JPH07259775A - コンプレッサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロータ間やロータ端面とケーシング間のクリ
アランス調整を容易に、又正確にする。 【構成】 この発明のコンプレッサ９は、ケーシング内
部でタイミングギヤ組を介して同期回転駆動され吸入気
体を圧送するロータ３１，３３と、組付け時にロータ３
１，３３の間及びロータ３１，３３の端面とケージング
との間のクリアランスを所定値に保ち、組付け後に吸入
気体の圧縮熱により溶解されて外部に排出されるスペー
サ７７，７９，８１，８３，８５とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば車両用エンジ
ンの過給機などに用いられるコンプレッサに関する。

【０００２】

【従来の技術】公開実用平成３−５９９３号公報に図５
のような機械式過給機２０１が記載されている。これ
は、エンジンの駆動力により増速ギヤ組２０３とタイミ
ングギヤ組２０５とを介して一対の凸型と凹型のスクリ
ュロータ２０７，２０９を回転駆動し、吸気を加圧して
エンジンを過給する。各ロータ２０７，２０９間及び２
０７，２０９の端面とケージング２１１間には所定のク
リアランスが必要である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このクリアランス調整
はスクリュロータ２０９の軸２１３とタイミングギヤ２
１５とを相対回転させることにより行われるが、その際
図６のような隙間ゲージ２１７を用いて図５の矢印２１
９，２２１のようにロータ２０７，２０９のドライブ側
とドリブン側のクリアランスを所定値に調整し、更に矢
印２２３，２２５のように吸入側と排出側とでロータ２
０７，２０９の端面とケージング２１１間のクリアラン
スを所定値に調整した状態でボルト２２７を締付けて軸
２１３とタイミングギヤ２１５とを固定し、その後、な
らし運転を行う。

【０００４】このように、クリアランス調整作業は非常
に面倒で生産性が悪く、その上クリアランスのばらつき
が大きい。

【０００５】そこで、この発明は、クリアランスの調整
が容易で、ばらつきが少ないコンプレッサの提供を目的
とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】第１発明のコンプレッサ
は、吸入口と排出口とを有するケーシングと、ケーシン
グ内部に配置されたタイミングギヤ組を介して同期回転
駆動され、吸入口から吸入した気体を排出口へ圧送する
一対のロータと、組付け時にロータ間及びロータ端面と
ケーシング間のクリアランスを所定値に保ち、組付け後
に吸入気の圧縮熱により溶解されて排出口から外部に排
出されるスペーサとを備えたことを特徴とする。

【０００７】第２発明のコンプレッサは、請求項１記載
のコンプレッサであって、一対のロータがまゆ型断面の
ロータであることを特徴とする。

【０００８】第３発明のコンプレッサは、請求項１記載
のコンプレッサであって、一対のロータが凸型と凹型の
スクリュロータであることを特徴とする。

【０００９】第４発明のコンプレッサは、請求項１，２
又は３記載のコンプレッサであって、吸気を圧送してエ
ンジンを過給し、吸気の圧縮熱によりスペーサを溶解さ
せることを特徴とする。

【００１０】第５発明のコンプレッサは、請求項１，
２，３又は４記載のコンプレッサであって、スペーサが
ポリエチレンテープであることを特徴とする。

【００１１】

【作用】コンプレッサの組付けに際しては、ロータ間や
ロータ端面とケージング間に配置したスペーサにより所
定のクリアランスが得られ、スペーサを装着したまま組
付けをした後コンプレッサを稼働させると吸入気体の圧
縮熱によりスペーサが溶解して外部に排出される。この
ように、クリアランス調整は極めて簡単であり、ばらつ
きも少ない。

【００１２】

【実施例】図１ないし図４によりこの発明の一実施例を
説明する。下記のように、この実施例のコンプレッサは
請求項３に記載されたスクリュタイプであり、請求項４
に記載されたようにエンジンの過給機として用いられて
いる。以下、左右の方向は図１での左右の方向であり、
符号を与えていない部材等は図示されていない。

【００１３】図１はスーパーチャージャ１を示してい
る。このスーパーチャージャ１は、電磁クラッチ３、増
速ギヤ組５、タイミングギヤ組７、スクリュタイプのエ
アコンプレッサ９（第３，４，５発明のコンプレッサ）
を備えている。

【００１４】電磁クラッチ３は、プーリ１１、電磁コイ
ル１３，アーマチャ１５などを備えている。プーリ１１
はベアリング１７を介してケーシング１９のボス部２１
外周に支承されている。このプーリ１１はベルトを介し
てクランクシャフト側プーリに連結され、エンジンの駆
動力により回転駆動される。

【００１５】増速ギヤ組５の入力軸２３にはフランジ部
材２５がボルト２７で固定されており、アーマチャ１５
は板ばね２９を介してこのフランジ部材２５に連結され
ている。電磁コイル１３を励磁するとアーマチャ１５が
吸引されてプーリ１１に押付けられ、エンジンの駆動力
は入力軸２３を回転させる。又、励磁を停止すると板ば
ね２９によりアーマチャ１５がプーリ１１から離れ、エ
ンジンの駆動力は遮断される。

【００１６】エアコンプレッサは図２のような凸型と凹
型のスクリュロータ３１，３３と、ケーシング３５とを
備えている。凸型ロータ３１は４条の凸部３７を、又凹
型ロータ３３は６条の凹部３９をそれぞれ有し、図３の
ように凸部３７と凹部３９の間に所定のクリアランスを
介して互いに噛合している。ケーシング３５は右端側と
左端側にそれぞれ吸入口と排出口とを備えており、吸入
口にはエアフィルタを介して吸気流路が連結され、排出
口はエンジンの吸気マニホールド側に連結されている。

【００１７】各ロータ３１，３３の左右端にはロータ軸
４１，４３が一体に形成され、左端側の各軸４１，４３
はベアリング４５，４５を介して、又右端側の各軸４
１，４３はベアリング４７，４７を介してケーシング３
５に支承されている。ベアリング４５と各軸４１，４３
の間にはクリアランス調整シム４９，５１が配置され、
各軸４１，４３とケーシング３５の間にはエア洩れを防
ぐシール５３，５５が配置されている。

【００１８】増速ギヤ組５は大径と小径の増速ギヤ５
７，５９で構成され、タイミングギヤ組７は大径と小径
のタイミングギヤ６１，６３で構成されている。上記の
ケーシング１９，３５はボルト６５で一体に固定されて
おり、各ギヤ組５，７はこれらの中に収納されている。

【００１９】増速ギヤ５９とタイミングギヤ６３はキー
６７とボルト６９によりロータ軸４１の左端部に固定さ
れている。又、ロータ軸４３の左端部にはハブ７１が固
定されており、増速ギヤ５７は入力軸２３の右端に一体
形成され、ベアリング７３を介してハブ７１の外周に支
承されている。

【００２０】タイミングギヤ６１はボルト７５，７５に
よりハブ７１に固定されている。ハブ７１とギヤ６１に
設けられたボルト７５用の穴は一方が周方向の長穴にな
っており、下記のように、ロータ３１，３３の間のクリ
アランスを所定値に保った状態でタイミングギヤ６１，
６３の噛合わせを行うことができる。

【００２１】電磁クラッチ３から入力軸２３に入力した
エンジンの駆動力は増速ギヤ組５を介して増速され、タ
イミングギヤ６３からタイミングギヤ組７に入力し、凸
部３７と凹部３９の条数の比だけ凸型ロータ３１を凹型
ロータ３３より高速回転させ、これらを反対方向に同期
回転させる。エアコンプレッサ９は吸気を圧送してエン
ジンに供給する。

【００２２】エアコンプレッサ９各部のクリアランス調
整は次のように行われる。エアコンプレッサ９の組付け
に際して、ロータ３１，３３の間及びロータ３１，３３
の端面とケーシング３５の間には図２、図３のようなス
ペーサ７７，７９，８１，８３，８５が配置される。ス
ペーサ７７，７９は図３のようにロータ３１，３３の間
の回転方向側と反回転方向側にそれぞれ配置されてお
り、回転方向側のスペーサ７７は厚さを約０．２ｍｍ
に、又反回転方向側のスペーサ７９は厚さを約０．１ｍ
ｍにしてある。又、スペーサ８１，８３，８５の厚さは
約０．１ｍｍであり、スペーサ８１はロータ３１，３３
の端面とケーシング３５の間にも配置されている。

【００２３】このように、各部のクリアランスを所定値
に保つ各スペーサを装着したままの状態で、クリアラン
ス調整シム４９，５１の厚さ調整を行い、増速ギヤ５９
とタイミングギヤ６３をキー６７とボルト６９とでロー
タ軸４１に固定する。その後、タイミングギヤ６１をタ
イミングギヤ６３と噛合わせ、これらをボルト７５で固
定する。

【００２４】各スペーサはポリエチレンのテープであ
る。ポリエチレンは加熱すると水と炭酸ガスとに分解さ
れるから、エアコンプレッサ９が稼働すると吸気の圧縮
熱により分解されて排出口から排出され、後には所定値
のクリアランスが残る。

【００２５】各スペーサはそれぞれの形と装着方向など
により次のような特徴を持っている。

【００２６】スペーサ７７はロータ３１，３３の歯幅方
向いっぱいに装着された細長いテープ状のもので、歯幅
方向で均一なクリアランスを得易い。スペーサ７９はス
ペーサ７７より短い短冊状のものであり、スペーサ８１
はドット状のものである。いずれも歯幅方向に配置した
場合、同一の厚さにすれば歯幅方向でクリアランスを均
一にでき、異った厚さのものを配置すれば各部でロータ
３１，３３の熱膨張に対応した異ったクリアランスが得
られる。又、面積の小さいスペーサ８１はロータ３１，
３３の端部に配置可能である。

【００２７】スペーサ８３は歯幅と歯丈に沿った腕８
７，８９をもち、歯面に沿ってむらなく装着できるか
ら、歯幅と歯丈の２方向でクリアランス調整ができる。
スペーサ８５はロータ３１，３３の歯面の回転方向に細
長く配置したもので、回転時の歯当り方向のクリアラン
ス調整ができる。

【００２８】又、スペーサは厚さを部分的に変えてもよ
い。図４に示したスペーサ９１はその一例であり、厚さ
をｔ₁ からｔ₂ まで変化させており、ロータ３１，３３
の歯面形状や当りに対応している。この種のスペーサは
厚さを曲線的に変化させてもよい。

【００２９】スペーサの材質は合成樹脂や合成ゴムなど
であり、熱を受けて溶解し排出され、排出側の機器に害
を与えないものならすべて用いることができる。このよ
うな合成樹脂には、例えばポリエチレンの他に、ポリエ
ステル、塩化ビニル、スチロール、エポキシ、アクリ
ル、ナイロンなどがある。

【００３０】このような熱溶解性のスペーサを用いたこ
とにより、スペーサを挿着し各部を所定のクリアランス
に保った状態で組付けを行うことができるから、クリア
ランス調整は極めて簡単になり、クリアランスのばらつ
きも少ない。

【００３１】ロータはスクリュ型の他に断面がまゆ型の
ものがある。第２発明はこのまゆ型ロータを用いたルー
ツタイプのコンプレッサである。

【００３２】なお、スペーサの溶解に気体の圧縮熱では
不足の場合は、予め適当に加熱した気体を吸気にし圧送
気体の温度を高めてもよい。又、スペーサはロータの必
要個所を広くコーティングして形成してもよい。

【００３３】

【発明の効果】この発明のコンプレッサは、気体の圧縮
熱を受けて溶解し排出されるスペーサをロータ間やロー
タ端面とケーシング間に配置することにより、各部のク
リアランスを所定の値に保ちながら組付けを行えるか
ら、クリアランス調整が極めて簡単であり、クリアラン
スのばらつきも少ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】図１の実施例に用いられたロータの斜視図であ
る。

【図３】図２のロータのＸ方向拡大矢視図である。

【図４】実施例に用いられるスペーサの断面図である。

【図５】従来例の断面図である。

【図６】従来のクリアランス調整に用いられる隙間ゲー
ジを示す図面である。

【符号の説明】

７ タイミングギヤ組 ９ エアコンプレッサ（コンプレッサ） ３１ 凸型スクリュロータ ３３ 凹型スクリュロータ ３５ ケーシング ７７，７９，８１，８３，８５，９１ スペーサ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 吸入口と排出口とを有するケーシング
   と、ケーシング内部に配置されたタイミングギヤ組を介
   して同期回転駆動され、吸入口から吸入した気体を排出
   口へ圧送する一対のロータと、組付け時にロータ間及び
   ロータ端面とケーシング間のクリアランスを所定値に保
   ち、組付け後に吸入気の圧縮熱により溶解されて排出口
   から外部に排出されるスペーサとを備えたことを特徴と
   するコンプレッサ。
2. 【請求項２】 一対のロータがまゆ型断面のロータであ
   る請求項１記載のコンプレッサ。
3. 【請求項３】 一対のロータが凸型と凹型のスクリュロ
   ータである請求項１記載のコンプレッサ。
4. 【請求項４】 吸気を圧送してエンジンを過給し、給気
   の圧縮熱によりスペーサを溶解させる請求項１，２又は
   ３記載のコンプレッサ。
5. 【請求項５】 スペーサがポリエチレンテープである請
   求項１，２，３又は４記載のコンプレッサ。