JPH07247447A - コーティング用組成物、その製造方法、塗膜形成方法および塗膜 - Google Patents

コーティング用組成物、その製造方法、塗膜形成方法および塗膜

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JPH07247447A
JPH07247447A JP6321314A JP32131494A JPH07247447A JP H07247447 A JPH07247447 A JP H07247447A JP 6321314 A JP6321314 A JP 6321314A JP 32131494 A JP32131494 A JP 32131494A JP H07247447 A JPH07247447 A JP H07247447A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 バインダー樹脂中に無機成分を大量に分散さ
せることができ、得られる塗膜は十分な強度を持ち、し
かもその塗膜は十分な反射防止効果を発揮でき、耐熱
性、耐炎性を有するコーティング用組成物、その製造方
法、塗膜形成方法および塗膜を提供する。 【構成】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を膨潤
させ、この合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な1
種または2種以上の金属化合物を導入して合成樹脂粒子
内及び合成樹脂粒子の表面とその近傍で前記金属化合物
の加水分解および縮合反応を行う。この反応において無
機成分を成長させ、その成長した無機成分3の少なくと
も一部を合成樹脂粒子1内、及びその表面とその近傍に
存在する水素結合形成基と反応させ固定させてコーティ
グ用組成物を得る。このコーティング用組成物を基体表
面に塗布し、最低造膜温度以上の温度で乾燥して塗膜を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワープロ、コンピュー
タ、テレビ等の各種ディスプレイや透明プラスチック類
サングラスレンズ、度付メガネレンズ、カメラ用ファイ
ンダーレンズなどの光学レンズ、各種計器のカバー、自
動車、電車等の窓ガラス等の表面の反射防止膜に有用な
コーティング用組成物に関する。また、本発明はコンク
リート等の建築用資材用塗料として有用なコーティング
用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ワープロ、コンピュータ、テレビ等の各
種ディスプレイは、その表面のガラスや透明基材を通し
て文字、図形等の視覚情報が観察されるようになってい
る。外部からの光がディスプレイに入射し、その表面で
反射を起こすと、ディスプレイの視認性が悪くなってし
まうので、従来、そのディスプレイの表面に反射防止膜
を形成していた。
【0003】例えば、従来、透明基材表面に入射する光
の反射を防止する一般的な方法としては、ガラスやプラ
スチック表面に、反射防止材料としての無機系超微粒子
を含む反射防止塗料を塗布する方法、ガラス等の透明基
材の表面に膜厚0.1μm程度のMgF2 等の薄膜や金
属蒸着膜を直接設ける方法、プラスチックレンズなどの
プラスチック表面に電離放射線硬化型樹脂を塗工し、そ
の上に蒸着によりSiO2 やMgF2 の薄膜を形成する
方法、電離放射線硬化型樹脂の硬化面に低屈折率の塗膜
を形成する方法等があった。
【0004】前記ガラス上に形成された膜厚0.1μm
程度のMgF2 の薄膜をさらに説明する。入射光が薄膜
に垂直に入射する場合に、特定の波長をλ0 とし、この
波長に対する反射防止膜の屈折率をn0 、反射防止膜の
厚みをg、および基板の屈折率ng とすると、反射防止
膜が光の反射を100%防止し、光を100%透過する
ための条件は、次の式(1)、(2)の関係を満たすこ
とが必要であることは既に知られている(サイエンスラ
イブラリ物理学=9「光学」70〜72頁、昭和55
年、株式会社サイエンス社発行)。
【0005】
【数1】n0 =√ng 式(1) ng d=λ/4 式(2) 前記式(1)によれば、反射防止層の屈折率がその下層
の屈折率の平方根の値になるような材料を選択すればよ
いことがわかる。したがって、従来、反射防止層の屈折
率は、その下層の屈折率よりも若干低くなるように形成
されている。
【0006】一方、建築用塗料の分野では、耐熱性、耐
炎性の点から無機質塗料の要求が強いが、無機質ポリマ
ーは有機質ポリマーに比べ塗膜が硬く脆いため、このよ
うな欠点を改善する目的に無機質ポリマーに有機ポリマ
ーを混合することが行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の反射防止膜を蒸着法によって形成する方法において
は、概して生産性が低くて採算が悪くなるという欠点に
加え、基体がプラスチックフィルムである場合、その上
に形成する蒸着膜の密着性が悪いため剥離し易く、また
無機質の表面で基体を覆うためその後の染色が行えない
等の基体の特性が再現されなかったり、あるいは蒸着時
に基体の表面が損傷したり、その真空プロセスによりプ
ラスチックフィルム中の可塑剤や紫外線吸収剤等が蒸発
してフィルムが損傷するという問題点があった。
【0008】また、前記従来の反射防止塗料を塗布する
方法では、反射防止層の屈折率を低く保つためには、屈
折率の低い無機系超微粒子をできるだけ多くバインダー
樹脂中に分散させた超微粒子分散体を形成する必要があ
るが、無機系超微粒子はバインダー樹脂中においては相
互が凝集してしまい、うまく分散しないために、バイン
ダー樹脂中へ大量に混合すること、および均一に混合す
ることは実質上不可能であった。また、無機系超微粒子
材料を大量に使用することに伴い、塗膜形成性が悪くな
ったり、機械的強度が悪くなるという問題点があった。
従って、所望の屈折率を持つ層を形成することが困難で
あり、最終的には反射防止膜を得ることは困難であっ
た。
【0009】このような問題を解決するために、本発明
者は、表面に水酸基が存在する無機系超微粒子材料を用
い、前記無機系超微粒子と直接或いは第3の物質を介し
て水素結合を形成する官能基をバインダー樹脂に含有さ
せることにより、バインダー樹脂の溶剤中に無機系超微
粒子を高濃度に分散させ、この高濃度分散液を光学材料
とすることによって、所望の屈折率を実現させた反射防
止膜を得る発明を既に、特願平5−146815号とし
て出願している。
【0010】前記発明において、バインダー樹脂として
ミクロゲルのような内部が架橋している粒子状の樹脂を
用いた場合では、塗膜を乾燥する際に無機系超微粒子が
あまり過剰に存在すると、その無機系超微粒子がバイン
ダー樹脂相互の界面に集中し、かえってバインダー樹脂
の粒子同士の融着や硬化を妨げるように働くため、その
塗膜の機密性が不十分となり、その結果、得られる反射
防止層に十分な強度を持たせることは困難であるという
問題があった。
【0011】また、プラスチックを基体として使用し、
その上に反射防止膜等のコーティング塗膜を形成する場
合、プラスチックの基体自体の表面が非常に柔らかいた
めに耐擦傷性がない等の問題があり、従来、反射防止能
と同時に塗膜にハード性能を付与することは極めて困難
であった。特に、反射防止膜をフィルム上に形成する場
合、上記ハード性能に加えて塗膜のフレキシビリティも
要求される。
【0012】さらに、無機質ポリマーに有機質ポリマー
を混合した建築用塗料は、無機ポリマーの長所である耐
熱性、耐炎性が著しく低下するという問題があった。
【0013】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、バインダー樹脂と無機成分を分子レベル
で均一なものとすることを目的とし、しかもバインダー
樹脂中に無機成分を大量に分散させることができ、得ら
れた塗膜は十分な強度を発揮でき、しかもその塗膜は使
用する無機成分の種類によって十分に反射防止効果を発
揮できるコーティング用組成物、その製造方法、塗膜形
成方法およびその塗膜を提供することを目的とする。
【0014】本発明は、上記の目的に加え、塗膜にハー
ド性能を付与し、且つ塗膜のフレキシビリティを付与
し、さらに耐熱性、耐炎性を付与することができるコー
ティング用組成物、その製造方法、塗膜形成方法および
その塗膜を提供することを目的とする。
【0015】本発明は、さらに上記の目的に加え、耐熱
性および耐炎性が改善された建築用塗料を提供すること
を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明者は、コーティング用組成物の形成過
程で定量的に無機成分を有機ポリマーと複合させる方法
について研究を行い、特に、合成樹脂エマルジョンと金
属アルコキシドに代表される有機金属化合物をブレンド
して塗膜を得ることにより、次の各発明をなしとげた。
【0017】すなわち、本発明のコーティング用組成物
は、水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を含む塗膜形
成性合成樹脂エマルジョンと、水素結合の形成が可能な
1種または2種以上の金属化合物とから基本的に構成さ
れることを特徴とする。
【0018】また本発明のコーティング用組成物の製造
方法は、水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を膨潤さ
せ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な1種ま
たは2種以上の金属化合物を導入することを特徴とす
る。
【0019】また本発明のコーティング用組成物の製造
方法は、水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を膨潤さ
せ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な1種ま
たは2種以上の金属化合物を導入し、次いで該合成樹脂
粒子内において、前記金属化合物の加水分解および縮合
反応を行うことにより、無機成分を成長させ、その成長
した無機成分の少なくとも一部を前記合成樹脂粒子内に
存在する水素結合形成基と反応させて、該成長した無機
成分を前記合成樹脂粒子内に固定させることを特徴とす
る。
【0020】また本発明のコーティング用組成物の製造
方法は、水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を膨潤さ
せ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な1種ま
たは2種以上の金属化合物を導入し、且つ該合成樹脂粒
子の表面とその近傍にも前記金属化合物を集合させるこ
とを特徴とする。
【0021】また本発明のコーティング用組成物の製造
方法は、水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を膨潤さ
せ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な1種ま
たは2種以上の金属化合物を導入し、且つ該合成樹脂粒
子の表面とその近傍にも前記金属化合物を集合させ、次
いで該合成樹脂粒子内およびその表面とその近傍におい
て、前記金属化合物の加水分解および縮合反応を行うこ
とにより、無機成分を成長させ、その成長した無機成分
の少なくとも一部を前記合成樹脂粒子内部およびその表
面とその近傍に存在する水素結合形成基と反応させて、
該成長した無機成分を前記合成樹脂粒子の内部およびそ
の表面とその近傍に固定させることを特徴とする。
【0022】また本発明の塗膜の形成方法は、前記の各
コーティング用組成物を基体表面に塗布し、そのままあ
るいは200℃以下の温度で乾燥することにより、コー
ティング用組成物の合成樹脂粒子内に存在する無機成分
を成長させ、該無機成分を少なくとも水素結合および/
または共有結合により固定させた状態の塗膜を得ること
を特徴とする。
【0023】また本発明の塗膜の形成方法は、前記の各
コーティング用組成物を基体表面に塗布し、そのままあ
るいは200℃以下の温度で乾燥することにより、コー
ティング用組成物の合成樹脂粒子内部、および表面とそ
の近傍に存在する無機成分の一部を成長させ、該無機成
分を少なくとも水素結合および/または共有結合により
固定させると同時に、該合成樹脂粒子へ導入されなかっ
た残りの無機成分を塗膜形成の過程で塗膜最表層に多く
浮き出させて無機成分の連続層となった塗膜を得ること
を特徴とする。
【0024】また本発明の塗膜は、合成樹脂粒子が相互
に結合してなる塗膜であって、該合成樹脂粒子中に少な
くとも一部が水素結合および/または共有結合により該
合成樹脂粒子の樹脂成分と結合している無機成分が存在
していることを特徴とする。また本発明の塗膜は、無機
成分からなる連続層が合成樹脂粒子が相互に結合した部
分を被覆してなる塗膜であって、該合成樹脂粒子の内
部、および表面とその近傍において少なくとも一部が水
素結合および/または共有結合により該合成樹脂粒子の
樹脂成分と結合している無機成分が存在していることを
特徴とする。
【0025】本発明は上記各構成とすることにより、本
発明のコーティング用組成物は有機成分と無機成分を大
量に含有するにもかかわらず有機−無機成分間で親和性
を有し、このコーティング用組成物を用いて塗膜を形成
する際に、無機成分が成長すると同時に有機成分と結合
し、合成樹脂粒子の内部に無機成分が導入され且つ無機
成分が有機成分を被覆するように塗膜の最表層で連続層
を形成するので、形成される塗膜は十分な強度を発揮で
き、しかもその塗膜は使用する無機成分によって十分に
反射防止効果を発揮でき、ハード性能を有すると共にフ
レキシビリティを有し、さらに耐熱性、耐炎性をも有す
る。したがって、本発明のコーティング用組成物は光学
材料用途又は建築用途に使用できる。
【0026】以下に本発明をさらに詳細にのべる。
【0027】合成樹脂粒子:本発明で使用される水素結
合形成基を含有する合成樹脂粒子は、特に限定されない
が、水素結合形成基を含有するものであって、ポリマー
ラテックス微粒子と呼ばれる合成樹脂粒子が好ましく使
用できる。特に、本発明のコーティング用組成物を反射
防止膜層として使用する場合、アクリル誘導体やメタク
リル誘導体に代表される官能基を有するα、β−エチレ
ン性不飽和単量体の単独あるいは共重合体からなる合成
樹脂粒子が、透明性が高く好ましく用いられる。
【0028】官能基を有するα、β−エチレン性不飽和
単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン
酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル等
の不飽和カルボン酸、または不飽和多価カルボン酸誘導
体類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カ
ルボン酸アミド類、N−メチロールアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド等のN−メチルロール不
飽和カルボン酸アミド類、グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート等の不飽和グリシジル化合物
類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、ヒドロキシビニルエーテル等のアル
キロール化不飽和化合物類、フタル酸ジアリル、ジビニ
ルベンゼンまたはジアリル化合物を挙げることができ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0029】本発明に使用することのできる合成樹脂粒
子を構成するための他の単量体としては、例えば、アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等
のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソ
ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル
酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリロニト
リル、ソタクリロニトリル、スチレン、クロルスチレン
等を挙げることができる。そしてこれらのうち、ガラス
転移温度の高い単量体と低い単量体とを組み合わせるこ
とが、塗膜の乾燥の際に溶剤の蒸発により生じる亀裂を
抑える点から特に好ましい。
【0030】特に、光学材料用のコーティング用組成物
とする場合には、上記の単量体の中ではメタクリル酸エ
ステル系単量体が、透明性が優れている点で主として用
いられ、また、スチレン−アクリル系単量体でスチレン
量が多いものは造膜温度を下げ作業性が良好になるの
で、好適に用いられる。
【0031】また、必要に応じて上記単量体と共重合さ
せる単量体として、アクリル酸エステル類またはメタク
リル酸エステル類以外の、クロトン酸メチル、クロトン
酸エチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等の
不飽和カルボン酸エステル類あるいは不飽和多価カルボ
ン酸エステル類、酢酸ビニル、2−プロピオン酸ビニ
ル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニルおよびビバ
リン酸ビニル等のα−位で分岐した飽和カルボン酸のビ
ニルエステル等のビニルエステル類、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、エチレン等の1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0032】水素結合形成基を有する合成樹脂粒子であ
る前記ポリマーラテックス微粒子は、通常の乳化重合
法、あるいはソープフリーの乳化重合法(乳化剤を用い
ない高分子エマルジョンの合成方法)、シード乳化重合
法〔先に合成した高分子エマルジョンの内部を重合の場
(シード)とし、主に疎水性モノマーの重合を行う方
法〕により得られる。このようなポリマーラテックス微
粒子内は適度な架橋により3次元化されており、架橋を
調整することによって、所望な塗膜の物性を得、耐溶剤
性の向上を図ることができる。
【0033】上記ポリマーラテックス微粒子の内部の架
橋は、例えば、塗装工学、第22巻、9号、384頁
(1987年)に記載の合成例のようにして、行うこと
ができる。例えば、メタクリル酸メチルとアクリル酸エ
チルの共重合体を架橋性の高いオリゴエステルアクリレ
ート系反応性乳化剤の存在下で架橋を行った後、残りの
混合モノマーを添加し、過硫酸カリウム−チオ硫酸ナト
リウム系開始剤を滴下しながら共重合を行うことによ
り、内部が適度に架橋したポリマーラテックス微粒子が
得られる。
【0034】本発明においては上記のような合成樹脂粒
子は、後述するような水素結合の形成が可能な金属化合
物と水素結合を形成することができる水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基等の水素結合形成基を含有することが
必要である。このような水素結合形成基は、上述の合成
樹脂粒子の合成例における重合の途中で、アクリル酸誘
導体やメタクリル酸誘導体の官能基含有タイプのモノマ
ーを全モノマー量に対して1〜5重量%添加することに
より容易に導入することができる。このような水素結合
形成基の導入は、水素結合形成基を合成樹脂粒子の内部
に多く存在させる点において好ましい。
【0035】本発明の塗膜中における合成樹脂粒子の粒
径は、特に透明な塗膜を得ようとする場合、その光学的
な特性を決定する。好ましくは10μm以下の範囲で適
宜設定し、特に可視光領域で人間に敏感に感じられる光
の波長0.05〜0.06μmよりも小さい粒径である
場合は、人間の視認性の観点から光の透過性に悪影響を
与えないので好ましく、しかも、無機成分を合成樹脂粒
子内部で成長させる場合、必要以上の大きさに成長させ
ないためにも上記の範囲の粒径が好ましい。
【0036】なお、均一な塗膜面を得る目的のために
は、合成樹脂粒子の粒径は均一であることが好ましく、
極端に粒径の異なる2種以上の合成樹脂粒子を使用した
場合、塗膜面が不均一となり十分な透明性が得られない
ことがある。
【0037】合成樹脂粒子内部が適度に架橋している場
合、内部に固定される無機成分が合成樹脂粒子の架橋密
度を上げることが考えられるが、あまり架橋密度が上が
りすぎると塗膜自体の機械的強度が落ちたり、透明性を
損なうことになるので、合成樹脂粒子の架橋密度や添加
する金属アルコキシドの量は適宜調節する必要がある。
【0038】水素結合の可能な金属化合物:本発明で使
用される「水素結合の可能な金属化合物」には、ゾル−
ゲル法による無機ガラスやセラミックスの前駆体として
知られる金属アルコキシド誘導体、金属アセチルアセト
ネート誘導体、金属カルボキシレート誘導体等の有機金
属化合物、およびそれら有機金属化合物の各々の加水分
解物、部分加水分解物、部分縮合物、並びに前記有機金
属化合物の金属に対応する硝酸塩、オキシ硝酸塩、塩化
物などの無機金属化合物、それら各々無機金属化合物の
加水分解物、部分加水分解物、部分縮合物が挙げられ
る。
【0039】金属アルコキシドに代表される有機金属化
合物の加水分解、縮合反応を利用したゾル−ゲル法は、
低温での金属酸化物合成反応であり、本発明における合
成樹脂粒子内及びその表面と表面近傍での無機成分の成
長反応に特に好適に利用される。その理由は、この無機
成分の成長反応過程における金属アルコキシドの加水分
解物、部分加水分解物、部分縮合物が、水素結合形成能
を有する水酸基を特に多く含有することから、水素結合
形成基を有する合成樹脂粒子と水素結合やエステル結合
を形成して、合成樹脂粒子内及びその表面と表面近傍に
おいて、成長した無機成分が水素結合やエステル結合等
により容易に固定されるので、本発明の実現の上で好ま
しい材料といえる。
【0040】金属アルコキシドとしては、ほとんど全て
の金属アルコキシドが利用できるが、シリカ、チタン、
アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム、アンチモン、錫等
のアルコキシドが比較的安価で入手でき、反応の調整が
容易であることなどから好ましく使用される。
【0041】金属アルコキシドのアルコキシ基は1分子
中に2個以上存在することが、無機成分の成長および合
成樹脂粒子内における水素結合をさせる点において必要
であるが、この条件を満たしていればアルキル基等の炭
化水素基、エポキシ基やアミド基等の反応性官能基が存
在していても構わない。これらアルコキシ基以外の官能
基は、塗膜の柔軟性の付与、塗膜の補強、染色性の向上
等に都合良く作用するものがあり、このような各種目的
のために前記官能基が存在していても構わない。
【0042】本発明におけるコーティング用組成物に配
合される金属化合物の配合量は、前記合成樹脂粒子1重
量部に対し0.01〜30重量部とすることが望まし
い。金属化合物の配合量が合成樹脂粒子1重量部に対し
0.01重量部未満であると無機成分の添加効果がな
く、また30重量部を越えると、形成される塗膜全体が
殆ど無機成分となるため、硬い塗膜になるが脆くなるか
ら好ましくない。さらに、金属化合物の配合量が合成樹
脂粒子1重量部に対し16重量部以上になると、形成さ
れる塗膜が透明で表面硬度が向上し、且つ耐熱性のある
塗膜となる。
【0043】合成樹脂粒子の膨潤:本発明のコーティン
グ用組成物の製造において、合成樹脂粒子内へ金属化合
物を導入させるためには、合成樹脂粒子は膨潤していな
ければならない。この合成樹脂粒子の膨潤方法には、有
機溶剤を用いる方法、合成樹脂粒子を加熱する方法、或
いはこれらの方法を併用する方法によって行う。
【0044】前記有機溶剤を用いる方法は、例えば、合
成樹脂粒子と水で構成された塗膜形成エマルジョンをエ
タノールやテトラヒドロフランのような有機溶剤中に添
加して合成樹脂粒子を膨潤させる。このように膨潤した
合成樹脂粒子は、金属化合物を受入れ、その内部におい
て金属化合物が縮合して無機成分を成長させ、無機成分
を固定させやすくすることができる。
【0045】金属アルコキシドは水に不溶で、有機溶剤
に可溶であるため、前記のように溶剤を用いた系では反
応を特に均一に行うことができる。通常、金属アルコキ
シドに対して0.5〜8モル倍に対応する有機溶剤等を
用いる。使用する有機溶剤量が0.5モル倍未満の場
合、膨潤が十分でなく本発明の効果が十分に発現され
ず、また8モル倍を越えると、有機溶剤添加による効果
がそれ以上増大せず、溶液量が増えるだけで好ましくな
い。
【0046】合成樹脂粒子の加熱による膨潤は、通常、
該合成樹脂粒子を構成する樹脂成分のガラス転移温度以
上の加熱を必要とするが、本発明のコーティング用組成
物の製造では、全て溶液中で行なえるため、構成成分の
種類にかかわらず、室温以上、好ましくは、50℃以上
の加熱で十分な膨潤が行なえる。本発明のコーティング
用組成物を製造する際には、合成樹脂粒子を有機溶剤中
に添加した後、反応を加熱しながら行うことにより、十
分に膨潤した合成樹脂粒子が得られるのでより好まし
い。
【0047】金属化合物の加水分解:水素結合の形成が
可能な金属化合物の加水分解反応は、ポリマーラテック
スの分散媒である水により起こる。その水の使用量は前
記金属化合物1モルに対して1〜10モル程度が好まし
く、適宜調整する必要がある。水の使用量が1モル未満
の場合、加水分解反応が充分に進まず、本発明の効果が
発現されないことがある。また、水の使用量が10モル
を越える場合、形成された塗膜の透明性が損なわれる恐
れがある。なお、加水分解反応を促進するために、合成
樹脂粒子に悪影響を及ぼさない程度の量や種類の酸やア
ルカリ触媒を添加することも可能である。
【0048】前記金属化合物の加水分解反応は、水のみ
の系では室温〜80℃、特に50℃〜80℃の温度範囲
で行うことが好ましい。室温未満の温度で加水分解を行
うと、塗膜の光学特性に関与する無機成分が得られない
恐れがある。一方、80℃を越える温度で加水分解を行
うと、金属化合物の急激なゲル化が生じて無機成分の不
均一分布が起こり好ましくない。また、触媒を添加する
場合は、反応速度を調節するために10℃〜50℃の温
度範囲で加水分解を行うことが好ましい。
【0049】また、加水分解時間は、水のみの系では5
時間以上、触媒を添加した系では1時間以上が好まし
い。なお、加水分解を均一に速やかに進行させるため
に、加水分解を撹拌下で行うことが好ましい。さらに、
反応終了後も液をそのまま20時間以上保ち、熟成によ
り反応を完結させることで塗膜の機械的な強度を向上さ
せることもできる。
【0050】前記金属化合物は、そのほとんどが水に対
して、通常、不溶あるいは難溶であるために、水のみの
系では加水分解を開始するには長時間を要し、また反応
が不均一に起こり、系内の無機成分を必要以上に高めて
しまう恐れもある。そこで、加水分解反応をより短時間
で、効率よく行うためには親水性の有機溶剤であるアル
コール類やエーテル類を水と同時に存在させることが、
本発明のコーティング用組成物を得るためにはより好ま
しい。
【0051】加水分解を水と有機溶剤の存在する系で行
う場合も室温〜80℃、特に、50〜80℃の温度範囲
で行うことが好ましい。また、反応時間は3時間以上、
触媒を添加した系では30分以上で充分な加水分解物が
得られる。
【0052】前記金属化合物の加水分解の時期について
は、上記金属化合物を合成樹脂エマルジョン溶液中に添
加した後に、金属化合物の加水分解を行ってもよく、ま
た予め金属化合物の加水分解を行った後或いは金属化合
物の加水分解が十分に進行しないうちに、加水分解物或
いは部分加水分解物を添加してもよい。しかしながら、
最終的な塗膜をより均質なものとするためには、予め化
合物の少なくとも一部を加水分解しておいてから合成樹
脂エマルジョン溶液中に添加したほうがより好ましい。
【0053】前記金属化合物の加水分解、縮合反応によ
り生成される無機成分の合成樹脂粒子内部への固定は、
コーティング用組成物の塗布前に行ってもよく、また、
塗布後の塗膜形成と同時に進行させてもよい。合成樹脂
粒子への金属化合物の固定手段は水素結合および/また
は共有結合により行われる。
【0054】なお、本発明のコーティング用組成物に
は、その光学的特性を損なわない範囲で着色剤、紫外線
吸収剤、造粘剤、防腐剤等を添加することができる。
【0055】塗膜の形成:本発明のコーティング用組成
物の使用対象となる基体は特に限定されない。その塗膜
の形成方法は、バーコート法、ロールコート法、スプレ
ーコート法、浸漬塗布法、スピンコート法、カーテンフ
ロー法、流延塗布法等の種々の塗布法が適用できる。
【0056】また、塗布後の最低造膜温度以上の温度で
の乾燥は、温風乾燥、加熱乾燥等、いずれの方法を用い
てもよい。
【0057】塗膜は合成樹脂粒子同士の融着や結着によ
り形成されるが、乾燥条件などにより融着や結着が不充
分になり、粒子間に空隙を生じることがある。この空隙
が塗膜一面に分布する場合、外観上の美観や膜強度を著
しく損なうことになり好ましくない。このような場合、
造膜助剤等を添加することで粒子同士の融着や結着を起
こしやすい状態に調節できることが知られているが、本
発明のコーティング用組成物においても、エチレングリ
コールモノブチルエーテルやジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル
1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等を造膜
助剤として使用することができる。
【0058】塗膜の厚さは、塗膜の使用目的により適宜
設定することができ、特に限定されるものではない。例
えば、塗膜による基体表面の保護膜や反射防止膜の高屈
折率層を形成する場合は、比較的厚い塗膜が必要であ
り、0.1μm〜0.5mm程度の厚さとすることがで
きる。また、反射防止膜層の最表面層の低屈折率層等の
形成の場合、比較的薄い塗膜が好ましく、例えば0.0
1〜0.05μm程度とすることができる。
【0059】合成樹脂粒子の表面とその近傍に積極的に
無機成分を生成させる方法:本発明のコーティング用組
成物の製造方法によれば、合成樹脂粒子の内部へ無機成
分の導入を行った場合、多かれ少なかれ合成樹脂粒子の
表面とその近傍にも無機成分は分布する。しかしなが
ら、合成樹脂粒子の表面とその近傍に積極的に無機成分
を生成させるには、疎水性溶液中で水素結合の形成が可
能な1種または2種以上の金属化合物を水素結合形成基
を有する合成樹脂粒子に適用することにより行うことが
できる。このような疎水性溶液には、合成樹脂粒子を十
分に膨潤させるような極性溶液、例えば、一般的にはベ
ンゼン、トルエン等がコーティング用組成物および塗膜
の均一性に関して効果が高いので有利に使用できる。
【0060】また、上記とは別の方法としては、水素結
合形成基がその表面とその近傍に分布した合成樹脂粒子
を用いることにより、合成樹脂粒子の表面とその近傍に
積極的に無機成分を生成させることができる。さらに、
上記と別の方法としては、架橋密度の高い合成樹脂粒子
を用いることにより、合成樹脂粒子の表面とその近傍に
積極的に無機成分を生成させることができる。あるい
は、これらの無機成分を生成させる方法を併用してもよ
い。
【0061】本発明のコーティング用組成物は、基体表
面に塗布して室温あるいは合成樹脂粒子の最低造膜温度
以上の温度で乾燥、好ましくは200℃以下の温度で乾
燥することにより、透明なハードコート膜であると同時
に、必要に応じて反射防止等の光学特性の優れた塗膜を
形成することができる。本発明のコーティング用組成物
の使用対象となる基体は、特に限定されない。また、塗
布後の乾燥は、自然乾燥、温風乾燥、加熱乾燥等、何れ
の方法を用いてもよい。
【0062】また、本発明のコーティング用組成物にお
いて乾燥の際に溶剤の揮発速度の違いにより塗膜表面に
生じる微細な亀裂を防止するために造膜助剤等を添加す
ることも可能である。
【0063】このような塗膜の厚さは、塗膜の使用目的
により適宜設定することができ、特に限定されるもので
はない。例えば、塗膜による基体表面の保護膜や建材用
塗膜とする場合は、比較的厚い塗膜が必要であり、0.
1μm〜0.5mm程度の厚みとすることができる。ま
た、反射防止膜層の最表面層の低屈折率層等を形成する
場合、光学薄膜等の比較的薄い塗膜が好ましく、例え
ば、0.01〜0.05μm程度とすることができる。
【0064】なお、本発明のコーティング用組成物に
は、その光学的特性を損なわない範囲内で、必要に応じ
て、着色剤、紫外線吸収剤、増粘剤、防腐剤、造膜助剤
等を添加することを妨げない。本発明のコーティング用
組成物は、造膜助剤を特に添加しなくても透明な均一膜
とすることができる。
【0065】
【作用】本発明のコーティング用組成物は、以上説明し
たように、水素結合が可能な金属化合物を有機溶剤また
は加熱により膨潤した合成樹脂粒子内部、および合成樹
脂粒子の表面とその近傍に導入して吸着させ、金属化合
物の加水分解および縮合反応を、主として樹脂の持つ水
素結合形成基と水素結合を形成しながら、場合によりエ
ステル結合を形成しながら、同時並行的に無機成分を成
長させ、かつ成長した無機成分の一部をそのまま合成樹
脂粒子内部、さらには合成樹脂粒子の表面とその近傍に
も固定させたものである。
【0066】本発明のコーティング用組成物を用いて形
成した塗膜中の合成樹脂粒子相互の状態は、図1又は図
2に示す合成樹脂粒子の断面の模式図によって説明する
ことができる。
【0067】図1において、1は合成樹脂粒子であり、
太線は特に密に架橋した部分2である。小さい白丸は、
成長した無機成分3を示している。図1に示すように、
本発明のコーティング用組成物を用いて形成した塗膜中
の各無機成分3は合成樹脂粒子の表面乃至内部に均一に
分布しており、その塗膜の乾燥過程において合成樹脂粒
子1同士の融着や結着による塗膜形成を無機成分3が妨
げることはないので、形成された塗膜中の合成樹脂粒子
1は相互に密着しており、得られる塗膜は均一で高い機
械的強度が発揮される。
【0068】図2は、図1に示す合成樹脂粒子の断面模
式図において、合成樹脂粒子の内部に分布させるととも
に、さらに合成樹脂粒子の表面とその近傍に積極的に無
機成分を成長させたものである。成長した無機化合物と
合成樹脂粒子とは親和性がよく、さらに合成樹脂粒子の
表面には無機化合物が集中して合成樹脂粒子を被覆して
いるので、形成された塗膜中の合成樹脂粒子1は相互に
密着すると共に、無機成分は連続層を形成することにな
る。このため、無機成分と有機成分間での界面が連続し
てつながった連続層が形成される。得られた塗膜は、透
明で均一となると同時に、無機成分が有機成分と比べて
低表面張力であるため、無機成分の一部が塗膜表面層に
浮き出してくる。したがって、得られる塗膜は均一で高
い機械的強度、高い耐熱性が発揮され、しかも有機ポリ
マーを含んでいるためフレキシビリティもある。
【0069】これらの本発明のコーティング用組成物を
用いて形成した塗膜に対して、前記〔発明が解決しよう
とする課題〕において説明した、表面に水酸基が存在す
る無機系超微粒子と水素結合形成基を有する合成樹脂粒
子とによって得られた塗膜中の合成樹脂粒子の断面の模
式図を図3に対照として示す。図3に示すように、無機
系超微粒子6が該合成樹脂粒子4中に浸入しておらず、
その界面のみに集中している。そのため、合成樹脂粒子
4相互は無機系超微粒子6を介して結合されており、本
発明のコーティング用組成物の合成樹脂粒子相互の結合
力よりも弱いため、得られる塗膜は本発明の塗膜より機
械的強度が弱い。
【0070】このように、本発明のコーティング用組成
物により得られる塗膜は、通常の合成樹脂粒子から得ら
れる塗膜よりもはるかに高強度な塗膜で且つ耐熱性、耐
炎性が向上しており、塗膜を高温で焼成した場合でも有
機成分の炭化が防止できる効果がある。
【0071】また、本発明により得られる塗膜は、多量
の無機成分を含有させることが可能であるので、種々の
屈折率の無機成分を選択することにより塗膜の屈折率の
任意な調整が可能であり、特に、反射防止効果のような
光学機能膜としての特性を持たせることができる。
【0072】さらに、本発明により得られる塗膜は、無
機成分に酸素の透過性に優れる酸化硅素などを選択した
場合、無機成分が連続層を形成することから、建築用塗
料に必要な木材等の建築基材の呼吸作用を阻害しない塗
膜が形成できる。
【0073】なお、従来の無機ポリマー、あるいは無機
ポリマーに有機ポリマーをブレンドしたものは数μmの
膜厚にした場合、ひび割れが起こり強度が著しく低下す
ることがあったが、本発明の塗膜は数十μm厚にしても
そのようなひび割れは全く観察されず、高強度な塗膜と
なる。このことは、塗膜形成の際に合成樹脂粒子同士が
一部融着や結着を起こすが、全体として無機成分の添加
量が多い場合、いわゆる充填剤として作用するためであ
ると考えられる。
【0074】合成樹脂粒子の内部が適度に架橋している
場合、内部に導入される無機成分が合成樹脂粒子の架橋
密度を上げることが考えられ、表面に導入される無機成
分は、界面での親和性を向上させると同時に、合成樹脂
粒子の形状を保持させる特性も持つために、合成樹脂粒
子が充填剤として、より効果的に働くことが可能とな
る。
【0075】
【実施例】
〔実施例1〕アクリル酸ブチル7重量部、メタクリル酸
メチル3重量部からなる混合単量体をアルキルフェニル
エーテルスルホン酸ナトリウム0.2重量部を水10重
量部に溶解した水溶液中に滴下して乳化重合を行った。
この乳化重合過程において混合単量体の残りが3/5に
なった時点より、2−ヒドロキシエチルメタクリレート
0.5重量部も同時に滴下して乳化重合を行い、水酸基
を含有する合成樹脂粒子(粒径0.6μm)と水で構成
された塗膜形成性合成樹脂エマルジョン(固形分濃度3
0重量%)を得た。
【0076】この塗膜形成性合成樹脂エマルジョンの2
重量部をテトラヒドロフラン14重量部とエタノール4
重量部の混合溶液中に滴下して合成樹脂粒子を充分に膨
潤した均一溶液を得た。
【0077】次に、上記のようにして得た塗膜形成性合
成樹脂エマルジョン溶液に下記の組成の有機金属化合物
混合液を15.7重量部添加し、70℃で5時間撹拌し
て加水分解反応を行ない、本実施例1のコーティング用
組成物を得た。 (有機金属化合物混合液の組成) ・テトラエトキシシラン ・・・・ 10 重量% ・エタノール ・・・・ 4 重量% ・水 ・・・・ 1.2重量% ・0.1N塩酸 ・・・・ 0.5重量% 上記のコーティング用組成物に造膜助剤としてジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルアセテート10重量部
を添加した後、基材フィルムとしてのポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルム上にワイヤバーで塗布
(乾燥後の塗布量=0.03g/m2 )し、80℃で1
時間乾燥して、本実施例1の塗膜を形成した。
【0078】得られた塗膜の透過型電子顕微鏡写真を図
4に示す。図4によれば、本実施例1の塗膜中において
無機成分は合成樹脂粒子の内部に存在していることがわ
かる。得られた塗膜の反射防止膜としての特性を確認す
るために550nm付近の可視光透過率を下記の表1に
示す。
【0079】得られた塗膜の強度を鉛筆硬度試験で測定
したところB〜HBであった。合成樹脂粒子のみからな
る塗膜の鉛筆硬度が4B程度であることを考慮すると、
かなり強度が上がっている。さらに、本実施例1の塗膜
を140℃で1時間加熱すると2H〜3Hに鉛筆硬度が
上昇した。
【0080】〔比較例1〕前記実施例1の手法によりテ
トラエトキシシラン10重量部から3重量部のSiO2
粒子が生成することが熱重量分析法により確認できたた
め、前記実施例1の手法により得られた塗膜形成性合成
樹脂エマルジョン溶液20重量部に、エタノール分散タ
イプのコロイダルシリカ溶液(固型分30重量%)を1
0重量部と最終的な固型分濃度を揃えるためにエタノー
ル3重量部を添加してコーティング用組成物を得た。
【0081】その後、上記のコーティング用組成物に造
膜助剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル
アセテート10重量部を添加した後、直接、前記実施例
1において用いられたものと同じPETフィルム上にワ
イヤバーにより塗布(乾燥後の塗布量=0.03g/m
2 )し、80℃で1時間乾燥して、比較例1の塗膜を形
成した。
【0082】得られた塗膜の透過型電子顕微鏡写真を図
5に示す。図5によれば、比較例1の塗膜中において無
機成分は合成樹脂粒子同士の界面に存在していることが
分かる。得られた塗膜の反射防止膜としての特性を確認
するために550nm付近の可視光透過率を下記の表1
に示す。
【0083】また、得られた塗膜は、指でこすっただけ
で剥がれてしまい鉛筆硬度測定が不可能であった。
【0084】〔比較例2〕前記実施例1で得られた塗膜
形成性合成樹脂エマルジョン溶液を、有機金属化合物混
合液を添加することなく、直接、前記実施例1において
用いられたものと同じPETフィルム上にワイヤバーに
より塗布(乾燥後の塗布量=0.02g/m2 )し、8
0℃で1時間乾燥して、比較例2の塗膜を形成した。
【0085】〔実施例2〕塗膜形成性合成樹脂エマルジ
ョンとして、内部に架橋構造を有する合成樹脂粒子(粒
径30nm)を含有した塗膜形成性合成樹脂エマルジョ
ンであるメチロール基含有型反応性高分子ミクロゲルエ
マルジョン(LA−541M2:商品名、ヘキスト合成
(株)製)の固形分濃度30重量%を用いた以外は、前
記実施例1と同様にして本実施例2のコーティング用組
成物を得た。
【0086】次に、このコーティング用組成物を用いて
前記実施例1の塗膜形成方法と同様にして本実施例2の
塗膜を形成した。
【0087】得られた塗膜の透過型電子顕微鏡写真は、
上記の図4に示されるものとほぼ同等であり、550n
m可視光線透過率は93%であった。
【0088】〔比較例3〕前記実施例1に示される合成
樹脂粒子の製造方法において、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレートを添加せず乳化重合を行い、水素結合形成
基を含有しない合成樹脂粒子と水で構成された塗膜形成
性合成樹脂エマルジョン(固形分濃度30重量%)を得
た以外は、前記実施例1と同様にして比較例3の塗膜を
形成した。得られた塗膜は塗布、乾燥の時点で膜全体が
白濁しており、また、指でこすっただけで簡単に剥がれ
落ちた。
【0089】〔実施例3〕前記実施例1で合成した塗膜
形成性合成樹脂エマルジョン50重量部をイソプロピル
アルコール135重量部に滴下して合成樹脂粒子を膨潤
した均一溶液を得た。
【0090】次に、下記の組成の有機金属化合物溶液
を、80℃で24時間撹拌して加水分解反応を行い、そ
の90重量部を先の合成樹脂粒子均一分散溶液185重
量部に添加し、80℃で24時間撹拌して、本実施例3
のコーティング用組成物を得た。
【0091】 (有機金属化合物混合溶液の組成) ・アルミニウムイソプロポキシド ・・・・ 1重量% ・水 ・・・・15重量% その後、本実施例3のコーティング用組成物をポリエチ
レンテレフタレート(PET)フィルム上にワイヤバー
で塗布(乾燥後の塗布量=0.05g/m2 )し、80
℃で2時間乾燥して、本実施例3の塗膜を形成した。
【0092】また、得られた塗膜の反射防止膜としての
特性を確認するために550nm付近の可視光透過率と
鉛筆引っかき試験による硬度測定結果を下記の表1に示
す。 〔実施例4〕前記実施例1で合成した塗膜形成性合成樹
脂エマルジョン(固形分濃度30重量%)2重量部と、
0.1N塩酸0.5重量部と、1.2重量部の水とをト
ルエン20重量部中に滴下して強く撹拌させ、塩酸を含
むエマルジョンの細かな液滴をトルエン中に分散させ
た。次に、塗膜形成性エマルジョン溶液にテトラエトキ
シシラン10重量部を加え、強く撹拌しながら70℃で
5時間加水分解を行う。この時、トルエン中に溶解して
いるテトラエトキシシランの加水分解反応は、合成樹脂
粒子内よりもむしろエマルジョンとトルエン溶液の界面
で起こるため、SiO2 の成長は主としてエマルジョン
粒子の表面とその近傍で選択的に行われる。
【0093】この反応は最初かなり不均一であるが、反
応の進行と共にエタノールが副生されてくるため、次第
に均一系の反応となるが、最初にエマルジョン表面とそ
の近傍にSiO2 膜が形成されるので、その後のテトラ
エトキシシランのエマルジョン内部への吸着は殆どお起
こらない。
【0094】本実施例4で得られたコーティング用組成
物を前記実施例1と同様にして塗膜を形成した。得られ
た塗膜の可視光線透過率は87%、鉛筆硬度はHBであ
り、300℃の焼成でも透明性は損なわれなかった。
【0095】
【表1】 表1によれば、前記実施例1および前記比較例1の各塗
膜を形成した場合、対照のPETフィルム(基材フィル
ム)および比較例2の塗膜に対して、可視光透過率が上
昇していること、即ち、反射防止効果があることが分か
るが、前記実施例1の方が前記比較例1よりも可視光線
透過率が高く、優れた反射防止効果を示すことが分か
る。
【0096】前記比較例1は、シリカゾルが合成樹脂粒
子界面に凝集しながら多数存在し、且つ合成樹脂粒子の
内部には存在しないため、合成樹脂粒子同士の融着が部
分的に妨げられることにより塗膜の一部が白濁し、無機
成分の理論量を揃え他場合に透過率が劣ることがわか
る。
【0097】さらに、前記比較例1で得られた塗膜は指
でこする程度で塗膜の一部が簡単に剥がれてしまった
が、前記実施例1および実施例2より得られた塗膜はこ
のような剥離はなくPETフィルムよりも膜強度が向上
したことを確認した。
【0098】また、個々のコーティング用組成物をガラ
ス基板上にディップコートにより膜厚30μmで塗布し
た後、空気中で300℃で焼いたところ、前記実施例1
〜4の塗膜は完全に透明で、ガラス基板に密着している
のに対し、前記比較例1、2の塗膜は合成樹脂粒子の部
分が大きく炭化変色し、簡単に剥がれてしまった。
【0099】〔実施例5〕前記実施例1で合成した塗膜
形成性合成樹脂エマルジョン(固形分濃度30重量%)
2重量部と、トルエン2.5重量部と、エタノール8重
量部の混合溶液中に滴下して50℃で加熱することによ
り合成樹脂粒子を充分に膨潤させた均一溶液を得た。
【0100】次に、上記のようにして得た、膨潤合成樹
脂エマルジョン溶液に下記の組成の有機金属化合物混合
溶液を9重量部添加し、70℃で5時間攪拌して加水分
解反応を行い、本実施例5のコーティング用組成物を得
た。
【0101】(有機金属化合物混合液の組成) ・テトラエトキシシラン ・・・ 6重量部 ・エタノール ・・・ 2重量部 ・0.1N塩酸 ・・・ 1重量部 上記のコーティング用組成物をガラス基板上にキャスト
し、80℃で1時間乾燥して、本実施例5の無機成分と
有機成分が水素結合および/または共有結合により結合
した複合塗膜を形成した。得られた複合塗膜に対して、
温度を変化させて加熱したときの残留物重量(%)を図
6に示す(加熱前の重量を100%とする)。また、こ
の塗膜を300℃で30分間放置したときの塗膜の外観
は完全に透明であり、変化は観察されず、塗膜の加熱処
理前と加熱処理後の可視光領域での透過率の減少は、0
%であった。
【0102】〔比較例4〕前記実施例5の手法によりテ
トラエトキシシラン6重量部から1.7重量部のSiO
2 粒子が生成することが熱重量分析法により確認できた
ため、前記実施例5の手法により得られた塗膜形成性合
成樹脂エマルジョン溶液12.5重量部に、エタノール
分散タイプのコロイダルシリカ溶液(固形分30重量
%)を5.6重量部添加して比較例4のコーティング用
組成物を得た。
【0103】このコーティング用組成物をガラス基板上
にキャストし、80℃で1時間乾燥して、比較例4の塗
膜を形成した。この塗膜に対して、上記実施例5と同一
の条件で加熱したときの残留物重量(%)を図6に示
す。また、前記実施例5と同一の加熱条件での可視光領
域で透過光の減少は、85%(減少率)であった。
【0104】〔比較例5〕前記実施例5で得られた塗膜
形成性合成樹脂エマルジョン溶液を、有機金属化合物溶
液を添加することなく、直接、前記実施例5において用
いられたものと同じガラス基板上にキャストし、80℃
で1時間乾燥して、比較例5の塗膜を形成した。この塗
膜に対して、上記実施例5と同一の条件で加熱したとき
の残留物重量(%)を図6に示す。また、前記実施例5
と同一の加熱条件での可視光領域で透過光の減少は、7
0%(減少率)であった。
【0105】
【発明の効果】本発明のコーティング用組成物を用いて
形成された塗膜は、コーティング用組成物中で金属化合
物が合成樹脂粒子の水素結合基と水素結合を形成しなが
ら、場合によりエステル結合を形成しながら合成樹脂粒
子内部、および表面に取り込まれ、次いで加水分解、縮
合反応を起こして無機成分を生成し、その無機成分の少
なくとも一部は水素結合および/またはエステル結合に
より合成樹脂粒子内部、および表面とその近傍の樹脂と
結合して強固に固定され、しかも、無機成分が合成樹脂
粒子内部、および表面に均一に分布し、且つ、合成樹脂
粒子は相互に接触して融着して硬化しているので、或い
は合成樹脂粒子は無機成分により被覆されて塗膜中に無
機成分の連続した層が形成されるので、得られた塗膜
は、弾性、強靱性等の機械的強度が高く、しかも柔軟
性、接着性等の特性を兼ね備えている。無機成分の一部
が塗膜の最表層に浮き出して固定される塗膜は、特に、
表面硬度が向上し、耐熱性、耐炎性に優れた塗膜とな
る。
【0106】特定の無機成分を選択して使用することに
より、得られた塗膜は反射防止膜などの光学的な特性が
優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗膜の合成樹脂粒子中における無機成
分を成長させた合成樹脂粒子の断面の模式図である。
【図2】本発明の塗膜の合成樹脂粒子の内部およびその
表面における無機成分を成長させた合成樹脂粒子の断面
の模式図である。
【図3】〔発明が解決しようとする課題〕において説明
した合成樹脂粒子を用いて作成した塗膜中の合成樹脂粒
子の断面の模式図である。
【図4】実施例1で得られた塗膜の透過型電子顕微鏡写
真であり、合成樹脂粒子の粒子構造の状態を示す。
【図5】比較例1で得られた塗膜の透過型電子顕微鏡写
真であり、合成樹脂粒子の粒子構造の状態を示す。
【図6】実施例5、比較例4、比較例5で得られた塗膜
について、横軸に温度(℃)、縦軸に残留物重量(%)
とした耐熱性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 合成樹脂粒子 2 密に架橋した部分 3 成長した無機成分 4 合成樹脂粒子 5 密に架橋した部分 6 無機系超微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 183/02 PMN 185/00 PMW 201/02 PDP G02B 1/11

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を
    含む塗膜形成性合成樹脂エマルジョンと、水素結合の形
    成が可能な1種または2種以上の金属化合物とから基本
    的に構成されることを特徴とするコーティング用組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂粒子は、粒径10μm以下
    の超微粒子ポリマーラテックスである請求項1記載のコ
    ーティング用組成物。
  3. 【請求項3】 前記塗膜形成性合成樹脂エマルジョン
    は、溶剤を含んでいることを特徴とする請求項1または
    2記載のコーティング用組成物。
  4. 【請求項4】 前記金属化合物は、その配合量が前記合
    成樹脂粒子1重量部に対し0.01〜30重量部である
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載のコーティ
    ング用組成物。
  5. 【請求項5】 前記金属化合物は、その配合量が前記合
    成樹脂粒子1重量部に対し16〜30重量部であること
    を特徴とする請求項1、2または3記載のコーティング
    用組成物。
  6. 【請求項6】 前記金属化合物は、金属アルコキシド誘
    導体、金属アセチルアセトネート誘導体などの有機金属
    化合物、およびそれら有機金属化合物各々の加水分解
    物、部分加水分解物、部分縮合物、並びに前記有機金属
    化合物の金属に対応する硝酸塩、オキシ硝酸塩、塩化
    物、およびそれら無機金属化合物各々の加水分解物、部
    分加水分解物、部分縮合物から選ばれた1種または2種
    以上である請求項1、2、3または4記載のコーティン
    グ用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6記載
    のコーティング用組成物が建築用であることを特徴とす
    るコーティング用組成物。
  8. 【請求項8】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を
    膨潤させ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な
    1種または2種以上の金属化合物を導入することを特徴
    とするコーティング用組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子を
    膨潤させ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能な
    1種または2種以上の金属化合物を導入し、次いで該合
    成樹脂粒子内において、前記金属化合物の加水分解およ
    び縮合反応を行うことにより、無機成分を成長させ、そ
    の成長した無機成分の少なくとも一部を前記合成樹脂粒
    子内に存在する水素結合形成基と反応させて、該成長し
    た無機成分を前記合成樹脂粒子内に固定させることを特
    徴とするコーティング用組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子
    を膨潤させ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能
    な1種または2種以上の金属化合物を導入し、且つ該合
    成樹脂粒子の表面およびその近傍にも前記金属化合物を
    集合させることを特徴とするコーティング用組成物の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 水素結合形成基を有する合成樹脂粒子
    を膨潤させ、該合成樹脂粒子内に水素結合の形成が可能
    な1種または2種以上の金属化合物を導入し、且つ該合
    成樹脂粒子の表面およびその近傍にも前記金属化合物を
    集合させ、次いで該合成樹脂粒子内およびその表面とそ
    の近傍において、前記金属化合物の加水分解および縮合
    反応を行うことにより、無機成分を成長させ、その成長
    した無機成分の少なくとも一部を前記合成樹脂粒子内部
    およびその表面とその近傍に存在する水素結合形成基と
    反応させて、該成長した無機成分を前記合成樹脂粒子の
    内部およびその表面とその近傍に固定させることを特徴
    とするコーティング用組成物の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記合成樹脂粒子を膨潤させる方法
    は、合成樹脂微粒子を有機溶剤中に添加し及び/又は合
    成樹脂微粒子を加熱して行うものである請求項8、9、
    10または11記載のコーティング用組成物の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記成長した無機成分を合成樹脂粒子
    の表面とその近傍に固定させる積極的方法は、疎水性溶
    液中で水素結合の形成が可能な1種または2種以上の金
    属化合物を水素結合形成基を有する合成樹脂粒子に適用
    することを特徴とする請求項11又は12記載のコーテ
    ィング用組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記成長した無機成分を合成樹脂粒子
    の表面とその近傍に固定させる積極的方法は、水素結合
    形成基がその表面とその近傍に分布した合成樹脂粒子を
    用いることを特徴とする請求項11又は12記載のコー
    ティング用組成物の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記成長した無機成分を合成樹脂粒子
    の表面とその近傍に固定させる積極的方法は、架橋密度
    の高い合成樹脂粒子を用いることを特徴とする請求項1
    1又は12記載のコーティング用組成物の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記金属化合物の加水分解は、金属化
    合物1モルに対して水1〜10モル程度を使用して行う
    ことを特徴とする請求項9または11記載のコーティン
    グ用組成物の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記金属化合物の加水分解は、室温〜
    80℃にて行うことを特徴とする請求項9、11または
    16記載のコーティング用組成物の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記成長した無機成分を前記合成樹脂
    粒子内部および/または表面とその近傍に固定させる手
    段は、水素結合および/または共有結合により固定させ
    るものである請求項9、11、12、16又は17記載
    のコーティング用組成物の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記合成樹脂粒子は、粒径10μm以
    下の超微粒子ポリマーラテックスである請求項8、9、
    10、11、12、16、17または18記載のコーテ
    ィング用組成物の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記金属化合物は、金属アルコキシド
    誘導体、金属アセチルアセトネート誘導体などの有機金
    属化合物、およびそれら有機金属化合物各々の加水分解
    物、部分加水分解物、部分縮合物、並びに前記有機金属
    化合物の金属に対応する硝酸塩、オキシ硝酸塩、塩化
    物、およびそれら無機金属化合物各々の加水分解物、部
    分加水分解物、部分縮合物から選ばれた1種または2種
    以上である請求項8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16、17、18または19記載のコーティ
    ング用組成物の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1、2、3、4、5、6または
    7記載のコーティング用組成物を基体表面に塗布し、そ
    のままあるいは200℃以下の温度で乾燥することによ
    り、コーティング用組成物の合成樹脂粒子内に存在する
    無機成分を成長させ、該無機成分を少なくとも水素結合
    および/または共有結合により固定させた塗膜を得るこ
    とを特徴とする塗膜形成方法。
  22. 【請求項22】 請求項1、2、3、4、5、6または
    7記載のコーティング用組成物を基体表面に塗布し、そ
    のままあるいは200℃以下の温度で乾燥することによ
    り、コーティング用組成物の合成樹脂粒子内部、および
    表面とその近傍に存在する無機成分の一部を成長させ、
    該無機成分を少なくとも水素結合および/または共有結
    合により固定させると同時に、該合成樹脂粒子へ導入さ
    れなかった残りの無機成分を塗膜形成の過程で塗膜最表
    層に多く浮き出させて無機成分の連続層となった塗膜を
    得ることを特徴とする塗膜形成方法。
  23. 【請求項23】 合成樹脂粒子が相互に結合してなる塗
    膜であって、該合成樹脂粒子中に少なくとも一部が水素
    結合および/または共有結合により該合成樹脂粒子の樹
    脂成分と結合している無機成分が存在していることを特
    徴とする塗膜。
  24. 【請求項24】 無機成分からなる連続層が合成樹脂粒
    子が相互に結合した部分を被覆してなる塗膜であって、
    該合成樹脂粒子の内部、および表面とその近傍において
    少なくとも一部が水素結合および/または共有結合によ
    り該合成樹脂粒子の樹脂成分と結合している無機成分が
    存在していることを特徴とする塗膜。
  25. 【請求項25】 請求項23または24記載の塗膜が基
    体表面に形成されていることを特徴とする塗膜。
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