JPH07233823A - 自動車用液圧ブレーキ装置 - Google Patents

自動車用液圧ブレーキ装置

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Publication number
JPH07233823A
JPH07233823A JP6028046A JP2804694A JPH07233823A JP H07233823 A JPH07233823 A JP H07233823A JP 6028046 A JP6028046 A JP 6028046A JP 2804694 A JP2804694 A JP 2804694A JP H07233823 A JPH07233823 A JP H07233823A
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JP
Japan
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brake
force
control piston
cylinder
piston
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Application number
JP6028046A
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English (en)
Inventor
Yoshitomo Watabe
良知 渡部
Akira Nakamura
彬 中村
Harumi Ohori
治美 大堀
Fujio Toba
富士夫 鳥羽
Akira Sakai
酒井  朗
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレーキシューのつれ回り力を制動力に反映
することができ、エア抜きの容易なドラムブレーキを有
する自動車用液圧ブレーキ装置を提供する。 【構成】 マスタシリンダ液圧が低く、制御ピストン5
6に作用するリーディングシュー22,トレーリングシ
ュー24のつれ回り力が小さい間は制御ピストン56は
前進位置にあり、マスタシリンダ液圧がホイールシリン
ダ44に伝達される。シュー22,24のつれ回り力が
増大し、制御ピストン56が後退すれば開閉弁122が
閉じ、ホイールシリンダ44への液圧の伝達が遮断され
る。ライニングの摩擦係数が増大すればシュー22,2
4のつれ回り力は加速度的に増大するが、その場合には
ホイールシリンダ液圧が低い状態で開閉弁122が閉
じ、過大な制動力の発生が回避され、制動力のばらつき
が小さく抑えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はドラムブレーキを有する
自動車用液圧ブレーキ装置に関するものであり、特に、
制動力がブレーキシューのつれ回り力に基づいて制御さ
れる液圧ブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用液圧ブレーキ装置にドラムブレ
ーキが使用されている。ドラムブレーキは、マスタシリ
ンダからホイールシリンダに伝達される液圧によりブレ
ーキシューがブレーキドラムに押し付けられ、ブレーキ
シューのつれ回り力(厳密には、ホイールシリンダがブ
レーキシューに加える力とブレーキドラムとブレーキシ
ューとの間の摩擦力とに基づいて、ブレーキシューがア
ンカ側へ移動しようとする力)がアンカによって受けら
れることによりブレーキドラムの回転が抑制されるもの
であり、例えば、実開昭62−131968号公報に記
載の自動車用液圧ブレーキ装置においては、後輪の回転
を抑制するためにドラムブレーキが用いられている。
【0003】この公報に記載の液圧ブレーキ装置におい
ては、マスタシリンダとドラムブレーキを作動させるリ
ヤホイールシリンダとの間にプロポーショニングバルブ
が設けられ、リヤホイールシリンダに供給されるブレー
キ液圧が前輪に設けられたブレーキを作動させるフロン
トホイールシリンダに供給されるブレーキ液圧に対して
一定の比率で減圧され、荷重移動が生じても後輪制動力
が過大にならないようにされている。
【0004】また、この液圧ブレーキ装置においては、
プロポーショニングバルブのバルブピストンにマスタシ
リンダ液圧とリヤホイールシリンダ液圧とを互に逆向き
に作用させるとともに、液圧室を設け、リヤホイールシ
リンダ液圧が作用する方向と同じ方向にブレーキシュー
のつれ回り力に基づく液圧を作用させ、後輪制動力が理
想制動力配分曲線に近づくようにされている。アンカ
を、シリンダと、シリンダに液密かつ摺動可能に嵌合す
るピストンとにより構成し、ピストンにブレーキシュー
の一端を受けさせ、シリンダ内部の液圧室にブレーキシ
ューのつれ回り力に応じた液圧を発生させるとともに、
この液圧室とプロポーショニングバルブに形成された上
記液圧室とを液通路によって接続し、バルブピストンに
ブレーキシューのつれ回り力に応じた液圧を作用させる
のである。
【0005】ブレーキシューのつれ回り力はブレーキシ
ューの摩擦係数に応じて変化し、摩擦係数はばらつきの
大きいものであるため、つれ回り力のばらつきも大き
い。しかも、つれ回り力は自己サーボ作用により、ホイ
ールシリンダ液圧に対して加速度的に増大するため、一
層変動し易い。
【0006】そのため、後輪制動力のばらつきが大きく
なり、後輪制動力が特に大きくない場合でも後輪が前輪
より前にロックする好ましくない事態が発生しないよう
にするために、設計上後輪制動力の目標値を相当小さく
抑えざるを得なくなる。そこで、つれ回り力に基づく液
圧をバルブピストンに作用させてプロポーショニングバ
ルブを開閉させることにより、リヤホイールシリンダ液
圧をつれ回り力に基づいて制御し、つれ回り力のばらつ
きを小さくするようにされているのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この液
圧ブレーキ装置においては、プロポーショニングバルブ
に設けられた液圧室、アンカに設けられた液圧室および
それらを接続する液通路がマスタシリンダとリヤホイー
ルシリンダとを結ぶ主液通路から分岐した空間となって
おり、エア抜きが面倒であるという問題があった。請求
項1の発明は、ブレーキシューのつれ回り力に基づいて
制動力を制御することができ、かつ、エア抜きが容易な
液圧ブレーキ装置を提供することを課題として為された
ものであり、請求項2および3の各発明は更に、操作フ
ィーリングが良く、安定した制動特性が得られる液圧ブ
レーキ装置を提供することを課題として為されたもので
あり、請求項4および5の各発明は、請求項1の発明を
デュオサーボ型ドラムブレーキを備えた自動車用液圧ブ
レーキ装置に適用可能とすることを課題として為された
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
の課題を解決するために、ドラムブレーキを有する自動
車用液圧ブレーキ装置のアンカに、ブレーキシューのつ
れ回り力を受けるつれ回り力受け面と、そのつれ回り力
受け面とは逆向きであって制御圧室の液圧を受ける受圧
面とを有する制御ピストンを設けるとともに、マスタシ
リンダとホイールシリンダとを制御圧室を経て接続する
主液通路の制御圧室よりホイールシリンダ側の部分に、
マスタシリンダからホイールシリンダへのブレーキ液の
流れを許容する開状態と、マスタシリンダからホイール
シリンダへのブレーキ液の流れを遮断する閉状態とに切
換え可能な開閉弁を設け、それら制御ピストンと開閉弁
とを、制御ピストンが制御圧室の液圧に応じた力により
つれ回り力に抗して前進位置に保持されている間は開閉
弁が開き、つれ回り力により後退させられれば開閉弁が
閉じるように連携させたことを要旨とするものである。
なお、ここにおいて「制御圧室の液圧に応じた力」は、
制御ピストンに制御圧室の液圧のみが作用することによ
り生ずる力のみならず、制御圧室の液圧の他にスプリン
グの力が作用することにより生ずる力や制御圧室の液圧
とは逆向きにホイールシリンダ液圧が作用することによ
り生ずる力をも含む。
【0009】請求項2の発明は、前記ブレーキシューと
前記制御ピストンとの間にレバーを前記ブレーキドラム
の回転軸線と平行な回動軸線のまわりに回動可能に設
け、そのレバーの中間部にブレーキシューのつれ回り力
を受ける受け部を設けるとともに、上記回動軸線からの
距離が受け部と回動軸線との距離より大きい位置に前記
つれ回り力受け面につれ回り力を作用させる作用部を設
けたことを要旨とする。
【0010】請求項3の発明は、前記ブレーキシューと
前記制御ピストンとの間に、前記ブレーキシューのつれ
回り力を受ける中継ピストンと、その中継ピストンが受
けるブレーキシューのつれ回り力を比例的に低減させて
制御ピストンに伝達する伝達媒体とを設けたことを要旨
とする。
【0011】請求項4の発明は、前記ドラムブレーキ
が、一対のブレーキシューの互に対向する端部がそれら
ブレーキシューを支持するバッキングプレートに対し、
少なくとも周方向に相対移動可能な連結装置により互に
連結され、かつ、それら一対のブレーキシューが互に連
結された側とは反対側の端部の間に設けられた一対のホ
イールシリンダの一方によって拡開させられるととも
に、それらホイールシリンダの他方がアンカとして機能
するデュオサーボ型ドラムブレーキであって、前記一対
のホイールシリンダのうち、少なくとも自動車の前進中
の制動時にアンカとして機能するホイールシリンダのシ
リンダハウジングをバッキングプレートに対して少なく
とも周方向に移動可能な可動シリンダハウジングとする
とともに、前記制御ピストンおよび前記開閉弁をバッキ
ングプレートに固定の固定部材に保持させ、かつ、前記
可動シリンダハウジングの移動力を前記制御ピストンに
伝達する伝達装置を設けたことを要旨とする。
【0012】請求項5の発明は、前記ドラムブレーキが
デュオサーボ型ドラムブレーキであって、前記一対のホ
イールシリンダのうち、少なくとも自動車の前進中の制
動時にアンカとして機能するホイールシリンダのシリン
ダハウジング内に前記制御ピストンおよび前記開閉弁を
設けたことを要旨とする。
【0013】
【作用】請求項1の発明に係る液圧ブレーキ装置におい
ては、制御圧室は常にマスタシリンダの加圧室と連通し
ているため、制御圧室の液圧はマスタシリンダ液圧と等
しくなる。そして、マスタシリンダ液圧が低い状態では
ブレーキシューのつれ回り力も小さく、制御ピストンは
つれ回り力に抗して前進位置に保持されていて開閉弁が
開いており、マスタシリンダ液圧とホイールシリンダ液
圧とが同じ高さに保たれ、マスタシリンダ液圧に応じた
制動力が得られる。マスタシリンダ液圧が上昇し、ブレ
ーキシューをブレーキドラムに押し付ける力が増大すれ
ばつれ回り力が増大し、制御ピストンがつれ回り力によ
り後退させられて開閉弁が閉じられ、ホイールシリンダ
へのブレーキ液の供給が断たれ、ホイールシリンダ液圧
がマスタシリンダ液圧より低く抑えられて制動力が抑え
られる。
【0014】ホイールシリンダ液圧が、マスタシリンダ
液圧とつれ回り力との両方に基づいて制御され、ブレー
キシューの摩擦係数の変動の影響が軽減されるのであ
る。この意味において、前記制御ピストンおよび開閉弁
を含むホイールシリンダ液圧制御装置を、摩擦係数影響
軽減装置と称することとする。
【0015】請求項2の発明に係る液圧ブレーキ装置に
おいて制御ピストンのつれ回り力受け面はレバーを介し
てつれ回り力を受けるのであるが、レバーのつれ回り力
受け面につれ回り力を作用させる位置は、ブレーキシュ
ーのつれ回り力を受ける位置よりも回動軸線から離れて
いるため、つれ回り力は回動軸線からの距離の比で減少
させられてつれ回り力受け面に作用する。この場合に
は、制御ピストンおよび開閉弁を含むホイールシリンダ
液圧制御装置と、レバーを主体とする伝達装置とによっ
て摩擦係数影響軽減装置が構成されていることになる。
【0016】請求項3の発明に係る液圧ブレーキ装置に
おいてブレーキシューのつれ回り力は中継ピストンに受
けられ、伝達媒体により低減させられて制御ピストンに
伝達される。この場合には、制御ピストンおよび開閉弁
を含むホイールシリンダ液圧制御装置と、中継ピストン
および伝達媒体を含む伝達装置とによって摩擦係数影響
軽減装置が構成されていることになる。伝達媒体は、ゴ
ムブロック,液体等の圧力伝達媒体で構成することがで
きる。例えば、実施例の項において詳細に述べるよう
に、中継ピストンを制御ピストンより径が大きいものと
するとともに、それら中継ピストンおよび制御ピストン
をアンカに互に接近,離間可能に保持させ、かつ、アン
カと両ピストンとによって囲まれた空間にゴムブロッ
ク,液体等を充填して圧力伝達媒体として作用させるの
である。この場合には、中継ピストンが受けるつれ回り
力は、中継ピストンと制御ピストンとの面積比で低減さ
せられて制御ピストンに伝達される。
【0017】伝達媒体はまた、スプリングの組合せで構
成することもできる。例えば、実施例の項において詳細
に述べるように、中継ピストンと制御ピストンをアンカ
に互に接近,離間可能に保持させ、中継ピストンとアン
カとの間に第一弾性部材としての第一スプリングを、中
継ピストンと制御ピストンとの間に第二弾性部材として
の第二スプリングをそれぞれ配設するのである。この場
合には、中継ピストが受けるつれ回り力の一部が第一ス
プリングを介してアンカに伝達され、残りが第二スプリ
ングを介して制御ピストンに伝達されるのであり、つれ
回り力が第一,第二スプリングの弾性力の比で低減させ
られて制御ピストンに伝達される。
【0018】請求項4の発明に係る液圧ブレーキ装置に
おいて制動時には、一対のホイールシリンダはそれぞ
れ、ブレーキシューにブレーキドラムに摺接する向きの
力を加える。一対のブレーキシューは、バッキングプレ
ートに対して少なくとも周方向に相対移動可能な連結装
置により連結されているため、自動車進行方向において
前側に位置するプライマリシューであるブレーキシュー
が車輪回転方向と同じ方向へ移動するとともに、自動車
進行方向において後側に位置するセコンダリシューであ
るブレーキシューにプライマリシューであるブレーキシ
ューがつれ回り力を加え、セコンダリシューであるブレ
ーキシューを車輪回転方向と同じ方向へ移動させる。そ
れによりセコンダリシューであるブレーキシューから、
そのブレーキシューと係合しているホイールシリンダに
一対のブレーキシューのつれ回り力が加えられる。この
ホイールシリンダがセコンダリシューであるブレーキシ
ューを拡開させようとする力は、加えられるつれ回り力
より小さいため、このホイールシリンダが実際にブレー
キシューを拡開させることはなく、単にアンカとして機
能することになる。一対のブレーキシューがいずれもリ
ーディングシューとして機能するとともに、プライマリ
シューの出力(つれ回り力)がセコンダリシューの入力
となって大きなサーボ効果が生じ、車輪の回転が効果的
に抑制される。
【0019】アンカとして機能するホイールシリンダの
シリンダハウジングは可動シリンダハウジングとされて
いるため、つれ回り力が加えられれば移動し、その移動
力が伝達装置によりホイールシリンダ液圧制御装置の制
御ピストンに伝達される。この移動力はつれ回り力に対
応しており、制御ピストンにつれ回り力に対応する力が
加えられ、ホイールシリンダとして機能する側のホイー
ルシリンダのホイールシリンダ液圧がマスタシリンダ液
圧より低く抑えられて制動力が抑えられ、ブレーキシュ
ーの摩擦力の変動の影響が軽減される。ホイールシリン
ダ液圧制御装置と伝達装置とにより摩擦係数影響軽減装
置が構成されているのである。
【0020】なお、ホイールシリンダ液圧制御装置によ
り、ホイールシリンダとして機能する側のホイールシリ
ンダの液圧が制御される際、アンカとして機能する側の
ホイールシリンダの液圧が一緒に制御されるようにする
ことも可能であり、制御されないようにすることも可能
である。後者の場合には、アンカとして機能する側のホ
イールシリンダの液圧が、ホイールシリンダとして機能
する側のホイールシリンダの液圧より高くなり、アンカ
として機能する側のホイールシリンダの作動力が大きく
なるが、それでも、実施例の項において詳述するよう
に、通常はアンカとして機能するホイールシリンダに加
えられるつれ回り力がそのホイールシリンダの作動力よ
り大きくなり、ドラムブレーキは支障なくデュオサーボ
型として作動する。
【0021】なお、「周方向」なる用語は、厳密にバッ
キングプレートの中心を中心とする円周に沿った方向の
みならず、その円周に対する接線の方向も包含するもの
とする。また、例えば実施例の項において述べるよう
に、伝達装置が可動シリンダハウジングと一体的なレバ
ーを含み、回動により移動力を伝達するものである場合
には、可動シリンダハウジングも回動することが必要で
あり、この場合には、可動シリンダハウジングは周方向
のみならず周方向と交差する方向へも移動することにな
る。
【0022】請求項5の発明に係る液圧ブレーキ装置に
おいては、一対のブレーキシューのつれ回り力は、アン
カとして機能するホイールシリンダにより受けられると
ともに、そのつれ回り力の少なくとも一部がシリンダハ
ウジング内に設けられた制御ピストンに伝達され、ホイ
ールシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧より低く抑えら
れて、ブレーキシューの摩擦力の変動の影響が軽減され
る。
【0023】
【発明の効果】このように請求項1の発明によれば、ブ
レーキシューのつれ回り力に基づいて開閉する開閉弁を
設け、ホイールシリンダへのブレーキ液圧の伝達を許
容,遮断することにより、ブレーキシューのサーボ効果
の大小に応じてホイールシリンダ液圧を制御することが
でき、それによりブレーキシューとブレーキドラムとの
間の摩擦係数のばらつきによる制動力のばらつきを低減
させることができる。ブレーキシューのつれ回り力は、
上記摩擦係数に対して加速度的に増大するため、摩擦係
数にばらつきがあれば制動力に大きなばらつきが生ず
る。摩擦係数が大きい場合、マスタシリンダ液圧が低い
状態で大きなつれ回り力が生ずるのであるが、この場合
にはマスタシリンダ液圧が低い状態で開閉弁が閉じてホ
イールシリンダへのブレーキ液圧の伝達が遮断され、過
大な制動力の発生が防止されるため、制動力のばらつき
が低減するのである。また、制御圧室と開閉弁とはマス
タシリンダとホイールシリンダとを接続する主液通路の
途中に設けられていて行き止まりになっておらず、エア
抜きを容易に行うことができる。
【0024】請求項2の発明によれば更に、つれ回り力
受け面に作用する力はブレーキシューのつれ回り力より
小さくされるため、制御ピストンがその力に抗するため
の力が小さくて済み、制御ピストンの制御圧室の液圧を
受ける受圧面の面積を小さくすることができる。そし
て、受圧面を小さくすれば制御圧室の容積が小さくな
り、制御ピストンが後退させられる際に制御圧室からマ
スタシリンダ側へ流出するブレーキ液の量が少なくて済
み、ブレーキ操作部材のキックバックが減少し、操作フ
ィーリングが向上する効果が得られる。同様に制御圧室
からホイールシリンダ側へ流出するブレーキ液の量も少
なくなり、制御ピストンの後退に伴うホイールシリンダ
液圧の変動が減少し、安定した制動特性が得られる。ま
た、制御ピストンを受圧面の小さい小径のものにするこ
とができるため、制御ピストンをシールするシール部材
も小さくて済み、制御ピストンの摺動抵抗が減少して液
圧制御がスムーズに行われる。
【0025】請求項3の発明によれば、請求項2の発明
と同様の効果を得ることができ、しかも、装置の大形化
を回避しつつ大きい減力比を得ることができる。レバー
を用いてつれ回り力を減少させて制御ピストンに伝達す
る場合、大きい減力比を得るためにはレバーを長くせざ
るを得ない。大きい減力比を得るためには、レバーの回
動軸線と受け部との距離と、受け部と作用部との距離と
の比を大きくすることが必要であり、短いレバーで十分
大きな比を得ようとすると、レバーのつれ回り力を受け
る位置と回動軸線との距離がごく小さくなる。そして、
この距離を精度良く管理することは実際上困難であり、
この距離の誤差に基づいて減力比に大きな誤差が生じて
しまうため、それを避けるためにレバーを長くせざるを
得ないのである。しかし、中継ピストンおよび伝達媒体
を用いてつれ回り力を減少させる場合には、例えば、制
御ピストンのつれ回り力受け面の断面積を大径ピストン
の断面積に対して小さくすれば大きい減力比を得ること
ができるのであり、制御ピストンや大径ピストンの断面
積を精度良く管理することは容易であるため、減力比に
大きな誤差が生じることを回避しつつ装置を小形化する
ことができるのである。また、伝達媒体として第一,第
二スプリングを用いる場合には、各スプリングのばね定
数の設定により所望の減力比を得ることができるのであ
り、減力比を大きくするために中継ピストンを断面積の
大きいものにする必要はないのである。
【0026】請求項4の発明によれば、デュオサーボ型
ドラムブレーキを備えた自動車用液圧ブレーキ装置にお
いて、一対のブレーキシューのつれ回り力全部に対応し
た力を制御ピストンに作用させることができ、ホーイル
シリンダ液圧をサーボ効果の大小に応じて制御し、制動
力のばらつきをより有効に低減させることができる。
【0027】請求項5の発明によれば、請求項4の発明
と同様の効果が得られる上、制御ピストンおよび開閉弁
を含むホイールシリンダ液圧制御装置がシリンダハウジ
ング内に設けられているため、構成を簡易にすることが
できる。例えば、ホイールシリンダを構成する押圧ピス
トンは中空の部材であるのが普通であり、押圧ピストン
内の空間を利用してホイールシリンダ液圧制御装置を配
設することが可能である。また、ホイールシリンダ液圧
制御装置をバッキングプレートに固定の固定部材に保持
させる場合のように、制御ピストンにつれ回り力を伝達
する伝達装置が不可欠ではなく、装置を簡易に構成する
ことができる。また、シリンダハウジングが移動しない
ため、振動や鳴きが生じ難くなる利点もある。
【0028】
【実施例】以下、請求項1の発明の実施例を図面に基づ
いて詳細に説明する。図2において10はマスタシリン
ダであり、ブレーキペダル12の踏込みに応じて液圧を
発生させる。マスタシリンダ10はタンデム型のもので
あり、互に独立の2個の液圧室に発生した液圧がそれぞ
れ自動車の対角位置にある一対ずつの前輪ブレーキと後
輪ブレーキとに伝達されるようになっているが、図には
その1系統のみが示されている。マスタシリンダ10の
液圧は液通路14により前輪ブレーキのフロントホイー
ルシリンダ16に伝達される一方、液通路18により後
輪ブレーキに伝達される。
【0029】後輪ブレーキはリーディング・トレーリン
グ型のドラムブレーキ20であり、ブレーキシューとし
てのリーディングシュー22およびトレーリングシュー
24を備えている。これらリーディングシュー22およ
びトレーリングシュー24はそれぞれ、バッキングプレ
ート26に平行な平板状のシューウェブ28,30と、
シューウェブ28,30に直角に取り付けられた部分円
筒状のシューリム32,34と、それらシューリム3
2,34のブレーキドラム36に対向する面に固着され
たライニング38,40とを有し、バッキングプレート
26に移動可能に支持されている。
【0030】これらリーディングシュー22およびトレ
ーリングシュー24の両端部は互に近接して対向してお
り、それらの一端部間にはリヤホイールシリンダ44
が、他端部間にはアンカ46がそれぞれバッキングプレ
ート26に固定されて設けられている。リヤホイールシ
リンダ44はシリンダに互に逆向きに嵌合された一対の
ピストンを備え、リターンスプリング48,50の付勢
力に抗してリーディングシュー22およびトレーリング
シュー24の各一端部の間隔を押し拡げるものであり、
アンカ46はリーディングシュー22およびトレーリン
グシュー24の各他端部を支持するものである。
【0031】アンカ46は、図1に示すように、バッキ
ングプレート26に固定のシリンダ52と、それに液密
かつ摺動可能に嵌合された制御ピストン56とを備えて
おり、アンカ46は制御ピストン56の中心線がブレー
キドラム36の周方向に延びる姿勢で配設されている。
シリンダ52内には段付状のシリンダボア58が形成さ
れている。シリンダボア58は、シリンダ52のリーデ
ィングシュー22に対向する端面に開口する大径孔部6
0と、トレーリングシュー24に対向する端面に開口す
る中径孔部62と、それら大径孔部60と中径孔部62
とを接続する小径孔部64とから成る。
【0032】また、制御ピストン56は、大径部68と
小径部70とを有する段付状部材72の小径部70の先
端部に、直径が小径部70より大きく、大径部68より
小さいプランジャ74が螺合されて成る。これら大径部
68,小径部70およびプランジャ74はそれぞれ、カ
ップシール76,78,80によりシールされて大径孔
部60,小径孔部64および中径孔部62に液密かつ摺
動可能に嵌合されている。大径部68のリーディングシ
ュー22に対向する端面には突部84が設けられ、リー
ディングシュー22の端部を支持している。この突部8
4のリーディングシュー22を支持する端面86がつれ
回り力受け面である。
【0033】また、大径孔部60の底面と大径部68と
の間には第一制御圧室88が形成され、ポート90およ
び前記液通路18によってマスタシリンダ10の加圧室
に接続されている。したがって、大径部68は、つれ回
り力受け面である端面86とは逆向きの円環状の受圧面
92に第一制御圧室88の液圧、つまりマスタシリンダ
液圧を受けることとなる。第一制御圧室88内にはスプ
リング94が収容され、制御ピストン56はリーディン
グシュー22側に移動する前進方向に付勢されている。
このスプリング94の付勢力に基づく制御ピストン56
の前進限度は止め輪96により規定されており、制御ピ
ストン56の止め輪96に当接する位置が前進位置であ
る。
【0034】プランジャ74は、シリンダボア58の中
径孔部62の開口部に螺合されたプラグ100を貫通
し、トレーリングシュー24の端部を支持しており、そ
の端面102においてトレーリングシュー24からの力
を受ける。プランジャ74が嵌合されることにより中径
孔部62内には第二制御圧室104が形成され、ポート
106および液通路108によってリヤホイールシリン
ダ44に接続されている。したがって、プランジャ74
はその円環状の肩面110にホイールシリンダ液圧を受
ける。さらに、プランジャ74は小径部70に、プラン
ジャ74より径の大きい円板112を挟んで螺合されて
おり、制御ピストン56が前進位置にある状態では円板
112は中径孔部62の底面に当接した状態に保たれ
る。
【0035】シリンダ52内にはまた、上記第一制御圧
室88と第二制御圧室104とを接続する液通路120
が形成され、この液通路120に開閉弁122が設けら
れている。第一制御圧室88は液通路18によってマス
タシリンダ10に接続され、第二制御圧室104は液通
路108によってリヤホイールシリンダ44に接続され
ていて、第一制御圧室88および第二制御圧室104
は、液通路18および108により構成されてマスタシ
リンダ10とリヤホイールシリンダ44とをつなぐ主液
通路123の途中に設けられていることになり、開閉弁
122は主液通路123の第一制御圧室88よりリヤホ
イールシリンダ44側の部分に設けられていることにな
る。
【0036】液通路120には大径の弁室124が形成
され、弁室124内に移動可能に収容された弁子126
はスプリング128により、第二制御圧室104側に形
成された弁座130に着座する向きに付勢されている。
この弁子126の先端には突起132が突設されるとと
もに、液通路120に半径方向の隙間を有して挿入され
ている。突起132は弁子126が弁座130に着座し
た状態で第二制御圧室104内に突出する長さを有し、
前記円板112は、突起132の一部に係合可能な直径
を有するものとされている。
【0037】したがって、制御ピストン56が前進位置
にあり、円板112が中径孔部62の底面に当接した状
態では突起132が円板112により押されて液通路1
20内に引っ込まされ、マスタシリンダ10からリヤホ
イールシリンダ44へのブレーキ液の流れを許容する開
状態に保たれ、制御ピストン56が前進位置から後退
し、円板112が中径孔部62の底面から離間すれば、
弁子126が弁座130に着座してマスタシリンダ10
からリヤホイールシリンダ44へのブレーキ液の流れを
遮断する閉状態とされる。このように開閉弁122の弁
子126に突起132を設けるとともに、この突起13
2に制御ピストン56に固定の円板112が係合させら
れることにより、制御ピストン56と開閉弁122とが
連携させられているのである。
【0038】以上のように構成された液圧ブレーキ装置
において非制動時には、制御ピストン56は図1に示す
ように前進位置にあり、開閉弁122が開いてマスタシ
リンダ10からリヤホイールシリンダ44へのブレーキ
液の流れを許容する状態にある。ブレーキペダル12が
踏み込まれればマスタシリンダ10からブレーキ液が排
出され、液通路14によって前輪ブレーキのホイールシ
リンダ16に供給される一方、液通路18,第一制御圧
室88,液通路120,第二制御圧室104および液通
路108を通ってドラムブレーキ20のリヤホイールシ
リンダ44に供給され、その結果、各ブレーキが作動し
て車輪の回転が抑制される。ドラムブレーキ20におい
ては、リーディングシュー22,トレーリングシュー2
4の各ライニング38,40がブレーキドラム36に接
触することにより制動力が発生し、車輪の回転を抑制す
るのであり、車両の前進時にリーディングシュー22お
よびトレーリングシュー24に生ずるつれ回り力は、そ
れぞれ制御ピストン56およびリヤホイールシリンダ4
4のピストンによって受けられる。
【0039】ドラムブレーキ20の制動力は、リーディ
ングシュー22のつれ回り力F1 とトレーリングシュー
24のつれ回り力F2 との和Fと同じ大きさで逆向きに
働く。これらつれ回り力F1 ,F2 は、図3に示すよう
に、リーディングシュー22,トレーリングシュー24
についてそれぞれ角度θ1 ,θ2 により規定される位置
において(1)式で表される。 F=F1 +F2 =f1 ・h1 /(a1 /μ−r)+f2 ・h2 /(a2 /μ+ r)・・・・・(1) ただし、μ:ライニング38,40の摩擦係数 h1 ,h2 :リーディングシュー22,トレーリングシ
ュー24の力f1 ,f2 の作用点と、リーディングシュ
ー22,トレーリングシュー24の回動中心との距離 a1 ,a2 :ブレーキドラム36の中心とつれ回り力F
1 ,F2 が生ずる位置とを結ぶ直線と、この直線に平行
であってリーディングシュー22,トレーリングシュー
24の回動中心を通る直線との距離 r:ブレーキドラム36の半径
【0040】また、f1 ,f2 はそれぞれ、リヤホイー
ルシリンダ44のピストンからリーディングシュー2
2,トレーリングシュー24に加えられる力であり、次
式(2)で表される。 f1 =f2 =Sw・Pw ・・・・(2) ただし、 Sw:リヤホイールシリンダ44の断面積 Pw:ホイールシリンダ液圧
【0041】さらに、制御ピストン56の端面86,1
02にかかる力Q1 ,Q2 はそれぞれ次式(3),
(4)で表される。 Q1 =C1 ・f1 ・・・・・(3) Q2 =C2 ・f2 ・・・・・(4) C1 ={h1 ・(cos θ1 −μ・sin θ1 )−a1 +μ・r}/(a1 −μ・ r)・・・・・(5) C2 ={h2 ・(cos θ2 +μ・sin θ2 )−a2 −μ・r}/(a2 +μ・ r)・・・・・(6)
【0042】マスタシリンダ液圧が低く、リーディング
シュー22,トレーリングシュー24のつれ回り力が小
さい間は制御ピストン56は移動せず、前進位置にあっ
て開閉弁122は開いたままである。したがって、マス
タシリンダ液圧Pmとホイールシリンダ液圧Pwとが等
しく、 Pm=Pw が成立する。
【0043】マスタシリンダ液圧が上昇してつれ回り力
が大きくなり、制御ピストン56を図1において左方へ
押す力が右方へ押す力より大きくなれば制御ピストン5
6は図1において左方へ移動し、開閉弁122が閉じら
れてリヤホイールシリンダ44へのブレーキ液の供給が
遮断され、それ以降における制御ピストン56の力の釣
り合いは(7)式で表される。 (S1 −S3 )・Pm+Fs+Q2 =(S2 −S3 )・Pw+Q1 ・・・(7) ただし、 S1 :制御ピストン56の大径部68の断面積 S2 :制御ピストン56のプランジャ74の断面積 S3 :制御ピストン56の小径部70の断面積 Fs:スプリング94の付勢力
【0044】このようにホイールシリンダ液圧Pwが開
閉弁122が閉じるまではマスタシリンダ液圧Pmと同
じ高さであり、開閉弁122が閉じた後はマスタシリン
ダ液圧Pmが減圧されてホイールシリンダ液圧Pwとさ
れることはプロポーショニングバルブを設けた場合と同
じである。したがって、(7)式において(S1 −S
3 ),(S2 −S3 )およびFsをそれぞれ適宜の大き
さに設定することにより、前輪制動力と後輪制動力との
関係は、理想制動力配分曲線に近似させることができ
る。
【0045】上記(7)式と前記(2)〜(4)式とか
ら(8)式が得られる。 Pw=(S1 −S3 )・Pm/{(C1 −C2 )・Sw+S2 −S3 }+Fs /{(C1 −C2 )・Sw+S2 −S3 }・・・・・(8) この(8)式と前記(1),(2),(5)および
(6)式からリーディングシュー22のつれ回り力F1
とトレーリングシュー24のつれ回り力F2 との和Fが
(9)式で表される。 F=Sw・Pw・h1 /(a1 /μ−r)+Sw・Pw・h2 /(a2 /μ+r)=Sw ・[{(S1 −S3 )・Pm+Fs}/{(C1 −C2 )・Sw+(S2 −S3 )}] ・{h1 /(a1 /μ−r)+h2 /(a2 /μ+r)}・・・・(9)
【0046】(9)式のh1 ,h2 ,a1 ,a2 ,r,
θ1 ,θ2 ,Sw,(S1 −S3 ),(S2 −S3 )お
よびFsを次のように設定するとともに、マスタシリン
ダ液圧Pmを3段階に変えた場合の制動力の摩擦係数に
よる変化を図4のグラフに示す。(9)式により算出さ
れるのはつれ回り力Fであるが、制動力は、つれ回り力
Fと働く方向は逆向きであるが、大きさは同じであり、
つれ回り力Fを算出すれば制動力の大きさがわかり、図
4のグラフにおいては制動力を縦軸に取って示す。 h1 =h2 =150mm a1 =a2 =70mm r=100mm θ1 =θ2 =10度 Sw=2.85cm2 (直径19.05mm) (S1 −S3 )=2.54cm2 (直径17.98mm) (S2 −S3 )=1.27cm2 (直径12.70mm) Fs=50kg
【0047】このグラフから、制御ピストン56が後退
した後の領域においては、ライニング38の摩擦係数の
増大に対する制動力の増大勾配が小さくて済むことが明
らかである。その結果、摩擦係数のばらつきによる制動
力のばらつきはほぼ図5のグラフに実線で囲まれた範囲
となり、制御ピストン56および開閉弁122を有しな
い液圧ブレーキ装置においては破線で囲まれた部分とな
るのに比較して少なくなる。
【0048】制御ピストン56および開閉弁122を設
けず、後輪制動力をリーディングシュー22およびトレ
ーリングシュー24のつれ回り力に応じて制御しない場
合には後輪制動力のばらつきが大きく、後輪制動力が過
大にならないようにするために、図6に破線で示すよう
に、プロポーショニングバルブの閉弁圧および閉じた後
のホイールシリンダ液圧の上昇勾配を低く設定すること
が必要であって、後輪制動力が過剰に小さく抑えられる
のに対し、後輪制動力のばらつきが小さくて済むため、
図6に実線で示すように後輪制動力を理想制動力配分曲
線に近付けることができるのである。
【0049】また、制御ピストン56にはリーディング
シュー22とトレーリングシュー24との両方のつれ回
り力の影響が現れるため、後輪制動力はリーディングシ
ュー22およびトレーリングシュー24の両方のつれ回
り力に基づいて制御されることとなり、リーディングシ
ュー22のつれ回り力のみを制御ピストンに作用させる
場合に比較して精度良く後輪制動力を制御することがで
きる。
【0050】請求項1の発明の別の実施例を図7に示
す。本実施例は、制御ピストン140の一部を弁子とし
て開閉弁142を構成したものである。制御ピストン1
40は段付状を成し、その小径部144はシリンダ14
6内に形成された段付状のシリンダボア148の小径孔
部150にカップシール152によりシールされて液密
かつ摺動可能に嵌合されている。制御ピストン140の
小径部144の端面には突起156が突設され、シリン
ダ146の端壁を摺動可能に貫通してリーディングシュ
ー22に当接させられており、その端面158において
リーディングシュー22のつれ回り力を受ける。端面1
58がつれ回り力受け面である。
【0051】また、制御ピストン140には、小径部1
44に続いて中径部159および大径部160が設けら
れるとともに、大径部160の端面161から延び出さ
せられた突起162がシリンダボア148の開口端部に
螺合されたプラグ164をカップシール166によりシ
ールされて液密かつ摺動可能に貫通させられ、トレーリ
ングシュー24に当接させられており、その端面168
においてトレーリングシュー24からの力を受ける。
【0052】シリンダボア148の小径孔部150に続
いて形成された中径孔部170および大径孔部172の
直径はそれぞれ、制御ピストン140の中径部159お
よび大径部160より大きくされており、大径部160
とプラグ164との間には第一制御圧室174が形成さ
れ、ポート176および液通路178によってマスタシ
リンダ10に接続されている。また、制御ピストン14
0は端面161とプラグ162との間に配設されたスプ
リング182によってリーディングシュー22側に移動
する前進方向に付勢されている。スプリング182の付
勢力に基づく制御ピストン140の前進限度は、小径部
144が小径孔部150の底面に当接することにより規
定される。この当接する位置が制御ピストン140の前
進位置である。
【0053】また、制御ピストン140の中径部159
と中径孔部170との間には第二制御圧室186が形成
され、ポート188および液通路190によってリヤホ
イールシリンダ44に接続されている。中径部159と
大径部160との間には円環状溝192が形成され、大
径孔部172の肩面193に取り付けられたリング状の
弁座部材194と共に開閉弁142を構成している。
【0054】弁座部材194は円環状溝192内に突入
させられており、制御ピストン140が前進位置に移動
させられた状態では、円環状溝192の、大径部160
により画定される側面196が弁座部材194に突設さ
れた複数の突部198に当接し、開閉弁142は開状態
とされる。また、制御ピストン140が後退し、側面1
96が突部198から離間する一方、中径部159が弁
座部材194に嵌入することにより、開閉弁142が閉
状態となる。
【0055】このように第一制御圧室174,第二制御
圧室186は、液通路178および190により構成さ
れてマスタシリンダとホイールシリンダとをつなぐ主液
通路204の途中に設けられていることになり、開閉弁
142は主液通路204の第一制御圧室174よりホイ
ールシリンダ側の部分に設けられ、かつ、制御ピストン
140の一部が弁子とされることにより、制御ピストン
140と開閉弁142とが連携させられているのであ
る。また、制御ピストン140は、大径部160の端面
161の側面196とは逆向きの部分を除く部分と、円
環状溝192の側面206とに第一制御圧室174、す
なわちマスタシリンダの液圧を受ける。これら端面16
1の一部および側面206が受圧面を構成しているので
ある。
【0056】本実施例の液圧ブレーキ装置においては、
非制動時には開閉弁142は開いており、マスタシリン
ダ10の液圧がリヤホイールシリンダ44に供給される
状態にある。ブレーキペダル12が踏み込まれれば、リ
ヤホイールシリンダ44にブレーキ液が供給されて制動
力が発生し、リーディングシュー22およびトレーリン
グシュー24のつれ回り力が増大すれば制御ピストン1
40が図7において左方へ移動し、開閉弁142が閉じ
られてリヤホイールシリンダ44へのブレーキ液の流れ
が阻止され、過大な後輪制動力の発生が防止される。
【0057】本実施例においてもリーディングシュー2
2,トレーリングシュー24の各つれ回り力F1 ,F
2 ,リヤホイールシリンダ44からリーディングシュー
22およびトレーリングシュー24に加えられる力f
1 ,f2 および端面158,168に加えられる力Q
1 ,Q2 の大きさは前記実施例の(1)〜(4)式と同
様の式で表される。また、制御ピストン140に加えら
れる力の釣り合いおよびホイールシリンダ液圧はそれぞ
れ、前記(7)式および(8)式と同様の式で表され、
後輪制動力のばらつきが小さく抑えられる効果が得られ
る。ただし、面積(S 1 −S3 )および(S2 −S3
がそれぞれ、制御ピストン140の中径部159の断面
積から突起162の断面積を引いた大きさおよび中径部
159の断面積から小径部144の断面積を引いた大き
さとされる。
【0058】請求項1の発明の更に別の実施例を図8に
示す。本実施例は、一対のブレーキシューがいずれもリ
ーディングシューであるツーリーディング型ドラムブレ
ーキを備えた液圧ブレーキ装置に本発明を適用したもの
である。
【0059】ツーリーディング型ドラムブレーキにおい
ては、一体的に構成されたホイールシリンダ222とア
ンカ220とが2組設けられる。ハウジング224の一
端部には、ハウジング224の端面に開口するシリンダ
ボア226が設けられるとともに、ホイールシリンダピ
ストン228が液密かつ摺動可能に嵌合されており、ホ
イールシリンダ圧室230に供給される液圧によりシリ
ンダボア226から突出させられてリーディングシュー
232をブレーキドラムに押し付ける。
【0060】また、ハウジング224の他端部には、ハ
ウジング224の端面に開口する段付状のシリンダボア
236が形成され、段付状の制御ピストン238が液密
かつ摺動可能に嵌合されている。シリンダボア236の
ハウジング224の端面に開口する大径孔部240には
制御ピストン238の大径部242が嵌合されるととも
に、大径部242の端面には突起244が突設され、突
起244の端面246において他方のリーディングシュ
ー248を支持しており、リーディングシュー248の
つれ回り力を受ける。端面246がつれ回り力受け面で
ある。
【0061】この大径部242と大径孔部240の底面
との間には第一制御圧室252が形成され、ポート25
4および液通路256によってマスタシリンダに接続さ
れており、大径部242と制御ピストン238の小径部
258との間の環状の受圧面260に第一制御圧室25
2、すなわちマスタシリンダの液圧を受ける。また、制
御ピストン238は、第一制御圧室252内に配設され
たスプリング262により、リーディングシュー248
側に移動する前進方向に付勢されている。スプリング2
62の付勢力に基づく制御ピストン238の前進限度
は、大径部242が大径孔部240の開口端部に形成さ
れた内向きのフランジ部264により規定される。制御
ピストン238のフランジ部264に当接する位置が前
進位置である。
【0062】制御ピストン238の小径部258は、小
径孔部268に嵌合されるとともに、大径孔部240と
は反対側に設けられた別の大径孔部270に突出させら
れ、その突出端部に円板272を挟んでプランジャ27
4が螺合されている。プランジャ274は、大径孔部2
70に開口する有底穴276に液密かつ摺動可能に嵌合
されており、大径孔部270内に環状の第二制御圧室2
78が形成されている。第二制御圧室278はポート2
82,液通路284により、図示しない他方の組のホイ
ールシリンダ、すなわちリーディングシュー248をブ
レーキドラムに押し付けるホイールシリンダのホイール
シリンダ圧室に接続されている。
【0063】上記第一制御圧室252と第二制御圧室2
78とを接続する液通路288に開閉弁290が設けら
れている。第一制御圧室252,第二制御圧室278
は、液通路256および284により構成されてマスタ
シリンダとホイールシリンダとをつなぐ主液通路292
の途中に設けられていることになり、開閉弁290は主
液通路292の第一制御圧室252よりホイールシリン
ダ側の部分に設けられているのである。
【0064】弁子296,弁座298およびスプリング
300により構成される開閉弁290は、制御ピストン
238が前進位置に移動した状態では、弁子296に突
設された突起302が円板272により押されて弁子2
96が弁座298から離間させられ、開閉弁290が開
状態に保たれる。また、制御ピストン238が後退し、
円板272が後退すれば弁子296が弁座298に着座
して開閉弁290が閉状態とされる。開閉弁290の弁
子296に突起302を設けるとともに、この突起30
2に制御ピストン238に固定した円板272が係合さ
せられることにより、制御ピストン238と開閉弁29
0とが連携させられているのである。
【0065】本実施例においてもマスタシリンダ液圧が
低い間は開閉弁290は開いていて、ホイールシリンダ
液圧はマスタシリンダ液圧と同じ高さになる。マスタシ
リンダ液圧が上昇し、リーディングシュー248のつれ
回り力が増大すれば制御ピストン238は図において右
方へ移動し、開閉弁290が閉じてホイールシリンダへ
のブレーキ液の供給が遮断され、過大な制動力の発生が
防止される。この状態における制御ピストン238に作
用する力の釣り合いは(10)式で表される。 Q1 +(S3 −S2 )・Pw=(S1 −S3 )・Pm+Fs ・・・(10) ただし、 Q1 :つれ回り力受け面246にかかる力(制御ピスト
ン238を作動させる原因となる力であってつれ回り力
である) S1 :制御ピストン238の大径部242の断面積 S2 :制御ピストン238の小径部258の断面積 S3 :プランジャ274の断面積 Fs:スプリング262の付勢力
【0066】また、前記実施例の場合と同様に、Q1
1 ・f1 ,f1 =Sw・Pwであることから、ホイー
ルシリンダ液圧Pwは(11)式で表される。 Pw=(S1 −S3 )・Pm/(C1 ・Sw+S3 −S2 )+Fs/(C1 ・ Sw+S3 −S2 )・・・・(11)
【0067】(11)式から明らかなように、ライニング
の摩擦係数が増大し、C1 が増大すればホイールシリン
ダ液圧Pwが減少し、ライニングの摩擦係数が増大して
も後輪制動力は過大にならず、摩擦係数のばらつきによ
る後輪制動力のばらつきが少なくて済み、後輪制動力を
理想制動力配分曲線によって設定される大きさに近付け
ることができる。
【0068】請求項2の発明の実施例を図9に示す。本
実施例の液圧ブレーキ装置を構成するドラムブレーキの
アンカ310は前記図1に示すアンカ46と同様に構成
されているが、アンカ310を構成する固定シリンダの
制御ピストン312はレバー314を介してリーディン
グシュー316のつれ回り力を受け、プランジャ318
はレバー320を介してトレーリングシュー322から
の力を受ける。その他の構成は図1〜図6に示す実施例
と同じであり、対応する部分には同じ符号を付して説明
を省略する。
【0069】レバー314,320はそれぞれ平板状を
成し、それぞれその長手方向の一端部において、バッキ
ングプレート26にピン324,326によってブレー
キドラム36の回転軸線と平行な軸線まわりに回動可能
に取り付けられている。レバー314の互に逆向きの側
面の一方のピン324に近い位置には、リーディングシ
ュー316の端部が当接させられている。また、レバー
314の他方の側面のレバー314の回動軸線からの距
離が、リーディングシュー316の当接位置と回動軸線
との距離より大きい位置に制御ピストン312が当接さ
せられている。レバー314のリーディングシュー31
6の端部が当接させられる部分が受け部を構成し、制御
ピストン312が当接させられる部分が作用部を構成し
ているのである。
【0070】レバー320は、互に逆向きの側面の一方
のピン326に近い位置にトレーリングシュー322の
端部が当接させられ、他方の側面のレバー320の回動
軸線からの距離が、トレーリングシュー322の当接位
置と回動軸線との距離より大きい位置にプランジャ31
8が当接させられている。
【0071】本液圧ブレーキ装置において制動時にリー
ディングシュー316に生ずるつれ回り力は、レバー3
14を介して制御ピストン312に加えられる。この
際、レバー314の制御ピストン312につれ回り力を
加える位置は、リーディングシュー316のつれ回り力
を受ける位置よりもレバー314の回動軸線から離れた
位置とされているため、リーディングシュー316のつ
れ回り力は、レバー314のリーディングシュー316
が当接する位置と、制御ピストン312が当接する位置
との回動軸線からの各距離L1 ,L2 の比L1 /L2
減少させられて制御ピストン312に加えられる。した
がって、つれ回り力に対抗する力を生ずる制御ピストン
312の受圧面の面積が小さくて済み、アンカ310は
前記アンカ46より小形に構成されている。
【0072】また、制御ピストン312の受圧面の面積
が小さいため、第一制御圧室の容積が小さく、制御ピス
トン312がつれ回り力により後退させられるときに第
一制御圧室からマスタシリンダ側に排出されるブレーキ
液量が減少し、ブレーキペダル12のキックバックが減
少し、操作フィーリングが向上する。
【0073】プランジャ318がトレーリングシュー3
22から受ける力も同様に、距離の比L1 /L2 で減少
させられる。このようにリーディングシュー316およ
びトレーリングシュー322が制御ピストン312およ
びプランジャ318に加える力をいずれもレバー31
4,320によって減少させるようにすれば、リーディ
ング用とトレーリング用とで同じ構造のシューウェブお
よびシューリムを使用することができ、ドラムブレーキ
を容易にかつ安価に構成することができる。
【0074】このように本実施例においては、レバー3
14および320がそれぞれリーディングシュー31
6,制御ピストン312およびトレーリングシュー32
2,プランジャ318に当接し、力を直接受け、加える
ようにされているが、リンクやローラ等を介してレバー
がつれ回り力を間接的に受け、間接的に作用させるよう
にしてもよい。例えば、リンクの一端部をリーディング
シューに連結し、他端部をレバーに連結してレバーにつ
れ回り力を加えるとともに、レバーにローラを回転可能
に設け、ローラを介して制御ピストンにつれ回り力を加
えるようにするのである。逆に、リーディングシューの
つれ回り力をローラを介してレバーに作用させ、リンク
を介して制御ピストンに加えるようにしてもよい。
【0075】また、トレーリングシューの力をレバーを
介してプランジャに加えることは不可欠ではなく、図1
に示す実施例と同様にプランジャに直接加えてもよい。
【0076】さらに、図9に示す実施例においては、制
御ピストン312の大径部の受圧面積を小さくし、第一
制御圧室の容積を小さくすることによりブレーキペダル
のキックバックを減少させるようになっていたが、図1
0に示すように第一制御圧室から排出されたブレーキ液
をリザーバに排出させてキックバックを減少させてもよ
い。
【0077】図10に示す液圧ブレーキ装置において
は、マスタシリンダ330の加圧室と、前記アンカ46
と同じ構成のアンカ332の第一制御圧室とを接続する
液通路334の途中にパイロット式切換弁336が設け
られている。このパイロット式切換弁336は、リザー
バ通路338によってリザーバ340に接続されるとと
もに、液通路341によって液通路334のパイロット
式切換弁336とアンカ332との間の部分に接続され
ており、パイロットピストンは、互に逆向きの一方の端
面にパイロット通路342によりマスタシリンダ側の液
圧を受け、他方の端面にパイロット通路344により第
一制御圧室側の液圧を受ける。また、パイロットピスト
ンは、スプリング346によってマスタシリンダ330
と第一制御圧室とを連通させる向きに付勢されている。
【0078】さらに、液通路334の液通路341が接
続された部分とパイロット式切換弁336との間の部分
には、マスタシリンダ330から第一制御圧室へのブレ
ーキ液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止する逆
止弁350が設けられている。また、この逆止弁350
をバイパスするバイパス通路352が設けられるととも
に、絞り354が設けられている。
【0079】非制動時にはパイロット式切換弁334は
図10に示す位置にあり、第一制御圧室はリザーバ34
0との連通を遮断されている。ブレーキペダル356が
踏み込まれればマスタシリンダ330の加圧室に発生し
た液圧は、アンカ332の第一制御圧室,開閉弁等を経
てホイールシリンダに供給される。マスタシリンダ圧が
上昇し、つれ回り力の増大により制御ピストンが後退さ
せられるとき、第一制御圧室内のブレーキ液がマスタシ
リンダ330側に排出される。
【0080】このブレーキ液の液圧はマスタシリンダ液
圧より高く、パイロット式切換弁336が図において左
側の状態に切り換わり、ブレーキ液が大半リザーバ34
0に排出される。マスタシリンダ330には絞り354
を経て僅かに戻るのみであり、ブレーキペダル356の
キックバックが低減する。開閉弁が閉じてホイールシリ
ンダ圧の上昇が抑えられ、つれ回り力の上昇が抑えられ
れば、制御ピストンの後退が停止し、第一制御圧室から
排出されるブレーキ液の液圧が低下してマスタシリンダ
圧に等しくなれば、パイロット式切換弁336は右側の
状態に切り換えられ、リザーバ340へのブレーキ液の
排出が止められる。
【0081】ブレーキペダル356の踏込みが緩めら
れ、あるいは解除されれば、第一制御圧室からマスタシ
リンダ330側へブレーキ液が流出するが、絞り354
により絞られるため、マスタシリンダ側の液圧より高
く、パイロット式切換弁336が左側の状態に切り換わ
り、ブレーキ液は直接リザーバ340へ排出される。こ
の排出により第一制御圧室側の液圧が低下し、パイロッ
ト式切換弁336が第一制御圧室とリザーバ340との
連通を遮断する状態に切り換わったとき、ホイールシリ
ンダ内に残ったブレーキ液は絞り354を通ってマスタ
シリンダ330に戻り、残ることがない。
【0082】図10に示す液圧ブレーキ装置のパイロッ
ト式切換弁の一具体例を図11に示す。パイロット式切
換弁360のバルブハウジング362に形成された弁孔
363にはパイロットピストン364が液密かつ摺動可
能に嵌合され、パイロットピストン364の一方の側に
設けられたマスタシリンダ圧室366は、液通路334
によりマスタシリンダ330の加圧室およびアンカ33
2に設けられた第一制御圧室に接続されるとともに、パ
イロットピストン364はマスタシリンダ圧室366内
に配設されたスプリング368によってマスタシリンダ
圧室366内の容積が増大する向きに付勢されている。
【0083】パイロットピストン364の他方の側には
制御圧室370が設けられ、液通路341によってアン
カ332に設けられた第一制御圧室に接続されている。
このパイロット式切換弁360においては、液通路33
4,341がそれぞれ前記パイロット通路342,34
4を兼ねている。パイロットピストン364には端面と
外周面とにそれぞれ開口する液通路372が形成され、
常時リザーバ340に連通させられている。この液通路
372と制御圧室370との連通は、開閉弁376によ
り許容,遮断される。開閉弁376の弁子378は制御
圧室370内に移動可能に配設されるとともに、弁孔3
63の一端に固定の支持部材380との間に配設された
スプリング382により、液通路372の開口端に設け
られた弁座384に着座する向きに付勢されている。こ
の付勢力による弁子378の移動限度は、支持部材38
0と係合部386との係合により規定される。
【0084】パイロット式切換弁360は、非制動時に
は図11に示すようにパイロットピストン364が弁孔
363の制御圧室370側の端面に支持部材380を介
して当接し、開閉弁376が閉じて第一制御圧室とリザ
ーバ340との連通を遮断した状態にある。ブレーキペ
ダル356が踏み込まれれば、マスタシリンダ330の
加圧室に発生した液圧はマスタシリンダ圧室366,逆
止弁350および絞り354を通って第一制御圧室に供
給される。
【0085】リーディングシューのつれ回り力が増大
し、制御ピストンが後退させられてアンカ332に設け
られた開閉弁が閉じるとき、第一制御圧室から排出され
たブレーキ液が制御圧室370に供給される。この液圧
はマスタシリンダ圧より高く、パイロットピストン36
4がスプリング368の付勢力に抗して前進し、図12
に示すように開閉弁376が開いてブレーキ液がリザー
バ340に流出し、マスタシリンダ330への戻りによ
るキックバックを低減させる。
【0086】パイロットピストン364の移動は、パイ
ロットピストン364が弁孔363のマスタシリンダ圧
室366側の端面に当接することにより止まり、その移
動量は僅かであり、また、パイロットピストン364は
開閉弁376の開閉のためにマスタシリンダ側の液圧と
第一制御圧室側の液圧とを受けて移動するものであれば
よく、細くできるため、パイロットピストン364の前
進によりマスタシリンダ圧室366から流出してマスタ
シリンダ330に戻るブレーキ液量は少ない。さらに、
絞り354を経てマスタシリンダ330に戻るブレーキ
液は僅かであり、キックバックが小さくて済み、操作フ
ィーリングが損なわれることはない。
【0087】アンカ332に設けられた開閉弁が閉じて
ホイールシリンダ液圧の上昇が抑えられ、リーディング
シューのつれ回り力の上昇が抑えられれば、第一制御圧
室から排出されるブレーキ液の液圧が低下し、パイロッ
トピストン364が後退させられて開閉弁376が閉
じ、リザーバ340へのブレーキ液の流出が止められ
る。
【0088】ブレーキペダル356の踏込みが緩めら
れ、あるいは解除されたときにもパイロットピストン3
64が前進し、開閉弁376が開いてブレーキ液はリザ
ーバ340へ直接排出される。そして、制御圧室370
の液圧の低下によりパイロットピストン364が後退
し、開閉弁376が閉じたとき、アンカ332からホイ
ールシリンダ側に残ったブレーキ液は絞り354を通っ
てマスタシリンダ330に戻り、ブレーキに引きずりが
生ずることがない。
【0089】請求項3の発明の一実施例を図13に示
す。アンカ400の主要構成部材であるシリンダ401
には、長手方向の一方の端面に開口するシリンダボア4
02が形成されている。シリンダボア402の開口は、
シール部材404によりシールされたキャップ406に
より閉塞されている。キャップ406の端面には、トレ
ーリングシュー410の端部が当接により係合させられ
ている。
【0090】シリンダボア402内には、制御ピストン
414が嵌合されている。制御ピストン414は段付状
を成し、大径部416においてシール部材418により
シールされてシリンダボア402に液密かつ摺動可能に
嵌合されている。それにより大径部416よりキャップ
406側に制御圧室としての第一制御圧室420が形成
され、ポート422および液通路424によってマスタ
シリンダ(図示省略)の加圧室に接続されており、制御
ピストン414の受圧面425が第一制御圧室420の
液圧を受ける。
【0091】大径部416の他方の側には第二制御圧室
426が形成され、ポート428および液通路430に
よってリヤホイールシリンダ(図示省略)に接続されて
いる。これら第一制御圧室420と第二制御圧室426
とは、制御ピストン414内に形成された液通路432
によって接続されており、これら液通路424,43
0,432が主液通路434を構成している。
【0092】制御ピストン414は、第一制御圧室42
0内に配設されたスプリング436によって第二制御圧
室426側に付勢されている。スプリング436の付勢
力に基づく制御ピストン414の移動限度は、制御ピス
トン414の中径部438がシリンダボア402の底面
に当接することにより規定される。この位置が制御ピス
トン414の前進位置である。なお、スプリング436
には所定のセット荷重が与えられている。
【0093】上記主液通路434の途中には開閉弁44
4が設けられ、第一制御圧室420と第二制御圧室42
6との連通を許容,遮断するようにされている。開閉弁
444の弁子446は、第一制御圧室420内に移動可
能に配設されるとともに、支持部材448との間に配設
されたスプリング450により、弁子446の一端部に
取り付けられたゴム材452が前記液通路432の開口
端に設けられた弁座454に着座する向きに付勢されて
いる。
【0094】支持部材448は、前記スプリング436
の一端部を受けてキャップ406に押し付けられていて
移動することはなく、スプリング450の付勢力による
弁子446の移動限度は、支持部材448と、弁子44
6の他端部に形成された大径の頭部456との係合によ
り規定される。制御ピストン414が前進位置にある状
態では、弁子446(厳密にはゴム材452)が弁座4
54から僅かに離れ、開閉弁444が開いている。
【0095】制御ピストン414の中径部438の第二
制御圧室426側の端面には小径部460が突設され、
アンカ400にシリンダボア402と同心状に形成され
た嵌合穴462にシール部材464によりシールされて
液密かつ摺動可能に嵌合されている。
【0096】シリンダ401にはまた、キャップ406
が嵌合された側とは反対側の端面から、径が嵌合穴46
2より大きい嵌合穴466が形成されて嵌合穴462と
連通しており、この嵌合穴466にゴムブロック468
および大径ピストン470が摺動可能に嵌合されてい
る。大径ピストン470は、径が嵌合穴466の径より
僅かに小さくされるとともに、先端部の外周面が部分球
面状とされることにより先端側ほど直径が小さくされ
て、摺動時にこじりが発生しないようにされている。大
径ピストン470にはリーディングシュー472が当接
により係合させられ、ゴムブロック468は嵌合穴46
6の底面に当接させられるとともに、制御ピストン41
4の小径部460の端面474に当接させられている。
【0097】本液圧ブレーキ装置において非制動時には
制御ピストン414は図13に示す前進位置にあり、開
閉弁444は開いている。ブレーキペダルが踏み込まれ
れば、マスタシリンダの加圧室に発生した液圧が主液通
路434,第一,第二制御圧室420,426を通って
リヤホイールシリンダに伝達されて車輪の回転が抑制さ
れる。
【0098】大径ピストン470は、リーディングシュ
ー472に生ずるつれ回り力を直接受け、ゴムブロック
468を加圧する。アンカ400,大径ピストン470
および小径部460に囲まれた空間内に充満しているゴ
ムブロック468はあたかも液体であるかのように機能
し、ほぼ均一な圧力を嵌合穴466の底面と制御ピスト
ン414の小径部460の端面474とに伝達する。小
径部460はこの圧力により嵌合穴462内へ押し込ま
れ、制御ピストン414が後退させられる。小径部46
0の端面474がつれ回り力受け面であり、リーディン
グシュー472のつれ回り力は、大径ピストン470と
小径部460との断面積の比で低減させられて制御ピス
トン414に伝達されることとなるのである。制御ピス
トン414はスプリング436を圧縮しつつ後退し、そ
れにより弁子446が弁座454に着座して開閉弁44
4が閉じ、リヤホイールシリンダへの液圧の伝達が断た
れてつれ回り力の過大な上昇が回避される。
【0099】このように開閉弁444が閉じられてリヤ
ホイールシリンダへのブレーキ液の供給が遮断された状
態の制御ピストン414の力の釣り合いは、(12)式で
表される。 (S12/S11)・Q1 +(S13−S12)・Pw=S13・Pm+Fs・・・・・・ ・・(12) ただし、 Q1 :大径ピストン470の端面にかかる力(制御ピス
トン414を作動させる原因となる力であってつれ回り
力である) S11:大径ピストン470の断面積 S12:制御ピストン414の小径部460の断面積 S13:制御ピストン414の大径部416の断面積 Fs:スプリング436の付勢力(セット荷重)
【0100】前記(7)式におけると同様に、ホイール
シリンダ液圧Pwは開閉弁444が閉じるまではマスタ
シリンダ液圧Pmと同じ高さであり、開閉弁444が閉
じた後はマスタシリンダ液圧Pmが減圧されてホイール
シリンダ液圧Pwとされる。
【0101】前記図1〜図6に示す実施例の(2)式お
よび(3)式からQ1 =C1 ・Sw・Pwであり、ホイ
ールシリンダ液圧Pwは(13)式で表され、つれ回り力
1は(14) 式で表される。 Pw=(S13・Pm+Fs)/{(S12/S11)・C1 ・Sw+S13−S12}・ ・・・・・・・(13) F1 =Sw・[(S13・Pm+Fs)/{(S12/S11)・C1 ・Sw+S13− S12}]・{h1 /(a1 /μ−r)}・・・・・・(14)
【0102】(14) 式は、制御ピストン414に加えら
れるリーディングシュー472のつれ回り力が大径ピス
トン470と小径部460との断面積比で低減させられ
ていること、およびトレーリングシュー410からの力
が作用しないことを除いて前記(9)式と同じであり、
摩擦係数のばらつきによる制動力のばらつきを小さくす
ることができる。
【0103】また、本実施例においては、トレーリング
シュー410の端部はキャップ406が受け、制御ピス
トン414にはトレーリングシュー410の力が加えら
れないようにされている。そのため、前記図1〜図6に
示す実施例におけるように、トレーリングシューから制
御ピストンに力を加えるために制御ピストンにプランジ
ャを一体的に設けてシリンダに液密かつ摺動可能に嵌合
する必要がなく、シールの数が少なくなり、制御ピスト
ン414の径が小さく、シール部材418が小さくて済
むことによる摺動抵抗の低減に加えて、この点において
も制御ピストン414の摺動抵抗が低減し、摺動抵抗の
ばらつきも小さくなって液圧制御をスムーズに行うこと
ができる。
【0104】さらに、トレーリングシューの力を制御ピ
ストンに伝達する場合には、プランジャを嵌合する嵌合
穴と制御ピストンを嵌合する嵌合穴とを同軸度高く形成
することが必要であり、加工費が高くなるが、本実施例
においてはプランジャを嵌合する嵌合穴が不要であり、
同軸度を高くし、穴あけ加工精度を高くしなければなら
ない部分が少なくなって加工費を低減することができ
る。大径ピストン470およびゴムブロック468を嵌
合する嵌合穴466は、制御ピストン414が嵌合され
るシリンダボア402と同軸度高く形成する必要はな
く、加工費が高くなることはない。
【0105】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、大径ピストン470が中継ピストンを構成
し、ゴムブロック468が伝達媒体を構成している。
【0106】なお、本実施例において、大径ピストン4
70の軸方向の長さを長くして、リーディングシュー4
72からのつれ回り力が偏心位置に加えられたり、作用
方向が大径ピストン470の軸方向に対して傾いたりし
ても、大径ピストン470が嵌合穴466内を軽快に摺
動するようにしてもよい。さらに、そのようにした大径
ピストンとシリンダ401との間にシール部材を設けて
液密とし、小径部460とシリンダ401との間も液密
とした上で、ゴムブロック468を作動油等の液体に変
えてもよい。
【0107】請求項3の発明の別の実施例を図14に示
す。本実施例のアンカ480においては、伝達媒体が第
一圧縮コイルスプリング482および第二圧縮コイルス
プリング484(以下、第一スプリング482,第二ス
プリング484と略称する)により構成されている。そ
の他の構成は図13に示す実施例と同じであり、対応す
る部分には同じ符号を付して説明は省略する。
【0108】アンカ480には、リーディングシュー4
72側の端面に開口し、嵌合穴462より径の大きい嵌
合穴486が形成されるとともに、中継ピストンとして
の大径ピストン488が摺動可能に嵌合されている。大
径ピストン488は有底円筒状を成し、円筒部490に
おいて嵌合穴486に嵌合されて摺動を案内され、底壁
部492と嵌合穴462の底面との間に第一スプリング
482が配設され、底壁部492と制御ピストン414
の小径部460との間に第二スプリング484が配設さ
れている。これら第一,第二スプリング482,484
は、大径ピストン488がストッパとしての止め輪49
4に当接した状態でセット荷重がほぼ0となるものとさ
れているとともに、第二スプリング484のばね定数が
第一スプリング482のばね定数より小さくされてい
る。
【0109】本液圧ブレーキ装置においては、リーディ
ングシュー472が大径ピストン488につれ回り力を
加えるとき、大径ピストン488は第一,第二スプリン
グ482,484を圧縮して前進する。この際、第一ス
プリング482の付勢力は嵌合穴486を形成するシリ
ンダ401が受け、第二スプリング484の付勢力は制
御ピストン414が受ける。リーディングシュー472
に生ずるつれ回り力の一部が第一スプリング482を介
してシリンダ401に受けられ、残りが第二スプリング
484により制御ピストン414に伝達されるのであっ
て、つれ回り力が低減させられて制御ピストン414に
伝達されることになる。
【0110】制御ピストン414には、第一制御圧室4
20に伝達されたマスタシリンダ液圧およびスプリング
436の付勢力が作用するため、つれ回り力が小さい間
は制御ピストン414は後退せず、第二スプリング48
4の付勢力を受けるのみであるが、つれ回り力が大きく
なり、制御ピストン414に加えられるつれ回り力が制
御ピストン414を第二制御圧室426側へ押す力より
大きくなれば、制御ピストン414はスプリング436
を圧縮しつつ後退し、弁子446が弁座454に着座し
て開閉弁444が閉じる。
【0111】開閉弁444が閉じた状態における制御ピ
ストン414に作用する力の釣り合いは(15)式で表さ
れる。なお、制御ピストン414を付勢するスプリング
436は、ばね定数が小さく、長いコイルスプリングを
たくさん圧縮して短くしたものであり、また、開閉弁4
44の弁子446の弁座454からのリフト量uは小さ
いものであるため、制御ピストン414が弁子446が
弁座454に着座するまで後退する間にスプリング43
6が圧縮されても、スプリング436の付勢力は殆ど変
わらず、一定値Fsであると見なすことができる。 q+(S13−S12)・Pw=S13・Pm+Fs・・・・(15) qは制御ピストン414が受けるつれ回り力であり、(1
6),(17) 式で表される。Q1 は、大径ピストン488に
加えられ、制御ピストン414を作動させる原因となる
力であって、つれ回り力であり、qはQ1 が減力されて
制御ピストン414に加えられる力を表す。 q=Q1 −x1 ・k1 ・・・・・・(16) q=(x1 −x2 )・k2 ・・・・(17) ただし、 x1 :大径ピストン488の移動距離 x2 :制御ピストン414の移動距離 k1 :第一スプリング482のばね定数 k2 :第二スプリング484のばね定数
【0112】制御ピストン414の移動距離x2 は、開
閉弁444の弁子446の弁座454からのリフト量u
に等しく、また、Q1 =C1 ・Sw・Pwであること、
および(16),(17)式からqは(18)式で表される。 q={k2 ・(C1 ・Sw・Pw−k1 ・u)}/(k1 +k2 )・・(18)
【0113】(15)式および(18)式から、ホイールシリン
ダ液圧Pwは(19)式で表される。 Pw={(k1 +k2 )・S13・Pm+(k1 +k2 )・Fs+k1 ・k2 ・u }/{k2 ・C1 ・Sw+(k1 +k2 )・(S13−S12)}・・・・・・(19)
【0114】本実施例においても制御ピストン414に
はリーディングシュー472のつれ回り力が低減させら
れて伝達され、ホイールシリンダ液圧の上昇がつれ回り
力に応じて抑制され、制動力のばらつきが抑えられるの
であるが、第一スプリング482のばね定数k1 に対す
る第二スプリング484のばね定数k2 の比率を小さく
するほど、制御ピストン414に伝達されるつれ回り力
を小さくすることができ、制御ピストン414を小径の
ものとすることができる。
【0115】このように図9〜図14にそれぞれ示す実
施例においては、リーディングシューのつれ回り力が低
減させられて制御ピストン56,414に加えられ、制
動力のばらつきが小さくなるようにされている。前記レ
バー314、あるいは大径ピストン470およびゴムブ
ロック468、あるいは大径ピストン488および第
一,第二スプリング482,484によりそれぞれ構成
され、つれ回り力を低減させて制御ピストンに伝達する
つれ回り力低減型の伝達装置がブレーキシューと制御ピ
ストンとの間に設けられ、制御ピストンの小形化,操作
フィーリングの向上ならびに液圧制動特性の安定化等が
図られるようになっているのである。
【0116】図9に示す実施例において、レバー314
がそれぞれリーディングシュー316および制御ピスト
ン312に当接して力を直接受け、加える場合には、レ
バー314および当接により力を伝達する構成がつれ回
り力低減型の伝達装置を構成することとなるが、レバー
がリンクやローラの伝達部材等を介して間接的につれ回
り力を受け、間接的に作用させる場合には、これらリン
クやローラ等、レバーにつれ回り力を受けさせ、作用さ
せる部材がレバーと共につれ回り力低減型の伝達装置を
構成することとなる。
【0117】デュオサーボ型ドラムブレーキを備えた液
圧ブレーキ装置に請求項1の発明を適用した場合の別の
実施例であって、請求項4の発明の実施例である液圧ブ
レーキ装置を図15ないし図18に示す。図15におい
て500,502はそれぞれブレーキシューであり、バ
ッキングプレート504によって移動可能に支持されて
いる。これらブレーキシュー500,502は垂直方向
に配設され、互に対向する下側の端部は連結装置506
によって連結されている。
【0118】連結装置506は、一対のリンク部材50
8,510と、アジャストホイール512を有するとと
もに一端部がリンク部材508に相対回転可能に嵌合さ
れ、他端部がリンク部材510に螺合されたねじ部材5
14とを有する。リンク部材508,510はそれぞれ
ブレーキシュー500,502の端部を支持し、これら
リンク部材508,510およびねじ部材514はバッ
キングプレート504に対して周方向を含むあらゆる方
向に相対移動可能とされており、制動時にはブレーキシ
ュー500,502が車輪の回転方向に移動することを
許容する。摩擦材が摩耗してシュークリアランスが増大
すれば、アジャストホイール512が回転させられるこ
とにより連結装置506が延ばされ、シュークリアラン
スが調節される。
【0119】ブレーキシュー500,502の上端部間
には、ホイールシリンダ516が設けられている。ホイ
ールシリンダ516のシリンダハウジング518は図1
7に示すように円筒状を成し、図16に示すように、一
対の押圧ピストン520,522が液密かつ摺動可能に
嵌合されている。これら押圧ピストン520,522の
シリンダハウジング518からの突出端部にはそれぞ
れ、大径の頭部524,526が形成されるとともに、
頭部524,526にそれぞれバッキングプレート50
4の板面に平行に形成された係合溝528,530にブ
レーキシュー500,502の各上端部が嵌入させられ
ている。
【0120】押圧ピストン520,522は、それらの
間に形成されたホイールシリンダ圧室534に液圧が伝
達されることによりシリンダハウジング518から押し
出され、ブレーキシュー500,502を図15に示す
リターンスプリング536,538の付勢力に抗してブ
レーキドラムに押し付ける。また、押圧ピストン52
0,522はホイールシリンダ圧室534内に配設され
たスプリング540によって互に離間する向きに付勢さ
れている。ホイールシリンダ516は一対のホイールシ
リンダが一体的に構成され、シリンダハウジング518
を共有するものなのである。
【0121】シリンダハウジング518は、バッキング
プレート504に移動可能に支持されている。バッキン
グプレート504には、図17に示すように断面形状が
半円筒形を成す支持部材544が固定され、シリンダハ
ウジング518は支持部材544内に移動可能に嵌合さ
れるとともに、支持部材544に接着された一対のゴム
部材546に接着され、バッキングプレート504との
間に隙間を残した状態で支持部材544により支持され
ている。シリンダハウジング518はゴム部材546の
弾性変形により移動可能である。
【0122】シリンダハウジング518のバッキングプ
レート504とは反対側の部分には、係合突部548が
バッキングプレート504に直角な方向に突設されると
ともに、支持部材544を貫通して形成された係合穴5
50に嵌合されている。係合穴550は係合突部548
より大きく、係合突部548は係合穴550の内面との
間に隙間を残して嵌合されている。
【0123】また、シリンダハウジング518のバッキ
ングプレート504側の部分には押圧突部552が突設
され、バッキングプレート504に形成された貫通穴5
54と、バッキングプレート504のホイールシリンダ
516を支持する表面とは反対側の裏面に固定の取付部
材556に形成された貫通穴558とを通って、バッキ
ングプレート504の裏面側へ突出させられている。こ
れら貫通穴554,558はいずれも押圧突部552よ
り大きく、シリンダハウジング518の移動に伴う押圧
突部552の移動を許容する。
【0124】取付部材556の押圧突部552に対し
て、自動車が前進し、車輪が図15および図16におい
て矢印で示す方向に回転するときに前側となる部分には
ホイールシリンダ液圧制御装置562が固定されてい
る。このホイールシリンダ液圧制御装置562は、取付
部材556に固定のハウジング564を有し、ハウジン
グ564内に制御ピストン566および開閉弁が設けら
れている。これら制御ピストン566および開閉弁は、
図8に示す実施例のアンカ220におけると同様に構成
されており、押圧突部552から制御ピストン566に
は、開閉弁を閉じる方向の力のみが伝達される。また、
取付部材556の押圧突部552に対してハウジング5
64とは反対側の部分には、アンカブロック570が固
定されている。
【0125】本液圧ブレーキ装置において非制動時に
は、押圧ピストン520,522は図16に示すように
頭部524,526がシリンダハウジング518の端面
に当接し、押圧突部552は制御ピストン566とアン
カブロック570とのいずれかに軽く接触するか、いず
れからも離れた状態にある。
【0126】自動車前進中にブレーキペダルが踏み込ま
れ、マスタシリンダの加圧室に発生したマスタシリンダ
液圧がホイールシリンダ圧室534に伝達されれば、押
圧ピストン520,522がブレーキシュー500,5
02にブレーキドラムに摺接する向きの力を加える。ブ
レーキシュー500,502は、バッキングプレート5
04に対して相対移動可能な連結装置506により連結
されているため、ブレーキシュー500がブレーキドラ
ムに摺接させられて車輪の回転方向へ移動させられると
ともに、ブレーキシュー502を押してブレーキドラム
に摺接させる。そのため自動車の進行方向において後側
に位置するセコンダリシューであるブレーキシュー50
2は、押圧ピストン522を介してシリンダハウジング
518にブレーキシュー500,502のつれ回り力を
加える。
【0127】シリンダハウジング518はゴム部材54
6の弾性変形により、自動車の進行方向において前側に
位置するプライマリシューであるブレーキシュー500
側へ移動し、押圧突部552が制御ピストン566に係
合するとともに係合突部548が係合穴550の端面に
係合する。それ以後は、シリンダハウジング518が係
合突部548と係合穴550との係合位置を中心として
回動し、押圧突部552が制御ピストン566につれ回
り力に基づく力を加え、開閉弁の開閉によるホイールシ
リンダ液圧の制御により、ブレーキシュー500,50
2の摩擦力のばらつきの影響が軽減される。
【0128】制御ピストン566には、つれ回り力が減
少させられて加えられる。制動時にシリンダハウジング
518に加えられるつれ回り力Qは(20)式で表され
る。力Qは、制御ピストン566を作動させる原因とな
る力であってつれ回り力である。 Q=A1 +A2 +A3 ・・・・・・・(20) ただし、図18に示すように、 A1 :支持部材544が係合突部548に加える力 A2 :制御ピストン566が押圧突部552に加える力 A3 :ブレーキシュー502が押圧ピストン522に加
える力
【0129】また、上記力A1 ,A2 は(21) 式で表さ
れる。 L11・A1 =L12・A2 ・・・・・・(21) ただし、 L11:シリンダハウジング518の軸線と係合突部54
8の力A1 が作用する位置との距離 L12:シリンダハウジング518の軸線と押圧突部55
2の力A2 が作用する位置との距離
【0130】(20)式および(21)式から力A2 は次式(22)
で表される。 A2 ={L11/(L11+L12)}・(Q−A3 )・・・・・・(22) 力A2 は押圧突部552が制御ピストン566に加える
力と向きが逆であるが大きさは同じであり、(22)式から
明らかなように、制御ピストン566にはつれ回り力Q
が減少させられたつれ回り力qが加えられ、前記図9〜
図14に示す各実施例におけると同様に、制御ピストン
の小形化,操作フィーリングの向上ならびに液圧制動特
性の安定化等の効果が得られる。
【0131】自動車後退時に制動が行われた場合には、
つれ回り力は逆に、ブレーキシュー500からシリンダ
ハウジング518に加えられ、シリンダハウジング51
8の移動により押圧突部522がアンカブロック570
に当接し、つれ回り力が受けられる。後退時にはホイー
ルシリンダ圧室に伝達される液圧はつれ回り力に基づい
て制御されないが、後退時には制動力はそれほど大きく
ないのが普通であり、支障はない。また、自動車後退時
にも、シリンダハウジング518が移動して係合突部5
48が支持部材544に係合し、押圧突部552がアン
カブロック570に係合して、つれ回り力が減少させら
れてアンカブロック570に伝達される。そのため、ア
ンカブロック570をそれほど強度の高いものとする必
要はない。
【0132】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、シリンダハウジング518が可動シリンダ
ハウジングであり、ホイールシリンダ516のシリンダ
ハウジング518と押圧ピストン520とを含む部分が
アンカとして機能する。また、ハウジング564が固定
部材を構成し、シリンダハウジング518,係合突部5
48および押圧突部552により構成されたレバーが、
支持部材544と共同して伝達装置を構成している。こ
の伝達装置は、つれ回り力を低減して制御ピストン56
6に伝達するつれ回り力低減型伝達装置である。
【0133】また、ゴム部材546および支持部材54
4がシリンダハウジング518を支持するハウジング支
持装置を構成している。ゴム部材546は弾性変形能を
有するため、ブレーキペダルの踏込みが解除されたとき
には、シリンダハウジング518がゴム部材546の弾
性力により原位置へ戻される。弾性部材の一種であるゴ
ム部材546を備えたハウジング支持装置は、シリンダ
ハウジング518を原位置に戻す戻し機能を備えたハウ
ジング支持装置である。また、弾性部材を用いてシリン
ダハウジングを支持すれば、走行時におけるシリンダハ
ウジングの振動が吸収される。弾性部材としては、ゴム
材に代えて板ばね等のばねを用いてもよい。
【0134】さらに、押圧ピストン520,522が受
けるつれ回り力は頭部524,526がシリンダハウジ
ング518の端面に当接してシリンダハウジング518
に伝達するようにされており、つれ回り力は、頭部52
4,526により構成される係合部と、シリンダハウジ
ング518の端面により構成される被係合部とによって
構成されるつれ回り力伝達装置によりシリンダハウジン
グ518に伝達される。
【0135】係合部,被係合部は、頭部524,52
6,シリンダハウジング518の端面に限らず、押圧ピ
ストンとシリンダハウジングとに設けられ、押圧ピスト
ンのシリンダハウジング内に引っ込む向きの移動により
互に係合する部分であればよい。例えば、シリンダハウ
ジングの内周面に半径方向内向きに突出する突部を設け
て被係合部とし、押圧ピストンのシリンダハウジング内
に位置する側の端面を係合部として機能させるのであ
る。
【0136】なお、図15〜図18に示す実施例におい
てシリンダハウジング518は支持部材544によりゴ
ム部材546を介して支持されていたが、図19に示す
ように、シリンダハウジング580を支持部材582に
軸584により回動可能に取り付けてもよい。その他の
構成は図15〜図18に示す実施例と同じであり、対応
する部分には同一の符号を付して説明は省略する。
【0137】シリンダハウジング580に突設された耳
部586は、支持部材582に形成された貫通穴588
から外へ突出させられるとともに、支持部材582に突
設された一対の支持板590(図には一方の支持板59
0のみ示されている)との間に嵌入させられ、それら支
持板590および耳部586が軸584により相対回動
可能に連結されることにより、シリンダハウジング58
0はバッキングプレート504に直角な平面に沿って、
バッキングプレート504に平行な軸線のまわりに回動
可能に支持されている。
【0138】そのため、自動車前進時においてセコンダ
リシューとなるブレーキシュー502から押圧ピストン
522を介してシリンダハウジング580につれ回り力
が加えられるとき、シリンダハウジング580は軸58
4の軸心まわりに回動し、それと共に押圧突部552が
回動して制御ピストン566につれ回り力を加える。こ
の場合には、軸584を介して支持部材582がつれ回
り力の一部を受け、前記実施例におけると同様につれ回
り力が減少させられて制御ピストン566に加えられ
る。
【0139】本実施例においては、耳部586,シリン
ダハウジング580および押圧突部552により構成さ
れるレバーと、支持部材582および軸584とが共同
してつれ回り力低減型伝達装置を構成し、軸584およ
び支持部材582がハウジング支持装置を構成してい
る。
【0140】図20に示すように、シリンダハウジング
600をアンカ602に移動可能に支持させてもよい。
アンカ602にシリンダハウジング600の軸線と平行
に延び、押圧突部604側に開口するスライド穴606
を設けるとともにスライド608を移動可能に嵌合し、
スライド608のスライド穴606からの突出端部に押
圧突部604を軸610により、バッキングプレート5
04に直角な平面に沿ってバッキングプレート504に
平行な軸線のまわりに回動可能に取り付ける。
【0141】自動車前進中の制動時にシリンダハウジン
グ600につれ回り力が加えられるとき、シリンダハウ
ジング600は軸610の軸線まわりに回動しつつプラ
イマリシューであるブレーキシュー500側へ移動す
る。係合突部548が係合穴550の端面に当接すると
ともにスライド608が制御ピストン566側へ移動し
て制御ピストン566に当接する。この状態において、
つれ回り力が低減させられて制御ピストン566に伝達
されることは、図15〜図18に示す実施例におけると
同じである。
【0142】自動車後退中の制動時には、ブレーキシュ
ー500から押圧ピストン520を介してシリンダハウ
ジング600に加えられるつれ回り力の一部は、スライ
ド608がスライド穴606の底面に当接することによ
り、アンカ602によって受けられる。
【0143】本実施例においては、係合突部548,支
持部材544,スライド穴606,スライド608がハ
ウジング支持装置を構成しており、係合突部548,シ
リンダハウジング600および押圧突部604により構
成されるレバーが、支持部材550,軸610およびス
ライド608と共同してつれ回り力低減型伝達装置を構
成している。
【0144】図15〜図20に示す各実施例においては
シリンダハウジング518,580,600は、その軸
線に対してバッキングプレート504とは反対側におい
て支持部材544,582によって支持されていたが、
図21に示すシリンダハウジング620のように、それ
の軸線とバッキングプレート622との間で支持しても
よい。
【0145】シリンダハウジング620には、台座62
4が設けられている。台座624はシリンダハウジング
620からバッキングプレート622側へ突設され、そ
の台座の両側面にはそれぞれ円形断面の嵌合穴626,
628がシリンダハウジング620の軸線と直角な方向
に形成されている。嵌合穴626は、バッキングプレー
ト622に溶接により固定された支持部材630に上向
きに突設された円形断面の軸部632に嵌合され、嵌合
穴628は、バッキングプレート622にボルト634
により取り外し可能に固定された支持部材636に下向
きに突設された円形断面の軸部638が嵌合されてい
る。
【0146】台座624には押圧突部640が突設さ
れ、バッキングプレート622および取付部材642に
それぞれ形成された貫通穴644,646を通り、図示
しないホイールシリンダ液圧制御装置の制御ピストンに
対向させられている。なお、本実施例においてホイール
シリンダ液圧制御装置およびアンカ648は、図15〜
図18に示す実施例における位置とは逆に設けられてい
る。自動車前進中に押圧突部640より前側にアンカ6
48が設けられ、後側にホイールシリンダ液圧制御装置
が設けられているのである。また、軸部632,638
の軸線と制御ピストンの軸線との距離は、軸部632,
638の軸線とシリンダハウジング620の押圧ピスト
ンが嵌合される部分の軸線との距離より長くされてい
る。
【0147】自動車前進中にセコンダリシューであるブ
レーキシューからシリンダハウジング620につれ回り
力が加えられれば、シリンダハウジング620は軸部6
32,638の軸線まわりに回動し、押圧突部640が
制御ピストンにつれ回り力を減少させて伝達する。
【0148】このようにシリンダハウジング620を、
その軸線よりバッキングプレート622側の位置で支持
するようにすれば、支持部材のバッキングプレートの板
面からの突出量が少なくて済み、可動シリンダハウジン
グのバッキングプレートへの取付けを容易に行うことが
できる。シリンダハウジング620に被支持部である台
座624を設けることが必要であるが、台座624はシ
リンダハウジング620の押圧ピストンが嵌合される部
分をバッキングプレート622に固定するために従来設
けられていた台座に比較してそれほど大きくする必要は
ない。
【0149】本実施例においては、台座624,支持部
材630,636がハウジング支持装置を構成するとと
もに、押圧突部640と共につれ回り力低減型伝達装置
を構成している。
【0150】なお、図15〜図20に示す各実施例にお
いて、押圧ピストン520,522とブレーキシュー5
00,502との係合を両者の相対移動を制限する状態
の係合とすること、例えば、押圧ピストン520,52
2にブレーキシュー500,502の嵌入を許容する係
合穴を形成し、この係合穴の形状をブレーキシュー50
0,502の押圧ピストン520,522に対する周方
向における接近,離間および限られた角度の相対回動は
許容するが、押圧ピストン520,522の半径方向の
相対移動は許容しない形状とすることにより、ゴム部材
546による支持、軸584による支持、スライド穴6
06およびスライド608による支持を省略することが
でき、この場合には、一対のブレーキシューがハウジン
グ支持装置を構成することとなる。ただし、つれ回り力
を低減させて制御ピストン566に伝達させるために
は、シリンダハウジング518,580,600が係合
突部548,耳部586において支持部材544,58
2に係合するようにすることは必要である。
【0151】また、シリンダハウジング518,58
0,600,620が上記ゴムブロック546等、ブレ
ーキシュー500,502以外の部材によって支持され
ていれば、ブレーキシューと押圧ピストンとを、突部と
凹部との嵌合によって係合させることは不可欠ではな
く、ブレーキシューの端部を押圧ピストンの端面に単純
に当接させるのみとすることができる。
【0152】さらに、つれ回り力を低減させて制御ピス
トン566に伝達する必要がない場合には、シリンダハ
ウジング518,580,600を回動可能に支持させ
る必要はなく、バッキングプレート504にそれの中心
を中心とする円周に沿って、あるいはその円周に対する
接線に沿ってのみ移動可能とすればよい。例えば、上記
円周あるいはその円周に対する接線に沿って延びるT
溝,アリ溝等のガイド溝を有するガイドを設け、そのガ
イド溝に、シリンダハウジング518,580,600
からバッキングプレート504に向かって突設した被ガ
イド部を摺動可能に嵌合すればよいのである。
【0153】この場合には、可動シリンダハウジングお
よび可動シリンダハウジングに突設された押圧突部が、
可動シリンダハウジングが受けたつれ回り力をそのまま
制御ピストンに伝達することとなり、これら可動シリン
ダハウジングおよび押圧突部がつれ回り力非低減型伝達
装置を構成することとなる。
【0154】請求項5の発明の実施例を図22に示す。
一対のブレーキシュー650,652は垂直方向に配設
され、図示しないバッキングプレートとシューホールド
ダウンスプリングとによってバッキングプレートの板面
に沿って移動可能に支持されるとともに、下側の端部は
前記連結装置506と同様の連結装置によって連結され
ている。これらブレーキシュー650,652の上端部
間に設けられたホイールシリンダ654のシリンダハウ
ジング656内には、互に逆向きに開口する一対のシリ
ンダボア658,660が形成されるとともに、それぞ
れ押圧ピストン662,664が液密かつ摺動可能に嵌
合され、ホイールシリンダ圧室666,668が形成さ
れている。
【0155】押圧ピストン662,664は有底円筒状
を成し、シリンダハウジング656のシリンダボア65
8と660とを画定する隔壁670からそれぞれシリン
ダボア658,660内へ突設された突部672,67
4の外側に隙間を残して嵌合されるとともに、スプリン
グ676,678によってシリンダボア658,660
から突出する向きに付勢されている。
【0156】スプリング676は押圧ピストン662と
シリンダボア658の底面との間に配設され、スプリン
グ678は、押圧ピストン664と、突部674に摺動
可能に嵌合された中継ピストン680との間に配設され
ている。中継ピストン680は有底円筒状を成し、その
開口端部には外向きのフランジ部682が形成されると
ともに、シリンダボア660に液密かつ摺動可能に嵌合
されている。前記ホイールシリンダ圧室668は、中継
ピストン680と押圧ピストン664との間に形成さ
れ、ポート683,液通路684によってマスタシリン
ダの加圧室に連通させられている。また、押圧ピストン
664から中継ピストン680に向かって、シリンダボ
ア660と同心の突部686が延び出させられている。
【0157】押圧ピストン662,664のホイールシ
リンダハウジング656から突出した端部には大径の頭
部688,690が設けられている。これら頭部68
8,690には係合凹部692,694が設けられ、ブ
レーキシュー650,652の上側の端部が係合させら
れている。
【0158】前記突部672および674内には、ホイ
ールシリンダ圧室666に開口する段付状のシリンダボ
ア698が形成されている。シリンダボア698のホイ
ールシリンダ圧室666に開口する小径孔部700に
は、段付状の制御ピストン702の小径部704がシー
ル部材706によりシールされて液密かつ摺動可能に嵌
合されている。
【0159】シリンダボア698の大径孔部708と制
御ピストン702の小径部704との間には第一制御圧
室710が形成され、ポート712,液通路684によ
ってマスタシリンダの加圧室に連通させられている。ま
た、制御ピストン702の小径孔部700に嵌合された
側とは反対側の端部には、小径部704より大径の中径
部716が形成され、シリンダボア698の中径孔部7
18との間に第二制御圧室720が形成されている。第
二制御圧室720は、制御ピストン702内に形成され
た液通路722によってホイールシリンダ圧室666に
連通させられており、上記液通路712,722が主液
通路724を構成している。また、中径部716の第一
制御圧室710側の端面が受圧面726である。
【0160】主液通路724には、第一制御圧室710
と第二制御圧室720との連通を許容,遮断する開閉弁
728が設けられている。シリンダボア698の大径孔
部708の中径孔部718側の肩面にはリング状のゴム
製の弁座部材730が固定されており、弁子としての中
径部716と共に開閉弁728を構成している。制御ピ
ストン702は、第一制御圧室710内に位置する部分
に形成された大径のばね受け部732と、シリンダボア
698の大径孔部708の小径孔部700側の肩面との
間に配設されたスプリング734により、中径部716
が弁座部材730から離間する向きに付勢されている。
弁座部材730のばね受け部732に対向する面には複
数の突部736が設けられており、ばね受け部732が
弁座部材730に密着して主液通路724が遮断される
ことが防止されている。
【0161】制御ピストン702の中径部716の端面
には、小径部704と同径の嵌合部740が突設され、
前記突部674に、その端面に開口し、シリンダボア6
60と同心状に形成された嵌合穴742にシール部材7
44によりシールされて液密かつ摺動可能に嵌合されて
いる。嵌合穴742はシリンダボア660に開口し、突
部674と前記中継ピストン680の底壁746との間
には、突部674と同径のゴムブロック748が両者間
の空間を満たす状態で配設されている。これら中継ピス
トン680およびゴムブロック748がつれ回り力低減
型伝達装置を構成しており、制御ピストン702および
開閉弁728がホイールシリンダ液圧制御装置を構成し
ている。
【0162】本液圧ブレーキ装置において非制動時に
は、ブレーキシュー650,652は図示しないリター
ンスプリングにより付勢され、ブレーキシュー650は
頭部662がシリンダハウジング656の端面に当接
し、ブレーキシュー652は突部686が中継ピストン
680に当接し、中継ピストン680の底壁746をゴ
ムブロック748に当接させている。ゴムブロック74
8は突部674および制御ピストン702の嵌合部74
0の端面750に当接している。また、制御ピストン7
02は図22に示す前進位置にあり、開閉弁728は開
いている。
【0163】ブレーキペダルが踏み込まれれば、マスタ
シリンダの加圧室に発生した液圧が主液通路724,第
一,第二制御圧室710,720を通ってホイールシリ
ンダ圧室666に伝達されるとともに、液通路684,
ポート683を経てホイールシリンダ圧室668に伝達
され、押圧ピストン662,664に突出方向の力が加
えられる。自動車が前進し、車輪が図中矢印で示す向き
に回転させられる状態で制動が行われれば、ブレーキシ
ュー650,652は車輪の回転方向に移動させられ、
つれ回り力がセコンダリシューであるブレーキシュー6
52側の押圧ピストン664に加えられる。
【0164】このつれ回り力は、図13に示す実施例と
同様に、ゴムブロック748と嵌合部740との断面積
の比により減少させられて嵌合部740の端面750に
伝達される。端面750がつれ回り力受け面である。制
御ピストン702はスプリング734を圧縮しつつ後退
し、それにより中径部716が弁座部材730に着座し
て開閉弁728が閉じ、ホイールシリンダ圧室666へ
の液圧の伝達が断たれてつれ回り力の過大な上昇が回避
される。
【0165】このように断面積比により減少させられて
嵌合部740に加えられる力qは、(23)式によって表
される。 q=(S22/S21)・Q ・・・・(23) ただし、 Q:押圧ピストン664に加えられる力(制御ピストン
702を作動させる原因となる力であってつれ回り力で
ある) S21:ゴムブロック748の断面積 S22:嵌合部746の断面積 なお、ホイールシリンダ圧室668のホイールシリンダ
液圧が中継ピストン680と押圧ピストン664とに加
える力は、中継ピストン680と押圧ピストン664と
の受圧面積が同じであるため大きさが同じであり、向き
が逆で互いに打ち消し合うため、考慮する必要はない。
【0166】また、開閉弁728が閉じられてホイール
シリンダ圧室666への液圧の伝達が遮断された状態の
制御ピストン702の力の釣り合いは(24)式で表され
る。 Pm・(S23−S22)+Pw・S22+Fs=q+Pw・(S23−S22)・・(24) ただし、 Pm:マスタシリンダ液圧 Pw:ホイールシリンダ圧室666のホイールシリンダ
液圧 S23:制御ピストン702の中径部716の断面積 Fs:スプリング734の付勢力
【0167】(23)式および(24)式から(25)式が得られ
る。 (S22/S21)・Q=q=Pm・(S23−S22)+(2S22−S23)・Pw+F s・・・・・・(25)
【0168】また、つれ回り力Qは(26)式で表される。 Q=C・S21・Pw・・・・・(26) ただし、Cは、図1〜図6に示す実施例において(5)
式および(6)式で表されるC1 ,C2 と同様に、ブレ
ーキシュー650,652のライニングの摩擦係数によ
り決まる係数であり、1より大きい値である。 (26)式から(27)式が得られる。 (S22/S21)・Q=C・S22・Pw・・・・・(27)
【0169】(25)式および(27)式から(28)式が得られ
る。 Q/(C・S21)=Pw=[(S23−S22)/{(C−1)・S22+(S23−S 22 )}]・Pm+Fs/{(C−1)・S22+(S23−S22)}・・・・(28) この式から明らかなように、係数Cが大きくなれば、同
じマスタシリンダ液圧に対してホイールシリンダ液圧が
小さく制御され、摩擦係数のばらつきによる制動力のば
らつきを小さくすることができる。
【0170】このように、ホイールシリンダ圧室666
のホイールシリンダ液圧がマスタシリンダ液圧より低く
制御されるのに対し、ホイールシリンダ圧室668のホ
イールシリンダ液圧はマスタシリンダ液圧と同じ高さの
ままであり、押圧ピストン662の作動力より押圧ピス
トン664の作動力の方が大きい。しかし、本デュオサ
ーボ型ドラムブレーキの各構成要素の諸元が通常のデュ
オサーボ型ドラムブレーキとほぼ同じにされる限り、押
圧ピストン664がシリンダボア660から突出して中
継ピストン680から離間することはない。
【0171】ブレーキシュー652が押圧ピストン66
4に加えるつれ回り力Q、押圧ピストン664がブレー
キシュー652を押す力f11、押圧ピストン662がブ
レーキシュー650を押す力f12はそれぞれ、(29),(3
0),(31)式で表される。 Q=T/a・・・・・(29) f11=Sw・Pw1 ・・・・(30) f12=Sw・Pw2 ・・・・(31) ただし、 T:制動トルク a:ブレーキドラムの中心とブレーキシュー652のつ
れ回り力が生ずる位置とを結ぶ直線の距離 Sw:押圧ピストン662,664の受圧面の面積 Pw1 :ホイールシリンダ圧室668のホイールシリン
ダ液圧 Pw2 :ホイールシリンダ圧室666のホイールシリン
ダ液圧
【0172】制動トルクTは、(32)式で表される。 T=BEF・Sw・Pw2 ・R・・・・・(32) ただし、 BEF:ブレーキイフェクティブネスファクタ(デュオ
サーボ型ドラムブレーキにおいては、3〜4) R:ブレーキドラムの内径
【0173】a=0.7R,BEF=3であるとする
と、(29)式および(32)式から(33)式が得られる。 Q=4.3・Sw・Pw2 ・・・・・(33)
【0174】開閉弁が閉じる前の状態では、ホイールシ
リンダ圧室666のホイールシリンダ液圧Pw2 とホイ
ールシリンダ圧室668のホイールシリンダ液圧Pw1
と共にマスタシリンダ液圧Pmと等しいため、f11=S
w・Pw1 =Sw・Pm<4.3・Sw・Pm=4.3
・Sw・Pw2 =Qであり、つれ回り力Qは押圧力F 1
より大きく、押圧ピストン522が前進させられること
がない。
【0175】また、開閉弁が閉じてマスタシリンダ液圧
が減圧させられるときには、Pw2<Pmとなるが、P
m/Pw2 は最大でも2程度であって4.3を超えるこ
とはなく、つれ回り力Qが押圧力f11より大きい状態が
保たれ、押圧ピストン664が前進することはない。
【0176】図22に示す実施例においては押圧ピスト
ン664を介して中継ピストン680につれ回り力が加
えられるようになっていたが、図23にホイールシリン
ダ758におけるように、中継ピストン760に直接つ
れ回り力を加えてもよい。シリンダハウジング762内
には互に反対向きに開口する一対のシリンダボア76
4,766が形成されるとともに、押圧ピストン76
8,770が液密かつ摺動可能に嵌合されている。それ
によりシリンダハウジング762内にホイールシリンダ
圧室772,774が形成され、自動車前進時にセコン
ダリシューとなるブレーキシュー776を押す押圧ピス
トン768用のホイールシリンダ圧室772は、ポート
778および液通路780によってマスタシリンダに連
通させられている。
【0177】押圧ピストン768内に有底のシリンダボ
ア784が形成され、制御ピストン786および開閉弁
788が設けられている。開閉弁788は図22に示す
開閉弁728と同様に構成され、制御ピストン786は
次の点を除いて前記制御ピストン702と同様に構成さ
れており、対応する部分には同一の符号を付して詳細な
説明を省略する。
【0178】制御ピストン786の小径部704は、シ
リンダハウジング762のシリンダボア764と766
とを仕切る隔壁790を貫通して、自動車前進時にプラ
イマリシューとなるブレーキシュー792を押す押圧ピ
ストン770用のホイールシリンダ圧室774内に突出
させられ、ホイールシリンダ圧室772と774とは、
制御ピストン786内に形成された液通路794によっ
て連通させられるようになっている。また、制御ピスト
ン786を開閉弁788が開く向きに付勢するスプリン
グ796が押圧ピストン768を押すスプリングを兼ね
ている。さらに、制御ピストン786の嵌合部740
は、押圧ピストン768の底壁に形成された嵌合穴79
8にシール部材799によりシールされて液密かつ摺動
可能に嵌合されている。
【0179】押圧ピストン768には、ブレーキシュー
776側の端面および嵌合穴798に開口する嵌合穴8
00が設けられるとともに、ゴムブロック802および
中継ピストン760が移動可能に嵌合され、中継ピスト
ン760にブレーキシュー776の上端部が係合させら
れている。これらゴムブロック802および中継ピスト
ン760がつれ回り力低減型伝達装置を構成しており、
制御ピストン786および開閉弁788がホイールシリ
ンダ液圧制御装置を構成している。
【0180】自動車前進時の制動時には、ホイールシリ
ンダ圧室772にマスタシリンダ液圧が伝達され、押圧
ピストン768がゴムブロック802および中継ピスト
ン760を介してブレーキシュー776をブレーキドラ
ムに摺接させようとする一方、開閉弁788,液通路7
94を通ってホイールシリンダ圧室774にもマスタシ
リンダ液圧が伝達され、押圧ピストン770がブレーキ
シュー792を押す。セコンダリシューであるブレーキ
シュー776から中継ピストン760に加えられる力
は、ゴムブロック802と制御ピストン786の嵌合部
740との断面積比で減少させられて制御ピストン78
6に加えられる。
【0181】本実施例においても制動時に押圧ピストン
768は後退端位置にあって、シリンダハウジング76
2と共にアンカの機能を果たし、かつ、前記(23)〜(33)
式が成立し、摩擦係数のばらつきによる制動力のばらつ
きを小さくすることができる。
【0182】自動車後退時の制動時には、押圧ピストン
768がゴムブロック802,中継ピストン760,制
御ピストン786および開閉弁788と共に前進してブ
レーキシュー776をブレーキドラムに押し付ける。
【0183】本実施例においてつれ回り力低減型伝達装
置を設けない場合には、ブレーキシュー776を制御ピ
ストン786に直接係合させればよい。
【0184】なお、図1〜図7に示す各実施例において
は、リーディングシューのみならず、トレーリングシュ
ーからも制御ピストンに力が加えられるようになってい
たが、これは不可欠ではなく、リーディングシューのつ
れ回り力のみを制御ピストンに作用させるようにしても
よい。例えば、プランジャ74を制御ピストン56,1
40が移動してもシリンダ52,146から突出せず、
トレーリングシュー24に当接しないようにすればよ
い。
【0185】また、図14に示す実施例において、中継
ピストンを制御ピストンより大径の大径ピストンにする
ことは不可欠ではなく、制御ピストンと同径あるいは制
御ピストンより小径のピストンとしてもよい。例えば、
中継ピストンを制御ピストンと同径のものとするととも
に、アンカにばね受けを設けて制御ピストンとは別にス
プリングの付勢力を受けさせる。このようにすれば、中
継ピストンを嵌合する嵌合穴を制御ピストンのシリンダ
ボアと一体的に形成することができ、嵌合穴の加工を容
易に行うことができる。
【0186】さらに、図14に示す実施例においては、
ばね定数の異なる2個のスプリング482,482が同
心状に設けられていたが、ばね定数が同じスプリングを
同心状に設けてもよく、あるいは制御ピストンにつれ回
り力を伝達するつれ回り力伝達用スプリングとばね定数
が同じあるいは異なる複数のつれ回り力低減用スプリン
グを、つれ回り力伝達用スプリングを中心とする一円周
上に配設してもよい。また、スプリングは図14の実施
例における圧縮コイルスプリングに限らず、皿ばね等別
の形態のスプリングとすることも可能である。
【0187】また、図13および図14に示す各実施例
において、スプリング482,484はそれぞれセット
荷重がほぼ0の状態で配設されていたが、セット荷重を
与えて配設することも可能である。
【0188】さらに、上記各実施例において、マスタシ
リンダ液圧を受ける受圧面の方がホイールシリンダ液圧
を受ける受圧面より大きくされていたが、これは不可欠
ではなく、同じ大きさとしてもよい。
【0189】また、図1〜図14に示す各実施例におい
て開閉弁122,142,272,444はいずれもシ
リンダ52,146,401,ハウジング224内に設
けられていたが、シリンダやハウジング外に設けるとと
もに、制御ピストンと連携させてもよい。
【0190】さらに、図15〜図21に示す実施例にお
いては、一対のホイールシリンダが一体的に設けられて
シリンダハウジングが共有とされ、一対のホイールシリ
ンダのシリンダハウジングがいずれも可動シリンダハウ
ジングとされていたが、一対のホイールシリンダは別体
としてもよい。この場合、自動車前進中の制動時のみに
制動力をホイールシリンダ液圧制御装置により制御する
のであれば、自動車前進中にセコンダリシューとなるブ
レーキシューに係合するホイールシリンダのシリンダハ
ウジングのみを可動シリンダハウジングとする。
【0191】また、図15〜図21に示す各実施例にお
いてつれ回り力は、自動車前進中の制動時のみに制御さ
れるようになっていたが、後退中の制動時に制御される
ようにしてもよい。例えば、図15〜図18に示す実施
例において、アンカ570に代えてホイールシリンダ液
圧制御装置を設けるのである。
【0192】さらに、図15〜図22に示す各実施例の
デュオサーボ型ドラムブレーキにおいて一対のブレーキ
シューは垂直方向に配設されていたが、一対のブレーキ
ューが水平に配設されたデュオサーボ型ドラムブレーキ
を備えた液圧ブレーキ装置にも請求項1〜5の各発明を
適用することができる。
【0193】また、図10〜図12に示す態様は、図1
〜図6に示す実施例のみならず、図7〜図9,図13〜
図23に示す各実施例において実施することができる。
【0194】さらに、請求項1〜5の各発明は、上記各
実施例の各構成要素を互に組み合わせを変えて実施する
ことが可能である。その他、特許請求の範囲を逸脱する
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一実施例である自動車用液圧
ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのアンカ
を示す正面断面図である。
【図2】上記液圧ブレーキ装置の系統図である。
【図3】上記ドラムブレーキに制動時に発生する力を説
明する図である。
【図4】上記液圧ブレーキ装置においてマスタシリンダ
液圧を3段階に変えた場合のライニングの摩擦係数と発
生する制動力との関係を従来の液圧ブレーキ装置との比
較のもとに示すグラフである。
【図5】上記液圧ブレーキ装置における制動力のばらつ
きを従来の液圧ブレーキ装置における制動力のばらつき
と比較して示すグラフである。
【図6】上記液圧ブレーキ装置の利点を説明するための
グラフである。
【図7】請求項1の発明の別の実施例である自動車用液
圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのアン
カを示す正面断面図である。
【図8】請求項1の発明の更に別の実施例である自動車
用液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキの
アンカを示す正面断面図である。
【図9】請求項2の発明の一実施例である自動車用液圧
ブレーキ装置の系統図である。
【図10】請求項1の発明の更に別の実施例である自動
車用液圧ブレーキ装置を示す系統図である。
【図11】請求項1の発明の更に別の実施例である自動
車用液圧ブレーキ装置の要部を示す系統図である。
【図12】図11に示す自動車用液圧ブレーキ装置の別
の作動状態を示す図である。
【図13】請求項3の発明の実施例である自動車用液圧
ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのアンカ
を示す正面断面図である。
【図14】請求項3の発明の別の実施例である自動車用
液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのア
ンカを示す正面断面図である。
【図15】請求項4の発明の実施例である自動車用液圧
ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキを示す正
面図である。
【図16】図15に示すドラムブレーキのホイールシリ
ンダおよびその周辺を示す平面断面図である。
【図17】図15に示すドラムブレーキのホイールシリ
ンダおよびその周辺を示す側面断面図である。
【図18】図15に示すドラムブレーキにおいて制御ピ
ストンに加えられるつれ回り力の低減原理を説明する図
である。
【図19】請求項4の発明の別の実施例である自動車用
液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのホ
イールシリンダおよびその周辺を示す平面図(一部断
面)である。
【図20】請求項4の発明の更に別の実施例である自動
車用液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキ
のホイールシリンダおよびその周辺を示す平面図(一部
断面)である。
【図21】請求項4の発明の更に別の実施例である自動
車用液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキ
のホイールシリンダおよびその周辺を示す側面断面図で
ある。
【図22】請求項5の発明の実施例である自動車用液圧
ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのホイー
ルシリンダを示す正面断面図である。
【図23】請求項5の発明の別の実施例である自動車用
液圧ブレーキ装置の構成要素であるドラムブレーキのホ
イールシリンダを示す正面断面図である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 20 ドラムブレーキ 22 リーディングシュー 24 トレーリングシュー 36 ブレーキドラム 38,40 ライニング 44 ホイールシリンダ 46 アンカ 56 制御ピストン 86 端面 92 受圧面 123 主液通路 140 制御ピストン 142 開閉弁 158,161 端面 174 第一制御圧室 204 主液通路 206 側面 220 アンカ 222 ホイールシリンダ 232 リーディングシュー 238 制御ピストン 246 端面 248 リーディングシュー 252 第一制御圧室 260 受圧面 290 開閉弁 292 主液通路 310 アンカ 312 制御ピストン 314 レバー 316 リーディングシュー 322 トレーリングシュー 330 マスタシリンダ 332 アンカ 400 アンカ 414 制御ピストン 420 第一制御圧室 425 受圧面 434 主液通路 444 開閉弁 468 ゴムブロック 470 大径ピストン 472 リーディングシュー 474 端面 480 アンカ 482 第一圧縮コイルスプリング 484 第二圧縮コイルスプリング 488 大径ピストン 500,502 ブレーキシュー 504 バッキングプレート 506 連結装置 516 ホイールシリンダ 518 シリンダハウジング 548 係合部材 550 係合穴 552 押圧部材 564 シリンダ 566 制御ピストン 580,600 シリンダハウジング 604 押圧部材 620 シリンダハウジング 622 バッキングプレート 624 台座 630,636 支持部材 640 押圧部材 650,652 ブレーキシュー 654 ホイールシリンダ 680 中継ピストン 702 制御ピストン 710 第一制御圧室 724 主液通路 726 受圧面 728 開閉弁 748 ゴムブロック 750 端面 758 ホイールシリンダ 760 中継ピストン 786 制御ピストン 788 開閉弁 802 ゴムブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥羽 富士夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 酒井 朗 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダからホイールシリンダに
    伝達される液圧によりブレーキシューがブレーキドラム
    に押し付けられてブレーキドラムの回転を抑制するとと
    もに、ブレーキシューのつれ回り力がアンカにより受け
    られるドラムブレーキを有する自動車用液圧ブレーキ装
    置において、 前記アンカに、前記ブレーキシューのつれ回り力を受け
    るつれ回り力受け面と、そのつれ回り力受け面とは逆向
    きであって制御圧室の液圧を受ける受圧面とを有する制
    御ピストンを設けるとともに、前記マスタシリンダと前
    記ホイールシリンダとを前記制御圧室を経て接続する主
    液通路の制御圧室よりホイールシリンダ側の部分に、前
    記マスタシリンダから前記ホイールシリンダへのブレー
    キ液の流れを許容する開状態と、マスタシリンダからホ
    イールシリンダへのブレーキ液の流れを遮断する閉状態
    とに切換え可能な開閉弁を設け、それら制御ピストンと
    開閉弁とを、制御ピストンが前記制御圧室の液圧に応じ
    た力により前記つれ回り力に抗して前進位置に保持され
    ている間は開閉弁が開き、つれ回り力により後退させら
    れれば開閉弁が閉じるように連携させたことを特徴とす
    る自動車用液圧ブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキシューと前記制御ピストン
    との間にレバーを前記ブレーキドラムの回転軸線と平行
    な回動軸線のまわりに回動可能に設け、そのレバーの中
    間部に前記ブレーキシューのつれ回り力を受ける受け部
    を設けるとともに、前記回動軸線からの距離が受け部と
    回動軸線との距離より大きい位置に前記つれ回り力受け
    面につれ回り力を作用させる作用部を設けたことを特徴
    とする請求項1に記載の自動車用液圧ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記ブレーキシューと前記制御ピストン
    との間に、ブレーキシューのつれ回り力を受ける中継ピ
    ストンと、その中継ピストンが受けるブレーキシューの
    つれ回り力を比例的に低減させて制御ピストンのつれ回
    り力受け面に伝達する伝達媒体とを設けたことを特徴と
    する請求項1に記載の自動車用液圧ブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記ドラムブレーキが、一対のブレーキ
    シューの互に対向する端部がそれらブレーキシューを支
    持するバッキングプレートに対し、少なくとも周方向に
    相対移動可能な連結装置により互に連結され、かつ、そ
    れら一対のブレーキシューが互に連結された側とは反対
    側の端部の間に設けられた一対のホイールシリンダの一
    方によって拡開させられるとともに、それらホイールシ
    リンダの他方がアンカとして機能するデュオサーボ型ド
    ラムブレーキであって、 前記一対のホイールシリンダのうち、少なくとも自動車
    の前進中の制動時にアンカとして機能するホイールシリ
    ンダのシリンダハウジングを前記バッキングプレートに
    対して少なくとも周方向に移動可能な可動シリンダハウ
    ジングとするとともに、前記制御ピストンおよび前記開
    閉弁をバッキングプレートに固定の固定部材に保持さ
    せ、かつ、前記可動シリンダハウジングの移動力を前記
    制御ピストンに伝達する伝達装置を設けた請求項1に記
    載の自動車用液圧ブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 前記ドラムブレーキが、一対のブレーキ
    シューの互に対向する端部がそれらブレーキシューを支
    持するバッキングプレートに対し、少なくとも周方向に
    相対移動可能な連結装置により互に連結され、かつ、そ
    れら一対のブレーキシューが互に連結された側とは反対
    側の端部の間に設けられた一対のホイールシリンダの一
    方によって拡開させられるとともに、それらホイールシ
    リンダの他方がアンカとして機能するデュオサーボ型ド
    ラムブレーキであって、 前記一対のホイールシリンダのうち、少なくとも自動車
    の前進中の制動時にアンカとして機能するホイールシリ
    ンダのシリンダハウジング内に前記制御ピストンおよび
    前記開閉弁を設けた請求項1に記載の自動車用液圧ブレ
    ーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0837258A2 (en) * 1996-10-18 1998-04-22 Akebono Brake Industry Co., Ltd. Drum brake
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