JPH07258704A - 粉末成形方法及び粉末成形装置 - Google Patents

粉末成形方法及び粉末成形装置

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JPH07258704A
JPH07258704A JP5242194A JP5242194A JPH07258704A JP H07258704 A JPH07258704 A JP H07258704A JP 5242194 A JP5242194 A JP 5242194A JP 5242194 A JP5242194 A JP 5242194A JP H07258704 A JPH07258704 A JP H07258704A
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JP
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powder
molding
thin
thick
walled
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JP5242194A
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English (en)
Inventor
Kazumichi Nakatani
和通 中谷
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一体的な金型で粉末圧縮率の差があまりな
い、段付き成形体を得る。 【構成】 下金型2に成形空間11内の薄肉形成部4の
側面に逃がし部5を設ける。成形空間11に粉末を充填
し、段差を設けた上金型1で粉末を加圧する。上金型薄
肉形成面7が粉末逃がし面12の終端12aまで移動す
る間は、薄肉形成部4の粉末は逃がし部5に逃げるが、
厚肉形成部3の粉末はそのまま圧縮される。上金型薄肉
形成面7が粉末逃がし面12の終端12aを通過後、粉
末は密閉状態となり、薄肉形成部4の粉末は圧縮され始
める。薄肉形成部4の粉末は厚肉形成部3の粉末より早
くに粉末圧縮率が高くなるが、厚肉形成部3はあらかじ
め圧縮されているので、あるストローク点で厚肉形成部
3、薄肉形成部4の粉末圧縮率の差があまりない箇所が
ある。その点を目的の成形体形状とすれば、粉末圧縮率
の差があまりない段付き成形体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は粉末成形方法及び粉末成
形装置に関し、特に段付き形状の成形品を得るための粉
末成形方法及び粉末成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末の加圧成形において、部位によって
加圧方向の厚さが異なる段付き形状の成形体を作る場
合、単に金型に段差を設けて加圧を行うと、同一ストロ
ーク量で厚肉部、薄肉部とも加圧されるため、薄肉部の
粉末は厚肉部の粉末より圧縮率が高くなる。これを図1
4を用いて説明する。段差Δdのある下金型に上金型を
嵌合させて加圧し、粉末成形体を作る。このとき厚肉部
はD1 からd1 に、薄肉部はD2 からd2 に圧縮され
る。上型の下降距離であるストローク量は厚肉部も薄肉
部も同じである。厚肉部の粉末はD1 /d1 の圧縮率で
圧縮され、薄肉部の粉末はD2 /d2 の圧縮率で圧縮さ
れる。また、D2 =D1 −Δd、d2 =d1 −Δdの関
係がある。各々の圧縮率D1 /d1 とD2 /d2 との大
きさを比較してみる。
【数1】 ここで、Δd、d1 、d2 はいずれも正であり、またD
1 >d1 であるから、d 1 −D1 <0である。従って上
式の値は負である。言い換えれば、D1 /d1 <D2
2 であり、薄肉部の圧縮率の方が高いということがわ
かる。その結果、薄肉部の方が粉末密度が高くなる。
【0003】このように製品内の粉末の圧縮率に差が生
じない様にするための方法として、例えば、特開平4─
94900号公報に記載の技術がある。この公報記載の
技術では、図13に示すように製品の厚肉部や薄肉部等
の形状に合わせて下金型24を分割する。そして、厚肉
部や薄肉部に応じて各部の充填深さを独立に設定し、上
金型23を下降させて加圧すると同時に分割された下金
型24も部分毎に上昇のストローク量を変えて加圧す
る。すなわち、図14を用いて前述したように、薄肉部
も厚肉部も同一ストローク量では厚肉部の方が圧縮率が
小さいので、厚肉部に対応する分割された下型のストロ
ーク量を大きくして、圧縮率を高くし、薄肉部の圧縮率
に揃えるのである。このようにすることにより、肉厚が
部位によって異なっていても粉末の圧縮率を揃え、その
結果、粉末密度を均等にすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、段差に応じて金型を分割する必要がある。こ
のため、段差の多い形状の成形体を得る場合、型構成が
複雑になる。また、分割された金型を個々に動作させる
必要があるため、金型1つ1つに対応した作動装置が必
要となり、装置全体が大きくなる問題がある。
【0005】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、段付き形状の成形体の肉厚に応じ
て、粉末充填後に粉末の充填量を変えると共に粉末の圧
縮率を高める時期を異ならせることにより、型を分割す
ることなく、均一な密度の段付き成形体を得ることを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の粉末成形方法は、少なくとも一方に段差を有
する、それぞれ一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上
金型により下金型の成形空間内に充填された粉末を加圧
して、加圧方向に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体
を成形する粉末成形方法であって、(a)下金型の成形
空間内に粉末を充填する工程と、(b)成形空間のうち
段付き形状の薄肉部を成形する部分である薄肉成形部の
充填粉末の一部を除去後、成形空間のうち段付き形状の
厚肉部を成形する部分である厚肉成形部の充填粉末を圧
縮する工程、または薄肉成形部の充填粉末の一部を除去
後、さらに薄肉成形部の充填粉末の一部を除去しなが
ら、厚肉成形部の充填粉末を圧縮する工程、もしくは、
充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成形部の充填粉末
を圧縮する工程のうち何れか一つの工程と、(c)充填
粉末全体を加圧する工程とを含むことを特徴とする。
【0007】なお、この粉末成形方法は(b)工程が3
種のうち1種が選択される次の3つの成形方法からな
る。
【0008】少なくとも一方に段差を有する、それぞれ
一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下金
型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方向
に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉末
成形方法であって、下金型の成形空間内に粉末を充填す
る工程と、成形空間のうち段付き形状の薄肉部を成形す
る部分である薄肉成形部の充填粉末の一部を除去後、成
形空間のうち段付き形状の厚肉部を成形する部分である
厚肉成形部の充填粉末を圧縮する工程と、充填粉末全体
を加圧する工程とを含むことを特徴とする粉末成形方
法。
【0009】少なくとも一方に段差を有する、それぞれ
一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下金
型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方向
に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉末
成形方法であって、下金型の成形空間内に粉末を充填す
る工程と、薄肉成形部の充填粉末の一部を除去後、さら
に薄肉成形部の充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成
形部の充填粉末を圧縮する工程と、充填粉末全体を加圧
する工程とを含むことを特徴とする粉末成形方法。
【0010】少なくとも一方に段差を有する、それぞれ
一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下金
型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方向
に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉末
成形方法であって、下金型の成形空間内に粉末を充填す
る工程と、充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成形部
の充填粉末を圧縮する工程と、充填粉末全体を加圧する
工程とを含むことを特徴とする粉末成形方法。
【0011】また、本発明の粉末成形装置は、少なくと
も一方に段差を有する、それぞれ一体的な上金型と下金
型とが嵌合し、上金型により下金型の成形空間内に充填
された粉末を加圧して、加圧方向に肉厚差のある段付き
形状の粉末成形体を成形する粉末成形装置であって、下
金型の上面からの窪みである成形空間が、窪みの底面
と、窪みの側面である上金型との摺動面とで構成され、
前記底面は、段付き形状の粉末成形体の厚肉部分を成形
する下金型厚肉成形面と薄肉部分を成形する下金型薄肉
成形面とからなり、前記摺動面のうち、薄肉部分を成形
する側には開口部を有することを特徴とする。
【0012】本発明で述べる一体的な金型とは、成形体
の形状を決定する上金型または下金型が分割されていな
い金型を示す。また分割されていても、粉末を加圧成形
する際に一体的に動くものも含む。
【0013】
【作用】本発明の粉末成形方法は、まず、一体的な下金
型の成形空間内に粉末を充填する。次に、成形空間のう
ち段付き形状の薄肉部を成形する部分である薄肉成形部
の充填粉末の一部を除去後、成形空間のうち段付き形状
の厚肉部を成形する部分である厚肉成形部の充填粉末を
圧縮する工程、または薄肉成形部の充填粉末の一部を除
去後、さらに薄肉成形部の充填粉末の一部を除去しなが
ら、厚肉成形部の充填粉末を圧縮する工程、または薄肉
成形部の充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成形部の
充填粉末を圧縮する工程のうち何れか一つの工程を行
う。これらの工程のうち一つの工程を行うことにより、
厚肉成形部の充填粉末は圧縮率が高くなるが、薄肉成形
部の充填粉末の圧縮率は、上金型が充填粉末を押す前と
ほとんど変わらない。次に、一体的金型で同時に全体加
圧する。厚肉成形部に比べて薄肉成形部の圧縮率の上昇
は早いが、厚肉成形部は先に圧縮されているため、厚肉
成形部と薄肉成形部との圧縮率の差は小さくなり均一に
近くなる。この時点を成形体形状とすれば肉厚によって
粉末の圧縮率の差があまりない段付き形状の成形体がで
きる。
【0014】また、本発明の粉末成形装置は、下金型の
成形空間内に粉末を充填した後、上金型が充填粉末を押
すことにより、下金型薄肉成形面上にある充填粉末、す
なわち薄肉成形部の充填粉末の一部は、開口部を通って
成形空間外に逃げ、その一方で、下金型厚肉成形面上に
ある充填粉末、すなわち厚肉成形部の充填粉末は加圧さ
れる。これは開口部の近くにある粉末は、一体的な上金
型と下金型との相対移動による加圧により開口部に移動
できるが、開口部から離れるほど、開口部までの間の粉
末が多く介在するため、粉末が移動する際の抵抗が大き
くなり、開口部に移動しにくくなる。このため、開口部
に隣接している薄肉成形部の粉末は、一体的な上金型と
下金型との相対移動による加圧により開口部を通って成
形空間外に逃げやすいが、開口部から離れた厚肉成形部
の粉末は、一体的な上金型と下金型との相対移動による
加圧をしても開口部に移動しにくく圧縮されるためであ
る。このため、厚肉成形部の粉末は薄肉成形部の粉末に
比べて粉末の圧縮率が高くなる。これにより、薄肉成形
部の粉末の除去及び厚肉成形部の粉末の圧縮、さらに全
体圧縮が特別の手段を設けることなく、一体的な上金型
と下金型との相対移動による加圧動作だけで行える。
【0015】なお、ストローク量とは、下金型の成形空
間内に粉末を充填して後、ある時点までに上金型と下金
型とが相対的に動いた距離を示し、ストローク点とは、
ある時点での上金型と下金型との位置を示す。
【0016】
【実施例】以下図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。 〔第1実施例〕図1から図6は本発明の第1実施例を説
明する図であり、図7に断面図を示す段差が1つの円柱
成形体20の製造装置の粉体加圧部の断面図である。図
1はこの製造装置の粉末加圧部全体を示す断面図であ
り、1つの段差がある上金型1を下金型2に嵌合し、下
金型2に充填された粉末を加圧して円柱成形体20を作
る。図2から図6は図1に示した製造装置の左半分を示
す断面図であり、図2から図6に渡って上金型1が下金
型2に嵌合していく様子を順を追って図示したものであ
る。
【0017】粉末加圧部の構成について説明する。図1
に示すように、下金型2の上面10より窪んでいる空間
である成形空間11に粉末が充填される。上金型1にお
いて、厚肉部を成形する面を上金型厚肉成形面6とし、
薄肉部を成形する面を上金型薄肉成形面7とする。上金
型厚肉成形面6と対向して厚肉部を成形する下金型面を
下金型厚肉成形面8とし、上金型薄肉成形面7と対向し
て薄肉部を成形する下金型面を下金型薄肉成形面9とす
る。そして、成形空間11内で、上金型厚肉成形面6と
下金型厚肉成形面8との間で粉末が充填される箇所を厚
肉成形部3とする。また、上金型薄肉成形面7と下金型
薄肉成形面9との間で粉末が充填される箇所を薄肉成形
部4とする。また、図1に示すように、薄肉成形部4の
側面に沿って逃がし部5を設ける。また、薄肉成形部4
と逃がし部5とが接している面を粉末逃がし面12(開
口部)とし、この粉末逃がし面12において、下金型2
の上面10より最も遠い箇所を粉末逃がし面12の終端
12aとする。
【0018】以下図2から図6に追って順に説明する。
先ず、下金型2に設けた成形空間11に上面10まで粉
末を充填する(図2)。次に上金型1を下降させて、図
3に示す様に上金型薄肉成形面7を充填粉末表面に当接
させる。さらに上金型1を下降させると、図4に示す様
に上金型厚肉成形面6が充填粉末表面に当接する。この
時、上金型薄肉成形面7は粉末逃がし面12の終端12
aより高い位置となるように、上金型薄肉成形面7と上
金型厚肉成形面6との段差の大きさが設計されている。
すなわち上金型厚肉成形面6が充填粉末表面に当接した
時点では、粉末逃がし面12はまだ閉じられていない。
【0019】図3から図4に示す上金型の移動によっ
て、上金型薄肉成形面7は粉末を押すために、薄肉成形
部4にある粉末は、薄肉成形部4の側面に設けた逃がし
部5へ、または厚肉成形部3へ逃げる。従って、図4の
状態では薄肉成形部4の粉末の圧縮率は、上金型によっ
て粉末が押されているにも係わらず、上金型が下降する
前に比べあまり変わらない。さらに上金型の下降によ
り、図5に示す様に上金型薄肉成形面7が粉末逃がし面
12の終端12aに到達する。このとき、厚肉成形部3
の粉末が上金型厚肉成形面6によって押されている。
【0020】図4から図5に示す上金型の移動によっ
て、逃がし部5の近くにある粉末は、逃がし部5に移動
できる。しかし、逃がし部5から離れるほど、逃がし部
5までの間の粉末が多く介在するため移動する際の抵抗
が大きくなり、逃がし部5に移動しにくくなる。このた
め、逃がし部5に隣接している薄肉成形部4の粉末は、
比較的上金型の加圧により逃がし部5に移動しやすい。
しかし、逃がし部5から離れた厚肉成形部3の粉末は、
加圧しても逃がし部5に移動しにくく圧縮される。この
ため、厚肉成形部3の粉末は薄肉成形部4の粉末に比べ
て粉末の圧縮率が高くなる。上記のように、厚肉成形部
3の粉末と薄肉成形部4の粉末とで圧縮率に差の生じた
まま更に上金型1が下降する。図5から図6に示す、上
金型の下降によって、粉末逃がし面12が上金型1によ
って閉じられるため、粉末が逃がし部5へ移動できなく
なる。このため、薄肉成形部4にある粉末は図5の時点
から圧縮される。
【0021】上記のように厚肉成形部3の粉末を先に圧
縮して、後に薄肉成形部4の粉末を圧縮する。すると肉
厚の部位によらず粉末の圧縮率の差があまりない成形体
ができる。このことを図15を用いて説明する。上金型
1が下降を開始して、先に厚肉成形部3の粉末の圧縮を
開始する。上金型の下降した量であるストローク量とと
もに、厚肉成形部3の粉末の圧縮率は線Aの様に増加す
る。更に上金型1が下降して、次に薄肉成形部4の粉末
の圧縮を開始する。薄肉成形部4の粉末の圧縮率は、前
述した様に同一ストローク量で圧縮した場合には厚肉成
形部3の粉末の圧縮率に比べて高くなる。このため、薄
肉成形部4の粉末の圧縮率の増加率は、厚肉成形部3の
粉末の圧縮率の増加率に比べて高い。従って、薄肉成形
部4の粉末の圧縮率の推移線Bは厚肉成形部3の粉末の
圧縮率の推移線Aに比べて勾配が大きい。このため、あ
るストローク点Sで厚肉成形部3の粉末の圧縮率と薄肉
成形部4の粉末の圧縮率とが同一になる箇所がある。こ
のストローク点S近辺で決まる粉末形状を目的の成形体
形状とすれば、厚肉部と薄肉部とで粉末の圧縮率の差が
あまりない成形体ができる。
【0022】〔第2実施例〕次に第2実施例として、第
1実施例と同じく、図7に示す1つの段差をもつ円柱成
形体20を得る装置を図8に示す。これは第1実施例と
は逆に、上金型1の加圧平面には段差が無く、下金型2
に成形体形状の段付きを成形するための段差を設けてい
る。先ず、下金型2の成形空間11内に粉末を充填し
て、上金型1が下降して加圧を開始する。上金型の加圧
面が粉末逃がし面12の終端12aに到達するまでは、
薄肉成形部4の粉末は逃がし部5に逃げてしまうが、厚
肉成形部3の粉末は、あまり移動することなく加圧され
る。これは逃がし部5近くの粉末は、逃がし部5に移動
しやすいが、逃がし部5から離れた粉末は、逃がし部5
までの粉末が逃がし部5近くに比べて多く介在するの
で、移動しようとしても抵抗が大きく移動しにくいため
である。上金型面が粉末逃がし面12の終端12aを通
過すると、厚肉成形部3、薄肉成形部4は密閉状態にな
り、厚肉成形部3と薄肉成形部4とは同一ストローク量
で圧縮される。厚肉成形部3の粉末は前もって圧縮され
ているため、あるストローク量で厚肉成形部3、薄肉成
形部4の粉末圧縮率がほぼ均一になる点がある。その時
点で上金型と下金型とで決まる粉末形状を目的の成形体
形状とすれば、厚肉部21と薄肉部22との粉末の圧縮
率の差があまりない成形体ができる。
【0023】以上、第1実施例、第2実施例より、一体
的金型で段付き成形体を作る場合、成形金型に粉末を充
填し、厚肉部の粉末を薄肉部の粉末より先に圧縮して粉
末密度を高めておき、その後、同一ストローク量で圧縮
すれば、金型に設けた段差が上金型、下金型のどちらに
あっても粉末の圧縮率の差があまりない成形体ができ
る。
【0024】〔第3実施例〕第3実施例として目的の成
形体形状に段差が2段ある場合を説明する。図10に示
すように成形体断面が凸形になっている円柱成形体にお
いて、図9に示す様に、下金型2に成形体形状を形作る
成形体成形部を設け、成形体成形部の内周、外周方向に
逃がし部5、5’を成形体形状に合わせて設ける。下金
型2に粉末を充填して、上金型と下金型とを相対移動さ
せて、粉末を加圧する。粉末を加圧することにより、逃
がし部5、5’の近くにある成形体成形部にある粉末は
逃がし部5、5’に逃げる。しかしながら、逃がし部
5、5’から加圧方向に対して直角方向に遠くなるにつ
れて、粉末は移動しにくくなり、加圧部の中央部付近で
は粉末は逃げずに圧縮される。さらに、上金型と下金型
とを相対移動させて、一方の粉末逃がし面12が上金型
によって閉じられると、閉じられた粉末逃がし面12の
近くにある粉末は圧縮される。また、さらに他方の粉末
逃がし面12’が上金型によって閉じられると、成形体
成形部にある粉末は成形体成形部外に逃げることができ
ず、全体圧縮が始まる。このように、厚肉部ほど早く圧
縮して、薄肉部より先に粉末の圧縮率を高くする。そし
て、厚肉部と薄肉部とが同一ストローク量で圧縮される
全体圧縮の過程で、薄肉部の粉末は厚肉部の粉末に比べ
て早く粉末の圧縮率が上がる。このため、目的の成形体
形状に応じて粉末逃がし面12、12’の終端12a、
12a’の位置を調節することにより、最終的にほとん
ど粉末の圧縮率の差があまりない成形体が得られる。
【0025】〔第4実施例〕第4実施例として、本発明
と従来の分割型とを組み合わせた構造について、また、
上下金型に段差を設けた構造について説明する。図12
に示すような断面である成形体形状で、a部が厚肉部、
b部が薄肉部であり、本発明を適用する部位である。ま
た厚肉部のc部、薄肉部のd部は従来技術である分割型
を用いて成形する方法を適用する部位である。図11に
示すように成形体形状に応じた金型を設ける。下金型
は、段差のある段付き下金型14と、段付き下金型14
の外周に設けた分割下型15と、粉末の成形空間を構成
する下金型側面部13と、段付き下金型14の中央部に
設けたコアロッド16とで構成されている。また、成形
体形状に合わせて、段付き下金型14の上部に粉末充填
面よりもはみ出さない程度に突起部17を設ける。上記
の構成で形成される成形空間11に粉末を充填し、上金
型1と下金型2とを相対移動させて粉末が加圧される。
段付き下金型14と分割下型15とは互いに独立に動く
ため、成形体外周部は従来技術と同様な型分割方法で粉
末加圧を行うことができる。一方、上金型1が突起部1
7に摺動するまで、突起部17周縁の粉末は突起部17
上部に逃げてあまり圧縮されない。しかし、コアロッド
16近くの粉末は、突起部17から離れており、突起部
17上部に移動し難いため、成形空間11外に移動する
ことなく圧縮される。突起部17周縁の段付き下金型1
4の凸面18により、粉末が成形される箇所を薄肉成形
部として、突起部17から離れた箇所にある段付き下金
型14の凹面19により、粉末が成形される箇所を厚肉
成形部とする。厚肉成形部の粉末は、突起部17から離
れているため、薄肉成形部の粉末より先に圧縮される。
薄肉成形部の粉末は、上金型1が突起部17に摺動し
て、粉末が密閉状態になってから圧縮される。このよう
に、厚肉成形部の粉末を先に圧縮して粉末の圧縮率を高
めてから、厚肉成形部の粉末と薄肉成形部の粉末とを同
一ストローク量で圧縮する。このことにより、あるスト
ローク点で、段付き下金型14により成形される厚肉成
形部、薄肉成形部の粉末の圧縮率がほぼ均一になる箇所
ができる。よって、前記粉末の圧縮率と、分割下型15
により成形される粉末の圧縮率を同じにすれば、上下金
型の両方に段差を設けても、最終的に粉末の圧縮率の差
があまりない段付き成形体が得られる。
【0026】粉末の圧縮率が均一である段付き形状の成
形体形状を得るためには、所望の圧縮率を基に、粉末の
形状、粉末の状態、加圧速度、金型の形状等を制御すれ
ばよい。また、成形体全体の粉末の圧縮率が真に均一で
なくとも、実用上問題にならない程度に成形体全体の粉
末の圧縮率が均一に近ければよい。
【0027】第1〜第4実施例では、逃がし部を設ける
ことにより、分割してない一体的な金型で段付き成形体
が得られた。上記の方法以外にも、薄肉成形部の粉末の
一部を吸引する装置を一体的な金型内に設け、薄肉成形
部の粉末の一部を吸引しながら除去して、厚肉成形部の
粉末を圧縮する。その後、全体圧縮を行えば、粉末の圧
縮率の差があまりない段付き成形体が得られる。
【0028】以上、本発明の実施例について説明した
が、この本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した
技術的事項以外に次の様な技術的事項の実施態様を有す
るものであることを付記しておく。
【0029】少なくとも一方に段差を有する、それぞれ
一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下金
型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方向
に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉末
成形装置であって、下金型の上面からの窪みである成形
空間が、窪みの底面と、窪みの側面である上金型との摺
動面とで構成され、前記底面は、段付き形状の粉末成形
体の厚肉部分を成形する下金型厚肉成形面と薄肉部分を
成形する下金型薄肉成形面とからなり、前記摺動面のう
ち、薄肉部分を成形する側には開口部を有し、下金型の
成形空間内に粉末を充填し、厚肉成形部の粉末に上金型
が当接した状態で、前記開口部が開口していることを特
徴とする粉末成形装置。
【0030】厚肉成形部の粉末に上金型が当接した状態
で、前記開口部が開口していることによって、厚肉成形
部の粉末を加圧しながら、薄肉成形部の粉末を除去する
ことができる。このため、厚肉成形部の粉末が薄肉成形
部の粉末より先に圧縮することができるので、厚肉成形
部の粉末の圧縮率が薄肉成形部の粉末の圧縮率に比べて
高くなる。そして、全体圧縮する際、粉末の圧縮率の上
昇度は薄肉成形部の方が厚肉成形部に比べて高いので、
ある加圧時点で厚肉成形部と薄肉成形部との粉末の圧縮
率が同一になる。その加圧時点で成形される形状を成形
体形状とすれば、一体的な金型で粉末の圧縮率の差があ
まりない段付き形状の成形体ができる。
【0031】
【発明の効果】本発明においては、一体的な金型で薄肉
部を成形する部位の充填粉末の一部を除去するととも
に、厚肉部を形成する部位の充填粉末を先に圧縮するこ
とで、肉厚が大きいほど粉末の圧縮率を高くする。その
後、厚肉成形部、薄肉成形部を同一ストローク量で圧縮
することにより、加圧完了時には厚肉部、薄肉部ともに
あまり粉末の圧縮率に差がなく、すなわち密度差のない
成形体を得ることができる。このため、金型を分割する
ことなく、簡易な装置で段付き形状の成形体を成形でき
る。また、薄肉成形部に沿って逃がし部を設けたことに
より、同一ストローク量で厚肉成形部の粉末は加圧し、
薄肉成形部の粉末は除去することができる。このため、
厚肉部は薄肉部に比べて粉末の圧縮率を高くできる。そ
の後、全体圧縮することにより、加圧完了時には厚肉
部、薄肉部ともにあまり粉末の圧縮率に差のない成形体
を得ることができる。このように、金型を分割する必要
がないので、構造が簡単で、また、装置全体が大きくな
らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面
図。
【図2】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面図
の左半分を示し、下金型の成形空間に粉末を充填した
図。
【図3】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面図
の左半分を示し、上金型の薄肉成形部の加圧面が充填粉
末に当接した図。
【図4】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面図
の左半分を示し、上金型の厚肉成形部の加圧面が充填粉
末に当接した図。
【図5】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面図
の左半分を示し、上金型の薄肉成形部の加圧面が逃がし
部の開口面終端に到達した図。
【図6】 第1実施例の粉末加圧装置を示す断面図
の左半分を示し、加圧終了状態を示す図。
【図7】 第1実施例、第2実施例で得られる成形
体の形状を示す断面図。
【図8】 第2実施例の粉末加圧装置を示す断面
図。
【図9】 第3実施例の粉末加圧装置を示す断面
図。
【図10】 第3実施例で得られる成形体の形状を示
す断面図。
【図11】 第4実施例の粉末加圧装置を示す断面
図。
【図12】 第4実施例で得られる成形体の形状を示
す断面図。
【図13】 従来技術の粉末加圧装置を示す断面図。
【図14】 従来技術で一体的な段差のある金型を用
いた装置を示す断面図。(a)は粉末を加圧する前の状
態、(b)は粉末を圧縮している状態を示している。
【図15】 本実施例の上金型のストローク量の変化
によって、肉厚部位の粉末の圧縮率が変化する様子を模
式的に説明するグラフ。
【符号の説明】
1 ・・・ 上金型 2 ・・・ 下金型 3 ・・・ 厚肉成形部 4 ・・・ 薄肉成形部 5 、5’ ・・・ 逃がし部 6 ・・・ 上金型厚肉成形面 7 ・・・ 上金型薄肉成形面 8 ・・・ 下金型厚肉成形面 9 ・・・ 下金型薄肉成形面 10 ・・・ 下金型の上面 11 ・・・ 成形空間 12 、12’ ・・・ 粉末逃がし面(開口部) 12a、12a’・・・ 粉末逃がし面の終端 13 ・・・ 下金型側面部 14 ・・・ 段付き下金型 15 ・・・ 分割下金型 16 ・・・ コアロッド 17 ・・・ 段付き下金型の突起部 18 ・・・ 段付き下金型の凸面 19 ・・・ 分割下金型の凹面 20 ・・・ 円柱成形体 21 ・・・ 円柱成形体の厚肉部 22 ・・・ 円柱成形体の薄肉部 23 ・・・ 上金型 24 ・・・ 分割された下金型 A ・・・ 厚肉成形部にある粉末のストロ
ーク量変化による粉末の圧縮率の変化を示す線 B ・・・ 薄肉成形部にある粉末のストロ
ーク量変化による粉末の圧縮率の変化を示す線 S ・・・ ストローク点 a ・・・ 厚肉部 b ・・・ 薄肉部 c ・・・ 分割金型による厚肉部 d ・・・ 分割金型による薄肉部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方に段差を有する、それぞ
    れ一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下
    金型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方
    向に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉
    末成形方法であって、 (a)下金型の成形空間内に粉末を充填する工程と、 (b)成形空間のうち段付き形状の薄肉部を成形する部
    分である薄肉成形部の充填粉末の一部を除去後、成形空
    間のうち段付き形状の厚肉部を成形する部分である厚肉
    成形部の充填粉末を圧縮する工程、 または薄肉成形部の充填粉末の一部を除去後、さらに薄
    肉成形部の充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成形部
    の充填粉末を圧縮する工程、 もしくは、充填粉末の一部を除去しながら、厚肉成形部
    の充填粉末を圧縮する工程のうち何れか一つの工程と、 (c)充填粉末全体を加圧する工程とを含むことを特徴
    とする粉末成形方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも一方に段差を有する、それぞ
    れ一体的な上金型と下金型とが嵌合し、上金型により下
    金型の成形空間内に充填された粉末を加圧して、加圧方
    向に肉厚差のある段付き形状の粉末成形体を成形する粉
    末成形装置であって、 下金型の上面からの窪みである成形空間が、窪みの底面
    と、窪みの側面である上金型との摺動面とで構成され、
    前記底面は、段付き形状の粉末成形体の厚肉部分を成形
    する下金型厚肉成形面と薄肉部分を成形する下金型薄肉
    成形面とからなり、前記摺動面のうち、薄肉部分を成形
    する側には開口部を有することを特徴とする粉末成形装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20220250287A1 (en) * 2019-09-25 2022-08-11 Nanjing Comptech Composites Corp. Compression molding die for i-shaped part

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