JPH07232207A - 表面欠陥の少ないオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

表面欠陥の少ないオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法

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JPH07232207A
JPH07232207A JP6027030A JP2703094A JPH07232207A JP H07232207 A JPH07232207 A JP H07232207A JP 6027030 A JP6027030 A JP 6027030A JP 2703094 A JP2703094 A JP 2703094A JP H07232207 A JPH07232207 A JP H07232207A
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健二 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱間圧延による表面疵発生の少ないステンレ
ス鋼の製造方法。 【構成】 熱延するに際し、水平ロールによる初期圧延
を実施する前に垂直ロール圧延を実施し、かつその圧下
率を5%以下とし、更に当該垂直ロール圧延後水平ロー
ル圧延までのパス間時間を下式で示されるt秒間以上と
する。 t=2.9×10-10 ×r-2×exp (25000/T) ここで、rは垂直ロール圧延による圧下率を意味し、当
該圧延前のスラブ幅wと圧延後の幅w′よりr=1−
w′/wとして求められる。またTは当該圧延の絶対温
度を示す。 【効果】 当該法による疵低減効果を図に示す。横軸は
垂直ロール圧延圧下率で、縦軸は水平ロール圧延までの
パス間時間を示す。図中白丸印は疵検定で合格したこと
を意味し、図中曲線が上記のt値に相当する。図よりt
値以上のパス間時間を用いれば、疵発生が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面欠陥が少ないステ
ンレス鋼板の製造方法、取り分けオーステナイト系ステ
ンレス鋼板の熱間圧延に際して発生する表面疵を、その
熱間圧延条件を規定する事で、減少させる方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱間圧延されたステンレス鋼板の
エッジ部には表面疵が発生し易く、特に鋼板の割れや表
面凹凸に起因する表面疵内部にはスケールが生成して後
工程の酸洗時に十分除去されず、冷間圧延後に重大な表
面欠陥となり、製品歩留まりの低下を来す。取り分け、
熱間圧延時の微小割れに起因するヘゲ疵と称される表面
欠陥は、割れ発生後に生成するスケールが圧延により内
部に食い込み、酸洗工程で除去されずに冷間圧延工程に
供せられると、圧延方向に長い線状の欠陥となり歩留ま
り低下度が特に大きい。またこの微小割れ起因の表面欠
陥による歩留まり低下が特に問題とされる鋼種は、製品
表面美麗性が問題になり易く熱延での微小割れが発生し
易いオーステナイト系ステンレス鋼である。
【0003】従って従来より熱間圧延時の表面疵を少な
くするための様々な技術が、主にステンレス鋼に関して
多く考案されてきている。例えば特開昭57−1615
3号公報ではオーステナイト系ステンレス鋼の成分を規
定して熱間加工性を確保し、当該鋼の耳われやヘゲ疵を
少なくする技術が開示されている。特開平2−1580
6号公報ではステンレス鋼スラブの表面欠陥(ピンホー
ル)を手入れ除去してヘゲ疵発生を無くする技術が開示
されている。しかしこの技術では熱間圧延時に発生する
微小な割れを防止することはできない。
【0004】また熱間圧延疵発生をスラブ形状で少なく
する技術として、特開昭58−138502号公報及び
特開平3−207551号公報が挙げられる。両者とも
スラブ短辺中央部を窪ませてフェライト系ステンレス鋼
のエッジシーム疵を低減させる技術を開示している。し
かしながらこの技術では上述の熱間圧延時の微小割れを
防ぐことはできない。さらに特公平2−9651号公報
には、オーステナイト系ステンレス鋼スラブを加熱炉に
挿入する前にショットブラスト処理を実施して熱延時の
表面欠陥を防止する技術が開示されている。しかしこの
技術では熱延時の微小割れを完全には防止できず、かつ
ショットブラスト処理による製造コスト上昇は避けられ
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ステンレス
鋼の熱間圧延時に発生する表面欠陥を改善するに当た
り、特段の工程負荷増なく表面疵を改善したステンレス
鋼を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解
決するため熱間圧延の圧延条件を特定したもので、その
要旨は、水平ロールによる初期圧延を実施する前に垂直
ロールによる圧延を実施し、かつその圧下率を5%以下
とし、当該垂直ロール圧延後水平ロールによる初期圧延
までのパス間時間を、下式で示されるt秒間以上とする
ことである。 t=2.9×10-10 ×r-2×exp (25000/T) ここでrは当該垂直ロール圧延による圧下率を意味し、
当該圧延前のスラブ幅wと圧延後の幅w′よりr=1−
w′/wとして求められる。Tは当該圧延の絶対温度を
示す。
【0007】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明者らは
熱間圧延時に発生する疵と熱間圧延に関連する様々の条
件との関係を綿密に調査して、本発明を完成したもので
ある。まず本発明者らは熱間圧延疵発生とスラブ形状と
の関係を綿密に調査したところ、図1の矩形スラブより
も図2の凹部発生スラブで熱延疵発生が多いことを見い
出した。矩形スラブとは図1にその横断面を示したよう
に、鋳造時にバルジングが生じなかった時に得られるス
ラブであり、図中のhとwは各々スラブ厚みとスラブ幅
を意味する。凹部発生スラブとは図2にその横断面を示
したように、鋳造時にバルジング等によりスラブ長辺面
に凹部が形成されたスラブである。凹部の発生位置は通
常スラブエッジから10mm〜300mmの範囲に形成さ
れ、図中の△hは最大凹部深さ(スラブ中央部の水平面
からの深さ)を、△wはスラブエッジから最大凹部深さ
発生位置までの距離を、hcはスラブ中央部の平均厚み
を、各々示す。
【0008】通常の連続鋳造機では、上記凹部を完全に
無くしてスラブ横断面を完全な矩形にするのは一般的に
困難である。取り分け最近では、生産性向上のために連
続鋳造時の鋳造速度を高くする傾向があり、その結果バ
ルジングが生じ易くなる等、完全矩形スラブを得ること
は困難である。
【0009】また熱延疵の発生位置は、矩形スラブでは
スラブエッジに近くなるほど発生頻度が高くなり、凹部
発生スラブでは矩形スラブを上回る発生頻度で凹部に熱
延疵が発生することが判明した。また凹部発生スラブで
の熱延疵発生頻度は最大凹部深さ△hに左右される傾向
が認められ、△hが大きいほど疵発生頻度が高くなる。
即ち凹部発生スラブを使用すると、熱延疵がエッジより
内側に発生し易くなり、最終製品の歩留まりが著しく低
下する。
【0010】更に本発明者らは、疵の発生形態を明確に
するために粗熱延1パス(水平ロール圧延)終了後の熱
延疵を調査した。その結果、スラブエッジやスラブ凹部
に発生する疵はすべてC方向割れ(圧延方向に直角方向
の割れ)であることが判った。そのサイズはC方向に
0.1〜0.2mm程度で深さ0.1mm程度の微小な割れ
で、その後の熱延や冷延等の圧延工程によりL方向(圧
延方向)に伸張され、最終製品板で表面品位を致命的に
劣化させるヘゲ疵になることを確認した。また最終製品
での疵発生頻度と粗熱延1パス後の微小割れ発生頻度の
比較より、最終製品での疵は粗熱延(水平ロール圧延)
初期パス時に発生した微小割れにほぼ対応し、2パス目
以降の圧延では微小割れ等の欠陥が生じることがないこ
とを確認した。
【0011】上記結果より本発明者らは、水平ロール初
期圧延前の垂直ロール圧延を5%以上とする事で、スラ
ブエッジ凹部を消失させ、水平ロール圧延時に発生する
圧延方向張力を低減させて、熱延疵を防止する事に成功
した。(特願平5−84932号明細書参照)。しかし
ながら、垂直ロール圧延で5%以上もの大圧下を実施す
ると、垂直ロールの摩耗が激しい等ロール原単位の低下
を来たした。
【0012】そこで、本発明者らはさらに研究を重ね、
スラブや熱延板の表層組織を詳細に調査した結果、水平
ロール初期パス後に微細割れが生じる箇所は、凝固時に
凝固完了が遅れて溶質原子が濃縮した箇所に相当するこ
とを見いだした。オーステナイト系ステンレス鋼では、
一般に凝固遅れ部にNi,Mn,P,S等が濃縮し、通
常オシレーションマーク谷部に形成されNi偏析帯と称
されることが多い。しかし、鋳造速度の上昇に伴い、通
常のNi偏析帯の他に、Ni偏析帯から線状に伸びるN
i偏析線やオシレーションマーク山部にもNi偏析線等
が現出してくる。本発明者らの観察によれば主にこのN
i偏析線に相当する箇所では、スラブ加熱時に粒成長が
生じ易く粗熱延初期パス前に粗粒と成り、粗熱延初期パ
ス後微小割れが生成する。粗熱延初期パス以降では、旧
Ni偏析線箇所も含めたスラブ表層には再結晶粒が生
じ、偏析程度も軽減されている。
【0013】そこで本発明者らは、粗熱延水平ロールに
よる初期パス時に生じるスラブエッジ表層部の組織変化
を、水平ロール初期パス以前に実施する軽圧下の垂直ロ
ール圧延により生じせしめ、ヘゲ疵発生を防止する熱間
圧延条件を開発した。即ち、オーステナイト系ステンレ
ス鋼を熱間圧延するに際し、水平ロールによる初期圧延
を実施する前に垂直ロールによる圧延を実施し、かつそ
の圧下率を5%とし、当該垂直ロール圧延後水平ロール
による初期圧延までのパス間時間を、下式で示されるt
秒間以上とすることである。 t=2.9×10-10 ×r-2×exp (25000/T) ここでrは水平ロール圧延初期パス前の垂直ロール圧延
による圧下率を意味し、当該圧延前のスラブ幅wと圧延
後の幅w′よりr=1−w′/wとして求められる。T
は当該圧延の絶対温度を示す。
【0014】以下に特許請求の範囲限定理由を述べる。
まず水平ロール圧延前の垂直ロールによる圧延を実施す
るとした理由は、当該垂直ロール圧延なしに水平ロール
圧延を実施すると微小割れが発生するからである。ここ
で、本発明における水平ロール圧延とは圧延方向に垂直
なスラブ横断面における対向する長辺に圧下を加えるこ
とを意味し、垂直ロール圧延とは当該横断面の対向する
短辺に圧下を加えることを意味する。
【0015】当該垂直ロール圧延の圧下率rを5%以下
とした理由は、5%を超える圧下率では特に水平ロール
圧延までのパス間時間を規定せずとも、熱延疵改善効果
が認められる(全掲明細書参照)からである。と同時
に、これ以上の圧下率ではロール摩耗が激しく、ロール
原単位の低下を来す。また、圧下率rの下限について
は、特に規定しないが、少なくとも0.5%以上圧下す
る事が好ましい。尚、圧延温度域について本発明では特
に規定しないが、下限温度は通常の粗熱延温度の下限の
1000℃程度までで、上限は1350℃程度までであ
る。
【0016】次に、垂直ロール圧延パスと水平ロール圧
延初期パスのパス間時間をt秒間以上と限定した理由
は、これ以下のパス間時間では当該垂直圧延によるスラ
ブエッジ表層組織改善効果が不十分で、その後の水平ロ
ール圧延時に微小割れが発生し易くなるからである。こ
の間パス時間の下限t秒が圧下率rの2乗に逆比例する
事を図4に示す。またパス間時間の下限t秒の自然対数
が、垂直ロール圧延温度Tの逆数に比例する関係を、図
5に示す。
【0017】尚、本発明では上記パス間時間の上限につ
いて特に規定しないが、通常の熱間圧延のように垂直ロ
ール圧延後直ちにそのスラブの顕熱を利用して水平ロー
ル熱延に移行する場合には、温度低下を防止するとの観
点より300秒以下であることが望ましい。しかしなが
ら垂直圧延ロール等で圧延した後に再加熱して水平ロー
ル圧延に供する場合には、この限りではなく、粒成長防
止の観点より30分程度までが望ましい。
【0018】ところで、上記本発明に記載された技術で
熱延疵を改善できる理由については現在のところ必ずし
も明確ではないが、下記と考えられる。上述したよう
に、従来粗熱延時に生成する微小割れ発生箇所は大略ス
ラブ表層のNi偏析線発生箇所、即ちオッシレーション
谷部に相当し、圧延前に粗粒と成っている。Ni偏析線
部は凝固完了が遅れた箇所であり、オーステナイト系ス
テンレス鋼ではNi,S,P等が濃縮している。Niは
オーステナイト安定化元素であり、この濃縮がオーステ
ナイト相を安定させδ−Fe相晶出抑制及びδ−Fe相
の消滅促進作用を持つ。その結果、当該部では他と比較
してδ−Fe相量が少なく、δ−Feによる粒成長阻害
化効果(ピンニング効果)が小さく、特にスラブ加熱時
にオーステナイト粒の粒成長が生じ易くなり、粗圧延前
に粗粒になると考えられる。粗粒になると粒界面積は相
対的に減じられるため、粒界偏析型元素S,P等の粒界
偏析度は高くなる。その上、前述のようにNi偏析部で
は凝固時にS及びPが濃縮しており、当該部でのS及び
Pの粒界偏析度は他と比較して十二分に高いと判断され
る。これらの偏析は当然熱間加工性の低下を来たし、熱
間圧延時の割れ発生を容易にすると考えられる。即ち、
スラブ加熱後のNi偏析線部は局所的に極めて脆化した
箇所であると言える。
【0019】この局所的に脆化したMi偏析線部を水平
ロールで圧延すると、上述のように圧延方向に張力が発
生してC方向に微細割れが生じる。この圧延方向張力
は、スラブ中央部とエッジ部の圧延方向のメタルフロー
の差に起因すると考えられる。即ちエッジ部では圧延時
に幅広がりが生じ、圧延方向へのロタルフロー量が中央
部に比較して小さくなる。その結果、エッジ部のメタル
は中央部のメタルのフローに引きずられ、エッジ部に圧
延方向の張力が発生する。上記が、従来矩形スラブでも
エッジ部に微小割れが生じた理由と考えられる。また図
2に示した凹部発生スラブでは、スラブ厚みが薄く圧延
方向へのメタルフローが少ない凹部域で、水平ロール圧
延初期パス時に圧延方向張力が高くなり、疵発生が集中
したものと考えられる。
【0020】しかし、初期水平ロール圧延で微細割れが
生じなかった旧Ni偏析部では、水平ロール圧延後に
「再結晶粒」乃至「偏析の軽減」が生じ、以降の水平ロ
ール圧延時に張力が発生しても微細割れが生じない。従
って、水平ロール初期圧延前に同様の組織変化を生じせ
しめれば、旧Ni偏析部の靭性が回復して、熱延疵(微
細割れ)を防止する事ができる。即ち、先願発明(前掲
明細書参照)の垂直ロール圧延では、スラブエッジの凹
部を消失せしめ更には凸部を形成せしめるために、5%
以上の大圧下が必要であったと考えられる。一方、本願
発明の垂直ロール圧延では、上記組織変化を生成させる
ために圧延後のパス間時間が必要となる。更に、ひとた
び上記組織変化により旧Ni偏析部の靭性が回復すれ
ば、垂直ロール圧延によるスラブエッジ凹部の消失が不
十分で水平ロール圧延時に圧延方向張力が発生しても、
微細割れが発生せず、良好な表面のオーステナイト系ス
テンレス鋼板が得られる事になる。以下、実施例に即し
て詳細に説明する。
【0021】
【実施例】表1に示した成分のオーステナイト系ステン
レス鋼(SUS304鋼)を通常の溶製法に従って溶製
し、スラブ中央厚みが165mmでスラブ幅が1250mm
及び1000mmのスラブを鋳造した。鋳造スラブの内、
通常の熱延では疵が発生し易い形状のスラブを選び出し
た。即ち図2に示すようなエッジ凹部が存在するスラブ
で、△h=1.0〜1.5mm及び△w=120〜170
mmであった。これらのスラブを熱延に供し、水平ロール
圧延前に垂直ロールで1パス圧延して水平ロール圧延ま
での時間を変えて、水平ロール圧延を実施した。得られ
た熱延コイルは、通常の酸洗・冷延工程を経て冷延コイ
ルとし、ヘゲ疵検定を実施した。この疵検定結果と垂直
ロール圧延条件の関係を表2に本発明の下限パス間時間
t値と共に示す。更に表2中の圧延温度が1230℃の
結果を他の結果を交えて図3に示す。図3における図の
横軸は垂直ロール圧延圧下率rを意味し、当該圧延前の
スラブ幅wと圧延後の幅w′よりr=1−w′/wとし
て求められる。図の縦軸は当該垂直ロール圧延後初期水
平ロール圧延までのパス間時間を示す。図中の白丸は当
該条件で熱延されたコイルが疵検定で合格した事を意味
し、×印は疵検定で不合格になった事を意味する。
【0022】図3より明らかなように、垂直ロール圧延
の圧下率rが大きくなると疵低減に必要なパス間時間が
小さくなる。この際、疵を低減する下限のパス間時間t
は、rの2乗に逆比例する関係が認められ、この傾向を
明確にするべく、図4に横軸を1/r2 としたときの結
果を示す。図より疵低減の必要パス間時間tが垂直ロー
ル圧延圧下率rの2乗に逆比例する関係が認められる。
ここで、図中の直線の傾きは4.9×10-3sであっ
た。
【0023】また、疵低減に必要なパス間時間tは垂直
ロール圧延温度Tが高くなると小さくなる傾向が認めら
れる。この傾向を明確にするため、垂直ロール圧延圧下
率が1.5%時のパス間時間のアーレニウスプロットを
図5に示す。横軸は垂直ロール圧延温度T(絶対温度)
の逆数で、縦軸は垂直ロール圧延後水平ロール圧延まで
のパス間時間である。図中の白丸は疵検定合格を×印は
不合格を意味し、図中の直線は疵低減に必要な下限のパ
ス間時間に相当し、その傾きは25000Kであった。
【0024】図4及び図5より、下限のパス間時間tは
下式で表され、下式より求められるt値を表2に示す。 t=2.9×10-10 ×r-2×exp (25000/T) 表2より明らかなように、従来法の垂直ロール圧延法に
比較して本発明法による垂直ロール圧延法を用いて製造
したときの疵の発生が少ないことが認められる。即ち各
圧延条件において、垂直ロール圧延後水平ロール圧延ま
でのパス間時間を上式より求められるt値以上にする事
で、疵が改善される。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の効果は、
熱間圧延により鋼板を製造するに際し所定の垂直ロール
圧延を水平ロール圧延前に実施する事で、製品の表面疵
を低減でき製品歩留まりを向上できる等、産業上裨益す
るところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳造時にバルジングが生じなかった時に得られ
る完全矩形スラブの横断面を示す。
【図2】鋳造時にバルジング等によりスラブ長辺面に凹
部が形成された時のスラブ横断面を示す。
【図3】初期水平ロール圧延前に実施する垂直ロール圧
延条件と表面疵発生の関係を示す図で、垂直ロール圧延
温度は1230℃である。
【図4】図3の結果を、横軸を1/r2 に変えて示した
図である。
【図5】当該垂直ロール圧延圧下率が1.5%(r=
0.015)時の当該圧延温度Tに対する水平ロール圧
延までのパス間時間のアーレニウスプロットを示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B21B 37/00 BBL (72)発明者 上田 全紀 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間圧延によりステンレス鋼板を製造す
    るに際し、水平ロールによる初期圧延を実施する前に垂
    直ロールによる圧延を実施し、その圧下率rを5%以下
    とし、かつ当該垂直ロール圧延後水平ロールによる初期
    圧延までのパス時間を、 t=2.9×10-10 ×r-2×exp (25000/T) (ここでrは当該垂直ロール圧延による圧下率を意味し
    当該圧延前のスラブ幅wと圧延後のw′よりr=1−
    w′/wとして求められ、Tは当該圧延の絶対温度を示
    す)で示されるt秒間以上とすることを特徴とする表面
    欠陥の少ないステンレス鋼板の製造方法。
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