JPH0724261A - 窒素酸化物の接触還元除去方法 - Google Patents

窒素酸化物の接触還元除去方法

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JPH0724261A
JPH0724261A JP5198960A JP19896093A JPH0724261A JP H0724261 A JPH0724261 A JP H0724261A JP 5198960 A JP5198960 A JP 5198960A JP 19896093 A JP19896093 A JP 19896093A JP H0724261 A JPH0724261 A JP H0724261A
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alumina
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nox
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光紀 田畑
Tomohiro Yoshinari
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裕志 土田
Katsumi Miyamoto
勝見 宮本
Hideaki Hamada
秀昭 浜田
Tatsuhiko Ito
建彦 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸素過剰下、更には酸素、水蒸気、硫黄酸化
物の存在下において、ガソリン機関、ディーゼル機関、
その他種々の設備から発生する排ガス中の窒素酸化物を
還元除去する方法を提案する。 【構成】 過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中、炭化水
素類若しくは含酸素化合物の少なくとも1種の存在下、
アルミナ、および銀若しくは銀化合物の少なくとも1種
を含有するシリカ若しくはジルコニアの少なくとも1種
からなる触媒に、窒素酸化物を含む排ガスを接触させ
る。上記のアルミナは、 ア)アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の少なくと
も1種の含有量が0.5wt%以下で、 イ)80Å以下の径を有する細孔により形成される細孔
容積が0.26cm・g−1以上で、かつ全体の細孔
容積が0.48cm・g−1以上である。 上記の含酸素化合物は、エタノール若しくはアセトンの
一方または双方が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸素が過剰に存在する
全体として酸化雰囲気において、排ガスを、少量添加し
た炭化水素類や含酸素化合物、あるいは排ガス中に存在
する炭化水素類や含酸素化合物の存在下で、アルミナ、
および銀若しくは銀化合物の少なくとも1種を含有する
シリカ若しくはジルコニアの少なくとも1種からなる触
媒と接触させて、該排ガス中の窒素酸化物を還元除去す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の排ガス中の窒素酸化物(以下、
「NOx」)は、人体に直接悪影響を与え、かつ光化学
スモッグや酸性雨の発生原因ともなりうるため、その効
果的な除去手段の開発が望まれている。従来、このNO
xの除去方法として、触媒を用いて排ガス中のNOxを
低減する方法が既にいくつか実用化されている。
【0003】例えば、(イ)ガソリン自動車における三
元触媒法や、(ロ)ボイラー等の大型設備排出源からの
排ガスについて、アンモニアを用いる選択的接触還元法
が挙げられる。また、最近、提案されているその他の方
法としては、(ハ)炭化水素を用いる排ガス中のNOx
除去方法として銅等の金属を担持させたアルミナ等の金
属酸化物若しくは種々の金属を担持したゼオライトを触
媒として炭化水素の存在下でNOxを含むガスと接触さ
せる方法等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記(イ)の方法は、
自動車の燃焼排ガス中に含まれる炭化水素成分と一酸化
炭素を、白金族を含有する触媒によって、水と二酸化炭
素とし、同時にNOxを還元して窒素とするものであ
る。しかし、この方法では、NOxに含まれる酸素量を
含め、炭化水素成分および一酸化炭素が酸化されるのに
必要とする酸素量が化学量論的に等しくなるように酸素
濃度を調整する必要があり、ディーゼル機関のように過
剰の酸素が存在する雰囲気では、原理的に適用が不可能
である等の問題がある。
【0005】また、(ロ)の方法では、非常に有毒であ
り、かつ多くの場合高圧ガスとして取り扱わなければな
らないアンモニアを用いるため、取扱いが容易ではな
く、しかも設備が巨大化し、小型の排ガス発生源、特に
移動性発生源に適用することは技術的に極めて困難であ
る上、経済性も良くない。
【0006】一方、(ハ)の方法は、ガソリン自動車を
主な対象としており、ディーゼル機関の排ガス条件下で
は適用が困難であるとともに、触媒の耐久性も不十分で
ある。すなわち、アルミナ若しくはゼオライトに銅等の
金属を担持した触媒では、ディーゼル機関から排出され
る硫黄酸化物により被毒されるばかりでなく、添加した
金属の凝集等による触媒の活性低下も起こるため、ディ
ーゼル機関からの排ガス中のNOxを除去するには適さ
ない。
【0007】特に、ゼオライト系触媒は、比較的高い初
期活性を有するものの、NOxの除去を行うべき対象と
なる排ガス中に水蒸気が含まれている場合、その水蒸気
が触媒の活性点を被覆し、その結果、NOx除去性能の
低下をもたらす。さらに、燃焼機関からの排ガスのよう
な水熱条件下での使用は、ゼオライト骨格からの脱アル
ミを促進し、致命的な触媒劣化を引き起こす。
【0008】このようなことから、酸素過剰下にある処
理するべき排ガス中に、水蒸気や硫黄酸化物が含有され
ている場合にも、高い還元性能と、ひときわ優れた耐久
性を有するNOx還元除去触媒の開発が望まれている。
【0009】本発明は、以上の(イ)〜(ハ)に存在す
る各種の問題を解消するためになされたものであって、
酸素過剰下においても、さらには酸素、水蒸気、硫黄酸
化物の存在下においても、ガソリン機関はもちろんのこ
と、ディーゼル機関の排ガスをはじめ、種々の設備から
発生する排ガス中の窒素酸化物を還元除去することがで
きる方法を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者等
は、上記目的を達成するために、鋭意研究を重ねた結
果、アルミナ、および銀若しくは銀化合物の少なくとも
1種を含有するシリカ若しくはジルコニアの少なくとも
1種からなる触媒を用いることにより、酸素過剰下にお
いて、水蒸気や硫黄酸化物が共存している場合にも、極
めて効率的にNOxを除去することが可能なNOx還元
除去方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の排ガス中の窒素酸化物
を還元除去する方法は、過剰の酸素が存在する酸化雰囲
気中、炭化水素類若しくは含酸素化合物の少なくとも1
種の存在下において、NOxを含む排ガスを、アルミ
ナ、および銀若しくは銀化合物の少なくとも1種を含有
するシリカ若しくはジルコニアの少なくとも1種からな
る触媒に接触させることを特徴とする。
【0012】また、本発明の方法は、上記のアルミナ
が、ア)アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の少な
くとも1種の含有量が0.5wt%以下で、イ)80Å
以下の径を有する細孔により形成される細孔容積が0.
26cm・g−1以上で、かつ全体の細孔容積が0.
48cm・g−1以上であることも特徴とする。
【0013】さらに、本発明の方法は、上記の含酸素化
合物として、エタノールまたはアセトンの一方または双
方を使用することをも特徴とする。この場合、水蒸気共
存条件においても、低温にて、高効率で、NOxを還元
除去することが可能となる。
【0014】以下、本発明の方法の詳細を作用とともに
説明する。本発明における触媒の一成分であるアルミナ
は、従来公知の方法により調製されたものが使用でき
る。本発明における触媒は、このアルミナ、および銀若
しくは銀化合物の少なくとも1種を含有するシリカ若し
くはジルコニアの少なくとも1種からなる。
【0015】銀若しくは銀化合物の含浸量は、金属換算
で、シリカあるいはジルコニアに対して、約0.01〜
40wt%、好ましくは約0.05〜30wt%とする
ことが好ましい。約0.01wt%未満では、含有効果
が生ぜず、約40wt%より多いと、シリカ若しくはジ
ルコニア中で、銀若しくは銀化合物の凝縮が著しく促進
されてしまう可能性があり、銀若しくは銀化合物の効果
が発揮されない場合があるからである。
【0016】シリカあるいはジルコニアへの銀あるいは
銀化合物の含有方法は、特に制限はなく、従来公知の含
浸法、共沈法、混練法、沈着法、イオン交換法、その他
各種の方法で行うことができる。
【0017】含浸法では、シリカあるいはジルコニア
に、銀化合物の水溶液を含浸させ、乾燥後、空気焼成す
ることにより含有させることができる。このときの銀化
合物としては、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀等を挙げること
ができ、通常、硝酸銀が好適に用いられる。空気焼成温
度は、約300〜800℃、好ましくは約400〜60
0℃であり、焼成時間は、約1〜10時間である。
【0018】また、共沈法では、銀化合物、ケイ酸塩あ
るいはジルコニウム塩の混合水溶液に適当な沈澱剤を添
加して、これらの金属の水酸化物または炭酸塩を沈澱さ
せ、濾別・水洗・乾燥させ、要すれば焼成して含有させ
るものである。
【0019】混練法では、別々に調製した銀、ケイ素あ
るいはジルコニウムのゲル状またはスラリー状の水酸化
物または炭酸塩を、ニーダー等で混合・混練したものを
乾燥し、要すれば焼成して含有させるものである。
【0020】沈着法では、予め調製したケイ素あるいは
ジルコニウムのゲル状またはスラリー状の水酸化物また
は炭酸塩を、銀化合物(例えば、硝酸塩、硫酸塩、酢酸
塩、塩化物等)の水溶液に浸漬し、次いで沈澱剤を添加
して銀化合物をケイ素あるいはジルコニウムのゲルまた
はスラリーに沈着させた後、濾過・水洗・乾燥し、要す
れば焼成して含有させるものである。
【0021】イオン交換法では、触媒表面上に配位して
いるHやNaなどを任意のカチオンに交換するもの
である(陽イオン交換)。交換操作としては、通常、交
換対象とする陽イオンの0.1〜1.0N程度の水溶液
に触媒担体を浸漬する手法が採用され、所望のイオン交
換率が得られるまで、この浸漬操作を繰り返す。このと
き、交換液のpHと温度は、交換率を支配する重要な要
因となるため、注意を払う必要がある。その他として、
遷移金属のカチオンをイオン交換により担持させる場合
には、錯イオンが形成されることがあるため、この錯イ
オンの形成が生じないように、やはり交換液のpHや温
度に注意を払う必要がある。このようにしてイオン交換
操作が終了した後、要すれば、焼成して触媒として使用
する。
【0022】これらの方法は、含有させる銀あるいは銀
化合物の量が多いときに好適な場合が多いが、本発明で
は、含浸法、共沈法、混練法、沈着法、イオン交換法等
のいずれの方法によるかは特に問わない。
【0023】銀若しくは銀化合物の少なくとも1種が含
有されたシリカ若しくはジルコニアの少なくとも1種
(以下、「銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニア」と記
す)は、炭化水素類若しくは含酸素化合物の少なくとも
1種(以下、「炭化水素類・含酸素化合物」と記す)の
酸化を著しく促進する。すなわち、銀・銀化合物含有シ
リカ・ジルコニアは、酸化雰囲気中にあるNOxの還元
に作用しない。
【0024】これに対して、アルミナは、単独で比較的
高いNOx除去性能を有するものの、低温領域でのこの
性能はあまり高くない。本発明者らは、このアルミナの
低温領域でのNOx除去性能を改善するため、鋭意検討
を行った結果、アルミナに、銀・銀化合物含有シリカ・
ジルコニアを、物理的に混合させる等して、アルミナと
銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニアからなる触媒を調
製したところ、この触媒は、アルミナ単独に比して、低
温領域でのNOx除去性能が飛躍的に向上するという当
初全く予見し得なかった驚くべき現象を見い出した。
【0025】このように異なる性能を有する(銀・銀化
合物含有シリカ・ジルコニアは炭化水素類・含酸素化合
物の酸化性能を有し、アルミナは、主としてNOx還元
性能を有する)二種類の触媒を、物理的に混合させる等
によって、協奏効果が得られるという現象は極めて稀少
であり、その詳細な機構は解明されていない。
【0026】現在のところ、銀・銀化合物含有シリカ・
ジルコニア上にて活性化された炭化水素類・含酸素化合
物の中間生成物の一部が、アルミナ上でのNOx還元反
応に特異的に作用しているものと考察している。
【0027】アルミナに銀・銀化合物を直接担持(含
有)させた触媒(特開平5−76757号)も、これと
同様な作用を示すが、より低温領域でのNOx還元活
性、あるいは硫黄酸化物共存下での耐久性等で性能差が
観察されるとともに、その触媒調製法からも両者は明ら
かに区別される。
【0028】すなわち、アルミナに銀を直接担持させた
場合、アルミナ表面上の活性サイトが減少し、選択性が
低下する。また、硫黄酸化物共存下では、該硫黄酸化物
のアルミナ上への吸着が促進され、その結果としてアル
ミナは、著しい被毒劣化を起こすという問題も生じる。
【0029】これに対して、アルミナに銀・銀化合物含
有シリカ・ジルコニアを物理的に混合させる等の操作に
より得られる本発明の触媒では、アルミナの活性サイト
には何等影響も及ぼすことなく、また硫黄酸化物による
アルミナの被毒劣化も軽減される。さらに、実施例の項
に示すように、触媒中に含有される銀・銀化合物の量
も、直接担持させる場合に比べ、より少量でよいので、
コスト的にも非常に有利になる。
【0030】また、本発明者らは、先願(特平願4−2
31376号)において、アルミナのNOx還元性能
が、アルミナ中に不純物として含有されるアルカリ金属
若しくはアルカリ土類金属の少なくとも1種(以下、
「アルカリ金属・アルカリ土類金属」と記す)の量、な
らびにアルミナの物理的構造(細孔容積、細孔径等)に
大きく関係していることを開示した。
【0031】本発明者らは、アルミナと銀・銀化合物含
有シリカ・ジルコニアからなる本発明の触媒のNOx還
元活性は、アルミナ自身のNOx還元活性が高いものほ
ど、より高率でNOxの還元除去が進行するという、ア
ルミナ単独のNOx還元活性と、アルミナと銀・銀化合
物含有シリカ・ジルコニアとからなる本発明の触媒の活
性の序列との相関を見い出し、本発明の触媒のNOx還
元性能についても、アルミナのアルカリ金属・アルカリ
土類金属の含有量、ならびにアルミナの物理的構造(細
孔容積、細孔径等)に例外無く関係しているという全く
新たな事実を見い出した。
【0032】このアルミナは、 ア)アルカリ金属・アルカリ土類金属の含有量が0.5
wt%以下、 イ)80Å以下の径を有する細孔により形成される細孔
容積が0.26cm・g−1以上で、かつ全体の細孔
容積が0.48cm・g−1以上、の要件を満たす必
要がある。これらの要件を必要とする理由について、各
要件毎に以下に説明する。
【0033】ア)の要件について;本発明の基本的な反
応は、炭化水素類・含酸素化合物としてプロピレン(C
)を、NOxとして二酸化窒素(NO)をそれ
ぞれ例に採れば、化1に示す反応式によるものと推測さ
れる。
【0034】
【化1】
【0035】すなわち、NOをNにまで還元させる
には、CがCO(場合によってはCO)とH
Oにまで酸化することが必要であり、Cの酸化が
進行しなければ、NOの還元も進行しない。ただし、
の酸化が進みすぎると、Cが化1の反応
に関与しなくなり、この結果としてNOの還元率も低
下する。したがって、NOxを高い割合で還元するに
は、NOxの還元剤であるC等の炭化水素類・含
酸素化合物(以下、「還元剤」と記すこともある)の適
度な酸化が必要となる。
【0036】一方、NOxの還元除去は、触媒上のNO
x濃度が高いほど、効率よく進行することが知られてい
る。このことから、より高いNOx還元除去率を得るた
めには、触媒上のNOx濃度を高くすることも、一手段
として挙げることができる。
【0037】ところで、アルミナ単独を触媒として使用
した場合、還元剤の酸化の程度は同一であっても、NO
xの還元除去効率(酸化によって消費される還元剤当た
りに換算したNOx除去率の意)は大きく異なることが
ある。
【0038】この原因を検討した結果、NOx還元除去
効率は、アルミナ中の不純物と関連し、特にアルカリ金
属やアルカリ土類金属がNOx還元除去効率に大きな影
響を与えることが分かった。しかも、この影響は、銀・
銀化合物含有シリカ・ジルコニアとともに本発明の触媒
を構成する場合においても顕著に見られることが判明し
た。
【0039】そこで、銀・銀化合物含有シリカ・ジルコ
ニアとともに本発明の触媒を構成するアルミナのアルカ
リ金属・アルカリ土類金属の含有量を、一定量以下、具
体的には0.5wt%以下、好ましくは0.1wt%以
下とするものである。
【0040】なお、アルカリ金属・アルカリ土類金属の
含有量は、少なければ少ないほど良く、下限は特に限定
されず、これらの金属除去技術の進歩によって、そして
不純物としてのこれらの金属の含有量の測定技術の進歩
によって、ほとんど0になることもあり得る。
【0041】また、これらのアルカリ金属・アルカリ土
類金属とともに、硫黄の含有量もできるだけ少ないこと
が、上記のNOx還元除去効率を高める上で好ましく、
具体的には、硫黄含有量はアルカリ金属・アルカリ土類
金属と同様に約0.5wt%以下で、できるだけ少ない
ほど、最適にはほとんど0にすることが望ましい。
【0042】もちろん上記のように、アルカリ金属・ア
ルカリ土類金属の含有量が略0である場合、加えて硫黄
の含有量も略0である場合には、水分を除く構造式Al
で表せるものの構成比率が略100wt%である
こともあり得る。
【0043】イ)の要件について;上記した還元剤の適
度な酸化を促進し、より低温、より高速(高空間速度)
下で、高いNOx還元除去効率を得る上では、特定の径
以下、具体的には約80Å以下の径を有する細孔により
形成される細孔容積の大きさもが重要な要因となる。こ
の細孔容積が大きいほど、具体的には、約0.26cm
・g−1以上、好ましくは0.32cm・g−1
上、より好ましくは0.35cm・g−1以上におい
て、上記の還元剤の適度な酸化を良好に進行させること
ができる。この細孔容積が約0.26cm・g−1
満では、還元剤の酸化が抑制されすぎて、化1の反応が
良好に進行せず、したがって低温、高空間速度下でのN
Ox還元除去効率が向上しない。
【0044】また、詳細は明らかとはなっていないが、
アルミナの細孔がNOxの濃縮に関与している可能性も
考えられる。すなわち、上記の要件を満たす細孔を有す
るアルミナ、および銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニ
アからなる本発明の触媒は、NOxの濃縮がより高い割
合で起こり、高効率でNOxの還元除去が進行すると考
えられる。
【0045】なお、径が約80Å以下の細孔による細孔
容積の上限は、特に限定しないが、あまり大きいもの
は、製造技術が困難な上に、コストが高騰し、実用性を
考慮した場合、あまり好ましいものとはならない。しか
も、径が約80Å以下の細孔を多くすると、それに伴い
さらに小さな細孔も作られ、触媒の性状に変化をもたら
す焼結が生じ易くなり、表面積の減少を引き起こすた
め、好ましいものとはならない。
【0046】本発明で使用するアルミナにおいても、表
面積は大きいほど好ましいことは言うまでもなく、した
がって径が80Å以下の小さな細孔により形成される細
孔容積の上限は、特に限定はしないものの、約0.6c
・g−1付近とすることが好ましい。
【0047】また、反応ガス(NOx含有排ガスや気体
状の還元剤)の拡散を良好とするためには、全体の細孔
容積を、ある程度大きくする必要がある。本発明で使用
するアルミナについても、多くの実験の結果、全体の細
孔容積を、約0.48cm・g−1以上、好ましくは
約0.52cm・g−1以上、より好ましくは約0.
54cm・g−1以上とするものである。この細孔容
積が約0.48cm・g−1未満であると、反応ガス
の拡散が不十分となり、化1の反応が均一に、かつ高い
反応効率で生起しない。
【0048】なお、全体の細孔容積の上限も、特に限定
しないが、あまり大きすぎると、アルミナ担体の機械的
強度が低下しすぎて、実機での使用に際し、早期に崩壊
してしまうことと、製造技術上の観点から、約1.2c
・g−1付近とすることが望ましい。
【0049】上記したア)、イ)の要件の細孔容積は、
次のようにして求められる。表面積は、−196℃にお
ける窒素吸着等温線から、BET法によって求める。細
孔径の分布は、相対圧0.967までの窒素吸着脱離等
温線(−196℃)を測定し、BJH法若しくはD−H
法によって、半径200Å以下の細孔について求める。
同時に、得られた結果より、細孔容積、平均細孔径も算
出する。
【0050】なお、ここで示す平均細孔径の代表値とし
ては、細孔容積を、それ以上の径の部分と、それ以下の
径の部分とに、均等に2分する細孔直径、いわゆる細孔
容積の細孔直径に関する分布のメディアン値が示され
る。
【0051】上記のア)、イ)の要件を満たす本発明で
用いるアルミナは、公知の各種の方法で製造することが
できる。その一例を簡単に説明すれば、先ず、アルミニ
ウム塩水溶液を原料としてアルミニウム水和物を調製
し、次いで、これを焼成(熱分解)してアルミナにすれ
ばよい。
【0052】ところで、アルミニウム水和物を調製する
際に、出発原料、沈澱時の温度、原料液濃度、pH、熟
成時間等の条件を変化させることによって、種々の形態
を有するアルミナ水和物が生成する。
【0053】また、そのアルミナ水和物の加熱変態につ
いてもすでに多くの報告がある。例えば、アルミン酸ナ
トリウム水溶液と二酸化炭素からアルミナ水和物の沈澱
を作る場合、調製条件によって、ベーマイト(擬ベーマ
イト)、バイヤライト、ギプサイト等が生成する。得ら
れた水和物の結晶構造と、これらの高温焼成(例えば、
500℃)後のアルミナの多孔質構造との間には、以下
のような関係がある。
【0054】すなわち、結晶性の高いバイヤライト、ギ
プサイト等の構造体を含む水和物を焼成して得られるア
ルミナは、擬ベーマイト(ベーマイトゲル)より得られ
たそれに比べて、比表面積および細孔容積が小さなもの
となり、触媒もしくは触媒担体として使用する場合には
あまり好ましいものとはならない。
【0055】次に、アルミナの多孔質構造、特に細孔分
布、平均細孔径の制御について、触媒として使用するこ
とが好ましいとされるベーマイトゲルを水和物として、
アルミナ焼成体を得る方法を例にして述べる。
【0056】ベーマイトゲルは、繊維状または薄板状の
形状を有しており、この構造と加熱変態後のアルミナの
細孔構造との関係を模式的に表現すると、以下のように
なる。
【0057】すなわち、基本粒子が小さいものは焼成処
理により小細孔を与え、大きなものは大細孔を与え、均
一な粒子サイズはシャープな細孔分布を、不均一なもの
はブロードな細孔分布を与えるという関係である。細孔
容積については、均一な結晶では大きく、不均一になる
と大きくなるという相関が見られる。したがって、細孔
構造を制御するためには、このベーマイトゲルの基本粒
子を制御することにより可能となる。
【0058】具体的には、特開昭58−213632
(USP4,562,059)、特開昭58−1908
23(USP4,555,394)等に開示されている
手法が一例として挙げられる。これらの手法では、ベー
マイトゲルが存在する溶液のpHを操作することによ
り、基本粒子の制御を行う。すなわち、pH操作により
溶液中に存在する微細結晶を操作し、粒子サイズを均一
にするというものである。
【0059】一方、細孔容積を調節する方法として、ベ
ーマイトゲルにポリエチレングリコール等の水溶性高分
子化合物を加える方法(特開昭52−104498、特
開昭52−77891)、あるいはベーマイトゾル中の
水の一部または大部分をアルコール等の含酸素化合物で
置換する方法(特開昭50−123588)等が提案さ
れているものの、本発明において重要とされるミクロ孔
(20Å以下)、メソ孔(20Å〜500Å)領域の前
半に関する細孔制御にはおおむね適さないものが多い。
【0060】なお、水和物からアルミナ焼成体を得ると
き、その焼成温度によってもある程度、異なる細孔分
布、細孔容積を有するものが得られる。ただし、この時
には、アルミナの結晶転移に注意を払う必要がある。
【0061】以上の銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニ
ア、アルミナ、あるいは特定量以下のアルカリ金属・ア
ルカリ土類金属を含み、かつ特定の物理的構造を有する
アルミナ(以下、これらのアルミナをまとめて「アルミ
ナ」と言うこともある)からなる本発明の触媒の調製方
法としては、湿式法でも乾式法でもよい。湿式法では、
銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニアとアルミナ若しく
はアルミナ水和物とを、水分共存下、ニーダー等で混合
・混練したものを乾燥し、要すれば焼成して得る。
【0062】その他、同様な効果が得られる調製方法と
しては、銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニアのスラリ
ーを調製し、粘結剤とともにアルミナにコーティングし
た後、乾燥し、要すれば焼成する方法もある。この方法
では、アルミナハニカム構造体等への銀・銀化合物含有
シリカ・ジルコニアの添加・混合を直接行うことができ
る。
【0063】また、乾式法では、所望の銀・銀化合物含
有シリカ・ジルコニアとアルミナ若しくはアルミナ水和
物とを乳鉢等で粉砕混合して得る。
【0064】銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニアのア
ルミナへの影響としては、アルミナに銀・銀化合物含有
量が同一の銀・銀化合物含有シリカ・ジルコニアを共存
させる場合、共存量の増加とともに低温領域でのNOx
除去性能が向上するという特徴が挙げられる。また、同
一の共存量の場合には、シリカあるいはジルコニア中の
銀・銀化合物の含有量の増加とともに同様な低温領域で
の効果が得られる。
【0065】本発明における銀・銀化合物含有シリカ・
ジルコニア(A)とアルミナ(B)の重量比率は、上記
した重量比率で銀・銀化合物を含有するシリカ・ジルコ
ニアにおいて、一般には、(A)/(B)で表して、約
0.01〜0.90/0.99〜0.10、好ましくは
約0.05〜0.80/0.95〜0.20、より好ま
しくは約0.10〜0.70/0.90〜0.30の範
囲で用いることが適している。
【0066】アルミナと銀・銀化合物含有シリカ・ジル
コニアとからなる本発明の触媒は、粉末状、顆粒状、ペ
レット状、ハニカム状、その他任意の形で使用すること
ができ、その形状、構造は特に問わない。また、本発明
の触媒を成形して使用する場合には、成形時に通常使用
される粘結剤、すなわちシリカゾル、ポリビニルアルコ
ール等、あるいは潤滑剤すなわち黒鉛、ワックス、脂肪
酸塩、カーボンワックス等を使用することができる。
【0067】本発明の方法において、処理対象となるN
Ox含有ガスとしては、ディーゼル自動車や定置式ディ
ーゼル機関等のディーゼル排ガス、ガソリン自動車等の
ガソリン機関排ガスをはじめ、硝酸製造設備、各種の燃
焼設備等の排ガスを挙げることができる。これら排ガス
中のNOxの除去は、上記した本発明の触媒を用いて、
該触媒に、酸化雰囲気中、上記の炭化水素類・含酸素化
合物の存在下で、排ガスを接触させることにより行う。
【0068】ここで、酸化雰囲気とは、排ガス中に含ま
れる一酸化炭素、水素、炭化水素類および含酸素化合物
と、本発明方法において必要に応じて添加される炭化水
素類・含酸素化合物からなる還元剤とを、完全に酸化し
て水と二酸化炭素に変換するのに必要な酸素量よりも過
剰な酸素が含まれている雰囲気をいい、例えば、自動車
等の内燃機関から排出される排ガスの場合には空燃比が
大きい状態(リーン領域)の雰囲気であり、通常、過剰
酸素率は約20〜2000%程度である。
【0069】この酸化雰囲気中において、上記した本発
明の触媒は、炭化水素類・含酸素化合物と酸素の反応よ
りも、炭化水素類・含酸素化合物とNOxとの反応を優
先的に促進させて、NOxを還元分解除去する。
【0070】なお、本発明の方法における上記した本発
明の触媒は、酸化雰囲気でよく作用するが、還元性雰囲
気ではNOxに対する還元分解活性が低下するので、酸
化雰囲気中にて反応を行わせるのが好ましい。
【0071】存在させる炭化水素類・含酸素化合物、す
なわちNOxを還元分解除去する還元剤としては、排ガ
ス中に残存する炭化水素や燃料等の不完全燃焼生成物で
あるパティキュレート等でもよいが、上記反応を促進さ
せるのに必要な量よりも不足している場合には、外部よ
り炭化水素類・含酸素化合物を添加する必要がある。
【0072】存在させる炭化水素類・含酸素化合物の量
は、特に制限されず、例えば要求されるNOx除去率が
低い場合には、NOxの還元分解に必要な理論量より少
なくてよい場合がある。ただし、必要な理論量より過剰
な方が還元反応がより進むので、一般的には過剰に添加
するのが好ましい。通常は、炭化水素類・含酸素化合物
の量は、NOxの還元分解に必要な理論量の約20%〜
2000%過剰、好ましくは約30%〜1500%過剰
に存在させる。
【0073】ここで、必要な炭化水素類・含酸素化合物
の理論量とは、反応系内に酸素が存在するので、本発明
においては、二酸化窒素(NO)を還元分解するのに
必要な炭化水素類・含酸素化合物と定義するものであ
り、例えば、炭化水素類・含酸素化合物としてプロパン
を用い、1000ppmの一酸化窒素(NO)を酸化存
在下で還元分解する際のプロパンの理論量は200pp
mとなる。一般には、排ガス中のNOx量にもよるが、
存在させる炭化水素類・含酸素化合物の量は、メタン換
算で約50〜10000ppm程度である。
【0074】本発明における上記の触媒によってNOx
を還元させる還元剤としては、可燃性の有機化合物等の
含炭素物質であればいかなる物質も有効であるが、実用
性からいえば、窒素、硫黄、ハロゲン等の化合物は、価
格、二次的な有害物質の発生、あるいは触媒の損傷等の
問題が多く、またカーボンブラック、石炭等の固体物質
は、触媒層への供給、触媒との接触等の点から一般に好
ましくなく、炭化水素類・含酸素化合物が好ましい。そ
して、触媒層への供給の点からは気体状または液体状の
ものが、また、反応の点からは反応温度で気化するもの
が特に好ましい。
【0075】本発明における炭化水素類の具体例として
は、気体状の物として、メタン、エタン、エチレン、プ
ロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン等の炭化水素ガ
スが、液体状のものとしてペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、オクテン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の単一炭化水素や、ガソリン、灯油、軽油、重油等
の鉱油系炭化水素油が例示される。
【0076】また、含酸素化合物とは、含酸素有機化合
物を意味し、メチルアルコール、エチルアルコール、プ
ロピルアルコール、オクチルアルコール等のアルコール
類、ジメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエー
テル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、油脂類
等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類等の含酸素有機化合物が例示される。
【0077】これらの炭化水素類・含酸素化合物は、一
種のみを使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使
用してもよい。なお、排ガス中に存在する燃料等の未燃
焼ないし不完全燃焼生成物、すなわち炭化水素類やパテ
ィキュレート類等も還元剤として有効であり、これらも
本発明における炭化水素類に含まれる。このことから、
本発明における触媒は、排ガス中の炭化水素類やパティ
キュレート等の減少・除去触媒としての機能をも有して
いるということができる。
【0078】反応は、上記の触媒を配置した反応器を用
意して、酸化雰囲気中で、炭化水素類・含酸素化合物を
存在させて、NOx含有排ガスを通過させることにより
行う。このときの反応温度は、触媒および炭化水素類・
含酸素化合物の種類により異なるが、排ガスの温度に近
い温度が排ガスの加熱設備等を必要としないので好まし
く、一般には、約100〜800℃、特に約200〜6
00℃の範囲が好ましい。反応圧力は、特に制限され
ず、加圧下でも減圧下でも反応は進むが、通常の排気圧
で排ガスを触媒層へ導入して、反応を進行させるのが便
利である。空間速度は、触媒の種類、他の反応条件、必
要なNOx除去率等で決まり、特に制限はないが、概し
て約500〜200000hr−1、好ましくは約10
00〜100000hr−1の範囲である。
【0079】なお、本発明において、内燃機関からの排
ガスを処理する場合は、上記触媒は、排気マニホールド
の下流に配置するのが好ましい。
【0080】また、本発明で排ガスを処理する場合、処
理条件によっては、未燃焼の炭化水素類や一酸化炭素の
ような公害の原因となる不完全燃焼生成物が処理ガス中
に排出される場合がある。このような場合の対策とし
て、上記の触媒(以下、「還元触媒」と称する)で処理
したガスを酸化触媒に接触させる方法を採用することが
できる。
【0081】使用することができる酸化触媒としては、
一般に、上記の不完全燃焼生成物を完全燃焼させる触媒
であればどのような触媒でもよいが、活性アルミナ、シ
リカ、ジルコニア等に、白金、パラジウム、ルテニウム
等の貴金属、ランタン、セリウム、銅、鉄、モリブデン
等の卑金属酸化物、三酸化コバルトランタン、三酸化鉄
ランタン、三酸化コバルトストロンチウム等のペロブス
カイト型結晶構造物等の触媒成分を、単独でまたは2種
以上混合してを組み合わせて担持させたものが挙げられ
る。
【0082】これらの触媒成分の担持量は、貴金属では
担体に対して約0.01〜5wt%程度であり、卑金属
酸化物では約5〜70wt%程度である。もちろん、特
に、卑金属酸化物等では、担体に担持しないで使用する
こともできる。
【0083】酸化触媒の形状、成形等の目的で添加する
添加物については、還元触媒の場合のそれと同様であ
り、種々のものを使用することができる。
【0084】上記の還元触媒と酸化触媒の使用比率や、
酸化触媒に担持させる触媒成分量等は、要求性能に応じ
て適宜選択可能であり、特に酸化除去する物質が一酸化
炭素のような炭化水素の中間生成物である場合には、還
元触媒と酸化触媒とを混合して使用することも可能であ
るが、一般には、還元触媒を排気上流側に、酸化触媒を
排気下流側に配置する。
【0085】本発明において、これらの触媒を用いて排
ガスを浄化する具体例としては、還元触媒を配置した反
応器を排ガス導入部(前段)に、酸化触媒を配置した反
応器を排ガス排出部(後段)に配置する方法や、一つの
反応器に夫々の触媒を要求性能に応じた比率で配置する
方法等がある。
【0086】還元触媒(A)と酸化触媒(B)の比率
は、一般には、(A)/(B)で表して約0.5〜9.
5/9.5〜0.5の範囲で用いられる。
【0087】酸化触媒の使用温度については、還元触媒
の使用温度と同じでなくてもよいが、一般には前述の還
元触媒の使用温度の範囲内で使用できるものを選択する
のが加熱冷却設備を特に必要とせず好ましい。
【0088】
【実施例】
実施例1 (銀含有シリカの調製)硝酸銀(AgNO)0.79
gを蒸留水35gに溶解し、この水溶液をシリカ(ダヴ
ィソン社製商品名:♯57)50gに含浸させ、一昼夜
放置した。放置後、エバポレーターにて100℃で減圧
乾燥した後、空気気流中600℃で3時間焼成し、銀含
有シリカを得た。このときのシリカに対する銀の含有量
は、金属銀として1.0wt%であった。
【0089】(本発明の触媒の調製)上記のようにして
調製した1wt%銀含有シリカ0.2gとアルミナ(水
沢化学社製商品名:ネオビードGB−45)0.4gを
乳鉢中で粉砕混合し、銀含有シリカとアルミナからなる
本発明の触媒を得た。
【0090】(NOxの除去反応)上記のようにして得
られた本発明の触媒0.6gを、常圧流通式反応装置に
充填し、約1000ppmの一酸化窒素(以下、「N
O」と記す)、約10%の酸素、約8vol%の水蒸
気、および約670ppmのアセトンを含むヘリウムガ
スを毎分120mlの流速で流して反応を行った。反応
ガスの分析はガスクロマトグラフを用いて行い、NOの
還元分解率は生成した窒素の収率から求め、結果を実施
例1として表1に示した。
【0091】実施例2,3 (実施例2)硝酸銀(AgNO)を1.58gとした
以外は実施例1と同様にして、銀含有シリカを得た。こ
のときのシリカに対する銀の含有量は、金属銀として
2.0wt%であった。
【0092】(実施例3)硝酸銀(AgNO)を3.
95gとした以外は実施例1と同様にして、銀含有シリ
カを得た。このときのシリカに対する銀の含有量は、金
属銀として5.0wt%であった。
【0093】(本発明の触媒の調製)上記のようにして
調製した銀含有シリカ0.2gとアルミナ(水沢化学社
製商品名:ネオビードGB−45)0.4gを乳鉢中で
粉砕混合し、銀含有シリカとアルミナからなる本発明の
触媒を調製した。
【0094】(NOxの除去反応)上記のようにして得
られた本発明の触媒を用い、実施例1と同様にしてNO
の還元反応を行った結果を、実施例2、3としてそれぞ
れ表1に示した。
【0095】実施例4〜6 (実施例4,5)実施例2で調製した2.0wt%銀含
有シリカのアルミナ(水沢化学社製商品名:ネオビード
GB−45)0.4gへの混合量を、実施例4では0.
05g、実施例5では0.1gとした以外は実施例2と
同様にして、NO還元反応を行った。この結果を、実施
例4,5としてそれぞれ表2に示した。
【0096】(実施例6) (銀含有ジルコニアの調製)硝酸銀(AgNO)0.
79gを蒸留水15gに溶解し、この水溶液をジルコニ
ア(第一希元素社製)50gに含浸させ、一昼夜放置し
た。放置後、エバポレーターにて100℃で減圧乾燥し
た後、空気気流中600℃で3時間焼成し、銀含有ジル
コニアを得た。このときのジルコニアに対する銀の含有
量は、金属銀として1.0wt%であった。
【0097】(本発明の触媒の調製)上記のようにして
調製した1wt%銀含有ジルコニア0.2gとアルミナ
(水沢化学社製商品名:ネオビードGB−45)0.4
gを乳鉢中で粉砕混合し、銀含有ジルコニアとアルミナ
からなる本発明の触媒を調製した。
【0098】(NOxの除去反応)上記のようにして得
られた本発明の触媒を用い、実施例1と同様にして、N
O還元反応を行った。この結果を、実施例6として表2
に示した。
【0099】比較例1,2 (比較例1)触媒としてアルミナ(水沢化学社商品名:
ネオビードGB−45)単独を用い、実施例1と同様に
してNO還元反応を行った。この結果を、比較例1とし
て表3に示した。 (比較例2)触媒としてアルミナ(水沢化学社商品名:
ネオビードGB−45)にシリカを0.2g混合させた
シリカ混合アルミナ触媒を用い、実施例1と同様にして
NO還元反応を行った。この結果を、比較例2として表
3に示した。
【0100】比較例3〜5 (比較例3)触媒として1wt%銀含有シリカ0.4g
を用い、実施例1と同様にしてNOの還元反応を行っ
た。この結果を、比較例3として表4に示した。
【0101】(比較例4)触媒として1wt%銀含有ジ
ルコニア0.4gを用い、実施例1と同様にしてNOの
還元反応を行った。この結果を、比較例4として表4に
示した。
【0102】(比較例5)触媒として1wt%銀含有ア
ルミナを用い、実施例1と同様にしてNOの還元反応を
行った。この結果を、比較例5として表4に示した。
【0103】実施例7 還元剤としてエタノールを約1000ppm用いた以外
は実施例1と同様にして、NOの還元反応を行った。こ
の結果を、実施例7として表5に示した。
【0104】比較例6 触媒としてアルミナを用いた以外は実施例7と同様にし
て、NOの還元反応を行った。この結果を、比較例6と
して表5に示した。
【0105】表1〜5から明らかなように、銀を含有し
たシリカまたはジルコニアをアルミナに物理的に混合し
てなる本発明の触媒は、還元剤にアセトンを用いた場合
でも、エタノールを用いた場合でも、アルミナ単独を触
媒とした場合に比して、より低温で高いNOx還元除去
性能が得られることが分かる。また、銀を直接含有させ
たアルミナ触媒と比較した場合にも、より低温では、銀
含有シリカをアルミナに混合してなる本発明の触媒が優
れていることが分かる。さらに、含有させる銀の量も、
直接含有させる場合に比して、少ない量であっても、高
いNOx還元除去効果を奏することが分かる。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】実施例8 アルミナとして日揮化学社商品名N612Nを用いる以
外は実施例1と同様にして、NOの還元反応を行った。
この結果を、実施例8として表6に示した。
【0112】参考例1 アルミナとして住友化学社商品名KHA−46を用いた
以外は実施例1と同様にして、NOの還元反応を行っ
た。この結果を、参考例1として表6に示した。
【0113】表6から、不純物としてアルカリ金属若し
くはアルカリ土類金属を多く含む参考例1に示すアルミ
ナを使用する場合、実施例8に示す高純度のアルミナを
使用する場合に比して、NO還元除去率が低下すること
は明らかである。
【0114】
【表6】
【0115】実施例9 アルミナとして住友化学社商品名NK−346を用した
以外は実施例8と同様にして、NOの還元反応を行っ
た。この結果を、実施例9として表7に示した。
【0116】実施例10 アルミナとして水沢化学社商品名ネオビードを用いた以
外は実施例8と同様にして、NOの還元反応を行った。
この結果を、実施例10として表7に示した。
【0117】参考例2 アルミナとして住友化学社商品名KHS−46を用いた
以外は実施例8と同様にして、NOの還元反応を行っ
た。この結果を、参考例2として表7に示した。
【0118】表7より、80Å以下の径を有する細孔が
形成する細孔容積も、また全体の細孔容積も、参考例2
に比して大きい実施例9,10に示すアルミナを使用す
る場合、良好なNOx除去還元性能を示すことは明らか
である。
【0119】
【表7】
【0120】実施例11 還元剤としてプロピレン約1000ppmを用いた以外
は実施例1と同様にして、NOの還元反応を行った。こ
の結果を、実施例11として表8に示した。
【0121】比較例7 還元剤としてプロピレン約1000ppmを用いた以外
は比較例6と同様にして、NOの還元反応を行った。こ
の結果を、比較例7として表8に示した。
【0122】表8から明らかなように、還元剤としてプ
ロピレンを用いた反応系においても、銀含有ジルコニア
をアルミナに物理的に混合してなる本発明の触媒は、ア
ルミナ単独を触媒とした場合に比して、より低温で高い
NOx還元除去性能が得られることが分かる。
【0123】
【表8】
【0124】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
酸素が過剰に存在する酸化雰囲気において、水蒸気が存
在していても、効率的に、すなわち反応条件によって
は、ほぼ完全に排ガス中のNOxを除去することができ
る。これは、本発明における銀・銀化合物含有シリカ・
ジルコニアおよびアルミナからなる触媒が、炭化水素類
・含酸素化合物の適度な酸化を促し、酸素と炭化水素類
・含酸素化合物との反応よりも、NOxと炭化水素類・
含酸素化合物との反応を優先的に促進させるためであ
る。このように、本発明は、ディーゼル機関排ガスをは
じめ、種々の設備からの排ガス中から効率よくNOxを
除去することができ、工業的価値が極めて高いものであ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/36 102 B (71)出願人 000105567 コスモ石油株式会社 東京都港区芝浦1丁目1番1号 (74)上記3名の代理人 弁理士 久保田 千賀志 (外 1名) (72)発明者 田畑 光紀 埼玉県幸手市権現堂1134−2 (72)発明者 吉成 知博 埼玉県浦和市元町3−32−25−201 (72)発明者 土田 裕志 神奈川県川崎市川崎区京町2−24−6− 408 (72)発明者 宮本 勝見 埼玉県北葛飾郡鷲宮町鷲宮1−11−17 (72)発明者 浜田 秀昭 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 伊藤 建彦 茨城県つくば市東1丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過剰の酸素が存在する酸化雰囲気中、炭
    化水素類若しくは含酸素化合物の少なくとも1種の存在
    下、アルミナ、および銀若しくは銀化合物の少なくとも
    1種を含有するシリカ若しくはジルコニアの少なくとも
    1種からなる触媒に、窒素酸化物を含む排ガスを接触さ
    せることを特徴とする窒素酸化物の接触還元除去方法。
  2. 【請求項2】 アルミナが、 ア)アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の少なくと
    も1種の含有量が0.5wt%以下で、 イ)80Å以下の径を有する細孔により形成される細孔
    容積が0.26cm・g−1以上で、かつ全体の細孔
    容積が0.48cm・g−1以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の窒素酸化物の接触還元除去方法。
  3. 【請求項3】 含酸素化合物が、エタノール若しくはア
    セトンの一方または双方であることを特徴とする請求項
    1,2に記載の窒素酸化物の接触還元除去方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6284614B1 (en) 1998-08-31 2001-09-04 Nec Corporation Method of manufacturing semiconductor device in which damage to gate insulating film can be reduced
US6703285B2 (en) 2002-05-27 2004-03-09 Oki Electric Industry Co., Ltd. Method for manufacturing capacitor structure, and method for manufacturing capacitor element

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