JPH0725803B2 - 水溶性低分子化キトサンの製造方法 - Google Patents

水溶性低分子化キトサンの製造方法

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JPH0725803B2
JPH0725803B2 JP20932886A JP20932886A JPH0725803B2 JP H0725803 B2 JPH0725803 B2 JP H0725803B2 JP 20932886 A JP20932886 A JP 20932886A JP 20932886 A JP20932886 A JP 20932886A JP H0725803 B2 JPH0725803 B2 JP H0725803B2
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、医薬品、口腔衛生品、化粧品、食品添加剤、
演芸肥料,バイオ農薬等の用途に極めて好適な水溶性の
低分子化キトサンの製造方法に関するものである。
〔従来技術〕
低分子キトサンの製造方法としては、従来より種々のも
のが知られており、たとえば特公昭56−33401号公報に
は、高分子量のキトサンを過酸化水素で処理する方法
が、また特開昭61−40303号公報には、高分子量のキト
サンを過硼酸ソーダ処理する方法が開示されている。
しかしながら、これらの製造方法は、水溶性の低分子キ
トサンを得ることができないという難点を有する。
また、特開昭61−21002号公報には、キトサンに10規定
以上の濃塩酸をキトサン重量の5〜30倍量加え、60〜10
0℃の温度で1〜4時間加水分解してキトサンオリゴ糖
を製造する方法が開示されている。この方法は、ビオー
ス、トリオース、テトラオース、ペンタオース等のキト
サンオリゴ等が比較的容易に得られるという利点を有す
るものの、それ以上の分子量を有する低分子化キトサン
を得ることができないという欠点があった。
本発明者らは、これらの欠点を解消する方法として、先
にキトサンを亜硝酸塩の水溶液に浸漬させた後、酸性物
質を添加することにより、反応系のpHを5以下に調製し
て低分子化反応を行い、水溶性低分子化キトサンを製造
する方法を提案した(特願昭61−25499号)。この方法
は、高分子量のキトサンから水溶性低分子化キトサンを
容易にしかも高収率で得ることができるという点で満足
すべきものであるが、キトサンの分子量が7000を超える
と反応液を中和した際に水不溶性のキトサンの沈澱が生
じてしまい、7000〜150,000の分子量を有する水溶性の
低分子キトサンを得ることが困難であるという問題があ
った。
〔目的〕
本発明は、前記従来技術の有する欠点を克服し、キトサ
ンを低分子化し、7000〜150,000の範囲の任意の分子量
を有する水溶性低分子化キトサンを工業的に有利に製造
する方法を提供することを目的とする。
〔構成〕
本発明によれば、キトサンの水分散液をアスコルビン酸
で処理することにより水溶性の低分子量キトサンを得る
ことを特徴とする水溶性低分子化キトサンの製造方法が
提供される。
本発明は、キトサンの水分散液にアルコルビン酸を添加
してキトサンを溶解させ、得られるキトサンのアルコル
ビン酸塩水溶液を加温処理する方法を採用したことか
ら、従来技術では得られなかった7000〜150,000の範囲
の任意の分子量を有する水溶性低分子化キトサンを得る
ことができる。
本発明においては原料として用いるキトサンは、従来公
知のものが適用でき、たとえば市販されているキチンま
たは天然に存在するキチンを常法により脱アセチル化し
て得られるキトサン等が挙げられる。
後者の例としては、たとえば、カニ殻を脱灰、脱タンパ
クして得られたチキンを、濃度30〜50%の水酸化ナトリ
ウム水溶液に浸漬し、50〜130℃で反応させた後、アル
カリを除去し、次いで、水洗乾燥して得られたフレーク
状、又はさらに粉砕工程を経た粉末状の乾燥物がある。
また、原料キトサンは、脱アセチル化率が70%未満のも
のでは溶解性に乏しいことから少くとも脱アセチル化率
が70%以上のものを用いることが望ましい。
また、本発明においては、高分子量のキトサンを鋼酸、
酸化剤又は亜硝酸塩等を作用させて得られる比較的低分
子量のキトサンを原料として用いることもできる。原料
として低分子化キトサンを用いる場合、GPC法で求めた
分子量を100,000〜500,000、好ましくは150,000〜400,0
00に規定し、かつ脱アセチル化度を60%以上、好ましく
は70%以上とするのが適当である。
本発明において処理剤として用いるアルコルビン酸は、
L−アスコルビン酸及びイソアスコルビン酸である。こ
のアスコルビン酸の使用形態は、特別に制約されない
が、粉末状あるいは水溶液として用いることが好まし
い。
本発明において水溶性低分子化キトサンを得るには、ま
す、前記した如きキトサンを水に分散させ、ついで、得
られるキトサンの水分散液にアスコルビン酸の粉末又は
アルコルビン酸の水溶液を添加し、攪拌することによっ
てキトサンのアルコルビン酸塩水溶液を形成させる。
この塩形成工程における水分散液中のキトサン濃度は特
に限定されないが、通常0.5〜20重量%、好ましくは1
〜10重量%の範囲とするのがよい。
また、アルコルビン酸の添加量は、原料キトサンを溶解
させるのに必要な量で十分であり、通常キトサンのアミ
ノ基に対して0.9倍モル以上、好ましくは1.0倍モル以上
で使用される。アスコルビン酸の添加量が0.9倍モル未
満では、キトサンの溶解性が低下するので好ましくな
い。
つぎに、本発明はこのキトサンのアルコルビン酸塩水溶
液を0〜150℃、好ましくは20〜120℃の温度で加温処理
する。
加温処理温度が0℃未満では低分子化反応が緩慢とな
り、また150℃を超えるとアルコルビン酸の分解を生じ
るので好ましくない。
本発明における低分子化反応の反応時間は反応温度にお
いても異なるが、通常5時間から3カ月である。
反応終了後、反応液のpHを中和すれば本発明の対象とす
る水溶性低分子キトサンを得ることができる。更に、本
発明においては、この水溶性低分子化キトサン水溶液を
目的に応じ、乾燥するか、又はイオン交換膜、半透膜に
よりアスコルビン酸ナトリウム塩等の低分子化合物を除
去するか、又は更に乾燥することによって、粉末状の水
溶性低分子化キトサンとすることもできる。
〔効果〕
本発明は、キトサンにアスコルビン酸を添加してキトサ
ンを溶解させ、得られるキトサンのアスコルビン酸塩水
溶液を加温処理する方法を採用したことから、従来技術
では得られなかった7000〜150,000の範囲の任意の分子
量を有する水溶性低分子化キトサンを容易かつ高収率で
製造することができ、またその操作手段も簡単であるた
め、工業的に極めて有利な製造方法ということができ
る。
しかも、本発明の方法で得られる水溶性低分子化キトサ
ンは、従来方法のものと異なり、その分子量分布が狭
く、また酸性領域のみならずアルカリ性領域においても
水溶性を示すことから、医薬品、化粧品等のファインケ
ミカルズ分野及び植物の生長促進、防腐効果、病害への
抵抗力を狙った園芸肥料、バイオ農薬として特に有効で
ある。
〔実施例〕
つぎに、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 キトサン(純分96.5%、脱アセチル化率88モル%)15.6
gを水1469gに分散させた後、L−アスコルビン酸15.6g
を添加し、1時間攪拌してキトサンを溶解させた。25℃
での粘度はB型粘度計で490cpであった。
次に、このキトサンのL−アスコルビン酸塩水溶液を加
熱し、90℃で17時間攪拌し低分子化反応を行なった。反
応終了後、冷却し、反応液の一部を抜きとり10%カセイ
ソーダ水溶液でpHを12に調整し一昼夜室温で放置したと
ころキトサンの析出は認められなかった。
又、反応終了後の粘度はB型粘度計で25℃、8cpであっ
た。次に、残りの反応液のpHを8に調整し、凍結乾燥し
て淡褐色の粉末を得た。この粉末は酸性〜アルカリ性の
全領域にわたって水に溶解した。
更に、この粉末を水に溶解し、1/2規定の酸塩でpHを3
に調整した後、1/400規定のポリビニル硫酸カリウムに
よりコロイド滴定を行ない、その値より算出した低分子
化キトサン中の窒素含量は6.6%であった。
又、島津製作所製高速液体クロマトグラフLC−5A、FID
−2AにカラムTSK−G300PWを用いGPC法(標準物質として
プルランを使用)により求めた低分子化キトサンの平均
分子量は120,000であった。
実施例2 実施例1で用いたキトサン51.8gを水4873gに分散させた
後、L−アスコルビン酸75.2gを添加し、1時間攪拌し
てキトサンを溶解させた。25℃での粘度はB型粘度計で
480cpであった。次に、このキトサンのL−アスコルビ
ン酸塩水溶液を45℃で45日間放置し、B型粘度計で粘度
を測定したところ25℃で12cpであった。又、この水溶液
の一部を抜きとり10%カセイソーダ水溶液でpHを12に調
製し、一昼夜放置したところキトサンの析出はみられな
かった。
次に、残りの反応液に30%カセイソーダ水溶液を用いて
pHを9に調整し、電気透析によりL−アスコルビン酸ナ
トリウム等の低分子化合物を除去して低分子化キトサン
の水溶液を得た。この水溶液のpHは7.7でまた、実施例
1と同様の方法でコロイド滴定を行ない、その値より算
出した低分子化キトサンの窒素含量は7.2%であった。
又、実施例1と同様の方法で求めた低分子化キトサンの
平均分子量は140,000であった。
比較例1 実施例1と同様のキトサン15.5gを水1462gに分散させた
後、酢酸22.5gを添加し、1時間攪拌してキトサンを溶
解させた。25℃での粘度はB型粘度計で580cpであっ
た。このキトサンの酢酸塩水溶液を加熱し、90℃で21時
間攪拌した。冷却後、B型粘度計で粘度を測定したとこ
ろ25℃で6cpであった。また、実施例1と同様の方法で
求めた低分子化キトサンの平均分子量は73,000であった
が、10%カセイソーダ水溶液を添加することによりキト
サンが析出し、水溶性の低分子化キトサンは得られなか
った。
比較例2 実施例1と同様のキトサン20gを水1950gに分散させた
後、二塩基性の酸としてd,l−リンゴ酸30gを添加し、2
時間攪拌してキトサンを溶解させた。25℃での粘度はB
型粘度計で320cpであった。
このキトサンのd,l−リンゴ酸塩水溶液を加熱し、90℃
で33時間攪拌した。冷却後、B型粘度計で粘度を測定し
たところ25℃で10cpであった。又、実施例1と同様の方
法で求めた低分子キトサンの平均分子量は130,000であ
ったが、10%カセイソーダ水溶液を添加することにより
キトサンが析出し、水溶液の低分子化キトサンは得られ
なかった。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キトサンの水分散液をアルコルビン酸で処
    理することにより水溶性の低分子量キトサンを得ること
    を特徴とする水溶性低分子キトサンの製造方法。
JP20932886A 1986-09-04 1986-09-04 水溶性低分子化キトサンの製造方法 Expired - Lifetime JPH0725803B2 (ja)

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KR100711109B1 (ko) 2005-05-12 2007-04-24 김순동 비타민 c의 항산화활성과 안정성 및 항균활성을 증진시킬수 있는 키토산-비타민 c복합체 제조방법 및 그 키토산-비타민 c복합체가 포함된 조성물
KR20190061828A (ko) 2017-11-27 2019-06-05 이보균 조사료용 키토산의 제조방법

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