JPH072559Y2 - 荷役車両のプッシュプル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は荷役車両に設けられたプッシュプル装置の改
良に関する。

〔従来の技術〕

従来フォークリフトトラックのような荷役車両には、フ
ォークの他にプッシュプル装置が装着されたものがあ
る。

上記プッシュプル装置はパンダグラフ状に組合されたリ
ンク機構と、このリンク機構の前部に設けられたフェイ
スを有していて、このフェイスによりフォーク上の荷物
を前方へ押出したり、フェイス下部に設けられたグリッ
パでシート状のパレットを引込むことにより、フォーク
上へ荷物が積込めるようになっている。

また上記のようなプッシュプル装置では、荷物を押出し
たり、引込む際フォーク先端に段差があると円滑な積み
卸しができないことから、通常のフォークより肉厚の薄
いフォークが一般に使用されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

このため荷物を押出す際や引込む際荷物の荷重によりフ
ォークが弾性変形し、そのたわみによって荷物が荷崩れ
を起すことがあるため、荷役時オペレータがフォークの
たわみ分マストをチルトさせることにより吸収して荷崩
れが生じるのを防止しているが、操作が煩雑であるなど
の不具合がある。特に米袋のような重量がほぼ同じ荷物
を繰返し荷役する場合でも、荷役作業毎にマストをチル
ト操作して荷崩れを防止しなければならないため、作業
者が早期に疲労して作業能率が悪いなどの不具合があっ
た。

この考案は上記不具合を改善する目的でなされたもの
で、フォークのたわみに応じてマストの角度を自動修正
するようにした荷役車両のプッシュプル装置を提供しよ
うとするものである。

〔課題を解決するための手段及び作用〕

この考案は上記目的を達成するために、フォークの上方
にリンク機構及びプッシュプルシリンダにより前後動自
在なフェイスを設けた荷役車両のプッシュプル装置にお
いて、上記荷役作業時荷物の荷重により生じるフォーク
のたわみに対して上記フェイスの位置とマストの傾斜角
を予め制御装置へ記憶させ、そのデータにもとずいて制
御装置より出力される制御信号によりチルトシリンダへ
通じる管路に設けられた切換え弁を制御することによ
り、荷役時生じるフォークのたわみに対してマストを自
動的にチルトさせるようにしたもので、ほぼ同じ重量の
荷物を繰返し荷役する場合、その都度マストをチルト操
作しなくとも荷崩れが発生しないため、荷役作業が容易
かつ能率よく行えるようになる。

〔実施例〕

この考案の一実施例を図面を参照して詳述する。

図において１は車輪２により自在自在な荷役車両の車体
で前部にチルトシリンダ３により上端側が前後方向へチ
ルト自在なマスト４が設けられている。

このマスト４にはリフトシリンダ５により上下動自在な
フィンガボード６が設けられていると共に、フィンガボ
ード６の前面には一対のフォーク７とプッシュプル装置
８が取付けられている。

上記プッシュプル装置８は取付けフレーム8aに後端側が
枢着されたパンダグラフ状のリンク機構8bと、該リンク
機構8bの前端側に枢着されたフェイス8c及び上記リンク
機構8bと取付けフレーム8aの間に斜めに設けられたプッ
シュプルシリンダ９とよりなり、プッシュプルシリンダ
９を伸縮動することにより、上記フェイス8cがほぼ直立
状態で前後動できるようになっている。

またフェイス8cの下部にはグリッパ8dが設けられてい
て、このグリッパ8dにより荷物10の載置されたシート状
パレット11の端部をグリップできるようになっている。

一方上記マスト４にはマスト４の傾斜角を検出する傾斜
角検出器14が、またプッシュプルシリンダ９にはピスト
ン杆9aのストロークよりフェイス8cの位置を検出する位
置検出器15が設けられている。

そして、これら検出器14,15で検出された検出信号及び
位置信号は運転席17の上部に設けられた制御装置18へ入
力され、該制御装置18の出力により、チルトシリンダ３
へ油圧を供給する切換え弁19が制御されるようになって
いる。

なおフェイス8cの位置を検出する位置検出器15は、第３
図に示すように取付けフレーム8aの上部に超音波センサ
16を設けるようにしてもよい。

次に作用を第４図及び第５図に示すフローチャートも参
照して説明すると、例えば米袋のような重量がほぼ同じ
荷物10を繰返し荷役する場合、まず制御装置18内に設け
られた記憶装置に補正量を記憶させるため、第４図に示
すフローチャートに従って荷役作業をシミュレートす
る。

すなわちステップでシミュレートを開始したら、ステ
ップでフェイス8cを前方または後方へ移動させて、荷
物10の押出しまたは引込みを行う。

このとき荷物10の載置されたフォーク７に第６図または
第７図の破線に示すようなたわみが発生するので、この
たわみにより荷崩れが生じないようチルトシリンダ３に
よりマスト４の傾斜角を手操作で調整する。

そしてこの手操作により設定された補正量は次のように
記憶装置へ記憶される。

すなわちステップで補正量設定が開始されると、ステ
ップで位置検出器15からの信号により車体１からフェ
イス8cまでの距離が算出され、またステップで傾斜角
検出器14からの信号によりマスト４の傾斜角が検出され
る。

そしてステップでフェイス8cの各位置におけるマスト
４の補正量が制御装置18に記憶されて、ステップで補
正量記憶が終了する。

次に実際の荷役作業を開始すると、第５図に示すフロー
チャートに従ってフォーク７のたわみが自動補正される
ようになる。

すなわち、ステップから荷役作業を開始し、ステップ
でフォーク７上の荷物10を卸すべくフェイス8cを前進
させ、またはフォーク７上に荷物10を積込むべくフェイ
ス8cを後退させると、補正地点到達とともにフェイス8c
の位置に応じた補正量が記憶装置より進出され、この補
正量に応じた制御信号が制御装置18より切換え弁19が動
作される。

これによってチルトシリンダ３が伸縮して、マスト４を
フォーク７のたわみに応じて傾斜させるため、フォーク
７がたわんでも荷崩れを起すことなく荷物10の積み卸し
が行えるようになる。

一方荷約すべき荷物10の重量が変った場合は、再び第４
図に示すフローチャートに従って荷役作業をシミュレー
トすればよく、荷物10の重量が種々変っても、その都度
シミュレートによりフェイス8cの位置及びマスト４の傾
斜角を制御装置18へ記憶させることにより、荷崩れを発
生することなく荷役作業が行える。

〔考案の効果〕

この考案は以上詳述したように、荷役すべき荷物の重量
により生じるフォークのたわみに対してフェイスの位置
及びマストの傾斜角を予め制御装置に記憶させ、そのデ
ータにもとずいて制御装置より出力される制御信号によ
りチルトシリンダへ通じる管路に設けられた切換え弁を
制御することにより、荷役時生じるフォークのたわみに
対してマストを自動的にチルトさせるようにしたもの
で、ほぼ同じ重量の荷物を繰返し荷役する場合、その都
度マストをチルト操作しなくとも荷崩れが発生しないた
め、荷役作業が容易かつ能率よく行えるようると共に、
作業者の疲労軽減も図れるようになる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図は全体的な側
面図、第２図は位置検出器の詳細図、第３図は位置検出
器の別の実施例を示す説明図、第４図ないし第７図は作
用説明図である。 ３はチルトシリンダ、４はマスト、７はフォーク、8bは
リンク機構、8cはフェイス、９はプッシュプルシリン
ダ、10は荷物、18は制御装置、19は切換え弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フォーク７の上方にリンク機構8b及びプッ
   シュプルシリンダ９により前後動自在なフェイス8cを設
   けた荷役車両のプッシュプル装置において、上記荷役作
   業時荷物10の荷重により生じるフォーク７のたわみに対
   して上記フェイス8cの位置とマスト４の傾斜角を予め制
   御装置18へ記憶させ、そのデータにもとずいて制御装置
   18より出力される制御信号によりチルトシリンダ３へ通
   じる管路に設けられた切換え弁19を制御することによ
   り、荷役時生じるフォーク７のたわみに対してマスト３
   を自動的にチルトさせることを特徴とする荷役車両のプ
   ッシュプル装置。