JPH07231304A - 光送信回路 - Google Patents

光送信回路

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JPH07231304A
JPH07231304A JP6020930A JP2093094A JPH07231304A JP H07231304 A JPH07231304 A JP H07231304A JP 6020930 A JP6020930 A JP 6020930A JP 2093094 A JP2093094 A JP 2093094A JP H07231304 A JPH07231304 A JP H07231304A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い消費電力でしかもレーザダイオードなど
の変換効率が変化した場合でも光変調度も安定的に補償
する。 【構成】 発振源1から信号は帯域通過フィルタ2で基
準信号だけを整合抵抗器5を介してレーザダイオード4
に与える共にバイアス電流に重畳させて与える。フォト
ダイオード6はレーザダイオード4からのモニタ光を受
けて、モニタ電流から検出器14、帯域通過フィルタ1
5で基準信号対応する信号成分を抽出する。この信号成
分を整流器16と積分器17で平滑・積分して、直流信
号とさせる。電圧/電流変換増幅器18で電流信号へ変
換して基準電圧を基準電圧発生器12で変更し、差分入
力9bに与え、他方の直流信号検出器7からのモニタ信
号を差分入力9bに与える。この差分値から制御回路1
0を通じてバイアス回路11の出力バイアス電流を変更
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は例えば、光通信などで
使用される光送信回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信用の半導体デバイスが各メ
ーカから発表されている。例えば、富士通(株)製品の
FLD130F3ACH−AL(DFBレーザダイオー
ド(アナログ用))が既に発表されている。このレーザ
ダイオードのデータシートDS02−12207−2に
仕様が示されている。このデータシートには、このレー
ザダイオード用の自動光出力制御(APC)回路や自動
温度制御(ATC)回路などが示されている。
【0003】このAPC回路では、レーザダイオードの
光出力に比例した光が光出力端の裏面から発光出力され
るようにされている。この光出力をモニタ用のホトダイ
オードで検出し、モニタ光に比例した電流を検出用の抵
抗器に流し検出電位を得る。この検出電位は基準電位と
比較され基準電位より小さい場合はレーザダイオードの
バイアス電流を増加させ、大きい場合はバイアス電流を
減少させるものである。そして、上述の動作を検出電位
と基準電位とがほぼ同一になるように繰り返すものであ
る。従って、基準電位に比例した電流がモニタ用ホトダ
イオードに流れるので、基準電位を制御することによっ
て光出力が制御されるものである。
【0004】また、ATC回路はレーザダイオードと、
温度が同一になる場所にペルチェ素子に代表される冷却
素子と、サーミスタに代表される温度検出素子を配置す
る。そして、各々は電気的に絶縁され配置される。サー
ミスタは温度に反比例して抵抗値が変化するので、サー
ミスタに定電流を流すと、温度が高くなればサーミスタ
の電位は減少し、温度が低くなればサーミスタの電位は
増加する。従って、サーミスタの電位が基準電位より減
少した場合、ペルチェ素子を冷却するように制御し、増
加した場合、ペルチェ素子を加熱するように制御するこ
とで基準電位を制御し、温度の制御が可能となる。
【0005】そして、レーザダイオードが発振するとき
の電流値を閾値という。発振中の光パワーPと、バイア
ス電流Ibから閾値電流値Ithを引いた電流値の比を
変換効率という。 変換効率=P/(Ib−Ith) (W/A) 尚、Pはレーザダイオードから出力される光出力パワー
である。
【0006】この閾値と、変換効率は、温度や経時によ
って変化し、温度による変化をATCで制御し、経時に
よる変化をAPCで制御し、一定の光出力のパワーを得
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、更に、光送信
回路における光変調度は、一般にはバイアス光と、信号
光の比であるので、光変調度を決定すると、回線の最大
チャネル数を決定することができる。例えば、従来のA
TC回路や、APC回路などでは、温度変化や経時変化
などでレーザの変換効率が劣化すると、APCによって
バイアス光の補償はされるが、信号光は変換効率が変わ
った分変化する。従って、従来の仕組みでは、変換効率
が劣化した場合に、光変調度が変化し、更に経時変化で
も最大チャネル数が変化してしまうという問題があっ
た。
【0008】また、更にATC回路は、電流を温度に変
換して、温度を上げさせたり、下げさせたりの制御をす
るために、非常に消費電力が大きくなるという問題があ
った。このような問題は、光送信回路を気温の変化が大
きい場所に設置する場合、例えば、光送信回路が室外に
設置されるような場合には、特に気温差が大きくなるた
めATC動作による消費電力が大きくなる。
【0009】以上のようなことから、レーザダイオード
の変換効率が変化した場合に、光変調度も変化してしま
うという問題を解決し得る仕組みの提供が要請されてい
る。更に、ATC回路などの動作で光送信回路の消費電
力が大きくなるという問題を解決し得る仕組みの提供が
要請されていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明の光送
信回路は、発光器へ変調用信号を与えるための変調用信
号入力端子と、発光器にバイアス信号を与えるバイアス
手段と、発光器の一方からの光信号を電気信号に変換す
るモニタ手段と、このモニタ手段の電気信号を用いて上
記バイアス手段を制御する制御手段とを備えた光送信回
路において、次のような構成で解決するものである。
【0011】即ち、光変調特性を補償するための基準と
なる基準信号を発光器に与えるための基準信号入力端子
を備え、この基準信号入力端子から上記変調信号と異な
る基準信号を印加する。又は、変調信号と異なる基準信
号を発生し上記発光器に与える基準信号発生手段を備え
る。この変調信号については、デジタル(パルス)的な
信号でも、アナログ的なものでもよい。また、基準信号
は、例えば、変調信号と相関がない、又は変調信号の中
心周波数の高調波、2次歪、3次歪うねり等の影響を受
けないことが好ましく、従って、光変調のときにこれら
の歪等が発生しないように直線性のある光変調を行うこ
とが好ましい。更に、変調信号に影響を与えないように
ある程度間隔がとられた基準信号であることが好まし
い。
【0012】そして、更に、モニタ手段の電気信号から
基準信号に対応する信号成分だけを抽出する基準信号成
分抽出手段を備える。そして、制御手段は、この抽出さ
れた信号成分の変化からバイアス手段に対するバイアス
増減のための制御信号を決めるための基準値を制御し、
この基準値と上記モニタ手段の電気信号とから上記制御
信号を決定するものである。このような構成で、光変調
の特性を補償するものである。
【0013】
【作用】この発明によれば、基準信号は発光器に与えら
れると共に、バイアス信号と変調信号も同時に発光器に
与えられる。尚、基準信号は変調信号に影響を与えない
程度に異なる関係にあるので、直線性のある光変調によ
って得られる発光スペクトルにおいても影響を与えるも
のではない。基準信号に対応する光スペクトルと変調信
号に対する光スペクトルとが発光器の発光出力として得
られる。そして、発光器の一方の発光出力、例えば、発
光器が表面と裏面から光信号を出力の内の一方の光出力
をモニタ手段で受けて、そして、受けた光信号を電気信
号にして出力するものである。
【0014】そして、この電気信号には、基準信号に対
応する成分と変調信号に対応する成分とが含まれている
ので、基準信号成分抽出手段でこの基準信号に対応する
成分だけを取り出す。そして、この抽出された信号成分
は元の基準信号のレベルと比較すると、発光器が設置さ
れている環境条件が光変調特性に与える影響によってレ
ベル変動するので、このレベル変動を検出する。そし
て、この変動に応じて発光器に対するバイアス信号を補
正して光変調特性を安定的に補償するために、基準値を
変更制御する。そして、制御手段はモニタ手段からの電
気信号(基準信号及び変調信号のそれぞれに対応する成
分を含んでいる。)と変更された基準値との比較判断に
よってバイアス手段へのバイアス信号の増減の制御信号
を生成し、バイアス手段に与えるものである。
【0015】これによって、発光器の温度変化や、経時
変化などによって電気信号から光信号への変換効率が変
動しても、光変調度特性(バイアス光信号と変調光信号
との比)を安定的に補償することが可能となる。
【0016】
【実施例】次にこの発明の好適な一実施例を図面を用い
て説明する。そこで、従来の課題を解決する仕組みとし
て、光変調度の検出手段を設け、その検出手段による検
出情報を用いて発光器としての例えば、レーザダイオー
ドのバイアス電流を制御し、光変調度が変化しないよう
に構成するものでる。
【0017】そこで、更にAPC回路において、基準信
号を発生する手段と、その信号をレーザダイオードのバ
イアスに重畳する手段と、モニタ用フォトダイオードの
出力からその信号だけを検出する手段と、その信号を平
滑し、積分する手段と、積分した信号をAPC回路の出
力バイアスを決める基準電位に重畳する手段などの構成
で実現するものである。
【0018】『光送信回路の構成』: 図1はこの一
実施例の光送信回路の機能ブロック図である。この図1
において、光送信回路は、主に発振源1と、帯域通過フ
ィルタ2と、伝送信号入力回路3と、APC回路13
と、検出器14と、帯域通過フィルタ15と、整流器1
6と、積分器17と、電圧/電流変換増幅器18とから
構成されている。
【0019】そして、APC回路13は、主にレーザダ
イオード4と、整合抵抗回路5と、モニタ用フォトダイ
オード6と、直流信号検出器7と、電源部8と、差分検
出器9と、制御回路10と、バイアス回路11とから構
成されている。尚、レーザダイオード4の出力光は光フ
ァイバ伝送路20に与えられ、受信回路21に与えるよ
うに構成されている。
【0020】(発振源1の構成): 図1の発振源1
は発振器1aと整合抵抗器1bとが直列接続で構成され
ている。発振器1aで発振された高周波信号は基準信号
として整合抵抗1aを通じて出力され、帯域通過フィル
タ2のインダクタンス2aに与えられる。この基準信号
はレーザダイオード4の温度変化や経時変化による変換
効率の変動、閾値の変化などによる光変調度の変動を検
出し、安定的に補償するための基準となる信号である。
上記発振器1aとしては、例えば、水晶発振器を使用す
ることができる。
【0021】尚、この高周波信号(基準信号)の波形
は、図2に示すように示すことができる。この図2にお
いて、縦軸は電圧であり、横軸は時間である。そして、
高周波信号(基準信号)は正弦波信号として表されてい
る。そして、この発振源1は光変調度を一定に保つため
の基準となるものである。
【0022】そして、この発振器1aの発振周波数は、
伝送信号入力回路3における発振周波数に影響を与えな
い程度に異なる周波数で発振させ、信号検出に必要なレ
ベルを設定することが好ましい。更に、APC回路13
の動作周波数である直流成分に近い周波数であることが
好ましい。
【0023】(帯域通過フィルタ2の構成): 図1
の帯域通過フィルタ2は、インダクタンス2aとコンデ
ンサ2bとが直列接続されて構成されている。そして、
発振源1の整合抵抗1aからの高周波信号はインダクタ
ンス2aに与えられ、コンデンサ2bとの作用で不要成
分を除去し、発振器1aの発振周波数信号だけを帯域通
過させ、帯域通過信号を出力し、APC回路13の交流
信号入力端子13aに与える。
【0024】更に、この図1の帯域通過フィルタ2は、
バアイス回路11の出力であるバイアス電流が交流信号
入力端子13aを介して発振源1に流れ込まないないよ
うにする役目も果たしている。
【0025】従って、レーザダオード4への信号伝達に
損失が起こらないように、伝送信号の周波数で整合抵抗
器5の成分だけが見えるように(優位にあるように)、
発振器1aの発振周波数以外では十分に高抵抗になるよ
うにインダクタンス2a、コンデンサ2bの値を設定す
ることが好ましい。
【0026】また、この帯域通過フィルタ2は、帯域信
号を通過させる機能を有するものであれば良く、このた
め抵抗器やコンデンサや誘電体等によって構成されるこ
とでもよい。
【0027】(交流信号入力端子13a、伝送信号入力
端子13b): 図1のAPC回路13の交流信号入
力端子13aは、整合抵抗回路5と、伝送信号入力端子
13bと、バイアス回路11の出力に接続されている。
そして、この交流信号入力端子13aには帯域通過フィ
ルタ2から帯域通過信号が与えられる。
【0028】そして、バイアス回路11の出力からはバ
イアス電流(直流電流)が出力され、交流信号入力端子
13aと整合抵抗回路5に与えられる。このバイアスさ
れているときの信号波形は、図3に示すように表され
る。この図3において、縦軸は電流、横軸は時間を表し
ている。バイアス電流ia(直流電流)に正弦波(高周
波信号)が重畳した信号で整合抵抗回路5に与えられ
る。
【0029】そして、伝送信号入力端子13bには、伝
送信号入力回路3からの伝送用信号が与えられる、更に
バイアス電流も加えられて、交流信号入力端子13aを
介して整合抵抗器5を通じてレーザダイオード4に与え
られる。
【0030】(伝送信号入力回路3の構成): 図1
の伝送信号入力回路3は、発振器3aと、抵抗器3b
と、インダクタンス3cと、コンデンサ3dとから構成
されている。そして、発振器3aの発振周波数は発振源
1の発振周波数とは異なる発振周波数である。そして、
この発振器3aの発振信号は伝送用信号として、整合用
の抵抗器3bと、帯域通過用のインダクタンス3cとコ
ンデンサ3dとを通じて伝送用信号をAPC回路13の
伝送信号入力端子13bに与える。尚、上記発振器3a
としては、例えば、水晶発振器を使用することができ
る。
【0031】また、帯域通過用のインダクタンス3cや
コンデンサ3dの部分は、上述の帯域通過フィルタ2の
構成と同様に抵抗器やコンデンサや誘電体等で構成され
ることでもよい。
【0032】(レーザダイオード4、整合抵抗器5):
そして、レーザダイオード4は整合抵抗器5からの
バイアス電流(直流電流)が与えられると、この電流に
比例した光で発光し、全面から出射された光は光ファイ
バ20に入射され受信回路21に伝送される。更に、レ
ーザダイオード4の裏面から出射された光はモニタ光と
して光結合でモニタ用フォトダイオード6に与えられ
る。
【0033】例えば、図4〜図6は、レーザダイオード
4に与えられたバイアス電流によって出力される光出力
のパワーPと入力電流の関係を示している。更に、図7
はレーザダイオード4の光出力を受けたモニタ用フォト
ダイオード6の電流出力を受けた検出器14の検出電圧
と時間との関係を表している。
【0034】(モニタ用フォトダイオード6): 図
1のモニタ用フォトダイオード6のカソード側は検出器
14へ接続され、アノード側は直流信号検出器7に接続
されている。このような構成によって、モニタ電流を検
出するものである。
【0035】(直流信号検出器7): 図1の直流信
号検出器7は、抵抗器7aとコンデンサ7bとから構成
され、フィルタを形成している。そして、モニタ用フォ
トダイオード6で発生されたモニタ電流を直流信号に近
い成分だけを検出し、しかも電圧信号に変換して、検出
信号を差分検出器9の入力9aに与える。
【0036】(基準電圧発生器12): 図1の基準
電圧発生器12は、主に電流源12aと、抵抗器12b
とから構成されている。そして、電圧/電流変換増幅器
18からの信号を与えられ、更に、電源9からの所定電
圧が与えられ、基準電圧信号を生成して差分検出器9の
入力9bに与えている。
【0037】(差分検出器9): 図1の差分検出器
9は、入力9aに直流信号検出器7から検出信号を与え
られ、更に、入力9bには基準電圧発生器12から基準
電圧信号が与えられ、両信号の差分を生成する。この差
分は直流信号検出器7からの検出信号の電圧が、基準電
圧信号よりも大きい場合は正の差分信号であり、また、
逆に検出信号の電圧が、基準電圧信号よりも小さい場合
は負の差分信号である。このような差分信号は制御回路
10に与えられる。
【0038】(制御回路10、バイアス回路11):
図1の制御回路10は差分検出器9からの差分信号が
与えられると、正の差分信号の場合には、制御回路10
の出力としてバイアス回路11のバイアス電流を減少さ
せるための制御を行い、負の差分信号の場合には、制御
回路10の出力として、バイアス回路11のバイアス電
流を増加させるための制御を行うものである。
【0039】このため、バイアス回路11は、電源8か
らの所定電圧信号を基準端子11aに受け、この所定電
圧信号を用いて、直流のバイアス電流を生成すると共
に、制御回路10からの差分信号によって出力バイアス
電流を制御するように構成されている。従って、このよ
うにして、直流信号検出器7の検出信号の電圧と、基準
電圧発生器12の基準電圧信号との差がなくなるまで制
御回路10は、バイアス電流の制御を行う。
【0040】従って、この基準電圧信号によって出力光
が制御され、この基準電圧信号に比例した光が、レーザ
ダイオード4から出力される。
【0041】(検出器14、帯域通過フィルタ15):
図1の抵抗器だけで構成されており、モニタ用フォ
トダイオード6で発生したモニタ電流を与えられるが、
この信号には、発振器1aの発振信号の他、バイアス信
号や、伝送信号や、送信回路への電力投入時の過渡応答
などの成分が含まれている。このため、検出器14に接
続されている帯域通過フィルタ15で不要成分を除去
し、発振器1aの発振信号だけを通過させるように構成
されている。このようにして帯域通過フィルタ15によ
る不要波除去で得られる信号の波形を図8に示してい
る。この図8の縦軸は電圧で、横軸は時間である。信号
の波形は正弦波を表している。
【0042】このため、帯域通過フィルタ15は、イン
ダクタンス15aと、コンデンサ15bとが直列接続さ
れて構成されている。このような構成で発振器1aの出
力信号増減を検出するものである。この帯域通過フィル
タ15の出力信号は整流器16に与えられる。
【0043】この帯域通過フィルタ15は、上述の帯域
通過フィルタ2などと同様に抵抗器やコンデンサや誘電
体等で構成されることであってもよい。
【0044】(整流器16): 図1の整流器16は
帯域通過フィルタ15からの正弦波の最大波高値を検出
し、雑音の影響を軽減するために、平均値で検出するも
のとする。そして、正弦波は正負に点対象となるため、
そのまま積分すると0になるため、半波又は全波整流し
て、整流信号を積分器17に与える。
【0045】この整流信号(全波整流信号)の波形を図
9に示している。この図9の縦軸は電圧を表し、横軸は
時間を表している。
【0046】(積分器17): 図1の積分器17
は、整流信号(全波整流信号)を積分して、図10に示
すような特性で積分信号を出力し、次の電圧/電流変換
増幅器18に与える。この図10は、縦軸は電圧を表
し、横軸は時間を表している。この積分電圧は、指数関
数的に増加し、ある時間後に一定電圧に近付く。
【0047】(電圧/電流変換増幅器18): 図1の
電圧/電流変換増幅器18は、積分値と波高値との差分
の補正を行い、最大の波高値の平均値を直流レベルで出
力する。そして、ここで波高値に比例した電圧信号が電
流信号に変換され、基準電圧発生器12に与えられる。
この電流信号の特性を図11に示している。この図11
において、縦軸は電流値を表し、横軸は時間を表してい
る。この図11に示すように、電流信号は指数関数的に
増加し、ある時間後に一定電流値に近付くものである。
【0048】(基準電圧発生器12): 図1の基準
電圧発生器12は、電圧/電流変換増幅器18からの電
流信号は基準電圧を発生する抵抗器に注入され、電位を
発生する。ここで発生された電位はAPC回路の光出力
の量を決める基準電位に重畳され、その増減分で光出力
を変化させるものである。
【0049】従って、発振源1及び帯域通過フィルタ2
からなる標準信号源の伝達関数の設定によって、レーザ
ダイオード4の光出力の量を変化することができる。こ
の発振源1及び帯域通過フィルタ2の伝達関数の設定
は、回路上で設定する受動素子である抵抗器、コンデン
サ及びインダクタンスの値の設定で行われる。そして、
この値の偏差は一般の部品においては、数%以下が好ま
しい。
【0050】更に、モニタ用フォトダイオード6の特性
変動も数%以下が好ましい。そして、レーザダイオード
4の閾値や変換効率は、温度や経年変化、特に温度変化
で数十%程度変動するものと考えられる。
【0051】そこで、レーザダイオード4の閾値や変換
効率の変動があった場合にどのように光変調度を安定的
に補償するかを以下で説明する。
【0052】(図4による閾値変動に対する光出力補償
動作説明): 先ず図4を用いて動作を説明する。こ
の図4A〜図4Cはレーザダイオード4の特性が変動し
た場合の動作を説明するものである。この図4Aは縦軸
に光パワーを表しており、横軸は電流を表している。そ
して、Ithはレーザダイオードの閾値電流を表してい
る。そして、温度変動によって、3通りの閾値Ithに
よる光出力の特性を直線c1〜c3で表している。そし
て、各特性直線c1〜c3は、時間的に一定で入力され
た電流iに対してそれぞれ一定の出力が得られているこ
とを表している。
【0053】そして、図4Bは、レーザダイオード4に
対する電流iの時間的変化を表している。そして、同じ
電流値の正弦波で変化している入力電流特性c4〜c6
は、それぞれ一定に入力された直流電流(バイアス電
流)に重畳される。
【0054】そして、図4Cは縦軸に光パワーを表し、
横軸に時間tを表している。そして、入力交流信号のレ
ベルが一定の場合、変換効率が一定となるので、出力交
流信号のレベルも一定の値となることを表している。従
って、閾値が変動した場合は、APC回路13によって
レーザダイオード4からの光出力を一定にするような動
作を実現することができる。つまり、発振源1からの発
振信号(標準信号)による光出力は一定であるので、こ
の発振信号(標準信号)の検出によって得られる、基準
電圧発生器12で生成する基準電圧信号を増減する信号
を一定(安定的)にさせることができる。
【0055】即ち、以上のような動作によってレーザダ
イオード4の閾値の変動によって、レーザダイオード4
に対するIb−Ithの電流の増減変化は起こり難いと
考えられる。
【0056】次に図5、図6は変換効率が変化した場合
の入力直流電流、入力交流電流と、出力直流電流、出力
交流電流との関係を表している。
【0057】(図5による変換効率の変化に対する光出
力補償動作説明): 図5はAPC回路13だけの動
作を説明するための説明図である。そして、図5Aは縦
軸は光パワーPを表し、横軸は入力電流iを表す。図5
Aには3つの変換効率が特性d1〜d3が表されてい
る。図5Bは入力電流iの変化を表している。図5Cは
上記3つの変換効率のときに入力電流iに対する光パワ
ーの変化を表している。
【0058】そして、この図5から同じ光出力を得るた
めには、変換効率が高い場合は、入力電流が少なくてす
み、変換効率が低い場合は入力電流が多く必要となる。
従って、APC回路13の動作では、直流光出力は一定
であるが、交流出力は、交流入力電流のレベルが一定で
あるので変換効率が高いほうが、交流光出力のレベルが
高く、変換効率が低いほど交流光出力のレベルが低くな
る。従って、変換効率が高いほど光変調度は高く、変換
効率が低いほど光変調度は低くなることを表している。
【0059】(図6による変換効率の変化に対する光出
力補償動作説明): 図6の特性図は図1の全体回路
構成による動作説明図である。そして、図6Aの縦軸は
光パワーを表し、横軸は入力電流iを表している。そし
て、図6Aの特性e1〜e3は変換効率の違いを表して
いる。そして、図6Bは入力電流iの時間的な変化を表
している。そして、図6Cは、各変換効率における入力
電流iに対する光パワーPを表している。
【0060】そして、APC回路13の基準電位(電
圧)9bを高くし、変換効率が低い場合は、光交流信号
のレベルが低いので、APC回路13の基準電位(電
圧)9bを低くするものである。また、交流信号出力の
レベルが設定値よりも倍になった場合、APC回路13
の基準電圧9bを倍にさせる。また交流信号出力のレベ
ルが設定値よりも半分になった場合には、APC回路1
3の基準電圧9bを半分になるように制御するものであ
る。従って、このように制御することができるので、光
変調度を一定に補償させることができる。
【0061】尚、上述の設定値とは、例えば、外気温2
5℃で、入力標準信号源の信号レベルを0dBm(1m
W)程度とし、その交流電流値の波高値を例えば10%
程度とした場合のレーザダイオード4のバイアス電流値
である。
【0062】(差分検出・制御・バイアス部): 図
12は一実施例の差分検出・制御・バイアス部の構成図
である。これは、図1の差分検出回路9と制御回路10
とバイアス回路11とをまとめて簡単な回路構成で実現
したものである。そして、この差分検出・制御・バイア
ス部は、主に差分検出を行うためのオペアンプ121
と、バイアスを行うための電源129と、制御を行うた
めのトランジスタ127、インダクタンス125、コン
デンサ126、抵抗器123などから構成されている。
【0063】そして、オペアンプ121の(−)極入力
には一方の差分入力端子を介してコンデンサ122が1
0μFで接続されている。更に、(+)極入力には他方
の差分入力端子から抵抗器130と1.5mAの直流電
流源124が接続されている。そして、オペアンプ12
1の出力は、100Ωの抵抗器123を通じてトランジ
スタ127のベースに与えられている。このトランジス
タ127のエミッタには5Vの電源129と5Ωの直列
抵抗器128が接続されてバイアスされている。この5
Vの電位は抵抗器130を通じてオペアンプ121の
(+)極にも印加されている。
【0064】更に、このトランジスタ127のコレクタ
は10mHのインダクタンス125を通じて出力端子に
接続され、同時にコレクタには10μFのコンデンサ1
26も接続されている。そして、オペアンプ121は、
2つの差分入力の信号の差を求め、この差分出力でトラ
ンジスタ127を駆動して必要なバイアス電流を生成
し、バイス出力端子へ出力するものである。
【0065】(積分器17): 図13は、一実施例
の積分器17の構成図である。この積分器17は、抵抗
器131とコンデンサ132とから構成され、この抵抗
器131の抵抗値と、コンデンサ132の容量との比に
よって入力信号に対する積分作用をもたらすものであ
る。
【0066】(電圧/電流変換増幅器18): 図1
4は、一実施例の電圧/電流変換増幅器18の構成図で
ある。この図18において、電圧/電流変換増幅器18
は主にトランジスタ143、145によるカーレントミ
ラー回路と、入力電圧信号を受けるトランジスタ142
と電源147などからなる。そして、入力端子に電圧信
号がトランジスタ142のベースに与えられると、コレ
クタにカーレントミラー回路のトタンジスタ143、1
45のベースから電流を引き込む。このときの電流は抵
抗器144、146などによって制限される。そして、
入力電圧信号に対応した電流をトランジスタ145のコ
レクタから取り出して出力するものである。
【0067】(整流器16): 図15は、一実施例
の整流器16の構成図である。この整流器16は、全波
整流を行うものであって、主にオペアンプ回路151、
152などから構成されている。そして、前段の回路は
反転型のダイオード回路と同じで、正入力のときにはダ
イオード160が導通し、出力電圧eOは、 eO(eIN≧0)=−(−eIN・R5/R4+eI
N・R5/R3) で表され、+eINが得られる。
【0068】尚、R5は10kΩの抵抗器158であ
り、R4は5kΩの抵抗器159であり、R3は10k
Ωの抵抗器156である。
【0069】更に、負入力のときには、ダイオード16
0がオフ動作であるので、前段回路の出力eQは0Vと
なり、出力電圧eOは、 eO(eIN≦0)=−(−eIN)=+eIN となる。従って、全波整流出力eOが得られることとな
る。
【0070】(一実施例の効果): 以上の一実施例
の光送信回路によれば、発振源1から発生する基準信号
による光出力のレベルが、基準値(設定値)からずれた
場合、そのずれを基準電圧発生器12、差分検出器9、
制御回路10などで検出し、バイアス回路11によって
レーザダイオード4に与えるバイアス電流を補正するこ
とで、従来の方法では不可能であった経時変化や温度変
化などで変換効率の変化や閾値変化があったとしも光変
調度を自動的に調整して、安定的に補償することができ
る。
【0071】また、従来のようなATC回路を必要とし
ないので回路規模の縮小化が可能となる。更に消費電力
の削減も可能となる。
【0072】このような光送信回路は、テレビジョン信
号、例えば、CATV信号などのアログ信号の光伝送
や、画像、音声、静止画などのマルチメディア光伝送に
も適用して効果的であると考えられる。
【0073】(他の実施例): (1)尚、以上の一
実施例において、伝送信号(変調信号)はアナログ信号
でも、デジタル信号でもよい。また、レーザダイオード
4は、特に限定するものではなく、分布帰還型(DF
B)でも、量子井戸型(MQW)などでもよい。また、
発光ダイオードなどであってもよい。更に、モニタ用フ
ォトダイオード6についても、特に限定するものではな
く、PINフォトダイオードでも、APD(アバランシ
ェフォトダイオード)などであってもよい。
【0074】(2)また、レーザダイオード4の出力光
は、光導波路として、光ファイバケーブルだけでなく、
他に光カプラや、光コネクタや、光スイッチや、空間な
どであってもよい。これらの光導波路に光出力するため
の光結合部を光送信回路に備えることが好ましい。
【0075】(3)更に、レーザダイオード4とモニタ
用フォトダイオード6とはモニタ光の受光損失を損なわ
ないようにするために同一モジュール内に構成すること
が好ましい。これによって、小形化にも寄与することが
できる。
【0076】(4)更にまた、発振源1や帯域通過フィ
ルタ2やAPC回路13や検出器14や帯域通過フィル
タ15や整流器16や積分器17や電圧/電流変換増幅
器18などの電気回路を同一半導体集積回路上などに構
成することで回路の小型化を図ることができる。また、
消費電力の削減にも寄与することができる。この場合に
例えばフィルタを抵抗器やコンデンサや誘電体やデジタ
ルフィルタなどで構成することによって集積化が容易に
なる。
【0077】(5)また、図1の上記発振器1aは、上
述の水晶発振器の他、電圧制御水晶発振器(VCXO)
や、このVCXOとPLL回路とで発振器を構成するこ
ともできる。更に、セシウム(Cs)原子発振器や、ル
ビジウム(Rb)原子発振器を使用するものであっても
よい。このような発振器を使用することで、発振周波数
の精度が良くなり、回路の小形化にも寄与することがで
きる。
【0078】
【発明の効果】以上述べた様にこの発明の光送信回路
は、基準信号を発光器に与えるための基準信号入力端子
を備え、この基準信号入力端子から上記変調信号と異な
る基準信号を印加する、又は基準信号発生手段を備え、
モニタ手段の電気信号から基準信号に対応する信号成分
だけを抽出する基準信号成分抽出手段を備えて、制御手
段が、抽出された信号成分の変化からバイアス手段に対
するバイアス増減のための制御信号を決めるための基準
値を制御し、この基準値とモニタ手段の電気信号とから
制御信号を決定するように構成したので、発光器の温度
変化や、経時変化などによって電気信号から光信号への
変換効率が変動しても、光変調度特性(バイアス光信号
と変調光信号との比)を安定的に補償することが可能と
なる。更に、従来に比べ消費電力の削減も図ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例の光送信回路の構成図であ
る。
【図2】一実施例の特性図(その1)である。
【図3】一実施例の特性図(その2)である。
【図4】一実施例の特性図(その3)である。
【図5】一実施例の特性図(その4)である。
【図6】一実施例の特性図(その5)である。
【図7】一実施例の特性図(その6)である。
【図8】一実施例の特性図(その7)である。
【図9】一実施例の特性図(その8)である。
【図10】一実施例の特性図(その9)である。
【図11】一実施例の特性図(その10)である。
【図12】一実施例の差分検出・制御・バイアス部の構
成図である。
【図13】一実施例の積分器の構成図である。
【図14】一実施例の電圧/電流変換増幅器の構成図で
ある。
【図15】一実施例の整流器の構成図である。
【符号の説明】
1…発振源、2、15…帯域通過フィルタ、3…伝送信
号入力回路、4…レーザダイオード、5…整合抵抗器、
6…モニタ用フォトダイオード、7…直流信号検出器、
8…電源、9…差分検出器、10…制御回路、11…バ
イアス回路、12…基準電圧発生回路、13…APC回
路、14…検出器、16…整流器、17…積分器、18
…電圧/電流変換増幅器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H04B 10/06 10/14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発光器へ変調用信号を与えるための変調
    用信号入力端子と、発光器にバイアス信号を与えるバイ
    アス手段と、発光器の一方からの光信号を電気信号に変
    換するモニタ手段と、このモニタ手段の電気信号を用い
    て上記バイアス手段を制御する制御手段とを備えた光送
    信回路において、 基準信号を発光器に与えるための基準信号入力端子を備
    え、この基準信号入力端子から上記変調信号と異なる基
    準信号を印加し、 上記モニタ手段の電気信号から上記基準信号に対応する
    信号成分だけを抽出する基準信号成分抽出手段を備え、 上記制御手段は、この抽出された信号成分の変化から上
    記バイアス手段に対するバイアス増減のための制御信号
    を決めるための基準値を制御し、この基準値と上記モニ
    タ手段の電気信号とから上記制御信号を決定する構成と
    したことを特徴とする光送信回路。
  2. 【請求項2】 発光器へ変調用信号を与えるための変調
    用信号入力端子と、発光器にバイアス信号を与えるバイ
    アス手段と、発光器の一方からの光信号を電気信号に変
    換するモニタ手段と、このモニタ手段の電気信号を用い
    て上記バイアス手段を制御する制御手段とを備えた光送
    信回路において、 上記変調信号と異なる基準信号を発生し上記発光器に与
    える基準信号発生手段と、 上記モニタ手段の電気信号から上記基準信号に対応する
    信号成分だけを抽出する基準信号成分抽出手段とを備
    え、 上記制御手段は、この抽出された信号成分の変化から上
    記バイアス手段に対するバイアス増減のための制御信号
    を決めるための基準値を制御し、この基準値と上記モニ
    タ手段の電気信号とから上記制御信号を決定する構成と
    したことを特徴とする光送信回路。
  3. 【請求項3】 上記制御手段は、発光器による電気信号
    から光信号への変換効率が高いと判断される場合は、上
    記基準値を高く制御し、変換効率が低いと判断される場
    合には、上記基準値を低く制御させることを特徴とした
    請求項1又は2に記載の光送信回路。
  4. 【請求項4】 上記発光器の他方の光出力を光導波路に
    光結合させるための光結合部が備えられていることを特
    徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の光送信回路。
  5. 【請求項5】 上記変調用信号入力端子と上記基準信号
    入力端子と上記基準信号成分抽出手段と上記制御手段と
    上記バイアス手段とが同一集積回路上に構成され、 上記発光器とモニタ手段とが同一モジュールに構成され
    ていることを特徴とした請求項1、3又は4のいずれか
    に記載の光送信回路。
  6. 【請求項6】 上記変調用信号入力端子と基準信号発生
    手段と上記基準信号成分抽出手段と上記制御手段と上記
    バイアス手段とが同一集積回路上に構成され、 上記発光器とモニタ手段とが同一モジュールに構成され
    ていることを特徴とした請求項2、3又は4のいずれか
    に記載の光送信回路。
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