JPH0724589B2 - 高酸価油の精製法 - Google Patents

高酸価油の精製法

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JPH0724589B2
JPH0724589B2 JP2307214A JP30721490A JPH0724589B2 JP H0724589 B2 JPH0724589 B2 JP H0724589B2 JP 2307214 A JP2307214 A JP 2307214A JP 30721490 A JP30721490 A JP 30721490A JP H0724589 B2 JPH0724589 B2 JP H0724589B2
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佳次 小杉
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高酸価油から遊離脂肪酸を減少させると共
に、トリグリセリドを高収率に得る高酸価油の精製法に
関する。
〔従来の技術〕
従来、脱ガム、脱ロウした高酸価米糠油の精製法とし
て、フラスコ実験により、単に該高酸価米糠油に遊離脂
肪酸を除去する化学量論量のグリセリンを添加し、これ
に水分含有量10%のリパーゼを作用させることが報告さ
れている。(S.Bhattacharyya等JAOCS.Vol.66,no.12 De
cember 1989)。
又、出願人は、先に、高酸価油、グリセリン及び固定化
リパーゼを含む反応液を用いて水分含量3.0重量%以下
にて反応させることを特徴とするモノグリセリド高含有
物の製造法を提供した。(特公昭62−51593公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来の高酸価油の精製法は、いずれも、該高酸価油
とグリセリンとから成る基質に固定化リパーゼを接触反
応させて、遊離脂肪酸を減少せしめグリセリドの増進を
行うエステル化反応を継続的に行える方法は全く教示し
ていない。
本発明は、かゝる高酸価油とグリセリンとから成る基質
に固定化リパーゼを接触反応させる式の高酸価油の精製
法において、該基質のエステル化反応を継続的に行い得
て工業生産に適した高酸価油の精製法を提供することを
目的とするものである。
更に、本発明は、遊離脂肪酸及びジグリセリドの含有量
が減少し且つ特にトリグリセリド含有量の増大した精製
品を得る高酸価油の精製法を提供することを目的とする
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記の従来法を改善し、且つ上記の目的を達
成した継続的にエステル化反応を行うことができる高酸
価油の精製法を提供するもので、高酸価油と該高酸価油
中の遊離脂肪酸含量の5〜20wt.%のグリセリンとから
成る基質を調製し、該基質と固定化リパーゼとの接触反
応とその反応液の脱水処理とを同時に行い、且つその脱
水速度を脂肪酸の減少速度より大きくすることを特徴と
する。
〔作 用〕
上記の基質は、該固定化リパーゼとの接触により主に下
記の反応が主として行われる。
2FA+G=DG+2H2O …(1) DG+FA=TG+H2O …(2) この際、同時に行われる脱水処理が進行し、特に、その
脱水速度を遊離脂肪酸(FA)の減少速度より大きくする
ようにしたので、上記(1)(2)の反応は右側に進行
し、即ち、エステル化反応は促進され、経時的に遊離脂
肪酸の減少とこれに伴うトリグリセリド(TG)の増大が
進み、最終的に、脂肪酸の大部分がトリグリセリドに合
成された精製品の円滑な生産が得られる。
この反応過程で進行するため、ジグリセリド(DG)は、
初期に急速に合成され、その後は減少し続け、それに伴
いトリグリセリドが増加する。又、モノグリセリド(M
G)は殆ど合成されなかった。
該固定化リパーゼとしては、初期含水量1.3〜8.3%のも
の及び該基質として初期水分濃度50〜8000ppmのものを
使用し、反応温度50℃以上で反応させるときは、これ以
上の水を含有する固定化リパーゼと基質を使用するに比
し、トリグリセリドの合成量が増大する。
又、固定化リパーゼとしては、特に、ムコール属のリパ
ーゼを陰イオン交換樹脂に固定したものを使用するとき
は、微水系にて優れた活性を示し好ましい。
該高酸価油としては、脱ガム、脱ロウした高酸価油を使
用するときは、固定化リパーゼが、ガム、ロウに被覆さ
れず、長期の使用ができ、また反応系にガム、ロウの詰
まりが起こらず好ましい。
該脱水速度と脂肪酸の減少速度との関係に特に着目した
所、前者の速度が後者の速度の100.1%以上になるよう
に保持することにより、確実に脂肪酸を減少させる反
面、トリグリセリドの合成を行うことができる。
更に、上記の本発明の精製法を行う過程で、適時水分濃
度50〜8000ppmの基質を添加することにより、本法によ
る連続して精製品が得られ、大量生産が可能となる。
更に、本発明の実施態様として、該固定化リパーゼを内
蔵した固定床リアクターと脱水装置とを各別に設けると
共に、これらをループ状に連結し、該基質を循環させ接
触反応条件と脱水条件とを各別に調整し得るようにし、
脱水速度が脂肪酸の減少速度よりも大きい値を所望に調
節し得るようにするときは、高酸価油の種類、反応過程
の状況の変化に応じて、接触反応条件、脱水条件を各別
に自由に調整でき、目的とするトリグリセリド高含有の
精製品を得られ有利である。
上記の実施態様の更に具体的な方法として、該固定化リ
パーゼを内蔵した固定床リアクターとエバポレーション
式脱水装置と恒温槽と循環用ポンプとをループ状に連結
して高酸価油の精製装置を用い、該基質の循環下で、該
固定床リアクターでの反応温度を50〜70℃に保ち、接触
反応を繰り返すと同時に、該脱水装置で60℃以上で加熱
蒸発による脱水処理を繰り返すようにするときは、確実
にトリグリセリド高含有の精製品が得られる。
更に、他の具体的な方法として、該固定化リパーゼを内
蔵した固定床リアクターと、バブリング式脱水装置と循
環用ポンプとをループ状に連結した反応系と、不活性ガ
ス供給源に連なるモレキュラーシーブカラムと循環用エ
アポンプと該脱水装置とをループ状に連結した脱水系と
から成る高酸価油の精製装置を用い、該基質の循環下で
該固定床リアクターでの反応温度を50〜70℃に保ち、接
触反応を繰り返すと同時に該脱水装置に60℃以上で乾燥
不活性ガスを陽圧に保ち乍らバブリング脱水を繰り返す
ようにするときも、確実にトリグリセリド高含有の精製
品が得られる。
更に、本発明の上記精製法の実施において、適時溶剤を
循環すれば、固定化リパーゼの細孔内流路の付着物が除
かれ、その活性を向上できる。
又、適時、還元剤を循環することにより、その活性が向
上し、トリグリセリドの収量が向上する。
又、反応系路内の酸素濃度を大気中の酸素濃度の1.5%
以下とすることにより、生産物の過酸化物価上昇を防止
できる。
〔実施例〕
次に本発明の高酸価油の精製法につき詳述する。
高酸価油とは、遊離脂肪酸が約15%以上含まれた油を指
称し、高酸価の米糠油やパーム油などが本発明の対象で
ある。米糠油は、コレステロールを低下させる効果が強
く、健康食品として注目されているが、アジアでは米生
産量が多いにも拘らず、集荷方法が遅れているため、多
くの国の米糠油は、遊離脂肪酸を多く含み、食用に適さ
ない高酸価油に変成してしまう。この現状に鑑み、本願
の発明者は、高酸価油から食用油収量を増大させること
を目的とし、固定化リパーゼによる回分式精製について
研究してきたが、今般、該高酸価油に含有する遊離脂肪
酸を効率よく減少させ、高収率にトリグリセリドに合成
された精製法の要件の1つは、高酸価油の遊離脂肪酸の
含有量の5〜20wt.%のグリセリンを添加配合した基質
を用いることである。
更に、該基質を用い、これに固定化リパーゼを接触反応
させると同時に、その反応液に脱水処理を施すことによ
り、効率よく下記2段の反応式のエステル化反応が進行
継続する。
2FA+G→DG+2H2O …(1) DG+FA→TG+H2O …(2) 茲で、FAは脂肪酸、Gはクリセリン、DGはジグリセリ
ド、TGはトリグリセリドの略称である。
この場合、発明者は、エステル化反応工程において、特
に、脂肪酸の減少速度と脱水速度との関係に注目し、検
討した結果、脱水速度は、脂肪酸の減少速度より大き
く、即ち、100.1%以上に維持することが重要であるこ
とを知見した。更に具体的には、単位時間当たりの脱水
モル数(Δw/Δt)と単位時間当たりの脂肪酸減少モル
数(ΔFA/Δt)との間には、(Δw/Δt)=K(ΔFA/
Δt)の関係があり、トリグリセリドを高収量で得るた
めには、Kは1.001以上の定数である必要があることを
知見した。
この場合、反応液中の水分濃度が450ppm以下にまで脱水
し、微水系下に保持することがトリグリセリドの高収率
を得るために好ましい。この条件を満足するには、高温
による蒸発乾燥、減圧による方法、或いは乾燥不活性ガ
スの通気などによる方法が用いられる。
尚又、この場合に使用される固定化リパーゼとしては、
その初期含水量が1.3〜8.3%のものが好ましく、その中
でも、2〜4%が推奨され、特に、1.3%以下になると
活性発現に支障を来たす傾向が見られた。該基質として
は、その初期水分濃度が50〜8000ppmが好ましく、その
中でも500〜2000ppmが推奨され、50ppm未満となると、
脂肪酸の減少速度が低下する傾向があり、8000ppmを越
えると、トリグリセリドの収量が低下する傾向がある。
尚、反応温度は、50〜70℃が好ましく、この範囲内で
は、固定化リパーゼの熱失活は起こらず、又、雑菌の汚
染もなく、高い反応速度を維持できる。又、反応中、飽
和脂肪酸のような高融点成分の析出もない。
該高酸価油としては、脱ガム、脱ロウしたものを用いる
ことが好ましい。脱ガム、脱ロウすることにより、固定
化リパーゼ担体内部への反応物質の移動速度を高く保
ち、固定化リパーゼ活性を充分活用でき、又、固定化リ
パーゼを充填した固定床リアクター内部の圧力損失を低
く保つことができ、更には、精製装置の高酸価油のルー
プ、即ち、循環パイプなどの目詰りを防止できる。脱ガ
ムは、原油に3〜5%の熱水(70〜100℃)を加え、水
和析出したガム質を遠心分離等で除去する水和脱ガム等
により達成される。脱ロウは、原油を約85℃に加熱後、
長時間かけて冷やし、ヘキサンを加えてミセラとし、
過助剤を加えてワックス分を過して除去することによ
り達成される。又、室温にてヘキサンを抽出した低温抽
出油を用いれば、脱ロウを行わなくても使用できる。
該固定化リパーゼとしては、クロモバクテリウム属のリ
パーゼ、シュウドモナス属のリパーゼやリゾーブス属の
リパーゼ、ムコール属のリパーゼなどがあり、水分1%
以下とした場合は、特に、ムコール属のリパーゼが酸価
を減少を続けることができ、微水系において活性を維持
することができ、本法に使用するに最適である。而し
て、これを陰イオン交換樹脂に固定化し、リアクター内
に充填し使用することが好ましい。
陰イオン交換樹脂はデオライトES 562或いはダウエック
スMWA−1のようなマクロポーラスな弱塩基性陰イオン
交換樹脂が好ましい。リパーゼは、ムコール・ミーヘイ
或いはムコール・ジャバニカスのリパーゼが挙げられる
が、熱安定性の点からは前者の方が望ましい。ムコール
属のリパーゼを陰イオン交換体に固定化したリパーゼ
は、反応液の水分濃度が10ppm以下の超微水系環境でも
反応することができる。しかし超微水系環境においては
固定化リパーゼが不安定になる場合があるので、安定化
処理をした固定化リパーゼを用いることにより、長期に
亘り精製処理を続けることができ、又、本発明の効果は
更に向上する。
ムコール属のリパーゼは、グリセリドの1,3位のアシル
基に強い親和性を有し、グリセリドの2位のアシル基へ
の転移は、非酵素的にも進行するが、シュウドモナス属
細菌のようなグリセリドの2位にも特異性を有する固定
化リパーゼを併用することにより本発明の効果は更に増
大する。
更に本発明の精製法によれば、所望に応じ、連続的に行
うには、適時、水分濃度100〜7000ppmの基質を添加する
ことが好ましい。かくして、添加された基質に対し引き
続き本発明の高酸価油の精製が行われる。この場合、水
分濃度の高い基質を添加すると、固定化リパーゼへの水
分補給を行うことができ、その活性を向上せしめること
ができる。かくして、精製品の品質の低下防止、固定化
リパーゼの失活防止、活性の向上などの諸効果をもたら
す。
又、本発明による精製法において、適時、溶剤を循環す
ることが好ましい。即ち、前記の脱ガム、脱ロウした高
酸価油を用いても、微量に含有していたガム、ロウが蓄
積し、長時間連続運転をしていると精製装置の例えば循
環ポンプの送液圧力が上昇したり、固定化リパーゼ活性
が低下する場合がある。このような時には、50〜70℃の
有機溶媒を適当な時間循環せしめ、固定化リパーゼ及び
配管系統を洗浄することが好ましく、その洗浄後、再び
反応を継続させる。かゝる手段により固定化リパーゼの
細孔内に詰っていた付着物を取り除き、活性度を保持さ
せると共に、配管や固定床内の付着物も除け、循環ポン
プの送液圧を減少させることができる。有機溶媒として
は、ヘキサン、アセトン、イソオクタンなど各種の適当
な溶媒が使用できる。
米糠油等は、不飽和脂肪酸を80%以上含有するので、反
応系内の酸素濃度が高いと、過酸化物価の上昇傾向があ
る。又、密閉したループ式の精製装置でも長期に亘り継
続していると、その反応系路内の酸素濃度が増大し、生
産物を酸化し、過酸化物を生成し、品質を低下し、又、
固定化リパーゼの失活をもたらす嫌いがある。
又、本発明によれば、これをかゝる不都合を予防し或い
は改善するため、その1つの手段は、還元剤を適時循環
する。これにより固定化リパーゼの失活を防止でき、
又、その活性を改善できる。
該還元剤としては、マニトール、ソルビトール等の糖ア
ルコール、糖、アスコルビン酸、スパーオキシドデスム
ターゼ等が上げられる。緩衝液中に還元剤を添加した液
として、リアクター等に添加する。
他の手段としては、ループ状の反応系路内を乾燥した窒
素ガス等の不活性ガスで陽圧に保持し、或いは反応系路
内を真空脱気して反応系路内の酸素濃度を大気中の酸素
濃度の1.5%以下とすることである。陽圧手段として
は、例えば、反応系内を不活性ガスを数分間バブリング
し、これにより不活性ガスを飽和状態にした後、更に反
応系内に導入し、該系内を不活性ガス圧力が大気圧より
高くなるように保持することである。
本発明の高酸化油の精製法について更に詳述する。
該固定化リパーゼによるグリセリド合成においては、モ
ノグリセリドの検出は僅かであった。反応液中の高酸化
油に対するグリセリンの量を増加させると反応終了後の
脂肪酸に対するトリグリセリドの割合TG/FAは増加し
た。一方ジグリセリドに対するトリグリセリドの割合TG
/DGは減少した。高酸化油を精製するためには、脂肪酸
を減少させると共に、ジグリセリドもトリグリセリドに
して減少させなければならない。上記の規定より検討
し、結局、グリセリン含量を高酸化油中の遊離脂肪酸含
量の5〜20%にして固定化リパーゼと高酸価油を反応さ
せることにより、脂肪酸及びジグリセリドを減少させ、
トリグリセリドを増産させることができる。
次に、本発明を更に具体的な実施例に基づいて説明す
る。
実施例1 高酸価油として、高酸価米糠油1gを用いた。該米糠油
は、トリグリセリド(TG)43.4%、ジグリセリド(DG)
14.9%、モノグリセリド(MG)0.2%、脂肪酸(FA)41.
4%、水分量620ppmを含んでいた。従って、1gの高酸価
油には0.414gの脂肪酸が含まれていることになる。固定
化リパーゼとしては、ムコール・ミーヘイ(含水量8.2
%)をマクロポーラスな弱塩基性陰イオン交換樹脂に結
合されたリポザイムIM20(ノボ社製)を使用した。前記
高酸価米糠油1g下記表1に示すようにグリセリン(G)
添加量を高酸価油からトリグリセリドを生成するための
化学量論量の0〜4倍の間で変化させて配合して成る各
種基質の夫々に、リポザイム0.05gを添加して成るもの
を、キャップをしない試験管に夫々入れ、これらを60℃
で24時間振とうする蒸発乾燥法で脱水し乍らトリグリセ
リドの合成を行った。
前記24時間後の夫々の生産物の組成を、3連のShodex G
PC KF−802を装着し、HPLCにて分析した後、重量比に換
算する標準曲線から求めた。その結果を下記表1に示
す。
表中の遊離脂肪酸含量に対して、10%のグリセリンの添
加量は、用いた高酸価油からトリグリセリドを合成する
ための化学量論量にあたっている。この化学量論量は、
次のように計算した。
トリグリセリドを合成するための化学量論量g =92×1/3〔{高酸価油のケン化物中の脂肪酸のモル数} −{高酸価油のケン化物中のジグリセリドのモル数} −2{高酸価油のケン化物中のモノグリセリドのモル数} −3{高酸価油中のグリセリンのモル数}〕 …(3) 上記表1から明らかなように、高酸価油から脂肪酸を減
少させる一方、トリグリセリドの合成を得るためには、
化学量論量のグリセリンの添加により最も有効であった
が、化学量論量の半分或いはその2倍までは、その目的
を達成することができた。
上記表1及び後記する実施例2から明らかなように、反
応中モノグリセリドの合成は殆どなかったこと、該実施
例2で明らかにするように、脱水速度と略等しい速度で
脂肪酸が減少していることより、固定化リパーゼによる
トリグリセリド合成は、脂肪酸とグリセリンが反応して
ジグリセリドが生成される第1反応と、ジグリセリドと
脂肪酸よりトリグリセリドが生成される第2反応によっ
て進行していると考えられる。TGを合成する化学量論量
のグリセリンは、上記の(3)式で計算されるから、例
えば化学量論量を用いた系内での未反応グリセリン量
は、下記式(4)で計算できることになり、この価を用
いると、前記の第1反応式(1)は、グリセリンの変化
量から評価でき、前記の第2反応式(2)はTGの変化量
から評価することができる。
グリセリンの化学量論量を用いた場合の反応系(混合
物)中のグリセリンのモル数=1/3{脂肪酸のモル数−
ジグリセリドのモル数−2モノグリセリドのモル数}
…(4) 実施例2 高酸価油として、TG44.8%、DG18.9%、MG0.6%、FA35.
8%、水分量1640ppmを含む高酸価の米糠油15gとトリグ
リセリド合成のための化学論量であるグリセリン0.44g
とから成る基質に、含水量8.4%のリポザイムIM60(ノ
ボ社製)0.75gを添加して調整した原料を、3本の試験
管A,B,Cにとり、60℃で反応させると同時に、乾燥窒素
を通気量を夫々変えて吹き込み、脱水処理を行った。そ
の反応過程で、水分濃度と生産物の組成分析を行った。
その結果を下記表2に示す。
表2において、平均水分濃度Wとは、任意の時間t1及び
t2(t2>t)の時の水分濃度をWt1ppm、Wt2ppmとする
と、W=(Wt1+Wt2)/2である。反応液25g中の時間t1,
t2の時のトリグリセリドの重量%を102TG/t1,102TG/t2
とすると、トリグリセリドの生成速度ΔTG/Δt(モル
/時間)は、ΔTG/Δt=25(TGt2−TGt1)/{866(t2
−t1)}である。866とは、高酸価油のトリグリセリド
の平均分子量である。高酸価油中の脂肪酸の分子量を27
6とすると、脂肪酸の減少速度ΔFA/Δt(モル/時間)
は、ΔFA/Δt=25(FAt2−FAt1)/{276(t2−t1)}
である。水分の減少速度を評価するには、トリグリセリ
ド合成される際の減水量も評価しなければならないの
で、ΔW/Δt=25{(Wt2−Wt1)/{10000×18}+(F
At2−FAt1)/276}/(t2−t1)}となる。
前記のA,B,Cのサンプルについて、通気量を異にして反
応させたその反応過程での脱水速度ΔW/Δtと脂肪酸減
少速度ΔFA/Δtの関係を調べるべく、縦軸に脱水速度
を縦軸に脂肪酸減少速度をとり、A,B,Cのサンプルより
夫々脱水速度と脂肪酸減少速度をプロット(図中、○、
△、□で示す)と実線で示すように、原点を通る直線を
示し、ΔW/Δt=FΔF/Δt(という関係式に整理する
ことができた。点線はK1の値である。該実線のKを求め
るとK=1.15となっていた。
このように、通気量の変化に関係なく、両者は上記の関
係式の関係にあることが判った。
従って、脱水速度を脂肪酸減少速度より大きくすること
が、固定リパーゼによるトリグリセリドの合成に必要で
あることが判った。
第2図は、上記の脱水速度が脂肪酸減少速度より15%多
い、即ちK=1.15を保ち乍ら、前記の試験管Aのサンプ
ルを該固定化リパーゼによる接触反応と乾燥窒素を吹き
込むことによる脱水処理を同時に行うことを45時間続け
たときの該高酸価油の各成分の経時的変化を示す。時間
の経過に従い、トリグリセリドの合成量が増大し、水分
濃度10ppm以下の超微水系においても増加を続け、80%
を越え90%近くにも達する反面、脂肪酸は減少を続け殆
ど0に近付き、極めて優れた生産物、即ち高酸価油の精
製品が得られた。ジグリセリドは、反応開始直後一旦上
昇したが、その後は経時的に減少した。モノグリセリド
は、殆ど生産されなかった。
次に、固定化リパーゼの初期水分含有量並に基質の初期
水分濃度が脂肪酸の減少並にトリグリセリドの増加にど
のように影響するかを検討した実施例につき説明する。
実施例3 リポザイムIM60について、含水量の異なる3種類を用意
した。即ち、1つは、ビンから出したまゝで乾燥処理し
ないもの(含水量8.2%)、他の2つは、五酸化リンと
共にデシケーターに入れ、モレキュラーシーブカラムの
トラップの付いた配管を通じて一晩乾燥したもの(含水
量2.5%)及び7日間乾燥したもの(含水量1.24%)を
用意した。その含水量は、重量変化値から算出した。
該基質は、TG58.2%、DG13.2%、MG0.6%、脂肪酸27.9
%、水分濃度405ppmから成る高酸価米糠油とその含有脂
肪酸に対し、前記の化学論量のグリセリンを配合したも
のである。該基質について含水量の異なる2種類を用意
した。即ち、これに水飽和させて7770ppm、7176ppmの水
分を夫々含ませた2種類のwet状態のもの及び一晩60℃
で真空脱水して夫々89ppm、63ppm、92ppmの水分濃度と
した3種類のdry状態のものを用意した。
これら各種の固定化リパーゼと基質とを下記表3のよう
に組合わせて、反応開始時の水分量を変化させ、その夫
々の原料を試験管に容れ、密栓すると共に真空装置に接
続し、夫々の原料を60℃に加熱反応させると共に、5〜
10mmHgに減圧し乍ら反応と脱水処理を同時に行い、反応
時間1時間及び8時間の時点で生産物の組成を分析し
た。その結果は、下記表3に示す通りであった。
上記表から明らかなように、固定化リパーゼとして1.24
%に乾燥したものを使用した場合は、トリグリセリドの
合成が比較的低く、又、脂肪酸の減少量が少なく良くな
かった。
固定化リパーゼとして含水量2.5%の乾燥状態のもの
と、水分濃度63ppmの乾燥状態の基質を組合わせた場合
は、トリグリセリドの合成が最も高かった。又、含水量
2.5%の乾燥固定化リパーゼと水を飽和した7176ppm含む
基質を組合わせた場合は、脂肪酸の減少量が最も大きか
った。
乾燥しない固定化リパーゼを乾燥基質及び水飽和(7770
ppm)基質と夫々組合わせた場合も良い結果を得た。
冒頭に述べたバタチャリア等の報告では、リポザイムは
10%の水分が必要であるとしているが、上記のように10
%以下の含水量8.2%の固定化リパーゼ、或いは更にこ
れを乾燥した水分の少ない乾燥リパーゼを使用が、むし
ろ、脂肪酸の減少効果及びトリグリセリドの増大効果に
おいて優れていることが判った。多くの試験研究の結
果、好ましい固定化リパーゼの含水量は8.2〜1.3%の範
囲であり、好ましい基質の水分濃度は、50〜8000ppmの
範囲の範囲であり、これらを色々に組合わせて使用する
ことである。尚、基質の水分測定は、電量方式微量水分
測定装置CA−03(三菱化成製)で行った。
本法を連続的に実施する高酸価油の精製装置としては、
次のような精製装置が好ましい。即ち、固定化リパーゼ
を内蔵した固定床リアクターと脱水装置とを各別に設け
ると共に、これらをループ状に連結して成る精製装置を
使用することが好ましい。かくして、該装置を使用すれ
ば、基質を循環させ接触反応条件と脱水条件とを各別に
調整し得るようにし、高酸価油の種類、品質、その他の
状況の変化に応じて、脱水速度が脂肪酸の減少速度より
も大きい値を所望に調節し得るようにすることができ好
ましい。
下記にその2種類の精製装置を使用して本法を実施する
例を示す。
実施例4 第3図示の高酸価油の精製装置を使用して本法を実施す
る例を説明する。
図面で1は、固定床リアクターを示し、該リアクター1
には固定化リパーゼ2として1.25gのリポザイムIM60
(含水量8.2%)を充填したものである。3は、キャッ
プをしない上面を開放したエバポレーション式脱水装置
を示す。該脱水装置3は、脱水槽3aと加熱攪拌器3bとか
ら成る。4は恒温槽、5は循環用ポンプ、6は温度計を
示し、該固定床リアクター1、該脱水槽3a、該恒温槽
4、該ポンプ5を接続パイプ7でループ状に連結して成
る。
該装置を運転するには、該固定床リアクター1の外周の
ジャケットに温水を通して反応温度を60℃に保ち一方、
原料として、実施例1に使用したと同じ脱ガム、脱ロウ
した高酸価の米糠油25gとグリセリン0.9gとから成る基
質を該循環ポンプ5に連なる供給口(図示しない)より
導入し、該ポンプ5を介して5ml/分の速さで矢示のよう
に循環せしめるが、該固定床リアクター1を通し、その
間に60℃で固定化リパーゼ2との接触反応を行わせ、そ
の反応液を該脱水槽3a内に送給し、該脱水槽3a内で該反
応液8を該加熱攪拌器3bにより70℃に保ち乍ら、蒸発脱
水処理を行った後、該恒温槽4内で該脱水槽3aを出たパ
イプ7内の脱水された反応液は、該恒温槽4内で60℃に
保たれ、再び該固定床リアクター1内に入り、接触反応
を受け、爾後同様にして接触反応と蒸発脱水処理を繰り
返した。
かくして、脱水速度と脂肪酸減少速度との関係は、K=
1.012を保持せしめた。その結果、24時間後の生成物中
のトリグリセリドの含量は60%以上となり、遊離脂肪酸
の含量は15%以下となった。又水分濃度は450ppm以下で
あった。24時間後、新たに同様の基質を外部から供給し
て、同様にループ状に循環させて連続運転を行った。脱
水槽3a内の反応液の温度を70℃に保つときは、10日間連
続運転しても、上記の良好な生産物が得られ、又、該リ
パーゼの失活は見られず、反応中のロウ分析出による活
性低下は見られなかった。
実施例5 実施例1に用いたと同じ組成と水分量から成る高酸価な
米糠油1gとグリセリン0.036gとから成る基質にリポザイ
ムIM60を0.05g添加し、良く混合して成る原料を試験管
にとり、その夫々の試験管を密栓すると共に接続管を介
して真空装置に接続し、その夫々の試験管内を吸引排気
して試験管内の酸素濃度を大気中の約0.6%に保ち乍
ら、夫々55℃及び60℃に加熱して反応と減圧脱水を行っ
た。Kを実施例2の如く計算すると、K=1.008以上と
なった。即ち、上記のような減圧下での反応と脱水処理
を行うときは、下記表4に示すように、トリグリセリド
の収率が著しく高く且つ脂肪酸の残量が著しく低く、極
めて良質の生産物が得られ、又、加熱温度が55℃よりも
60℃の方がトリグリセリドの収率が良い結果を得た。
実施例6 第4図示の精製装置を使用し、本法を実施する例を説明
する。
内部に、固定化リパーゼ2としてリポザイムIM60を1.25
g充填した固定床リアクター1は、バブリング式脱水装
置9と接続パイプによりループ7状に連結され反応系路
を形成し、反応系路内に循環用ポンプ5を介在させて、
反応液を矢示のように循環せしめるようにした。10はニ
ードル弁、11は基質の入口、12は生産物の排出口を示
す。該脱水装置9は、接続パイプから成るループ状脱水
系路13と接続し、該脱水系路13に、筒内にモレキュラー
シーブ5Aを250g充填して成るモレキュラーシーブカラム
14と循環用エアポンプ15とを介在せしめると共に、外部
の窒素などの不活性ガス供給源例えば窒素ボンベなどに
連なる。16は、該脱水系路13と不活性ガス供給源との間
に介在せしめた供給弁、17はフローメーターを示す。該
精製装置を使用し、高酸価油の精製を行うには、例え
ば、高酸価米糠油(TG43.4%、DG14.9%、MG0.2%、FA4
1.4%、水分量620ppm)25gとグリセリン0.55gとを混合
して成る基質を、該基質入口11より導入し、該循環用ポ
ンプ5を駆動して矢示のように毎分6mlの速度で循環せ
しめる。該リアクター1を通過するとき、該リパーゼに
より接触反応し、その反応液は、該脱水装置9内に上方
から入り、滴下して下端から抜くようにした。一方、該
循環用エアポンプ15を作動して不活性ガス供給源、例え
ば窒素ボンベよりの、例えば、窒素ガスを該弁16を介し
て矢示のように該脱水系路13内を循環せしめる。然ると
きは、該窒素ガスは該モレキュラーシーブカラム14を通
過し、乾燥窒素ガスとなって該脱水装置9の下部より吹
き込み上方に抜けるように循環する。かくして、該乾燥
窒素ガスを反応液8と60℃で接触させバブリングにより
脱水処理を行った。該バブリングによる発泡は、吹き込
み口の口径を調整し、且つ該脱水装置塔9の上部に仕切
板を設けて泡の飛散を防いだ。
このように、該循環ポンプ5による反応液の循環による
該リアクター1内での接触反応の繰り返しと該循環エア
ポンプ15による乾燥不活性ガスによる該反応液のバブリ
ング脱水処理の繰り返しを所望時間行った。
この場合、該脱水速度を該脂肪酸脱水速度との関係を、
K=1.017とした。而して所望時間経過後、該基質入口1
1より新たに基質を供給し、1,2分窒素ガスを通気して窒
素飽和にした後、窒素の供給を止め、連続精製作業を長
期間に亘り行った。その結果は下記表5に示す通りであ
る。モレキュラーシーブカラムは、所望期間を置いて、
電気炉で加熱し再生する。該表に明らかなように、運転
日数2日目には、トリグリセリドは85.0%、脂肪酸0.8
%の優れた生産物が得られた。又、反応開始後20日程度
までは、トリグリセリドは70以上、脂肪酸は10%以下の
品質が極めて良い生産物が得られていたが、その後トリ
グリセリドの収率が徐々に低下し始め、それと共に残存
脂肪酸含量が徐々に増大してきた。
そこで、運転31日目に有機溶剤、例えば、ヘキサン50ml
を該反応系路10内に注入し、固定化リパーゼの細孔内の
付着物を洗浄除去した後、前記と同様に運転を再開する
と、僅か乍らトリグリセリドの収率が増大し、残存脂肪
酸も減少した。これは、付着物の除去により、固定化リ
パーゼの活性が回復したからであると解される。
次に、運転35日目に、還元剤として6.7%のマニトール
を30mlのグリシン−NaOH緩衝液(pH10.5)に加えた還元
剤を、該反応系路10内に加え、48時間循環後、運転を再
開すると、トリグリセリドの収量が更に増大し、残存脂
肪酸も減少した。又、運転36日目に、30mlの水に17500
単位のスパーオキシドジスムターゼを添加して成る液で
24時間循環し、更に30mlのグリシン−NaOH緩衝液(pH1
0.5)にアスコルビン酸6.7%を加えて成る液で24時間循
環後、運転を再開するとトリグリセリドの収量が更に向
上した。これは、長期間の運転中に反応系路内の酸素に
より生産物の過酸化物価が増大し、固定化リパーゼも過
酸化されていたものを、該還元剤で還元したため、該リ
パーゼの活性が上昇したものと解される。
実施例7 実施例6と同様に運転する過程で、24時間毎のサンプリ
ング時に、該弁16を開けて、該窒素ボンベより窒素ガス
を3〜4分脱水系路13内に飽和させた後、開弁し続け、
該脱水系路13及び反応系路10内を陽圧に保ち、運転を再
開した。その結果は下記表6に示す通りであった。
上記表6から明らかなように、トリグリセリドの収率は
低下せず、又残留脂肪酸は低い値に保たれていた。この
ことは、窒素陽圧下において、固定化リパーゼは長期に
亘りその活性が安定良好に維持されると解される。
又、一方、用いた米糠油の過酸化物価は12であり、反応
後の過酸化物価は前記実施例6の場合は60前後に増大し
たが、本実施例では、該表6に示すように、20前後と上
昇が僅かで、又、固定化リパーゼの失活も観察されず、
長期間の繰り返し使用が可能であった。
〔発明の効果〕
このように本発明によるときは、高酸価油と該高酸価油
中の遊離脂肪酸含量の5〜20wt.%のグリセリンとから
成る基質を調製し、該基質と固定化リパーゼとの接触反
応とその反応液の脱水処理とを同時に行い、且つその脱
水速度を脂肪酸の減少速度より大きくするようにしたの
で、トリグリセリドの合成が増大する一方、残存脂肪酸
量の低い健康食品として優れた品質の高酸価油の精製品
が得られ、又、その大量生産を可能とする効果を有す
る。
この場合、該固定化リパーゼの初期含水量は、1.3〜8.3
%であり、該基質の初期水分濃度は、50〜8000ppmであ
り、反応温度は50℃以上とするときは、上記の精製品の
取得が保証される。
又、該固定化リパーゼとしてムコール属のリパーゼを陰
イオン交換樹脂に結合させたものを使用するときは、特
に微水系において活性を良好に維持できる効果を有す
る。
更に、該高酸価油として、脱ガム、脱ロウした高酸価油
を使用するときは、該固定化リパーゼの被覆が防止さ
れ、固定化リパーゼの連続使用を延長できる。
又、脱水速度が脂肪酸減少速度の100.1%、即ち、K=
1.001以上になるように脱水し乍ら反応液を固定化リパ
ーゼに繰り返し接触させることにより、高酸価油の連続
精製法が可能となる。
更に、適時、水分濃度約50〜8000ppmの基質を添加すれ
ば、長期に亘る連続生産が可能となる。
更に、本法を実施するに当たり、固定化リパーゼを内蔵
した固定化リアクターと脱水装置とを各別に設け、且つ
これらをループ状に連結すれば、その接触反応条件と脱
水条件とを各別に調製し得るようにすれば、脱水速度を
脂肪酸減少速度より大きい値を所望に応じ調節できる便
利をもたらす。
更に、精製装置として、該脱水装置を、エバポレーショ
ン式脱水装置とし、60℃以上で反応液の加熱蒸発処理を
行い、該リアクターでの反応温度を50〜70℃の範囲とす
るときは、目的とする高酸価油の優れた精製品が得られ
る。又、別の精製装置として、該固定床リアクターとバ
ブリング式脱水装置とをループ状とした反応系路と、不
活性ガス供給源に連なるモレキュラーシーブカラムと該
バブリング式脱水装置を含むループ状とした脱水系路と
を組合わせ、該リアクターでの反応温度を50〜70℃と
し、反応液を60℃以上の乾燥不活性ガスでバブリング脱
水処理を行うようにすることにより、目的とする高酸価
油の優れた精製品が得られる。
更に、本発明によれば、適時、溶剤を循環するときは、
固定化リパーゼの洗浄が行われ、その活性を向上できる
効果を有する。又、適時、還元剤を循環するときは、固
定化リパーゼの過酸化物価の上昇の防止、活性化をもた
らす。
又、バッチ式やループ式の反応系路内を不活性ガスで陽
圧とし、或いは酸素濃度を大気圧の1.5%以下とした真
空減圧下で、反応、脱水処理を行うときは、固定化リパ
ーゼの過酸化物価の向上を防止し、その活性の向上、ト
リグリセリドの生産性の向上などをもたらす。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法の実施の1例における脱水速度と
脂肪酸減少速度との関係を示すグラフ、第2図は、本発
明の実施の1例における高酸価油の諸成分の経時的変化
を示すグラフ、第3図は、本法の実施に使用する1例の
精製装置の線図、第4図は、本法の実施に使用する他例
の精製装置の線図を示す。 1……固定床リアクター、2……固定化リパーゼ 3……エバポレーション式脱水装置 5……循環用ポンプ、7……ループ 8……反応液 9……バブリング式脱水装置 10……反応系路、13……脱水系路 15……循環用エアポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 直輝 千葉県船橋市日の出2丁目17番1号 ボー ソー油脂株式会社内 審査官 鈴木 恵理子

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高酸価油と該高酸価油中の遊離脂肪酸含量
    の5〜20wt.%のグリセリンとから成る基質を調製し、
    該基質と固定化リパーゼとの接触反応とその反応液の脱
    水処理とを同時に行い、且つその脱水速度を脂肪酸の減
    少速度より大きくすることを特徴とする高酸価油の精製
    法。
  2. 【請求項2】該固定化リパーゼの初期含水量は、1.3〜
    8.3%であり、該基質の初期水分濃度は、50〜8000ppmで
    あり、反応温度は50℃以上である請求項1の高酸価油の
    精製法。
  3. 【請求項3】該固定化リパーゼは、ムコール属のリパー
    ゼを陰イオン交換樹脂に結合させたものである請求項1
    の高酸価油の精製法。
  4. 【請求項4】該高酸価油は、脱ガム、脱ロウした高酸価
    油である請求項1又は2の高酸価油の精製法。
  5. 【請求項5】該脱水速度が脂肪酸の減少速度の100.1%
    以上になるように脱水し乍ら反応液を固定化リパーゼに
    繰り返し接触させるようにした請求項1の高酸価油の精
    製法。
  6. 【請求項6】適時、水分濃度50〜8000ppmの基質を添加
    することを特徴とする請求項1の高酸価油の精製法。
  7. 【請求項7】該固定化リパーゼを内蔵した固定床リアク
    ターと脱水装置とを各別に設けると共に、これらをルー
    プ状に連結し、該基質を循環させ接触反応条件と脱水条
    件とを各別に調製し得るようにし、脱水速度が脂肪酸の
    減少速度よりも大きい値を所望に調節し得るようにした
    ことを特徴とする請求項1の高酸価油の精製法。
  8. 【請求項8】該固定化リパーゼを内蔵した固定床リアク
    ターとエバポレーション式脱水装置と恒温槽と循環用ポ
    ンプとをループ状に連結して高酸価油の精製装置を用
    い、該基質の循環下で、該固定床リアクターでの反応温
    度を50〜70℃に保ち、接触反応を繰り返すと同時に、該
    脱水装置で60℃以上で加熱蒸発による脱水処理を繰り返
    すことを特徴とする請求項6の高酸価油の精製法。
  9. 【請求項9】該固定化リパーゼを内蔵した固定床リアク
    ター、バブリング式脱水装置と循環用ポンプとをループ
    状に連結した反応系と、不活性ガス供給源に連なるモレ
    キュラーシーブカラムと循環用エアポンプと該脱水装置
    とをループ状に連結した脱水系とから成る高酸価油の精
    製装置を用い、該基質の循環下で該固定床リアクターで
    の反応温度を50〜70℃に保ち、接触反応を繰り返すと同
    時に該脱水装置に乾燥不活性ガスを陽圧に保ち乍らバブ
    リング脱水を繰り返すようにしたことを特徴とする高酸
    価油の精製法。
  10. 【請求項10】請求項1,7,8又は9の高酸価油の精製法
    において、適時、溶剤を循環させることを特徴とする高
    酸価油の精製法。
  11. 【請求項11】請求項1,7,8又は9の高酸価油の精製法
    において、適時、還元剤を循環させることを特徴とする
    高酸価油の精製法。
  12. 【請求項12】請求項1,7,8又は9の高酸価油の精製法
    において、反応系路内の酸素濃度を大気中の酸素濃度の
    1.5%以下にすることを特徴とする高酸価油の精製法。
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