JPH07238864A - 内燃機関のピストン及びその製造方法 - Google Patents

内燃機関のピストン及びその製造方法

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JPH07238864A
JPH07238864A JP2988094A JP2988094A JPH07238864A JP H07238864 A JPH07238864 A JP H07238864A JP 2988094 A JP2988094 A JP 2988094A JP 2988094 A JP2988094 A JP 2988094A JP H07238864 A JPH07238864 A JP H07238864A
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piston
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aluminum alloy
potassium titanate
titanate whiskers
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JP2988094A
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Inventor
Masato Sasaki
正登 佐々木
Yutaka Tomono
裕 友野
Seiichi Kotake
誠一 小竹
Ryuichi Hotta
隆一 堀田
Junichi Fujita
順一 藤田
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Hitachi Zosen Corp
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Zosen Corp
Osaka Gas Co Ltd
Unisia Jecs Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストンの製造作業性及びコストの低廉化を
確保しつつリング溝内周壁の耐摩耗性と耐凝着性を満足
する。 【構成】 アルミニウム合金材からなるピストン本体1
のリングランド部3に3つのリング溝が形成されてい
る。トップリング溝4の内周壁を形成する複合材11
を、アルミニウム合金材と、複合材11全体に対して3
0〜60%の割合で配合された炭素短繊維と、該炭素短
繊維に対して20〜50%の割合で配合されたチタン酸
カリウムウィスカーとから構成している。また、炭素短
繊維とチタン酸カリウムウィスカーの合計量を、複合材
全体の60%以下に設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の内燃機関の
ピストン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、近時、自動車用内燃機関
のピストンにあっては、高出力化高性能化の要請に伴い
軽量化を図るべくその材質を鋳鉄に代えてアルミニウム
合金で形成され、シリンダボアの内壁面と対向する外周
面に、ピストンリングが装着される複数のピストンリン
グ溝が形成されている。また、このピストンリング溝の
うち燃焼室に最も近いトップリング溝は、特に高温に晒
され、かつ燃焼圧力を直接受けるため、ピストンリング
(トップリング)との摩耗が激しい。このため、トップ
リング溝とトップリングとの間には、アルミ凝着が発生
し易くなる。
【0003】そこで、斯かるアルミ凝着を防止する種々
の技術が開発されており、例えば(1)トップリング溝
の表面部に無機繊維集合体を複合させて強化するもの
(特開昭59−201953号公報)や、(2)In−
SituプロセスによるハイブリッドMMC(金属基複
合材料)をピストンへ応用するもの(自動車技術198
9−5.NO891056)、(3)トップリング溝の
表面部にニッケル多孔体を複合させて強化するもの(特
公平3−30708号公報)などがある。また、(4)
トップリング溝の表面部をアルマイト処理層により強化
したり(特開平1−190951号公報)、(5)トッ
プリング溝の表面部に銅などを電子ビームで溶融拡散さ
せることにより合金層を形成するもの(三菱自動車19
88,NO1「テクニカルレビュー」)があり、更に
は、(6)トップリング溝部分にニレジスト鋳鉄をアル
フィン処理してアルミニウム合金に鋳ぐるんでリング支
持部材とするものなど、多くの改良技術が提示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、前記各従来
例には、以下のような問題がある。即ち、(1),
(2),(3)の従来例にあっては、無機繊維材等を用
いているため、アルミニウム合金材の強度や耐摩耗性が
向上するものの、自己潤滑性を有しない材料の組み合わ
せであるため、ピストンリングとアルミとの凝着を確実
に防止することが困難である。
【0005】また、(4)の従来例にあっては、アルマ
イト処理層によりピストンリングとの耐凝着性は向上す
るものの、耐摩耗性が不十分になる。更に、(5)の従
来例は、逆に耐凝着性が不足する惧れがある。
【0006】また、(6)の従来例は、最も古くから行
われている技術であり、耐摩耗性や耐凝着性は確保でき
るものの、鋳鉄製であるため、重量の増加が余儀なくさ
れる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記各従来例
の問題点に鑑みて案出されたもので、請求項1の発明
は、アルミニウム合金材からなるピストン本体の外周に
複数のピストンリング溝を形成すると共に、該ピストン
リング溝の少なくともトップリング溝の内周壁をアルミ
ニウム合金材に、炭素短繊維及びチタン酸カリウムウィ
スカーを複合化した複合材で形成してなる内燃機関のピ
ストンであって、前記炭素短繊維を前記複合材全体に対
して30〜60%(体積パーセント)の割合で配合する
と共に、前記炭素短繊維とチタン酸カリウムウィスカー
との合計量を複合材全体の60%(体積パーセント)以
下に設定したことを特徴としている。
【0008】請求項2の発明は、前記複合材を予め円環
状に形成し、該円環状の複合材を、前記ピストン本体の
成形時に鋳ぐるんで該ピストン本体と一体成形したこと
を特徴としている。
【0009】請求項3の発明は、前記炭素短繊維とチタ
ン酸カリウムウィスカーとからなる円環状の成形体を予
め成形し、該成形体を、前記ピストン本体の成形時に溶
湯アルミニウム合金材に含浸させて該ピストン本体と一
体成形したことを特徴としている。
【0010】
【作用】請求項1の発明によれば、複合材内の炭素短繊
維及びチタン酸カリウムウィスカーによってピストンリ
ングに対する耐摩耗性が向上すると共に、炭素短繊維の
自己潤滑性によってピストンリングとリング溝内周壁と
の耐凝着性が向上する。
【0011】特に、複合材に対する炭素短繊維の特定の
配合割合によって、前記耐凝着性の著しい向上が図れ
る。
【0012】請求項2の発明によれば、前記複合材の材
料上の点から鋳造によって成形できると共に、複合材を
ピストン本体に単に鋳ぐるむだけであるから、その製造
作業性の向上と製造コストの低廉化が図れる。
【0013】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
のようにアルミニウム合金をベースとして複合材を予め
成形するのではなく、炭素短繊維等の成形体を予め成形
して、該成形体にピストン本体の成形時に直接アルミニ
ウム合金溶湯を含浸させて一体成形するため、製造作業
性がさらに向上する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。
【0015】図1及び図2は本発明に係るピストンの断
面図を示し、このピストンは、ピストン本体1がアルミ
合金材で略円筒状に形成され、燃焼室に臨む冠部2と、
該冠部2の下部に有するリングランド部3の外周面に形
成された3つのピストンリング溝4,5,6と、該各ト
ップ,セカンド,オイルリング溝4〜6に嵌着されるピ
ストンリング7,8,9と、各リング溝4〜6下部のス
カート部10とを備えている。
【0016】前記トップリング溝4は、冠部2の頂面か
らスカート部10側へ9mm離れた位置を中心に、幅4m
m,深さ8mmに形成されていると共に、この表面部のみ
が後述の成形方法で成形された円環状の複合材11によ
って形成されている。
【0017】この複合材11は、母地材料としてのアル
ミニウムまたはアルミニウム合金材(JIS規格鋳造用
アルミニウム合金AC8A,A390等)12に、長さ
が0.1〜10mmの炭素短繊維13及びチタン酸カリウ
ムウィスカー(K2O・6T102)14を含有した複合
材料で構成され、前記ピストン本体1内にトップリング
溝4の表面部を構成すべく鋳ぐるまれている。
【0018】具体的には、前記炭素短繊維13を、複合
材11全体に対して30〜60%(体積パーセント)の
割合で配合し、またチタン酸カリウムウィスカー14
を、炭素短繊維13に対して20〜50%(体積パーセ
ント)の割合で配合している。したがって、炭素短繊維
13とチタン酸カリウムウィスカー14の比が4:1〜
1:1の範囲に設定されている。また、炭素短繊維13
とチタン酸カリウムウィスカー14との合計量は、複合
材11全体の60%(体積パーセント)以下に設定され
ている。
【0019】また、上記各材料の複合化は加圧鋳造,粉
末冶金等の手法を用いて可能となるが、耐摩環やシリン
ダ等を対象とする場合は、金型鋳造の可能な加圧鋳造法
が最も望ましい。加圧鋳造法の場合、強化繊維はプリフ
ォーム体の製造が可能で、かつ鋳造によって欠陥のない
複合材を得なければならない。その意味で、炭素短繊維
13とチタン酸カリウムウィスカー14の強化繊維の複
合材11に占める程度は60%(体積パーセント、以下
省略する)とするのが望ましい。
【0020】次に、炭素短繊維13とチタン酸カリウム
ウィスカー14の役割及び複合化量の決定理由を述べ
る。
【0021】(1)炭素短繊維13の複合化の役割 (イ)アルミニウム合金材12母地より比重の小さい繊
維であり、複合材11の軽量化が可能となる。
【0022】(ロ)アルミニウム合金材12母地の耐摩
耗性及びピストンリング7に対する耐凝着性を向上させ
るが、チタン酸カリウムウィスカー14との共存によっ
て一層の耐摩耗性向上をもたらす。また、前記耐凝着性
の向上は、炭素短繊維13の自己潤滑作用による。
【0023】(2)チタン酸カリウムウィスカー14の
複合化の役割 (イ)炭素短繊維13に占める割合を20〜50%とす
ることによって、アルミニウム合金材12の耐摩耗性を
著しく向上させ、かつ炭素短繊維13単独あるいはチタ
ン酸カリウムウィスカー14単独の場合より、良好な耐
摩耗性を得る。
【0024】(ロ)炭素短繊維13に混合することによ
り、プリフォーム体の製造を可能とするバインダーの役
割をなす。また、アルミニウム合金材12及び炭素短繊
維13に対し安定である。
【0025】以上炭素短繊維13とチタン酸カリウムウ
ィスカー14の役割を説明したが、両繊維の複合化量
は、プリフォーム体の強度,アルミニウム合金溶湯の浸
透性(繊維密度に依存),さらに複合材11の性能を考
慮して決定した。まず、繊維密度すなわち複合材11に
対する強化繊維の割合(以下、体積率という)が60%
以上のプリフォーム体は鋳造性が悪く、上限は60%と
する。逆に、プリフォーム体としたものを加圧鋳造した
際に、複合材11中に繊維がからみ合って均一分散を得
るためには体積率が30%以上が望ましく、下限は30
%とする。次に、炭素短繊維13に占めるチタン酸カリ
ウムウィスカー14の量が20%(すなわち、炭素短繊
維13:チタン酸カリウムウィスカー14=4:1)以
下ではプリフォーム体の強度が不十分で成形できない。
逆に50%(炭素短繊維13:チタン酸カリウムウィス
カー=1:1)を越えるとチタン酸カリウムウィスカー
14の集合部が生じやすく均一なアルミニウム複合材と
なりにくい。チタン酸カリウムウィスカー14の炭素短
繊維13に占める量は20〜50%が良好である。
【0026】尚、アルミニウム合金材12母地は複合材
11の基礎強度を与えるものであり、部分的な複合化
(シリンダチューブの内壁のみ等の場合)を行った場合
は部材の外殻を形成するものである。AC8Aや606
1などは時効硬化性の強いアルミニウム合金材であり、
かつチタン酸カリウムウィスカー14や炭素短繊維13
との濡れ性が良好であるため、母地合金として望まし
い。
【0027】以下、前記複合材11の具体的な製造方法
について説明する。
【0028】即ち、まず、単繊維が直径5〜15μm長
さ0.1〜10mmの炭素短繊維13(比重1.77g/cm
3)と、単繊維が直径0.4〜1.5μm,長さ10〜10
0μmのチタン酸カリウムウィスカー14(比重3.3g
/cm3)とを所定の重量比で混合して水中に入れ、十分
撹拌した後、金型を用いたプレス成形(圧力20kg・f
/cm2)により円筒状に成形し、乾燥させてプリフォー
ム体15を成形した。このプリフォーム体15は、形崩
れすることはなく、取り扱いは容易であった。これらの
プリフォーム体15が体積率55%となるようにして図
5A〜図5Cに示す工程に基づく加圧鋳造法によりアル
ミニウム合金12と複合化させた。
【0029】つまり、図5Aに示すように円筒鋳造18
内に予めプリフォーム体15を収納しておき、次にアル
ミニウム合金溶湯19を注入する。その後、図5Bに示
すように円錐状のパンチ20で圧力を加えて冷却凝固さ
せる。次に、図5Cに示すようにパンチ20を鋳型18
から抜いて、鋳型18内からアルミニウム合金12の中
に炭素短繊維13及びチタン酸カリウムウィスカー14
が複合した円筒状の粗形材11aを取り出す。これによ
って、図3に示すようなシリンダ状の粗材11aが型成
形される。つまり、アルミニウム合金材12からなるシ
リンダチューブ16に、加圧鋳造法によって外面部17
だけを複合化したものである。そして、前記粗形材11
aを機械加工により必要な大きさに輪切りすれば所定の
円環状の複合材11が得られる。尚、斯る複合材11
は、図4に示すように炭素短繊維13をチタン酸カリウ
ムウィスカー14が囲み、かつアルミニウム合金材(母
地)12が含浸されているのがよく分かる。
【0030】前記加圧鋳造の条件は下記の通りであっ
た。
【0031】 注 湯 温 度… 780 ℃ 加 圧 力… 577 kg・f/cm2 金型予熱温度… 300 ℃ 加 圧 時 間… 8 分 尚、一般に炭素短繊維13は金属との濡れ性が悪いが、
加圧鋳造法により両者を十分に接触させることができ、
かつ短時間に加圧鋳造強凝固するのでアルミニウムと炭
素との化合物を生成することがなく、材質が著しく脆く
なるようなことがない。加圧力としては300kg・f/
cm2以上であることが望ましい。
【0032】そして、前記複合材11をピストン本体1
に一体に鋳ぐるむには、金型鋳造法によって行う。この
方法を簡単に説明すれば、まず、予め前記複合材11を
所定温度で予備加熱する。次に、この複合材11を、所
定の温度に加熱された金型のキャビティ内に装着する。
続いて、型締め後に保持炉から取り出した溶湯を金型の
キャビティ内に注湯する。そして冷却後、離型を行えば
図1及び図2に示すようなピストン本体1の上部外周に
形成されるトップリング溝4の内周壁が複合材11で形
成したピストンが得られる。
【0033】ここで、前記鋳ぐるみ条件の一例を示せ
ば、複合材11の予熱温度は673K,ピストン本体1
の注湯温度は993K,鋳型温度は473K,複合材1
1の化成処理はパーカライジング(株)のパルコール3
756の溶液を313Kに加熱し、60秒間浸漬する。
【0034】ここで、複合材11にあらかじめ化成処理
を施す理由は、アルミニウム系材料の場合には、表面に
緻密な酸化膜が強固に形成されているため、溶湯との接
触界面は十分に溶着することができず、そのため溶湯に
よって形成されるピストン本体1のアルミニウム層部分
と、アルミニウム合金の複合材11との接合が不十分に
なる。また、溶湯の加熱度を上げたり、また複合材11
を十分に予熱した場合などには溶着する現象が認められ
るが、その条件範囲は極めて狭く、均一に接着すること
がむずかしいのが実情である。
【0035】特に、複合材11を予熱することにより酸
化膜が厚くなり、接着が増々困難になる惧れがある。
【0036】そこで、前記のように予め化成処理を行う
と、予熱により化成処理層は酸化するが、複合材11の
アルミニウム合金材12までは酸化されず、上述の化成
処理層の酸化物もピストン本体1のアルミニウム合金の
溶湯により容易に除去される為、ピストン本体1のアル
ミニウム合金と複合材11のアルミニウム合金材12と
を高い接合強度で接着させることが可能となる。
【0037】また、前記ピストンを製造する方法として
は、前述の加圧しない金型鋳造法の他に直接加圧法があ
る。
【0038】即ち、前述の炭素短繊維13とチタン酸カ
リウムウィスカー14とを複合したプリフォーム体15
を、前述のように予めアルミニウム合金材12と複合化
させることなく、予備加熱後にそのまま金型のキャビテ
ィ内に装着する。その後、金型キャビティ内に、保持炉
から取り出されたアルミニウム合金の溶湯を速やかに注
湯する。
【0039】続いて、加圧パンチである中子型を下降さ
せて製品キャビティを密閉する。続いて、溶湯を加圧
し、プリフォーム体15の内部にアルミニウム合金溶湯
を含浸させる。さらに、設定圧力まで加圧し、溶湯が完
全に凝固するまで保持する。離型後、製品を取り出せ
ば、プリフォーム体15とピストン本体1のアルミニウ
ム合金が一体に結合されたピストンが得られる。
【0040】このような直接加圧法によれば、加圧効果
をプリフォーム体15を含めたピストンの各部位にスピ
ーディに伝播させることができるため、アルミニウム合
金とプリフォーム体15との凝着性が向上する。
【0041】以下、前述のような工程で成形された複合
材11の耐摩耗性と耐凝着性及び機械加工性についての
特性変化を実験した結果を述べる。
【0042】まず、マトリックスのアルミニウム合金の
成分を表1に示す。この実験においては、加圧鋳造法で
製作した試料を用いた。体積率が各々30,40,5
0,60の中でチタン酸カリウムウィスカーを、炭素短
繊維に対して0〜100%変化させた成形体を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】そして、耐摩耗性の評価方法は、図6に示
す装置を用いて行った。即ち、図外のモータで回転する
回転台21上にピストンリング7を固定して、この上部
にヒータ22の下端に固定されたテストピース23を押
し付けて摩耗させる。このテストピース23は、ピスト
ン本体1のトップリング溝4から切り出した複合材11
である。この方法における温度,潤滑状態等の試験条件
は実際のエンジンのピストンと相関性のあるものとし
た。評価は、試験後の摩耗深さで行った。このテスト結
果を図7に示す。
【0045】この結果からも明らかなように、炭素短繊
維13に占めるチタン酸カリウムウィスカー14の割合
が20〜50%の場合には、耐摩耗性が最も高くなって
いる。
【0046】尚、AC8Aやニレジスト鋳鉄を同様に試
験すると、比摩耗量は各々90μm,1μmとなり、本
複合材11で十分に代替えできることが明らかである。
本複合材11の特徴は炭素短繊維13とチタン酸カリウ
ムウィスカー14の混合量に最適摩耗特性範囲があるこ
とで、単独の繊維では得られない特性になる。
【0047】これにより、炭素短繊維13に対して、チ
タン酸カリウムウィスカー14を20%以上含有させれ
ば、どの繊維体積においても良好な耐摩耗性の得られる
ことがわかる。このことからもチタン酸カリウムウィス
カー14の炭素短繊維13に占める量は20〜50%が
良好であるとわかる。また、炭素短繊維13も40%以
上あれば良いことがわかる。
【0048】また、耐凝着性の評価方法は、図8に示す
装置を用いて行い、ピストン本体1のトップリング溝4
下面にピストンリング7を押し当てて、アクチュエータ
24,25を介して矢印一方向にのみ摺動させる加速試
験法によった。評価は、凝着発生の有無で行った。その
結果を図9に示す。これより、複合材11に対して炭素
短繊維13が30%以上含まれていれば耐凝着性が良い
ことがわかる。
【0049】尚、前記複合材11等をトップリング溝4
ばかりかセカンドリング溝等に適用することも可能であ
る。
【0050】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、請求項1
の発明によれば、複合材内の炭素短繊維及びチタン酸カ
リウムウィスカーとの混合によってピストンリングに対
するリング溝内周面の耐摩耗性と耐凝着性が向上する。
特に、複合材に対する炭素短繊維の特定の配合割合によ
って、炭素短繊維の自己潤滑性によりピストンリングと
リング溝の内周壁との耐凝着性が一段と向上する。
【0051】更には、ピストン全体の重量がアルミニウ
ム合金単体の場合よりも軽量化となる。
【0052】請求項2の発明によれば、複合材の材料上
の点から鋳造によって成形できると共に、複合材をピス
トン本体に単に鋳ぐるむだけであるから、その製造作業
能率の向上と製造コストの低廉化が図れる。
【0053】請求項3の発明によれば、炭素短繊維とチ
タン酸カリウムウィスカーとの成形体を、直接ピストン
本体を構成するアルミニウム合金溶湯を含浸させて一体
成形するようにしたため、ピストンの製造作業能率がさ
らに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すピストンの要部断面図。
【図2】本実施例のピストンの縦断面図。
【図3】本実施例に供される複合材の成形体を一部破断
して示す斜視図。
【図4】本実施例の複合材の組織を示す拡大図。
【図5】図5A〜Cは複合材の製造工程を示す縦断面
図。
【図6】耐摩耗性のテスト装置を示す説明図。
【図7】摩耗量のテスト結果を示すグラフ。
【図8】耐凝着性のテスト装置を示す説明図。
【図9】耐凝着性のテスト結果を示すグラフ。
【符号の説明】 1…ピストン本体 2…冠部 3…リクグランド部 4…トップリング溝 7…トップリング 11…複合材 12…アルミニウム合金 13…炭素短繊維 14…チタン酸カリウムウィスカー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 友野 裕 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 小竹 誠一 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 堀田 隆一 大阪府大阪市此花区西九条5丁目3番28号 日立造船株式会社内 (72)発明者 藤田 順一 大阪府大阪市中央区平野町4丁目1番2号 大阪ガス株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金材からなるピストン本
    体の外周に複数のピストンリング溝を形成すると共に、
    該ピストンリング溝の少なくともトップリング溝の内周
    壁を、アルミニウム合金材に炭素短繊維及びチタン酸カ
    リウムウィスカーを複合化した複合材で形成してなる内
    燃機関のピストンであって、 前記炭素短繊維を前記複合材全体に対して30〜60%
    (体積パーセント)の割合で配合すると共に、前記炭素
    短繊維とチタン酸カリウムウィスカーとの合計量を複合
    材全体の60%(体積パーセント)以下に設定したこと
    を特徴とする内燃機関のピストン。
  2. 【請求項2】 前記複合材を予め円環状に形成し、該円
    環状の複合材を、前記ピストン本体の成形時に鋳ぐるん
    で該ピストン本体と一体成形したことを特徴とする内燃
    機関のピストンの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記炭素短繊維とチタン酸カリウムウィ
    スカーとからなる円環状の成形体を予め成形し、該成形
    体を、前記ピストン本体の成形時に溶湯アルミニウム合
    金材に含浸させて該ピストン本体と一体成形したことを
    特徴とする内燃機関のピストンの製造方法。
JP2988094A 1994-02-28 1994-02-28 内燃機関のピストン及びその製造方法 Pending JPH07238864A (ja)

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