JPH07229139A - ソイルセメント柱列連続壁の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 施工地盤の性状にかかわらず、所定強度のソ
イルセメント柱列連続壁を短い工期で、かつ、ソイル廃
液を発生させずに安価に構築する。 【構成】 ケーシング３を圧入しながら掘削機により連
続壁形成用の穴５を掘削し、その掘削土を回収する。所
定深さの穴５を掘削した後に、前記掘削土とは別の真砂
土と混合して別途調合作成したソイルセメントを穴５の
最下部から供給し、ソイルセメントを打設するとともに
ケーシング３を引き抜き、その後に穴５内に芯材１１を
建て込んでソイルセメント柱列連続壁Ｗを構築する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、埋め立て地などにケー
シングにより掘削して大口径のソイルセメント柱列連続
壁を施工するソイルセメント柱列連続壁の施工方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】上述のようなソイルセメント柱列連続壁
を施工する場合、従来一般に、ケーシングを圧入しなが
ら掘削機により連続壁形成用の大径の穴０１を掘削する
とともに掘削土を回収し、所定深さの穴０１を掘削した
後に、ケーシング内に真砂土０２を供給するとともにケ
ーシングを引き抜き、しかる後に、安定液を供給しなが
ら三軸オーガによって真砂土０２内に小径の穴０３…を
掘削し、掘削した穴０３…内に、その下端部からセメン
トミルクを注入しながら攪拌して上昇し、しかる後に、
芯材０４を建て込み、掘削土と置換した真砂土を利用し
てソイルセメント柱列連続壁を構築していた（図７の横
断面図、および、図８の縦断面図参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
場合、掘削土と置換した真砂土を三軸オーガによって再
度掘削回収するため、工期が増大する欠点があった。ま
た、真砂土と攪拌混合するようにセメントミルクを注入
するため、回収する安定液中にセメントが混入し、セメ
ントミルクとの配合精度が低く、強度が低くなる虞があ
り、そのうえ、安全を見込むためにセメント量が多くな
って不経済になる欠点があった。更に、三軸オーガによ
る掘削に際し、回収する安定液中にセメントミルクが混
入するためにソイル廃液が発生し、環境面の問題を回避
するうえから後処理が必要で、その後処理に費用がかか
って高価になる欠点があった。

【０００４】また、例えば、特開昭５６−３１９２８号
公報に示されるように、掘削した土を回収し、その回収
した土を粘性土と砂質土とに選別し、選別した砂質土を
骨材に使用して地上でセメントモルタルを混練調整し、
掘削土を再利用することによって材料費を安価にできる
ようにしたものもある。ところが、このような従来例の
場合、回収した掘削土を選別するために手間を要して工
期が増大するとともに、土質調査を前もって行っていて
も、再利用できる掘削土の量を的確に把握できるもので
は無く、補充すべき真砂土などの量が把握しづらくて施
工計画が立てにくく、かえって高価になる欠点があっ
た。

【０００５】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、施工地盤の性状にかかわらず、所定強
度のソイルセメント柱列連続壁を短い工期で、かつ、ソ
イル廃液を発生させずに安価に構築できるようにするこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のソイルセメント
柱列連続壁の施工方法は、上述のような目的を達成する
ために、ケーシングを圧入しながら掘削機により連続壁
形成用の穴を掘削し、かつ、その掘削土を回収し、所定
深さの穴を掘削した後に、前記掘削土とは別の真砂土と
混合して別途調合作成したソイルセメントを前記穴の最
下部から供給し、ソイルセメントを打設するとともにケ
ーシングを引き抜き、その後に穴内に芯材を建て込んで
ソイルセメント柱列連続壁を構築することを特徴として
いる。

【０００７】

【作用】本発明のソイルセメント柱列連続壁の施工方法
の構成によれば、ケーシングの圧入と掘削機の掘削とに
より掘削した掘削土を回収し、そこに、前記掘削土とは
別の真砂土と混合して別途調合作成したソイルセメント
を打設し、その穴内に芯材を建て込み、所望強度のソイ
ルセメント柱列連続壁を構築することができる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。

【０００９】図１および図２は、それぞれ本発明に係る
ソイルセメント柱列連続壁の施工方法の実施例を示す全
体概略縦断面図であり、先ず、図１の（ａ）に示すよう
に、掘削作業機（例えば、全旋回ベノト機）１を据え付
ける。

【００１０】次いで、図１の（ｂ）に示すように、掘削
作業機１に付設された圧入機［図１の（ａ）参照］２に
より大口径（例えば、直径1500mm）のケーシング３を圧
入するとともに、ケーシング３内を、掘削作業機１に付
設された掘削機（ハンマークラブ）４により掘削し、連
続壁形成用の穴５を掘削して掘削土を回収する。このと
き、ケーシング３は所定長さのものを順次継ぎ足して行
く。

【００１１】その後、図１の（ｃ）に示すように、深度
計６により所定深度（例えば、止水可能な粘土層表面よ
り１ｍ以上深い深さ）まで掘削したことを確認してか
ら、図１の（ｄ）に示すように、超音波孔壁測定器７を
ケーシング３内に下降させ、そのケーシング３の壁面の
鉛直精度を確認する。

【００１２】しかる後に、図２の（ａ）に示すように、
ケーシング３内にトレミー管８をセットする。次いで、
図２の（ｂ）に示すように、圧送管９をセットするとと
もに、トレミー管８内にプランジャーを挿入し、後述す
る泥土モルタルプラント１２（図４、図５、図６参照）
において、別途、真砂土に所定量のセメントと水とを配
合混練して調合作成したソイルセメントをコンクリート
ポンプで圧送し、穴５内に底部からソイルセメントを注
入するとともに、掘削により発生してオーバーフローす
る排水をポンプ１０により排出し、更に、ケーシング３
を引き抜き、ソイルセメントを打設する。

【００１３】最終的には、図２の（ｃ）および（ｄ）に
示すように、芯材１１をクレーンで吊り込み、ピーコッ
クゲージまたはトランシットによって鉛直度を確認した
後、所定間隔を隔てて穴５内に芯材１１を自重で挿入し
て建て込む。これらの施工を先行ユニットＵｂと後行ユ
ニットＵａとに交互に行い、図３の横断面図に示すよう
に、先行ユニットＵｂ…それぞれには２本の芯材１１，
１１を、そして、後行ユニットＵａ…それぞれには３本
の芯材１１…をそれぞれ建て込んでいってソイルセメン
ト柱列連続壁Ｗを構築する。芯材１１としては、Ｈ形鋼
やＩ形鋼あるいは鋼管などが用いられる。

【００１４】泥土モルタルプラント１２は、図４の全体
側面図、図５の全体平面図、および、図６の側面図（図
４の部分側面図）それぞれに示すように構成されてい
る。なお、同一仕様のものを２台並設して構成されてい
るが、１台について説明し、互いに同一番号を付すこと
とする。

【００１５】すなわち、架台１３上に、真砂土を収容す
る泥土ホッパー１４が設けられ、その横側方に計量機１
５が設けられている。

【００１６】計量機１５は、一対の走行用レール１６，
１６に走行用サドル１７を介して走行可能に門型クレー
ン１８を設けるとともに、その門型クレーン１８に巻き
上げウィンチ１９とチェーン２０を介して昇降可能に計
量器２１を設け、かつ、チェーン２０の固定端側にロー
ドセル２２を介装して構成されている。これにより、泥
土ホッパー１４からスクリューコンベア２３によって取
り出される真砂土を計量器２１に供給するとともに、そ
の重量をロードセル２２で計量し、所定重量の真砂土を
二軸ミキサー２４に供給できるようになっている。

【００１７】一方、セメントと水とが所定量づつ混練さ
れるとともに、真砂土重量に対応する重量だけ計量され
たモルタルが二軸ミキサー２４に供給され、真砂土とモ
ルタルとがアジテーター２５で攪拌混合され、その所定
の配合で攪拌混合して調合作成されたソイルセメントを
取り出して前記穴５内に打設するようになっている。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のソイルセ
メント柱列連続壁の施工方法によれば、三軸オーガによ
る再度の掘削が不用で工期を大幅に短縮できるようにな
った。

【００１９】また、掘削土とは別の真砂土と混合して別
途調合作成したソイルセメントを打設するから、所定品
質のソイルセメントを確実に得ることができ、所定強度
のソイルセメント柱列連続壁を精度良く構築できるよう
になった。そのうえ、掘削土を再利用しないから、その
回収した掘削土をその場で選別するといった手間がかか
らず、また、必要な真砂土の量が明確で施工計画を容易
にかつ的確に立てることができ、工期を短縮できて安価
である。

【００２０】更に、三軸オーガが不用で設備費が安価に
なり、更に、三軸オーガを設置するスペースを確保せず
に済み、作業スペースを有効に利用できて作業性を向上
できるようになった。

【００２１】しかも、掘削土を回収してソイルセメント
を置換するから、ソイル廃液が生じず、かつ、例えば、
先行ユニットの施工後に後行ユニットの穴を掘削すると
きに先行ユニットのソイルセメントが掘削土中に混入す
るが、既に固化しているためにソイル廃液を発生せず、
全体として、ソイル廃液の後処理が不要で安価である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るソイルセメント柱列連続壁の施工
方法の実施例を示す全体概略縦断面図である。

【図２】本発明に係るソイルセメント柱列連続壁の施工
方法の実施例を示す全体概略縦断面図である。

【図３】ソイルセメント柱列連続壁の横断面図である。

【図４】泥土モルタルプラントの全体側面図である。

【図５】図４の全体平面図である。

【図６】図４の部分側面図である。

【図７】従来例の横断面図である。

【図８】従来例の縦断面図である。

【符号の説明】

３…ケーシング ４…掘削機 ５…穴 １１…芯材 Ｗ…ソイルセメント柱列連続壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松岡 真次 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 松岡 信弘 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 原 博 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式会 社竹中工務店大阪本店内 (72)発明者 弘瀬 馨 高知県高知市塩田町１番６号 大容基功工 業株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングを圧入しながら掘削機により
   連続壁形成用の穴を掘削し、かつ、その掘削土を回収
   し、所定深さの穴を掘削した後に、前記掘削土とは別の
   真砂土と混合して別途調合作成したソイルセメントを前
   記穴の最下部から供給し、ソイルセメントを打設すると
   ともに前記ケーシングを引き抜き、その後に前記穴内に
   芯材を建て込んでソイルセメント柱列連続壁を構築する
   ことを特徴とするソイルセメント柱列連続壁の施工方
   法。