JPH0723858Y2 - 膜型キーボードスイッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、所要数の接点パターンを形成した二枚の絶縁
シート部材と、操作押圧力の付与・解除に応じて反転・
復帰動してスイッチ操作を知覚させ得るクリック用導電
板とを用いてキーを二段階にスイッチ動作させることに
より、狭いスペース内で各キーに於けるスイッチ機能の
多機能集約化を図るようにした形式の膜型キーボードス
イッチに関する。

「従来の技術とその問題点」 プラスチックフィルム等の二枚の可撓性絶縁シートの各
一方面に所要数の接点パターンを各別に形成し、これら
の接点パターンを用いてスイッチを構成すべく薄い絶縁
スペーサを介して上記両絶縁シートを対向配置した膜型
キーボードスイッチ乃至はメンブレンキーボードスイッ
チは、印刷技術とスイッチ技術とを効果的に統合して開
発されたものであって、機器の小型化・薄型化を達成す
る上でのスイッチ手段として極めて好適であり、機器に
対する実装簡易化による経済性の他、表面を印刷操作表
示シートで密閉した構成を備えるので、防水・防塵等に
対する高い耐環境性を発揮する一方、機器のスイッチ操
作面を任意にデザインして目的に合致した斬新なスイッ
チ操作イメージを構成できる等の特徴を備え、フラット
キースイッチ或いはパネルスイッチ等の別名の下に各種
の電気・電子機器等に多用されている。

斯かる膜型キーボードスイッチは、操作押圧力の付与・
解除に伴なうスイッチのオン・オフ動作をこの構造自体
で知覚することは出来ないので、操作時にクリック感を
与えてキーの操作感覚性を改善する為に、操作押圧力の
付与・解除に応じて反転・復帰動するドーム状乃至はデ
ィスク状などに形成されたクリック用部材を内蔵させる
構造も種々提供されている。

しかし、このような膜型キーボードスイッチは、いずれ
にしても一つのキー部分は単一のスイッチを構成するも
のであって、一回のキー操作でスイッチを二段階等に動
作させて複数の入力を与えることは出来ない。斯かる多
段数スイッチは、その他の機械的スイッチ機構等では各
種の形態で既に実用に供されているが、この種の機械的
スイッチ機構は薄型化する上で限度があり、また、機器
に対する実装の自由度も制約を受ける他、膜型キーボー
ドスイッチの如く操作面のデザインを任意に処理するこ
とも出来ない。

従って、この種の膜型キーボードスイッチに対して二段
階スイッチ機構を具備させることが可能であれば、その
本来の小型・薄型化、実装容易性、防水・防塵等に対す
る高い耐環境性や操作面に対するデザインの自由度等の
利点を確保しながら、機器の狭隘スペース等にも更に好
適に対応できるようなスイッチ機能の多機能・集約化を
図れるので、極めて好都合となる。

「考案の目的及び構成」 本考案は、この種の膜型キーボードスイッチに於いて、
薄型化を図りながら、操作キーを二段階スイッチ構造に
構成することにより、キーの数を低減して小スペース内
でスイッチ機能の多機能・集約化を確保できるようにし
た膜型キーボードスイッチを提供するものである。

本考案は、また、斯かる二段階スイッチ構造を構成する
場合、クリック感を与えるクリック用導電板を好適に活
用したクリック式二段階膜型キーボードスイッチを提供
するものである。

その為に、本考案に係る膜型キーボードスイッチによれ
ば、所要数の固定接点パターンを形成した可撓性絶縁ベ
ース材と、上記各接点パターンと各々対応する位置に可
動接点パターンを形成した絶縁性の可撓性スイッチシー
トとを所要のスイッチ動作間隙を介して対向配置するよ
うに構成した膜型キーボードスイッチに於いて、上記ス
イッチシートのキー操作領域に対する押圧力の付与・解
除に応じて上記対向する固定及び可動の両接点パターン
との間で各別に開閉動作する内部可動接点を上記スイッ
チ動作間隙内に配装して二段階スイッチ機構を構成した
もので、斯かる内部可動接点は、操作押圧力の付与・解
除に応じて反転・復帰動するクリック用導電板で構成す
るのが好適である。

「実施例」 以下、図示の実施例を参照しながら本考案を更に説明す
ると、第１図に於いて、１はポリエステルフィルム等の
適宜なプラスチックフィルムからなる可撓性絶縁ベース
材であって、その上面には銅箔等に対するエッチング手
法で配線パターンと共に所要の固定接点パターン1A、1B
がくし形状等に形成されている。絶縁ベース材１の上面
には上記固定接点パターン1A、1Bの形成部位に透孔2Aを
有する下部スペーサ２が配設されており、該透孔2A内に
はステンレス等の導電性部材を用いてドーム状乃至はデ
ィスク状に形成された内部可動接点としてのクリック用
導電板３が配装され、このクリック用導電板３は、その
下端部が固定接点パターン1A、1Bの一方の接点パターン
1B上に自由な状態で接触載置されおり、この接点パター
ン1Bを含むクリック用導電板３と他の固定接点パターン
1Aとで一方のスイッチ機構を構成している。４はクリッ
ク用導電板３を透孔2Aに上記態様で安定に配装させる為
の薄い保持シートを示し、その端部は図のようにクリッ
ク用導電板３の頂部より下方の側部に伸長してこのクリ
ック用導電板３が透孔2Aから離脱しないように作用して
いる。斯かる保持シート４はクリック用導電板３の頂部
領域を十分開放させる程度の大きさに形成した透孔を備
えるように構成することも出来る。５は該保持シート４
上に配装した上部スペーサであって、クリック用導電板
３を配装した部位に対応する位置に透孔5Aを備え、該透
孔5Aは上記下部スペーサ２の透孔2Aより適度に大きく形
成されている。そして、この上部スペーサ５上にはクリ
ック用導電板３との対向面に導電性インク等で形成し得
る他の接点パターン6Aを形成した可撓性の絶縁スイッチ
シート６を配置し、該接点パターン6Aと上記固定接点パ
ターン1B上に載置されたクリック用導電板３とで他方の
スイッチ機構を構成している。

第２図及び第３図は一方のスイッチ機構を構成する固定
接点パターン1A、1Bとクリック用導電板３との一構成例
について示すもので、第２図の如くクリック用導電板３
を載置する外側の固定接点パターン1Bは略馬蹄形状に形
成され、他の固定接点パターン1Aはその内側に離間して
円状に形成すると共に、その為の配線パターン1aは外側
固定接点パターン1Bの切目から導出させ、また、クリッ
ク用導電板３を外側固定接点パターン1Bに載置した状態
で内方の固定接点パターン1Aの配線パターン1aと接触す
ることのないように、第３図の如くクリック用導電板３
の平坦な外周部3Bには三箇所など等間隔に下向きの突起
部3Cを形成することが出来る。3Aはドーム状乃至はディ
スク状に形成された反転・復帰動するクリック部であっ
て、その頂部には内方固定接点パターン1Aとの接触を良
好にする為の接点状の陥部3Dを設けるのが好ましい。

上記のベース材１、下部スペーサ２、保持シート４、上
部スペーサ５及びスイッチシート６は、既述の如く大小
の両透孔2A、5Aで形成されるスイッチ動作間隙内に上記
態様で内部可動接点としてのクリック用導電板３を装着
して上下に配置された可動及び固定の接点パターン6Aと
1A、1Bとで二個の常開型スイッチを構成すべく組立て、
それらの構成部材相互間は例えばアクリル系粘着剤等で
適宜接合される。第１図には上記のような二個の常開型
スイッチからなる二段階スイッチ機構を例示的に一個の
み示しているが、斯かる二段階スイッチ機構は仕様に応
じて所要個数設けることが出来、また、その全体の厚さ
は図示しない操作表示シートを含めて1mm前後に薄型化
して機器等の取付け部材７に対して簡便に実装すること
が可能である。

上記構造の膜型キーボードスイッチに於いて、スイッチ
シート６のキー領域側に矢印Ｆで示す如き操作押圧力を
与えて該スイッチシート６をその弾性力に抗して下方に
押し下げると、接点パターン6Aがクリック用導電板３の
頂部に当接して第１のスイッチの閉成下に一つの入力信
号が得られ、引続く操作押圧力の付与によってクリック
用導電板３の瞬時的な反転動作でその頂部の接点状陥部
3Dが第２図の内方固定接点パターン1Aに接触するので、
このクリック用導電板３を介して双方の固定接点パター
ン1A、1Bがクリック感を伴って短絡されて他の入力信号
が与えられる。そして、操作押圧力Ｆを解除するに応じ
て、スイッチシート６はその自己復元力で、また、クリ
ック用導電板３は自動的に各々復帰するので、両スイッ
チは第１図の如き開放状態に戻る。従って、一つのキー
操作によって二段階のスイッチ開閉動作を行うこととな
る。

なお、クリック用導電板３の為の保持シート４は絶縁性
部材で構成するものであるが、他の発展例としてこれを
導電性箔状シートで構成する場合には、クリック用導電
板３の外方端部と外側固定接点パターン1Bとを絶縁し得
るように変更し、クリック用導電板３の反転時に内外両
固定接点パターン1A、1Bが短絡されるように構成すると
共に、その導電性箔状シートの端部を復帰状態に於ける
クリック用導電板３の側部に軽く接触するような構造に
構成すると、該クリック用導電板３とこの導電性箔状シ
ートとで更に一つの常閉型スイッチを得ることができ、
また、その箔状シートをシールド乃至はアース手段に兼
用させることも容易である。

「考案の効果」 本考案に係る二段階スイッチ機構を備えた膜型キーボー
ドスイッチは、内部可動接点として操作押圧力の付与・
解除に応じてクリック感を伴って反転・復帰動するクリ
ック用導電板を併用しながらこのクリック用導電板の上
下に上部接点パターンと固定接点パターンを配装するこ
とにより、一つのキーに対して少なくとも二個の常開型
スイッチを好適に薄型化できるので、操作感覚性に優れ
たスイッチ機能の多機能集約化を低コストに達成可能で
ある。

クリック用導電板の為の保持シートを具備させることに
より、機器に対する実装態様に拘らずクリック用導電板
の反転・復帰動作を安定化して信頼性の高い二段階スイ
ッチ機構を構成できる。また、クリック用導電板及びこ
の保持シートの上部には余計な絶縁層や配線層がないの
で、良好なスイッチ操作性を確保できる。

従来の膜型キーボードスイッチに比較するとキー数を大
幅に低減出来るので、一層の小型化を図れる。

従って、例えば、設置スペースが制約されるカメラのフ
ォーカスロックとシャッターとの如き二段階スイッチ機
構等に好適に採用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わる二段階スイッチ機構を内蔵する
膜型キーボードスイッチの概念的な要部断面構成図、 第２図は固定接点パターンの一例による平面構成図、そ
して、 第３図は内部可動接点として機能するクリック用導電板
の一例による断面構成図である。 1:可撓性絶縁ベース材 1A:内方の固定接点パターン 1B:外側の固定接点パターン 2:下部スペーサ 2A:下部スペーサの透孔 3:クリック用導電板 4:保持シート 5:上部スペーサ 5A:上部スペーサの透孔 6:スイッチシート 6A:上部接点パターン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所要数の固定接点パターンを形成した可撓
   性絶縁ベース材と、上記各接点パターンと各々対応する
   位置に可動接点パターンを形成した可撓性絶縁スイッチ
   シートとを所要のスイッチ動作間隙を介して対向配置す
   るように構成した膜型キーボードスイッチに於いて、上
   記スイッチシートのキー操作領域に対する押圧力の付与
   及び解除に応じて反転・復帰動して上記対向する固定及
   び可動の両接点パターンとの間で開閉動作するクリック
   用導電板を上記スイッチ動作間隙内に配装し、上記スイ
   ッチ動作間隙は、上記クリック用導電板を収容する透孔
   を設けた下部スペーサと、該下部スペーサの上方部位に
   配装されて上記透孔より大きな透孔を備えた上部スペー
   サとで構成し、これら上下両スペーサ間に上記クリック
   用導電板の側部に伸長する該クリック用導電板の為の保
   持シートを介装して二段階スイッチ機構を構成したこと
   を特徴とする膜型キーボードスイッチ。