JPH07258784A - 鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料および高強度Al合金鍛造品の製法 - Google Patents
鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料および高強度Al合金鍛造品の製法Info
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- JPH07258784A JPH07258784A JP5188094A JP5188094A JPH07258784A JP H07258784 A JPH07258784 A JP H07258784A JP 5188094 A JP5188094 A JP 5188094A JP 5188094 A JP5188094 A JP 5188094A JP H07258784 A JPH07258784 A JP H07258784A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋳造性に優れていると共に高強度を達成する
ことのできる鍛造用Al合金材料、および高強度なAl
合金鍛造品を得る為の有用な方法を提供する。 【構成】 Mg:0.5〜1.5%,Si:0.8〜
2.0%,Cu:0.5〜1.0%,Mn:0.4〜
1.5%,Cr:0.1〜0.3%,Ti:0.01〜
0.1%を夫々含有し、残部がAlおよび不可避不純物
からなる。またこうし0化学成分組成を有する鍛造用A
l合金材料の溶湯を用い、凝固過程の冷却速度を2.5
℃/秒以上に制御しつつ連続鋳造した後、500〜54
0℃で均熱処理を施し、引き続き350〜480℃で熱
間鍛造を行なった後、540〜570℃で加熱して溶体
化処理を行ない、更に時効処理を行なう。
ことのできる鍛造用Al合金材料、および高強度なAl
合金鍛造品を得る為の有用な方法を提供する。 【構成】 Mg:0.5〜1.5%,Si:0.8〜
2.0%,Cu:0.5〜1.0%,Mn:0.4〜
1.5%,Cr:0.1〜0.3%,Ti:0.01〜
0.1%を夫々含有し、残部がAlおよび不可避不純物
からなる。またこうし0化学成分組成を有する鍛造用A
l合金材料の溶湯を用い、凝固過程の冷却速度を2.5
℃/秒以上に制御しつつ連続鋳造した後、500〜54
0℃で均熱処理を施し、引き続き350〜480℃で熱
間鍛造を行なった後、540〜570℃で加熱して溶体
化処理を行ない、更に時効処理を行なう。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造時に割れを発生す
ることのない様な鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料、
およびその様なAl合金材料を用いて高強度のAl合金
鍛造品を製造する為の有用な方法に関するものである。
ることのない様な鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料、
およびその様なAl合金材料を用いて高強度のAl合金
鍛造品を製造する為の有用な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から自動車用鍛造部品の素材として
は、鉄系金属材料が使用されているが、最近では燃費向
上などを目的とした自動車の軽量化に対応すべく、鉄系
金属材料に代わるものとして、軽量なアルミニウム合
金、特に高強度が得られるAl−Mg−Si合金の研究
開発が行なわれている。この合金種は、熱間鍛造後T6
等の時効処理を行うことによって、強度を向上させるこ
とができる。その代表的な合金種の1つとしては、60
61合金が知られており、ある程度の強度が得られてお
り、自動車足廻り部分として適していると言われてい
る。しかしながら従来のAl合金を用いたものでは、下
記に示す様な問題が指摘されている。即ち、自動車用足
廻り部品を製造するに際しては、その製造コストを下げ
るために、最終製品にできるだけ近い形状に鋳造するい
わゆる異形鋳造法が適用されることがあるが、前記の様
な6061合金を用いると鋳造割れが発生することがあ
って鋳造性に問題があり、その改善が強く望まれてい
る。
は、鉄系金属材料が使用されているが、最近では燃費向
上などを目的とした自動車の軽量化に対応すべく、鉄系
金属材料に代わるものとして、軽量なアルミニウム合
金、特に高強度が得られるAl−Mg−Si合金の研究
開発が行なわれている。この合金種は、熱間鍛造後T6
等の時効処理を行うことによって、強度を向上させるこ
とができる。その代表的な合金種の1つとしては、60
61合金が知られており、ある程度の強度が得られてお
り、自動車足廻り部分として適していると言われてい
る。しかしながら従来のAl合金を用いたものでは、下
記に示す様な問題が指摘されている。即ち、自動車用足
廻り部品を製造するに際しては、その製造コストを下げ
るために、最終製品にできるだけ近い形状に鋳造するい
わゆる異形鋳造法が適用されることがあるが、前記の様
な6061合金を用いると鋳造割れが発生することがあ
って鋳造性に問題があり、その改善が強く望まれてい
る。
【0003】こうしたことから、例えば特開平5−96
37号では、P,Si等の合金元素の含有量を調整する
と共に、共晶Siを微細化することによって、鋳造性を
確保しつつ前記6061合金に匹敵する機械的強度を有
する鍛造用アルミニウム合金が提案されている。
37号では、P,Si等の合金元素の含有量を調整する
と共に、共晶Siを微細化することによって、鋳造性を
確保しつつ前記6061合金に匹敵する機械的強度を有
する鍛造用アルミニウム合金が提案されている。
【0004】ところで最近の傾向として、更なる軽量化
を図るという観点から、Al合金鍛造品の高強度化が強
く望まれる様になっている。こうした観点から、上記の
技術を検討すると、依然として不十分であるということ
がわかった。即ち、上記の鍛造用アルミニウム合金で
は、P,Si等の他、Bを必須成分として含み、更にN
a,Sr,Sb,Ca等の合金元素を含むものであり、
それでも強度的には不十分であり、更なる向上が望まれ
ている。
を図るという観点から、Al合金鍛造品の高強度化が強
く望まれる様になっている。こうした観点から、上記の
技術を検討すると、依然として不十分であるということ
がわかった。即ち、上記の鍛造用アルミニウム合金で
は、P,Si等の他、Bを必須成分として含み、更にN
a,Sr,Sb,Ca等の合金元素を含むものであり、
それでも強度的には不十分であり、更なる向上が望まれ
ている。
【0005】こうしたことから、強度向上を図った鍛造
用Al合金として、例えば特開平5−59477号に
は、Cu,Cr,Mn,Zr等の合金元素の含有量を総
合的に調整することによって、マトリックスの強度向上
を図った技術が提案されている。しかしながら、この技
術においては、Mnは再結晶粒微細化効果の目的で含有
されており、Al−Mn−Cr系化合物として析出して
伸びが低下することを防ぐ為にMnとCrの総含有量を
抑えているため、Mnの固溶強化の効果が発揮できず、
強度向上に限界があった。また高強度な鍛造用Al合金
を製造するための条件についても確立されていないのが
実情である。
用Al合金として、例えば特開平5−59477号に
は、Cu,Cr,Mn,Zr等の合金元素の含有量を総
合的に調整することによって、マトリックスの強度向上
を図った技術が提案されている。しかしながら、この技
術においては、Mnは再結晶粒微細化効果の目的で含有
されており、Al−Mn−Cr系化合物として析出して
伸びが低下することを防ぐ為にMnとCrの総含有量を
抑えているため、Mnの固溶強化の効果が発揮できず、
強度向上に限界があった。また高強度な鍛造用Al合金
を製造するための条件についても確立されていないのが
実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした従
来技術の有する課題を解決する為になされたものであっ
て、その目的は、鋳造性に優れていると共に高強度を達
成することのできる鍛造用Al合金材料、および高強度
なAl合金鍛造品を得る為の有用な方法を提供すること
にある。
来技術の有する課題を解決する為になされたものであっ
て、その目的は、鋳造性に優れていると共に高強度を達
成することのできる鍛造用Al合金材料、および高強度
なAl合金鍛造品を得る為の有用な方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の鍛造用Al合金材料とは、Mg:0.5〜1.5
%,Si:0.8〜2.0%,Cu:0.5〜1.0
%,Mn:0.4〜1.5%,Cr:0.1〜0.3
%,Ti:0.01〜0.1%を夫々含有し、残部がA
lおよび不可避不純物からなる点に要旨を有するもので
ある。
発明の鍛造用Al合金材料とは、Mg:0.5〜1.5
%,Si:0.8〜2.0%,Cu:0.5〜1.0
%,Mn:0.4〜1.5%,Cr:0.1〜0.3
%,Ti:0.01〜0.1%を夫々含有し、残部がA
lおよび不可避不純物からなる点に要旨を有するもので
ある。
【0008】また上記目的を達成し得た製法とは、上記
の様な化学成分組成を有する鍛造用Al合金材料の溶湯
を用い、凝固過程の冷却速度を2.5℃/秒以上に制御
しつつ連続鋳造した後、500〜540℃で均熱処理を
施し、引き続き350〜480℃で熱間鍛造を行なった
後、540〜570℃で加熱して溶体化処理を行ない、
更に時効処理を行なう点に要旨を有するものである。
の様な化学成分組成を有する鍛造用Al合金材料の溶湯
を用い、凝固過程の冷却速度を2.5℃/秒以上に制御
しつつ連続鋳造した後、500〜540℃で均熱処理を
施し、引き続き350〜480℃で熱間鍛造を行なった
後、540〜570℃で加熱して溶体化処理を行ない、
更に時効処理を行なう点に要旨を有するものである。
【0009】
【作用】本発明者らは、鍛造用Al合金材料の鍛造性を
損なうことなく強度を向上させることのできる要件につ
いて、様々な角度から検討した。その結果、Bを添加さ
せることなく、Mg,Si,Mn,Cu等の合金元素を
適切且つ厳密に調整すれば、希望する鍛造用Al合金材
料が得られること、およびこの様な鍛造用Al合金材料
を用い、その製造条件を厳密に規定すれば、高強度なA
l合金鍛造品が得られることを見出し、本発明を完成し
た。まず本発明の鍛造用Al合金材料における、化学成
分組成の限定理由は下記の通りであるが、該Al合金材
料における最大の特徴は、溶湯の流動性や引け巣性と強
度の両方に優れたSi組成にしたことと、Mn組成を増
やして固溶強化を図ったことである。
損なうことなく強度を向上させることのできる要件につ
いて、様々な角度から検討した。その結果、Bを添加さ
せることなく、Mg,Si,Mn,Cu等の合金元素を
適切且つ厳密に調整すれば、希望する鍛造用Al合金材
料が得られること、およびこの様な鍛造用Al合金材料
を用い、その製造条件を厳密に規定すれば、高強度なA
l合金鍛造品が得られることを見出し、本発明を完成し
た。まず本発明の鍛造用Al合金材料における、化学成
分組成の限定理由は下記の通りであるが、該Al合金材
料における最大の特徴は、溶湯の流動性や引け巣性と強
度の両方に優れたSi組成にしたことと、Mn組成を増
やして固溶強化を図ったことである。
【0010】Mg:0.5〜1.5% Mgは、Mg2 Siによる析出硬化を示し、強度向上に
有効な元素である。その含有量が0.5%未満ではその
効果が十分でなく、また1.5%を超えると延性が低下
する。従ってMg含有量は、0.5〜1.5%とする必
要がある。尚Mgの好ましい含有量は、1.0〜1.4
%程度である。
有効な元素である。その含有量が0.5%未満ではその
効果が十分でなく、また1.5%を超えると延性が低下
する。従ってMg含有量は、0.5〜1.5%とする必
要がある。尚Mgの好ましい含有量は、1.0〜1.4
%程度である。
【0011】Si:0.8〜2.0% Siは、溶湯の流動性や引け巣性を向上させ、鋳造時の
鋳造割れを抑制する元素であるが、0.8%未満ではこ
れらの効果が十分に発揮されず、また2.0%を超える
と粗大な不溶性化合物が不可避的に発生して熱間鍛造性
の低下を招く。従ってSi含有量は、0.8〜2.0%
とする必要がある。尚Siの好ましい範囲は、1.6〜
1.9%であり、より好ましくは1.7〜1.8%であ
る。
鋳造割れを抑制する元素であるが、0.8%未満ではこ
れらの効果が十分に発揮されず、また2.0%を超える
と粗大な不溶性化合物が不可避的に発生して熱間鍛造性
の低下を招く。従ってSi含有量は、0.8〜2.0%
とする必要がある。尚Siの好ましい範囲は、1.6〜
1.9%であり、より好ましくは1.7〜1.8%であ
る。
【0012】Cu:0.5〜1.0%,Mn:0.4〜
1.5% CuおよびMnは強度を向上させる元素であるが、その
含有量がCuで0.5%未満、Mnで0.4%未満では
強度向上に対する効果が十分でない。また、Cuの含有
量が1.0%を超えると耐食性が劣化し、Mnの含有量
が1.5%を超えると延性が低下する。従って、Cuお
よびMnの含有量は、それぞれ0.5〜1.0%,0.
4〜1.5%とする必要がある。尚Cuの好ましい含有
量は0.7〜0.9%程度であり、Mnの好ましい含有
量は0.7〜1.4%程度である。
1.5% CuおよびMnは強度を向上させる元素であるが、その
含有量がCuで0.5%未満、Mnで0.4%未満では
強度向上に対する効果が十分でない。また、Cuの含有
量が1.0%を超えると耐食性が劣化し、Mnの含有量
が1.5%を超えると延性が低下する。従って、Cuお
よびMnの含有量は、それぞれ0.5〜1.0%,0.
4〜1.5%とする必要がある。尚Cuの好ましい含有
量は0.7〜0.9%程度であり、Mnの好ましい含有
量は0.7〜1.4%程度である。
【0013】Cr:0.1〜0.3% Crは、結晶粒を微細化させる元素であるが、その含有
量が0.1%未満ではその効果が十分でなく、また0.
3%を超えて含有されると粗大な不溶性化合物が不可避
的に発生して延性の低下を招く。従って、Crの含有量
は、0.1〜0.3%とする必要がある。
量が0.1%未満ではその効果が十分でなく、また0.
3%を超えて含有されると粗大な不溶性化合物が不可避
的に発生して延性の低下を招く。従って、Crの含有量
は、0.1〜0.3%とする必要がある。
【0014】Ti:0.01〜0.1% Tiは鋳造時の結晶粒を微細化させる元素であるが、そ
の含有量が0.01%未満では微細化の効果が十分でな
く、また0.1%を超えると粗大な不溶性化合物が不可
避的に発生して延性の低下を招く。従って、Ti含有量
は0.01〜0.1%とする必要がある。
の含有量が0.01%未満では微細化の効果が十分でな
く、また0.1%を超えると粗大な不溶性化合物が不可
避的に発生して延性の低下を招く。従って、Ti含有量
は0.01〜0.1%とする必要がある。
【0015】本発明の鍛造用Al合金材料における基本
的な化学成分組成は上記の通りであり、残部はAlおよ
び不可避不純物からなるものであるが、必要によってZ
rを含有させても良い。Zrを含有させるときの適切な
範囲およびその理由は下記の通りである。
的な化学成分組成は上記の通りであり、残部はAlおよ
び不可避不純物からなるものであるが、必要によってZ
rを含有させても良い。Zrを含有させるときの適切な
範囲およびその理由は下記の通りである。
【0016】Zr:0.01〜0.3% Zrは、Crと同様に結晶粒を微細化させるのに有効な
元素である。その効果を発揮させるためには、0.01
%以上含有させる必要があるが、0.3%を超えて過剰
に含有させると、粗大な不溶性化合物が不可避的に発生
して延性の低下を招く。
元素である。その効果を発揮させるためには、0.01
%以上含有させる必要があるが、0.3%を超えて過剰
に含有させると、粗大な不溶性化合物が不可避的に発生
して延性の低下を招く。
【0017】上記の様な化学成分組成を有する鍛造用A
l合金材料の溶湯を用い、製造条件を厳密に限定するこ
とによって希望する高強度Al合金鍛造品が得られるの
であるが、次に製造条件の限定理由について説明する。
尚本発明の製造条件における最大の特徴は、従来よりも
高温に溶体化処理することによって、MgやSiの固溶
量を増やして時効硬化特性を向上させるだけでなく、M
nもこの高温溶体化処理によって積極的に固溶させ、固
溶強化を図っている点である。
l合金材料の溶湯を用い、製造条件を厳密に限定するこ
とによって希望する高強度Al合金鍛造品が得られるの
であるが、次に製造条件の限定理由について説明する。
尚本発明の製造条件における最大の特徴は、従来よりも
高温に溶体化処理することによって、MgやSiの固溶
量を増やして時効硬化特性を向上させるだけでなく、M
nもこの高温溶体化処理によって積極的に固溶させ、固
溶強化を図っている点である。
【0018】まず連続鋳造時には、鋳片中の樹枝状晶枝
間隔が60μm以下となるように造塊することによっ
て、晶出物が微細化されて強度が向上する。即ち、樹枝
状晶枝間隔が60μmを超えると晶出物の微細化効果が
十分に発揮できなくなる。この樹枝状晶枝間隔d(μ
m)は、凝固過程の冷却速度C(℃/s)と下記(1)
式の関係があることが知られている(堀内良、金子純
一:「日本金属学会誌」,35(1971),15
6.)。 d=85C-0.38 ……(1)
間隔が60μm以下となるように造塊することによっ
て、晶出物が微細化されて強度が向上する。即ち、樹枝
状晶枝間隔が60μmを超えると晶出物の微細化効果が
十分に発揮できなくなる。この樹枝状晶枝間隔d(μ
m)は、凝固過程の冷却速度C(℃/s)と下記(1)
式の関係があることが知られている(堀内良、金子純
一:「日本金属学会誌」,35(1971),15
6.)。 d=85C-0.38 ……(1)
【0019】従って、樹枝状晶枝間隔を60μm以下に
するためには、上記(1)式から、凝固過程の冷却速度
を2.5℃/秒以上に制御する必要がある。こうしたこ
とから、本発明においては、連続鋳造における凝固過程
の冷却速度を2.5℃/秒以上とした。尚凝固過程の冷
却速度を2.5℃/秒以上に制御する手段としては、鋳
塊寸法を小さくするか、または鋳型の材質を熱伝導性の
良好なものとするか、或いは、冷却水量を多くする等が
挙げられる。またこの冷却速度の上限については特に限
定するものではないが、一般的な装置の能力という観点
からして、数十℃/秒程度が好ましい。
するためには、上記(1)式から、凝固過程の冷却速度
を2.5℃/秒以上に制御する必要がある。こうしたこ
とから、本発明においては、連続鋳造における凝固過程
の冷却速度を2.5℃/秒以上とした。尚凝固過程の冷
却速度を2.5℃/秒以上に制御する手段としては、鋳
塊寸法を小さくするか、または鋳型の材質を熱伝導性の
良好なものとするか、或いは、冷却水量を多くする等が
挙げられる。またこの冷却速度の上限については特に限
定するものではないが、一般的な装置の能力という観点
からして、数十℃/秒程度が好ましい。
【0020】次に、500〜540℃で均熱処理を施す
ことによって、ミクロ偏析を消滅させることができる。
この温度が500℃未満では、Al−Mn−Si系化合
物の析出が顕著に起こって強度の低下をもたらす。一
方、540℃を超えると、部分共晶溶融によるバーニン
グを起こす。従って、均熱温度は500〜540℃とす
る必要がある。尚均熱時間については、特に限定されな
いが、通常行なわれている4〜12時間で十分である。
ことによって、ミクロ偏析を消滅させることができる。
この温度が500℃未満では、Al−Mn−Si系化合
物の析出が顕著に起こって強度の低下をもたらす。一
方、540℃を超えると、部分共晶溶融によるバーニン
グを起こす。従って、均熱温度は500〜540℃とす
る必要がある。尚均熱時間については、特に限定されな
いが、通常行なわれている4〜12時間で十分である。
【0021】引き続き、350〜480℃で熱間加工が
行なわれるが、これは後の溶体化処理時の再結晶粒を微
細化するためである。このときの温度が350℃未満で
は加工時の変形抵抗が非常に高くなり加工割れを起こし
やすくなり、また480℃を超えると微細な再結晶粒を
得るための十分なひずみ量が得られない。従って、加工
温度は350〜480℃とする必要がある。尚微細な再
結晶粒形成に必要なひずみ量を得るために、50%以上
であることが好ましい。
行なわれるが、これは後の溶体化処理時の再結晶粒を微
細化するためである。このときの温度が350℃未満で
は加工時の変形抵抗が非常に高くなり加工割れを起こし
やすくなり、また480℃を超えると微細な再結晶粒を
得るための十分なひずみ量が得られない。従って、加工
温度は350〜480℃とする必要がある。尚微細な再
結晶粒形成に必要なひずみ量を得るために、50%以上
であることが好ましい。
【0022】次に、540〜570℃で加熱して溶体化
処理を行うことによって、Mn等の溶質元素の再固溶量
を増加させ、固溶強化によって強度を向上させるが、こ
のときの加熱温度が540℃未満では溶質元素の再固溶
が十分でなく、また570℃を超えると共晶溶融による
バーニングを起こす。従って、溶体化処理時の加熱温度
は540〜570℃とする必要がある。尚、溶体化処理
を行なう際には、加熱後に温水または水焼入れが行なわ
れる。
処理を行うことによって、Mn等の溶質元素の再固溶量
を増加させ、固溶強化によって強度を向上させるが、こ
のときの加熱温度が540℃未満では溶質元素の再固溶
が十分でなく、また570℃を超えると共晶溶融による
バーニングを起こす。従って、溶体化処理時の加熱温度
は540〜570℃とする必要がある。尚、溶体化処理
を行なう際には、加熱後に温水または水焼入れが行なわ
れる。
【0023】更に、溶体化処理を行なって合金元素を過
飽和に固溶したAl合金を時効処理し、硬化させる。こ
のときの時効処理条件としては、常法に従がえば良く、
例えば比較的低温(例えば100〜210℃)に再加熱
するか、常温に放置する等の手段が採用できる。
飽和に固溶したAl合金を時効処理し、硬化させる。こ
のときの時効処理条件としては、常法に従がえば良く、
例えば比較的低温(例えば100〜210℃)に再加熱
するか、常温に放置する等の手段が採用できる。
【0024】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0025】
実施例1 表1に示す化学成分組成の合金を溶解した後、樹枝状晶
枝間隔が約40μm程度になるように鋳造した鋳塊(凝
固過程の冷却速度=7.3℃/s)を、530℃で5時
間の均熱処理を施し、引き続き400℃の75%の熱間
鍛造を行い、560℃で3時間の溶体化処理を行なった
後、60℃の水に焼き入れ、180℃で5時間の時効処
理を施した。
枝間隔が約40μm程度になるように鋳造した鋳塊(凝
固過程の冷却速度=7.3℃/s)を、530℃で5時
間の均熱処理を施し、引き続き400℃の75%の熱間
鍛造を行い、560℃で3時間の溶体化処理を行なった
後、60℃の水に焼き入れ、180℃で5時間の時効処
理を施した。
【0026】
【表1】
【0027】このようにして得られた各Al合金材料に
ついて、引張り試験を実施すると共に、同一組成の溶湯
をリング鋳造し、割れの発生状況を調査した。その結果
を表2に示す。表2から明らかな様に、本発明材は鋳造
性、強度および伸びに優れていることがわかる。
ついて、引張り試験を実施すると共に、同一組成の溶湯
をリング鋳造し、割れの発生状況を調査した。その結果
を表2に示す。表2から明らかな様に、本発明材は鋳造
性、強度および伸びに優れていることがわかる。
【0028】
【表2】
【0029】実施例2 表3に示す化学成分組成の合金を溶解した後、同表に示
すような樹枝状晶枝間隔になるように鋳造した鋳塊を、
同じく表3に示すような条件で均熱処理、熱間加工およ
び溶体化処理を行った後、60℃の水に焼き入れし、1
80℃で5時間の時効処理を施した。
すような樹枝状晶枝間隔になるように鋳造した鋳塊を、
同じく表3に示すような条件で均熱処理、熱間加工およ
び溶体化処理を行った後、60℃の水に焼き入れし、1
80℃で5時間の時効処理を施した。
【0030】
【表3】
【0031】このようにして得られた材料について、引
張り試験を実施すると共に、同一組成の溶湯をリング鋳
造し、割れの発生状況を調査した。その結果を表4に示
す。表4から明らかな様に、本発明材は鋳造性、強度お
よび伸びに優れていることがわかる。
張り試験を実施すると共に、同一組成の溶湯をリング鋳
造し、割れの発生状況を調査した。その結果を表4に示
す。表4から明らかな様に、本発明材は鋳造性、強度お
よび伸びに優れていることがわかる。
【0032】
【表4】
【0033】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、鋳
造時の鋳造性が優れた鍛造用Al合金材料、および高強
度なAl合金鍛造品が得られた。
造時の鋳造性が優れた鍛造用Al合金材料、および高強
度なAl合金鍛造品が得られた。
Claims (3)
- 【請求項1】 Mg:0.5〜1.5%(重量%の意
味、以下同じ),Si:0.8〜2.0%,Cu:0.
5〜1.0%,Mn:0.4〜1.5%,Cr:0.1
〜0.3%,Ti:0.01〜0.1%を夫々含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなることを特徴とす
る鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料。 - 【請求項2】 更に、Zr:0.01〜0.3%を含有
するものである請求項1に記載の鍛造用Al合金材料。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の鍛造用Al合
金材料の溶湯を用い、凝固過程の冷却速度を2.5℃/
秒以上に制御しつつ連続鋳造した後、500〜540℃
で均熱処理を施し、引き続き350〜480℃で熱間鍛
造を行なった後、540〜570℃で加熱して溶体化処
理を行ない、更に時効処理を行なうことを特徴とする高
強度Al合金鍛造品の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5188094A JPH07258784A (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料および高強度Al合金鍛造品の製法 |
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JP5188094A JPH07258784A (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料および高強度Al合金鍛造品の製法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH07258784A true JPH07258784A (ja) | 1995-10-09 |
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ID=12899200
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JP5188094A Withdrawn JPH07258784A (ja) | 1994-03-23 | 1994-03-23 | 鋳造性に優れた鍛造用Al合金材料および高強度Al合金鍛造品の製法 |
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JP (1) | JPH07258784A (ja) |
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1994
- 1994-03-23 JP JP5188094A patent/JPH07258784A/ja not_active Withdrawn
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