JPH0723496B2 - 鉄浴式溶融還元炉の操業方法 - Google Patents

鉄浴式溶融還元炉の操業方法

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JPH0723496B2
JPH0723496B2 JP63017233A JP1723388A JPH0723496B2 JP H0723496 B2 JPH0723496 B2 JP H0723496B2 JP 63017233 A JP63017233 A JP 63017233A JP 1723388 A JP1723388 A JP 1723388A JP H0723496 B2 JPH0723496 B2 JP H0723496B2
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満 佐藤
英毅 石川
浩 平田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鉄浴式溶融還元炉による溶鉄の製造方法に関
する。
[従来の技術] 特開昭54-158320号公報は、酸素を上底吹きできる反応
容器を用いて高クロム鉱を溶製する方法で、転炉状の反
応容器の上方から溶鉄、クロム鉱石、コークス塊、石炭
を半連続的に装入しながら溶湯に酸素と炭素質粉体を吹
き込み酸素を上吹きして高クロム溶湯を製造する方法で
ある。この方法は高クロム溶湯の製造方法で溶鉄の製造
方法ではない。又この方法では塊状の炭素質や塊状のク
ロム鉱石を反応容器の上方から装入する。
この公報には格別の記載はないが、粉状の例えば石炭粉
を反応容器の上方から装入すると、本発明者等の知見で
は、上吹き酸素等による反応容器内の強いガス流で石炭
粉は飛ばされ、装入の効果は少ない。
一般に石炭採掘、輸送の際に多量の石炭粉が発生する。
この石炭粉は塊状の炭素質に加工する事はできるが煩瑣
なため、石炭粉をそのまま使用できる方法が望ましい。
特開昭58-136709号公報には炭素質材料をキャリアガス
で、融成物の内部に吹き込む製鋼法が述べられている。
この方法は鉄鉱石から直接に鋼を製造する方法で溶鉄を
製造する方法ではない。
本発明者等の知見によると、炭素含有量の高い溶鉄の場
合は、格別の工夫を行わないと、吹込まれた炭素質材料
は鉄浴を吹き抜けるか、もしくはスラグのFeOが上昇し
てスラグを泡立たせて、スラグが反応容器から溢れる等
の問題点が発生する。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は塊状の炭材を用いないでも操業でき、酸化鉄粉
が能率よく還元でき、更にスラグ泡立を起さないで安定
に操業できる、鉄浴式溶融還元炉の操業方法の開示を目
的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明は、酸素を上底吹きできる反応容器を用いた鉄浴
式溶融還元炉において、炭素含有量が2.0〜4.2%の鉄浴
中に、鉄浴の炭素含有量を2.0〜4.2%に保ちつつ且つス
ラグ中のFeO含有量を5.0%以下に保ちつつ、炭材粉と酸
化鉄粉と底吹き酸素を吹き込むと共に、上吹き酸素を下
記(1)式を満足するように吹酸する事を特徴とする、
鉄浴式溶融還元炉の操業方法である。
LS<HS ………(1) 但しLS:上吹酸素の吹酸で作られたスラグキャビティ深
さ(mm)、HS:スラグ厚さ(mm) 第1図は本発明の鉄浴式溶融還元炉の例を示す図であ
る。反応容器1は耐火物で内張りされた転炉状のもの
で、炉の下部には底吹酸素吹込羽口2、炭材粉吹込口
3、及び酸化鉄粉吹込口4が設けられている。炭材粉や
酸化鉄粉はキャリアガス(例えばN2ガス)によって炭材
粉吹込口3や酸化鉄粉吹込口4から鉄浴5中に吹込まれ
る。第1図は底吹酸素吹込羽口2、炭材粉吹込口3、酸
化鉄粉吹込口4を独立に設けた例であるが、多重管状の
吹込み装置を用いて、これ等を一箇所から吹込んでもよ
い。6は上吹酸素吹込みランスで酸素を下方に吹きつけ
る。
本発明では鉄浴とスラグよりなる反応容器内の溶融状態
の内容物に、炭材と酸化鉄を加え、吹酸し、酸化鉄を鉄
に還元して溶鉄量を増加せしめ、所定の溶鉄量に達する
と出湯し、例えば別に設けた製鋼炉で脱炭し精錬を行
う。最初の鉄浴や溶融スラグよりなる反応容器内の溶融
状態の内容物は、別に設けた例えば電気炉等で製造して
もよいが、例えば前回の出湯に際して溶融スラグや溶鉄
を全量は出湯しないで、一部反応容器内に残存せしめて
用いてもよい。
本発明では鉄浴の炭素含有量は2.0〜4.2%で操業する。
最初の鉄浴の炭素含有量が低過ぎる時は、例えば炭材粉
のみを底から吹込み2.0%以上とし、又炭素を過剰に含
有する際は酸化鉄や底吹酸素で調整して4.2%以下とす
る。
本発明で炭材粉とは、粒度が約1mm以下の微粉状の石炭
粉やコークス粉をいう。この炭材粉は鉄浴式溶融還元炉
の上方から装入すると、大部分が溶融還元炉の強い気流
によって飛散するし、スラグ上に達してもスラグや鉄浴
中に入って酸化鉄を還元する事はなく、スラグ上に浮遊
して燃焼するに至る。しかし本発明ではこの炭材粉を有
効に使用する。本発明ではスラグ中のFeO含有量を5.0%
以下に保持するが、5.0%超になるとスラグ泡立ちが生
ずるために、酸化鉄粉や底吹酸素の吹込量を絞って調整
する。
上吹酸素は、第1図のLSで示した吹酸で作られたスラグ
キャビティ深さが、スラグ厚さHSよりも小さくなるよう
に吹込む。従って上吹酸素が鉄浴に直接吹きつけられる
事はない。
[作用] 鉄浴式溶融還元炉では酸化鉄は下記の如くに還元されて
溶鉄となる。
(FeO)+(C)→Fe+CO ………(2) (FeO)+[C]→Fe+CO ………(3) [FeO]+[C]→Fe+CO ………(4) 但し(FeO)はスラグ中に存在する酸化鉄、 (C)はスラグ中に存在する炭素、 [FeO]は鉄浴中に存在する酸化鉄、 [C]は鉄浴中に存在する炭素、 (2)式はスラグ内での還元反応である。しかし炭材が
粉の場合は、スラグに留り難く、スラグ表面に浮上して
燃焼もしくは飛散ロスするために炭材粉の効率が低い。
又この方法で反応速度を大きくするために(FeO)の濃
度を上げるとスラグ中に微細なCOガス気泡が多量に発生
して、スラグは泡立して反応容器から溢れる。
(3)式はスラグと鉄浴との接触界面での反応である
が、反応速度を大きくするために(FeO)の濃度を高く
すると、矢張りスラグの泡立が発生する。本発明では
(4)式の反応が進行し易いように操業を制御する。
(4)式の反応が進行すると、スラグの(FeO)の濃度
上昇を抑制し、スラグの泡立ちも減少する。本発明で鉄
浴中のC含有量は2.0〜4.2%である。Cが2.0%未満で
は鉄浴に酸化鉄粉を吹込んでも反応性は弱い。Cが4.2
%超の鉄浴に炭材粉を吹込むと、鉄浴中にCが既に飽和
量に近い濃度に含有されているために、吹込んだ炭材粉
は鉄浴に溶解しないで鉄浴中を浮上し、更にスラグ中に
も留らないでスラグの表面に浮上して燃焼し、また飛散
し、炭材粉の吹込み効率が悪くなる。鉄浴中のC濃度が
2.0〜4.2%であると、吹込んだ炭材粉は鉄浴中にC成分
となって溶解し易く、鉄浴中に溶解したCによって酸化
鉄粉は急速に還元される。
炭材粉は酸化鉄粉を還元するに相当する量よりも過量に
吹込む。(4)式の酸化鉄の還元は吸熱反応である。本
発明は過量に吹込んだ炭材粉や鉄浴中のCを底吹き酸素
で酸化し発熱させて鉄浴を昇温する。底吹き酸素は又鉄
浴を強く攪拌するために(4)式の反応を更に活発にす
る。本発明では(4)式でCOガスが発生し又底吹酸素と
鉄浴中のCが反応してCOガスを発生させるが、鉄浴中で
発生したCOガスは大きな気泡となってスラグ中を吹抜け
るため、スラグを泡立たせることはない。本発明ではス
ラグ中のFeO含有量を5.0%以下に保つ。既に述べた如
く、スラグ中のFeOが5.0%以下であると、スラグ中に微
細なCOガスの気泡が多発しないために、スラグが泡立つ
事はない。
本発明では上吹ランスから更に吹酸を行う。
この吹酸によってスラグは攪拌され反応性が更に高めら
れ、又炉内のCOガスが上吹ランスからの酸素ジェットで
酸化されてCO2となる。鉄浴式溶融還元炉は、熱経済
上、下記(5)式で示した二次燃焼効率ηが高い事が望
まれる。
η=(CO2+H2O)/(CO2+CO+H2O+H2) ………
(5) 但しCO2,H2O,CO,H2は反応容器から排出されるガス中の
各成分の濃度(容積%)である。上吹ランスからの吹酸
が強過ぎて、吹酸で作られたキャビティが深くなり過ぎ
ると、このガス流に巻き込まれたCO2ガスやH2Oガスが
鉄浴に当接して、下記(6)式及び(7)式の如くに鉄
浴中に溶解しているCと反応してCOガスを発生させる。
CO2+[C]→2CO ………(6) H2O+[C]→CO+H2 ………(7) (6)式及び(7)式の反応が起きると、鉄浴中の炭素
含有量が下るために炭材粉の吹込効果が損われるし又二
次燃焼効率も低下し熱経済上不都合となる。
本発明では(1)式に示した如く、LS<HSとなるように
上吹ランスから吹酸するため、吹酸で作られたキャビテ
ィが深くなり過ぎる事はなく、従って(6)式や(7)
式の反応が抑制されることとなる。
[実施例] 第1図に示した反応容器に、溶銑(C:3.5%)を50トン
と、スラグ(CaO/SiO2=1.2,MgO:15%,Al2O3:15%)を
20トン装入し、上部からは酸化鉄や炭材を装入しない
で、炉底からキャリアガスを用いて吹込んだ。上吹ラン
スからの吹酸量は6000Nm3/h,底吹酸素量は3000Nm3/h
で、 HS(スラグ厚さ)=1000mmでLS(スラグキャビティ深
さ)=600mmとした。
炉底からはN2をキャリアガスとして石炭粉(粒度1mm以
下)を10.5トン/h,鉄鉱石粉を12トン/hで溶銑中に吹込
んだ。
約1時間吹錬し、7.6トンの溶銑が生成した。操業中の
スラグのFeO含有量は2〜4%で、溶銑中の炭素含有量
は3〜4%であった。吹錬は円滑でスラグのフォーミン
グはなく、二次燃焼効率は40〜60%であり、石炭のダス
トロスは約3%であった。
[発明の効果] 本発明は、鉄浴式溶融還元炉を、粉状の炭材を用いて操
業できる方法で、一般に多量発生する粉状の炭材を塊状
に成形加工しないで使用でき、又酸化鉄は能率よく還元
でき、スラグの泡立も少なく操業が安定し、更に熱経済
性も優れているために、産業上の効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の鉄浴式溶融還元炉の例を示す図であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素を上底吹きできる反応容器を用いた鉄
    浴式溶融還元炉において、炭素含有量で2.0〜4.2%の鉄
    浴中に、鉄浴の炭素含有量を2.0〜4.2%に保ちつつ且つ
    スラグ中のFeO含有量を5.0%以下に保ちつつ、炭材粉と
    酸化鉄粉と底吹き酸素とを吹き込むと共に、上吹き酸素
    を下記(1)式を満足するように吹酸する事を特徴とす
    る、鉄浴式溶融還元炉の操業方法 LS<HS ………(1) 但し、LS:上吹酸素の吹酸で作られるスラグキャビティ
    深さ(mm),HS:スラグ厚さ(mm)
JP63017233A 1988-01-29 1988-01-29 鉄浴式溶融還元炉の操業方法 Expired - Lifetime JPH0723496B2 (ja)

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