JPH0726172A - 表面処理組成物 - Google Patents

表面処理組成物

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JPH0726172A
JPH0726172A JP5167947A JP16794793A JPH0726172A JP H0726172 A JPH0726172 A JP H0726172A JP 5167947 A JP5167947 A JP 5167947A JP 16794793 A JP16794793 A JP 16794793A JP H0726172 A JPH0726172 A JP H0726172A
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JP
Japan
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component
antibacterial
surface treatment
biguanidyl
weight
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Withdrawn
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JP5167947A
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English (en)
Inventor
Akira Nishihara
明 西原
Tsunetoshi Honda
常俊 本田
Akiko Azuma
彰子 東
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Publication of JPH0726172A publication Critical patent/JPH0726172A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラス、セラミック、合成樹脂および繊維、
金属を含む各種材料に対して抗菌防黴性を付与すること
ができる表面処理組成物。 【構成】 (イ) 少なくとも2個のアルコキシ基を有す
るケイ素、チタンおよびジルコニウム化合物から選ばれ
たアルコキシド成分100 重量部、ならびに(ロ) ビグアニ
ジル基を有するアルコキシシランまたはポリシロキサン
0.01〜500 重量部を含有し、任意に(ハ) アルコール10〜
10000 重量部、(ニ) 架橋促進剤50重量部以下、(ホ) 有機
樹脂100 重量部以下、および(ヘ) 水50重量部以下の1種
もしくは2種以上をさらに含有していてもよい表面処理
組成物、または(イ')有機樹脂100重量部、(ロ')ビグア
ニジル基を有するアルコキシシランおよび/またはポリ
シロキサン0.01〜500 重量部、ならびに(ハ')溶媒10〜10
000 重量部を含有する表面処理組成物。 【効果】 効果の持続性が高く、材料表面から有害な薬
剤成分が溶出しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種材料に抗菌防黴性
を付与するための表面処理組成物に関するものである。
本発明の表面処理組成物は、例えば繊維、織物、紙、建
材、コンクリート、ガラス、タイルその他のセラミック
ス、金属その他の無機物、合成及び天然樹脂等に抗菌防
黴性を付与することができる。
【0002】
【従来の技術】例えば、靴下などの繊維製品や、壁紙、
外壁材、タイル目地、塗料などの建築関連材料などにお
いて、持続的な抗菌性を付与するという要請が強まって
きている。このような抗菌性付与手段として、例えば、
合成繊維等に銀のような抗菌性金属を担持した無機粉末
を練り込む方法が提案されている。
【0003】しかし、この方法では、大部分の抗菌剤が
材料の内部に入り込んでしまうため、抗菌剤の利用効率
が低く、その効果も低下する。また、抗菌剤の練り込み
という処理では、抗菌処理が可能な材料の種類が限定さ
れ、天然繊維などには応用できないといった問題があ
る。さらに、銀イオンは人体に有害であるとされ、これ
が溶出して抗菌効果が発現されることは好ましいことで
はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、種々
の材料に表面処理することにより好ましい抗菌性を付与
することができ、有害な薬剤成分が溶出せず、効果の持
続性が高い、抗菌防黴性を付与するための表面処理組成
物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは先に、前述
した欠点を持たない抗菌性付与手段を開発する目的で研
究を進めた結果、ビグアニジル基を有するアルコキシシ
ラン化合物が高い抗菌作用を示し、この化合物を水また
は有機溶媒に溶解させた溶液を用いて材料を表面処理す
ることにより、材料に抗菌防黴性を付与することができ
ることを提案した (特願平4−359589号) 。
【0006】ビグアニジル基を有するアルコキシシラン
化合物の溶液で材料を表面処理すると、アルコキシ基が
加水分解して、ビグアニジル基を有するシロキサン結合
からなるシリコーン系被膜が材料表面に形成される。こ
の被膜は、そのポリシロキサン骨格に結合したビグアニ
ジル基により、抗菌防黴性を材料に付与することができ
る。
【0007】この表面処理による方法では、抗菌剤が材
料内部に取り込まれることはないので、少量の抗菌剤で
効率的に抗菌防黴性を付与できる。しかし、この方法に
よって持続的な抗菌性を得るためには、材料表面にアル
コキシシリル基と結合する反応点 (例、OH基、COOH基
等) が必要であり、このことから処理可能な材料は繊維
やガラス等に限定され、このような反応点を全く或いは
ほとんど持たない合成樹脂 (例、オレフィン系またはビ
ニル系樹脂) 等への適用は困難であった。また、繊維や
ガラスを表面処理した場合でも、材料表面への被膜の結
合力が十分ではないため、抗菌防黴効果の持続性は必ず
しも満足すべき水準に達していなかった。
【0008】一方、本発明者らは別にビグアニジル基を
有するポリシロキサン化合物による表面処理によって
も、材料に好ましい抗菌防黴性を付与し得ることを提案
しているが (特願平4−359590号) 、このシリコーン型
化合物も材料への結合性が低いため用途が限られてい
た。
【0009】本発明者らは、ビグアニジル基を有するア
ルコキシシランまたはポリシロキサン化合物の持つ抗菌
防黴効果を生かして、合成樹脂を含む幅広い材料に対し
て持続的に抗菌防黴性を付与することが可能となる手段
について探究した。その結果、これにビグアニジル基を
持たない架橋性のアルコキシド化合物または有機樹脂を
混合して表面処理を行うことで、上記目的が達成できる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0010】ここに、本発明は下記の(1) および(2) を
要旨とする。 (1) (イ) 少なくとも2個のアルコキシ基を有するケイ
素、チタンおよびジルコニウム化合物から選ばれた成分
100 重量部、ならびに(ロ) ビグアニジル基を有するアル
コキシシランおよび/またはポリシロキサン0.01〜500
重量部を必須成分とし、所望により任意成分として、
(ハ) アルコール10〜10000 重量部、(ニ) 架橋促進剤50重
量部以下、(ホ) 有機樹脂100 重量部以下、および(ヘ) 水
50重量部以下から選ばれた1種もしくは2種以上をさら
に含有していてもよい、材料表面に抗菌防黴性を付与す
るための表面処理組成物、ならびに (2) (イ')有機樹脂100 重量部、(ロ')ビグアニジル基を有
するアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン0.
01〜500 重量部、ならびに(ハ')溶媒10〜10000 重量部を
含有することを特徴とする、材料表面に抗菌防黴性を付
与するための表面処理組成物。
【0011】この(1) および(2) のいずれの表面処理組
成物も、繊維、プラスチック、建材、ガラス、セラミッ
ク、金属を含む各種の材料に対して、浸漬や噴霧などの
適当な表面処理手段により抗菌防黴性を付与することが
できる。
【0012】
【作用】本発明の上記(1) の表面処理組成物についてま
ず説明する。この表面処理組成物(1) は、(イ) 少なくと
も2個のアルコキシ基を有するケイ素、チタンおよびジ
ルコニウム化合物から選ばれたアルコキシド化合物と、
(ロ)ビグアニジル基を有するアルコキシシランまたはポ
リシロキサン、という2種類の必須成分を含有する。こ
のうち、ビグアニジル基を含有する成分(ロ) が抗菌防黴
効果を発揮する抗菌剤成分である。
【0013】しかし、この抗菌剤成分(ロ) 単独では、こ
の成分がアルコキシシランである場合には、比較的大き
なビグアニジル基の立体障害作用もあってアルコキシシ
リル基部分と材料表面との強固な結合が生じにくく、ま
たアルコキシ基の加水分解によるアルコキシシランどう
しの架橋性も小さいため、単独では膜を生成しにくい。
一方、成分(ロ) がポリシロキサンである場合には、もと
もと材料との反応性が低く、材料と強固に結合させるこ
とが困難である。そのため、本発明では、材料との反応
性がより高い成分(イ) を製膜成分として併用することに
より、この成分(イ) がまず材料表面と結合し、この成分
(イ) を介して成分(ロ) を結合させるか、或いは成分(イ)
の膜内に成分(ロ) を閉じ込めることで、材料表面にビグ
アニジル基を含むシロキサン構造を導入し、抗菌防黴性
を示す膜を製膜するのである。
【0014】抗菌剤成分(ロ) を抗菌性を持たないアルコ
キシド成分(イ) と一緒に製膜することによって、成分
(ロ) 単独では強固に結合させることが困難であった、例
えば合成樹脂等の反応点を持たない材料にも抗菌性を付
与することが可能となり、また、ガラスのように反応点
の少ない材料に対しても抗菌剤成分の結合量を増大させ
ることができるため、抗菌力を高めることができる。さ
らに、不溶性の膜が材料表面に強固に結合するため、抗
菌効果の持続性が高く、有害成分が溶出しにくいという
利点がある。
【0015】本発明において使用する成分(イ) は、少な
くとも2個のアルコキシ基、好ましくはC1〜C5アルコキ
シ基を有するケイ素、チタンおよびジルコニウム化合物
から選ばれた架橋性のアルコキシド化合物である。ケイ
素化合物、即ち少なくとも2個のアルコキシ基を有する
シラン化合物が、成分(ロ) との反応性が高いことから特
に好ましい。
【0016】成分(イ) として有用なアルコキシシラン化
合物の例には、テトラメトキシシラン、メチルトリメト
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラ
エトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフ
ェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラ
ン等;ならびにシランカップリング剤として知られる、
官能基を有するアルコキシシラン化合物、例えば、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
などが挙げられ、特にテトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシランが好適である。
【0017】また、成分(イ) として使用できる少なくと
も2個のアルコキシ基を有するチタン化合物およびジル
コニウム化合物の例には、チタニウムテトラエトキシ
ド、チタニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテト
ラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシドなどの
チタン酸およびジルコン酸エステル類がある。
【0018】成分(ロ) として使用するビグアニジル基を
有するアルコキシシランとしては、下記一般式(1) X1X2X3SiY1NHC(=NH)NHC(=NH)NHZ (1) で示されるものが好ましい。このアルコキシシランは、
ビグアニジル基に酸が付加した酸付加塩の形態で使用す
ることもできる。
【0019】上記式中、X1〜X3はC1〜C5アルキル基また
はC1〜C5アルコキシ基を意味し、X1〜X3の少なくとも一
つ、好ましくは二つ以上がC1〜C5アルコキシ基 (例、メ
トキシ基、エトキシ基等) であり、Y1はC1〜C20 アルキ
レン基を意味し、Zは水素、C1〜C20 アルキル基、また
はフェニル基 (フェニル基はハロゲン、アルキル基、フ
ルオロアルキル基およびアルコキシ基から選択される基
で置換されていてもよい) を意味する。
【0020】このようなビグアニジル基含有アルコキシ
シランの具体例としては、次式で示される化合物が例示
される。 (C2H5O)3Si(CH2)3NHC(=NH)NHC(=NH)NHZ・HCl (1A) Zはフェニル、p-クロロフェニル、p-メチルフェニル、
p-トリフロロメチルフェニル、n-プロピル、またはn-オ
クチルを意味する。
【0021】成分(ロ) として使用可能な別の化合物は、
ビグアニジル基を含有するポリシロキサンである。この
ポリシロキサンは一般式 −XYSiO− で示される構
成単位を有する。ここで、XはC1〜C5アルキル基、Yは
ビグアニジル基を含む1価の基である。
【0022】このようなポリシロキサンの具体例は、下
記一般式(2) または(3) で示されるものである。
【0023】
【化1】
【0024】上記品、l, m, n は1以上の整数であり、
一般式(2) において各反復構成単位はランダムに存在す
る。成分(ロ) として、ビグアニジル基を有するアルコキ
シシランとポリシロキサンとの混合物を使用することも
できる。
【0025】成分(ロ) の成分(イ) に対する混合比は、一
般に成分(イ) 100 重量部に対して成分(ロ) 0.01〜500 重
量部の範囲内である。これより少ないと、表面処理によ
り生成した膜が好ましい抗菌性を発揮しえず、これより
多いと膜の強度や透明性が低下する、あるいは製膜に時
間がかかる等の問題が生じる。
【0026】具体的な成分(ロ) の混合比は、使用する成
分(イ) および(ロ) の種類、表面処理の目的、ならびに表
面処理を受ける材料の種類に応じて上記範囲内で選択す
ることができる。例えば、成分(ロ) がポリシロキサンで
あり、被処理材料が繊維材料である場合には、成分(ロ)
は0.05〜50重量部の範囲内とすることが好ましい。一
方、成分(ロ) がアルコキシシランであり、被処理材料が
ガラスや金属の場合には成分(ロ) を1〜200 重量部混合
することが好ましい。
【0027】抗菌剤成分(ロ) がビグアニジル基含有アル
コキシシランである場合には、一般に溶媒を使用し、溶
媒に成分(イ) および(ロ) を溶解させて本発明の表面処理
組成物を調製する。一方、抗菌剤成分(ロ) がビグアニジ
ル基含有ポリシロキサンである場合には、この成分は液
状であるので、溶媒を使用せず、単に成分(イ) と(ロ)を
混合するだけで表面処理組成物(1) を得ることができる
が、所望により溶媒を使用してもよい。溶媒を使用する
ことで、成分(イ) と成分(ロ) の混合性を高め、また組成
物の粘度を表面処理に適した粘度に調整することができ
る。
【0028】本発明においては、溶媒として成分(イ) と
成分(ロ) の溶解性と安定性に優れたアルコール溶媒(ハ)
を用いる。使用可能なアルコール溶媒の例には、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、
n-ヘキサノール等がある。中でも、メタノールおよびエ
タノールが特に好ましい。
【0029】溶媒の使用量は成分(イ) 100 重量部に対し
て10〜10000 重量部の範囲が適当である。溶媒の量も、
表面処理の目的や方法、成分(ロ) の量などに応じて上記
範囲内で選択することができる。
【0030】本発明の表面処理組成物(1) には、アルコ
ール溶媒以外の他の任意成分も存在させることができ
る。このような任意成分の例には、(ニ) 架橋促進剤50重
量部以下、(ホ) 有機樹脂100 重量部以下、および(ヘ) 水
50重量部以下があり、これらの1種もしくは2種以上を
使用できる。
【0031】架橋促進剤(ニ) は、アルコキシ基の加水分
解による架橋反応を促進する1種の触媒である。このよ
うな架橋促進剤の例としては、塩酸、硝酸等の無機酸
類、酢酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸類、なら
びにアミンやアルカリ等の有機もしくは無機塩基類を挙
げることができる。架橋促進剤を添加する場合、その最
適使用量は架橋促進剤の種類によっても異なるが、一般
に成分(イ) 100 重量部に対して50重量部以下の量で使用
する。
【0032】有機樹脂(ホ) は、表面処理により形成され
た膜の強度を高める、或いは材料への膜の密着性を高め
ることができるので、必要に応じて、アルコキシド成分
(イ)に加えて有機樹脂(ホ) を併用することができる。有
機樹脂としては、塗料に塗膜形成成分として使用可能な
樹脂が使用できる。例えば、アクリルポリマー、メタク
リルポリマー、酢酸ビニルポリマー、ポリビニルアルコ
ールなどが好ましい。有機樹脂の添加量は、成分(イ) 10
0 重量部に対して100 重量部以下、好ましくは50重量部
以下である。100 重量部より多いと、成分(イ) の架橋に
よる膜形成が阻害される。
【0033】前述したように、成分(イ) の膜形成は、ア
ルコキシ基の加水分解による架橋結合により生じる。従
って、水が存在すると、加水分解反応が促進され、膜が
迅速に形成されるので、所望により表面処理組成物に水
(ヘ) を添加してもよい。但し、水が存在しなくても、空
気中の水分によりアルコキシシランの加水分解は十分に
進行する。水を添加する場合、その添加量は成分(イ)100
重量部に対して50重量部までの範囲が適当である。これ
より多いと成分(イ) が分離する等の問題が生じる。
【0034】本発明の表面処理組成物(1) は、前述した
アルコキシド成分(イ) および抗菌剤成分(ロ) 、ならびに
必要であれば任意成分の(ハ) 〜(ヘ) の1種もしくは2種
以上を混合することにより調製される。各成分はいずれ
も2種以上の混合物であってもよい。この表面処理組成
物は、その他の任意添加成分を少量さらに含有していて
もよい。このような添加成分としては、各成分の溶解性
または安定性を高める助剤などがある。
【0035】次に本発明の上記(2) の表面処理組成物に
ついて説明する。この表面処理組成物(2) は、(イ')有機
樹脂と、(ロ')ビグアニジル基を有するアルコキシシラン
またはポリシロキサンという2種類の製膜成分を含有
し、表面処理により材料表面にこれらの成分から形成さ
れた膜が形成される。成分(イ')は、使用する樹脂種に応
じて、単に乾燥により、或いは架橋硬化により膜を形成
することができる。一方、成分(ロ')は、ビグアニジル基
による抗菌効果を発揮する抗菌剤成分であるが、同時に
シロキサン結合からなる膜を形成しうる製膜性も備えて
いる。
【0036】前述したように、抗菌剤成分(ロ')単独では
膜を生成しにくいか、材料と膜との反応性が低く、抗菌
効果の持続性が期待できないので、材料との反応性が高
い成分(イ')を製膜成分として併用する。この場合も、成
分(イ')がまず材料表面と結合し、この成分(イ')を介して
成分(ロ) を結合させるか、或いは成分(イ')の膜内に成分
(ロ')を閉じ込めることで、材料表面にビグアニジル基を
含むシロキサン構造を導入し、抗菌防黴性を示す膜を製
膜するのである。その結果、合成樹脂等の反応点を持た
ない材料にも抗菌性を付与することが可能となり、ガラ
スのように反応点の少ない材料に対しても抗菌剤成分の
結合量の増大により抗菌力を高めることができる。さら
に、水不溶性の膜が材料表面に強固に結合するため、抗
菌効果の持続性が高く、有害成分が溶出しにくいという
利点もある。
【0037】本発明において使用する成分(イ')は、使用
する溶媒成分(ハ')に溶解ないし分散可能な有機樹脂であ
る。好ましくは、この有機樹脂は成分(ロ')のアルコキシ
ル基と反応性の極性官能基を有している。この有機樹脂
は、有機溶媒溶液、水溶液、または有機溶媒系もしくは
水系エマルジョンの状態で使用することができる。
【0038】好適な有機樹脂成分(イ')の例としては、ア
クリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などが
挙げられる。必要であれば、成分(イ')に架橋剤を併用す
ることができる。
【0039】表面処理組成物(2) における成分(ロ')は、
ビグアニジル基を有するアルコキシシランおよび/また
はポリシロキサンであり、これは表面処理組成物(1) に
関して述べた成分(ロ) と同様のものでよい。
【0040】表面処理組成物(2) において、成分(ロ')の
成分(イ')に対する混合比は、一般に成分(イ') 100重量部
に対して成分(ロ')0.01〜500 重量部の範囲内である。こ
れより少ないと、表面処理により生成した膜が好ましい
抗菌性を発揮しえず、これより多いと膜の強度や透明性
が低下する、あるいは製膜に時間がかかる等の問題が生
じる。
【0041】具体的な成分(ロ')の混合比は、使用する成
分(イ')および(ロ')の種類、表面処理の目的、および表面
処理を受ける材料の種類に応じて上記範囲内で選択する
ことができる。例えば、成分(ロ')がポリシロキサンであ
り、被処理材料が繊維材料である場合には、成分(ロ')は
0.01〜20重量部の範囲内とすることが好ましい。一方、
成分(ロ')がアルコキシシランであり、被処理材料がガラ
スや金属の場合には成分(ロ')を1〜500 重量部の量で混
合することが好ましい。
【0042】成分(イ')と成分(ロ')を溶解させる溶媒(ハ')
としては、これらの両成分を溶解ないし分散させること
ができる1種もしくは2種以上の任意の有機溶媒が使用
できる。使用可能な溶媒の例には、メタノール、エタノ
ール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノー
ル等のアルコール類、トルエン、キシレンなどの炭化水
素系溶媒、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン
系溶媒などがある。中でも、メタノール、エタノールな
どの低級アルコール、キシレン、イソホロンが、成分
(イ) および(ロ) の溶解性と安定性に優れていることから
好ましい。
【0043】溶媒(ハ')の使用量は成分(イ') 100重量部に
対して10〜10000 重量部の範囲が適当である。これより
少ないと成分(イ')と成分(ロ')の混合性が低下し、これよ
り多いと表面処理により得られる膜の厚みの制御が難し
く、抗菌性等の特性が低下することがある。溶媒の量
も、表面処理の目的や方法、成分(ロ')の量などに応じて
上記範囲内で選択することができる。
【0044】成分(ロ')がアルコキシシラン型化合物であ
る場合、この成分はアルコキシ基の加水分解を経てシロ
キサン結合からなる膜を形成するので、水が存在すると
加水分解反応が促進され、膜が迅速に形成される。従っ
て、使用する有機溶媒がアルコールのように水混和性溶
媒である場合には、溶媒に加えて少量の水をこの表面処
理組成物(2) に添加してもよい。但し、水が存在しなく
ても、空気中の水分によりアルコキシシランの加水分解
は十分に進行するので、水の添加は必須ではない。水を
添加する場合、その添加量は(イ')成分100 重量部に対し
て50重量部までの範囲が適当である。これより多いと、
溶媒使用量が少ない時に(イ')成分が分離する等の問題が
生じる。
【0045】この表面処理組成物(2) は、有機樹脂成分
(イ')およびビグアニジル基含有アルコキシシラン成分
(ロ')を溶媒(ハ')に溶解ないし分散させることにより調製
される。各成分はいずれも2種以上の混合物であっても
よい。この表面処理組成物は、その他の任意添加成分を
少量さらに含有していてもよい。このような添加成分と
しては、アルコキシシランの架橋促進触媒 (例、塩酸な
どの酸) 、界面活性剤がある。
【0046】本発明の上記(1) および(2) の抗菌性表面
処理組成物は、いずれもガラス、金属、合成または天然
樹脂、繊維や織物、紙、コンクリート等の建材、セラミ
ックなどの種々の材料の表面処理に適用することができ
る。特に、合成樹脂や金属は表面の反応性の低さから従
来は表面処理による抗菌剤の適用が困難であったが、本
発明の表面処理組成物は、合成樹脂のような表面反応性
が低い材料に対しても表面処理という効率的かつ簡便な
手段によって確実に抗菌性を付与することができる点で
有利である。しかも、材料の種類によらず抗菌性を有す
る膜が材料表面に強固に結合するため、膜が剥がれにく
く、抗菌防黴効果が持続する。
【0047】本発明の表面処理組成物による材料の処理
は、浸漬、噴霧、塗布などの通常の表面処理方法で実施
すればよい。また、処理した後に、加熱乾燥することが
生成した膜の材料への結合を強固にする上で有効であ
る。本発明の表面処理組成物を用いた処理により材料表
面に生成した膜は、成分(ロ) または(ロ')に由来するビグ
アニジル基を含有し、この基により膜が抗菌防黴性を発
揮することができる。
【0048】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらは本発明を限
定するものではない。
【0049】(実施例1)前記一般式(1A)において、Zが
p-クロロフェニルであるビグアニジル基含有アルコキシ
シラン1.0 g、テトラエトキシシラン9.0 g、メタノー
ル90g、水10.0g、および1N塩酸0.1 gを混合し、表
面処理組成物 (以下、処理液という) を調製した。この
処理液に25×65×2 mmのガラスプレートを室温で10秒間
浸漬して、取り出し、100 ℃で10分間乾燥した。
【0050】こうして表面処理されたガラスプレートを
200 mlの水中に一晩浸漬した後、取り出し、100 ℃で10
分間乾燥した後、滅菌済容器に入れ、菌懸濁液 [試験
菌:クレブシエラ・ニューモニエ (Klebsiella pneumon
iae)] 0.1 ml (菌数:約 2.0×107 個/ml)を接種し、恒
温培養器内で35℃にて18時間静置培養した。容器に滅菌
水10 ml を加え、振盪して水中に分散した生菌数を測定
したところ、生菌は認められなかった。
【0051】(実施例2)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を、上記一般式(1A)でZがp-トリフルオロメ
チルフェニルである化合物1.0 gに変更した以外は、実
施例1と同様に処理液の調製、ガラスプレートの表面処
理および抗菌試験を行った。生菌数を測定した結果、生
菌は認められなかった。
【0052】(比較例1)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を使用しなかった以外は、実施例1および2
と同様に処理液の調製、ガラスプレートの表面処理およ
び抗菌試験を行った。生菌数を測定したところ、 3.7×
107 個/ml であった。
【0053】(実施例3)実施例1で使用したのと同じ、
Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル
基含有アルコキシシラン1.0 g、テトラメトキシシラン
19.0g、メタノール80g、水4.0 g、および1N塩酸0.
1 gを混合し、処理液を調製した。この処理液を50×50
×2 mmのアクリル板に2回繰り返して噴霧し、100 ℃で
10分間乾燥した。得られたアクリル板について、実施例
1と同様に抗菌試験を行ったところ、生菌は認められな
かった。
【0054】(比較例2)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を使用しなかった以外は、実施例3と同様に
処理液の調製、アクリル板の表面処理および抗菌試験を
行った。生菌数を測定したところ、 4.1×107 個/ml で
あった。
【0055】(実施例4)実施例1で使用したZがp-クロ
ロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル基含有アル
コキシシラン10.0g、テトラエトキシシラン15.0g、メ
タノール70g、水5.0 g、および1N塩酸0.2 gを混合
し、処理液を調製した。この処理液を25×65×2 mmのガ
ラスプレートに繰り返し4回噴霧し、100 ℃で10分間乾
燥した。
【0056】得られたガラスプレートを200 mlの水中に
一晩浸漬した後、取り出し、100 ℃で10分間乾燥した
後、ポテトデキストロース寒天培地上に置き、黴の胞子
液0.1ml [試験菌:アスペルギルス・ニガー(Aspergillu
s niger) 、胞子数:約 2.0×104 個/ml]を摂取して、3
0℃で2週間培養後、黴の発育状態を観察したところ、
ガラス上に黴は発育せず、当初の美観を維持していた。
【0057】(実施例5)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を、上記一般式(1A)でZがn-オクチルである
化合物10.0gに変更した以外は、実施例4と同様に処理
液の調製、ガラスプレートの表面処理および防黴試験を
行った。その結果、ガラス上に黴は発育せず、当初の美
観を維持していた。
【0058】(比較例3)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を使用しなかった以外は、実施例4および5
と同様に処理液の調製、ガラスプレートの表面処理およ
び防黴試験を行った。その結果、2週間後にガラスの全
面に黴の発育が認められた。
【0059】(実施例6)実施例1で使用したのと同じ、
Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル
基含有アルコキシシラン2.0 g、テトラエトキシシラン
10.0g、メタノール90g、1N塩酸2.0 g、およびアク
リルポリマーエマルション (樹脂分30重量%含有) 4.0
gを混合し、処理液を調製した。
【0060】この処理液を50×50×2 mmのアクリル板に
2回繰り返して噴霧し、80℃で10分間乾燥した。得られ
たアクリル板について、実施例1と同様に抗菌試験を行
ったところ、生菌は認められなかった。
【0061】(比較例4)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を使用しなかった以外は、実施例6と同様に
処理液の調製、アクリル板の表面処理および抗菌試験を
行った。生菌数を測定したところ、 3.4×107 個/ml で
あった。
【0062】(実施例7)実施例1で使用したのと同じ、
Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル
基含有アルコキシシラン1.0 g、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン9.0 g、エタノール20g、水2.0 を混
合し、処理液を調製した。この処理液に50×50 mm のナ
イロン繊維布を室温で10秒間浸漬し、取り出した後、10
0 ℃で10分間乾燥した。
【0063】こうして表面処理したナイロン繊維布を20
0 mlの水中で1時間ゆっくり攪拌した後、取り出し、再
び100 ℃で10分間乾燥した後、滅菌済容器に入れ、菌懸
濁液[試験菌:クレブシエラ・ニューモニエ] 0.1 ml
(菌数:約 2.0×107 個/ml)を接種し、恒温培養器内で3
5℃、18時間静置培養した。容器に滅菌水10 ml を加
え、振盪して水中に分散した生菌数を測定したところ、
生菌は認められなかった。
【0064】(比較例5)γ−アミノプロピルトリエトキ
シシランを使用しなかった以外は、実施例7と同様に処
理液の調製、ナイロン繊維布の表面処理および抗菌試験
を行った。生菌数を測定したところ、 6.3×107 個/ml
であった。
【0065】(実施例8)実施例1で使用したのと同じ、
Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル
基含有アルコキシシラン1.0 g、ジルコニウムテトラエ
トキシド4.0 g、エタノール20gを混合し、処理液を調
製した。この処理液を50×50 mm のアルミ箔に2回繰り
返して噴霧し、室温で1夜放置した。
【0066】こうして表面処理したアルミ箔を200 mlの
水中に一晩浸漬した後、取り出し、100 ℃で10分間乾燥
した後、滅菌済容器に入れ、菌懸濁液 [試験菌:クレブ
シエラ・ニューモニエ] 0.1 ml (菌数:約 2.0×107
/ml)を接種し、恒温培養器内で35℃、18時間静置培養し
た。容器に滅菌水10 ml を加え、振盪して水中に分散し
た生菌数を測定したところ、生菌は認められなかった。
【0067】(比較例6)ジルコニウムテトラエトキシド
を使用しなかった以外は、実施例8と同様に処理液の調
製、アルミ箔の表面処理および抗菌試験を行った。生菌
数を測定したところ、 3.2×107 個/ml であった。
【0068】(実施例9)前記一般式(2) においてRがp-
クロロフェニルであるビグアニジル基含有ポリシロキサ
ン1.0 g、テトラエトキシシラン9.0 g、エタノール10
gを混合し、処理液を調製した。この処理液に50×50 m
m のナイロン繊維布を室温で10秒間浸漬し、取り出した
後、100 ℃で10分間乾燥した。
【0069】このように処理したナイロン繊維布を200
mlの水中で1時間ゆっくり攪拌した後、取り出し、再び
100 ℃で10分間乾燥した後、滅菌済容器に入れ、菌懸濁
液 [試験菌:クレブシエラ・ニューモニエ] 0.1 ml (菌
数:約 2.0×107 個/ml)を接種し、恒温培養器内で35
℃、18時間静置培養した。容器に滅菌水10 ml を加え、
振盪して水中に分散した生菌数を測定したところ、生菌
は認められなかった。
【0070】(比較例7)テトラエトキシシランを使用し
なかった以外は、実施例9と同様に処理液の調製、ナイ
ロン繊維布の表面処理および抗菌試験を行った。生菌数
を測定したところ、 4.9×107 個/ml であった。
【0071】(実施例10)上記一般式(1A)においてZ
がp-クロロフェニルであるビグアニジル基含有アルコキ
シシラン1.0 g、アクリル樹脂9.0 g、メタノール5
g、およびキシレン5gを混合し、表面処理組成物 (以
下、処理液という) を調製した。この処理液を25×65×
2 mmのガラスプレートの全面に塗布し、100 ℃で10分間
乾燥して、表面に膜を形成した。
【0072】こうして表面処理したガラスプレートを20
0 mlの水中に一晩浸漬し、取り出して100 ℃で10分間乾
燥した後、滅菌済容器に入れ、菌懸濁液 [試験菌:黄色
ブドウ球菌(Staphylococcus aureus ATCC 6538)] 0.1 m
l(菌数:約 2.0×106 個/ml)を接種し、恒温培養器内で
35℃、18時間静置培養した。容器に滅菌水10 ml を加
え、振盪して、水中に分散した生菌数を測定したとこ
ろ、生菌は認められなかった。
【0073】(実施例11)ビグアニジル基含有アルコ
キシシラン成分を、上記一般式(1A)でZがp-トリフルオ
ロメチルフェニルである化合物1.0 gに変更した以外
は、実施例10と同様に処理液の調製、ガラスプレートの
表面処理および抗菌試験を行った。生菌数を測定した結
果、生菌は認められなかった。
【0074】(比較例8)ビグアニジル基含有アルコキシ
シラン成分を使用しなかった以外は、実施例10と同様に
処理液の調製、ガラスプレートの表面処理および抗菌試
験を行った。生菌数を測定したところ、 3.7×106 個/m
l であった。
【0075】(比較例9)アクリル樹脂成分を使用しなか
った以外は、実施例10と同様に処理液の調製、ガラスプ
レートの表面処理および抗菌試験を行った。生菌数を測
定したところ、6.7×104 個/ml であった。
【0076】(実施例12)実施例10で使用したのと同
じ、Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニ
ジル基含有アルコキシシラン1.0 g、酢酸ビニル樹脂1
9.0g、メタノール10g、およびイソホロン10gを混合
し、処理液を調製した。
【0077】この処理液を50×50×2 mmのアクリル板に
塗布し、100 ℃で10分間乾燥した。得られたアクリル板
について、実施例10と同様に抗菌試験を行ったところ、
生菌は認められなかった。
【0078】(比較例10)ビグアニジル基含有アルコキ
シシラン成分を使用しなかった以外は、実施例12と同様
に処理液の調製、アクリル板の表面処理および抗菌試験
を行った。生菌数を測定したところ、 3.6×106 個/ml
であった。
【0079】(実施例13)前記一般式(2) においてRが
p-クロロフェニルであるビグアニジル基含有ポリシロキ
サン1.0 g、アクリル樹脂9.0 g、メタノール5g、お
よびキシレン5gを混合し、処理液を調製した。この処
理液を用いて、実施例10と同様にガラスプレートの塗布
および抗菌試験を行った。生菌数を測定した結果、生菌
は認められなかった。
【0080】(比較例11)ビグアニジル基含有ポリシロ
キサン成分を使用しなかった以外は、実施例13と同様に
処理液の調製、ガラスプレートの表面処理および抗菌試
験を行った。生菌数を測定したところ、 3.1×106 個/m
l であった。
【0081】(実施例14)実施例10で使用したのと同じ
Zがp-クロロフェニルである一般式(1A)のビグアニジル
基含有アルコキシシラン10.0g、アクリル樹脂15.0g、
メタノール20g、およびキシレン20gを混合し、処理液
を調製した。この処理液を25×65×2 mmのガラスプレー
トに塗布し、100 ℃で10分間乾燥した。
【0082】こうして表面処理したガラスプレートを、
水中に一晩浸漬し、100 ℃で10分間乾燥した後、ポテト
デキストロース寒天培地上に置き、黴の胞子液0.1 ml
[試験菌:アスペルギルス・ニガー、胞子数:約 2.0×1
05 個/ml]を接種して、30℃で2週間培養後、黴の発育
状態を観察したところ、ガラス上に黴は発育せず、当初
の美観を維持していた。
【0083】(実施例15)ビグアニジル基含有アルコキ
シシラン成分を、上記一般式(1A)でZがn-オクチルであ
る化合物10.0gに変更した以外は、実施例14と同様に処
理液の調製、ガラスプレートの表面処理および防黴試験
を行った。その結果、ガラス上に黴は発育せず、当初の
美観を維持していた。
【0084】(比較例12)ビグアニジル基含有アルコキ
シシラン成分を使用しなかった以外は、実施例14および
15と同様に処理液の調製、ガラスプレートの表面処理お
よび防黴試験を行った。その結果、2週間後にガラスの
全面に黴の発育が認められた。
【0085】(比較例13)アクリル樹脂成分を使用しな
かった以外は、実施例14と同様に処理液の調製、ガラス
プレートの表面処理および防黴試験を行った。その結
果、2週間後にガラス面積の6割以上に黴の発育が認め
られた。
【0086】(実施例16)前記一般式(2) においてRが
p-クロロフェニルであるビグアニジル基含有ポリシロキ
サン10g、アクリル樹脂15g、メタノール20g、および
キシレン20gを混合し、処理液を調製した。この処理液
を用いて、実施例15と同様にガラスプレートの塗布およ
び防黴試験を行った。その結果、ガラス上に黴は発育せ
ず、当初の美観を維持していた。
【0087】(比較例14)アクリル樹脂成分を使用しな
かった以外は、実施例16と同様に処理液の調製、ガラス
プレートの表面処理および防黴試験を行った。その結
果、2週間後にガラス面積の3割以上に黴の発育が認め
られた。
【0088】
【発明の効果】本発明の表面処理組成物は、ガラス、セ
ラミック、天然樹脂および繊維、紙、木材を始めとし
て、従来は抗菌防黴性を付与することが困難であった合
成樹脂および繊維、金属のような材料も含む種々の材料
に対して、表面処理という抗菌剤の利用効率が高く、か
つ簡便な手段で好ましい抗菌防黴性を付与することがで
きる。この表面処理により抗菌防黴性を有する、材料表
面に結合した架橋構造の膜が形成されるため、表面処理
であるにもかかわらず効果の持続性が高く、また材料表
面から有害な薬剤成分が溶出しないので、安全性も高
い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ) 少なくとも2個のアルコキシ基を有
    するケイ素、チタンおよびジルコニウム化合物から選ば
    れた成分100 重量部、ならびに(ロ) ビグアニジル基を有
    するアルコキシシランおよび/またはポリシロキサン0.
    01〜500 重量部から成る、材料表面に抗菌防黴性を付与
    するための表面処理組成物。
  2. 【請求項2】 さらに(ハ) アルコール10〜10000 重量
    部、(ニ) 架橋促進剤50重量部以下、(ホ) 有機樹脂100 重
    量部以下、および(ヘ) 水50重量部以下から選ばれた1種
    もしくは2種以上の成分を含有する請求項1記載の表面
    処理組成物。
  3. 【請求項3】 (イ')有機樹脂100 重量部、(ロ')ビグアニ
    ジル基を有するアルコキシシランおよび/またはポリシ
    ロキサン0.01〜500 重量部、ならびに(ハ')溶媒10〜1000
    0 重量部を含有することを特徴とする、材料表面に抗菌
    防黴性を付与するための表面処理組成物。
JP5167947A 1993-07-07 1993-07-07 表面処理組成物 Withdrawn JPH0726172A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08295611A (ja) * 1995-04-28 1996-11-12 Takeda Chem Ind Ltd 防カビ剤
JP2004339149A (ja) * 2003-05-15 2004-12-02 Chisso Corp シリコーン変性された抗菌剤及び抗菌性樹脂組成物
CN102212220A (zh) * 2010-04-02 2011-10-12 中国石油化工股份有限公司 一种抗菌聚乙烯组合物及其制备方法

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