JPH073358A - 繊維強化金属複合材料及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化金属複合材料及びその製造方法

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JPH073358A
JPH073358A JP277393A JP277393A JPH073358A JP H073358 A JPH073358 A JP H073358A JP 277393 A JP277393 A JP 277393A JP 277393 A JP277393 A JP 277393A JP H073358 A JPH073358 A JP H073358A
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fly ash
fiber
aluminum
ash fiber
composite material
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JP277393A
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Akira Kojima
昭 小島
Seitaro Takahashi
清太郎 高橋
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Sanso KK
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Sanso KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 強化材としてフライアッシュファイバー、特
に無電解メッキ法、化学蒸着法、物理蒸着法、電気泳動
電着法又はプラズマスプレー法で表面処理されたフライ
アッシュファイバーを含有する繊維強化金属複合材料及
び加熱加圧成形方法による、その好適な製造方法。 【効果】 電気的特性、耐熱性及び表面硬度の優れた繊
維強化金属複合材料が得られる。更に、表面処理したフ
イアッシュファイバーを用いることにより、機械的強度
が一段と向上する。特に金属としてアルミニウム及びそ
の合金を用いる場合に好適に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な繊維強化金属複
合材料及びその製造方法、更に詳しくは、未利用資源で
ある石炭灰を高温で溶融紡糸して得られるフライアッシ
ュファイバーを強化材として用いた繊維強化金属複合材
料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】母材(マトリックス)が金属で、各種繊
維を強化材としたものに、繊維強化金属複合材料(FR
M)がある。FRMは、1950年代後半から少しずつ
研究が行われているが、繊維強化プラスチック材料(F
RP)では実現が困難である高温域(200℃以上)用
構造材料に対する強い要請もあって、近年急速に研究が
進められている。
【0003】FRMの特色は、繊維と直角方向の強さ及
びヤング率が大きい、せん断強度及び剛性が大きく、圧
縮せん断力などに対して挫屈をおこし難い、使用できる
温度範囲が広い、接合や2次加工が比較的容易であり、
金属構造物との適合性が高く、熱膨張係数はあまり違わ
ない、疲労やクリープなどに対する抵抗が大きいなどで
ある。さらに、FRMは、耐摩耗性、電気的、磁気的、
化学的などの諸特性に優れている。
【0004】FRMは、アルミニウム、マグネシウム、
チタニウム系などをマトリックスとし、主に軽量化を主
目的とし、プラスチック材料では耐えられない温度域で
の使用を目指しているものや、耐熱合金をマトリックス
として、軽量化よりもむしろ金属材料に不足している高
温域での使用を目的とするものがある。量的には、前者
のアルミニウムをマトリックスとするものがはるかに多
い。FRMは、宇宙航空材料、飛行機やヘリコプターな
どの航空機材料、自動車材料、医療用材料、スポーツ用
品、シャトルなどの繊維産業用材料としての用途が期待
され、それぞれの要求に応じて、軽量化、強度、スティ
フネスなどの点から開発が進められている。FRMに要
求される特性は、機械的強度、硬度、軽量性、熱伝導
性、疲労強度、耐食性、耐熱性、耐久性などである。
【0005】複合材料のこれらの機能は、各素材を複合
すれば発現されるものではなく、各素材の表面構造をナ
ノオーダーで制御し、要求される機能に適合した表面構
造を積極的に構築することによって発揮されることが多
い。例えば、繊維強化プラスチック材料(FRP)の強
化材には、主としてガラス繊維が用いられるが、ガラス
繊維とマトリックス樹脂との接着強度あるいは化学結合
力を向上させるために、各種のシランカップリング処理
による表面改質が行われている。また、炭素繊維でも、
種々の方法による表面酸化処理が行われている。
【0006】繊維強化金属複合材料(FRM)でも強化
繊維とマトリックス金属間の接着性は複合材の強度を支
配する重要な条件で、強化材の母材に対する「適合性」
と、強化材と母材との間の「濡れ性」によって決定され
る。これらの適合性や濡れ性が確保されることによって
強化材と母材との接着強度は強固になり、FRMの強度
が発揮されることになる。これらのことからFRMの機
械的強度を向上させるために、強化材である繊維の表面
を処理し、マトリックスとの親和性が高いように、表面
を改質することが知られている。
【0007】FRM用の強化繊維としては、無機系ウィ
スカー、ボロン系繊維、炭素系繊維、炭化ケイ素系繊
維、アルミナ系繊維(アルミナシリケート繊維、セラミ
ックス繊維、シリカ繊維)、ジルコニア繊維、チラノ繊
維、タングステン線、モリブデン線などが用いられ、検
討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように種々の繊維
がFRM用の強化繊維として現在検討されているが、強
化繊維を表面処理しても、強化材の母材に対する「適合
性」や、強化材と母材との間の「濡れ性」が充分でな
く、得られるFRMの機械的強度が充分に満足できるも
のではなかったり、また、耐熱性が不十分であったり、
高価格であったりして、それぞれ問題が多いことが判っ
ている。例えば、ボロン繊維は高価格であり、マトリッ
クス金属と反応するため表面処理が必須である。炭素系
繊維は高価格であり、耐酸化性が不足しており、マトリ
ックス金属と反応してしまう。炭化ケイ素系繊維は現在
有用なFRM用繊維として研究が展開中であるが高価格
である。このように、各種FRM用強化繊維は種々の問
題を有しており、特にアルミニウムをマトリックスとす
る場合には得られる複合材料の表面硬度が弱く、傷つき
易いという問題がある。このように、それぞれ公知の繊
維強化金属複合材料(FRM)は実用に際して種々の課
題を有しており、新しいFRM用強化繊維の開発が強く
望まれている。
【0009】従って、本発明の第一の目的は、低廉で、
且つ電気的特性、耐熱性及び表面硬度などの特性の優れ
た、新規な繊維強化金属複合材料(FRM)を提供する
ことを目的とする。本発明の第二の目的は、上記目的に
加えて更に機械的強度の優れた新規FRMを提供するこ
とを目的とする。本発明の第三の目的は、上記目的に加
えて、特に汎用性に優れた新規FRMを提供することを
目的とする。また本発明は、上記優れたFRMに好適な
製造方法を提供することを更なる目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記第一の目的
は、請求項1記載のように、強化材としてフライアッシ
ュファイバーを含有することを特徴とする繊維強化金属
複合材料によって解決されることが判った。
【0011】本発明で用いられるフライアッシュファイ
バ−(FAファイバー)は、未利用資源である石炭灰を
高温で溶融紡糸したものである。石炭灰は、石炭を発電
用に燃焼した際に生じるものである。発電用石炭の使用
量は、1989年度には2450万トンで、そこから副
生する石炭灰の量は約400万トンにも達している。そ
のうち有効利用されているのは190万トン(49%)
に過ぎず、残り51%は陸上埋立材や海面埋立材として
処理されている。その他に、一般産業からも約150万
トンの石炭灰が発生している。石炭灰の発生量は、今後
も増加することが予想されるので、石炭灰の有効利用技
術の開発は強く望まれているのが実情である。
【0012】フライアッシュファイバーの特色は、耐熱
性および機械的特性の優れた点である。熱分析から求め
たフライアッシュファイバーの融解温度は、1150℃
前後、結晶化温度は、1050℃程度である。従って、
フライアッシュファイバーは、結晶化温度(1050
℃)までは使用可能である。
【0013】フライアッシュファイバーの直径は、5〜
20μm程度である。フライアッシュファイバーの機械
的特性は、繊維径によって異なる。例えば、直径が6μ
mの場合には、引張り強度4120MPa、引張り弾性率
200GPaである。これらの特性を、他の無機質繊維、
例えば、アルミナ繊維(強度1400MPa、弾性率38
5GPa)、ガラス繊維(強度2400MPa、弾性率70GP
a)、炭素繊維(強度3000MPa、弾性率220GPa)
などと比べると、フライアッシュファイバーの方が優れ
た特性を有していることが判る。
【0014】また、繊維径が15μmのフライアッシュ
ファイバーでは、引張り強度290MPa、引張り弾性率
17.5GPaであり、繊維径によって機械的特性は著し
く影響を受ける。しかし、ロックウールや一般的なガラ
スウールとは、耐熱性の点でも、機械的強度の点でも、
フライアッシュファイバーの方が遥かに優れている。こ
のように、フライアッシュファイバーは優れた耐熱性と
機械的強度を有していることから、FRMの強化材とし
て使用可能である。
【0015】また、フライアッシュファイバーの化学組
成及び化学構造が金属マトリックスとの複合化に重要な
要素である。本発明に好適なフライアッシュファイバー
の化学組成は、Al23が15〜25%、SiO2が3
5〜50%、CaOが15〜35%、Fe23が3〜1
2%、MgOが2〜5%である。ここで、フライアッシ
ュファイバーを構成する各成分の組成は、X線マイクロ
アナライザーにより元素分析を行い得られた結果に基づ
き、それぞれの安定した形態である酸化物の形に換算し
て表現したものである。従って、該繊維中に必ずしも上
記酸化物の形で存在するわけではない。また、X線回折
分析から該フライアッシュファイバーの構造はアモルフ
ァスであった。
【0016】しかしながら、該繊維を実際に金属マトリ
ックス用の強化繊維に適用してみると、フライアッシュ
ファイバーと金属との濡れ性は低く、両者を混合して単
に金属の融点以上にまで加熱しただけでは容易に複合化
できないことが判明した。適合性の低い両者をいかにし
て接合し、複合化するかが最大の問題点であり、本発明
者は種々検討の結果、以下の如くフライアッシュファイ
バーと金属マトリックスとの複合化に成功したものであ
る。
【0017】まず、第1に、成形方法として、加熱加圧
(ホットプレス)法、加圧化含浸法、熱間静水圧法等の
特定の方法で成形することでフライアッシュファイバー
と金属とを複合化でき、本発明に従うフライアッシュフ
ァイバーで強化された金属複合材料を製造できることが
判った。これらの方法は通常用いられる方法を本発明の
FRMに適宜応用すればよく、汎用性の点から、特に加
熱加圧法を適用することが好ましい。この方法により得
られたフライアッシュファイバー強化金属複合材料は、
フライアッシュファイバーの添加により、表面硬度が格
段に向上した。また、電気抵抗も増大し、フライアッシ
ュファイバーの添加により電気抵抗を調節することがで
きる。また優れた耐熱特性を有している。このように、
用途によっては充分に優れた特性を有する金属複合材料
であることが確認できた。
【0018】しかしながら、いまだ引張り強度が不十分
であったことから、更に検討を進めたところ、第2の方
法として、フライアッシュファイバーの表面を、構成す
るマトリックス金属との適合性のよい表面構造に改質す
ることが必要であるとの見解に達した。即ち、請求項2
記載のように、強化材としてのフライアッシュファイバ
ーを、無電解メッキ法、化学蒸着法、物理蒸着法、電気
泳動電着法及びプラズマスプレー法のうちのいずれかの
方法により表面処理することにより、金属マトリックス
との親和性を高めることができ、これにより、得られる
繊維強化金属複合材料は、上記特性に加え、更に機械的
強度やタフネスを格段と向上できることが判った。
【0019】本発明者は、フライアッシュファイバーの
表面改質技術を追及し、その表面を金属マトリクッスに
適したように改質し、それをマトリックス金属の強化材
として使用することにより、FRMの機能を著しく向上
させることができた。マトリックスと強化繊維間の接着
性は、強度的に優れたFRMを製造するための重要な条
件であり、強化材の母材に対する「適合性」と、強化材
と母材との間の「濡れ性」によって決定される。これら
によって強化材と母材との間の接着強度が強固になり、
FRMの強度が発揮されることになる。
【0020】フライアッシュファイバーの表面改質方法
や改質度合いは、マトリックスの種類によって異なる。
FRMでは金属との接着強度が夫々高められるように、
強化材であるフライアッシュファイバーの表面をナノオ
ーダーで改質することである。そのため、表面改質を行
う場合は、フライアッシュファイバーの化学組成および
化学構造が特に重要な要素になる。本発明では、上記の
フライアッシュファイバーの化学組成と化学構造を基礎
にして、種々の表面改質方法を検討した。
【0021】繊維の表面改質方法として、電解メッキ、
無電解メッキ、化学蒸着法、物理蒸着法、電気泳動電着
法、プラズマスプレー法など種々の方法が知られてい
る。これらの方法のうち、本発明に従う金属マトリック
ス用の強化繊維として用いるフライアッシュファイバー
には、無電解メッキ法、化学蒸着法、物理蒸着法、電気
泳動電着法及びプラズマスプレー法のいずれかの方法で
表面処理することが好ましいことが判った。これらの表
面処理法は、従来用いられる方法を適宜フライアッシュ
ファイバーに適用することにより、容易に達成すること
ができる。
【0022】無電解メッキ法は、外部電力を供給するこ
となく、還元剤を用いて溶液中の金属イオンをフライア
ッシュファイバー表面に金属として析出させる方法であ
る。良好な被覆状態を形成するためには、前処理として
化学腐食による親水化、清浄化、感受性化、活性化など
を行う。感受性化処理液及び活性化処理液は、該分野で
通常用いられるものを同様にして用いることができる。
代表的な組成を下記に示す。 感受性化処理液(塩化第二スズ;10g、塩酸;40c
c、純水;1000cc) 活性化処理液(塩化パラジウム;1g、塩酸;10cc、
純水;4000cc) また、被覆できる金属は、Cu、Ni、Ag、Au、P
t、Cr、合金類はNi合金、Co合金などである。
【0023】化学蒸着法(CVD法)は、被覆しようと
する元素を含む気化しやすい化合物を気体状態にして、
適当な反応性キャリアーガスと一緒に高温の反応炉中に
導き、フライアッシュファイバー上に反応析出させる方
法である。高純度、高密度の被覆層のできることが特徴
である。この場合、原料化合物の分解反応、酸化・還元
反応、置換反応など種々の化学反応を用いることが可能
であるが、一般には熱分解反応が多く用いられる。この
方法によって、酸化物、炭化物、ホウ化物、金属などを
フライアッシュファイバー上に析出させることができ
る。フライアッシュファイバーに被覆する物質の原料、
生成物および反応温度を表−1に示す。この方法は、被
膜の析出速度を変えることによって、膜の状態を平滑に
近い面からウィスカー状にまで調節することができた。
【0024】
【表1】
【0025】物理蒸着法(PVD法)は、加熱蒸発させ
た金属をフライアッシュファイバー上に析出させて、被
覆する方法である。その際に、金属蒸気と共に酸素、窒
素あるいは炭化水素などのガスを送ることによって、金
属の酸化物、窒化物、炭化物などの化合物をフライアッ
シュファイバー表面上に析出させることができる。この
PVD法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法などがある。これらのうちイオンプレ
ーティング法は、金属蒸気がイオン化されることによっ
て密着性のよい被膜を得ることができ、また、金属蒸気
に酸素、窒素、炭化水素などを導入すると、金属の酸化
物、窒化物、炭化物などの被膜をフライアッシュファイ
バー表面上に析出させることができる。イオンプレーテ
ィング法は、金属蒸気を得るための加熱方式によって蒸
発金属の種類やイオン化方式が異なる。加熱方式には、
直接通電加熱法、電子ビーム法、中空陰極放電法などが
ある。また、イオン化方式には、AC(DC)マトック
ス法、多陰極法、高周波励起法、電界蒸着法、活性化反
応蒸気法などがあり、本発明ではいずれの方式を用いて
も被覆可能である。
【0026】物理蒸着法でフライアッシュファイバー表
面に形成される膜は、具体的には金属、難融性の金属化
合物(酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化チタン、窒
化クロム、窒化ケイ素、炭化チタン、炭化クロムなど)
などである。さらに、CVDの際にフライアッシュファ
イバーを150〜600℃に加熱しておくと、良好な被
膜ができ、フライアッシュファイバーの表面改質ができ
る。物理蒸着法は、室温あるいはそれ以下でも被覆によ
る改質が可能であり、化学蒸着法と比較し、加熱による
フライアッシュファイバーの劣化が小さいのが特徴であ
る。
【0027】無機質電気泳動電着法は、電気泳動を利用
して、電気メッキと同じように、フライアッシュファイ
バー表面に微粉体の電着を行うものである。この方法の
適用できる繊維は、導電性でなければならないので、ま
ず最初にフライアッシュファイバーに別の方法で金属被
覆を行い導電化する必要がある。導電化用の表面処理を
行っても、それ以上に多くの利点をもっている表面改質
方法である。この方法の特徴は、電着可能な微粉体は、
有機質、無機質いずれでもよく、単独でも混合物でも電
着可能であること、複雑な形状の物体上に均一な被膜が
可能で、しかもその厚さは正確に制御できること、厚い
被膜を形成できること、膜の析出速度が極めて大きいこ
と、及び単位電極当たりの析出量(クーロン効率)が大
きいので経済的であることなどである。
【0028】無機質電気泳動電着法によりフライアッシ
ュファイバー表面に電着できる物質としては、高分子有
機化合物(ゴム、ポリスチレン、アクリルなどの粉
末)、金属(アルミニウム、チタン、タングステンなど
の粉末)、無機質(チタン酸バリウム、酸化ゲルマニウ
ム、酸化タングステン、酸化アルミニウム、二ケイ化モ
リブデンなどの粉末)などを挙げることができる。
【0029】また、電気メッキ法と無機質電気泳動電着
法を組み合せ、金属マトリックス中に無機質微粉体を同
時被覆する複合電着被覆法を適用することもできる。更
に、フライアッシュファイバーへの付着物の密着性を高
めるために、電解液中への結合剤の添加や、高温におけ
る加熱や加圧を行うこともできる。
【0030】プラズマスプレー法は、プラズマスプレー
ガン等を用いて、アルゴンガスなどの不活性ガスをプラ
ズマ状態にして金属粉末を溶融させながらフライアッシ
ュファイバーに吹き付けて被覆するものである。このよ
うにフライアッシュファイバーに金属をプラズマスプレ
ーにより付着して得られるプリプレグシートは、必要に
応じて配向することができる。また、材料の異方性をな
くすため、このプリプレグシートを積層構造としてもよ
い。
【0031】本発明に従うFRM用のマトリックス材
は、比強度の点からアルミニウム系合金とチタン系合
金、マグネシウム系合金などが挙げられ、その他に、高
温用としてニッケル系合金も使用できる。これらのう
ち、アルミニウム系が最も汎用であり、好ましい。
【0032】本発明に従う、フライアッシュファイバー
を強化材として使用できるマトリックスとしては、下記
の金属および合金を挙げることができる。( )内は、
融解温度を示す。アルミニウム(665℃)、亜鉛(4
19℃)、アンチモン(630℃)、インジウム(15
6℃)、カドミウム(321℃)、銀(961℃)、ゲ
ルマニウム(958℃)、ストロンチウム(769
℃)、錫(231℃)、セリウム(795℃)、セレン
(220℃)、テルル(449℃)、鉛(327℃)、
バリウム(725℃)、ビスマス(271℃)、ヒ素
(817℃)、マグネシウム(651℃)などの金属、
Al−Cu系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−S
i系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Si系合金
などのアルミニウム系合金、ホルムベルグ合金(125
℃)、メロット合金(99.5℃)、ニュートンメタル
(94.5℃)、ダルスメタル(93℃)、リヒテンベ
ルグ合金(92℃)、クローズ合金(88℃)、ローズ
メタル(79℃)、ウッドメタル(71℃)、リボウイ
チメタル(70℃)、低融点ハンダ(50〜100
℃)、共晶ハンダ(183℃)、JISハンダ(184
〜240℃)、高温ハンダ(266〜314℃)、銀ろ
う(600〜900℃)、黄銅ろう(820〜980
℃)、アルミはんだ(255〜419℃)などの低融点
の合金類。
【0033】本発明に従う該繊維強化金属複合材料に
は、フライアッシュファイバー及び金属の他に、必要に
応じて該分野で用いられる副原料や他のFRM用強化繊
維を適宜添加することができる。例えば、セラミックバ
ルーン、シラスバルーン、各種ウィスカー(Cu、F
e、W、Al23、SiC、Si34、黒鉛など)、S
iC粉末、B4C粉末、Al23粉末、金属繊維(タン
グステン、モリブデン、ステンレス、スチール、タンタ
ルなど)、セラミック繊維、アルミナ繊維などを挙げる
ことができる。
【0034】本発明において、表面処理がなされたフラ
イアッシュファイバーをマトリックス金属の強化繊維と
して使用する場合には、該分野で通常用いられる方法を
適宜用いて金属と複合化して成形体を作ることができ
る。FRMの成形方法は、液相成形法と固相成形法とに
大別される。前者の液相成形法としては、(a)溶浸法、
(b)真空鋳造法、(c)加圧化含浸法、(d)溶湯鍛造法など
が挙げられる。また後者の固相成形法としては、(1)プ
レス成形、(2)熱間圧接、圧延成形、(3)押出し、引抜き
成形、(4)熱間静水圧成形などが挙げられる。これらの
方法を使用目的に応じて、適宜選択して用いることがで
きる。
【0035】FRMの中で最も期待されている母材は、
アルミニウム又はその合金である。アルミニウムは、軽
い(比重が2.7で、鉄や銅の約1/3であり、構造
物、運搬具、車輌および船舶などを軽量化できる)、耐
食性である、加工性がよい、機械的性質が広範囲に調節
できる、弾性率が鋼鉄の1/3で衝撃吸収性がすぐれ、
低温ぜい性がない、電気・熱の伝導性が優れている等の
多くの長所を有している。またアルミニウムは、純アル
ミニウムとして使われることも多いが、合金としての利
用もある。これらの特徴を活用して、車両、船舶、構造
物、運搬具、高圧電線、LSIの導電材、エンジン、熱
交換器、化学プラントなどに利用されている。
【0036】アルミニウム合金は、加工用と鋳物用に大
別される。前者の加工用合金には次のものがある。(a)
純アルミニウム;耐食性にすぐれていることから、化学
工業、食品工業の設備、装飾品、ネームプレート、反射
鏡、導電材料などに使用される。(b)Al−Cu系合
金;ジュラルミン、超ジュラルミンは、鋼材に匹敵する
強度を有し、それの合せ板(クラッド板)は、航空機材
料として使用される。(c)Al−Mg系合金;装飾用
材、器物用、建築、車輌、船舶材料、機械部品、溶接構
造材、カメラの鏡胴として使用される。(d)Al−Mg
−Si系合金;耐食性、強度ともにすぐれており、鉄
塔、クレーン、建築用サッシなどとして使用されてい
る。(e)Al−Zn−Mg系合金;超々ジュラルミン、
航空機材料、ゴルフクラブ、シャフト、スキーのストッ
ク、野球のバットなどのスポーツ用品として使用されて
いる。
【0037】アルミニウム又はアルミニウム合金の特性
を、さらに向上させるべく多くの繊維との複合化がはか
られている。その代表は、ボロン繊維強化アルミニウム
複合材である。しかし、ボロン繊維は高価格であり、使
用される範囲は極めて特殊分野でなければならない。こ
れらのことから、新たに開発されたフライアッシュファ
イバーを使用し、アルミニウムとのFRM化を更に検討
した。
【0038】フライアッシュファイバーは、他のセラミ
ックス繊維なみの耐熱性を有していることから、FRM
の強化材として使用可能である。しかし、フライアッシ
ュファイバーと金属との濡れ性は低く、単にアルミニウ
ムの融点以上にまで加熱しただけでは複合化はできな
い。事実、フライアッシュファイバーとアルミニウムと
をルツボに入れ、電気炉中で800℃に加熱したとこ
ろ、溶融した金属はルツボの下部に、フライアッシュフ
ァイバーはルツボの上部へと分離し、両者が混ざりあう
ことはなかった。
【0039】両者を混合させる一つの方法は、上記のよ
うに、マトリックスにアルミニウム粉末を使用し、これ
とフライアッシュファイバーとの混合物をホットプレス
下で加熱加圧することである。本発明では、母材である
アルミニウム中に、分散させるフライアッシュファイバ
ーの重量を5%、10%、15%、20%、33%、5
0%、66%と変えてFRMを作製した。加熱温度66
5℃、圧力は300kg/cm2であった。作られたフライア
ッシュファイバー強化アルミニウムは、極めて硬くな
り、試料の薄片を折曲げようとしたが、容易には屈折で
きなかった。それに対し、純アルミニウムの場合には、
簡単に折り曲げることができた。また、フライアッシュ
ファイバーと複合化させることによって複合材の表面硬
度(ヌープ硬さ)は、3〜5倍高くなった。そして、電
気抵抗もフライアッシュファイバーを添加することによ
って、変化した。
【0040】また、複合材の引張り強度は、フライアッ
シュファイバーを10%添加した場合には95〜99MP
aを示し、無添加の場合と同程度であった。しかしなが
ら、いずれの方法でもアルミニウムの機械的強度を高め
るには致らなかった。これらのことから前処理として、
フライアッシュファイバーの表面を改質することによっ
て、アルミニウムとの濡れ性を良好にすることが好まし
いことが判った。
【0041】界面における濡れ性を高めるためには、フ
ライアッシュファイバーの表面を改質することである。
まず最初に実験室的に簡便な方法である物理蒸着法(真
空蒸着法)によって、フライアッシュファイバーの表面
をアルミニウムあるいは銅で被覆して、表面改質を行っ
た。また、無電解メッキ法で銅メッキを行ってフライア
ッシュファイバーの表面を改質した。これらの金属で被
覆したフライアッシュファイバーとアルミニウムとをル
ツボ中に入れ、電気炉中で800℃に加熱したところ、
両者は極めて均一に溶け合った。それに対し、表面改質
を行わなかった場合には、分離したままで一体化するこ
とはなかった。
【0042】ホットプレスを使用し、表面改質フライア
ッシュファイバーとアルミニウム粉末とを混合し、加熱
・加圧してFRMを作製した。各FRMの機械的強度お
よび硬さを測定した。アルミニウム被覆したFRMの場
合には、FRMの強度の向上はなかったが、フライアッ
シュファイバーと母材との接着性は良好になっていた。
一方、銅被覆によって表面を改質したフライアッシュフ
ァイバーからのFRMでは、いずれの場合も機械的強度
の向上が見られた。特に、真空蒸着法で作ったFRMの
引張り強度は124MPaを示し、無処理品より30MPaも
増大した。また、表面硬さは、60%も大きくなった。
【0043】このようにして作られたFRM中のフライ
アッシュファイバーの配向は、ランダムである。したが
って、繊維の配向を一方向に制御すれば、さらにこれよ
り3倍も高い強度をもつ複合材が製作できる。また、複
合材の引張り強度は、フライアッシュファイバーの強度
に支配される。そして、フライアッシュファイバーの強
度は、繊維の直径によって影響される。100MPaの引
張り強度をもつ複合材の場合には、繊維径が大きいフラ
イアッシュファイバー含有量が多い場合の結果であり、
さらに繊維径の細い(例えば6μm程度)フライアッシ
ュファイバーを使用すれば、複合材の引張り強度はさら
に1桁高く1000MPa程度になることはさほど困難で
はないといえる。
【0044】純アルミニウムの引張り強度は、便覧によ
れば46.6MPaで、あまり高くはないが、合金化する
ことによって機械的強度は著しく向上する。例えば70
75アルミニウム合金(Al−5.6Zn−2.5Mg
−1.6Cu)の場合には、引張り強度571MPa、引
張り弾性率70.6GPaと1桁以上高くなる。そこで、
繊維直径6μmのフライアッシュファイバー(引張り強
度4120MPa、引張り弾性率200GPa)を使用し、7
075アルミニウム合金と複合化させる。その時の繊維
含有量を20%とする。それの機械的強度を複合則にあ
てはめて計算する。フライアッシュファイバーがランダ
ム配向であるならば引張り強度426MPa、引張り弾性
率32.1GPaになる。しかし、フライアッシュファイ
バーが一方向に配列したフライアッシュファイバー強化
アルミニウム合金では引張り強度1280MPa、引張り
弾性率96.5GPaと計算できる。従って、フライアッ
シュファイバーと複合化したFRMは、航空機の主材料
である超々ジュラルミンのように、アルミニウム合金の
機械的強度を著しく向上させることが可能になる。従っ
て、フライアッシュファイバーを添加することによっ
て、FRMの機械的強度や電気的特性を向上させること
ができる。そして、これらの特性を任意に制御すること
ができる。
【0045】
【実施例】以下本発明を実施例により例証する。 比較例1 粒状アルミニウム(直径1〜2mm)の所定量を秤量し、
タンマン管(直径20mm、長さ150mm)に入れた。こ
の中に、フライアッシュファイバーをアルミニウム重量
の1%相当を加え、できるだけ均一に混合した。このタ
ンマン管を、900℃に加熱してある電気炉中に入れ、
アルミニウムを融解するとともに、フライアッシュファ
イバーとの複合化をはかった。しかしながら、両者は混
合しないで、溶融したアルミニウムはタンマン管の下部
に、フライアッシュファイバーは溶融したアルミニウム
の上部に浮遊していた。また、溶融したアルミニウムの
表面には、酸化したアルミナが生成し、白色に変質して
いた。次に、アルミニウムの酸化を防止するために、縦
型の環状炉を使用し、その中にアルゴンガスを流して複
合化をはかった。この場合にも、粉末状のアルミニウム
を用い、これとフライアッシュファイバーの所定量(ア
ルミニウムの0.5wt%、1wt%、2wt%)とを均一に
混合してから、タンマン管の中に加え、900℃に加熱
してある電気炉中に挿入した。アルミニウムは直に溶解
し、フライアッシュファイバーと混合し始めた。約10
分後、タンマン管を電気炉中から取り出し放冷した。両
者は溶融しあい、混りあったようであったが、試料を切
断してみると、フライアッシュファイバーが絡み合った
ボール状の内部にまで充填されておらず、空隙が見られ
た。また、アルミニウムが酸化されている様子はなかっ
た。したがって、アルゴン雰囲気中でアルミニウムを融
解することは、酸化防止の点では効果があったが、複合
化という点では効果は認められなかった。
【0046】実施例1 フライアッシュファイバーとアルミニウムとを混合させ
るために、真空下あるいはアルゴン下での融解混合を行
った。アルミニウム粉末とフライアッシュファイバーと
の混合物(15g)をホットプレス下で加熱加圧するこ
とによって複合化を試みた。母材であるアルミニウム中
への添加フライアッシュファイバー量を5%、10%、
15%、20%、33%、50%、66%と変えてFR
Mを作製した。フライアッシュファイバーとアルミニウ
ム粉末との混合物(15g)をホットプレスの黒鉛製型
枠(内径40mm)中に充填し、真空ポンプで減圧にし
た。この混合物に280kg/cm2の圧力を加えた。次
に、真空ポンプで減圧にすることを止め、アルゴンガス
を毎分1リットル流しながら、毎分3.3℃の速度で6
65℃まで加熱した。同温度に30分間保持した後、昇
温時と同じ速度で降温した。
【0047】得られたフライアッシュファイバー強化ア
ルミニウム複合材は、直径40mm、厚さ6mmの円盤状で
あった。この嵩密度、引張り強度(支点間距離20mm、
荷重速度1mm/分)、引張り弾性率、曲げ強度、曲げ弾
性率および表面硬度(ヌープ硬さ、ロックウエル硬さ
(ダイヤモンドコーン、60kg))を測定した。その結
果を表−2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】フライアッシュファイバーを添加すること
によって、複合材の嵩密度は小さくなっているが、複合
材の引張り強度は、5〜10%添加した時には95〜9
8MPaを示し、無添加の場合と同程度であった。さらに
フライアッシュファイバー量が増えると、各機械的強度
は低下する傾向を示した。
【0050】一方、複合材の表面硬度は、フライアッシ
ュファイバー量が増えるにしたがって、大きくなり、無
添加の3倍にもなった。また、研磨紙での削り易さは、
フライアッシュファイバー量が増すことによって、削り
にくくなった。さらに、電気抵抗もフライアッシュファ
イバーを添加することによって変化し、大きくなった。
従って、フライアッシュファイバーを添加することによ
って、FRMの表面硬度や電気的特性を向上させること
ができた。
【0051】実施例2 比較例1で示したようにフライアッシュファイバーと金
属との濡れ性は低く、単に融点以上にまで加熱しただけ
では複合化は達成できなかった。そこで、フライアッシ
ュファイバーの表面を改質し、アルミニウムとの濡れ性
を向上することを検討した。フライアッシュファイバー
の表面改質は、真空蒸着法によって、アルミニウムを被
覆した。所定量(1wt%)のアルミニウム被覆フライア
ッシュファイバーと粉末状アルミニウムとをタンマン管
中に入れ、電気炉中で900℃に加熱した。フライアッ
シュファイバーは直にアルミニウム中に溶解し、両者を
良好に混合することができた。作られたフライアッシュ
ファイバー強化アルミニウム複合材は極めて剛く、強靭
になり、試料の薄片を折り曲げようとしたが、容易には
屈折できなかった。それに対し、純アルミニウムの場合
には、簡単に折り曲げることができた。複合材の表面硬
度は、アルミニウム被覆したフライアッシュファイバー
を添加することによって、表面処理を行わない場合より
1.5倍も大となった。また、走査電子顕微鏡でフライ
アッシュファイバー強化アルミニウム複合材の断面を観
察した。フライアッシュファイバーとアルミニウムとの
接着状況は、未処理の場合には、両者の界面に亀裂の発
生が見られたが、表面改質を行った場合には、そのよう
なことはなかった。
【0052】実施例3 フライアッシュファイバーに真空蒸着法で、アルミニウ
ムおよび銅被覆を行い、表面改質を行った。フライアッ
シュファイバーの所定量(5g)を、真空蒸着装置(日
本電子(株)製)中に設置し、油回転ポンプで粗引き
し、その後油拡散ポンプで10-6Torrの真空にし、アル
ミニウムあるいは銅を被覆し、フライアッシュファイバ
ーの表面改質を行った。これらのフライアッシュファイ
バーを装置内から一端取り出し、ファイバーの表面と裏
面とを入れ替えて再度真空蒸着処理を行った。この処理
によって、重量が増加することはなかった。
【0053】アルミニウム被覆あるいは銅被覆したフラ
イアッシュファイバーと粉末アルミニウムとの複合化を
行った。アルミニウム粉末と表面改質フライアッシュフ
ァイバーとの混合物をホットプレス下で加熱加圧するこ
とによってFRMを作製した。母材であるアルミニウム
中への添加フライアッシュファイバー量は、10%であ
った。表面改質フライアッシュファイバーとアルミニウ
ム粉末との混合物(15g)をホットプレスの黒鉛製型
枠(内径40mm)中に充填し、真空ポンプで減圧にし
た。この混合物に280kg/cm2の圧力を加えた。次
に、真空ポンプで減圧にすることを止め、アルゴンガス
を毎分1リットル流しながら、毎分3.3℃の速度で6
65℃まで加熱した。同温度に30分間保持した後、昇
温時と同じ速度で降温した。
【0054】得られたフライアッシュファイバー強化ア
ルミニウム複合材は、直径40mm、厚さ6mmの円盤状で
あった。この嵩密度、引張り強度、引張り弾性率、曲げ
強度、曲げ弾性率および表面硬度(ヌープ硬さ、ロック
ウエル硬さ)を測定した。その結果を表−3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】アルミニウム被覆したフライアッシュファ
イバーを用いて作られたFRMは、引張り強度は91MP
aであり、補強効果はなかった。しかし、引張り弾性
率、曲げ弾性率および硬さは著しく向上した。特に曲げ
弾性率は未処理品の1.5倍程度の値を示した。一方、
銅被覆したフライアッシュファイバーを用いて作られた
FRMは、引張り強度が124MPaであり、未処理品の
場合(96MPa)よりも、30MPaも強度が向上した。ま
た、弾性率および硬さは、アルミニウム被覆の場合と同
じように著しく向上した。
【0057】実施例4 フライアッシュファイバーに対して無電解銅メッキを行
い、FRMの強化材としての表面改質を行った。銅メッ
キは、次のようにして検討した。長さ5mmから10mmに
切断したフライアッシュファイバー(10g)を、感受
性化処理液(塩化第二スズ10g、塩酸40cc、純水1
000cc)中に10分間浸けた。その後、活性化処理液
(塩化パラジウム1g、塩酸10cc、純水4000cc)
の中に10分間浸漬した。いずれの場合も、よく攪拌し
ながら行った。フライアッシュファイバーへの銅メッキ
液の組成は、硫酸銅25.0g、ホルマリン40ml、E
DTA・2NA22.3gを水(1000ml)に溶かし
たものであった。その時のpHは11.5、温度は40
℃で、この液の中に5分間浸漬した。この時のメッキ速
度は20μm/時間で、得られたフライアッシュファイ
バーは、灰色であった。このフライアッシュファイバー
をアルミニウム重量の5%を添加して、上記実施例3と
同じようにしてフライアッシュファイバー強化アルミニ
ウム複合材を製作した。得られた複合材の各強度を表−
4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】作られたFRMの引張り強度112MPa
で、未処理の場合(103.3MPa)より10%ほど強
度が向上した。また弾性率は2.80GPaであり、未処
理品の60%ほど増大した。一方、複合材の曲げ弾性率
は14.9GPaであり、著しく機械的特性が向上した。
また、各FRMの断面を走査電子顕微鏡で観察した。未
処理の場合には、フライアッシュファイバーとマトリッ
クスのアルミニウムとの間には空隙などが多数見られた
が、表面改質を行った複合材中にはそのようなことはな
く、両者は良好な接着状況を示していた。フライアッシ
ュファイバーの表面改質は、複合材の機械的強度の向上
に対して効果があった。
【0060】
【発明の効果】本発明に従いフライアッシュファイバー
を金属マトリックスの強化材として用いることにより、
電気的特性、耐熱性及び表面硬度の優れた繊維強化金属
複合材料を得ることができる。更に、表面処理したフイ
アッシュファイバーを用いることにより、機械的強度の
一段と向上した繊維強化金属複合材料を得ることができ
る。該金属複合材料は、金属及びフライアッシュファイ
バーを含有する混合材料を加熱加圧成形(ホットプレス
法)して製造することが好ましく、特に表面処理してい
ないフライアッシュファイバーを繊維強化材として用い
る場合に好ましい。更に、本発明は特に金属としてアル
ミニウム及びその合金を用いる場合に好適に適用するこ
とができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化材としてフライアッシュファイバー
    を含有することを特徴とする繊維強化金属複合材料。
  2. 【請求項2】 該フライアッシュファイバーが、無電解
    メッキ法、化学蒸着法、物理蒸着法、電気泳動電着法及
    びプラズマスプレー法のうちのいずれかの方法により表
    面処理されたものである請求項1記載の繊維強化金属複
    合材料。
  3. 【請求項3】 金属マトリックスがアルミニウム又はそ
    の合金である請求項1又は2記載の繊維強化金属複合材
    料。
  4. 【請求項4】 金属及びフライアッシュファイバーを含
    有する混合材料を加熱加圧成形して複合化することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化金属
    複合材料の製造方法。
JP277393A 1993-01-11 1993-01-11 繊維強化金属複合材料及びその製造方法 Pending JPH073358A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007077420A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Institute Of National Colleges Of Technology Japan ペーパースラッジ焼却灰造粒水熱固化体−アルミニウム複合材
US8470218B2 (en) 2006-03-30 2013-06-25 Ocv Intellectual Capital, Llc Process and device for manufacturing a composite strand

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JP2007077420A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Institute Of National Colleges Of Technology Japan ペーパースラッジ焼却灰造粒水熱固化体−アルミニウム複合材
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