JPH0725012U - アルミニウム製ハニカムパネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状精度，外観及び接合強度に優れたハニカ
ムパネルを得る。 【構成】 フェースプレート３，４に対する表面にテー
パ５を付けたフレーム２を、ハニカムコア１の端部に配
置し、フェースプレート３，４にろう付けする。側部か
ら平坦面６を一部残し、テーパ５をフレーム２の表面に
付けても良い。 【効果】 フェースプレート３，４に対するフレーム２
の接触面積が下げられるため、ハニカムコア１とフレー
ム２との間でろう付け時に加える荷重Ｆを変える必要が
ない。また、テーパ５によってできたろう材溜り７は、
余剰のろう材を収容し、フェースプレート３，４とフレ
ーム２との合せ目からろう材が滲み出すことや、ハニカ
ムコア１にろう材が付着することを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、軽量板材，防音壁等として建材や航空機，車両等の輸送機器構成部 品として使用されるアルミニウム製ハニカムパネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ハニカムパネルは、ハニカムコアの両面にフェースプレートを一体化した構造 をもっている。アルミニウム製の場合、ろう付け用皮材で芯材を被覆したブレー ジングシートから作製されたハニカムコア及びフェースプレートを使用する。ハ ニカムコア及びフェースプレートを所定形状に組み立てた後、ハニカムコアとフ ェースプレートをろう付けする。 ろう付けされたフェースプレートは、ハニカムコアの側面から延びた端部をも っている。延長した端部の間に角パイプ等のアルミ形材が補強フレームとして配 置され、フェースプレートにろう付けされる。フレームのろう付けは、作業工程 の簡略化を考慮して、ハニカムコアとフェースプレートとのろう付けと同時に行 われることが多い。

【０００３】 ハニカムコア及びフレームをフェースプレートに同時にろう付けするとき、加 圧荷重の調整に工夫を要する。すなわち、ハニカムコアが縁部でフェースプレー トに接触しているのに対し、フレームは面接触している。この接触状態の違いか ら、ハニカムコアとフェースプレートとの間の接触圧に比較して、フレームとフ ェースプレートとの間の接触圧を相当に大きく設定する必要がある。しかし、部 分的に異なる加圧荷重を加えることは、ろう付け作業を複雑にする原因となる。 この点、実公平２−３３９８０号公報では、フェースプレートに接するフレー ムの表面に溝を刻設することにより、接触面積を小さくすることが提案されてい る。溝が形成されたフレームは、ハニカムコアとほぼ同様な加圧荷重をかけてフ ェースプレートにろう付けされると説明されている。形成した溝は、ろう材溜り としても機能し、外観面及びハニカムコア側へのろう材流出も防止する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

フェースプレートに対するフレームの接触面積を溝によって小さくするとき、 線接触に近いハニカムコアの接触面積程度まで低減するには非常に高い面積率で 溝を形成することが必要となる。そのため、複雑な溝加工が要求されることは勿 論、フレームの接触面に付けた多数の凹凸に起因してろう付けが却って不安定化 する。 本考案は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、フェースプレ ートに対するフレームの接触面にテーパを付けることにより、接触面積を簡単に 且つ確実に低減すると共に、ろう材溜めとして作用する空間部をフェースプレー トとフレームとの間に設け、良好なろう付け強度をもち、表面性状に優れたハニ カムパネルを得ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のアルミニウム製ハニカムパネルは、その目的を達成するため、複数の ブレージングシートを互いにろう付けすることにより形成したハニカムコアと、 ハニカムコアの表裏面にろう付けされたフェースプレートと、ハニカムコアの端 部に位置し、フェースプレートにろう付けされたフレームを備えている。フェー スプレートに対向するフレームの表面には、ハニカムコア側に向かって前記フェ ースプレートから離間するようにテーパが付けられている。 本考案に従ったアルミニウム製ハニカムパネルは、たとえば図１に示すように 、ハニカムコア１の端部にフレーム２を配置し、ハニカムコア１及びフレーム２ をフェースプレート３，４で挟んでいる。ハニカムコア１やフェースプレート３ ，４は、通常ブレージングシートで作られる。

【０００６】 ハニカムコア１は、たとえば積層された各ブレージングシートの間にフッ化物 系フラックス及び離型材を千鳥状に介在させておき、ろう付け後にブレージング シートを積層方向に展開することによって得られる。離型材を塗布した部分は、 ブレージングシートを展開した状態で、たとえば六角形状の空間部となる。 ハニカムコア１の端部に配置されるフレーム２としては、図１では角パイプを 使用している。しかし、本考案はこれに拘束されるものではなく、ハニカムコア １とフェースプレート３，４で区画される端部空間に対応した形状をもつ強度メ ンバーである限り、コ型，Ｈ型等の断面をもつ中空状又は中実の型材をフレーム ２に使用することもできる。 フレーム２は、図２に示すように、フェースプレート３，４に対向する表面に テーパ５を付けている。フレーム２とフェースプレート３，４との間の間隙は、 テーパ５によりハニカムコア１側に向かって大きくなる。テーパ５は、切削加工 ，プレス加工等によってフレーム２の表面に付けられる。或いは、押出し加工に よって予めテーパが付けられた形材をフレーム２として使用しても良い。

【０００７】 テーパ５は、フェースプレート３，４に対向するフレーム２の表面全域に付け ても良い。しかし、図２に示すように、外側の一部に平坦面６を残した後でテー パ５を付けた方が、フェースプレート３，４に対するフレーム２の載置安定性が 向上する。テーパ５が付けられたフレーム２の表面は、一定した傾斜角度をもつ 直線状傾斜面の他に、適宜の曲率で湾曲した凹面又は凸面であっても良い。 テーパ５を付けたフレーム２をハニカムコア１と共にフェースプレート３，４ の間に挟み、荷重Ｆを加えてろう付けする。このとき、荷重Ｆを受けるフレーム ２の面積は、テーパ５によって大幅に低減されており、ハニカムコア１に加えら れる単位面積当りの荷重、すなわち圧力とほぼ同じレベルになる。したがって、 ハニカム１及びフレーム２に加える荷重Ｆを変えることなく、フェースプレート ３，４にハニカム１及びフレーム２をろう付けできる。 加えられた荷重Ｆの大半は、フレーム２の端部近傍に集中し、端部近傍でフレ ーム２の表面にフェースプレート３，４を密着させる。他方、ハニカムコア１側 では、テーパ５によってフレーム２とフェースプレート３，４との間に、ろう材 溜り７として働く隙間が生じている。この接触状態のため、ろう付け時の加熱に よって流動化した余剰のろう材は、フレーム２とフェースプレート３，４との合 せ目から滲み出すことや、ハニカムコア１に付着することなく、ろう材溜り７に 収容される。

【０００８】

【実施例】

アルミニウム合金３００３を芯材とし、両面に皮材４０４５をクラッドした板 厚１．５ｍｍ及び幅２０ｍｍのブレージングシートをハニカムコア材として使用 した。フッ化物系フラックス及び離型材を交互に塗布して積層したブレージング シートを相互にろう付けした後、積層方向に展開してハニカムコア１を作製した 。ハニカムコア１には、一辺が７．３ｍｍの六角形状セルが多数林立していた。 このハニカムコア１を、長さ９６０ｍｍ，幅６．３５ｍｍ及び高さ２０ｍｍにサ イジングした。 ハニカムコア１の端部に配置されるフレーム２としては、１辺が２０ｍｍの矩 形断面をもち長さ１０００ｍｍ及び２０００ｍｍの角パイプを使用した。フレー ム２の相対向する表面には、図２及び図３に示した２様のテーパを付けた。図２ の場合、一端側から幅３ｍｍの平坦面６を残し１度のテーパ５を付けた。図３の 場合、中央部に幅３ｍｍの平坦面８を中央部に残し、両側縁に向かって１度のテ ーパ５を付けた。 フェースプレート３，４には、アルミニウム合金３００３を芯材とし、両面に 皮材４０４５をクラッドした板厚１．５ｍｍのブレージングシートを使用した。 ブレージングシートを、ハニカムコア１及びフレーム２に合せて長さ２０００ｍ ｍ及び幅１０００ｍｍにサイジングした。

【０００９】 ハニカムコア１の端部にフレーム２を配置し、フェースプレート３，４の間に 挟んだ。フェースプレート３，４の全面に荷重Ｆ＝３５０ｋｇを加えた状態で、 全体を不活性化雰囲気にセットし、温度６００℃に３分間加熱することによって ろう付けした。 ろう付け後のハニカムパネルを観察したところ、図２又は図３の何れのテーパ ５を付けたものでもフレーム２とフェースプレート３，４との合せ目は、ろう材 の流出が検出されず、極めて良好な仕上り状態であった。また、ハニカムパネル を切断し内部の接合状態を調査したところ、ろう材溜り７に集合したろう材がみ られたが、合せ目からハニカムコア１側に流出したろう材は検出されなかった。 しかも、ハニカムコア１及びフレーム２共に、フェースプレート３，４に対して 良好な接合強度でろう付けされていた。

【００１０】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案のハニカムパネルにおいては、ハニカムコアの 端部に配置されるフレームにテーパを付けている。テーパは、フェースプレート にろう付けする際に必要な荷重をハニカムコアとフレームとの間で同じレベルに すると共に、余剰のろう材がハニカムパネルの側面に滲み出たり、ハニカムコア に付着することを防止する。そのため、表面性状が良好で、優れた接合強度を持 つハニカムパネルが容易に且つ確実に得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に従ったハニカムパネル

【図２】 フェースプレートに接触するハニカムコア及
びフレーム

【図３】 異なるテーパを付けたフレームを使用する他
の例

【符号の説明】

１：ハニカムコア ２：フレーム ３，４：フェー
スプレート ５：テーパ ６：平坦面 ７：ろう
材溜り

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 吉見 章彦 東京都港区三田３丁目13番12号 日本軽金 属株式会社内 (72)考案者 松永 章生 静岡県庵原郡蒲原町蒲原１丁目34番１号 株式会社日軽技研内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のブレージングシートを互いにろう
   付けすることにより形成したハニカムコアと、該ハニカ
   ムコアの表裏面にろう付けされたフェースプレートと、
   前記ハニカムコアの端部に位置し、前記フェースプレー
   トにろう付けされたフレームを備え、前記フェースプレ
   ートに対向する前記フレームの表面には、前記ハニカム
   コア側に向かって前記フェースプレートから離間するよ
   うにテーパが付けられているアルミニウム製ハニカムパ
   ネル。