JPH0724671Y2 - 液圧緩衝器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用の液圧緩衝器に関する。

〔従来の技術〕

従来の液圧緩衝器として、例えば、実開昭62-166345号
公報に記載されたようなものが知られている。

このものは、内外筒からなるショックアブソーバ本体
（シリンダ）に対して、ピストンロッドが軸受により摺
動自在に支持されている。また、ピストンロッドの摺動
間隙から内部に封入された作動油が漏洩するのを防止す
るためのシール部材が上記軸受の上部に設けられてい
る。

そして、ピストンロッドの突出部上方には、バンパ（ク
ッション）ラバーを取付けるためのカラー部材が設けら
れると共に、シリンダの上端部には筒状のバンパラバー
を受ける皿状のバンパラバーストッパが設けられてい
る。

しかして、ショックアブソーバの最圧縮状態での底付を
防止し振動吸収性を高めるようにしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、かかる従来のショックアブソーバにあっ
ては、皿状のバンパラバーストッパに形成されるピスト
ンロッド貫通用孔の内径がピストンロッドの外径と略々
等しく形成されていることから、ショックアブソーバを
組付けるに際し、バンパラバーストッパを含むシリンダ
系と、ピストンロッド系とを組付けた後にカラー部材を
組付けねばならず、その作業が極めて困難になるという
問題があった。

そこで、バンパラバーストッパにカラー部材の外径より
大きな孔を形成し、シリンダ系とカラー部材を含むピス
トンロッド系とを組付けた後の最終工程において、かか
るバンパラバーストッパを組付けられるようにし、作業
性の向上をはかるようにすることも考えられるが、この
ようにすると、ショックアブソーバの底付のとき、カラ
ー部材がバンパラバーストッパの孔を通過してシール部
材を傷付けてしまうという新たな問題に遭遇する。

本考案の目的は、かかる事情に鑑み、組付作業性の向上
がはかれると共にシール部材への傷付けのおそれのない
液圧緩衝器を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案はシリンダに軸受を
介して摺動自在に支持されるピストンロッドに、バンパ
ラバー装着用のカラー部材が設けられると共に、ピスト
ンロッドとシリンダとを封止するシール部材の上方のシ
リンダ端部にバンパラバーストッパが設けられた液圧緩
衝器において、バンパラバーストッパにカラー部材の外
径より大きな内径の孔を形成すると共に、孔の中心を、
液圧緩衝器の中心軸から孔の内周部までの最短距離が、
カラー部材の半径よりも小さくなるように中心軸に対し
オフセットさせたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、バンパラバーストッパにはカラー部材
の外径より大きな孔が形成されていることから、シリン
ダ系とカラー部材を含むピストンロッド系とを組付けた
後にバンパラバーストッパを組付けることができる。ま
た、液圧緩衝器が最圧縮状態となったときには、カラー
部材は孔が中心軸からオフセットして形成されたバンパ
ラバーストッパに当接し、さらなるストロークが防止さ
れる。従って、カラー部材がシール部材に迄達すること
がなく、その傷付きが防止される。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を添附図面を参照しつつ説明す
る。

第１図ないし第３図を本考案の一実施例を示す。

図において、１はシリンダ外筒、２はシリンダ内筒であ
り不図示のシリンダ外筒１の最下端部には周知の如くサ
スペンションメンバ等への取付用アイ部材が設けられて
いる。シリンダ外筒１およびシリンダ内筒２の上部には
軸受３が設けられ、夫々を位置決め固定すると共に不図
示のピストンを備えたピストンロッド４を摺動自在に支
持している。

５はシール部材であり、シリンダ外筒１の上端部をかし
めることにより固定され、シリンダ内筒２とピストンロ
ッド４との摺動間隙からの作動油の漏洩を防止してい
る。６は後で詳述するバンパラバーストッパでありシリ
ンダ外筒１の端部に圧入固定される。７はピストンロッ
ド４に固設されたカラー部材であり筒状のバンパラバー
８が取付けられる。

バンパラバーストッパ６は第２図および第３図に示すよ
うに、その上面に十字状の補強リブ９が形成されると共
に孔10が穿設されている。

そして、カラー部材７の外径をφＡ、孔10の内径をφB,
液圧緩衝器の中心軸、すなわちピストンロッド４の中心
軸Ｏから孔10の内周壁までの最短距離をＣとするとき、
以下の関係を満すように孔10はオフセットして形成され
ている。

φＡ＜φＢ ……（１） φA/2＜Ｃ ……（２） すなわち、カラー部材７の外径よりも孔10の内径を大き
く形成すると共に、液圧緩衝器の中心軸Ｏから孔10の内
周壁までの最短距離がカラー部材７の半径よりも小さく
なるように、孔10は中心軸Ｏに対し距離Ｄだけオフセッ
トして形成されている。

上記構成になる本実施例にあっては、液圧緩衝器の組付
けに際して、カラー部材７、ピストンロッド４および不
図示のピストンを含むピストンロッド系とシリンダ内外
筒２および1,軸受３およびシール部材５を含むシリンダ
系とを組付けた後に、カラー部材７の外径より大きな内
径を有するバンパラバーストッパ６を通過させて、最後
にバンパラバーストッパ６を組付けることができる。

また、液圧緩衝器に圧縮力が入力されると、バンパラバ
ー８の下端がバンパラバーストッパ６に衝接し、バンプ
作用により液圧緩衝器の底付きが防止される。しかし
て、この圧縮力が過大であったとしても、カラー部材７
は孔10がオフセットされて形成されたバンパラバースト
ッパ６と干渉し移動が阻止されることから、シール部材
５を傷付けることがないのである。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、カラ
ー部材の外径より大きな内径の孔をバンパラバーストッ
パに形成したので、バンパラバーストッパを最終工程で
組付けることができ作業性が向上する。また、孔をオフ
セットして形成したので、カラー部材によるシール部材
の傷付を防止することができ液圧緩衝器の耐久性を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す断面図、 第２図はそのバンパラバーストッパの一例を示す平面
図、 第３図は第２図のIII-III矢視断面図である。 １……シリンダ外筒、２……シリンダ内筒、３……軸
受、４……ピストンロッド、５……シール部材、６……
バンパラバーストッパ、７……カラー部材、８……バン
パラバー、10……孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダに軸受を介して摺動自在に支持さ
   れるピストンロッドに、バンパラバー装着用のカラー部
   材が設けられると共に、ピストンロッドとシリンダとを
   封止するシール部材の上方のシリンダ端部にバンパラバ
   ーストッパが設けられた液圧緩衝器において、 前記バンパラバーストッパに前記カラー部材の外径より
   大きな内径の孔を形成すると共に、該孔の中心を、前記
   液圧緩衝器の中心軸から該孔の内周部までの最短距離
   が、前記カラー部材の半径よりも小さくなるように前記
   中心軸に対しオフセットさせたことを特徴とする液圧緩
   衝器。