JPH07240022A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07240022A
JPH07240022A JP3001994A JP3001994A JPH07240022A JP H07240022 A JPH07240022 A JP H07240022A JP 3001994 A JP3001994 A JP 3001994A JP 3001994 A JP3001994 A JP 3001994A JP H07240022 A JPH07240022 A JP H07240022A
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JP
Japan
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magnetic
benzene
bis
magnetic layer
weight
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Withdrawn
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JP3001994A
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English (en)
Inventor
Takahiro Miyazaki
孝弘 宮崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP3001994A priority Critical patent/JPH07240022A/ja
Publication of JPH07240022A publication Critical patent/JPH07240022A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 磁気記録媒体において、磁性層あるいはバッ
クコート層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベ
ンゼンを添加する。 【効果】 磁性層,バックコート層の強度を強くでき、
また、磁性層表面と、ベースフィルム表面または磁性層
表面間の離型性を向上させ、巻いた状態で保存している
間に磁性層表面に粘着物が付着するのが防止される。し
たがって、短波長の記録再生システムに採用すべく、磁
性粉末の微細化,磁性層表面の鏡面化を図った場合でも
良好な走行耐久性が得られ、しかも長期間保存後にもド
ロップアウトがほとんど発生せず、良好な記録再生特性
を得ることが可能である。なお、このような効果は、結
合剤としてエポキシを有する塩化ビニル系共重合体を用
いることで一層向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体に関する
ものであり、特に、走行耐久性,保存特性に優れた磁気
記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オーディオテープ,ビデオテープ等の磁
気テープとしては、ポリエステルフィルム等の非磁性支
持体上に磁性粉末や樹脂結合剤,有機溶剤,各種添加剤
等を混合分散して調製される強磁性塗料を塗布すること
で磁性層が形成された,いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が、生産性,汎用性に優れることから主流を占めている
のが現状である。
【0003】このような塗布型の磁気記録媒体において
は、磁性粉末の特性も勿論重要であるが、磁性粉末とと
もに磁性層を構成する他の成分,例えば結合剤や硬化
剤,添加剤の特性も、走行耐久性,保存特性に大きく影
響を与えることから重要である。例えば、上記塗布型の
磁気記録媒体では、従来より、磁性層に非磁性顔料を添
加することで磁気ヘッドに対する研磨力を適正化した
り、磁性層にポリイソシアネート系硬化剤を添加し、バ
インダーの水酸基とウレタン化反応させて架橋構造を形
成することで、磁気ヘッドやガイド等の摺動部材に対す
る走行性,耐久性を確保するようにしている。さらに、
保存中に、ドロップアウトの発生因子が磁性層表面に付
着することのないように、バインダーや硬化剤の選定,
硬化処理の改良等によって磁性層表面の粘着性を制御す
るようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、ビデオ
テープレコーダの分野においては、さらなる高画質化が
望まれ、S−VHS方式,ハイ8方式に代表されるよう
に記録波長は益々短波長化する方向にある。記録波長が
短波長化していくと、磁性層に付着する極めて小さい付
着物でもドロップアウトの原因となる。例えば、巻き戻
した状態で保存している間に、バックコート層から磁性
層表面に移行し、粘着したバックコート層由来の微小な
粘着物であっても、十分にドロップアウトの発生因子に
なり得る。
【0005】また、高画質化を図るには、磁気テープに
ついてもそれに対応した改良が必要になり、例えば強磁
性粉末は微細化され、磁性層表面は鏡面化される。しか
し、磁性粉末の微細化,磁性層表面の鏡面化を図ると、
走行に際して磁性層の摺動部材に対する接触面積が大き
くなり、磁性層と摺動部材とが貼り付くようになる。そ
れにより、走行に対して媒体にかかる負荷は格段に大き
なものになる。
【0006】このため、非磁性支持体の磁性層が形成さ
れている側とは反対側にカーボン等の非磁性顔料を主体
とするバックコート層を設ける等の走行耐久性を確保す
るための工夫がなされているが、これまでに提案されて
いる磁性層,バックコート層の組成では、上述のような
負荷には耐えられなくなっており、さらなる組成の改善
が求められている。
【0007】そこで、本発明は、このような従来の実情
に鑑みて提案されたものであり、走行耐久性,保存特性
に優れ、記録波長の短波長化に対応可能な磁気記録媒体
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、磁性層ある
いはバックコート層にビス(アミノプロピルジメチルシ
リル)ベンゼンを添加することで、従来以上に走行耐久
性及び保存特性を向上させることができることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本願第1の発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを主体とす
る磁性層が形成されてなる磁気記録媒体において、上記
磁性層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼ
ンが添加されていることを特徴とするものである。ま
た、磁性層に添加されているビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量が、磁性粉100重量部
に対して0.5〜6重量部であることを特徴とするもの
である。
【0010】さらに、磁性層を構成する結合剤の少なく
とも一部が、エポキシを0.2〜1.0mmol/g含
有する塩化ビニル系共重合体であることを特徴とするも
のである。さらに、本願第2の発明の磁気記録媒体は、
非磁性支持体上に、磁性層が形成され、磁性層が形成さ
れている側とは反対側に非磁性粉末または磁性粉末と結
合剤を主体とするバックコート層が形成されてなる磁気
記録媒体において、上記バックコート層にビス(アミノ
プロピルジメチルシリル)ベンゼンが添加されているこ
とを特徴とするものである。
【0011】さらに、バックコート層に添加されている
ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの添加
量が、結合剤100重量部に対して4.0〜20重量部
であることを特徴とするものである。さらに、バックコ
ート層を構成する結合剤の少なくとも一部が、エポキシ
を0.2〜1.0mmol/g含有する塩化ビニル系共
重合体であることを特徴とするものである。
【0012】本願第1の発明が適用される磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを主体とす
る磁性層が形成されてなる,いわゆる塗布型の磁気記録
媒体である。
【0013】本発明では、このような磁気記録媒体の磁
性層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
を添加することで、走行耐久性,保存特性の向上を図る
こととする。
【0014】磁性層に添加するビス(アミノプロピルジ
メチルシリル)ベンゼンは、化1の構造式で示されるも
のである。
【0015】
【化1】
【0016】このようなビス(アミノプロピルジメチル
シリル)ベンゼンを磁性層に添加すると、磁性層の強度
が高まって、走行耐久性が向上する。また、磁性層表面
のベースフィルム表面またはバックコート層表面に対す
る離形性が向上し、巻いた状態で保存している間に、磁
性層表面とベースフィルム表面またはバックコート層表
面が粘着し、一度ベースフィルム表面に付着した磁性層
由来の粘着物が磁性層表面に再付着するのが防止された
り、バックコート層由来の粘着物が磁性層表面に付着す
るのが防止される。
【0017】この磁性層に添加するビス(アミノプロピ
ルジメチルシリル)ベンゼンの添加量は、磁性粉100
重量部に対して0.5〜6重量部が好ましい。ビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの添加量が少な
過ぎると、走行耐久性,保存特性に対する効果が小さ
く、逆に多過ぎる場合には、この効果が飽和してしまっ
たり、あるいは却って低下してしまう虞れがある。
【0018】上記磁性層は、少なくとも磁性粉末,結合
剤そして上記ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベ
ンゼンで構成されるが、この結合剤の一部または全部
を、エポキシを0.2〜1.0mmol/gなる量で含
有する塩化ビニル系共重合体とすると、走行耐久性がよ
り一層向上する。
【0019】上記塩化ビニル系樹脂は、基本的には、化
2に示す一般式の共重合体として表すことができる。
【0020】
【化2】
【0021】上記Xを有する単量体としては、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビニルアルコー
ル、アリルアルコール、3−ブテン−1−オールなどの
不飽和アルコール等が挙げられる。
【0022】また、上記のYを有する単量体としては、
アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテ
ルなどの不飽和アルコールのグリシジルエーテル類、グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グ
リシジル−p−ビニルベンゾエート、メチルグリシジル
イタコネート、グリシジルエチルマレート、グリシジル
ビニルスルホエート、グリシジル(メタ)アリルスルホ
ネートなどの不飽和酸のグリシジルエステル類、ブタジ
エンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンモノオキサ
イド、2−メチル−5,6−エポキシヘキセンなどのエ
ポキシドオレフィン類等が挙げられる。
【0023】更に、上記のZは、−SO3 M、−COO
M、−OSO3 M、−PO(OM) 2 (但し、Mは水素
原子、又はNa、Li、K等のアルカリ金属原子を表
す。)、−NR2 、−N+ 3 ・X- (但し、Rはメチ
ル,エチル等のアルキル基、XはBr,Clを表す。)
及び、
【0024】
【化3】
【0025】からなる群より選ばれた原子又は基を表
し、結合剤分子鎖中に複数存在しているときは互いに同
一であっても異なっていてもよい(即ち、上記した各官
能基をすべて同じであってもよいし、或いは種類の異な
る官能基を組み合わせてもよく、この組み合わせを少な
くとも一部分に採用することもできる。)。
【0026】上記の他、共重合可能な単量体として、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニル
エステル;メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエ
ーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;
塩化ビニリデン、弗化ビニリデンなどのビニリデン;無
水マレイン酸のごとき不飽和カルボン酸無水物;マレイ
ン酸ジエチル、マレイン酸ブチルベンジル、マレイン酸
−ジ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸ジメチル、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
−2−ヒドロキシプロピルなどの不飽和カルボン酸エス
テル;エチレン、プロピレンなどのオレフィン;(メ
タ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳
香族ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、塩化
ビニル系樹脂を他の樹脂と混合したときの相溶性や軟化
点等を調節する作用がある。
【0027】以上の塩化ビニル系共重合体の各単量体
は、重合開始剤、懸濁剤、乳化剤、分子量調整剤等と共
に、重合開始時に一括して重合系に添加してもよいし、
重合中に分割して添加してもよい。この場合、平均重合
度は、得られる磁性層の耐摩耗性、塗料粘度及び磁性粉
の分散性を考慮して、100〜900であるのがよく、
200〜500が更によい。
【0028】本発明においては、結合剤として上記塩化
ビニル系樹脂の他に、要求される物性に応じて他の樹脂
を選び、混合して用いてもよい。
【0029】この場合、使用される樹脂の種類として
は、通常この種の媒体の分野において用いられている樹
脂材料であれば特に限定されない。例えば以上に例示し
たもの以外の塩化ビニル系共重合体や、ポリエステル樹
脂、ポリエステル系やポリエーテル系さらにポリカーボ
ネート系等のポリウレタン、ニトロセルロース等のセル
ロース誘導体、フェノキシ系樹脂、アクリル酸エステル
・アクリロニトリル共重合体等のアクリル酸エステル系
共重合体、塩化ビニリデン系共重合体、スチレンブタジ
エン系共重合体等が例示される。
【0030】さらに、これら樹脂は、その分子鎖に−S
3 M,−COOM,−OSO3 M,−PO(OM)2
(但し、Mは水素またはNa,Li,K等のアルカリ金
属原子を表す。)及び−NR2 ,−NR3 ・X(但し、
Rはメチル,エチル等のアルキル基、XはBr,Cl等
をそれぞれ表す。)等より選ばれる極性基を1種以上有
するものであってもよい。
【0031】但し、上記塩化ビニル系共重合体と他の樹
脂を混合する場合、上記塩化ビニル系共重合体の結合剤
中の配合比は25重量%以上であることが好ましい。塩
化ビニル系共重合体の配合比が25重量%未満である場
合には、耐久性向上等の効果はある程度認められるもの
の急激に小さくなり、混合する意味が薄れる。
【0032】また、結合剤に架橋構造を形成するため
に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加してもよ
い。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシア
ネート類、及びこれらのイソシアネート類とトリメチロ
ールプロパン等の多価アルコールとの付加体または、こ
れらのイソシアネート類の縮合生成物等を使用すること
ができる。
【0033】磁性層に含有させる強磁性粉末としては、
Fe、Co、Ni等の金属やこれらを含んだ合金からな
る強磁性金属粉末,バリウムフェライト等の板状六方晶
フェライト及びFe2 3 ,コバルト含有γ−Fe2
3 ,コバルト含有γ−Fe34 ,CrO2 等が例示さ
れる。
【0034】このような成分よりなる上記磁性層を形成
するには、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼン,結合剤,磁性粉末を有機溶剤中に分散して磁性塗
料を調製し、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布,乾
燥する。この磁性塗料を調製するに際してビス(アミノ
プロピルジメチルシリル)ベンゼンは、塗布の直前に他
の塗料成分と混合することが特に好ましいが、これに限
らない。磁性塗料の混合分散の初期,途中,終了時のい
ずれに添加されてもよい。
【0035】磁性層には、これら成分の他に必要に応じ
て、潤滑剤,研磨剤,カーボンブラック等の添加剤が添
加される。
【0036】潤滑剤としては、ミリスチン酸,ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸やそれらのエステル化合物、シリコ
ンオイル、アルキル燐酸エステル、パーフロロポリエー
テル等の含弗素化合物等が例示される。これらの磁性層
への添加は、磁性塗料の混合分散の初期,途中,終了時
のいずれで行ってもよい。また磁性層が形成された後に
トップコートされてもよい。
【0037】研磨剤としては、アルミナ,酸化クロム,
酸化チタン,炭化けい素,ダイヤモンド微粒子,コダン
ダム等が例示される。これらは粉体状態で磁性塗料に添
加してもよいし、強磁性粉末とは別に分散させてスラリ
ー状態とし、このスラリー状態で磁性塗料に添加しても
良い。添加時は、磁性塗料の混合分散の初期,途中,終
了時のいずれであってもよい。
【0038】なお、磁性層は、単層であってもよいし2
層以上から成ってもよい。
【0039】上記磁性層を形成する非磁性支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ
ース類、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート類、ポ
リスルフォン等の高分子基板やアルミニウム合金、チタ
ン合金等の金属基板、セラミック基板、ガラス基板等が
例示される。
【0040】これら非磁性支持体上には、カーボンブラ
ック,酸化チタン,炭酸カルシウム,アルミナ,α−酸
化鉄等の非磁性粉末と結合剤とを主体とする下塗り層を
設けてもよい。
【0041】以上が本願第1の発明の基本的な構成であ
るが、磁気記録媒体の構成はこれに限らず、例えば非磁
性支持体の磁性層が形成されている側とは反対側に非磁
性粉末または磁性粉末と、結合剤を主体とするバックコ
ート層を形成してもよい。バックコート層に用いる非磁
性粉末としては、カーボンブラックを主体とするのが一
般的であるが、炭酸カルシウム,アルミナ,α−酸化
鉄,酸化チタン等も例示される。また、磁性粉末や結合
剤,硬化剤,潤滑剤としては、磁性層に含有されるもの
として例示したものがいずれも使用可能である。なお、
これら構成材料は1種単独または複合して含有されてい
てもいずれでもよい。
【0042】そして、さらに、本願第2の発明では、非
磁性支持体上に、磁性層が形成され、磁性層が形成され
ている側とは反対側にバックコート層が形成されてなる
磁気記録媒体において、バックコート層の方に上記ビス
(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加する
こととする。
【0043】バックコート層を有するタイプの磁気記録
媒体において、バックコート層にビス(アミノプロピル
ジメチルシリル)ベンゼンを添加するとバックコート層
の強度が高まって、走行耐久性が向上する。また、バッ
クコート層表面と磁性層表面の離型性が向上し、巻いた
状態で保存している間に、磁性層表面とバックコート層
表面が粘着し、バックコート層由来の粘着物が磁性層表
面に付着するのが防止される。さらに、磁性層由来の粘
着物がバックコート層表面に付着するのが防止された
り、磁性層由来の粘着物がバックコート層表面に付着し
てしまった場合でも、その粘着物が磁性層表面に再付着
するのが防止される。
【0044】このバックコート層に添加するビス(アミ
ノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの添加量は、バッ
クコート層に用いる結合剤100重量部に対して4.0
〜20重量部であることが好ましい。ビス(アミノプロ
ピルジメチルシリル)ベンゼンの添加量が少な過ぎると
保存特性に対する効果が小さく、逆に多過ぎる場合に
は、この効果が飽和してしまったり、あるいは却って低
下してしまう虞れがある。
【0045】上記バックコート層は、少なくとも非磁性
粉末または磁性粉末と、結合剤そして上記ビス(アミノ
プロピルジメチルシリル)ベンゼンで構成されるが、こ
の結合剤の一部または全部を、エポキシを0.2〜1.
0mmol/gなる量で含有する塩化ビニル系共重合体
とすると、保存特性がより一層向上する。
【0046】ここで、上記塩化ビニル系共重合体の配合
比は、25重量%以上が好ましい。塩化ビニル系共重合
体の量が25重量%未満である場合には、耐久性向上等
の効果がある程度認められるものの、急激に小さくな
り、混合する意味が薄れる。
【0047】なお、塩化ビニル系共重合体、この塩化ビ
ニル系共重合体と組み合わせて用いる結合剤成分及び硬
化剤としては、第1の発明において、磁性層に含有させ
るものとして例示したものがいずれも使用可能である。
【0048】バックコート層に含有させる非磁性粉末と
しては、カーボンブラックを主体とするのが一般的であ
るが、炭酸カルシウム,アルミナ,α−酸化鉄,酸化チ
タン等の顔料を配合するようにしても良し、カーボンブ
ラックを含ませず、これらの顔料が単独または複合で含
有されていても良い。また、磁性粉末としては、第1の
発明において、磁性層に含有させるものとして例示した
ものがいずれも使用可能である。
【0049】なお、非磁性粉末あるいは磁性粉末と結合
剤の配合比率は、粉末1重量部に対して結合剤0.2〜
2.0重量部が好ましい。最適比率は、粉末の種類によ
って異なるがカーボンブラックを主体とする場合には、
非磁性粉末1重量部に対して結合剤0.5〜1.0重量
部が最も好ましい。
【0050】このような構成のバックコート層を形成す
るには、非磁性粉末あるいは磁性粉末,結合剤,潤滑剤
等の添加剤,そしてビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンを有機溶剤中に分散してバックコート塗料
を調製し、このバックコート塗料を非磁性支持体上に塗
布,乾燥する。このバックコート塗料を調製するに際し
てビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンは、
塗布の直前に他の塗料成分と混合することが好ましい
が、これに限らない。バックコート塗料の混合分散の初
期,途中,終了時のいずれに添加されてもよい。
【0051】さらに、バックコート層には、これらの成
分の他に必要に応じて、潤滑剤,研磨剤等の添加剤が添
加される。これら添加剤としても、やはり第1の発明に
おいて磁性層に含有させるものとして例示したものがい
ずれも使用可能である。
【0052】以上のようなバックコート層が形成されて
いる側とは反対側の面には磁性層が形成される。この磁
性層は、強磁性粉末と結合剤とを主体とする塗布型の磁
性層であってもよいし、金属薄膜よりなる磁性層であっ
てもよい。
【0053】塗布型の磁性層に用いる磁性粉末,結合
剤,各種添加剤としては、第1の発明において例示した
ものがいずれも使用可能である。但し、この場合には、
バックコート層にビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンが添加されているので、磁性層の方には特
に添加しなくとも良い。
【0054】金属薄膜に用いる強磁性金属粉末として
は、Fe,Co,Ni等の金属,または、Fe,Co,
Ni,Cr,Cu,Pr,Mn,Pt,Y,La等のい
ずれかからなる強磁性合金が例示される。
【0055】なお、これら磁性層は、単層であってもよ
いし2層以上から成ってもよい。また、磁性層はバック
コート層を形成する前に形成しても、バックコート層を
形成した後に形成するようにしてもいずれでも良い。
【0056】
【作用】非磁性支持体上に磁性層が形成されてなる磁気
記録媒体において、磁性層あるいはバックコート層にビ
ス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加す
ると、走行耐久性が向上する。
【0057】また、磁性層表面と、ベースフィルム表面
またはバックコート層表面間の離型性が改善され、巻い
た状態で保存している間に磁性層表面とバック面が粘着
し、磁性層表面に粘着物が付着するのが防止される。す
なわち、バックコート層を有しない場合には、一度ベー
スフィルム表面に付着した磁性層由来の粘着物が磁性層
表面に再付着するのが防止される。さらに、バックコー
ト層を有する場合には、磁性層表面とバックコート層表
面が粘着し、バックコート層由来の粘着物が磁性層表面
に付着するのが防止される。
【0058】このように走行耐久性,保存特性が改善さ
れるのは、以下の理由によるものと考えられる。
【0059】すなわち、磁性層あるいはバックコート層
にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添
加すると、該ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベ
ンゼンの末端のアミノ基が、硬化剤のイソシアネートや
結合剤のエポキシ基と反応する。これによって架橋性が
高められ、磁性層あるいはバックコート層の強度が向上
する。
【0060】また、ビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンのジメチルシリル基により磁性層表面と、
ベースフィルム表面またはバックコート層表面との離型
性が高められる。これによって、バックコート層を有し
ない場合に、一度ベースフィルム表面に付着した磁性層
由来の粘着物が磁性層表面に再付着するのが防止され
る。また、バックコート層を有する場合には、バックコ
ート層由来の粘着物が磁性層表面に付着するのが防止さ
れ、いずれにしても保存特性が改善される。
【0061】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について、実
験結果に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限
定されるものではないことは言うまでもない。
【0062】先ず、本実施例において、用いた強磁性粉
末(強磁性粉末a,強磁性粉末b),結合剤(塩化ビニ
ル系共重合体A〜塩化ビニル系共重合体E、ポリエステ
ル系ポリウレタン樹脂a,ポリウレタン樹脂b)及びカ
ーボンブラック(カーボンA〜カーボンD)の特性を表
1〜表4にそれぞれ示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】本実施例では、これら強磁性粉末,結合
剤,カーボンブラックを用いて磁気テープを作成し、走
行耐久性及び保存特性を評価した。
【0068】実施例1−1 本実施例は、磁性層(磁性粉末:メタル磁性粉)にビス
(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加した
例である。
【0069】先ず、下記の組成に準じて各磁性塗料成分
を秤り取り、サンドミルにて分散した。 強磁性粉末A(メタル磁性粉) 100重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 10重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂a 10重量部 アルミナ粉末 8重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1.5重量部 ステアリン酸ブチル 1.5重量部 溶剤 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0070】この分散物に、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンを1.0重量部,硬化剤(日本ポ
リウレタン社製,コロネートL)を2重量部添加し、得
られた磁性塗料を厚さ7.5μmのベースフィルム上に
乾燥後の厚さが3μmになるように塗布した。次いで、
この磁性塗膜に対して、磁場配向処理を行った後、乾燥
させ巻き取り、さらにカレンダー処理,硬化処理を行う
ことで磁性層を形成した。
【0071】そして、ベースフィルムの磁性層を形成し
た側とは反対側の面にカーボンブラック及びポリエステ
ルポリウレタンとニトロセルロースを主体としたバック
コート層を厚さが0.6μmとなるように形成した。こ
のようにして磁性層,バックコート層が形成された広幅
テープを8ミリ幅にスリットしてサンプルテープとし、
8ミリカセットに組み込んだ。
【0072】実施例1−2 磁性塗料分散物に添加するビス(アミノプロピルジメチ
ルシリル)ベンゼンの添量を0.2重量部としたこと以
外は実施例1−1と同様にしてサンプルテープを作製
し、8ミリカセットに組み込んだ。
【0073】実施例1−3 磁性塗料に添加するビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの添加量を0.5重量部としたこと以外は
実施例1−1と同様にしてサンプルテープを作製し、8
ミリカセットに組み込んだ。
【0074】実施例1−4 磁性塗料に添加するビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの添加量を3.0重量部としたこと以外は
実施例1−1と同様にしてサンプルテープを作製し、8
ミリカセットに組み込んだ。
【0075】実施例1−5 磁性塗料に混合する結合剤成分の組成を、以下のように
変えたこと以外は実施例1−1と同様にしてサンプルテ
ープを作製し、8ミリカセットに組み込んだ。 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 15重量部 ポリエステル系ポリウレタン系樹脂a 5重量部
【0076】実施例1−6 磁性塗料に混合する結合剤成分の組成を、以下のように
変えたこと以外は実施例1−1と同様にしてサンプルテ
ープを作製し、8ミリカセットに組み込んだ。 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 5重量部 ポリエステル系ポリウレタン系樹脂a 15重量部
【0077】実施例1−7 塩化ビニル系共重合体Aの代わりに塩化ビニル系共重合
体Aよりもエポキシ含有量の多い塩化ビニル系共重合体
Bを磁性塗料に混合したこと以外は実施例1−1と同様
にしてサンプルテープを作製し、8ミリカセットに組み
込んだ。
【0078】実施例1−8 塩化ビニル系共重合体Aの代わりに塩化ビニル系共重合
体Aよりもエポキシ含有量の少ない塩化ビニル系共重合
体Cを磁性塗料に混合したこと以外は実施例1−1と同
様にしてサンプルテープを作製し、8ミリカセットに組
み込んだ。
【0079】実施例1−9 塩化ビニル系共重合体Aの代わりにエポキシ基を含まな
い塩化ビニル系共重合体Dを磁性塗料に混合したこと以
外は実施例1−1と同様にしてサンプルテープを作製
し、8ミリカセットに組み込んだ。
【0080】比較例1−1 磁性塗料にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼンを添加しないこと以外は実施例1−1と同様にして
サンプルテープを作製し、8ミリカセットに組み込ん
だ。
【0081】比較例1−2 磁性塗料にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼンを添加しないこと以外は実施例1−7と同様にして
サンプルテープを作製し、8ミリカセットに組み込ん
だ。
【0082】以上のようにして作製されたサンプルテー
プについて、繰り返し走行によるC/Nの劣化,スチル
時間を以下のようにして測定した。
【0083】C/N劣化:Hi−8 モードでの記録・再
生可能な8ミリビデオデッキを用い、温度40℃,相対
湿度80%環境下、テープの10分間に相当する部分に
7MHzの信号を入力した。そして、リミッター前に検
出した7MHzでの出力と、そこから−1MHzのノイ
ズとの差を求めて、初期C/Nとした。その後、同一環
境下で、7MHzの信号を記録した10分間の部分につ
いて再生−巻き戻しサイクルを200回繰り返し、この
繰り返し走行した部分について、初期C/Nの場合と同
様にC/Nを求めた。このようにして求められた繰り返
し走行後のC/Nの初期C/Nに対するの劣化量をC/
N劣化(dB)とした。
【0084】スチル時間:長時間スチルが測定できるよ
うに改造した8ミリビデオデッキを用い、温度45℃,
相対湿度80%の環境下、スチル再生し、RF出力が初
期から3dB減衰するまでの時間を求め、スチル時間と
した。
【0085】測定されたC/N劣化とスチル時間の3巻
の平均値を表5に示す。
【0086】
【表5】
【0087】表5からわかるように、磁性層にビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加した実施
例1−1〜実施例1−9のサンプルテープは、ビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加していな
い比較例1−1,比較例1−2のサンプルテープに比べ
てC/N劣化が小さくスチル時間も長い。このことか
ら、磁性層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベ
ンゼンを添加することは、走行耐久性を向上させる上で
有効であることがわかる。
【0088】ここで、さらにデータを詳細に検討するた
めに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
の添加量を変化させた実施例1−1〜実施例1−4のサ
ンプルテープを比較すると、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの効果はその添加量に依存するこ
とがわかる。すなわち、実施例1−2のようにビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの少量添加だけ
では、その効果は不足し、C/N劣化,スチル時間を十
分に改善するには磁性粉100重量部に対して少なくと
も0.5重量部以上のビス(アミノプロピルジメチルシ
リル)ベンゼンを添加する必要があることがわかる。
【0089】また、結合剤成分として混合する塩化ビニ
ル系共重合体のエポキシ含有量を変化させた実施例1−
7〜実施例1−9のサンプルテープを比較すると、エポ
キシを有しない共重合体を用いた実施例1−9のサンプ
ルテープに比べてエポキシ基を有する共重合体を用いた
実施例1−7,実施例1−8の方がC/N劣化,スチル
時間ともに良好な値になっている。このことから、塩化
ビニル系共重合体中のエポキシは、ビス(アミノプロピ
ルジメチルシリル)ベンゼンの効果の発現に関与してお
り、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンと
エポキシを有する塩化ビニル系共重合体を組み合わせる
ことにより、走行耐久性の一層の向上が図れることがわ
かる。なお、塩化ビニル系共重合体のエポキシ含有量の
最適範囲は、0.2〜1.0mmol/gである。
【0090】実施例2−1 本実施例は磁性層(磁性粉末:コバルト被着酸化鉄)に
ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加
した例である。
【0091】まず、厚さ14.0μmのベースフィルム
上に厚さ0.6μmのカーボンブラック及びポリエステ
ルポリウレタンと塩化ビニル系共重合体を主体とするバ
ックコート層を形成した。
【0092】次に、下記の組成に準じて各磁性塗料成分
を秤り取り、サンドミルにて分散した。 強磁性粉末B(コバルト被着酸化鉄) 100重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体E 20重量部 アルミナ粉末 8重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1.0重量部 ステアリン酸ブチル 1.0重量部 溶剤 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0093】この分散物に、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンを4.0重量部添加し、得られた
磁性塗料を、上記ベースフィルムのバックコート層が形
成されている側とは反対側の面に乾燥後の厚さが4μm
となるように塗布した。次いで、この磁性塗膜に対し
て、磁場配向処理を行った後、乾燥させて巻き取り、さ
らにカレンダー処理、硬化処理を行うことで磁性層を形
成した。そして、このようにしてバックコート層,磁性
層が形成された広幅テープを1/2インチ幅にスリット
してサンプルテープとし、S−VHSカセットに組み込
んだ。
【0094】実施例2−2 磁性塗料に添加するビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの添加量を2.0重量部としたこと以外は
実施例2−1と同様にしてサンプルテープを作成し、S
−VHSカセットに組み込んだ。
【0095】実施例2−3 磁性塗料に添加するビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの添加量を6.0重量部としたこと以外は
実施例2−1と同様にしてサンプルテープを作成し、S
−VHSカセットに組み込んだ。
【0096】実施例2−4 磁性塗料に添加するビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの添加量を8.0重量部としたこと以外は
実施例2−1と同様にしてサンプルテープを作成し、S
−VHSカセットに組み込んだ。
【0097】比較例2−1 磁性塗料にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼンを添加しないこと以外は実施例2−1と同様にして
サンプルテープを作成し、S−VHSカセットに組み込
んだ。
【0098】比較例2−2 ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの代わ
りに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
と同様に末端にアミノ基を有するものの、ジメチルシリ
ル基を有しないなどの点で構造が異なる1,6−ヘキサ
ンジアミンを磁性塗料に添加したこと以外は実施例2−
1と同様にしてサンプルテープを作成し、S−VHSカ
セットに組み込んだ。
【0099】比較例2−3 ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの代わ
りに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
と同様に末端にアミノ基を有するものの、ジメチルシリ
ル基を有しないなどの点で構造が異なるアミノエチルピ
ペラジンを磁性塗料に添加したこと以外は実施例2−1
と同様にしてサンプルテープを作成し、S−VHSカセ
ットに組み込んだ。
【0100】以上のようにして作成したサンプルテープ
について、電磁変換特性,スチル時間,ドロップアウト
保存増加率を評価した。なお、スチル時間は実施例1−
1と同様にして測定し、C/N劣化,ドロップアウト保
存率は以下のようにして測定した。
【0101】C/N劣化:S−VHSビデオデッキを用
い、温度40℃,相対湿度80%環境下、テープの10
分間に相当する部分に6.5MHzの信号を入力した。
そして、リミッター前に検出した6.5MHzでの出力
と、そこから−1MHzのノイズとの差を求めて、初期
C/Nとした。その後、同一の環境下で、6.5MHz
の信号を入力した10分間の部分について再生−巻き戻
しサイクルを200回繰り返し行い、繰り返し走行した
部分について、初期C/Nの場合と同様にC/Nを求め
た。このようにして求められた走行後C/N比の初期C
/Nに対する劣化量をC/N劣化(dB)とした。な
お、ここではカセット3巻について測定し、その平均値
をデータとした。
【0102】ドロップアウト保存増加率:室温下、6.
5MHzの信号を10分間記録し、この記録部分のうち
前半5分間の部分についてドロップアウトを測定した。
次いで、テープを巻き戻し、巻き戻した状態で、温度5
0℃,相対湿度80%環境下、30日間保存した。保存
後、再び室温に戻し、記録部分のうち後半5分間の部分
についてドロップアウトを測定した。そして、保存前の
値を1として保存後のドロップアウトの値を相対値換算
し、ドロップアウトの保存増加率とした。ドロップアウ
トのスレッシュホールドは、−20dB/15μsec
である。なお、ここではカセット5巻について測定し、
その平均値をデータとした。
【0103】以上のようにして測定した各サンプルテー
プのC/N劣化,スチル時間,ドロップアウト保存増加
率を表6に示す。
【0104】
【表6】
【0105】表6からわかるように、磁性層にビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンセンを添加した実施
例2−1〜実施例2−4のサンプルテープは、ビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加していな
い比較例2−1のサンプルテープに比べてC/N劣化が
小さくスチル時間も長い。また、ドロップアウト保存増
加率も小さい値になっている。
【0106】これら実施例2−1〜実施例2−4のサン
プルテープでは、硬化剤が添加されていないにもかかわ
らずこのように良好なデータが得られており、磁性層に
ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加
することは、媒体の走行耐久性,保存特性の向上に極め
て有効であることがわかる。
【0107】しかし、ビス(アミノプロピルジメチルシ
リル)ベンゼンを8.0重量部と多量に添加した実施例
2−4のサンプルテープは、これよりビス(アミノプロ
ピルジメチルシリル)ベンゼン添加量が少ない実施例2
−3のサンプルテープに比べてC/N劣化が大きな値と
なっておりドロップアウト保存増加率も増大している。
このことから、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)
ベンゼンは、磁性粉末100重量部に対して0.5重量
部以上は必要であるが、その上限は6.0重量部程度で
あることがわかる。
【0108】なお、ビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの代わりに、末端にアミノ基を有する点で
は同じであるがジメチルシリル基を有しない化合物を添
加した比較例2−2,比較例2−3のサンプルテープ
は、C/N劣化,スチル特性では良好な値が得られてい
る。しかし、実施例2−1に比べてドロップアウト保存
増加率が大きい。
【0109】このことから、走行耐久性を改善するには
アミノ基が、保存特性を改善するにはジメチルシリル基
が必要であり、両者を併せ持つビス(アミノプロピルジ
メチルシリル)ベンゼンが磁性層に添加するものとして
好適であることがわかる。
【0110】実施例3−1 本実施例は、バックコート層(カーボンブラックA,カ
ーボンブラックBを含有)にビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンを添加した例である。
【0111】先ず、下記の組成に準じて各磁性塗料成分
を秤り取り、サンドミルにて分散した。 磁性層組成 磁性粉末a 100重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体E 15重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂a 5重量部 アルミナ 8重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1.5重量部 ステアリン酸ブチル 1.5重量部 溶剤 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0112】この分散物に、硬化剤(日本ポリウレタン
社製,商品名コロネートL)を3重量部添加し、得られ
た磁性塗料を厚さ7.5μmのベースフィルム上に乾燥
後の厚さが3μmになるように塗布した。次いで、この
磁性塗膜に対して、磁場配向処理を行った後、乾燥させ
て巻き取った。そして、さらにカレンダー処理を施し、
温度60℃,24時間の硬化処理を行うことで磁性層を
形成した。
【0113】次に、下記の組成に準じて各バックコート
塗料成分を秤り取り、サンドミルにて分散した。 バックコート層組成 カーボンブラックA 97重量部 カーボンブラックB 3重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 70重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂b 30重量部 潤滑剤 ステアリン酸ブチル 1.5重量部 溶剤 メチルエチルケトン 200重量部 トルエン 200重量部 シクロヘキサノン 400重量部
【0114】この分散物にビス(アミノプロピルジメチ
ルシリル)ベンゼンを8.0重量部,硬化剤(日本ポリ
ウレタン社製コロネートL)を10重量部添加した。そ
して、得られたバックコート塗料を上記ベースフィルム
の磁性層が形成されている側とは反対側の面に、乾燥後
の厚さが0.6μmとなるように塗布し、温度60℃,
24時間の硬化処理を行うことでバックコート層を形成
した。
【0115】このようにして磁性層,バックコート層が
形成された広幅テープを8ミリ幅にスリットしてサンプ
ルテープとし、NTSCの標準モードで120分記録出
来るだけの長さを8ミリカセットに組み込んだ。
【0116】実施例3−2 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を2.0重量部としたこ
と以外は実施例3−1と同様にしてサンプルテープを作
製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだけ
の長さを8ミリカセットに組み込んだ。
【0117】実施例3−3 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を4.0重量部としたこ
と以外は実施例3−1と同様にしてサンプルテープを作
製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだけ
の長さを8ミリカセットに組み込んだ。
【0118】実施例3−4 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を12.0重量部とした
こと以外は実施例3−1と同様にしてサンプルテープを
作製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだ
けの長さを8ミリカセットに組み込んだ。
【0119】実施例3−5 バックコート塗料に混合する結合剤の組成を以下のよう
に変えたこと以外は実施例3−1と同様にしてサンプル
テープを作製し、NTSCの標準モードで120分記録
出来るだけの長さを8ミリカセットに組み込んだ。 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 40重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂b 40重量部
【0120】実施例3−6 バックコート塗料に混合する結合剤の組成を以下のよう
に変えたこと以外は実施例3−1と同様にしてサンプル
テープを作製し、NTSCの標準モードで120分記録
出来るだけの長さを8ミリカセットに組み込んだ。 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 20重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂b 60重量部
【0121】実施例3−7 塩化ビニル系共重合体Aの代わりに、塩化ビニル系共重
合体Aよりもエポキシの含有量の多い塩化ビニル系共重
合体Bをバックコート塗料に混合したこと以外は実施例
3−1と同様にしてサンプルテープを作製し、NTSC
の標準モードで120分記録出来るだけの長さを8ミリ
カセットに組み込んだ。
【0122】実施例3−8 塩化ビニル系共重合体Aの代わりに、塩化ビニル系共重
合体Aよりもエポキシの含有量の少ない塩化ビニル系共
重合体Cをバックコート塗料に混合したこと以外は実施
例3−1と同様にしてサンプルテープを作製し、NTS
Cの標準モードで120分記録出来るだけの長さを8ミ
リカセットに組み込んだ。
【0123】実施例3−9 塩化ビニル系共重合体Aの代わりに、エポキシを含まな
い塩化ビニル系共重合体Dをバックコート塗料に混合し
たこと以外は実施例3−1と同様にしてサンプルテープ
を作製し、NTSCの標準モードで120分記録出来る
だけの長さを8ミリカセットに組み込んだ。
【0124】比較例3−1 バックコート塗料にビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンを添加しないこと以外は実施例3−1と同
様にしてサンプルテープを作製し、NTSCの標準モー
ドで120分記録出来るだけの長さを8ミリカセットに
組み込んだ。
【0125】比較例3−2 バックコート塗料にビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンを添加しないこと以外は実施例3−7と同
様にしてサンプルテープを作製し、NTSCの標準モー
ドで120分記録出来るだけの長さを8ミリカセットに
組み込んだ。
【0126】以上のようにして作製したサンプルテープ
について、以下の粘着目視試験を行うことで保存特性を
評価した。
【0127】粘着目視試験:カセット内のサンプルテー
プのリールに巻き込まれていない部分を切断し、供給側
リールをカセットから取り出した。そして、この供給側
リールを、テープ末端を粘着テープで固定した後、温度
80℃の温純水中に2時間浸漬し、温度60℃の減圧乾
燥機中で4時間乾燥した。乾燥後、今度は室温にて24
時間放置し、テープ末端の粘着テープを除去した。そし
て、リール外側から徐々にサンプルテープを巻きほぐ
し、磁性層表面の粘着物の付着状況を観察した。
【0128】この粘着目視試験の評価結果を表7に示
す。なお、表7中、○は磁性層表面上に粘着物が認めら
れない場合、△はエッジ部分のみに極わずかの粘着物が
認められる場合、×はエッジ部分の他、テープの幅方向
中央部にも粘着物が認められる場合をそれぞれ示す。
【0129】
【表7】
【0130】表7からわかるように、バックコート層に
ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加
していない比較例3−1,比較例3−2のサンプルテー
プでは、保存後、磁性層表面にかなり粘着物が認められ
るのに対して、バックコート層にビス(アミノプロピル
ジメチルシリル)ベンゼンを添加した実施例3−1〜実
施例3−9のサンプルテープでは、磁性層表面に粘着物
がほとんど認められない。
【0131】このことから、バックコート層にビス(ア
ミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加すると、
過酷な条件でも磁性層とバックコート層の粘着が抑えら
れるようになり、磁気テープの保存特性を改善する上で
有効であることがわかる。
【0132】ここで、さらにデータを詳細に検討するた
めに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
の添加量を変化させた実施例3−1〜実施例3−4のサ
ンプルテープを比較すると、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの効果はその量に依存することが
わかる。すなわち、実施例3−2のように、ビス(アミ
ノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを少量添加しただ
けでは、効果が不足し、保存特性を十分に改善するには
結合剤100重量部に対して少なくとも4.0重量部以
上のビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを
添加する必要があることがわかる。
【0133】また、結合剤成分として混合する塩化ビニ
ル系共重合体のエポキシ含有量を変化させた実施例3−
7〜実施例3−9のサンプルテープを比較すると、エポ
キシを有しない共重合体を用いた実施例3−9のサンプ
ルテープに比べてエポキシ基を有する共重合体を用いた
実施例3−7,実施例3−8のサンプルテープの方が良
好な保存特性が得られる。
【0134】このことから、塩化ビニル系共重合体のエ
ポキシは、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼンの効果の発現に関与しており、ビス(アミノプロピ
ルジメチルシリル)ベンゼンとエポキシを有する塩化ビ
ニル系共重合体を組み合わせて用いることにより、保存
特性の一層の向上が図れることがわかる。なお、塩化ビ
ニル系共重合体のエポキシ含有量の最適範囲は、0.2
〜1.0mmol/gである。
【0135】実施例4−1 本実施例は、バックコート層(カーボンブラックC,カ
ーボンブラックD含有)に、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンを添加した例である。
【0136】まず、下記の組成に準じて各バックコート
塗料成分を秤り取り、サンドミルにて分散した。 バックコート塗料の組成 カーボンブラックC 75重量部 カーボンブラックD 3重量部 炭酸カルシウム粉末 2重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体A 100重量部 溶剤 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 300重量部 シクロヘキサノン 300重量部
【0137】この分散物に、ビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンを15.0重量部添加し、厚さ1
4.0μmのベースフィルム上に乾燥後の厚さが0.6
μmとなるように塗布することでバックコート層を形成
した。
【0138】次に、下記の組成に準じて各磁性塗料成分
を秤り取り、サンドミルにて分散した。 磁性塗料の組成 磁性粉末b 100重量部 結合剤 塩化ビニル系共重合体E 12重量部 ポリエステル系ポリウレタン樹脂b 10重量部 潤滑剤 ステアリン酸 1.5重量部 ステアリン酸ブチル 1.5重量部 アルミナ 10重量部 カーボンブラック 3重量部 溶剤 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部
【0139】この分散物に、硬化剤(日本ポリウレタン
社製,商品名コロネートL)を2重量部添加し、得られ
た磁性塗料を上記ベースフィルムのバックコート層が形
成されている側とは反対側の面に乾燥後の厚さが4μm
になるように塗布し磁性塗膜を形成した。そして、磁性
塗膜に対して、磁場配向処理を行った後、乾燥させて巻
き取った。そして、さらにカレンダー処理を施し、温度
70℃,24時間硬化処理を行うことで磁性層を形成し
た。
【0140】このようにしてバックコート層,磁性層が
形成された広幅テープを1/2インチ幅にスリットして
サンプルテープとし、NTSCの標準モードで120分
記録出来るだけの長さをS−VHSカセットに組み込ん
だ。
【0141】実施例4−2 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を10.0重量部とした
こと以外は実施例4−1と同様にしてサンプルテープを
作製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだ
けの長さをS−VHSカセットに組み込んだ。
【0142】実施例4−3 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を20.0重量部とした
こと以外は実施例4−1と同様にしてサンプルテープを
作製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだ
けの長さをS−VHSカセットに組み込んだ。
【0143】実施例4−4 バックコート塗料に添加するビス(アミノプロピルジメ
チルシリル)ベンゼンの添加量を25.0重量部とした
こと以外は実施例4−1と同様にしてサンプルテープを
作製し、NTSCの標準モードで120分記録出来るだ
けの長さをS−VHSカセットに組み込んだ。
【0144】比較例4−1 バックコート塗料に、ビス(アミノプロピルジメチルシ
リル)ベンゼンを添加しないこと以外は実施例4−1と
同様にしてサンプルテープを作製し、NTSCの標準モ
ードで120分記録出来るだけの長さをS−VHSカセ
ットに組み込んだ。
【0145】比較例4−2 ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの代わ
りに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
と同様に末端がアミノ基を有するものの、ジメチルシリ
ル基を有しないなどの点で構造が異なる1,6−ヘキサ
ンジアミンをバックコート塗料に添加したこと以外は実
施例4−1と同様にしてサンプルテープを作製し、NT
SCの標準モードで120分記録出来るだけの長さをS
−VHSカセットに組み込んだ。
【0146】比較例4−3 ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの代わ
りに、ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン
と同様に末端がアミノ基を有するものの、ジメチルシリ
ル基を有しないなどの点で構造が異なるアミノエチルピ
ペラジンをバックコート塗料に添加したこと以外は実施
例4−1と同様にしてサンプルテープを作製し、NTS
Cの標準モードで120分記録出来るだけの長さをS−
VHSカセットに組み込んだ。
【0147】このようにして作製したサンプルテープに
ついて、ドロップアウト保存増加率を実施例2−1で行
ったのと同様にして測定した。その結果を表8に示す。
【0148】
【表8】
【0149】表8からわかるように、バックコート層に
ビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加
した実施例4−1〜4−4のサンプルテープは、ビス
(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンを添加して
いない比較例4−1のサンプルテープに比べてドロップ
アウト保存増加率が小さい値になっている。
【0150】これら実施例4−1〜実施例4−4のサン
プルテープでは、硬化剤が添加されていないにもかかわ
らず、このように良好なデータが得られており、バック
コート層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベン
ゼンを添加することは、媒体の保存特性の向上に極めて
有効であることがわかる。
【0151】しかし、ビス(アミノプロピルジメチルシ
リル)ベンゼンを結合剤100重量部に対して25重量
部と多量に添加した実施例4−4のサンプルテープは、
これよりビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼ
ンの添加量が少ない実施例4−3のサンプルテープに比
べてドロップアウト保存増加率が大きい値となってい
る。このことから、ビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンは、結合剤100重量部に対して4.0重
量部は必要であるが、その上限は20重量部程度である
ことがわかる。
【0152】なお、ビス(アミノプロピルジメチルシリ
ル)ベンゼンの代わりにアミノ基を有する点では同じで
あるが、ジメチルシリル基を有しない化合物を添加した
比較例4−2,4−3のサンプルテープについても評価
を行ったが、これらと実施例4−1〜実施例4−4のサ
ンプルテープを比較すると、比較例4−2,4−3のサ
ンプルテープの方がドロップアウト保存増加率が大きい
値となっている。
【0153】このことから、保存特性を改善するにはア
ミノ基とジメチルシリル基の両方が必要であり、両者を
併せ持つビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼ
ンがバックコート層に添加する添加剤として好適である
ことがわかる。
【0154】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の磁気記録媒体では、磁性層あるいはバックコート層
にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンが添
加されているので、磁性層,バックコート層の強度が強
く、良好な保存特性を得ることができる。したがって、
短波長の記録再生システムに採用すべく、磁性粉末の微
細化,磁性層表面の鏡面化を図った場合でも良好な走行
耐久性を発揮し、しかも長期間保存後にもドロップアウ
トがほとんど発生せず、良好な記録再生特性を得ること
が可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤と
    を主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒体にお
    いて、 上記磁性層にビス(アミノプロピルジメチルシリル)ベ
    ンゼンが添加されていることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 磁性層に添加されているビス(アミノプ
    ロピルジメチルシリル)ベンゼンの添加量が、強磁性粉
    末100重量部に対して0.5〜6重量部であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁性層を構成する結合剤の少なくとも一
    部が、エポキシを0.2〜1.0mmol/g含有する
    塩化ビニル系共重合体であることを特徴とする請求項1
    または請求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性支持体上に、磁性層が形成され、
    磁性層が形成されている側とは反対側に非磁性粉末また
    は磁性粉末と結合剤を主体とするバックコート層が形成
    されてなる磁気記録媒体において、 上記バックコート層にビス(アミノプロピルジメチルシ
    リル)ベンゼンが添加されていることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 バックコート層に添加されているビス
    (アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼンの添加量
    が、結合剤100重量部に対して4.0〜20重量部で
    あることを特徴とする請求項4記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 バックコート層を構成する結合剤の少な
    くとも一部が、エポキシを0.2〜1.0mmol/g
    含有する塩化ビニル系共重合体であることを特徴とする
    請求項4または請求項5記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018517790A (ja) * 2015-04-20 2018-07-05 アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ 被膜形成用組成物およびそれを用いた被膜形成方法

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JP2018517790A (ja) * 2015-04-20 2018-07-05 アーゼッド・エレクトロニック・マテリアルズ(ルクセンブルグ)ソシエテ・ア・レスポンサビリテ・リミテ 被膜形成用組成物およびそれを用いた被膜形成方法

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