JPH0725662B2 - 使用時調製型上皮細胞成長因子含有水性薬剤の安定化方法 - Google Patents

使用時調製型上皮細胞成長因子含有水性薬剤の安定化方法

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JPH0725662B2
JPH0725662B2 JP2281757A JP28175790A JPH0725662B2 JP H0725662 B2 JPH0725662 B2 JP H0725662B2 JP 2281757 A JP2281757 A JP 2281757A JP 28175790 A JP28175790 A JP 28175790A JP H0725662 B2 JPH0725662 B2 JP H0725662B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発は、医薬や化粧品として有用な使用時調製型上皮細
胞成長因子含有水性薬剤の安定化方法に関し、特に樹脂
材よりなる容器内において使用時調製型上皮細胞成長因
子水性薬剤を安定化する方法に関する。
〔従来の技術〕
カルシトニン、パラサイロイドホルモン、インシュリン
等は、ホルモン活性をはじめとする生理活性を有してお
り、医薬品としてこれらを投与する場合には、その特性
上、その有効性と安全性を確保するためには、他の薬剤
以上により厳密に投与量を守る必要がある。
そして、従来よりこのようなカルシトニン等を水溶液で
保存した場合に、ガラス製やプラスチック製などの器
具、容器等へカルシトニン等が吸着されることが知られ
ており、しかもその吸着作用はカルシトニン等の濃度が
低い時により起り易い。ところで、通常これらのカルシ
トニン等は極めて微量で活性を示すために、その投与溶
液は極めて低い濃度となっているが、その状態では前述
したような器具、容器等による吸着の作用を受け易いの
であって、しかもその投与溶液の濃度は元々極めて低い
ことにより、前記の吸着による影響を受け易く、カルシ
トニン等の濃度が著しく低下して、その活性を失うこと
がある。
前記のカルシトニン等の器具、容器等の吸着防止を目的
として、各種の物質を添加することが行われており、そ
のような物質として、従来メチルセルロース、ポリオキ
シエチレン(以下「POE」と略称する)−硬化ヒマシ油
およびその誘導体、レシチン、ヒドロキシプロピルセル
ロース、エチレンオキサイドプロピレンオキサイド共重
合体、POU−ソルビタンアルキルエステル類、メチルサ
イクロデキストリン、ソルビタン脂肪エステル、POE−
オクチルフェニルエーナル、POE−ラウリルエーテル、
パシトラシン、ポリエチレングリコール6,000、塩化ベ
ンザルコニウム、ゼラチン、BSA(牛血清アルブミ
ン)、HSA(ヒト血清アルブミン)、尿素、カゼイン等
が知られている。
また、特開平2−96533号公報には、その吸着防止剤と
してグリチルリチン類を有効成分として用いると効果が
あることが示されており、このグリチルリチン類は、分
子量1,000〜30,000の範囲に含まれるポリペプチド類に
ついて有効であるとしており、例えば、カルシトニン、
ACTH(副賢皮質刺戟ホルモン)、PTH(パラサイロイド
ホルモン)、インシュリン、セクレチン、オキシトシ
ン、成長ホルモン、アンギオテンシン、プラディキニ
ン、β−エンドルフィン、サブスタンスP、グリカゴ
ン、ダイノルフィン、パソプレシン、ソマトスタチン、
ガストリン、甲状腺刺戟ホルモン(TSH)、プロラクチ
ン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)、インタ
ーロイキン、インターフェロン等が例示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上皮細胞成長因子は薬理作用があり、その水性薬剤は医
薬や化粧料として有用であり、医薬としては胃酸分泌抑
制剤、抗カイヨウ剤、消化管粘膜保護剤、カルシウム遊
離促進剤、鎮痛剤、抗炎症剤、角膜修復剤、創傷治療促
進剤、点眼剤などの眼科用剤、発育促進剤、腸機能改善
剤、肝疾患治療剤、皮膚科用剤などとして有用であり、
また化粧料としては、種々の化粧料基剤と共に化粧水、
乳液などの基礎化粧料、口紅などのメイクアップ化粧料
として有用である。
この上皮細胞成長因子含有水性薬剤においては、上皮細
胞成長因子は水に対する溶解性がよいため、使用時に水
性薬剤を形成するさいには200μg/ml以下の濃度におい
ては溶解補助剤あるいは懸濁化剤等の配合剤を添加する
必要がないが、上皮細胞成長因子は希薄な水溶液の状態
でガラスあるいは樹脂材(以下樹脂材等という)よりな
る容器中にある場合、該容器表面に付着し、そのため水
溶液中の上皮細胞成長因子濃度が著しく低下し、使用時
において所定の上皮細胞成長因子含量が確保できない。
つまり生物学的活性が低下することがわかった。上皮細
胞成長因子含有水性薬剤は長期間保存に適しないため使
用時に調製することが好ましいが、この使用時に調製す
るものを「使用時調製型」といい、本発明はこの使用時
調製型の前記薬剤に係るものである。
この上皮細胞成長因子は天然物から抽出精製あるいは遺
伝子組換え技術を用いて発現、抽出、精製する方法によ
り得られるが、微量しか得られず、貴重であるだけでは
なく、微量で効果を示す有効成分であることより、上皮
細胞成長因子含有水性薬剤中の上皮細胞成長因子含量は
厳密に制御される必要性を有する。
上皮細胞成長因子水性薬剤が樹脂材等からなる容器中に
入れられているとき、上皮細胞成長因子が容器に付着す
る問題を解決すれば前記水性薬剤中の上皮細胞成長因子
含量の制御が容易になる。前記したカルシトニン、パラ
サイロイドホルモン、インシュリンについては、その吸
着を防止するために種々の吸着防止剤を用いることが提
案されているが、そこに示されている吸着防止剤が前に
例示した3種以外にどのような範囲まで有効なのか、ま
た有効成分とするためにはその使用量をどの程度とすれ
ばよいかについてはまったくわかっていない。また、吸
着防止剤としてグリチルリチン類を有効成分として用い
る場合(特開平2−96533号公報)においては、有効な
ポリペプチド類の範囲についてかなり多くの例が挙げら
れているが、上皮細胞成長因子については何ら言及され
ていない。しかも、上皮細胞成長因子はあまり実用化さ
れていないものであって、その実用に関する文献も少な
く、その実用に寄与しうる性状や作用もよくは知られて
いない。
したがって、上皮細胞成長因子含有水性薬剤の取扱いに
ついては他の生理活性物質と同様に取扱うことができる
かも十分わかっていないものであって、このため上皮細
胞成長因子含有水性薬剤が樹脂材等からなる容器中に入
れられているとき、どのような物質を用いれば上皮細胞
成長因子が容器に付着する問題を解決しうるかわかって
いなかった。
本発明は、使用時調製型上皮細胞成長因子含有水性薬剤
の使用のさい、あるいは前記水性薬剤を分析するためな
どにより、前記水性薬剤が樹脂材等からなる容器中にあ
る場合、上皮細胞成長因子が該容器に付着する問題を解
決しようとするものである。
〔問題を解決するための手段〕
本発明は、上皮細胞成長因子0.1〜200μg/ml及び非イオ
ン性界面活性剤の少なくとも1種を0.001〜1.0重量%を
含有することを特徴とする使用時調製型上皮細胞成長因
子含有水性薬剤の安定化方法によって上記課題を解決し
た。
本発明において用いる上皮細胞成長因子(以下、「EG
F」と略称する)としては、天然に存在するEGF、および
たとえば遺伝子工学的手法によって合成した合成EGFの
みならず、EGFを構成するアミノ酸の任意の置換、アミ
ノ酸付加もしくは欠如によって得られて、しかもEGFと
同様のあるいは類似の生理活性を有するようなEGFの誘
導体をも包含するものである。ただし、その誘導体はpH
又は温度を考慮することにより使用することができる。
ここで、他のアミノ酸で置換し得るEGF構成アミノ酸
は、置換体がEGFの活性を保存し得る限りどのアミノ酸
であってもよく、また置換によって導入するアミノ酸
(上記のアミノ酸付加によって導入するアミノ酸の場合
も同様)は天然のものであっても、誘導体アナログ(例
えばケイ光性を具備するもの、脂溶性の高いもの等))
であってもよい。なお、ここで誘導体というのは、それ
がEGFと同様のあるいは類似の生理活性を持つものであ
る限りその分子量を問わないから、これはアミノ酸欠失
誘導体の範疇に属するものとしてフラグメントおよびそ
の誘導体をも包含するものである。
上記においてフラグメントは、少なくともEGF受容体と
の結合活性を有する部分のことであって、EGFの一部の
部分構造を有するポリペプチドである。例えば、C末端
やN末端からアミノ酸が1個あるいは2個以上欠けたも
のやあるいはC末端やN末端及び任意の部分から切り離
されてできたものでアミノ酸2個以上から成るものを包
含する。
EGFおよび上記のようなその誘導体およびフラグメント
は遊離のアミノ基およびカルボキシル基を持っているか
ら、酸との塩および塩基との塩でもありうる。このよう
な塩を形成すべき酸および塩基としては、製剤上許容さ
れる有機ないし、無機の酸および塩基が一般に使用可能
であり、具体的には、たとえば、塩酸、硫酸、酢酸、マ
ロン酸、コハク酸、水酸化ナトリウム、アミン類などを
挙げることができる。
本発明でいうEGFの誘導体は、前記のようなアミノ酸の
置換、付加および欠失によって得られたものの外に、種
々の化学評価を施したものをも包含するものである。こ
のような誘導体は、たとえば、グリオキシル化、アルキ
ル化、酸化、還元、水解等のそれ自体公知の化学修飾ま
たはこれらの組合せによる化学修飾によって得られる。
要するに、本発明は、EGFそのもののみならず、EGFと同
様のあるいは類似の活性を有するそのすべての誘導体な
らびにそれらの塩をも包含するものである。EGFは、生
体(具体的には、血液、尿、唾液、涙液、母乳、各組
織、臓器等)より抽出することができるほか、EGFやそ
の誘導体等は化学合成および遺伝子工学的手法等の方法
を含む種々の方法により調製することができる(日本組
織培養学会編「細胞成長因子」(1984年朝倉書店発行)
に収録されている文献参照)。そして、このようにして
調製されたEGFは、本発明に使用するには高純度である
ことが好ましい。
EGFは、ヒトや馬などの尿中からも、ウサギ、ラットお
よびマウス顎下腺からも単離され、哺乳動物中にその種
を越えて存在していることが知られている(特開昭56−
25112号公報等)。なかでも、本発明の薬剤をヒトに適
用する場合は、ヒト上皮細胞成長因子(human Epiderma
l Growth Factor:hEGF)が好ましい。
EGF含有水性薬剤中におけるEGFの濃度(含量)は、0.1
〜200μg/mlとするのが有効であって、好適な範囲はそ
の適用対象によって異なる。例えば、ヒトEGFの配合量
は、対象疾患により異なるが、眼球結膜創傷、角膜創傷
(例えば角膜上皮、角膜実質、角膜内皮の創傷など)な
どの場合、通常0.1〜200μg/ml、特に1から60μg/mlが
好ましい。
本発明において用いる非イオン性界面活性剤としては、
例えばポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエ
チレンカスターオイル誘導体、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
特にポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとし
ては刺激が少なく、ツイーン(ICIの登録商標名)とし
ても知られる界面活性剤で、例えばポリオキシエチレン
(20モル付加)ソルビタン−モノラウレート〔ポリソル
ベート20〕、ポリオキシエチレン(4モル付加)ソルビ
タン−モノラウレート〔ポリソルベート21〕、ポリオキ
シエチレン(20モル付加)ソルビタン−モノパルミテー
ト〔ポリソルベート40〕、ポリオキシエチレン(20モル
付加)ソルビタン−モノステアレート〔ポリソルベート
60〕、ポリオキシエチレン(4モル付加)ソルビタン−
モノステアレート〔ポリソルベート61〕、ポリオキシエ
チレン(20モル付加)ソルビタン−トリステアレート
〔ポリソルベート65〕、ポリオキシエチレン(20モル付
加)ソルビタン−モノオレエート〔ポリソルベート8
0〕、ポリオキシエチレン(5モル付加)ソルビタン−
モノオレエート〔ポリソルベート81〕、ポリオキシエチ
レン(20モル付加)ソルビタン−トリオレエート〔ポリ
ソルベート85〕などが例示でき、ポリソルベート20,40,
60,80は日本薬局方、米国薬局方または英国薬局方など
に収載されており多くの国で利用でき有利であり、特に
ポリソルベート80は日本国内において点眼薬の一成分と
しての使用実績があり好適である。また界面活性剤の配
合量は各界面活性剤の浸水度および用途による異なる
が、ポリソルベート80を配合し点眼剤として調製する場
合は0.01から1.0mg/mlでよく、特に0.1から1.0mg/mlが
好ましい。この配合量以上にした場合、点眼剤として問
題となる眼粘膜刺激が発生し、以下であれば樹脂材等か
らなる容器に対する充分な付着防止効果が得られず投与
に際しての生物学的な活性が不安定なものとなる。
本発明は、前記上皮細胞成長因子が付着し易い材質であ
るポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
ポリ塩化ビニル、ゴム等の樹脂材から容器が構成されて
いるときでもその付着を十分防止することができて有用
である。特に点眼剤として用いる場合、これらの樹脂材
は点眼剤の品質に影響を与えることがあるので選択には
十分な注意が必要で、特に以下の点において考慮する必
要があり、1)通気性:異臭の侵入または揮発成分の消
失などの防止、2)光分解:光による点眼剤の変性の防
止、3)医薬品との反応性:容器よりの溶出物が点眼剤
を劣化させない、4)貯蔵期間:高温多湿の苛酷な条件
への耐性、5)吸着:薬剤の吸着が少ないものなどの点
で良好なものであれば良い。樹脂材よりなる容器(例え
ばプラスチック性容器など)においては日本厚生省に指
定された点眼剤用プラスチック容器の規格に適合しなけ
ればならないと共に、該容器を構成する本体、ノズル、
キャップの三部分においては、各部分における嵌合度に
ついては収納された点眼剤の液漏れが起こらない容器を
用いねばならない。そして、前記の三部分の一部分が樹
脂材からなる場合、つまり本体、ノズル、キャップの一
つの部分が樹脂材である場合においても、該部分に対し
てEGFの吸着は起こり得ず、本発明が有意に生物学的活
性を安定にするものでなければならない。
本発明における水性薬剤は緩衝液などにより好適なpHに
保たれるだけでなく、適切な浸透圧を有することが好ま
しい。緩衝液としてはリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、
ホウ酸緩衝液、ポリビニルピロリドン含有酢酸緩衝液等
が良くそのpHは5.0から8.0、好ましくはpH6.0〜7.2前後
が例示できる。そして、浸透圧としては使用用途により
ことなるが眼科用特に点眼薬として用いた場合は塩化ナ
トリウム濃度が0.5から2.0重量%の食塩水と等張であれ
ば良く、特に塩化ナトリウム濃度が約0.8重量%と等張
で有ることが好ましい。その他の薬剤としては防腐剤、
酸化防止剤、増粘剤および賦形剤などが添加でき、例え
ばフェノール類、ベンジルアルコール、アルキル−p−
ヒドロキシ安息香酸、ならびにその塩、モノチオグリセ
ロール、メチロザール、ベンゼトニウムクロライド、ク
ロロブタノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、イミダゾリ
ジニル尿素ならびに誘導体、ベンジル−アルキルアンモ
ニウムクロライド、p−t−ブチルフェノール、セトリ
ウムIIIナイトレート、セチル−アルキル−アンモニウ
ムクロライド、セチル−ジエチルメチル−アンモニウム
ブロマイド、クロロチモール、クレゾール類、安息香酸
ナトリウム、エチレンジアミン4酢酸、パラオキシ安息
香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安
息香酸プロピル、塩化ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前述の様に上皮細胞成長因子含有水性薬剤は長期間に渡
って保存した場合、該薬剤の有効成分であるEGFに変化
が起こり、生物学的活性が低下する。このため本発明を
実施する為には使用時まで安定にEGFを保存しなければ
ならない。これには既に従来より用いられる各種の方法
が用いられるが、特に好ましい方法として凍結乾燥が挙
げられる。例えばEGFが容器内に凍結乾燥された状態で
あり、その後低温保存できるものが例示できる。
本発明を実施する場合は、前述のEGFを保存している容
器以外に、別容器に調製された有効成分であるEGF以外
の成分、例えば界面活性剤、緩衝液、浸透圧調整剤など
を含む使用時調製用水性溶媒を無菌的に保存しておき、
EGFを保存している容器内に該使用時調製用水性溶を流
入させ、調製された溶液中EGF濃度が0.1〜200μg/mlと
することができる。特にEGFを保存している容器中のEGF
量に合わせて一義的に所定量の使用時調製用水性溶媒を
無菌的に保存しておく事は、使用時の煩雑さを解消でき
る事から好ましい。例えば、EGF濃度を0.1〜200μg/ml
に調製しうる、界面活性剤の少なくとも1種を0.001〜
1.0重量%を含有する使用時調製型上皮細胞成長因子含
有水性薬剤調製用溶媒が例示できる。
〔作用〕
本発明は、EGFを所定濃度で含有するEGF水性薬剤におい
て界面活性剤の少なくとも1種を所定濃度で含有させる
ことにより、樹脂材等からなる容器にEGFが付着するこ
とをなくすことができる。それによりEGF水性薬剤にお
いてEGFの含量を一定濃度に維持することができ、その
生理的活性は持続性を有する。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただ
し、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。
実施例1 EGF含有水性薬剤の樹脂材からなる容器間の移し換え 8mMリン酸塩緩衝生理食塩水(以下「PBS」という、pH6.
0)にポリソルベート80(日本油脂社製)を0.001,0.01,
0.1または1重量%の濃度になるよう溶解し、ヒトEGF
(アース製薬社製、以下EGFという)を約10μg/mlの含
量になるように溶解した各EGF水溶液を調製し、各EGF水
溶液をポリエチレン製供試容器10個を次々と移し換える
処理を行なう。そして供試容器間をEGF水溶液に移され
る直前に該EGF水溶液中のEGF含量を測定した。なお、
1)EGF水溶液の調製法、2)EGF水溶液を供試容器間の
移し換え法、および3)EGF含有の測定は次に示す方法
で行った。
1)EGF水溶液の調製法: ポリソルベート80を所定の濃度(0.001,0.01,0.1または
1重量%)になるようにPBSに溶解し各ポリソルベート
含有溶媒を調製し、次にガラス容器中のEGF所定量に対
して各ポリソルベート含有溶媒を10ml添加してEGF水溶
液を調製した。
2)EGF水溶液を供試容器間の移し換え法: 供試EGF水溶液5mlを供試容器にガラス製ピペットを用い
て分注した後、供試容器から順次直接新しい供試容器に
移し換え、これを繰り返した。
3)EGF含量の測定: 測定試料(EGF水溶液)1mlに対し内標準液(0.16g/フ
ェノバルビタール水溶液)0.1mlを添加して試料溶液と
し、該試料溶液100μを用いて液体クロマドクラフ法
にて定量した。
5から10mlのオクタデシルシリル化シリカゲルを内径約
4mm×長さ約25cmのステンレス管に充填したカラムを用
い高速液体クロマトグラムシステム〔東ソー社製、ポン
プ:デュアルポンプCCPD、検出器:紫外可視検出器UV−
8010〕を用い、EGF含量の定量を行った。溶出溶媒とし
ては50mMリン酸緩衝液(pH6.3)とアセトニトリルを78:
22の比率で混合した溶液にて溶出し、205nmの吸光度に
て測定した。そしてEGF含量は以下の計算にて求めた。
測定結果を第1表に示す。なお、第1表中の数値は、各
供試容器におけるEGF含量をug/mlで示し、カッコ内はEG
F含量の初期含量に対する減少量を重量パーセントで示
した。
第1表より本発明によるときには、EGF含有水性薬剤中
のEGF含量は、多くの移し換え処理を重ねてもポリエチ
レン製供試容器の内面に吸着されず一定濃度を示してい
ることが明らかである。
実施例2 EGF含量水溶液に対する各界面活性剤の安定化作用8mMリ
ン酸塩緩衝生理食塩水(PBS,pH6.0)に第2表に示す各
界面活性剤を0.1重量%含有し、ヒトEGFを約10μg/mlの
含量になるように溶解した各EGF水溶液を調製し、各EGF
水溶液をガラス製供試容器10個を次々と移し換える処理
を行なう。そして供試容器間をEGF水溶液に移される直
前に該EGF水溶液中のEGF含量を測定した。なお、1)EG
F水溶液の調製法、2)EGF水溶液を供試容器間の移し換
え法、および3)EGF含量の測定は次に示す方法で行っ
た。
1)EGF水溶液の調製法: 各界面活性剤を0.1重量%になるようにPBSに溶解し各ポ
リソプベート含有溶媒を調製し、次にガラス容器中のEG
F所定量に対して各ポリソルベート含有溶媒を10ml添加
してEGF水溶液を調製した。
2)EGF水溶液を供試容器間の移し換え法: 供試EGF水溶液5mlを供試容器にガラス製ピペットを用い
て分注した後、供試容器から順次直接新しい供試容器に
移し換え、これを繰り返した。
3)EGF含量の測定: 測定試料(EGF水溶液)1mlに対し内標準液(0.16g/フ
ェノバルビタール水溶液)0.1mlを添加して試料溶液と
し、該試料溶液100μを用いて液体クロマトグラフ法
にて定量した。
5から10μmのオクタデシルシリル化シリカゲルを内径
約4mm×長さ約25cmのステンレス管に充填したカラムを
用い高速液体クロマトグラムシステム〔東ソー社製、ポ
ンプ:デュアルポンプCCPD、検出器:紫外可視検出器UV
−8010〕を用いたEGF含量の定量を行った。溶出溶媒と
しては50mMリン酸緩衝液(pH6.3)とアセトニトリルを7
8:22の比率で混合した溶液にて溶出し、205nmの吸光度
にて測定した。そしてEGF含量は以下の計算式にて求め
た。
測定結果を第2表に示す。なお、第2表中の記号は安定
化の度合を示し、非常に安定な物を++、安定な物を
+、ほぼ安定な物を±、不安定な物を−で示した。そし
ていずれの界面活性剤も日光ケミカル(株)社製を用い
その製品型番号をカッコ内に記載した。
第2表より本発明によりEGF含有水性薬剤中のEGF含量
は、多くの界面活性剤によりガラス容器内面に吸着され
ず一定濃度を示していることが明らかである。
実施例3 EGF含有水性薬剤の樹脂材からなる容器中のEGF含量の変
化 実施例1に記載したEGF水溶液の調製法により、ヒトEGF
が約2μg/mlの含量になるように溶解し、ポリソルベー
ト80含量が0.1%及び無添加のEGF水溶液を調製した。そ
して、これらのEGF水溶液をそれぞれポリプロピレン製
の供試容器中に約1.5mlずつ入れ、これらの水溶液のEGF
含量を経時的に実施例1に記載したEGF含量の測定法に
て測定した。
各時間におけるEGF水溶液の抽出は、オートサンプラーA
S−8000(東ソー社製)を用いた。
測定結果は第3表に記載した。表中の数値はEGF水溶液
のヒトEGF含量(μg/ml)を示す。表中より本発明によ
りEGF含有水性薬剤中のEGF含量が経済的にも安定である
ことが明らかである。
実施例4 EGF含有ホウ酸緩衝溶液に対する界面活性剤による安定
化 ポリソルベート80を所定の濃度(0.001、0.01、0.1また
は1重量%)になるように200mlホウ酸−ホウ砂緩衝液p
H7.0に調整して各ポリソルベート含有溶媒を調製した。
次にガラス容器中の約100μgに対して各ポリソルベー
ト含有溶媒を10ml添加してEGF含有ホウ酸緩衝液(以下E
GFホウ酸溶液という)を調製した。そして、実施例1に
示した様に各EGFホウ酸溶液をガラス製供試容器10個を
次々に移し換える処理を行なった。そして、各EGFホウ
酸溶液の調製時及び移し換え処理後の各EGFホウ酸溶液
中のEGF含量を測定した。
EGF含量の測定は、実施例1の方法にて行なった。ま
た、溶出溶媒は50mMリン酸緩衝液と200mMホウ酸−ホウ
砂緩衝液でも変らない事を確認した。測定結果を下記第
4表に示した。なお、表中の数値は各供試容器における
EGF含量をμg/mlで示し、カッコ内はEGFの初期含量に対
する減少量を重量パーセントで示した。
第4表及び実施例1よりEGFを溶解する溶液の性状の差
は、本発明の効果に何ら影響されない事は明らかであ
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、上皮細胞成長因子含有水性薬剤におい
て、それを樹脂材などからなる容器に保存するなどによ
り、該容器中にあるようにした場合に、上皮細胞成長因
子が該容器に付着することが防止されて、前記水性薬剤
の上皮細胞成長因子の含量が低下することがなく、所定
の濃度に保持されるため、その生理的活性を保持するこ
とができる。
これにより、前記水性薬剤が安定化され、上皮細胞成長
因子を製剤の形で保存することができるようになった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上皮細胞成長因子0.1〜200μg/ml及び非イ
    オン性界面活性剤の少なくとも1種を0.001〜1.0重量%
    を含有することを特徴とする使用時調製型上皮細胞成長
    因子含有水性薬剤の安定化方法。
  2. 【請求項2】前記非イオン性界面活性剤として、ポリオ
    キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
    チレンステアレート、ポリオキシエチレンカスターオイ
    ル誘導体、ソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選
    ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項
    1記載の使用時調製型上皮細胞成長因子含有水性薬剤の
    安定化方法。
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