JPH07242959A - 超微粒子を付着させたチョップド炭素繊維を用いた強化金属複合材料 - Google Patents

超微粒子を付着させたチョップド炭素繊維を用いた強化金属複合材料

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JPH07242959A
JPH07242959A JP5830294A JP5830294A JPH07242959A JP H07242959 A JPH07242959 A JP H07242959A JP 5830294 A JP5830294 A JP 5830294A JP 5830294 A JP5830294 A JP 5830294A JP H07242959 A JPH07242959 A JP H07242959A
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low melting
carbon fibers
point metal
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JP5830294A
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English (en)
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Yukiyoshi Yamada
幸良 山田
Tadashi Fuyuki
正 冬木
Eisuke Kuroda
英輔 黒田
Satoshi Akiyama
聡 秋山
Naoto Tonoike
直人 外ノ池
Hideo Iida
英男 飯田
Akihiko Fukushima
昭彦 福島
Kaoru Umeya
薫 梅屋
Hiroyuki Omura
博幸 大村
Yosuke Takahashi
庸輔 高橋
Kazunobu Ogawa
和延 小川
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Ryobi Ltd
Nisshin Seifun Group Inc
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Ryobi Ltd
Nisshin Seifun Group Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 平均粒子径が0.05〜1μmの無機材料、
金属材料または単体元素の超微粒子を表面の8〜90%
に単層で均一に付着させたチョップドカーボン繊維の1
〜40重量%と低融点金属の99〜60重量%とからな
る強化低融点金属複合材料。 【効果】 本発明の超微粒子を付着させたチョップドカ
ーボン繊維は低融点金属との接着性が極めて改善されて
いるので、得られる強化金属複合材料はその強度が向上
されており構造材料としての好ましい特性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チョップドカーボン繊
維と低融点金属とからなる強化低融点金属複合材料とこ
の強化低融点金属複合材料の成形方法に関する。この強
化低融点金属複合材料は、低融点金属マトリックス中に
チョップドカーボン繊維が分散されて存在する形の金属
複合材料である。
【0002】
【従来の技術】カーボン繊維で強化した金属複合材料は
金属のみからなる材料に比較して比強度、比弾性率に優
れており、アルミニウム、マグネシウム、アンチモニ
ー、錫、亜鉛、鉛などの金属、およびこれらの合金をマ
トリックスとしてこれに強化材料としてのカーボン繊維
を複合させたものがこれらの金属または合金を構造材料
として使用する産業分野において用いられようとしてい
る。しかしながらここで用いるカーボン繊維は強度、弾
性率に優れた物質であるが、一般に金属と複合させる場
合、金属との濡れ性に乏しくしたがって複合材料のマト
リックスとなる金属とカーボン繊維とは強固に接着する
ことがなかったり、また金属と反応したりして、得られ
る複合材料は構成材料から予想される比強度、比弾性率
を達成しない欠点があった。そこでカーボン繊維の表面
に金属との濡れ性を改良したり、表面を改質したりする
ための被覆処理を行う多くの提案がなされている。
【0003】例えば、特公昭59−12733号公報に
はホウ化チタン、ホウ化チタンと炭化チタンとの混合物
をカーボン繊維に被覆する熔融金属との濡れ性の改良の
記載が、特開昭62−98558にはセラミックスなど
の材料の短繊維の表面を金属でコートして複合材料とし
て用いることが、特公昭63−54054号公報にはホ
ウ素化合物のガスと亜鉛のガスとを含むアルゴンガスの
中にカーボン繊維を通してカーボン繊維にまずホウ素を
被覆し次いでチタン化合物のガスと亜鉛のガスとを含む
アルゴンガスの中にホウ素被覆カーボン繊維を通してチ
タンを被覆しこれを熔融アルミニウム合金に浸漬する方
法の記載が、特開昭63−243237にはアルミニウ
ムなどをマトリックスとしこれにグラファイト質カーボ
ン繊維とウイスカーとを分散させた複合材料が、また特
開平2−267236にはカーボン繊維を塩化亜鉛また
は塩化亜鉛とホウ素、チタン、ホウ化チタンまたは炭化
チタンの一つまたはそれ以上とで被覆する金属に対する
濡れ性の改良されたカーボン繊維についての記載があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した先行技術によ
るカーボン繊維の表面処理では処理されたカーボン繊維
の表面は活性で大気に触れると酸化され易く不活性化し
て熔融金属との濡れ性が少なくなることから処理後の繊
維は不活性ガス中で処理する必要があり、また繊維の表
面に析出させるための物質のガス化条件の設定に高度の
技術を要するのみならず組成の制御が難しいことから、
これらの方法の工業的実施に困難があり、したがってよ
り確実に繊維と熔融金属との接着性を増大させる手法の
開発が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために本発明者らは、これまでのカーボン繊維の表面に
熔融金属との濡れ性を改良する物質を一様に被覆してカ
ーボン繊維と低融点金属との接着性を改善すると言う考
え方を離れて、カーボン繊維の表面に超微粒子を付着さ
せることによりカーボン繊維の表面に金属とのアンカー
サイトを作りこれに基づくマイクロアンカー効果によっ
て両者の接着性を改善するという着想のもとに鋭意研究
の結果、本発明を完成させた。すなわち本発明は、 平
均粒子径が0.05〜1μmの無機材料、金属材料また
は単体元素の超微粒子を表面の8〜90%に単層で均一
に付着させたチョップドカーボン繊維の1〜40重量%
と低融点金属の99〜60重量%とからなる強化低融点
金属複合材料に関する。上記した本発明の一つの実施態
様として、微粒子を表面に単層で付着させたチョップド
カーボン繊維と低融点金属粉末とからなる強化低融点金
属複合材料にも関するものである。本発明の他の一つの
実施態様として、超微粒子を表面に単層で付着させたチ
ョップドカーボン繊維と熔融した低融点金属とからなる
強化低融点金属複合材料にも関するものである。
【0006】さらに本発明は、上記した強化低融点金属
複合材料の成形方法にも関し、粒子径が0.05〜1μ
mの無機材料、金属材料または単体元素の超微粒子を表
面の8〜90%に単層で均一に付着させたチョップドカ
ーボン繊維の1〜40重量%と低融点金属粉末の99〜
60重量%とからなる強化低融点金属複合材料を低融点
金属の焼結温度以上の温度で圧縮成形することからなる
強化低融点金属複合材料の成形方法に関するものであ
る。さらに本発明は、平均粒子径が0.05〜1μmの
無機材料、金属材料または単体元素の超微粒子を表面の
8〜90%に単層で均一に付着させたチョップドカーボ
ン繊維の1〜40重量%と低融点金属の99〜60重量
%とからなる強化低融点金属複合材料を低融点金属の融
点以上の温度でダイキャスト鋳造することを特徴とする
強化低融点金属複合材料の成形方法にも関する。
【0007】本発明で用いる低融点金属とは、カーボン
繊維が変質することの無い温度範囲の融点をもつ構造材
料用の金属を指し、具体的には融点が800℃以下の比
較的低温度で熔融する金属または合金、例えばアルミニ
ウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウ
ム、マグネシウム合金、錫、錫合金、鉛、鉛合金、アン
チモニー、アンチモニー合金を指すものである。本発明
で用いる、平均粒子径が0.05〜1μmの無機材料、
金属材料または単体元素の超微粒子を表面の8〜90%
に単層で均一に付着させたチョップドカーボン繊維は、
CVD法またはPVD法、例えばRFプラズマ法(Radi
o Frequency Plasma)により、レーザー法により、アー
ク放電によるプラズマジェットの発生により、アーク溶
解により、または無機材料もしくは金属材料蒸気の還元
または酸化を伴う化学手段などによって気相において生
成された無機材料、金属材料または単体元素の超微粒子
が含まれる流れの中にカーボン繊維を、任意の手段を用
い、適当な速度で連続的または半連続的に供給し、上記
の超微粒子とカーボン繊維とを、超微粒子が物理的手段
または化学的手段で生成せしめられたばかりの活性な状
態において接触させ、カーボン繊維上にその表面の8〜
90%にわたって超微粒子(0.005μm〜1μm)
を単層で強固に均一に分散付着させることにより、マイ
クロアンカー効果に有効な表面に超微粒子による突起を
有するチョップドカーボン繊維として製造されたもので
ある。このカーボン繊維に付着せしめられる超微粒子に
より、マトリックスの低融点金属との濡れ性が改善され
るばかりでなく、表面に突起を有する超微粒子が付着し
たことに基づく物理的なマトリックスの低融点金属との
アンカー性の向上により構造材料としての物性の極めて
改善された強化低融点金属複合材料が得られる。
【0008】本発明の強化低融点金属複合材料に用い
る、超微粒子を表面に付着せしめたチョップドカーボン
繊維には、PAN系カーボン繊維、ピッチ系カーボン繊
維などのカーボン繊維を短繊維長に切断して得られるチ
ョップドカーボン繊維が挙げられる。上記したチョップ
ドカーボン繊維の表面に付着される超微粒子の構成成分
は、超微粒子付着チョップドカーボン繊維に対して希望
される強化低融点金属複合材料の強化材料の性質及び機
能に応じて種々の無機材料、金属材料または単体元素で
あることができ、これらの具体例としては無機材料例え
ば、酸化物であるAl23、SiO2、ZrO2、Y
22、CaOなど、窒化物であるSi34、AlN、B
Nなど、炭化物であるWC、SiCなど、ホウ素物であ
るBP、BNなど、および各種のガラス、単体金属例え
ば、Al、Mg、Zn、Cd、Sb、Ni、Co、F
e、Cu、Ag、AU、Ti、Wなどおよびこれらの合
金または金属間化合物、単体元素例えばC、B、Siな
どが挙げられる。このチョップドカーボン繊維に付着す
る超微粒子はその平均粒径が1μm以下のもので、通常
は0.1μm以下のものである。
【0009】本発明によれば、上記のようにして生成さ
れた無機材料、金属材料、ガラスまたは単体元素の超微
粒子が含まれる気体流の中に、被覆されるべきカーボン
繊維を長繊維のまま、またはチョップドカーボン繊維の
状態で導入し、超微粒子とカーボン繊維またはチョップ
ドカーボン繊維とを超微粒子が活性な状態において接触
させるるものであるが、この場合、超微粒子は物理的ま
たは化学的手段で生成せしめられたばかりのもので、そ
れ自体いわば発生期の状態、すなわち遊離ラジカルを有
していて活性化されている状態にあることから、長繊維
のカーボン繊維またはチョップドカーボン繊維との接触
によってこれらとは共有結合的に結合し両者は強固に化
学結合することになる。このようにして長繊維のカーボ
ン繊維またはチョップドカーボン繊維の表面を無機材
料、金属材料、ガラスまたは単体元素の超微粒子が強固
に付着した形態の強化材料が得られ、長繊維のカーボン
繊維に超微粒子が付着した場合は超微粒子付着チョップ
ドカーボン繊維を得るために任意の長さに切断されるの
である。
【0010】この超微粒子と長繊維のカーボン繊維また
はチョップドカーボン繊維との接触は任意の態様で行い
得る。例えば超微粒子を含む下向きの気体流を作り、こ
れに超微粒子が活性を保持している場所に長繊維のカー
ボン繊維を導入するか、またはチョップドカーボン繊維
を上記した下向きの気体流に乗せ、超微粒子と長繊維の
カーボン繊維またはチョップドカーボン繊維とを接触さ
せることで行うことができる。この長繊維のカーボン繊
維に超微粒子を付着させる方法の一例としては本発明者
らがさきに提案した特願平4−216767の方法があ
げられる。このようにして生成させた超微粒子を付着し
たチヨップドカーボン繊維は超微粒子材料でその表面が
完全に膜状に被覆されている訳ではなくて部分的に表面
の凹凸の状態が生じているものである。この付着状態の
違いが単なる被覆膜により被覆された従来のカーボン繊
維強化材と本発明の超微粒子を付着させたカーボン繊維
強化材との金属マトリックス中での作用の違いとなって
現れる。すなわち、被覆膜の効果は主として繊維と金属
との直接の接触を避け、接触によるカーボン繊維の脆化
を防ぐという点にあったため完全な被覆が必須であった
が本発明ではカーボン繊維を完全に被覆する必要がない
のである。
【0011】そしてこの無機材料、金属材料、ガラスま
たは単体元素の超微粒子が表面に付着したチョップドカ
ーボン繊維に対する付着超微粒子の量比は、所望のチョ
ップドカーボン繊維に希望される性質および機能に応じ
て変え得るものである。しかして強化低融点金属複合材
料を製造するための超微粒子が表面に付着したチョップ
ドカーボン繊維としては付着率8〜90%とするのがよ
く、好ましくは25〜70%とするのがよい。付着率が
90%以上になると実質的に表面が均一に付着したのと
同じになり、アンカー効果が落ちる。また1〜7%程度
ではそれなりの強化効果はあるがその機能を十分に発揮
するとは言えない。ここでいう付着率とはウイスカーま
たチョップドカーボン繊維の単位表面上に付着した超微
粒子の投影面積の比として表されるものである。このよ
うにして得られた超微粒子を表面に付着させたチョップ
ドカーボン繊維は次いで強化低融点金属複合材料製造の
ために低融点金属材料と一緒にして用いられる。
【0012】本発明の強化低融点金属複合材料は、既知
の強化低融点金属複合材料製造の方法によって製造する
ことが出来、これらには、マトリックスとなる低融点金
属材料の溶湯に超微粒子を付着させたチョップドカーボ
ン繊維を浸漬し、得られた複合材料をダイキャストなど
の加圧成形手段で成形物とするか、超微粒子を付着させ
たチョップドカーボン繊維を予備成形しこれにマトリッ
クスとなる低融点金属材料を高圧で導入するか、また
は、マトリックスとなる低融点金属材料の粉末と超微粒
子を付着させたチョップドカーボン繊維とを均一に混合
し、この混合物を成形型中で低融点金属粉末の焼結温度
または熔融温度で加圧して成形物とされる。本発明の強
化低融点金属複合材料を構成する低融点金属材料として
は、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛、亜鉛合
金、マグネシウム、マグネシウム合金、錫、錫合金、
鉛、鉛合金、アンチモニー、アンチモニー合金、銅、銅
合金などを挙げることができる。
【0013】強化材料の超微粒子を付着させたチョップ
ドカーボン繊維の比重がマトリックスの金属と比較して
小さすぎるときには金属の溶湯中で強化材料は浮力によ
って金属から分離する傾向を示すので、このような場合
には、金属を粉末とし、これに所定量の強化材料を加
え、成形型中で加圧下に焼結または熔融温度に加熱して
成形する成形手段が取られる。本発明によると、それぞ
れの金属または合金材料の性質を備えながら、強化材料
によって好ましい物理的または機械的性質、例えば耐摩
耗性、曲げ強度、破断強度、を備えた強化低融点金属複
合材料が得られる。次に本発明を実施例によって説明す
ることにする。
【0014】実施例 1 ガラスの超微粒子を表面に付着させたチョップドカーボ
ン繊維の製造 ガラス粉末をアルゴンガスと酸素を高周波加熱して得ら
れる高温プラズマ中に供給し、ガラスの超微粒子を含む
気体流を生成させた。この気体流下部にカーボン繊維の
連続繊維を導入してその表面にガラスの超微粒子を付着
させ、これを切断してガラスの超微粒子を表面に付着さ
せたチョップドカーボン繊維を得た。使用した装置は図
1に示される構成を有するものである。すなわち、本装
置は図1のAで示されるプラズマトーチ、Bで示される
カーボン繊維の連続繊維の供給装置、Dで示されるチャ
ンバー、Eで示される超微粒子原料供給装置、およびG
で示される超微粒子回収部よりなる。
【0015】プラズマトーチAは内径44mm、長さ1
50mmの石英管(1)を主体とし、外側に高周波発振
用のコイル(2)が取り付けられ、その外側には冷却用
の外套管(3)が設けられている。プラズマトーチの上
部には噴出方向が接線方向、軸方向、および半径方向の
ガス噴出口(4)、(5)、(6)が設けれれ、この噴
出口にガスの供給源(7)、(8)、(9)からアルゴ
ンガス30リットル/分および酸素10リットル/分が
供給される。この噴出ガスは印加された高周波電源によ
ってプラズマ化されプラズマトーチ内でプラズマ焔を形
成する。プラズマトーチの下部には超微粒子原料供給口
(10)が設けられガラス粉末はフィーダーEを使って
キャリアガスのアルゴン6リットル/分とともに0.5
g/分の割合でプラズマ焔中に導入される。チャンバー
Dは内径440mm、長さ800mmの管(16)とそ
の外側の冷却用の外套管(17)とからなる。
【0016】Bに設けられた原料繊維供給部において、
カーボン繊維の連続繊維(東邦レーヨン株式会社製 H
TA−12K,φ=7μm)はボビン(12)から2m
/分の割合で送り出されてボビン(13)で巻き取られ
る。このようにしてカーボン繊維はBの場所において活
性な状態のガラスの超微粒子(0.01〜0.05μm主
として0.02μm)と接触し、その表面にガラスの超
微粒子が一様に単層で表面の40%に付着していた。こ
のカーボン繊維をエタノール中で超音波を照射したが、
付着したガラス超微粒子はカーボン繊維から分離するこ
とがなく、両者が強固に結合していることが分かった。
得られたガラス超微粒子が付着したカーボン繊維の連続
繊維をカッターで長さ約5mmに切断し、ガラスの超微
粒子を表面に付着させたチョップドカーボン繊維を得
た。
【0017】実施例 2 カーボン繊維強化アルミニウム複合材の製造 得られたガラス超微粒子付着チョップドカーボン繊維と
アルミニウム粉末とを混合し予備成型後加圧下に焼結し
てカーボン繊維強化アルミニウム複合材を製造した。す
なわち、アルミニウム粉末(純度99.9%、平均粒径
3μm)とガラス超微粒子付着チヨップドカーボン繊維
とを体積比で8:2となるように秤量し、エタノールと
共にボールミルを用いて48時間混合した。得られた混
合物を直径40mm厚さ7mmの円盤状の形状に予備成
型し乾燥してエタノールを除いた。このように予備成型
したものを次いで、ホットプレス装置によりアルゴン雰
囲気下に焼結温度640℃、圧力15.6MPaで1時
間保持して焼結をおこなってカーボン繊維強化アルミニ
ウム複合材を得た。比較のために、ガラス超微粒子付着
を行っていないチョップドカーボン繊維を用いる以外は
全く上記した操作と同様にしてアルミニウム粉末とチョ
ップドカーボン繊維とを混合し、予備成型し、そして焼
結操作を行い、対照例としてのカーボン繊維強化複合材
を得た。本発明のカーボン繊維強化アルミニウム複合材
と対照例のカーボン繊維強化アルミニウム複合材との曲
げ強度を(株)島津製作所製のAUTOGAPH測定器に
よって測定した。また両者の密度をアルキメデス法によ
って測定した。結果はつぎの表1に示される。
【0018】
【表1】 曲げ強度(MPa) 相対密度(%) 対照例複合材 169.3 93.2 本発明複合材 290.7 100 以上のように本発明により複合材の強度は約72%向上
した。
【0019】また本発明複合材について、その切断面を
研磨して得られる研磨面と、その破断によって得られる
破断面とを走査電子顕微鏡で観察した。図2の(a)は
研磨面を、また(b)は破断面の走査電子顕微鏡写真を
示す。同様に対照例複合材について、その切断面を研磨
して得られる研磨面と、その破断によって得られる破断
面とを走査電子顕微鏡で観察した。図3の(a)は研磨
面を、また(b)は破断面の走査電子顕微鏡写真を示
す。
【0020】これらの観察結果、本発明複合材は、チョ
ップドカーボン繊維とアルミニウムマトリックスとは緊
密に接着しており、破断面はアルミニウムマトリックス
自体およびチョップドカーボン繊維自体の破断が観察さ
れた。これに対して、対照例複合材では、チョップドカ
ーボン繊維とアルミニウムマトリックスとは境界面で分
離していて両者の接着が十分でなく、そして破断面はチ
ョップドカーボン繊維自体の破断が観察されず、破断し
たアルミニウムマトリックス面からチョップドカーボン
繊維が抜け出していることが分かる。
【0021】実施例 3 ダイキャストにより作製した繊維強化アルミニウム合金
基複合材料 溶解保持炉からラドルによって汲み取ったJIS規格の
鋳造用アルミニウム合金ADC10、ADC12、AC
D6、AC8AおよびAC4CHの溶湯中に、実施例1
の方法で得られたガラス超微粒子付着のチョップドカー
ボン繊維を添加して、撹拌羽根によって10〜20秒間
撹拌して、アルミニウム合金−チョップドカーボン繊維
混合物を得、これを東芝機械(株)製のダイキャストマシ
ンでダイキャストしてカーボン繊維強化複合材料を作製
した。このガラス超微粒子付着チョップドカーボン繊維
のアルミニウム合金への添加割合は5体積%であった。
このダイキャスティングは溶湯温度710℃、金型温度
100〜200℃、鋳造圧力700kgf/cm2、射出速
度1m/sで行い、10mm×20mm×100mmの試験片を
製造した。比較のために、ガラス超微粒子付着を行って
いないチョップドカーボン繊維を用いる以外は全く上記
した操作と同様にして鋳造用アルミニウム合金溶湯とチ
ョップドカーボン繊維とを混合し、ダイキャストを行な
い、対照例としてのカーボン繊維強化複合材を得た。本
発明のカーボン繊維強化アルミニウム複合材と対照例の
カーボン繊維強化アルミニウム複合材との曲げ強度を
(株)島津製作所製のAUTOGRAPH AGS−50
0B測定器によって測定した。結果はつぎの表2に示さ
れる。
【0022】
【表2】 曲げ強度(MPa) 対照例複合材 ADC10 210 ADC12 210 ACD6 170 AC8A 190 AC4CH 170 本発明複合材 ADC10 260 ADC12 260 ACD6 210 AC8A 240 AC4CH 210
【0023】実施例 4 ダイキャストにより作製した繊維強化アルミニウム合金
基複合材料 実施例1で得られたガラス超微粒子付着チョップドカー
ボン繊維と約50倍の蒸溜水を均一に分散させたスラリ
ーを作り、これを容器に入れ解繊処理を行った。得られ
たスラリーにチョップドカーボン繊維の重量で5%のシ
リカゲル(住友化学(株)製)(無機バインダー)を添加
し、引続き湿式条件下で撹拌処理を行ったのち、金型に
注型して水を除去し、成形し、これを100℃の乾燥機
中で10時間乾燥して成形体を作製した。得られた成形
体を所定のダイキャスト用金型キャビティ内にセットし
て、鋳造用アルミニウム合金ADC10、ADC12、
AC8AおよびADC6をダイキャスト法で溶浸複合し
て試料を作製した。このダイキャスティングは溶湯温度
710℃、金型温度150〜200℃、鋳造圧力700
kgf/cm2、射出速度0.9m/sで行い、10mm×20mm
×100mmの試験片を製造した。この場合のガラス超微
粒子付着チョップドカーボン繊維の複合材料中の体積割
合は30体積%であった。比較のために、ガラス超微粒
子付着を行っていないチョップドカーボン繊維を用いる
以外は全く上記の方法と同様にして対照例としてのカー
ボン繊維強化複合材料を作製した。本発明のカーボン繊
維強化アルミニウム複合材料と対照例のカーボン繊維強
化アルミニウム複合材料の曲げ強度を測定した。測定結
果は表3に示される。
【0024】
【表3】 曲げ強度(MPa) 対照例複合材 ADC10 180 ADC12 180 ACD6 150 AC8A 170 AC4CH 150 本発明複合材 ADC10 240 ADC12 240 ACD6 180 AC8A 200 AC4CH 180 測定結果から、本発明材料の曲げ強度は対照例と比べて
高い値を示した。この理由は、チョップドカーボン繊維
とアルミニウム合金マトリックスとの接着性がアンカー
効果などによって改善したためと考えられる。
【0025】
【発明の効果】超微粒子を付着させたチョップドカーボ
ン繊維は極めて低融点金属との接着性に優れ、これを強
化材とする強化金属複合材料は、その強度が未処理のチ
ョップドカーボン繊維を強化材とするものに比べて高
い。したがって本発明の強化金属複合材料は構造材料と
してきわめて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いたガラスの超微粒子を表面に付
着させたカーボン繊維の製造装置を示す図。
【図2】(a)は本発明複合材について、その切断面を研
磨して得られる研磨面の電子顕微鏡写真であり、(b)は
その破断によって得られる破断面の電子顕微鏡写真であ
る。
【図3】(a)は対照例複合材について、その切断面を研
磨して得られる研磨面の電子顕微鏡写真であり、(b)は
その破断によって得られる破断面の電子顕微鏡写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 幸良 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 冬木 正 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 黒田 英輔 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 秋山 聡 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 外ノ池 直人 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 飯田 英男 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 福島 昭彦 埼玉県入間郡大井町鶴ヶ岡5丁目3番1号 日清製粉株式会社生産技術研究所内 (72)発明者 梅屋 薫 宮城県仙台市太白区八木山本町1−30−13 (72)発明者 大村 博幸 東京都千代田区外神田3丁目15番1号 リ ョービ株式会社内 (72)発明者 高橋 庸輔 東京都千代田区外神田3丁目15番1号 リ ョービ株式会社内 (72)発明者 小川 和延 東京都千代田区外神田3丁目15番1号 リ ョービ株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が0.05〜1μmの無機材
    料、金属材料または単体元素の超微粒子を表面の8〜9
    0%に単層で均一に付着させたチョップドカーボン繊維
    の1〜40重量%と低融点金属の99〜60重量%とか
    らなる強化低融点金属複合材料。
  2. 【請求項2】 超微粒子を表面に単層で付着させたチョ
    ップドカーボン繊維と低融点金属粉末とからなる請求項
    1記載の強化低融点金属複合材料。
  3. 【請求項3】 超微粒子を表面に単層で付着させたチョ
    ップドカーボン繊維と熔融した低融点金属とからなる請
    求項1記載の強化低融点金属複合材料。
  4. 【請求項4】 平均粒子径が0.05〜1μmの無機材
    料、金属材料または単体元素の超微粒子が表面の8〜9
    0%に単層で均一に付着させたチョップドカーボン繊維
    の1〜40重量%と低融点金属粉末の99〜60重量%
    とからなる強化低融点金属複合材料を低融点金属の焼結
    温度以上の温度で圧縮成形することを特徴とする強化低
    融点金属複合材料の成形方法。
  5. 【請求項5】 平均粒子径が0.05〜1μmの無機材
    料、金属材料または単体元素の超微粒子を表面の8〜9
    0%に単層で均一に付着させたチョップドカーボン繊維
    の1〜40重量%と低融点金属の99〜60重量%とか
    らなる強化低融点金属複合材料を低融点金属の融点以上
    の温度でダイキャスト鋳造することを特徴とする強化低
    融点金属複合材料の成形方法。
  6. 【請求項6】 低融点金属が、アルミニウム、アルミニ
    ウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウ
    ム合金、錫、錫合金、鉛、鉛合金、アンチモニー、アン
    チモニー合金、銅、銅合金である、請求項1または2に
    記載の強化低融点金属複合材料。
  7. 【請求項7】 低融点金属が、アルミニウム、アルミニ
    ウム合金、亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、マグネシウ
    ム合金、錫、錫合金、鉛、鉛合金、アンチモニー、アン
    チモニー合金、銅、銅合金である、請求項4または5に
    記載の強化低融点金属複合材料の成形方法。
  8. 【請求項8】 ガラス超微粒子で被覆されたチョップド
    炭素繊維を強化材料とするアルミニウム粉末の焼結体。
JP5830294A 1994-03-04 1994-03-04 超微粒子を付着させたチョップド炭素繊維を用いた強化金属複合材料 Pending JPH07242959A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009007624A (ja) * 2007-06-27 2009-01-15 Univ Of Fukui 炭素繊維強化アルミニウム複合材料およびその製造方法
CN104388849A (zh) * 2014-12-14 2015-03-04 机械科学研究总院先进制造技术研究中心 一种金属基复合材料零部件的快速成形方法
CN115772037A (zh) * 2021-09-09 2023-03-10 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种利用短切纤维构造熔渗预制体制备碳化硅陶瓷基复合材料的方法

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CN115772037B (zh) * 2021-09-09 2023-12-08 中国科学院上海硅酸盐研究所 一种利用短切纤维构造熔渗预制体制备碳化硅陶瓷基复合材料的方法

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