JPH07256851A - 化粧パネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 芯材であるペーパーコアの表板にメラミン化
粧板、裏板にフェノール樹脂積層板をそれぞれ、水系接
着剤を用いて貼り合わせた化粧パネルに於いて、該化粧
パネルの表板と裏板との材料構成の相違によるソリの発
生を防止した化粧パネルを得ることを目的とする。 【構成】 メラミン化粧板２を表板とし、フェノール樹
脂積層板３を裏板として用い、それぞれの被着面に水性
ビニルウレタン樹脂接着剤４を塗布した後、ペーパーコ
ア１の面に載置し、加圧接着させて化粧パネルを得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築の内装パネル、住
宅機器、カウンター天板などに用いる軽量化された化粧
パネルの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】ペーパーコアを芯材として、表面にメラ
ミン化粧板を貼り合わせ、軽量パネルを製造する工程に
於いては、尿素樹脂系接着剤、酢酸ビニルエマルジョン
系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂接着剤など水
系の接着剤が使用されていた。これらの水系接着剤は、
有機溶剤型の接着剤に較べ、引火等の危険性がなく、衛
生上有害なガスを発生しないので、安全対策などの設備
費が嵩まず、価格、作業性の良さなどに於いて利点をも
つものであった。

【０００３】パネルの表面材としては、意匠効果の点か
ら両面に化粧面が必要な場合、両面共メラミン化粧板が
貼り合わされていたが、片面のみ化粧面が必要な場合、
材料価格低減の見地から、表面側のみメラミン化粧板が
使用され、裏面には謂ゆるバッカーと称するフェノール
樹脂積層板が使用されていた。

【０００４】芯材であるペーパーコアへのメラミン化粧
板、フェノール樹脂積層板の貼り合わせ方法としては、
ロールコーターなどの塗布装置を用いて、メラミン化粧
板或いは、フェノール樹脂積層板の裏面に接着剤を塗布
したものを、所望の材料構成になるように芯材の両面に
載置した後、プレス機、タンバックル等により圧締し
て、接着剤が固まるまで、加圧状態のまま放置して接着
する方法が行われていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】芯材にペーパーコアを
用い、表板にメラミン化粧板を用いる化粧パネルに於い
ては、間仕切パネルの如く、両面が化粧板面のであるこ
とが必要な場合を除き、一般に、カウンター、机の天板
など人目につく表側のみに化粧板を必要とし、裏側には
メラミン化粧板より廉価なフェノール樹脂積層板が用い
られる。裏板用のフェノール樹脂積層板としては、特に
裏板用につくられたものの他、表面材としては意匠上、
或いは寸法などの点で規格に合格しないメラミン化粧板
で、裏板には使用可能な品質を保持した格外品をリサイ
クルの目的から使用することが多く、この場合、表面の
メラミン樹脂含浸紙層をサンダーで研摩して除去したも
のが用いられる。

【０００６】芯材と表板ならびに、裏板を貼り合わせる
ための接着剤として、水系エマルジョンである酢酸ビニ
ル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂などが多く用い
られ、表板ならびに裏板の裏面に接着剤が層状に塗布さ
れ、芯材に重ねられ圧締されるが、ペーパーコアの紙の
断面と接触しない部分、即ちペーパーコアのセル部に於
いては、接着剤の水分はコア側に吸収されることがな
い。したがって、接着剤層は水分が蒸発して固まるまで
長時間を要し、且つ、乾燥が進行する途中に於いて、塗
膜表面に樹脂被膜をつくり、内側のエマルジョンを包み
込むようになり、乾燥性が低下する。この間、水分の一
部が表板ならびに裏板裏面よりフェノール積層部に浸透
する。

【０００７】表板ならびに裏板は、フェノール樹脂積層
部への水分の浸透により膨張し、伸びを生じる。表板で
あるメラミン化粧板は、表面側のメラミン樹脂層が基板
のフェノール樹脂層に較べ、伸びが小さいので、化粧パ
ネルの表板と裏板とでは材料構成の相違により伸縮に差
を生じ、パネル自体にソリが発生し易く、使用上支障と
なる場合が多かった。

【０００８】本発明は、芯材であるペーパーコアの表板
にメラミン化粧板、裏板にフェノール樹脂積層板をそれ
ぞれ、水系接着剤を用いて貼り合わせた化粧パネルに於
いて、該化粧パネルの表板と裏板との材料構成の相違に
よるソリの発生を防止した化粧パネルを得ることを目的
とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、ペーパーコア
を芯材とし、表板にメラミン化粧板を用い、裏板にフェ
ノール樹脂積層板を用いて、それぞれを芯材表面に貼り
合わせ化粧パネルを得る工程に於いて、該メラミン化粧
板及び該フェノール樹脂積層板の被着面に水性ビニルウ
レタン樹脂接着剤を塗布した後、該芯材のそれぞれの面
に載置し、加圧して接着させることを特徴とする化粧パ
ネルの製造方法である。

【００１０】本発明に於ける化粧パネル芯材のペーパー
コアは、クラフト紙などによってつくられるハニカムコ
ア、ロールコア、フェザーコア、ならびに段ボールを積
層したものなどが用いられるが、いづれも木質芯材など
に較べ著しい軽量化が可能になる。

【００１１】化粧パネルの表面側の材料、即ち表板は外
観や意匠性が重要であると共に硬度、耐熱性、耐汚染性
などの特性が要求されるが、メラミン化粧板を使用する
ことによって、これらの要求性能を得ることができる。
本発明に用いるメラミン化粧板は０．５〜３．０ｍｍの
厚さのものが適している。厚さ０．５ｍｍ以下では、パ
ネル表面の耐衝撃性など強度が十分でなく、厚さ３ｍｍ
以上では、重量が嵩ばると共に、経済性の点で有利でな
い。

【００１２】化粧パネルの裏面材である裏板は、未晒ク
ラフト紙にフェノール樹脂を含浸したものを複数枚積層
し、熱圧成形して得られるが、メラミン化粧板に於い
て、外観、寸法などが規格に合格せず表面材としては使
えないが裏面材として使用可能な物性を有するものを、
化粧面側のメラミン層を研摩機を用いて削り取って除去
し、再使用する場合が多い。

【００１３】表板であるメラミン化粧板及び、裏枚であ
るフェノール樹脂積層板は、芯材との接着をよくするた
めに被着面は研摩される。芯材であるペーパーコアは、
セル状の空間部を有するので、芯材と表板ならびに裏板
との貼り合わせは、表板及び裏板の裏面、即ち被着面に
水性ビニルウレタン樹脂接着剤を塗布する。接着剤の塗
布はロールコーター、リバースコーターなどを用いると
均一な塗布ができる。接着剤の塗布量は表板、裏板側共
８０〜２００ｇ/ｍ²が適当であり、一般的に接着の安定
性、経済性、塗布工程に於ける作業性の点で、１２０〜
１８０ｇ/ｍ²の塗布量がより好ましい。

【００１４】水性ビニルウレタン樹脂接着剤は、ポリビ
ニルアルコールなどの水溶性ポリマー、あるいは、酢酸
ビニル樹脂エマルジョンなどの水分散性ポリマーとメチ
レンジイソシアネートプレポリマーなどのポリイソシア
ネートを混合することにより、短時間で硬化する。

【００１５】接着剤を塗布した表板ならびに裏板を芯材
面に重ね平板プレス機、タンバックルなどを用いて圧締
し、加圧状態で接着剤を硬化させ化粧パネルを得る。こ
のようにして得られる化粧パネルは、必要に応じ、あら
かじめ芯材の木口面に縁材を配置するか、或いはパネル
形成後、縁材を組付ける。

【００１６】

【実施例】

実施例１ 以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。ＪＩ
Ｓ Ａ６９３１に規定される２種の性能を有し、セルサ
イズ５ｍｍ、圧縮強度４．９×１０⁵Ｐａの段ボール形
状のペーパーコア１を芯材とし、下記の方法により化粧
パネル５を製造した。このペーパーコア１の寸法は、厚
さ２４．５ｍｍ、巾６１０ｍｍ、長さ１８２０ｍｍであ
り、含水率は８〜１２％であった。

【００１７】表板として厚さ１．２ｍｍ、巾６２０ｍ
ｍ、長さ１８３０ｍｍのメラミン化粧板２を用い、裏板
として厚さ１．４ｍｍのメラミン化粧板色違品の表面を
ワイドベルトサンダーを用い、ＪＩＳ Ｒ６２５２規定
されるＡＡ６０の研摩紙で、上記のメラミン化粧板２と
同等の厚さ寸法になるように研摩し、メラミン樹脂化粧
層を除去したフェノール樹脂積層板３を用いた。表板、
及び裏板の被着面はＡＡ６０の研摩紙で研摩されたもの
であった。

【００１８】次に水性ビニルウレタン樹脂接着剤４とし
て、主剤のアイカアイボンＡＵ−７００ＦＭと硬化剤の
アイカアイボンＡＵＨ−１（いづれもアイカ工業製）を
重量比で１００：１５になるように混合した。このとき
の接着剤の不揮発分は６８重量％であった。この水性ビ
ニルウレタン樹脂接着剤４を、ロールコーターを用いて
メラミン化粧板２及びフェノール積層板３の被着面に塗
布量１５０ｇ/ｍ²になるように塗布した後、ペーパーコ
ア１のそれぞれの面に載置し、５分間放置してから平板
プレス機で７．８×１０⁴Ｐａの圧力を加え４０分間圧
締して接着し、端部を切断して、巾６００ｍｍ、長さ１
８１０ｍｍの化粧パネル５を得た。

【００１９】比較例１ ペーパーコア１とメラミン化粧板２及びフェノール積層
板３との接着に不揮発分５６重量％の酢酸ビニル樹脂エ
マルジョン接着剤のアイカアイボンＡ−３４４ＭＣ（ア
イカ工業製）を用い圧締時間を５時間とした他は実施例
１と同一条件で化粧パネル５を製造した。

【００２０】実施例１ならびに比較例１により得られた
化粧パネル５を室温に於いて７日間放置した後、ソリの
測定及び平面引張試験による接着強度の測定を行った。
試験結果を表１に示す。

【００２１】試験方法 （１）ソリ測定試験 化粧パネルの凹部が上になるように水平の台上に置き、
ソリを測定する個所は図２に示すように、巾方向につい
ては端部より各１５０ｍｍの点の、Ｗ１−Ｗ１、Ｗ２−
Ｗ２の線上に於ける最大矢高を測定し、長さ方向につい
ては端部より各３００ｍｍの点のＬ１−Ｌ１、Ｌ２−Ｌ
２の線上に於ける最大矢高を測定し平均値で表わした。
測定は４個の化粧パネル試料について行った。また、化
粧面に凸ソリの場合はプラス、凹ソリの場合はマイナス
で表わした。

【００２２】（２）平面引張試験 試験は４個の化粧パネル試料について行い、各化粧パネ
ルから１辺が５０ｍｍの正方形状の試験片を４個づつ作
成する。次に、試験片の表面中央に１辺が２０ｍｍの正
方形状の接着面を有する金属盤をシアノアクリレート系
接着剤を用いて接着し、周囲にペーパーコアに達する深
さの切りきずをつけた後、平面引張試験（試験片及び金
属盤をチャックに固定し、接着面と直角の方向に毎分６
００Ｋｇ以下の荷重速度で引張り、剥離時又は破壊時に
おける最大荷重を測定する試験）を行い測定結果を平均
値で表わした。

【００２３】

【表１】

【００２４】

【発明の効果】ペーパーコアを芯材とした化粧パネルの
製造に於いて、表板及び裏板を貼り合わせる接着剤は接
着性、作業性、価格、安全性などの点から水系接着剤が
適しているが表板と裏板の材料構成が異なる場合、伸縮
の相違に起因するソリが発生し易い。ペーパーコアを芯
材とし、表板にメラミン化粧板を用い、裏板にフェノー
ル樹脂積層板を用いて、それぞれを貼り合わせ、化粧パ
ネルを製造する工程に於いて、水性ビニルウレタン樹脂
接着剤を使用することにより、表板と、裏板の材質が異
なるにも拘らず、酢酸ビニルエマルジョン接着剤を用い
たものなどに較べソリの小さい化粧パネルが得られる。

【００２５】水性ビニルウレタ樹脂接着剤は、成分中の
不揮発分の占める割合が大きく、接着剤層に水分が包含
され、固定された状態で短時間に硬化するので、ペーパ
ーコア芯材のセル空間部の如く、接着剤層と水分吸収材
料との接触がなくても、表板及び裏板内部への被着面か
らの水分の浸透、移行が少なく、その結果、ソリが発生
し難く、寸法安定性が高まる。

【００２６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によって製造された化粧パネルの構造の
一部を示す断面図である。

【図２】本発明によって製造された化粧パネルのソリ測
定試験に於ける測定位置を示す平面図である。

【符号の説明】

１ ペーパーコア ２ メラミン化粧板 ３ フェノール樹脂積層板 ４ 水性ビニルウレタン樹脂接着剤 ５ 化粧パネル W1、W2 巾方向のソリ測定位置 L1、L2 長さ方向のソリ測定位置

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｃ 2/24 Ｒ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ペーパーコアを芯材とし、表板にメラミ
   ン化粧板を用い、裏板にフェノール樹脂積層板を用いて
   それぞれを貼り合わせ化粧パネルを得る工程に於いて、
   該メラミン化粧板及び該フェノール樹脂積層板の被着面
   に水性ビニルウレタン樹脂接着剤を塗布した後、該芯材
   のそれぞれの面に載置し、加圧して接着させることを特
   徴とする化粧パネルの製造方法。