JPH07247251A - Dl−アスパラギン酸の製造方法 - Google Patents

Dl−アスパラギン酸の製造方法

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JPH07247251A
JPH07247251A JP3745794A JP3745794A JPH07247251A JP H07247251 A JPH07247251 A JP H07247251A JP 3745794 A JP3745794 A JP 3745794A JP 3745794 A JP3745794 A JP 3745794A JP H07247251 A JPH07247251 A JP H07247251A
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JP
Japan
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acid
aspartic acid
mother liquor
ammonia
mol
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Application number
JP3745794A
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English (en)
Inventor
Giichi Fujii
義一 藤井
Hideyuki Nishibayashi
秀幸 西林
Yoshiaki Asakawa
美昭 浅川
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸
からなる群より選ばれる少なくとも1つのカルボン酸と
アンモニアとを水溶液中で反応させてDL−アスパラギ
ン酸を製造する改良方法を提供する。 【構成】 上記方法において、 (a) アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物の
不存在下に行うこととし、 (b) 前記カルボン酸に対してアンモニアを0.8〜1.
4の当量比で用い、 (c) 前記カルボン酸とアンモニアとの反応を110〜1
70℃で行い、 (d) 得られた反応混合物に無水マレイン酸、マレイン酸
およびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つ
のカルボン酸を添加してDL−アスパラギン酸を晶析さ
せ、 (e) 晶析したDL−アスパラギン酸を分離し、 (f) 得られた母液をDL−アスパラギン酸の製造用原料
として循環使用する、ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、DL−アスパラギン
酸を晶析した後の母液をDL−アスパラギン酸の製造用
原料として循環使用するDL−アスパラギン酸の製造方
法に関するものである。DL−アスパラギン酸は、医薬
中間体、界面活性剤等の原料として有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】DL−アスパラギン酸は、マレイン酸ま
たはフマル酸にアンモニアを水溶液中において加熱反応
させることで合成される。使用されるマレイン酸および
フマル酸の反応率を上げるために、これらの酸に対して
大過剰のアンモニアが使用される。
【0003】反応混合物(または反応液)は、水性媒体
に溶解したDL−アスパラギン酸塩を含んでいる。反応
混合物に酸を添加することにより晶析したDL−アスパ
ラギン酸を母液から分離し、DL−アスパラギン酸が得
られる。母液は、上記加熱反応の際の副反応により生成
したイミノジコハク酸を含んでいる。イミノジコハク酸
は、アンモニアと加熱反応することによりDL−アスパ
ラギン酸を生成することが知られている。このため、母
液を廃棄するのではなく、原料として循環使用(リサイ
クル)することが検討されている。
【0004】しかし、母液は、副反応により生成した、
DL−アスパラギン、イミノジコハク酸アミドなどのア
ミド化合物も含んでいる。これらのアミド化合物は、D
L−アスパラギン酸の晶析を妨害するので、DL−アス
パラギン酸の収率低下を招く。しかも、アミド化合物は
反応混合物から分離することができないので、循環使用
により母液に上記アミド化合物が蓄積していき、DL−
アスパラギン酸の純度低下を招く。このため、従来の方
法では、母液の循環使用が実質的に困難であった。
【0005】上記アミド化合物を加水分解する工程を設
けることによりアミド化合物の蓄積を防ぎ、母液の循環
使用を可能にするDL−アスパラギン酸の製造方法が提
案された(特開昭48−56618号公報)。この公報
の方法によれば、アミド化合物の加水分解は、無水マレ
イン酸、マレイン酸またはフマル酸とアンモニアの加熱
反応時または後に、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属の水酸化物を共存させることにより行われる。これに
より、母液にアミド化合物が残存せず、循環使用に供せ
られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記公報の実施例で
は、従来の方法と同様にアンモニアをカルボン酸に対し
て大過剰量で使用している。このため、反応混合物中に
は未反応アンモニアが大量に残る。晶析時にアンモニア
が液中に大量に存在していると、晶析のために添加され
る酸の量がアンモニアの分だけ多くなり、母液には、大
量のアンモニウム塩が生成する。大量のアンモニウム塩
は母液を循環使用したときに全部消費されるわけではな
いので、母液に蓄積し、母液の循環使用を妨げる。この
ため、晶析前に未反応アンモニアを回収する必要があ
る。しかし、アンモニア回収手段を設けると製造装置の
コストが増大する。さらに、アンモニアを回収する場合
でもアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を
中和するため、晶析の際に添加する酸の量が多く必要で
あるという問題は解決されず、母液の循環使用が困難と
なる。
【0007】この発明は、アンモニアの回収が不要で、
高収率かつ高純度でDL−アスパラギン酸が得られ、し
かも、母液の循環使用を可能にし、よって製造コストを
低減できるDL−アスパラギン酸の製造方法を提供する
ことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明のDL−アスパ
ラギン酸の製造方法は、上記課題を解決するために、無
水マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群よ
り選ばれる少なくとも1つのカルボン酸とアンモニアと
を水溶液中で反応させてDL−アスパラギン酸を製造す
る方法において、(a) DL−アスパラギン酸の製造をア
ルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物の不存在
下に行うこととし、(b) 前記カルボン酸に対してアンモ
ニアを0.8〜1.4の当量比で用い、(c) 前記カルボ
ン酸とアンモニアとの反応を110〜170℃で行い、
(d) 得られた反応混合物に無水マレイン酸、マレイン酸
およびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つ
のカルボン酸を添加してDL−アスパラギン酸を晶析さ
せ、(e) 晶析したDL−アスパラギン酸を分離し、(f)
得られた母液をDL−アスパラギン酸の製造用原料とし
て循環使用する、ことを特徴とする。
【0009】発明者らは、副生したアミド化合物の加水
分解を行うのではなく、アミド化合物の副生を抑制する
ことにより母液の循環使用を可能とする方法を検討し
た。そこで、上記カルボン酸とアンモニアとの反応条件
を種々検討した結果、上記カルボン酸と、これに対して
等当量またはほぼ等当量、すなわち0.8〜1.4当量
のアンモニアとを反応させるときには、アミド化合物が
全くまたはほとんど副生しないことを見出した。反応を
110〜170℃の温度で行うと、アミド化合物が全く
またはほとんど生成せず、イミノジコハク酸アンモニウ
ム塩の生成量も低かった。しかも、アルカリ金属および
アルカリ土類金属の水酸化物の存在下に、上記カルボン
酸に対して0.8〜1.4当量のアンモニアを反応させ
るときには、アミド化合物が副生しないが、DL−アス
パラギン酸アンモニウムの生成量が減り、イミノジコハ
ク酸アンモニウムが多量に生成し、DL−アスパラギン
酸の収率が低かった(後述の比較参考例3参照)。この
場合、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物
がDL−アスパラギン酸塩の生成を阻害し、イミノジコ
ハク酸塩の生成を促す。この発明は、これらの知見に基
づき完成された。
【0010】この発明において、DL−アスパラギン酸
の製造をアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化
物の不存在下に行うとは、原材料(媒体である水も含
む)としてそれらの金属の水酸化物もそれらの金属の原
料カルボン酸との塩も含まないものを用い、しかも、D
L−アスパラギン酸製造過程のいかなる段階において
も、それらの金属の、水酸化物、原料カルボン酸塩およ
びアスパラギン酸塩を添加しない、ということである。
したがって、アルカリ金属および/またはアルカリ土類
金属がそれらの鉱酸塩、たとえば、硫酸塩、塩酸塩とし
て存在することはこの発明を妨げるものではない。
【0011】この発明に用いられるカルボン酸は、無水
マレイン酸、マレイン酸およびフマル酸から選ばれる少
なくとも1つである。その使用態様は、無水マレイン酸
単独使用、マレイン酸単独使用、フマル酸単独使用、無
水マレイン酸とマレイン酸の2者併用、無水マレイン酸
とフマル酸の2者併用、マレイン酸とフマル酸の2者併
用、無水マレイン酸とマレイン酸とフマル酸の3者併用
がありうる。無水マレイン酸、マレイン酸およびフマル
酸は、アンモニアとの反応性、副反応の起こしやすさ、
アンモニウム塩の水への溶解性などの点では同等または
ほぼ同等であるので、上記使用態様のいずれを選択して
も、DL−アスパラギン酸の収率、アミド化合物の生成
抑制効果、廃液または廃棄物の種類と量には大きな違い
は生じない。ただし、無水マレイン酸およびマレイン酸
は、フマル酸に比べて安価であるという利点を持ってい
るので、フマル酸を用いない使用態様が安価になる。
【0012】この発明に用いられるアンモニアは、液体
アンモニア、アンモニア水溶液(アンモニア水)等が使
用可能であるが、取り扱い上、アンモニア水が有利であ
る。アンモニア水の濃度としては特に限定されるもので
はないが、10〜35重量%が工業的に利用する場合好
ましい。この発明では、上記カルボン酸のアンモニウム
塩を使用してもよいが、上記カルボン酸の他の塩を使用
することはDL−アスパラギン酸の収率と純度を低下さ
せるおそれがあるので避けるのが好ましい。
【0013】使用されるアンモニアの量は、反応に供さ
れる上記カルボン酸に対して0.8当量以上、1.4当
量以下(0.8〜1.4当量)であり、0.9〜1.1
当量が好ましく、等当量がより好ましい。ここでアンモ
ニア0.8〜1.4当量とは、原料のカルボン酸1モル
あたりアンモニア1.6〜2.8モルのことである。ア
ンモニアの量が0.8当量未満では、DL−アスパラギ
ン酸の収率が低下するので好ましくない。アンモニアを
1.4当量より多く使用するとDL−アスパラギン酸の
アミドであるDL−アスパラギンが生成するのでDL−
アスパラギン酸の収率が低下してしまう結果となるだけ
でなく、母液を循環使用すると晶析を妨害するので好ま
しくない。
【0014】上記カルボン酸とアンモニアとを混合する
場合、混合は、どのように行ってもよいが、両者の全量
を一度に混合するのではなく、一方の全量に対して他方
を徐々に添加するのが好ましく、特に、カルボン酸の水
溶液に対してアンモニアまたはアンモニア水を徐々に添
加するのが好ましい。上記カルボン酸とアンモニアの反
応は、それらを溶解した水溶液中で行う。
【0015】反応の際の原料濃度は、特に限定されない
が、原料濃度が25重量%以上の水溶液で反応させるの
が好ましく、さらに好ましくは30〜90重量%の範囲
である。前記範囲を下回ると生産性が低いだけでなく、
副反応で生成するイミノジコハク酸の量が増大し、DL
−アスパラギン酸の収率が低くなることがある。前記範
囲よりも高濃度では、晶析の際に析出するDL−アスパ
ラギン酸により反応液が攪拌できなくなるため大量の水
を添加することが必要となり、循環使用時の母液の脱水
量を多くするために操作が繁雑となることがある。
【0016】反応温度は、110〜170℃であり、好
ましくは120〜160℃、より好ましくは130〜1
50℃である。反応温度が前記範囲の下限値よりも低い
と反応に要する時間が長くなり、生産性が悪く実用的で
なく、さらに副反応で生成するイミノジコハク酸アンモ
ニウムの量が増大し、DL−アスパラギン酸の収率が低
くなる。反対に、反応温度が前記範囲の上限値よりも高
いとDL−アスパラギンが多く生成し、DL−アスパラ
ギン酸の収率が低下するという結果となる。
【0017】反応時間は、反応温度により適宜変わる
が、30分〜24時間、好ましくは1〜12時間であ
る。反応圧力は、特に限定されるものではないが、蒸気
圧以上の加圧下で行うのが好ましい。この発明ではアン
モニアを酸に対して1.4当量以下の割合で用いるの
で、反応圧力は、アンモニアを大過剰に用いる従来方法
に比べて低圧とすることができる。
【0018】上記のような条件でカルボン酸とアンモニ
アを反応させた後、得られた反応混合物に無水マレイン
酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる
少なくとも1つのカルボン酸を添加してDL−アスパラ
ギン酸を晶析させる。前記カルボン酸を用いて晶析を行
うことにより、副生成物が生成せず、母液が循環使用可
能となる。晶析に鉱酸を用いると母液を循環使用するた
めには鉱酸のアンモニウム塩が蓄積し脱塩工程が必要と
なり好ましくない。ここで晶析のために添加されるカル
ボン酸は、アンモニアとの反応に用いられたのと同じで
ある方が母液を循環使用するという点から好ましいが、
違っていても何ら問題はない。いずれにしても、無機塩
が生成しないので、晶析物や母液からの無機塩の除去操
作は不要である。
【0019】晶析のために反応混合物に添加されるカル
ボン酸の量は、反応混合物に含まれているDL−アスパ
ラギン酸アンモニウムの量に応じて決めることができ
る。この発明によれば、反応混合物は、未反応アンモニ
アを全く含まないか、または、極少量しか含まず、しか
も、アルカリ金属とアルカリ土類金属の水酸化物を含ま
ないので、それらを中和する必要がない。添加されるカ
ルボン酸のモル比は、前記反応混合物に含まれているD
L−アスパラギン酸アンモニウムに対して0.8〜1.
6が好ましく、0.9〜1.5がより好ましく、0.9
〜1.3がさらに好ましい。このモル比よりも少ないと
晶析時に回収されるDL−アスパラギン酸の収率が低く
なるおそれがあり、過剰だと副生成物であるイミノジコ
ハク酸が析出するおそれがある。
【0020】晶析の方法は特に限定はないが、反応混合
物にカルボン酸を徐々に添加していく方法が好ましい。
この方法であれば、晶析したDL−アスパラギン酸の結
晶が大きく、母液からの遠心分離等による分離に適した
ものとなる。カルボン酸を添加した反応混合物は、0〜
100℃で10分間〜4時間、好ましくは、20〜80
℃で30〜120分間攪拌して晶析を完了させる。
【0021】晶析したDL−アスパラギン酸は、遠心分
離、ろ別などの従来の方法と同じやり方に従って、母液
から分離される。分離されたDL−アスパラギン酸は、
必要に応じて従来の方法と同じやり方に従って洗浄され
る。DL−アスパラギン酸晶析物を分離した母液は、D
L−アスパラギン酸の製造用原料として使用される。す
なわち、母液に上記カルボン酸、アンモニア、水などを
適宜添加したり、母液を濃縮したり、あるいは、母液全
量のうちの一部の量を廃棄したりして、カルボン酸に対
するアンモニアの当量比を上記範囲内に調整し、また、
容積を適宜調整して(たとえば、初期の反応混合物と同
じ容積とする)から、カルボン酸とアンモニアの上記加
熱反応→DL−アスパラギン酸の上記晶析→DL−アス
パラギン酸晶析物の上記分離→母液の上記使用を繰り返
すことにより、母液が循環使用される。この発明によれ
ば、母液の循環使用は、10回以上が可能である。
【0022】母液へのアンモニアの添加は、たとえば、
次の点を考慮して行うのが母液の循環使用を繰り返すた
めには好ましい。すなわち、循環使用される母液が含ん
でいる、アンモニアおよびアンモニアに由来するアミン
の合計量が、該母液中に存在するすべての酸に対して
0.8〜1.4当量、好ましくは0.9〜1.1当量、
より好ましくは等当量になるように、アンモニアを添加
する。
【0023】ここで、アンモニアに由来するアミンとは
DL−アスパラギン酸のアミノ基、イミノジコハク酸の
イミノ基である。また、母液中に存在するすべての酸と
は、DL−アスパラギン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
ミノジコハク酸である。
【0024】
【作用】この発明では、無水マレイン酸、マレイン酸お
よびフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの
カルボン酸に対してアンモニアを0.8〜1.4の当量
比で用い、前記カルボン酸とアンモニアをアルカリ金属
およびアルカリ土類金属の水酸化物の不存在下の水溶液
中で110〜170℃で反応させる。
【0025】この反応によりDL−アスパラギン酸アン
モニウムとイミノジコハク酸アンモニウムが生成する
が、アミド化合物は全くまたはほとんど生成しない。こ
のため、カルボン酸からDL−アスパラギン酸塩への転
化率が高い。得られた反応混合物に無水マレイン酸、マ
レイン酸およびフマル酸からなる群より選ばれる少なく
とも1つのカルボン酸を添加してDL−アスパラギン酸
を晶析させる。このとき、反応混合物はアルカリ金属お
よびアルカリ土類金属の水酸化物を含まないため晶析に
必要な酸の量が少なくてすむだけでなく、添加される酸
が上記カルボン酸であるので、無機塩は生成しない。し
かも、反応混合物はアミド化合物を含まないので、DL
−アスパラギン酸の晶析が妨げられない。このため、収
率も純度も高くなる。晶析したDL−アスパラギン酸を
母液から分離してDL−アスパラギン酸が得られる。
【0026】晶析物を分離した母液は、無機塩もアミド
化合物も含まないので、DL−アスパラギン酸の製造用
原料として循環使用を繰り返すことができる。これによ
り、原料の効率的利用、および、廃液の減少が図られ
る。
【0027】
【実施例】以下に、この発明の実施例と、この発明の範
囲を外れた比較例とを示すが、この発明は下記実施例に
限定されない。なお、反応生成物は液体クロマトグラフ
ィーにより分析した。 (参考例1)電磁攪拌機付きステンレス製オートクレー
ブにマレイン酸348g(3モル)、水170gを仕込
み、攪拌しながら29重量%アンモニア水溶液352g
(6モル)を1時間かけて添加した。攪拌しながら14
0℃に加熱し、水が液相を維持するのに十分な加圧下、
6時間反応した。反応後、液体クロマトグラフィーで反
応液を分析したところ、DL−アスパラギン酸アンモニ
ウム、イミノジコハク酸アンモニウム、フマル酸アンモ
ニウムが、それぞれ、初期仕込みマレイン酸(原料マレ
イン酸)基準で71モル%、28モル%、1モル%生成
しており、DL−アスパラギンの生成は認められなかっ
た。この反応液を70〜80℃に保ちながら、68重量
%マレイン酸水溶液363g(DL−アスパラギン酸ア
ンモニウムと等モル)を該反応液に添加し、30℃に冷
却した。この時、液のpHは4.5であった。析出した
DL−アスパラギン酸はろ別し、母液889gを回収し
た。一方、ろ別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水
洗し、含水したDL−アスパラギン酸344g(含水量
104g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、
初期仕込みマレイン酸に対して収率60モル%であり、
純度99.4%(水分は除く)であった。
【0028】(比較参考例1)29重量%アンモニア水
溶液を528g(9.0モル)用いた以外は参考例1と
同様に6時間反応した。得られた反応液には、初期仕込
みマレイン酸基準で、DL−アスパラギン酸アンモニウ
ムが50モル%、イミノジコハク酸アンモニウムが10
モル%、DL−アスパラギンとイミノジコハク酸アミド
が40モル%生成していた。この反応液を70〜80℃
に保ちながら、68重量%マレイン酸水溶液256g
(DL−アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を該反
応液に添加し、30℃に冷却したところ、DL−アスパ
ラギン酸は析出しなかった。この時、液のpHは6.5
であった。
【0029】(参考例2)29重量%アンモニア水溶液
を422g(7.2モル)用いた以外は参考例1と同様
に6時間反応した。得られた反応液には、初期仕込みマ
レイン酸基準で、DL−アスパラギン酸アンモニウムが
73モル%、イミノジコハク酸アンモニウムが25モル
%、DL−アスパラギンとイミノジコハク酸アミドが2
モル%生成していた。この反応液を70〜80℃に保ち
ながら、68重量%マレイン酸水溶液374g(DL−
アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を該反応液に添
加し、30℃に冷却した。この時、液のpHは4.8で
あった。析出したDL−アスパラギン酸をろ別し、結晶
を水洗し、含水したDL−アスパラギン酸162g(含
水量50g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸
は、初期仕込みマレイン酸に対して収率28モル%、純
度99.1%(水分は除く)であった。
【0030】(参考例3)電磁攪拌機付きステンレス製
オートクレーブにマレイン酸348g(3モル)、水1
30gを仕込み、攪拌しながら、液体アンモニア102
g(6モル)を1時間かけて添加した。攪拌しながら1
30℃に加熱し、水が液相を維持するのに十分な加圧
下、12時間反応した。得られた反応液には、DL−ア
スパラギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニ
ウム、フマル酸アンモニウムが、それぞれ、初期仕込み
マレイン酸基準で、81モル%、18モル%、1モル%
生成しており、DL−アスパラギンの生成は認められな
かった。この反応液を70〜80℃に保ちながら、68
重量%マレイン酸水溶液415g(DL−アスパラギン
酸アンモニウムと等モル)を該反応液に添加し、30℃
に冷却した。この時、液のpHは4.4であった。析出
したDL−アスパラギン酸をろ別し、結晶を水洗し、含
水したDL−アスパラギン酸403g(含水量125
g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、初期仕
込みマイレン酸に対して収率70モル%、純度99.6
%(水分を除く)であった。
【0031】(参考例4)参考例1において、68重量
%マレイン酸水溶液508g(生成したDL−アスパラ
ギン酸アンモニウムに対して1.4倍のモル数)を添加
した以外は同様の操作を行った。30℃に冷却した反応
液のpHは3.4であった。その結果、含水したDL−
アスパラギン酸354g(含水量110g)を得た。得
られたDL−アスパラギン酸は、初期仕込みマレイン酸
に対して収率61モル%、純度99.1%(水分を除
く)であった。
【0032】(比較参考例2)参考例1において、68
重量%マレイン酸水溶液653g(DL−アスパラギン
酸アンモニウムに対して1.8倍のモル数)を添加した
以外は同様の操作を行った。30℃に冷却した反応液の
pHは2.7であった。その結果、結晶510g(含水
量153g)を得た。この結晶中、水以外の部分は、D
L−アスパラギン酸261g(初期仕込みマレイン酸に
対して収率65モル%)、イミノジコハク酸96g(初
期仕込みマレイン酸に対して収率26モル%)であっ
た。すなわち、回収されたDL−アスパラギン酸は純度
が低いものであった。
【0033】(実施例1)参考例1の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の90重量%に相当する803gを循環使用した。
ここで、母液803g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で223g含まれる他、アスパラ
ギン酸、イミノジコハク酸およびこれらの塩が合計して
マレイン酸換算で3モル含まれていた。母液中の水を減
圧濃縮して水63gを除去した。この濃縮された母液7
40gを参考例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪
拌しながら29重量%アンモニア水130g(母液中の
アンモニアとアンモニアに由来するアミンで中和されて
いないカルボン酸と等当量。アンモニアに由来するアミ
ンとはアスパラギン酸のアミノ基、イミノジコハク酸の
イミノ基)を1時間かけて添加した。得られた水溶液は
pH7.3であった。この水溶液を攪拌しながら140
℃に加熱し、加圧下6時間反応した。反応後、液体クロ
マトグラフィーで反応液を分析したところ、DL−アス
パラギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウ
ム、フマル酸アンモニウムが、それぞれ、晶析のために
添加されたマレイン酸基準で、101モル%、39モル
%、1モル%生成しており、DL−アスパラギンの生成
は認められなかった。この反応液を70〜80℃に保ち
ながら、68重量%マレイン酸水溶液368g(DL−
アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を添加し、30
℃に冷却した。この時、液のpHは4.5であった。析
出したDL−アスパラギン酸はろ別し、母液892gを
回収した。一方、ろ別されたDL−アスパラギン酸の結
晶は水洗し、含水したDL−アスパラギン酸346g
(含水量104g)を得た。得られたDL−アスパラギ
ン酸は、1回目の晶析時に添加されたマレイン酸に対し
て収率85モル%であり、純度99.5%(水分を除
く)であった。回収された母液の90重量%を循環使用
し、上記と同様の操作を更に繰り返し、カルボン酸とア
ンモニアの反応を合計で10回行った(母液の循環使用
の回数は9であった)。10回目の操作により、含水し
たDL−アスパラギン酸347g(含水量104g)を
得た。得られたDL−アスパラギン酸は、9回目の操作
において晶析のために添加されたマレイン酸に対して収
率86モル%、純度99.7%(水分を除く)であっ
た。また、10回目の操作により得られた母液を液体ク
ロマトグラフィーで分析したところ、DL−アスパラギ
ンの生成が認められなかった。この結果から、10回目
の操作により得られた母液は、さらに循環使用可能であ
ることが確認できた。
【0034】(比較例1)参考例1において、晶析のた
めにマレイン酸の代わりに35重量%濃塩酸を222g
(DL−アスパラギン酸アンモニウムと等モル)添加し
た以外は同様にして、含水したDL−アスパラギン酸3
64g(含水量109g)を得た。得られたDL−アス
パラギン酸は、初期仕込みマレイン酸に対して収率64
モル%、純度99.8%(水分を除く)であった。な
お、その時の母液は728gであった。この母液728
g(母液全量、母液に含まれる、フマル酸アンモニウ
ム、アスパラギン酸アンモニウムおよびイミノジコハク
酸アンモニウムはマレイン酸換算して1.08モルであ
った)にマレイン酸223g(1.92モル)、29重
量%アンモニア水238g(母液中のアンモニアとアン
モニアに由来するアミンで中和されていないカルボン酸
と等当量)を加え、この溶液を減圧濃縮して、水319
gを除去した以外は実施例1と同様の操作を行った。そ
の結果、DL−アスパラギン酸アンモニウムが2回目の
反応時に投入したマレイン酸基準で111モル%、イミ
ノジコハク酸アンモニウムが2回目の反応時に投入した
マレイン酸基準で44モル%生成した。この反応溶液に
35重量%塩酸220g(DL−アスパラギン酸アンモ
ニウムと等モル)を添加したところ、DL−アスパラギ
ン酸とともに塩化アンモニウムが析出し、DL−アスパ
ラギン酸の純度は76%(水分を除く)であり、母液の
循環使用はできなかった。
【0035】(実施例2)参考例2の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の69重量%に相当する794gを循環使用した。
ここで、母液794g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で175g含まれる他、アスパラ
ギン酸、イミノジコハク酸、アスパラギン、イミノジコ
ハク酸アミドおよびそれらの塩が合計してマレイン酸換
算で3モル含まれていた。母液中の水を減圧濃縮して水
19gを除去した。この濃縮された母液775gを参考
例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪拌しながら2
9重量%アンモニア水165g(母液中のアンモニアと
アンモニアに由来するアミンと合わせてカルボン酸に対
して1.2当量となる量)を1時間かけて添加した。得
られた水溶液を攪拌しながら140℃に加熱し、加圧下
6時間反応した。反応後、液体クロマトグラフィーで反
応液を分析したところ、DL−アスパラギン酸アンモニ
ウム、イミノジコハク酸アンモニウム、アミド化合物
(DL−アスパラギンとイミノジコハク酸アミド)が、
それぞれ、晶析のために添加されたマレイン酸基準で、
99モル%、33モル%、5モル%生成していた。この
反応液を70〜80℃に保ちながら、68重量%マレイ
ン酸水溶液368g(DL−アスパラギン酸アンモニウ
ムと等モル)を添加し、30℃に冷却した。この時、液
のpHは5.0であった。析出したDL−アスパラギン
酸はろ別し、母液1151gを回収した。一方、ろ別さ
れたDL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水したD
L−アスパラギン酸157g(含水量48g)を得た。
得られたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶析時に添
加されたマレイン酸に対して収率37モル%であり、純
度99.2%(水分を除く)であった。回収された母液
の69重量%を循環使用し、上記と同様の操作を更に4
回繰り返した。4回目の操作により、含水したDL−ア
スパラギン酸133g(含水量41g)を得た。得られ
たDL−アスパラギン酸は、3回目の操作において晶析
のために添加されたマレイン酸に対して収率33モル
%、純度99.1%(水分を除く)であった。
【0036】(参考例5)電磁攪拌機付きステンレス製
オートクレーブにフマル酸348g(3モル)、水17
0gを仕込み、攪拌しながら29重量%アンモニア水溶
液352g(6モル)を1時間かけて添加した。攪拌し
ながら150℃に加熱し、水が液相を維持するのに十分
な加圧下、4時間反応した。反応後、液体クロマトグラ
フィーで反応液を分析したところ、DL−アスパラギン
酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウム、フマ
ル酸アンモニウムが、それぞれ、初期仕込みフマル酸基
準で66モル%、27モル%、2モル%生成しており、
DL−アスパラギン5モル%の生成が認められた。この
反応液を70〜80℃に保ちながら、フマル酸230g
(DL−アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を該反
応液に添加し、30℃に冷却した。この時、液のpHは
4.3であった。析出したDL−アスパラギン酸はろ別
し、母液780gを回収した。一方、ろ別されたDL−
アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水したDL−アスパ
ラギン酸320g(含水量99g)を得た。得られたD
L−アスパラギン酸は、初期仕込みフマル酸に対して収
率55モル%であり、純度99.1%(水分は除く)で
あった。
【0037】(参考例6)電磁攪拌機付きステンレス製
オートクレーブに無水マレイン酸294g(3モル)、
水224gを仕込み、攪拌しながら29重量%アンモニ
ア水溶液352g(6モル)を1時間かけて添加した。
攪拌しながら140℃に加熱し、水が液相を維持するの
に十分な加圧下、6時間反応した。反応後、液体クロマ
トグラフィーで反応液を分析したところ、DL−アスパ
ラギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウ
ム、フマル酸アンモニウムが、それぞれ、初期仕込み無
水マレイン酸基準で73モル%、26モル%、1モル%
生成しており、DL−アスパラギンの生成は認められな
かった。この反応液を70〜80℃に保ちながら、無水
マレイン酸215g(DL−アスパラギン酸アンモニウ
ムと等モル)を該反応液に添加し、30℃に冷却した。
この時、液のpHは4.5であった。析出したDL−ア
スパラギン酸はろ別し、母液727gを回収した。一
方、ろ別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、
含水したDL−アスパラギン酸358g(含水量111
g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、初期仕
込み無水マレイン酸に対して収率62モル%であり、純
度99.0%(水分は除く)であった。
【0038】(実施例3)参考例3の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の90重量%に相当する532gを循環使用した。
ここで、母液532g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で254g含まれる他、アスパラ
ギン酸、イミノジコハク酸およびこれらの塩が合計して
マレイン酸換算で3モル含まれていた。母液に水6gを
加えた。この母液538gを参考例1で用いたオートク
レーブに仕込み、攪拌しながら液体アンモニア42g
(母液中のアンモニアとアンモニアに由来するアミンで
中和されていないカルボン酸と等当量)を1時間かけて
添加した。得られた水溶液はpH7.2であった。この
水溶液を攪拌しながら130℃に加熱し、加圧下12時
間反応した。反応後、液体クロマトグラフィーで反応液
を分析したところ、DL−アスパラギン酸アンモニウ
ム、イミノジコハク酸アンモニウム、フマル酸アンモニ
ウムが、それぞれ、晶析のために添加されたマレイン酸
基準で、101モル%、21モル%、1モル%生成して
おり、DL−アスパラギンの生成は認められなかった。
この反応液を70〜80℃に保ちながら、68重量%マ
レイン酸水溶液418g(DL−アスパラギン酸アンモ
ニウムと等モル)を添加し、30℃に冷却した。この
時、液のpHは4.3であった。析出したDL−アスパ
ラギン酸はろ別し、母液592gを回収した。一方、ろ
別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水し
たDL−アスパラギン酸406g(含水量126g)を
得た。得られたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶析
時に添加されたマレイン酸に対して収率87モル%であ
り、純度99.4%(水分を除く)であった。回収され
た母液の90重量%を循環使用し、上記と同様の操作を
更に繰り返し、カルボン酸とアンモニアの反応を合計で
10回行った(母液の循環使用の回数は9であった)。
10回目の操作により、含水したDL−アスパラギン酸
403g(含水量125g)を得た。得られたDL−ア
スパラギン酸は、9回目の操作において晶析のために添
加されたマレイン酸に対して収率86モル%、純度9
8.9%(水分を除く)であった。また、10回目の操
作により得られた母液を液体クロマトグラフィーで分析
したところ、DL−アスパラギンの生成が認められなか
った。この結果から、10回目の操作により得られた母
液は、さらに循環使用可能であることが確認できた。
【0039】(実施例4)参考例4の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の72重量%に相当する740gを循環使用した。
ここで、母液740g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で249g含まれる他、アスパラ
ギン酸、その塩、イミノジコハク酸およびその塩が合計
してマレイン酸換算で3モル含まれていた。母液中の水
を減圧濃縮して水45gを除去した。この母液695g
を参考例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪拌しな
がら29重量%アンモニア水175g(母液中のアンモ
ニアとアンモニアに由来するアミンで中和されていない
カルボン酸と等当量)を1時間かけて添加した。得られ
た水溶液はpH7.2であった。この水溶液を攪拌しな
がら140℃に加熱し、加圧下6時間反応した。反応
後、液体クロマトグラフィーで反応液を分析したとこ
ろ、DL−アスパラギン酸アンモニウム、イミノジコハ
ク酸アンモニウム、フマル酸アンモニウムが、それぞ
れ、晶析のために添加されたマレイン酸基準で、71モ
ル%、28モル%、1モル%生成しており、DL−アス
パラギンの生成は認められなかった。この反応液を70
〜80℃に保ちながら、68重量%マレイン酸水溶液5
09g(DL−アスパラギン酸アンモニウムに対して
1.4倍のモル数)を添加し、30℃に冷却した。この
時、液のpHは3.4であった。析出したDL−アスパ
ラギン酸はろ別し、母液1030gを回収した。一方、
ろ別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水
したDL−アスパラギン酸349g(含水量108g)
を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶
析時に添加されたマレイン酸に対して収率61モル%で
あり、純度99.3%(水分を除く)であった。回収さ
れた母液の72重量%を循環使用し、上記と同様の操作
を更に繰り返し、カルボン酸とアンモニアの反応を合計
で10回行った(母液の循環使用の回数は9であっ
た)。10回目の操作により、含水したDL−アスパラ
ギン酸345g(含水量107g)を得た。得られたD
L−アスパラギン酸は、9回目の操作において晶析のた
めに添加されたマレイン酸に対して収率60モル%、純
度99.8%(水分を除く)であった。また、10回目
の操作により得られた母液を液体クロマトグラフィーで
分析したところ、DL−アスパラギンの生成が認められ
なかった。この結果から、10回目の操作により得られ
た母液は、さらに循環使用可能であることが確認でき
た。
【0040】(実施例5)参考例5の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の90重量%に相当する705gを循環使用した。
ここで、母液705g中には、晶析のために添加された
フマル酸が酸型換算で208g含まれる他、アスパラギ
ン酸、イミノジコハク酸、フマル酸およびこれらの塩と
DL−アスパラギンが合計してフマル酸換算で3モル含
まれていた。母液に水43gを加えた。この母液748
gを参考例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪拌し
ながら29重量%アンモニア水122g(母液中のアン
モニアとアンモニアに由来するアミンで中和されていな
いカルボン酸と等当量)を1時間かけて添加した。得ら
れた水溶液はpH7.3であった。この水溶液を攪拌し
ながら150℃に加熱し、加圧下4時間反応した。反応
後、液体クロマトグラフィーで反応液を分析したとこ
ろ、DL−アスパラギン酸アンモニウム、イミノジコハ
ク酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、DL−アス
パラギンが、それぞれ、晶析のために添加されたフマル
酸基準で、98モル%、39モル%、3モル%、11モ
ル%生成していた。この反応液を70〜80℃に保ちな
がら、フマル酸226g(DL−アスパラギン酸アンモ
ニウムと等モル)を添加し、30℃に冷却した。この
時、液のpHは4.4であった。析出したDL−アスパ
ラギン酸はろ別し、母液773gを回収した。一方、ろ
別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水し
たDL−アスパラギン酸323g(含水量100g)を
得た。得られたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶析
時に添加されたフマル酸に対して収率85モル%であ
り、純度98.9%(水分を除く)であった。回収され
た母液の92重量%を循環使用し、上記と同様の操作を
更に繰り返し、カルボン酸とアンモニアの反応を合計で
4回行った(母液の循環使用の回数は3であった)。4
回目の操作により、含水したDL−アスパラギン酸31
3g(含水量97g)を得た。得られたDL−アスパラ
ギン酸は、3回目の操作において晶析のために添加され
たフマル酸に対して収率85モル%、純度99.7%
(水分を除く)であった。
【0041】(実施例6)参考例6の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の90重量%に相当する655gを循環使用した。
ここで、母液655g中には、晶析のために添加された
無水マレイン酸がマレイン酸換算で229g含まれる
他、アスパラギン酸、イミノジコハク酸およびこれらの
塩が合計して無水マレイン酸換算で3モル含まれてい
た。母液に水82gを加えた。この母液737gを参考
例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪拌しながら2
9重量%アンモニア水133g(母液中のアンモニアと
アンモニアに由来するアミンで中和されていないカルボ
ン酸と等当量)を1時間かけて添加した。得られた水溶
液はpH7.1であった。この水溶液を攪拌しながら1
40℃に加熱し、加圧下6時間反応した。反応後、液体
クロマトグラフィーで反応液を分析したところ、DL−
アスパラギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモ
ニウム、フマル酸アンモニウムが、それぞれ、晶析のた
めに添加された無水マレイン酸基準で、98モル%、3
8モル%、1モル%生成しており、DL−アスパラギン
の生成は認められなかった。この反応液を70〜80℃
に保ちながら、無水マレイン酸211g(DL−アスパ
ラギン酸アンモニウムと等モル)を添加し、30℃に冷
却した。この時、液のpHは4.6であった。析出した
DL−アスパラギン酸はろ別し、母液730gを回収し
た。一方、ろ別されたDL−アスパラギン酸の結晶は水
洗し、含水したDL−アスパラギン酸351g(含水量
108g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、
1回目の晶析時に添加された無水マレイン酸に対して収
率84モル%であり、純度98.8%(水分を除く)で
あった。回収された母液の90重量%を循環使用し、上
記と同様の操作を更に繰り返し、カルボン酸とアンモニ
アの反応を合計で10回行った(母液の循環使用の回数
は9であった)。10回目の操作により、含水したDL
−アスパラギン酸350g(含水量108g)を得た。
得られたDL−アスパラギン酸は、9回目の操作におい
て晶析のために添加された無水マレイン酸に対して収率
85モル%、純度98.9%(水分を除く)であった。
また、10回目の操作により得られた母液を液体クロマ
トグラフィーで分析したところ、DL−アスパラギンの
生成が認められなかった。この結果から、10回目の操
作により得られた母液は、さらに循環使用可能であるこ
とが確認できた。
【0042】(参考例7)参考例1において、68重量
%マレイン酸水溶液327g(生成したDL−アスパラ
ギン酸アンモニウムに対して0.9倍のモル数)を添加
した以外は同様の操作を行った。30℃に冷却した反応
液のpHは4.7であった。その結果、母液901gと
含水したDL−アスパラギン酸296g(含水量92
g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は、初期仕
込みマレイン酸に対して収率51モル%、純度99.8
%(水分を除く)であった。
【0043】(実施例7)参考例7の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の89重量%に相当する800gを循環使用した。
ここで、母液800g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で198g含まれる他、アスパラ
ギン酸、イミノジコハク酸およびこれらの塩が合計して
マレイン酸換算で3モル含まれていた。母液中の水を減
圧濃縮して水65gを除去した。この母液735gを参
考例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪拌しながら
29重量%アンモニア水135g(母液中のアンモニア
とアンモニアに由来するアミンで中和されていないカル
ボン酸と等当量)を1時間かけて添加した。得られた水
溶液はpH7.2であった。この水溶液を攪拌しながら
140℃に加熱し、加圧下6時間反応した。反応後、液
体クロマトグラフィーで反応液を分析したところ、DL
−アスパラギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アン
モニウム、フマル酸アンモニウムが、それぞれ、晶析の
ために添加されたマレイン酸基準で、111モル%、4
4モル%、2モル%生成しており、DL−アスパラギン
の生成は認められなかった。この反応液を70〜80℃
に保ちながら、68重量%マレイン酸水溶液327g
(DL−アスパラギン酸アンモニウムに対して0.9倍
のモル数)を添加し、30℃に冷却した。この時、液の
pHは4.7であった。析出したDL−アスパラギン酸
はろ別し、母液897gを回収した。一方、ろ別された
DL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水したDL−
アスパラギン酸300g(含水量93g)を得た。得ら
れたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶析時に添加さ
れたマレイン酸に対して収率81モル%であり、純度9
9.7%(水分を除く)であった。回収された母液の8
9重量%を循環使用し、上記と同様の操作を更に繰り返
し、カルボン酸とアンモニアの反応を合計で10回行っ
た(母液の循環使用の回数は9であった)。10回目の
操作により、含水したDL−アスパラギン酸304g
(含水量94g)を得た。得られたDL−アスパラギン
酸は、9回目の操作において晶析のために添加されたマ
レイン酸に対して収率82モル%、純度99.8%(水
分を除く)であった。また、10回目の操作により得ら
れた母液を液体クロマトグラフィーで分析したところ、
DL−アスパラギンの生成が認められなかった。この結
果から、10回目の操作により得られた母液は、さらに
循環使用可能であることが確認できた。
【0044】(参考例8)29重量%アンモニア水溶液
を317g(5.4モル)用いた以外は参考例1と同様
に6時間反応した。得られた反応液には、初期仕込みマ
レイン酸基準で、DL−アスパラギン酸アンモニウムが
64モル%、イミノジコハク酸アンモニウムが33モル
%、フマル酸アンモニウムが3モル%生成していた。こ
の反応液を70〜80℃に保ちながら、68重量%マレ
イン酸水溶液328g(DL−アスパラギン酸アンモニ
ウムと等モル)を該反応液に添加し、30℃に冷却し
た。この時、液のpHは4.3であった。析出したDL
−アスパラギン酸をろ別し、母液849gを回収した。
ろ別されたDL−アスパラギン酸の結晶を水洗し、含水
したDL−アスパラギン酸314g(含水量97g)を
得た。得られたDL−アスパラギン酸は、初期仕込みマ
レイン酸に対して収率54モル%、純度98.9%(水
分は除く)であった。
【0045】(実施例8)参考例8の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の91重量%に相当する774gを循環使用した。
ここで、母液774g中には、晶析のために添加された
マレイン酸が酸型換算で203g含まれる他、アスパラ
ギン酸、イミノジコハク酸およびそれらの塩が合計して
マレイン酸換算で3モル含まれていた。母液中の水を減
圧濃縮して水54gを除去した。この濃縮された母液7
20gを参考例1で用いたオートクレーブに仕込み、攪
拌しながら29重量%アンモニア水115g(母液中の
アンモニアとアンモニアに由来するアミンと合わせてカ
ルボン酸に対して0.9当量となる量)を1時間かけて
添加した。得られた水溶液を攪拌しながら140℃に加
熱し、加圧下6時間反応した。反応後、液体クロマトグ
ラフィーで反応液を分析したところ、DL−アスパラギ
ン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウム、フ
マル酸アンモニウムが、それぞれ、晶析のために添加さ
れたマレイン酸基準で、100モル%、52モル%、5
モル%生成していた。この反応液を70〜80℃に保ち
ながら、68重量%マレイン酸水溶液327g(DL−
アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を添加し、30
℃に冷却した。この時、液のpHは4.4であった。析
出したDL−アスパラギン酸はろ別し、母液850gを
回収した。一方、ろ別されたDL−アスパラギン酸の結
晶は水洗し、含水したDL−アスパラギン酸312g
(含水量97g)を得た。得られたDL−アスパラギン
酸は、1回目の晶析時に添加されたマレイン酸に対して
収率84モル%であり、純度98.7%(水分を除く)
であった。回収された母液の91重量%を循環使用し、
上記と同様の操作を合計10回繰り返した。10回目の
操作により、含水したDL−アスパラギン酸309g
(含水量96g)を得た。得られたDL−アスパラギン
酸は、9回目の操作において晶析のために添加されたマ
レイン酸に対して収率83モル%、純度99.5%(水
分を除く)であった。
【0046】(参考例9)電磁攪拌機付きステンレス製
オートクレーブにフマル酸348g(3モル)、水17
0gを仕込み、攪拌しながら29重量%アンモニア水溶
液352g(6モル)を1時間かけて添加した。攪拌し
ながら140℃に加熱し、水が液相を維持するのに十分
な加圧下、6時間反応した。反応後、液体クロマトグラ
フィーで反応液を分析したところ、DL−アスパラギン
酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウム、フマ
ル酸アンモニウムが、それぞれ、初期仕込みフマル酸基
準で71モル%、27モル%、2モル%生成しており、
DL−アスパラギンの生成は認められなかった。この反
応液を70〜80℃に保ちながら、フマル酸247g
(DL−アスパラギン酸アンモニウムと等モル)を該反
応液に添加し、30℃に冷却した。この時、液のpHは
4.3であった。析出したDL−アスパラギン酸はろ別
し、母液764gを回収した。一方、ろ別されたDL−
アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水したDL−アスパ
ラギン酸353g(含水量109g)を得た。得られた
DL−アスパラギン酸は、初期仕込みフマル酸に対して
収率61モル%であり、純度99.3%(水分は除く)
であった。
【0047】(実施例9)参考例5の操作を繰り返し
た。母液から分離したDL−アスパラギン酸を回収し、
母液の91重量%に相当する695gを循環使用した。
ここで、母液695g中には、晶析のために添加された
フマル酸が酸型換算で225g含まれる他、アスパラギ
ン酸、イミノジコハク酸、フマル酸およびこれらの塩が
合計してフマル酸換算で3モル含まれていた。母液に水
46gを加えた。この母液741gを参考例1で用いた
オートクレーブに仕込み、攪拌しながら29重量%アン
モニア水129g(母液中のアンモニアとアンモニアに
由来するアミンで中和されていないカルボン酸と等当
量)を1時間かけて添加した。得られた水溶液はpH
7.2であった。この水溶液を攪拌しながら140℃に
加熱し、加圧下6時間反応した。反応後、液体クロマト
グラフィーで反応液を分析したところ、DL−アスパラ
ギン酸アンモニウム、イミノジコハク酸アンモニウム、
フマル酸アンモニウムが、それぞれ、晶析のために添加
されたフマル酸基準で、101モル%、38モル%、1
モル%生成していた。この反応液を70〜80℃に保ち
ながら、フマル酸251g(DL−アスパラギン酸アン
モニウムと等モル)を添加し、30℃に冷却した。この
時、液のpHは4.3であった。析出したDL−アスパ
ラギン酸はろ別し、母液を回収した。一方、ろ別された
DL−アスパラギン酸の結晶は水洗し、含水したDL−
アスパラギン酸358g(含水量111g)を得た。得
られたDL−アスパラギン酸は、1回目の晶析時に添加
されたフマル酸に対して収率87モル%であり、純度9
9.0%(水分を除く)であった。回収された母液の9
1重量%を循環使用し、上記と同様の操作を更に繰り返
し、カルボン酸とアンモニアの反応を合計で10回行っ
た(母液の循環使用の回数は9であった)。10回目の
操作により、含水したDL−アスパラギン酸355g
(含水量110g)を得た。得られたDL−アスパラギ
ン酸は、9回目の操作において晶析のために添加された
フマル酸に対して収率85モル%、純度99.1%(水
分を除く)であった。
【0048】(比較参考例3)参考例1において、オー
トクレーブにさらに水酸化ナトリウム120g(3モ
ル)を加えた以外は同様の反応を行った。その結果、D
L−アスパラギン酸塩がマレイン酸基準で60モル%、
イミノジコハク酸塩がマレイン酸基準で39モル%、フ
マル酸塩がマレイン酸基準で1モル%生成した。この反
応液を70〜80℃に保ちながら、68重量%マレイン
酸水溶液213g(DL−アスパラギン酸塩と等モル)
添加し、30℃に冷却した。この時、液のpHは12.
0であった。析出したDL−アスパラギン酸はろ別し、
含水したDL−アスパラギン酸171g(含水量51
g)を得た。得られたDL−アスパラギン酸は初期仕込
みマレイン酸に対して収率30モル%、純度99.4%
(水分を除く)であり、参考例1に比べ収率が低いもの
であった。
【0049】(比較参考例4)反応温度を100℃と
し、反応時間を18時間とした以外は参考例1と同様に
行った。その結果、DL−アスパラギン酸アンモニウ
ム、イミノジコハク酸アンモニウム、フマル酸アンモニ
ウムがそれぞれ原料マレイン酸基準で23モル%、68
モル%、9モル%生成した。この反応液に68重量%マ
レイン酸水溶液118g(DL−アスパラギン酸アンモ
ニウムと等モル)添加したが、DL−アスパラギン酸は
析出せず、得られなかった。
【0050】(比較参考例5)反応温度を180℃とし
た以外は参考例1と同様に行った。その結果、DL−ア
スパラギン、イミノジコハク酸アミドのみが生成し、D
L−アスパラギン酸は生成しなかった。上記参考例、比
較参考例、実施例および比較例における、原料カルボン
酸の種類、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸
化物の存在、カルボン酸のカルボキシル基に対するアン
モニアのモル比(NH3 /COOH当量比)、反応温
度、反応時間、晶析に用いた酸の種類と量(モル比)、
および、DL−アスパラギン酸の収率を表1と表2にま
とめて示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】以上の結果から、次のことが言える。比較
参考例1にみるように、NH3 /COOH当量比が本発
明で規定する範囲よりも大きいと、DL−アスパラギン
酸が得られない。比較参考例2にみるように、晶析に用
いたカルボン酸の量があまりにも多いとイミノジコハク
酸も多量に晶析し、DL−アスパラギン酸の純度が低く
なる。比較参考例3にみるように、反応系中にNaOH
を存在させると、参考例1に比べてDL−アスパラギン
酸の収率が半減した。比較参考例4にみるように、原料
カルボン酸とアンモニアの反応を100℃で行うと、反
応混合物に酸を添加してもDL−アスパラギン酸が晶析
しない。比較参考例5にみるように、原料カルボン酸と
アンモニアの反応を180℃で行うと、アミド化合物の
みが生成し、DL−アスパラギン酸が生成しない。比較
例1にみるように、晶析に塩酸を用いると、塩化アンモ
ニウムも析出し、DL−アスパラギン酸の純度を大きく
低下させる。
【0054】実施例1〜9にみるように、本発明の方法
によれば、アミド化が抑制されるため、アルカリ金属お
よびアルカリ土類金属の水酸化物による処理を行う必要
がないので、原料となる酸による中和だけで純度の高い
DL−アスパラギン酸が得られ、母液の循環使用におい
て、脱塩工程も不要であり、しかも、未反応アンモニア
の回収を行わずに母液を循環使用することができる。
【0055】実施例2と、実施例1、3〜9とを対比す
ればわかるように、DL−アスパラギン酸を高収率で得
るためには、NH3 /COOH当量比が0.9〜1.1
であることがより好ましい。実施例4と、実施例1、
3、6、7、8、9とを対比すればわかるように、母液
の循環使用回数をより多くし、かつ、DL−アスパラギ
ン酸の収率も高くするためには、晶析に用いるカルボン
酸のDL−アスパラギン酸アンモニウムに対するモル比
は0.9〜1.3の範囲がより好ましい。
【0056】
【発明の効果】この発明の方法によれば、アンモニアの
回収が不要で、高収率かつ高純度でDL−アスパラギン
酸が得られ、しかも、母液の循環使用が可能なので製造
コストを低減できる。この発明の方法において、循環使
用される母液が含んでいる、アンモニアおよびアンモニ
アに由来するアミンの合計量が、該母液中に存在するす
べての酸に対して0.8〜1.4当量になるように、ア
ンモニアを添加して加熱反応することにより、循環使用
時にも、アンモニアの回収が不要で、高収率かつ高純度
でDL−アスパラギン酸が得られ、しかも、母液の更な
る循環使用が可能となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無水マレイン酸、マレイン酸およびフマ
    ル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つのカルボン
    酸とアンモニアとを水溶液中で反応させてDL−アスパ
    ラギン酸を製造する方法において、(a) DL−アスパラ
    ギン酸の製造をアルカリ金属およびアルカリ土類金属の
    水酸化物の不存在下に行うこととし、(b) 前記カルボン
    酸に対してアンモニアを0.8〜1.4の当量比で用
    い、(c) 前記カルボン酸とアンモニアとの反応を110
    〜170℃で行い、(d) 得られた反応混合物に無水マレ
    イン酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群より選ば
    れる少なくとも1つのカルボン酸を添加してDL−アス
    パラギン酸を晶析させ、(e) 晶析したDL−アスパラギ
    ン酸を分離し、(f) 得られた母液をDL−アスパラギン
    酸の製造用原料として循環使用する、ことを特徴とする
    DL−アスパラギン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 反応混合物に添加されるカルボン酸のモ
    ル比が、前記反応混合物に含まれているDL−アスパラ
    ギン酸アンモニウムに対して0.8〜1.6である請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 循環使用される母液が含んでいる、アン
    モニアおよびアンモニアに由来するアミンの合計量が、
    該母液中に存在するすべての酸に対して0.8〜1.4
    当量になるように、アンモニアを添加して加熱反応する
    請求項1または2記載の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5756839A (en) * 1994-09-24 1998-05-26 Basf Aktiengesellschaft Process for preparing D,L-aspartic acid from ammonium salts of the maleic acid

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