JPH0723769A - 試料調製装置 - Google Patents

試料調製装置

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JPH0723769A
JPH0723769A JP17002093A JP17002093A JPH0723769A JP H0723769 A JPH0723769 A JP H0723769A JP 17002093 A JP17002093 A JP 17002093A JP 17002093 A JP17002093 A JP 17002093A JP H0723769 A JPH0723769 A JP H0723769A
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JP
Japan
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container
lid
dispensing
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pcr
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JP17002093A
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English (en)
Inventor
Takeshi Fujita
毅 藤田
Masaharu Kiyama
政晴 木山
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生化学試料の調製を行う自動装置において、
簡便で確実にコンタミネーションを防ぐ手段を提供する
こと。またコンタミネーションの問題を解決した信頼性
の高い全自動試料調製装置を提供すること。 【構成】 コンタミネーションの原因となる試料調製操
作である容器ふたの開閉、分注、混合、液体廃棄といっ
た試料調製手段およびその周辺部位に対して操作実行中
に紫外線を、容器深さ方向に対して垂直方向から照射す
るように装置を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療上有用な遺伝子解
析および生体試料の解析を実現する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年遺伝子の解析を行うことにより、感
染症や遺伝病、癌の診断、移植時の組織適合性の検査な
ど医療上重要な知見を得ることが可能になってきた。そ
れと同時に、様々な遺伝子解析方法や遺伝子解析装置が
発明されてきた。
【0003】PCR(Polymerase Chai
n Reaction)法は、試験管内の酵素反応を温
度により制御することにより、目標遺伝子領域を選択的
に複製増幅するもので、最も有力な遺伝子解析方法の一
つである。この方法の発明により、病原菌や病原ウイル
スの遺伝子を選択的に増幅し検出することで、感染症診
断を迅速確実かつ高感度に行うことが可能となった。ま
た、PCRでヒトの遺伝子の中で特定の遺伝子のみを増
幅した後、その部分の遺伝情報を調べることにより、様
々な疾病の診断や医療検査を迅速に行う方法も発明され
ている。さらにPCRは適当な反応液を調製した後、該
反応液の温度をDNA解離(ディネーチャー)、再会合
(アニール)、伸長(エロンゲーション)のための三段
階に周期的に制御することにより増幅を行うので自動化
に適しており、PCRを行うための自動装置がシータス
社から販売されている。
【0004】一方遺伝子解析を高スループットに行うた
めに、上記PCR以外の反応プロセスの自動化も進んで
いる。例えば特開平2−275362にあるように、分
注手段、混合手段、遠心分離手段、保温手段などを一筐
体内に組み込み、血液など生体試料からのDNAの抽出
精製、PCR反応液の調製、PCR後の精製及びDNA
配列決定反応といった、遺伝子解析プロセスを自動に行
わせる発明がある。このような装置によれば、診断や検
査に必要な複雑で多段階におよぶ生化学反応を人の手に
よることなく、高スループットに実現することが可能と
なる。加えてPCRを行う自動装置と組み合わせれば、
全自動で遺伝子解析プロセスを実現する装置を構築する
ことも可能である。
【0005】また遺伝子解析プロセスは、感染源である
ウイルスや細菌を含む生体試料や、人体に有毒な試薬を
使用するので、作業者に対する汚染の問題を解決するこ
とは重要である。この問題に対しては、例えば特開平4
−48267にあるように自動解析装置筐体内と筐体外
を滅菌手段によって隔離することにより、作業者への汚
染を避ける方法が発明されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】PCR法はその増幅率
が高いため、わずかな目標DNA配列が試料中に存在す
ればPCRにより検出可能であるが、その高感度さゆえ
に、他の試料から目標DNA配列が混入した場合(コン
タミネーション)にもそれがシグナルとして検出され、
偽陽性が出てしまうという欠点があった。PCRの増幅
率は10の7乗から8乗以上と高いので、通常のPCR
増幅後の反応液100μl中には、数pmolすなわち
10の12乗個程度の目標DNA断片が存在する。この
場合、たとえこの反応液の1億分の1量すなわち1pl
がコンタミネーションしても、その量は10の4乗個程
度で、PCRを再度行えば十分に検出される量となる。
加えて、遺伝子診断においては同一の目標DNA配列に
対して、多検体にわたって同様な解析すなわちPCR増
幅を行うので、このようなコンタミネーションが生じる
と、検出された結果が実際どの検体に由来するものかわ
からなくなってしまうので致命的である。
【0007】このようなコンタミネーションの問題に対
していくつかの対策法が提案されている。
【0008】まず使い捨てのチューブや分注チップを使
用する方法や、ピペッタのプランジャ部にDNAなどの
生体試料を含むエアロゾルを吸い込まないようなフィル
タ付き分注チップを使用する方法は数多く提案され実用
化されている。
【0009】また例えばHiguchi等はPCR前後
で試料を取り扱う部屋や器具を分ける方法や、試料の飛
沫に触れた可能性のあるグローブなどは使い捨てにする
などの方法で、物理的にPCR産物がPCR前の試料と
接触しないような方法を提案している(Nature、
339巻、p237〜p238、18MAY 198
9)。しかし遺伝子解析の医療応用上重要である、生体
試料からのDNAの抽出、精製、PCR、その後の酵素
反応を全自動で一筐体内で実現する装置を構築する場合
は、PCR前後で物理的に場所や器具を分ける上記のよ
うな対策法は実現し難いと考えられる。
【0010】また別の方法として、例えば特表平4−5
06906に見られるように、PCR産物にのみ特別の
化学的修飾が施されるような細工を、例えばプライマや
デオキシリボヌクレオチドに行い、PCR前の試料中に
PCR産物がコンタミネーションした場合にはそれを発
見し、分別できるようにした方法がある。
【0011】しかし遺伝子解析プロセスの全自動化を考
えた場合には、コンタミネーションの有無を調べ、それ
が起こっている場合には分別を行うという臨機応変なプ
ロセスは自動化が困難であり、加えてこの方法では、P
CR産物がPCR前の試料を汚染する場合は対策可能で
あるが、例えば感染症診断を行う場合の陽性検体と陰性
検体との間の汚染、すなわちPCR前の試料間での汚染
については対策不可能である。
【0012】Gobinda等はDNA断片を含まない
試薬を汚染しているDNAに対して、事前に紫外線を照
射しDNAを分解することにより、汚染除去が有効に行
われたと報告している(Nature、343巻、4J
ANUARY 1990)。この紫外線を用いる方法は
自動化が容易であるという点で有効であるが、Gobi
nda等の報告にある方法では、試料DNAやプライマ
DNAを混合した後に紫外線を照射すると必要なDNA
断片までが分解されてしまうので、試料調製操作中に起
こるコンタミネーションについては対策できないという
欠点があった。以上のような従来の技術提案およびその
問題点を踏まえた上で、本発明の目的は生化学試料の調
製を行う自動装置において、簡便で確実にコンタミネー
ションを防ぐ手段を提供することにある。
【0013】またコンタミネーションの問題を解決した
信頼性の高い全自動試料調製装置を提供することも、本
発明の目的である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、従来から提案されていた使い捨てのフィルタ付き
ピペットチップや容器を使用する方法に加えて、コンタ
ミネーションの原因となる試料調製操作である容器ふた
の開閉、分注、混合、液体廃棄のプロセスを自動化し、
それらの試料調製手段およびその周辺部位に対して操作
実行中に紫外線を容器深さ方向に対して垂直方向から照
射するように装置を構成した。
【0015】
【作用】試料調製におけるコンタミネーションの原因
は、次の二つに分けられる。一つは不確定な動きをする
操作者が原因となって、例えば操作者の手や手袋、衣服
等がコンタミネーションを媒介する場合である。またも
う一つは溶液の飛沫やエアロゾルが空中を介して、近く
の試料同士でコンタミネーションを起こしたり、ふた開
閉手段など容器と接触する試料調製手段を介してコンタ
ミネーションを起こしたりする場合、すなわち装置構成
やプロセスが原因となってコンタミネーションが起こる
場合である。
【0016】容器ふた開閉、分注、混合、液体廃棄のプ
ロセスを自動化し、操作者の介入を排除することによ
り、操作者が原因となるいわゆる人為的なコンタミネー
ションは排除される。特に自動装置は常に確定された同
じ動きによって操作を実行するため、不確定なコンタミ
ネーションの原因は無くなり対策が容易になる。
【0017】また、コンタミネーションの原因となる試
料調製操作である容器ふたの開閉、分注、混合、液体廃
棄といった試料調製手段およびその周辺部位に対して操
作実行中に紫外線を、容器深さ方向に対して垂直方向か
ら照射するように装置を構成したことにより、操作実行
中に各試料調製手段に付着したDNAや、飛沫およびエ
アロゾル中に含まれるDNAを、それらが別の試料中に
混入する前に分解することができるようになる。
【0018】紫外線を容器深さ方向に対して垂直方向か
ら照射するようにしたことは本発明の特徴であるが、こ
の事により容器や分注時のピペットチップの外部に出た
DNAに対しては紫外線が照射されるが、容器やピペッ
トチップがポリプロピレン等のプラスチックでできてお
り紫外線を透過しないので、容器内やピペットチップ内
にある試料に対しては、紫外線は照射されず必要なDN
Aは分解されない。すなわち本発明によれば、コンタミ
ネーションの原因となるDNAのみを選択的に分解する
事ができるようになる。
【0019】
【実施例】図1は本発明の自動試料調製装置の概略図、
図2は分注要素およびその周辺の機構を示す図、図3は
分注要素のふた開機構を示す図、図4は分注要素のふた
閉機構を示す図、図5は分注要素の搬送装置を示す平面
図、図6は遠心分離要素を示す平面図、図7は混合要素
を示す図、図8は加温および真空乾燥要素を示す斜視
図、図9は容器反転要素を示す図、図10は搬送要素の
つかみ機構部を示す図である。
【0020】本発明で使用する容器1は、図3、図4に
示すようにはめあい可能なふた1aを備え、容器1とふ
た1aとは一体成型で作られており、また容器1は軽量
で強度の高いポリプロピレン等のプラスチックからな
り、容器1は10000G以上の遠心分離加速度に耐え
ることが出来る。
【0021】本発明における容器1への液体の分注動作
を図1、図2、図3、図4、図5を用いて説明する。図
1において7は分注要素であり容器1に試薬等の液体を
分注する。2は搬送装置で、搬送装置2は容器1を平面
上に搬送する。3はふた開機構であり、搬送装置2によ
って搬送された容器1のふた1aを開く。4はふた閉機
構であり搬送装置2によって搬送された容器1のふた1
aを閉じる。
【0022】搬送装置2の詳細な構成を図2及び図5に
示す。図5において2a、2bは搬送装置2のターンテ
ーブルであり、図2におけるパルスモータ18a、18
bによってターンテーブル2a、2bを駆動する。20
はターンテーブル2a、2bに設けられた容器載置孔で
ある。図5における矢印はターンテーブル2a、2bの
回転方向を示す。
【0023】ふた開機構3の詳細な構成を図3に示す。
容器載置孔20にはレバー24とこれを押す弾性部材2
3が設けられ、容器1を容器載置孔20に固定する。ふ
た開機構3はベース30に固定された保持台29に構成
される。歯車28aはモータ120によって駆動され、
ベルト28cを介して歯車28aと歯車28bは連結さ
れている。また歯車27a、27bは歯車28bと噛み
合っており、この歯車27a、27bにふた引っかけ部
材25はピン26a、26bによって回動可能に取り付
けられており、25aは引っかけ部材25の先端部で、
先端部25aはふた1aを引っかける形状になってい
る。
【0024】ふた閉機構4の詳細な構成を図5に示す。
ふた閉機構4はベース30に固定された保持台35上に
構成されている。歯車34aはモータ121によって駆
動され、ベルト34cを介して歯車34aと歯車34b
は連結されている。また歯車33a、33bは歯車34
bと噛み合っており、この歯車33a、33bにふた押
し倒し部材31はピン32a、32bによって回動可能
に取り付けられており、ふた押し倒し部材31にローラ
31aが設けられ、ローラ31aはふた1aを押す形状
となっている。
【0025】分注要素7の詳細な構成を図2に示す。5
はチップ取付け部38bに取り付けられるフィルタ付き
分注チップ(以下分注チップと略)である。52は保持
台でありベース30に固定され、分注要素7は保持台5
2に構成されている。50は保持板であり、保持板50
はモータ51a、ベルト51bからなる駆動装置によっ
て図5紙面左右方向に移動される。49はパルスモータ
であり保持板50に取り付けられ、47bはパルスモー
タ49に連結された雄ネジであり、これに螺合する雌ね
じ47aは保持板46に固定され、保持板46は保持板
50に対して上下移動可能に取り付けられている。この
保持板50には保持板46の上下移動動作の原点、上下
リミットを指定する位置センサ(図示せず)が設けられ
ている。37a、37bは保持板46に取り付けられた
胴体部で、胴体部37a、37bとチップ取付け部38
a、38bはプランジャを内包し(図示せず)、胴体部
37aに内包されたプランジャの径は、胴体部37bに
内包されたプランジャの径より小さい。44は保持板4
6に取り付けられたパルスモータであり、42bはパル
スモータ44に連結された雄ネジであり、この雄ネジ4
2bに雌ネジ42aは螺合し、雌ネジ42aにはカバー
39a、39b及びプランジャが取り付けられ、これら
は保持板46に対して上下移動可能となっている。40
a、40bはカバー39a、39bに押されることによ
って、チップ取付部38a、38bに取り付けられた分
注チップ5を取り外すチップ取外し部材である。これら
カバー39a、39b及びプランジャ36a、36bの
位置は、保持板46に設けられた位置センサ(図示せ
ず)で原点、上下リミットを指定する。6は分注チップ
5を供給するチップ供給機構であり、6aは分注チップ
5が収納される収納部であり、6bは収納部6aを搬送
する搬送機構で、6cはモータであり、収納部6a、搬
送機構6b、モータ6cでチップ供給装置6を構成して
いる。15は搬送装置2とチップ供給装置6との間に設
けられたチップ廃棄孔である。
【0026】分注動作は上記分注要素7、搬送装置2、
ふた開機構3、ふた閉機構4の各機構の動作によって行
われる。以下各機構の動作を説明する。図5においてパ
ルスモータ18a、18bを作動すれば、ターンテーブ
ル2a、2bが図3紙面矢印方向に回転されるから、容
器載置孔20に載置された容器1を平面上に搬送するこ
とができる。次いで容器1をふた開機構3に位置させ、
レバー24とこれを押す弾性部材23によって、容器1
を容器載置孔20に固定した後、図4に示すようにモー
タ120により歯車28を図4紙面時計方向に駆動すれ
ば、歯車27a、27bが図4紙面反時計方向に回転
し、先端部25aが上方に移動するので、容器1のふた
1aを開くことができる。
【0027】ついで液体を分注するときは、このふた1
aを開いた状態で、容器1を図3に示す20b、20c
に位置させる。そして図6においてモータ51aを駆動
させ、保持板50を移動すれば、チップ取付け部38
a、38bの図6紙面左右方向の位置を定めることがで
き、またパルスモータ49を作動すれば、チップ取付け
部38a、38bの上下方向の位置を定めることが出来
る。またパルスモータ44を作動すれば、プランジャ及
びカバー39a、39bの上下方向の位置を定めること
ができる。従って、チップ供給機構6を駆動して分注チ
ップ5を供給位置に移動し、チップ取付け部38a、3
8bを収納部6aの上方に位置させた後、チップ取付け
部38a、38bを下降させれば、チップ取付部38
a、38bのどちらか一方に分注チップ5を取り付ける
ことができ、こののちチップ取付け部38a、38bを
上昇し、水平に移動して、チップ取付け部38a、38
bを分注位置にある容器載置孔20bの上方に位置さ
せ、チップ取付け部38a、38bを下降して分注チッ
プ5の先端を容器載置孔20bに載置された容器1内の
液体に浸漬し、プランジャを上昇して分注チップ5内に
液体を吸引し、チップ取付け部38a、38bを上昇
し、水平に移動して、チップ取付け部38a、38bを
ターンテーブル2bの分注位置にある容器載置孔20c
の上方に位置させ、チップ取付け部38a、38bを下
降して分注チップ5の先端を容器載置孔20cに載置さ
れた容器1内に挿入し、プランジャを下降して分注チッ
プ5内の液体を吐出すれば、容器載置孔20bに載置さ
れた容器1から、容器載置孔20cに載置された容器1
に液体を分注することができ、次にチップ取付け部38
a、38bを上昇し、水平に移動して、チップ取付け部
38a、38bをチップ廃棄孔15の上方に位置させ、
カバー39a、39bを下降させれば、カバー39a、
39bによってチップ取外し部材40a、40bが押さ
れ、チップ取付部38a、38bから分注チップ5が取
り外され、分注チップ5がチップ廃棄孔15に廃棄され
る。この場合、目的分注量が少量の場合には、チップ取
付け部38aに分注チップ5を取付け、目的分注量が多
量の場合には、チップ取付け部38bに分注チップ5を
取り付けて、液体の吸引、吐出動作を行わせる。ここ
で、もし分注チップ5のフィルタが無く分注動作を行う
と、試料がエアロゾルとなりチップ取付部38a、b内
側に付着し、次いで分注チップ5を新しいものに変えて
も、他の試料に分注を行うと、チップ取付部38内側の
付着したエアロゾルが試料に混入する。本発明において
はフィルタがあるので、試料を含むエアロゾルはフィル
タに捕集され、チップ取付部38内に侵入することが無
い。よって分注動作ごとの分注チップ5の交換で、試料
が他の試料へ混入することを防ぐことができる。
【0028】次いでふた閉機構4の動作を説明する。図
5においてモータにより歯車34を図5紙面時計方向に
駆動すれば、歯車33a、33bが図5紙面反時計方向
に回転し、ローラ31が円弧上に移動するので、容器1
のふた1aを閉じることができる。
【0029】ここで、本発明の紫外線照射要素の動作に
ついて説明する。図2および図3に示す36aは紫外線
照射要素で紫外線ランプ160で短波長(254nm)
紫外線を図3に矢印Aで示す方向に照射することができ
る。紫外線照射は、影になる部分を残さないために、い
わゆる無影投射のタイプにするのも良いし、図3の紙面
に垂直方向に投影する装置を付加しても良い。上記ふた
開閉動作や分注動作を実行中は、DNAを含む飛沫やエ
アロゾルが発生しやすいので、これらの動作実行中は紫
外線を容器深さ方向に対して垂直方向に照射する。この
事によりふた開閉動作時や分注動作時にDNAを含む飛
沫やエアロゾルが発生しても、それらが別の試料中に混
入する前に照射された紫外線により分解することができ
る。しかしプラスチック製の容器やピペットチップ内に
ある試料溶液に対しては紫外線は届かず分解が起こらな
いので、分注動作実行中にピペットチップ等に紫外線を
照射していても問題はない。また、ふた開要素のつめ部
引っ掛け部材25がふたを開けるときにふた1aと接触
すると、ふた1aに付着しているDNAがふた開要素に
付着し、再び次の容器のふたを開ける場合にコンタミネ
ーションを起こす原因になるが、ふた開要素にも常に紫
外線が照射されているので、たとえふた開時にDNAが
付着しても紫外線により分解されることになる。
【0030】本発明における試薬の遠心分離動作を説明
する。図1における11は遠心分離要素を示し、図6は
その詳細な構成を示したものである。11は遠心加速度
をかけて容器1内の液体を分離する遠心分離機、68は
遠心分離機11の本体、56は高速回転モータ(図示せ
ず)に直結した軸、57は軸56に取り付けられたロー
タ、58はロータ57の外壁、図9における69はロー
タ57に取付けられた鋼線、62は鋼線69に指示され
たスウィングロータ式の遠心バケット、59は遠心バケ
ット62に設けられた容器挿入孔であり、図のように容
器1が挿入される。60は遠心バケット62に設けられ
た溝で、溝60には容器1の上部が係合される。61は
ロータ57と遠心分離バケット62との間に設けられた
隙間調整板、64は本体68に回動可能に取り付けられ
たカム機構、64aはカム機構64に設けられたカム
面、63はカム機構64を回動するためのエアシリン
ダ、66は本体68に回動可能に設けられたレバー、6
5a〜65cはレバー66に取付けられたローラで、ロ
ーラ65a〜65cは弾性部材(図示せず)によりカム
面64aに押しつけられている。67はローラ65aを
回転するためのパルスモータでロータ57の位置を検出
するフォトセンサ(図示せず)が設けられており、カム
機構64、レバー66、ローラ65a〜65c、パルス
モータ67などにより位置決め機構が構成されている。
【0031】この遠心分離機11においては、容器挿入
孔59に容器1を挿入し、容器1の上部の突出部を溝6
0と係合させ、高速回転モータを作動させれば、容器1
にかかる遠心加速度が10000G以上となる高速でロ
ータ57が回転し、遠心バケット62が鋼線を中心とし
て回転し、容器挿入孔59に挿入された容器1内の液体
を分離することができる。そして、高速回転モータを停
止したのち、エアシリンダ63を縮小すれば、カム機構
64が回転し、ローラ65a〜65cがカム面64aに
押されて、ローラ65a〜65cが外壁58と接触す
る。この状態で、フォトセンサの出力に応じてパルスモ
ータ67を作動させれば、遠心バケット62を容器1の
搬出入が可能な状態にすることができる。こののちエア
シリンダ63を伸長すれば、カム機構64が回転し、弾
性部材によりローラ65a〜65cがカム面64aに押
しつけられ、図8に示す状態となる。このように容器1
にかかる遠心加速度が10000G以上となる高速でロ
ータ57が回転するから、DNA溶液に酢酸アンモニウ
ムとエタノール、または酢酸ナトリウムとエタノールを
分注して混合、遠心分離するエタノール沈殿操作でのD
NA回収率を高くすることが出来る。
【0032】本発明における容器1内の液体を混合する
動作を説明する。図1における12は混合要素を示し、
図7はその詳細な構成を示した。70は混合要素本体、
74はボルテックスミキサ、72a〜72cは混合要素
本体70に取り付けられた歯車で、歯車72a〜72c
は噛み合っている。72dは歯車72aに固定されたレ
バー、71は混合要素本体70に一端が取り付けられた
エアシリンダで、エアシリンダ71の他端はレバー72
dにピン結合されている。73は歯車72cに固定され
た容器押さえ機構、76は容器1の突出部を押すことに
より、容器1の方向を修正する容器方向修正機構、75
は容器方向修正機構76を駆動させるためのエアシリン
ダ75で、ボルテックスミキサ74、容器押さえ機構7
3、容器方向修正機構76などにより混合要素12が構
成されている。この混合要素12においては、容器1を
取り付けた後、エアシリンダ71を作動して、容器押さ
え機構73により容器1を押さえた後、ボルテックスミ
キサ74を作動すれば、容器1内の液体を混合すること
ができる。次に、エアシリンダ75を作動して、容器方
向修正機構76により容器1の方向を修正すれば、容器
1を搬出可能な状態にすることができる。
【0033】本発明における液体の保冷方法について説
明する。図1において9は容器1内の液体を保存する保
冷室、9aは冷蔵保存室、9bは冷凍保存室で、冷蔵保
存室9a、冷蔵保存室9bの上面には容器1の上部が係
合する溝が設けられており、冷蔵保存室9a、冷凍保存
室9bで保冷室を構成する。
【0034】この保冷室9においては、冷蔵保存室9a
に容器1を保持すれば、容器1内の液体を冷蔵保存する
ことができ、冷凍保存室9bに容器1を保持すれば、容
器1内の液体を冷凍保存することができる。
【0035】本発明における液体の加温方法について説
明する。図1における10は容器1内の液体を加温する
加温要素を示し、図8にその詳細な構成を示す。図8に
おいて87は密閉容器、91は密閉容器87の上面、8
8は密閉容器87に接続された真空びき用配管で、真空
びき用配管88は真空ポンプ(図示せず)に接続されて
おり、真空びき用配管88などで密閉容器87の内部の
空気を吸引排気する空気吸引排気手段が構成されてい
る。89は密閉容器87に接続された冷媒供給管、84
は密閉容器87内に設けられた金属ブロックで、容器挿
入孔83が16穴設けられている。金属ブロック84は
ヒータ(図示せず)によって加熱され、冷媒供給管路8
9によって冷却される。また金属ブロック84には白金
抵抗線温度センサ132が設けられており、ヒータや冷
媒供給機構を制御する温度制御装置につながっている。
金属ブロック84の上面には容器1の上部が係合する溝
が設けられており、容器1の位置決めができるようにな
っている。また容器挿入孔の形状は容器1の形状に合わ
せて切削され、さらに表面を高熱伝導性接着剤により、
容器1と面接触するように型取りしている。この事によ
り、金属ブロックと容器1そして容器1を介して反応溶
液とは十分な熱接触が保たれている。
【0036】86は密閉容器87に回動可能に取り付け
られた遮断ふた、85は遮断ふた86を開閉するエアシ
リンダ、90は密閉容器87を上下移動するエアシリン
ダで、密閉容器87、金属ブロック84、遮断ふた86
等により加温要素10が構成されている。
【0037】この加温要素10においては、容器挿入孔
83に容器1を挿入し、エアシリンダ85を作動して遮
断ふた86を閉じ、エアシリンダ90を作動して密閉容
器87を上昇して、上面91と遮断ふた86とを当接し
た後、ヒータを作動すれば、容器1内の液体を適当な時
間加温することができ、しかも遮断ふた86が閉じられ
ているので、加温時の熱効率がよくなり、また容器1内
部および容器壁面における温度差が少なくなって、ふた
1aの内側に蒸発した液体が凝集して液体の組成が変わ
ることを防ぐことができ、さらに保冷室9などに与える
熱の影響を少なくすることができる。また、ヒータを停
止した後、冷媒供給管89から冷媒を金属ブロック84
内に循環させれば、金属ブロック84を冷却することが
できる。また、冷却後所定の温度に達した後、冷媒の循
環とヒータ加熱とを競合させて作動させれば、適当な時
間で所定の温度に液体温度を到達させることが可能であ
る。このようにして容器1内の液体の温度を加温し冷却
し再び加温するよう連続的に動作できるので、核酸試料
を複製増幅するPCRが出来る。
【0038】さらに、容器挿入孔83に容器1を挿入
し、エアシリンダ85を作動して密閉容器87を上昇し
て、上面91と遮断ふた86とを当接した後、ヒータを
作動するとともに、真空びき用配管88を介して密閉容
器87の内部の空気を吸引排気すれば、容器1内の液体
を迅速に蒸発させることができるから、コンパクトな構
成でDNA試料の乾燥を容易に行うことができる。
【0039】本発明における液体の廃棄手段について説
明する。図1における13はふた1aが開かれた容器1
を固定し、その状態で容器1を反転して容器1内の液体
を廃棄する容器反転機であり、図9にその詳細な構成を
示す。図9において82は保持台、79は保持台82に
取り付けられた歯車で、歯車79はモータ(図示せず)
に連結されている。78は保持台82に取り付けられた
歯車で、歯車78は歯車79と噛み合っている。77は
歯車78に固定された容器固定台で、容器固定台77は
ふた1aが開かれた容器1が搭載された後に負圧配管
(図示せず)によって内部を負圧にすることにより容器
1を固定する。80は保持台82に設けられた反転動作
終点位置指定センサ、81は保持台82に設けられた反
転動作始点位置指定センサで、歯車78、79、容器固
定台77などで容器反転要素13が構成されている。
【0040】この反転要素13においては、ふた1aが
開かれた容器1を容器固定台77に搭載し、容器1を容
器固定台77に固定した後、モータ(図示せず)を作動
して容器固定台77を回転すれば、容器1内の液体を除
去することができる。
【0041】容器反転機についても試料溶液を廃棄する
時にコンタミネーションが起こる。この原因は試料溶液
が容器反転機の容器固定台77に付着することによる。
そこでこの部分にも図9の紙面表から裏へ貫く方向へ紫
外線を照射するよう装置が構成されている(図1の36
b)。このことにより、容器反転機の容器固定台77に
付着したDNAは紫外線による分解を受け、コンタミネ
ーションが防止される。
【0042】図1において16は使い終わった容器1を
廃棄する容器廃棄孔である。
【0043】本発明における容器1の搬送方法について
説明する。図1において14は容器1を搬送装置2、遠
心分離要素11、混合要素12、保冷室9、加温要素1
0、容器反転要素13、容器廃棄孔16間に搬送する搬
送要素を示し、図10において搬送要素14の容器1を
つかむつかみ機構の詳細な構成を示す。図1において1
4aはX軸駆動機構、93はX軸駆動機構14aのモー
タ、94は雄ネジ、95はモータ93の出力軸と雄ネジ
94とを連結するカップリング、14bはX軸駆動機構
14aに取り付けられたY軸駆動機構、14cはY軸駆
動機構14bに取り付けられた上下移動機構であり、図
10において53は上下移動機構14cのエアシリン
ダ、53aはエアシリンダ53の空気配管、14dは上
下移動機構14cに取り付けられたつかみ機構、54は
つかみ機構14dのエアシリンダ、54aはエアシリン
ダ54の空気配管、55はエアシリンダ54によって駆
動されるハンドリングチャックで、X軸駆動機構14
a、Y軸駆動機構14b、上下移動機構14c、つかみ
機構14dで搬送機14を構成している。
【0044】この搬送要素14においては、エアシリン
ダ54を作動してハンドリングチャック55により容器
1をつかんだ状態で、X軸駆動機構14a、Y軸駆動機
構14b、上下移動機構14cを作動すれば、容器1を
搬送装置2、遠心分離要素11、混合要素12、保冷室
9、加温要素10、容器反転要素13、容器廃棄孔16
間に搬送することができる。
【0045】次に本発明の装置を用いて遺伝子解析プロ
セスを実行した場合の例をコンタミネーションの評価を
含めて説明する。
【0046】実施例1 本実施例1で採用したプロセスは、ヒト全血液からゲノ
ムDNAを抽出し、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子D
Qα領域のPCR増幅を行い、さらにこのPCR産物を
鋳型にして非対称PCRを行うものである。取り扱う試
料数は4本で、そのうち2本は血液が入った陽性の試料
で、残り2本は出発材料として滅菌蒸留水しか入れてい
ないダミーの試料である。すなわち、PCR後にダミー
サンプルに増幅されたバンドが検出された場合は、コン
タミネーションが発生したことになる。
【0047】生体試料からのDNAの抽出精製プロセス
について説明する。出発材料は全血50μlで容器1
(容量1.5ml)に入っている。これに蒸留水1ml
を分注機7により加え、混合要素12により震倒し溶血
させる。この液を遠心分離要素11により10000×
gで1分間遠心分離した後上清を反転要素13により除
去(デカンテーション)し沈殿物を得る。これに再度蒸
留水を加え、溶血、遠心分離、デカンテーションと再度
同様の操作により2回溶血を行った沈殿物を得る。この
沈殿物にTNEバッファ(10mM Tris−HCl
(pH8.0),1mM EDTA(pH8.0),1
00mM NaCl)を90μl、10%SDSを10
μl、10mg/mlのProtenaseK(MER
CK社)を5μl加え、加温要素10により50℃で1
0分間インキュベートし蛋白質の分解を行う。
【0048】次にこの溶液にフェノール・クロロフォル
ム溶液(水飽和フェノール:水飽和クロロフォルム(1
/24イソアミルアルコール添加)=1:1)を100
μl加え、混合要素によって混合かくはんを行い、その
後10000×gで1分間遠心分離した物の上清(水層
部分)を分注要素により吸引し他の容器1に移す(フェ
ノール・クロロフォルム抽出)。このフェノール・クロ
ロフォルム抽出を2回行った後、水層量の30%(体積
比)量の3M NaCl水溶液と水層量(NaCl含
む)の2.5倍量の99.5%エタノールを加え、10
000×gで20分間遠心分離を行う(エタノール沈
殿)。
【0049】遠心後上清部分を容器反転要素によりデカ
ンテーションして取り除き、容器底面壁に沈殿したペレ
ット状の物(DNA)に対して静かに80%エタノール
水溶液を200μl加え、10000×gで3分間遠心
分離し上清部分を容器反転要素によりデカンテーション
して取り除く(エタノールリンス)。このエタノールリ
ンス操作を2回繰り返して行ったペレット状の沈殿物を
含む容器1をふたを開放した状態で加温要素10に設け
られた容器挿入孔83に挿入し、真空乾燥要素86,8
7により残ったエタノール水溶液を蒸発させDNAペレ
ットを得る。
【0050】乾燥後このDNAペレットを100μlの
TEバッファ溶液(10mM Tris−HCl(pH
7.5),1mM EDTA)に溶解する(DNA抽
出、精製段階終了)。
【0051】目的DNA部分のPCR増幅段階について
説明する。PCRバッファとしての50mM KCl,
10mM Tris−HCl(pH8.3),1.5m
MMgCl2,0.001% ゼラチン(終濃度)のバ
ッファ溶液中に、各20nmolのデオキシリボヌクレ
オチド三燐酸(dNTP:dATP,dCTP,dGT
P,dTTP)、所定量(ここでは各20pmol)の
2種類のプライマ(GH26,GH27;Ulf B.
Gyllensten and HenryA.Erl
ich プロシーディング ナショナル アカデミー
オブ サイエンス ユー.エス.エー(Proceed
ing National Academy of S
cience of U.S.A.)Vol.85,p
p.7652−7656,October 1988)
および上記抽出方法で抽出精製したゲノムDNAを10
μl(抽出量の1/10量;約50から100ng)加
え、全量で100μlとした後、耐熱性DNAポリメラ
ーゼ(Taqポリメラーゼ)を加える。最後に反応液の
蒸発防止のために鉱物油を60μl程加える。これらの
試料調製は、すべて分注要素によって実行される。
【0052】以上のように調製したPCR反応溶液を加
温要素10(PCR反応槽)の容器挿入孔83に装着
し、該反応槽の温度をデネーチャー、アニール、DNA
伸長のそれぞれの温度にサイクリックに変化させること
によりPCRを行う。本実施例では、94℃ 1分、5
7℃ 2分、72℃ 1分を1サイクルとして40サイ
クルのPCRを行った。
【0053】本実施例ではPCRを通常のPCR(1段
階目)とプライマ量比を非対称に制御してDNA二本鎖
のうち片側一本鎖のみを特異的に増幅する非対称PCR
(2段階目)の2段階で行っている。この非対称PCR
は本来、塩基配列を決定するシーケンス反応を効率良く
行うために有効な反応であるが(Ulf B.Gyll
ensten and Henry A.Erlich
プロシーディングナショナル アカデミー オブ サ
イエンス ユー.エス.エー(Proceeding
National Academy of Scien
ce ofU.S.A.)Vol.85,pp.765
2−7656,October 1988)、ここでは
一段目のPCR産物を取り扱って試料調製を行う場合に
も、本発明のコンタミネーション防止対策が有効である
かどうかを評価する上でも重要である。
【0054】上記のように通常のPCRにより増幅され
た目的二本鎖DNAは、非対称PCRに持ち込まれる。
すなわち上記と同様なバッファ溶液(50mM KC
l,10mM Tris−HCl(pH8.3),1.
5mM MgCl2,0.001% ゼラチン(終濃
度))中に各20nmolのデオキシリボヌクレオチド
三燐酸(dNTP:dATP,dCTP,dGTP,d
TTP)を混合した物に所定量比の2種類のプライマ
(この場合GH26;過剰量、GH27にM13アンカ
プライマ配列をつなげた物;制限量)を混合し、該バッ
ファ溶液に1段階目のPCRの産物を1μl(1/10
0量)を持ち込む。これにTaqポリメラーゼを2.5
unit混合し最後に鉱物油で上部を覆いふたを閉じて
PCR反応槽に装着する。これらの試料の調製も一段目
のPCR溶液を調製したものと同じ分注要素により調製
される。この後所定のサイクル数PCRを行うことによ
り2段階目の非対称PCRを完了する。本実施例での2
段目非対称PCRは一段目と同様の温度サイクルで25
サイクル行った。
【0055】図11に上記実施例で行った一段目PCR
および二段目非対称PCRの産物の電気泳動結果の模式
図を示す。図11−A、図11−Cは操作実行中に紫外
線を照射した場合で、Aは一段目PCR、Cは二段目非
対称PCRの結果である。また図11−B、図11−D
は紫外線照射を行わなかった場合で、Bが一段目PC
R、Dが二段目非対称PCRである。A〜D図において
図中矢印の位置が増幅産物のバンド位置である。C、D
図において二段目非対称PCRの結果に二本のバンドが
見えるのは、非対称で増幅した一本鎖DNAと通常の二
本鎖DNAの二つが検出されているからである。同時に
調製した4本の試料がそれぞれレーン1からレーン4に
泳動されており、血液を取り扱った正規の試料(レーン
1、3)と血液の入らないダミーのサンプルが(レーン
2、4)交互に泳動されている。
【0056】図に示される結果から、一段目PCRを行
っただけの試料のダミーサンプルからは、紫外線照射の
有無にかかわらず増幅産物のバンドは検出されず、血液
を取り扱った正規の試料のみ増幅産物のバンドが検出さ
れたことがわかる。このことから、本発明の自動試料調
製装置によれば、血液からDNAを抽出する過程では検
出感度以上のコンタミネーションは起こらないと判断で
きる。
【0057】また、二段目非対称PCRの泳動結果で
は、図Cにおける紫外線照射を行った場合のダミーサン
プル(レーン2、4)からは増幅バンドが検出されず、
図Dにおける紫外線照射を行わなかった場合のダミーサ
ンプル(レーン2、4)からは、薄くバンドが検出され
た。これは非常に目的DNA断片の濃度の高い一段目の
PCR産物を含む試料を取り扱った場合、紫外線照射を
行わないとコンタミネーションが起こるが、しかし紫外
線照射を行えばコンタミネーションを防止できることを
示している。また、血液を取り扱った正規の試料につい
ては、紫外線照射の有無にかかわらず増幅バンドが同様
に検出されている。この血液を取り扱った正規の試料の
二段目非対称増幅産物を用いて常法により塩基配列決定
を行った結果、良好な結果が得られた。このことからチ
ューブ内やピペットチップ内の試料に対して紫外線の影
響は無いと判断できる。すなわち本発明の方式による紫
外線照射はコンタミネーションを起こすDNAを選択的
に分解し、コンタミネーションを防止するために有効で
ある。
【0058】本実施例では一例のみしか示していない
が、以上に示した結果は通常のルーチンワークの中で再
現性の見られるものである。
【0059】実施例2 次に実施例2として、B型肝炎患者の血清からHBV
(B型肝炎ウイルスゲノム)の検出をPCRを応用して
行った場合について示す。この方法はB型肝炎の高感度
診断法として有効であるが、コンタミネーションによる
偽陽性の問題が示唆されていた。
【0060】本実施例2ではB型肝炎患者(陽性)4例
と、健常者(陰性)4例の血清から同時にDNAを調製
し、PCRを行ってHBV遺伝子の増幅の有無を調べ
た。この試料調製操作実行中に紫外線照射を行った場合
と、行わなかった場合とで結果を比較し、実施例1と同
様にコンタミネーションの有無を判断した。
【0061】血清からのDNA抽出プロセスについて説
明する。以下に示すプロセスは、宗川による方法(蛋白
質 核酸 酵素 35巻 17号(1990)p300
3〜p3010)を参考にして構成したものである。
【0062】各検体から、100μlの血清をとり、そ
れに100μlの蛋白分解バッファ(10mM Tri
s−HCl(pH8.0),5mM EDTA(pH
8.0),150mM NaCl、0.5%SDS、1
0μgProtenaseK(MERCK社))を分注
要素7で加え、加温要素10により37℃で3時間イン
キュベートし蛋白質の分解を行う。
【0063】その溶液に100μlのフェノール/クロ
ロホルムを加え、例1と同様にフェノール/クロロホル
ム抽出、エタノール沈殿を行う。エタノール沈殿後乾燥
させたペレットDNAを例1と同様に100μlのTE
に溶解し、この内の10μlをPCRに使用する。
【0064】目的DNA部分のPCR増幅段階について
説明する。
【0065】PCRバッファとしては、例1と同様に5
0mM KCl,10mM Tris−HCl(pH
8.3),1.5mM MgCl2,0.001% ゼ
ラチン(終濃度)のバッファ溶液中に、各20nmol
のデオキシリボヌクレオチド三燐酸(dNTP:dAT
P,dCTP,dGTP,dTTP)、各10pmol
の2種類のプライマ(HB−1、HB−2)および上記
抽出方法で抽出精製したゲノムDNAを10μl(抽出
量の1/10量;約50から100ng)加え、全量で
100μlとした後、耐熱性DNAポリメラーゼ(Ta
qポリメラーゼ)を加える。最後に反応液の蒸発防止の
ために鉱物油を60μl程加える。これらの試料調製
は、すべて分注要素によって実行される。プライマHB
−1およびHB−2の配列は次のとおりである。HB−
1;5’−GGACTTCTCTCAATTTTCTA
GGG−3’、HB−2;5’−CAAATGGCAC
TAGTAAACTGAGC−3’。このように調製し
たPCR溶液を加温要素により、94℃ 1分、55℃
2分、72℃ 3分を1サイクルとして50サイクル
行った。
【0066】図12に上記実施例2で行ったPCRの電
気泳動結果を模式的に示す。図12−Aは操作実行中に
紫外線を照射した場合で、図12−Bは紫外線照射を行
わなかった場合である。A、B図において図中矢印の位
置が増幅産物のバンド位置である。同時に調製した8本
の試料がそれぞれレーン1からレーン8に泳動されてお
り、肝炎患者による陽性試料はレーン1から4に、健常
者による陰性のサンプルがレーン4から8に泳動されて
いる。
【0067】図に示される結果から、50サイクル後の
PCR産物からは、紫外線照射を行わないと、場合によ
ってコンタミネーションのバンドが検出される(図Bの
レーン5、6)。実施例1では、1段目の増幅では紫外
線照射の有無にかかわらずコンタミネーションのバンド
が見られなかったに対して、本実施例2でコンタミネー
ションバンドが場合によって検出されたのは、50サイ
クルと高感度に目標DNAを検出しているからであると
考えられる。しかし、紫外線照射を行った場合(図A)
は、コンタミネーションは全く検出されなかったので、
本発明の紫外線照射が有効であることがわかる。
【0068】また、図12−C、Dは、一度上記の試料
調製プロセスを行った後、連続的に新たな検体を該プロ
セスにより試料調製した場合の結果であり、図Cは紫外
線照射を行った場合で図Dは紫外線照射を行わなかった
場合である。図Dからわかるように、何度か同一遺伝子
領域に関する試料調製を行った後には、全ての陰性サン
プルのレーンにコンタミネーションが検出される。これ
は、飛沫やエアロゾルが直接他のサンプルに混入するだ
けでなく、各試料調製手段を介してコンタミネーション
が起こっていることを示している。しかし、図Cにおけ
る陰性サンプルにバンドが見られないことから、上記の
ようなコンタミネーションも紫外線照射により完全に解
決されることがわかる。
【0069】以上本発明に関する実施例を説明したが、
上記実施例で述べたHLA遺伝子解析プロセスやB型肝
炎診断に代表される感染症診断プロセスは本発明の単な
る実施例に過ぎず、本発明は各反応要素が実現できる様
々な遺伝子解析プロセスに応用可能である。
【0070】また、本実施例においては、装置構成とし
て反応容器とピペッタによる分注操作を基本にしたバッ
チ方式の試料調製プロセス及び装置について説明した
が、本発明の適用範囲はこれに留まらず、紫外線を試料
調製操作実行中に照射しコンタミネーションを防ぐよう
構成された装置及び方法は、例えば流体の管内輸送を基
本にしたフロー方式などの場合も、その試料調製プロセ
スの構成にかかわらず本発明の適用範疇である。
【0071】
【発明の効果】本発明により生化学試料調製プロセスに
おいて非常に有効なコンタミネーション防止手段およ
び、この問題を解決した信頼性の高い全自動試料調製装
置を提供することができた。この事により、医療上有効
な自動診断装置もしくは自動分析装置の信頼性を大きく
高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動試料調製装置の概略図。
【図2】分注要素およびその周辺の機構を示す図。
【図3】分注要素のふた開機構を示す図。
【図4】分注要素のふた閉機構を示す図。
【図5】分注要素の搬送装置を示す平面図。
【図6】遠心分離要素を示す平面図。
【図7】混合要素を示す図。
【図8】加温および真空乾燥要素を示す斜視図。
【図9】容器反転要素を示す図。
【図10】搬送要素のつかみ機構部を示す図。
【図11】実施例1の結果を表す図。
【図12】実施例2の結果を表す図。
【符号の説明】
1:容器、2:容器搬送台、3:ふた開機構、4:ふた
閉機構、5:チップ、6:チップ台、7:分注機(ピペ
ッタ)、8:試薬瓶、9:冷凍および冷蔵庫、10:加
温および真空乾燥機、11:遠心分離要素、12:混合
要素、13:容器反転要素、14:容器搬送要素、1
5:分注チップ廃棄孔、16:廃液孔、17:装置筐
体、84:温度制御ブロック、87:密閉容器、36
a,36b:UV(紫外線)照射器。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生化学試料の調製を行う装置において、紫
    外線照射手段を具備し、試料調製操作を実行する手段お
    よびその周辺部位に対して、試料調製操作実行中に紫外
    線照射を行うことを特徴とする試料調製装置。
  2. 【請求項2】試料調製操作を実行する手段は、紫外線を
    透過しない材料で作られたふた付き容器のふたを開閉す
    るふた開閉手段と、複数の液体を容器内に分注する分注
    手段と、容器内の液体を混合する混合手段と、容器内の
    液体を廃棄する廃棄手段のうち、少なくとも一つを具備
    する装置であって、前記手段による試料調製操作実行中
    に、前記紫外線照射手段によって容器深さ方向に対して
    垂直方向から紫外線照射を行うよう構成されたことを特
    徴とする請求項1記載の試料調製装置。
  3. 【請求項3】紫外線を透過しない材料で作られたふた付
    き容器のふたを開閉するふた開閉手段と、複数の液体を
    容器内に分注する分注手段と、容器内の液体を混合する
    混合手段と、容器内の液体を廃棄する廃棄手段と、前記
    混合された液体を分離する分離手段と、液体の温度を所
    定の温度に制御する温度制御手段と、前記各手段に対し
    て容器を搬送する搬送手段と、容器の搬送と前記各試料
    調製操作を所定のプログラムに従って連続的に実行する
    制御手段とを具備するとともに、前記各手段による試料
    調製操作実行中に、前記紫外線照射手段によって容器深
    さ方向に対して垂直方向から紫外線照射を行うよう構成
    されたことを特徴とする試料調製装置。
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