JPH0723317Y2 - 折畳み式シートのシートベルト取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、車両に設けられた折畳み式シートのシートベ
ルト取付構造に関する。

《従来の技術》 従来自動車等の車両には、搭乗者の安全を図るためにシ
ートベルトが装着されている。

また、車両に設けられたシートが必要に応じて折畳める
構造の場合、シートベルトａは例えば、第６図及び第７
図に示すように、シートクッションｂを構成するフレー
ムｃの後部などにアンカｄを介して固定されており、止
め金ｅの設けられたシートベルトａの先端側は、シート
クッションｂとシートバックｆの隙間よりシートクッシ
ョンｂ上へ延出されている。

《考案が解決しようとする課題》 上記従来のシートベルト取付構造では、車両が衝突した
際にシートベルトａへ加わる衝撃は直接折畳み式シート
へ伝達されるため、折畳み式シートを衝撃に耐える強固
な構造にする必要があった。

このために、シート自体の重量が重くなって折畳みや組
立て作業が大変であると共に、折畳みシート自体が高価
になる欠点がある。

また、シートベルトａがシートクッションｂに固定され
ているために、シートの折畳み時、シートベルトａがシ
ートクッションｂより垂れ下がるなどして邪魔になると
共に、折畳んだ際、シートクッションｂとシートバック
ｆを折畳み自在に枢着しているヒンジ金具などにシート
ベルトａが咬み込まれてシートベルトａが損傷するなど
の不具合もあった。

本考案は、上記従来の不具合を改善する目的でなされた
もので、シート折畳み時、シートベルトがフロアに格納
されるようにした折畳み式シートのシートベルト取付構
造を提供しようとするものである。

《課題を解決するための手段》 本考案は、上記目的を達成するために、シートクッショ
ン及びシートバックよりなる折畳み自在なシートの後方
に、フロアを凹設することにより格納部を形成し、この
格納部の開口を上記シートの後部脚を兼ねた折畳み及び
展開自在な折畳みフロアで閉塞できるようになすと共
に、上記フロアに蝶着された折畳みフロアの裏面にシー
トベルトの基端側を取付けたものである。

《作用》 これによって、衝突時、シートベルトに加わる衝撃は折
畳み式フロアを介して車体側へ伝達されるため、シート
を衝撃に耐える強固な構造にする必要がない。

また、シートを折畳んだ際、シートベルトは格納部に格
納されるため、邪魔になる虞れがないと共に、格納部は
折畳みフロアにより閉塞されるため、シートベルトが外
部へ露出することがない。

《実施例》 本考案の一実施例を第１図乃至第５図を参照して詳述す
る。

図において、１は折畳み式シート、２は自立式のシート
ベルト、９はリトラクタ、４はフロア、５は脚部、６は
脚部を兼ねた折畳み式フロアを示す。

上記折畳み式シート１はシートクッション1aとシートバ
ック1bよりなり、シートクッション1aの前側下部がフロ
ア４より立設された脚部５の上端にピン７を介して枢着
されており、このピン７を中心にシートクッション1a及
びシートバック1bが第４図に示すように前方へ回動でき
るようになっている。

上記シートクッション1aの後部とシートバック1bの下部
は両側に設けられたヒンジ金具８により枢着されてい
て、このヒンジ金具８に設けられたヒンジピン8aを中心
にシートクッション1aに対してヒンジピン8aが前方へ回
動できるようになっている。

またシートクッション1aの後部には、幅方向に複数のス
リット1cが開口されていて、これらスリット1cに下方よ
り止め金2aの取付けられたシートベルト２の先端側が挿
通され、シートクッション1a上へ延出されている。

上記シートベルト２は予め複数対用意されていて、各シ
ートベルト２の基端部側は折畳み式フロア６の内側に固
着されたリトラクタ９内に収納されている。

上記折畳み式フロア６は、シートクッション1aの後側下
方に凹設されたフロア４の格納部5aを閉塞するように設
けられたので、２枚の板体6a,6bよりなり、これら板体6
a,6b間はヒンジ6cにより折畳み自在に枢着されている。

また一方の板体6aの後縁には、ヒンジ6dによりフロア４
に枢着されていて、このヒンジ6dと上記ヒンジ6cによ
り、第１図に示す折畳み状態より、第４図に示すように
フロア４とほぼ同一平面となる状態に展開できるように
なっている。

一方、シートベルト２の基端部側を収納するように、リ
トラクタ９はヒンジ6dによりフロア４側に枢着された板
体6aの裏面にそれぞれ固着されていて、シートベルト２
に加わる衝撃がこの板体6aよりヒンジ6dを介してフロア
４へ伝達されるようになっている。

また、各板体6a,6bを各ヒンジ6c,6dを中心に折畳んで、
板体6bの先端を格納部5aの前部に形成された段部5bへ第
３図に示すように係止すると、板体6bの枢着部の高さが
シートバック1bを使用位置に保持するのに丁度よい高さ
になるように各板体6a,6bの長さが設定されていると共
に、板体6aの前縁側裏面にはストライカ10が複数個所設
けられている。

そしてこれらストライカ10にシートクッション1aの後部
に設けられたフック11を係合することにより、シートク
ッション1aを折畳み式フロア６を介してフロア４側へ固
定できるようになっている。

なお、図中12は折畳み式フロア６を開閉する把手であ
る。

次に作用を説明すると、車両用シート１の使用状態で
は、フロア４より立ち上げた折畳み式フロア６によりシ
ートクッション1aの後部が支持されており、リトラクタ
９より延出されたシートベルト２の先端側は、スリット
1cよりシートバック1b上へ延出されているため、シート
バック1bに着席した状態で使用可能である。

また、車両が衝突などしてシートベルト２に衝撃が加わ
った場合、この衝撃はリトラクタ９を取付けた板体6a及
びヒンジ6dを介してフロア４へ伝達され、車体により支
持されるためシート１に直接加わることがない。

一方シート１を折畳む場合は、シートバック1bを前方へ
倒した状態でシートクッション1aを板体6aに固定してい
るフック11をストライカ10より外し、この状態でシート
クッション1aと脚部５を枢着しているピンを中心にシー
ト１を第４図に示すように前方へ回動する。

このとき、シートベルト２はシートクッション1aのスリ
ット1cより抜け出るので、シート折畳み時の邪魔になっ
たり、ヒンジ金具などに咬み込まれることがない。

そして、シート１の折畳みが完了したら、把手12を持っ
て折畳み式フロア６を持ち上げて板体6bの先端を段部5b
より外し、折畳み式フロア６を前方へ展開して、シート
ベルト２の格納された格納部5aを閉塞する。

このとき、板体6a裏面に取付けられたリトラクタ９も格
納部5a内に第４図に示すように格納されると共に、折畳
み式フロア６はフロア４とほぼ同一平面となるため、荷
物などを安定した状態で積み込むことができるようにな
る。

《考案の効果》 本考案は、以上詳述したように、シートベルトを脚部を
兼ねた折畳みフロアに取付けたことから、衝突時シート
ベルトに加わる衝撃などは折畳みフロアを介して車体側
へ伝達されて、直接シートへ伝達されないため、シート
を衝撃に耐える強固な構造にする必要がない。

これによって、シート自体の重量が軽減できるため折畳
み及び組立て作業が容易になると共に、シートの価格低
減も図れるようになる。

またシートを折畳んだ際、シートベルトはフロアに設け
た格納部に格納されるため邪魔になったり、ヒンジ金具
に咬み込まれて損傷する虞れがないと共に、格納部は折
畳みフロアにより閉塞されるため、積荷によりシートベ
ルトが損傷されることもなく、しかも外部へ露出しない
ので外観も向上する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は折畳み式シー
トの使用状態の斜視図、第２図は同断面図、第３図はフ
ック及びストライカ付近の拡大断面図、第４図はシート
を折畳んだ状態の断面図、第５図は同斜視図、第６図及
び第７図は従来の説明図である。 １……シート、1a……シートクッション、1b……シート
バック、２……シートベルト、４……フロア、5a……格
納部、６……折畳み式フロア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッション及びシートバックよりな
   る折畳み自在なシートの後方に、フロアを凹設すること
   により格納部を形成し、この格納部の開口を上記シート
   の後部脚を兼ねた折畳み及び展開自在な折畳みフロアで
   閉塞できるようになすと共に、上記フロアに蝶着された
   折畳みフロアの裏面にシートベルトの基端側を取付けて
   なる折畳み式シートのシートベルト取付構造。