JPH07228964A - 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置 - Google Patents

真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置

Info

Publication number
JPH07228964A
JPH07228964A JP6309351A JP30935194A JPH07228964A JP H07228964 A JPH07228964 A JP H07228964A JP 6309351 A JP6309351 A JP 6309351A JP 30935194 A JP30935194 A JP 30935194A JP H07228964 A JPH07228964 A JP H07228964A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arc
target
cover
confinement
vapor deposition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6309351A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3199587B2 (ja
Inventor
Takeshi Suzuki
毅 鈴木
Katsuhiko Shimojima
克彦 下島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP30935194A priority Critical patent/JP3199587B2/ja
Publication of JPH07228964A publication Critical patent/JPH07228964A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3199587B2 publication Critical patent/JP3199587B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸発した蒸気がアーク閉じ込めリングに堆積
しないようにした真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め
装置を提供すること。 【構成】 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置6
は、棒状ターゲット2 の端部に、電気的絶縁状態を維持
して、該ターゲット2 と略同一径のアーク閉じ込め体13
が同芯状に配置されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アーク放電を利用して
金属を蒸発・イオン化して被処理物の表面にコーティン
グする真空アーク蒸着装置(アークイオンプレーティン
グ装置)のアーク閉じ込め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種、真空アーク蒸着装置のアーク閉
じ込め装置としては、例えば、特開平5−106025
号公報に記載のものが公知である。この従来のものは、
棒状ターゲット(前記公報記載の「陰極1 」)の所要蒸
発表面からアークスポットが逃げるのを阻止するため
に、該棒状ターゲットの一端部にアーク閉じ込めリング
(前記公報記載の「絶縁器12」)を有するものであっ
た。そして、このアーク閉じ込めリングは、棒状ターゲ
ットの外径に比して十分大きな外径を有し、棒状ターゲ
ットの端部に同芯状に差し込まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のアーク閉じ
込め装置は、棒状ターゲットの表面上での長時間のアー
ク蒸発により、該蒸発面より径方向外方に突出したアー
ク閉じ込めリングの表面に、蒸発した蒸気が付着堆積
し、該リング表面の堆積物がターゲットと短絡し、アー
ク閉じ込め機能が不十分となる場合があった。
【0004】そこで、本発明は、蒸発した蒸気がアーク
閉じ込めリングに堆積しないようにした真空アーク蒸着
装置のアーク閉じ込め装置を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、次の手段を講じた。即ち、第1の本発明
の特徴とするところは、棒状ターゲットの端部に、電気
的絶縁状態を維持して、該ターゲットと略同一径のアー
ク閉じ込め体が同芯状に配置された点にある。
【0006】前記アーク閉じ込め体は、周方向に沿って
一様な形状に構成されていることが好ましい。前記アー
ク閉じ込め体を金属製で構成した場合は、前記ターゲッ
ト端面とアーク閉じ込め体との間に所定間隙を形成して
絶縁状態を維持するのが好ましい。前記アーク閉じ込め
体を絶縁物で構成した場合、ターゲットの端面に密着し
て配置することができる。
【0007】前記棒状ターゲットの端部に電極が接続さ
れ、前記アーク閉じ込め体が前記電極外周部に電気的絶
縁状態を維持して設けられるのが好ましい。第2の本発
明の特徴とするところは、棒状ターゲットの端部外周面
を、径方向に所定間隙を有して覆うカバーが、該ターゲ
ットから電気的に絶縁されて配置されている点にある。
【0008】前記ターゲット外周面とカバーとの径方向
間隙は、1〜10mmとするのが好ましい。前記ターゲ
ット外周面とカバーとの径方向間隙をDとし、軸方向の
重なりをLとしたとき、D<L<3Dの関係を有するの
が好ましい。前記カバーはリング状に形成され、その肉
厚は、1〜3mmとするのが好ましい。
【0009】前記カバーはリング状に形成され、該カバ
ーのターゲット側端部の外周面は、先細テーパ面に形成
するのが好ましい。前記棒状ターゲットの端部に電極が
接続され、前記カバーが前記電極外周部に電気的絶縁状
態を維持して設けられているのが好ましい。第3の発明
の特徴とするところは、棒状ターゲットの端部に、電気
的絶縁状態を維持して、該ターゲットと略同一径のアー
ク閉じ込め体が同芯状に配置され、該アーク閉じ込め体
とターゲットとの境界部を径方向に所定間隙を有して覆
うカバーが設けられた点にある。
【0010】前記棒状ターゲットの端部に電極が接続さ
れ、前記アーク閉じ込め体が前記電極外周部に電気的絶
縁状態を維持して設けられ、前記カバーはリング状に形
成され、該カバーは前記アーク閉じ込め体に支持されて
いるのが好ましい。第4の本発明の特徴とするところ
は、軸心が上下方向になるよう配置された棒状ターゲッ
トの下端部外周面を、径方向に所定間隙を有して覆うカ
バーが設けられ、該カバーには、前記間隙を通過する異
物を落下排出する排出部が設けられている点にある。
【0011】尚、本発明で言うところの棒状ターゲット
の「棒状」とは、中実体のみならず中空体も含み、その
外面形状は円形に限らず楕円形、多角形等も含み、ま
た、その軸心は直線状のみならず曲線状のものも含むも
のである。
【0012】
【作用】真空アーク蒸着装置によれば、ターゲットから
発生する蒸気の大部分は、該ターゲットの表面に垂直方
向(径方向外方)に向かって移動する性質を有する。従
って、第1の本発明によれば、アーク閉じ込め体がター
ゲットの軸方向外方に配置され、且つ、ターゲットと同
芯、同径であるため、即ち、ターゲットの径方向外方に
は、アーク閉じ込め体が存在しないため、アーク閉じ込
め体外周面に前記蒸気が堆積し難い(ターゲットから蒸
発した蒸気が、アーク閉じ込め体方向に移動し難いた
め。)。従って、アーク閉じ込め体とターゲットとの短
絡が生じず、アーク閉じ込め機能が損なわれることがな
い。
【0013】第2の本発明によれば、ターゲット端部外
周面とカバーとの間に所定の間隙が設けられているの
で、例え、カバーに蒸気が付着堆積しても、ターゲット
とカバーの短絡が生じ難く、アーク閉じ込め機能が損な
われることがない。また、前記第1の本発明では、ター
ゲットとアーク閉じ込め体との間隙にダスト等の異物が
詰まると、アーク閉じ込め機能が不十分となり、また、
ターゲットが消耗して径が細くなると、短絡のおそれも
生じるが、この第2の本発明では、そのような問題が解
消される。
【0014】第3の本発明によれば、前記第1と第2の
発明の長所を兼ね備えた作用を奏する。第4の本発明に
よれば、ダスト等の異物の排出が容易になるので、ター
ゲットとカバーとの間隙に詰まった異物による短絡が防
止される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図1に示すものは、真空アーク蒸着装置の全体構成
であり、真空容器1 の内部に棒状ターゲット2 が縦軸姿
勢に配置されている。このターゲット2 を取り囲むよう
にワークとしての基板3 が設置される。前記ターゲット
2 の筒部の少なくとも最外周部は、蒸発させて前記基板
3 上に皮膜を形成する材料により構成されている。
【0016】前記棒状ターゲット2 の上下両端部にアー
ク電源4 の陰極が接続されている。このアーク電源4 の
陽極は前記真空容器1 に接続されている。前記真空容器
1 の内面に点火装置のストライカ5 が設けられている。
この真空容器1 は、図示省略の排気装置によって所定の
圧力に保持可能とされている。前記真空アーク蒸着装置
により前記基板3 上に皮膜を形成させるには、まず、図
示省略の排気装置により真空容器1 内を排気して所定圧
の真空状態を保つ。そして、ストライカ5 により前記タ
ーゲット2 から真空アーク放電を発生させると、該ター
ゲット2 の表面にアーク電流が集中したアークスポット
が現れ、ターゲット材料を蒸発させる。
【0017】蒸発したターゲット材料の蒸気は、真空容
器1 内に設置した基板3 に向かって移動し、該基板3 上
に皮膜を形成する。基板3 には、必要に応じて図示しな
い電源によって負の電圧(バイアス電圧)が印加され、
前記蒸気の中のイオンを加速しながら皮膜成形が行われ
る。また、必要に応じて真空容器1 内には窒素等の反応
性のガスが導入され、ターゲット材料との化合物の皮膜
を形成することもある。
【0018】前記皮膜成形に際し、図示省略の制御装置
により、前記ターゲット2 の表面に発生したアークスポ
ットを、ターゲット2 の軸端部の一方から他方にわたっ
て移動させ、ターゲット2 の表面から均一にターゲット
材料を蒸発させるよう制御する。この制御に際し、ター
ゲット2 の所要蒸発表面からアークスポットが逃げるの
を阻止するためのアーク閉じ込め装置6 が、前記ターゲ
ット2 の両端部に設けられている。
【0019】即ち、アークスポットが棒状ターゲット2
の外周面から端部の端面側に回り込まないように阻止す
るためのアーク閉じ込め装置6 が設けられている。図2
に、前記アーク閉じ込め装置6 の詳細が示されている。
図2において、前記ターゲット2 は中空円筒体に成形さ
れ、該ターゲット2 の長手方向両端に段付き穴7 が形成
されている。そしてこの段付き穴7 に電極8 が嵌着され
て、該電極8 とターゲット2 とが電気的に接続されてい
る。この電極8は、前記アーク電源4 の陰極に接続され
ている。
【0020】前記電極8 は、前記段付き穴7 に嵌合する
小径部9 と、該小径部9 よりも大径で且つターゲット2
の端面2aから外方に突出する中径部10と、該中径部10よ
りも大径のフランジ部11とを有する。このフランジ部11
の外径は前記ターゲット2 の外径よりも小さい。このフ
ランジ部11には、電極8 の軸心と平行な軸心を有するネ
ジ穴12が周方向に所定間隙をおいて設けられている。
【0021】前記ターゲット2 の両端面2aより軸方向外
方に突出する前記電極8 の外周を覆うように、アーク閉
じ込め体13が設けられている。前記アーク閉じ込め体13
は、金属製、望ましくは磁性体の短円筒状リングからな
る。このアーク閉じ込め体13の外径は、前記ターゲット
2 の外径と同一とされている。そして、アーク閉じ込め
体13と前記ターゲット2 とは同芯状に配置されている。
【0022】前記アーク閉じ込め体13の軸方向中途部の
内面には、径内方へ突出する取付部14が設けられ、該取
付部14の内周面と前記電極8 の中径部10の外周面とが間
隙を介して対面するよう配置されている。この取付部14
に前記ネジ穴12と同ピッチで取付穴15が設けられてい
る。そして、この取付穴15に絶縁ガイシ16を介してネジ
17が挿入され、該ネジ17が前記ネジ穴12に螺合すること
により、アーク閉じ込め体13は、電気的絶縁を保って電
極8 に固定される。
【0023】前記アーク閉じ込め体13とターゲット2 と
の端面同士は、0.2mm〜2mmの僅かな間隙をおい
て対面しているので、電気的に絶縁されている。以上の
構成のアーク閉じ込め装置6 によれば、アーク閉じ込め
体13がターゲット2 の端部に電気的に絶縁されて配置さ
れているので、ターゲット2 の外周面を走査しているア
ークスポットは、その外周面から端面2aへの移動が阻止
され、結果として、アークスポットはターゲット2 の外
周面の所定蒸発面に追い返されて、アークの安定化が達
成できる。
【0024】さらにアーク閉じ込め体13は、ターゲット
2 と同芯同軸に配置され、しかも、ターゲット2 の外径
と同径であるので、ターゲット2 の外周面から発生する
ターゲット材料の蒸気のアーク閉じ込め体13への堆積を
抑止できる。即ち、一般にアークスポットからの材料蒸
発に関しては、蒸発面に平行な方向への蒸発粒子は極め
て少ないので、アーク閉じ込め体13が蒸発面より突出し
ていない本発明では、アーク閉じ込め体13への堆積を抑
止できるのである。
【0025】また、アーク閉じ込め体13は、電極8 及び
ターゲット2 に対して所定の間隙を介して配置されてい
るので、両者間に熱膨張差があっても熱変形による破損
が防止される。また、アーク閉じ込め体13を、薄板積層
構造物で形成せず、一体物で形成すれば、熱歪を生じな
いので、熱変形による短絡が防止され、長期にわたり、
安定した閉じ込め機能を発揮する。
【0026】図3に示すものは、本発明の他の実施例で
あり、アーク閉じ込め体13が絶縁ガイシ18a,18b を介し
て電極8 にセットされている。この実施例の場合、ター
ゲット2 は垂直姿勢で配置されており、図3の上側が垂
直方向上部にあたり、アーク閉じ込め体13は、絶縁ガイ
シ18a,18b に載置された構造になっており、アーク閉じ
込め体13は電極8 に固定されていない。なお、この実施
例においても、アーク閉じ込め体13と、ターゲット2 及
び電源8 とは電気的に絶縁されている。
【0027】この図3のものでは、前記図2に示すよう
な取付穴15を有しないので、アークスポットの偏在がな
くなる。即ち、Cr のような特定材質をターゲットに用
いた場合、図2に示す装置では、アークスポットが取付
穴15付近のターゲット2 表面に偏在して、局所的な消耗
を生じるという問題があったが、図3に示す装置では、
アーク閉じ込め体13の断面が一様であり、等方的に構成
されているので、ネジ穴12等の欠落部にアークスポット
が偏在する傾向を抑止でき、長期にわたる安定な蒸発が
行える。
【0028】特に、アーク制御の付加的手段として、タ
ーゲット2 の端部に磁界を作用させた場合、この実施例
の様に断面一様であれば、ターゲット2 の端部の局所的
磁界の乱れを防止でき、安定したアークスポットの走査
性を確保できる。図4に示すものは、本発明の他の実施
例であり、前記図3に示す構成に加えて、ターゲット2
とアーク閉じ込め体13との境界を覆うようにカバー19を
設けたものである。
【0029】即ち、前記カバー19はリング状に成形さ
れ、アーク閉じ込め体13の外周部に支持部20を介して取
り付けられている。このカバー19と前記ターゲット2 と
は径方向に所定の間隙を有して電気的に絶縁されてい
る。前記支持部20は環状である必要はなく、周方向に2
乃至3個所設けて、該支持部20間に周方向間隙を形成し
て排出部21となし、該排出部21からダスト等の異物の落
下排出を行うようにするのが好ましい。
【0030】このようなカバー19を設けることにより、
さらにアークスポットがターゲット2 とアーク閉じ込め
体13との間の間隙に入り込むのが防止できる。また図5
に示すように、カバー19が距離Lだけターゲット2 の端
部を覆っていると、アークスポットはターゲット2 の端
部に至らず、端面2aから距離Lだけ離れた位置から消耗
が始まる。従って、ターゲット2 が消耗しても、アーク
閉じ込め体13との間に段差が生じないので、ターゲット
2 とアーク閉じ込め体13との間に短絡が生じない。ま
た、カバー19の端面22に皮膜が堆積しても、該堆積位置
に対応するターゲット2 の径は細くなっているので、短
絡が生じず、電気絶縁に何等支障が生じない。
【0031】このようにカバー19を設けることにより、
アークスポットがターゲット2 の端部に来ないため、ア
ークスポットが蒸発面を外れる可能性は極めて低くな
る。磁場によりアークスポットの暴走を抑止するにも限
界があるが、カバー19を設けることにより、アークスポ
ットの挙動が安定するため、蒸発面全域でのアークスポ
ット制御が容易になる。
【0032】尚、図2に示すものに、前記カバー19を付
加することにより、アークスポットがネジ穴12等の欠落
部に偏在する傾向を抑止できる。前記各実施例では、ア
ーク閉じ込め体13やカバー19を磁性体金属製として説明
したが、絶縁物で形成してもよい。絶縁物としてはセラ
ミックスを用いることができる。
【0033】アーク閉じ込め体13を絶縁物で形成した場
合、ターゲット2 の端面2aとアーク閉じ込め体13の端面
とを密着させることができるので、アークスポットのタ
ーゲット端面2aへの移動が完全に防止できる。図6に示
すものは、本発明の他の実施例であり、前記アーク閉じ
込め体13を具備せず、棒状ターゲット2 の端部に、該端
部外周面を径方向に所定間隙を有して覆うカバー19が、
該ターゲット2 から電気的に絶縁されて配置されて成る
ものである。
【0034】即ち、前記カバー19はリング状に成形さ
れ、電極8 の外周面に絶縁材23及び支持部20を介して取
り付けられている。カバー19とターゲット2 とは径方向
の間隙Dを有し、また、軸方向に距離Lだけ重合してい
る。前記間隙Dは、堆積するダストによりカバー19とタ
ーゲット2 とが短絡し難い距離である必要があり、1m
m以上である必要がある。また間隙Dを大きくし過ぎる
と、後述する関係からカバー19とターゲット2 との重な
りLの寸法が大きくなり、不経済となるので、間隙Dは
10mm以下とするのが好ましい。実験によると、間隙
Dは、2〜5mmにするのが最も安定した動作が得られ
た。
【0035】カバー19とターゲット2 との軸方向重なり
Lは、実験的にL≧Dの関係が必要である。LがDより
小さいと、カバー19内へ偶発的に侵入するアークスポッ
トがターゲット2 の端部にまで到達し、該ターゲット2
端部付近に不均一な摩耗が発生する。一方、Lをいたず
らに大きくすると、ターゲット2 の消耗されない領域が
大きくなり、不経済である。Lが大きい程、動作の安定
性は高まるが、Lを3Dより大きくしても、安定化の効
果は変わらないので、Lの最大値は3Dとするのが好ま
しい。実験によると、D<L<2Dの範囲が最も好まし
い。
【0036】またカバー19の肉厚tは、0.5mmより
も小さいと、熱による変形が発生し易く、逆に厚みtが
大き過ぎるとカバー19の端面22への成膜量が増え、ここ
から皮膜が剥離してダストが発生し、該ダストによりカ
バー19とターゲット2 とが短絡する可能性があるため、
厚みtは、6mm以下にする必要がある。最も好ましい
厚みtの範囲は、1〜3mmである。
【0037】尚、前記支持部20に、ダストを排出するた
めの排出部21を形成するのが好ましい。図7に示すもの
は、本発明の他の実施例であり、アーク閉じ込め体13と
カバー19とが一体成形されたものである。この一体成形
品は、絶縁体18を介して電極8に取り付けられている。
また、ダスト堆積防止のため、周方向に所定間隙をおい
て上下方向に貫通する異物排出孔が設けられて排出部21
が構成されている。
【0038】図8に示すものは、本発明の他の実施例で
あり、カバー19のターゲット側端部の外面が、先細テー
パ面24に形成されている。このようにカバー19の端面を
テーパ面24に形成することにより、該端面への成膜を減
少させ、メンテナンス頻度の減少を図っている。尚、本
発明は、前記各実施例に限定されるものではない。
【0039】即ち、前記ターゲット2 は、真っ直ぐな円
筒状のものに限らず、曲がっていても良く、また、中実
体であても良く、更には、その断面形状は円形に限られ
るものではない。ターゲット2 の配置は、その軸心を垂
直姿勢とするものに限らず、水平姿勢等他の姿勢をとる
ものであっても良い。
【0040】アーク閉じ込め体13やカバー19は、電極8
に取り付けられるものに限らず、例えば、ターゲット2
の端部に径小段部を形成して、該段部に絶縁状態を保っ
て取り付けたもの等、電極以外の部材に設けたものであ
っても良い。電極8 はターゲット2 の両端部に設けられ
たものに限らず、一端部にのみ設けられたものであって
も良い。この場合、電極が設けられていない側のターゲ
ットの端部に設けるアーク閉じ込め体またはカバーは、
ターゲットに直接又は適宜の支持手段によりターゲット
端部に電気的絶縁状態を保って取り付けられる。
【0041】L、D、tの関係は、図6のものに限ら
ず、他の図に示したカバー19にも適用される。また、各
図に示す構成を他の図に示す構成に置換したり、又は、
各図の構成を相互に組み合わせることができる。更に本
発明のアーク閉じ込め装置6 は図1に示す構造の真空ア
ーク蒸着装置に用いられるものに限定されず、他の構造
の真空アーク蒸着装置にも用いることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、ターゲットから蒸発し
た蒸気がアーク閉じ込め体又はカバーに堆積してターゲ
ットとの短絡が生じると言う事態の発生が防止され、ア
ーク閉じ込め機能が損なわれることがなく、長時間の安
定的なアーク放電を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空アーク蒸着装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図5】ターゲットの消耗状態を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 ターゲット 6 アーク閉じ込め装置 8 電極 13 アーク閉じ込め体 19 カバー 21 排出部 24 テーパ面

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状ターゲットの端部に、電気的絶縁状
    態を維持して、該ターゲットと略同一径のアーク閉じ込
    め体が同芯状に配置されたことを特徴とする真空アーク
    蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  2. 【請求項2】 前記アーク閉じ込め体が、周方向に沿っ
    て一様な形状に構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  3. 【請求項3】 前記アーク閉じ込め体は金属製であり、
    前記ターゲット端面とアーク閉じ込め体との間に所定間
    隙が形成されていることを特徴とする請求項1記載の真
    空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  4. 【請求項4】 前記アーク閉じ込め体は、絶縁物で構成
    されており、且つ、ターゲットの端面に密着して配置さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の真空アーク蒸
    着装置のアーク閉じ込め装置。
  5. 【請求項5】 前記棒状ターゲットの端部に電極が接続
    され、前記アーク閉じ込め体が前記電極外周部に電気的
    絶縁状態を維持して設けられていることを特徴とする請
    求項1記載の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装
    置。
  6. 【請求項6】 棒状ターゲットの端部外周面を、径方向
    に所定間隙を有して覆うカバーが、該ターゲットから電
    気的に絶縁されて配置されていることを特徴とする真空
    アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  7. 【請求項7】 前記ターゲット外周面とカバーとの径方
    向間隙は、1〜10mmとされていることを特徴とする
    請求項6記載の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装
    置。
  8. 【請求項8】 前記ターゲット外周面とカバーとの径方
    向間隙をDとし、軸方向の重なりをLとしたとき、D<
    L<3Dの関係を有することを特徴とする請求項6記載
    の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  9. 【請求項9】 前記カバーはリング状に形成され、その
    肉厚は、1〜3mmとされていることを特徴とする請求
    項6記載の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  10. 【請求項10】 前記カバーはリング状に形成され、該
    カバーのターゲット側端部の外周面は、先細テーパ面に
    形成されていることを特徴とする請求項6記載の真空ア
    ーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  11. 【請求項11】 前記棒状ターゲットの端部に電極が接
    続され、前記カバーが前記電極外周部に電気的絶縁状態
    を維持して設けられていることを特徴とする請求項6記
    載の真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  12. 【請求項12】 棒状ターゲットの端部に、電気的絶縁
    状態を維持して、該ターゲットと略同一径のアーク閉じ
    込め体が同芯状に配置され、該アーク閉じ込め体とター
    ゲットとの境界部を径方向に所定間隙を有して覆うカバ
    ーが設けられたことを特徴とする真空アーク蒸着装置の
    アーク閉じ込め装置。
  13. 【請求項13】 前記棒状ターゲットの端部に電極が接
    続され、前記アーク閉じ込め体が前記電極外周部に電気
    的絶縁状態を維持して設けられ、前記カバーはリング状
    に形成され、該カバーは前記アーク閉じ込め体に支持さ
    れていることを特徴とする請求項12記載の真空アーク
    蒸着装置のアーク閉じ込め装置。
  14. 【請求項14】 軸心が上下方向になるよう配置された
    棒状ターゲットの下端部外周面を、径方向に所定間隙を
    有して覆うカバーが設けられ、該カバーには、前記間隙
    を通過する異物を落下排出する排出部が設けられている
    ことを特徴とする真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め
    装置。
JP30935194A 1993-12-20 1994-12-13 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置 Expired - Lifetime JP3199587B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30935194A JP3199587B2 (ja) 1993-12-20 1994-12-13 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-320379 1993-12-20
JP32037993 1993-12-20
JP30935194A JP3199587B2 (ja) 1993-12-20 1994-12-13 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07228964A true JPH07228964A (ja) 1995-08-29
JP3199587B2 JP3199587B2 (ja) 2001-08-20

Family

ID=26565928

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP30935194A Expired - Lifetime JP3199587B2 (ja) 1993-12-20 1994-12-13 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3199587B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010225517A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Hitachi Zosen Corp 管体内面への透明導電膜成膜方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010225517A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Hitachi Zosen Corp 管体内面への透明導電膜成膜方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3199587B2 (ja) 2001-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5527439A (en) Cylindrical magnetron shield structure
KR20110084948A (ko) 스퍼터 타겟으로의 원형 대칭의 rf 공급원 및 dc 공급원을 갖는 물리 기상 증착 반응로
JP2002530857A (ja) 半導体ウェーハ処理システムにおいてrf戻り電流経路制御を行う装置
US5744017A (en) Vacuum arc deposition apparatus
EP2368258B1 (en) Rf sputtering arrangement
JPH07228964A (ja) 真空アーク蒸着装置のアーク閉じ込め装置
US5302271A (en) Anodic vacuum arc deposition system
JP2001040467A (ja) アーク蒸発源、真空蒸着装置及び真空蒸着方法
JP2008077857A (ja) イオン銃、イオン銃を備える真空加工装置を利用する方法
JP4691097B2 (ja) 炭素析出のための装置
US6770178B2 (en) Cathodic arc disposable sting shielding
JP2022533615A (ja) プラズマアークを低減したプロセスチャンバ
JP5048538B2 (ja) 同軸型真空アーク蒸着源及び真空蒸着装置
JP5013331B2 (ja) 同軸型真空アーク蒸着源
JP2020002441A (ja) 対向ターゲット式スパッタ成膜装置
JP2559123Y2 (ja) 真空アーク蒸着装置
JPH04354863A (ja) 真空アーク蒸発源
JP2007321226A (ja) スパッタリング装置
JPH07316794A (ja) イオンプレーティングのプラズマビーム制御方法及び制御装置
JPH0241583B2 (ja)
JPH0778275B2 (ja) スパツタリング装置
JP3805004B2 (ja) スパッタリング装置
SU1123313A1 (ru) Электродуговой испаритель
RU2051987C1 (ru) Установка для нанесения покрытий в плазме газового разряда
EP0509771B1 (en) High voltage insulation device

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080615

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090615

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100615

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110615

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120615

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130615

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term