゲット層
を形成できる。
【0035】また、前述のアンダコートを形成する際
も、非酸化雰囲気下あるいは減圧非酸化雰囲気下の高温
プラズマガス中でのプラズマ溶射法により形成するのが
好ましい。
【0036】ターゲット材料となる被覆層を非酸化雰囲
気下あるいは減圧非酸化雰囲気下(プラズマ溶射機を真
空チャンバー内で50〜300Torrに減圧して、こ
のチャンバー内にArガスを導入した雰囲気下)での高
温プラズマガス中で半溶融状態にしつつ、アンダコート
上に付着させてターゲット被覆層を形成する場合には、
ターゲット層形成中にターゲットとなる粉末の化学組成
や鉱物組成の変動も少なく、酸化も少ないので均質で高
密度な密着性の高いターゲット被覆層を形成できる。
【0037】本発明のスパッタリング用ターゲットを用
いて、Arと酸素の混合雰囲気中で1×10-3〜1×1
-4Torr程度の真空中でスパッタリングすると均一
な膜を製膜できる。
【0038】本発明のターゲットは、高い導電性を持
ち、しかもスパッタ中にターゲットの表面酸化によって
も導電性の低下が少ないため直流スパッタリング法を用
いて成膜でき、大面積にわたり均一な膜を高速にて成膜
できる。
【0039】
【作用】本発明の非酸化物ターゲットにおいて、ターゲ
ット中のIn、Zn、Sn、Gaなどは大部分ケイ素化
合物は作らず単独あるいはリン化物で存在し、Siの粒
界等に偏析することによってターゲットに導電性をもた
せて直流スパッタリングを可能にしている。
【0040】さらにこれらの金属は、酸素雰囲気中での
スパッタによって表面に存在しているうちの一部が酸化
するが、これらの酸化物は導電性を持つことが知られて
おり、表面酸化による導電性の低下を抑制するように働
くと考えられる。
【0041】一方、Pは前述のIn、Zn、Sn、Ga
とリン化物を生成するほか、Siのなかに固溶してSi
に電気導電性を付与しており、ターゲット全体の導電性
をさらに高めている。
【0042】これらの相乗効果によって本発明のスパッ
タリング用ターゲットは、直流スパッタに適した高導電
性を有し、アーキングを起こりにくくしていると考えら
れる。
【0043】またこのようにして作成したスパッタリン
グ用ターゲットは、ターゲット物質からターゲット金属
基体、さらにはカソード電極への熱伝導もよく、また強
固にターゲット金属基体上に密着しているので、成膜速
度を上げるための高いスパッタリングパワーをかけた場
合でも、冷却が十分行われ、急激な熱ショックによるタ
ーゲット層の剥離、割れもなく、単位面積当たりに大き
な電力を投入することが可能である。
【0044】さらにターゲット被膜層の侵食ゾーンが薄
くなっても、これらの薄くなった部分に、同じ材質のタ
ーゲット被膜層をプラズマ溶射することにより、元の状
態に容易に再生することもできる。
【0045】さらに、ターゲット層の厚みに場所による
分布をもたせることも容易に可能であり、それによっ
て、ターゲット表面での磁界の強さや温度分布をもたせ
て、生成する薄膜の厚み分布をコントロールすることも
できる。
【0046】本発明のスパッタリング用ターゲットは、
マグネトロンスパッタリングにてDC、RFの両方のス
パッター装置を用いることが可能であり、高速成膜、タ
ーゲット使用効率も大であり安定して高い成膜ができ
る。
【0047】
【実施例】高純度(99.99%)のSi粉末(平均粒
径1μm以下)と高純度(99.999%)のInP、
Zn32 とZnP2 、SnP、GaPの粉末のうちそ
れぞれを準備し、それぞれ表1の組成になるように秤量
し、ボールミルにて3時間アセトンを溶媒として湿式混
合し、得られたものを防爆式スプレイドライヤーにて造
粒し20〜100μmの粒径の粉末を得た。ターゲット
金属ホルダーとして直径6インチの銅製プレーナーを用
い、その外表面をAl23 砥粒を用いて、サンドブラ
ストにより表面を荒し粗面の状態にした。
【0048】次にアンダコートとして、Ni−Al
(8:2重量比)の合金粉末を非酸化雰囲気下のプラズ
マ溶射(メトコ溶射機を使用)により、膜厚50μmの
被覆を施した。この非酸化雰囲気下のプラズマ溶射は、
溶射ガンとターゲットホルダーを金属製のシールドボッ
クスにより囲い、その中にArガスをスパイラル状にフ
ローさせた雰囲気下で行うものであり、プラズマガスに
は、Ar+H2 ガスを用い、毎分42.5リットルの流
量で700A、35kVのパワーで印加を行い、100
00〜20000℃のAr+H2 ガスプラズマによりN
i−Al(8:2)の合金粉末を瞬時的に加熱し、ガス
とともにターゲットホルダー上に輸送し、そこで凝集さ
せて行った。被覆は、プラズマ溶射ガンを左右上下に動
かす操作を、何度も繰り返してアンダコートを形成し
た。
【0049】次にMo金属粉末を用い同様に50μmの
厚みの被覆を形成した。さらに前述のターゲットとなる
粉末を用い、同様のプラズマ溶射法により最終厚み5m
mのターゲット被覆層を形成した。
【0050】次にこのターゲットを用い、マグネトロン
直流スパッタ装置の陰極上にセットし、3mm厚のソー
ダライムガラス基板を真空チャンバー内に入れ、クライ
オポンプで1×10-6Torrまで排気し、次にArと
2 の混合ガス(Ar:O2=70:30)を真空内に
導入し、その圧力が5×10-3Torrになるように調
整した。この状態でスパッタを行い酸化膜として約10
00Åを成膜した。
【0051】表1に本発明の各種ターゲットを用いてA
rとO2 の混合雰囲気中で反応性直流スパッタリングを
行って成膜した膜の屈折率と成膜安定性(耐アーキング
特性)を示した。各種ターゲットを用いて成膜した膜
は、そのターゲット中のSiに対するIn等の構成物質
の組成比として膜中でもほぼ保たれている。
【0052】表1に示すように、本発明のターゲットを
用いて成膜した酸化物膜の屈折率は1.46〜1.50
と低く、SiO2 膜とほとんど同じ屈折率を有してい
た。しかも本発明のターゲットを用いて成膜した場合に
は、耐アーキング性はSiターゲット(比較例)と比較
すると格段に改善され、非常に成膜が安定していた。パ
ワーアップしても何らアーキングは発生せず破損や剥離
も認められなかった。
【0053】
【比較例】表1に、Siの単結晶(N型、0.1Ω・c
m)および本発明の範囲外の組成のターゲットについて
行った結果も示した。
【0054】
【表1】
【0055】表1より、Si単結晶や本発明の範囲外の
ターゲットの場合には、アーキングが発生し成膜が安定
してできずまた、膜の屈折率も高くなることがわかっ
た。
【0056】
【発明の効果】本発明のターゲットを用いることによ
り、低屈折率の透明薄膜を安定して得ることができる。
特にSiに、In、Zn、SnおよびGaからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物を含むター
ゲットを容易にプラズマ溶射により得ることができ、ま
た酸素雰囲気中でのスパッタでも高導電率を有するスパ
ッタターゲットを得ることができ、大面積の成膜が高速
ででき、安定的に低屈折率の透明薄膜を提供できる。
【0057】また本発明のターゲットは均質で高密度で
あり熱ショックにも強く、従来のような成形、焼成、加
工、ボンディングなどの工程も必要とせず、容易に短時
間にスパッタリング用ターゲットを任意の形状構造に対
応できる。
【0058】さらに本発明のスパッタリングターゲット
は、使用後消費した部分に、同組成の新しいターゲット
材質の溶射粉末を同時にプラズマ溶射することによりタ
ーゲットを再生でき、経済的にも有用である。
【0059】本発明のスパッタリングターゲットを用い
れば、スパッタ時の冷却効率も高くスパッタパワーを高
くしても、ターゲットの亀裂や破損がないため、安定し
て高速成膜が可能となり建築、自動車用等の大面積ガラ
スからミラー等の生産性が著しく向上するなどその工業
的価値は多大である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基体上にアンダコートを形成し、次い
    で、Siを主成分とし、In、Zn、SnおよびGaか
    らなる群から選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物
    を含有する粉末を高温プラズマガス中で半溶融状態にし
    つつ、このプラズマガスにより該アンダコート上に輸送
    してターゲット層を形成して製造することを特徴とする
    スパッタリング用ターゲットの製造方法。
  2. 【請求項2】前記ターゲット層は、Siが70〜99.
    99wt%に対して、In、Zn、SnおよびGaから
    なる群から選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物を
    0.01〜30wt%の割合で含有するものであること
    を特徴とする請求項1記載のスパッタリング用ターゲッ
    トの製造方法。
  3. 【請求項3】前記金属基体の表面が、荒れた表面である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のスパッタリン
    グ用ターゲットの製造方法。
  4. 【請求項4】前記アンダコートが、前記金属基体の熱膨
    張係数と、前記ターゲット層の熱膨張係数との中間の熱
    膨張係数を有する層、および該混合物に近似した熱膨張
    係数を有する層からなる群から選ばれる少なくとも1層
    であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載
    のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
  5. 【請求項5】前記アンダコートが、プラズマ溶射法によ
    り形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれか1
    項記載のスパッタリング用ターゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】金属基体上に、Siを主成分とし、In、
    Zn、SnおよびGaからなる群から選ばれる少なくと
    も1種の金属のリン化物を含有する粉末を、プラズマ溶
    射することにより形成されるターゲット層を有すること
    を特徴とするスパッタリング用ターゲット。
  7. 【請求項7】前記ターゲット層は、Siが70〜99.
    99wt%に対して、In、Zn、SnおよびGaから
    なる群から選ばれる少なくとも1種の金属のリン化物を
    0.01〜30wt%の割合で含有するものであること
    を特徴とする請求項6記載のスパッタリング用ターゲッ
    ト。
  8. 【請求項8】前記金属基体の表面が、荒れた表面である
    ことを特徴とする請求項6または7記載のスパッタリン
    グ用ターゲット。
  9. 【請求項9】前記金属基体と、前記ターゲット層との間
    にアンダコートを有することを特徴とする請求項6〜8
    いずれか1項記載のスパッタリング用ターゲット。
  10. 【請求項10】前記アンダコートが、前記金属基体の熱
    膨張係数と、前記ターゲット層の熱膨張係数との中間の
    熱膨張係数を有する層、および前記ターゲット層に近似
    した熱膨張係数を有する層からなる群から選ばれる少な
    くとも1層であることを特徴とする請求項6〜9いずれ
    か1項記載のスパッタリング用ターゲット。
  11. 【請求項11】請求項6〜10いずれか1項記載のスパ
    ッタリング用ターゲットを用いて、スパッタリングして
    形成されることを特徴とする膜。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012007218A (ja) * 2010-06-25 2012-01-12 Nihon Ceratec Co Ltd スパッタリングターゲット、その製造方法およびターゲット材原料
JP2013221169A (ja) * 2012-04-13 2013-10-28 Nihon Ceratec Co Ltd 溶射部材、およびその製造方法

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