JPH07228824A - アクリル系共重合体およびこれを用いた熱硬化性被覆組成物 - Google Patents

アクリル系共重合体およびこれを用いた熱硬化性被覆組成物

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JPH07228824A
JPH07228824A JP2164194A JP2164194A JPH07228824A JP H07228824 A JPH07228824 A JP H07228824A JP 2164194 A JP2164194 A JP 2164194A JP 2164194 A JP2164194 A JP 2164194A JP H07228824 A JPH07228824 A JP H07228824A
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暁生 岩本
Kunio Iwase
国男 岩瀬
Shinobu Fujie
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 貯蔵安定性、低温硬化性に優れ、耐水性等の
塗膜性能に優れた塗膜を提供する熱硬化被覆組成物を得
る。 【構成】 α,β−ジカルボン酸モノエステル基を有す
るアクリル系共重合体(A)と、エポキシ基と水酸基を
有するアクリル系共重合体(B)を含有する熱硬化性被
覆組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度の美粧性と塗膜性
能が要求される、自動車等のトップクリヤーコート用塗
料に特に有用な熱硬化性被覆組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車等のトップクリヤーコート用塗料
としては、耐候性、美粧性に優れた性能を有することか
ら、アクリル−メラミン系樹脂が多く使用されている。
しかし、アクリル−メラミン系樹脂は、メラミン樹脂を
硬化剤として使用するために耐酸性が低く、これを塗料
に適用した場合、酸性雨により塗膜に雨ジミが発生し、
外観が低下するという欠点を有する。
【0003】この問題を解決するために、メラミンに代
わる新規な硬化系が求められており、酸基とエポキシ基
の架橋反応を利用した硬化系の検討が盛んに行われてい
る。例えば、特開昭63−84674号公報には、接着
性、光沢および鮮映性に優れた塗料用組成物として、低
分子量ポリエポキシド、低分子量ヒドロキシル基含有多
官能性物質、酸無水物からなる架橋剤および硬化触媒を
含有する高固形分硬化性組成物が提案されている。ま
た、特開平1−139653号公報には、耐酸性、耐溶
剤性、耐水性、塗膜外観に優れた塗料用組成物として、
酸基を有するアクリル系共重合体とエポキシ基を有する
アクリル系共重合体から成る熱硬化性溶剤型塗料組成物
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭63−
84674号公報に開示されているように酸無水物から
なる架橋剤を用いた場合には、組成成分間の反応性が高
くなるために貯蔵安定性が悪く、組成成分全体を一液化
することが困難であり、作業性が悪いという問題点を有
している。また、特開平1−139653号公報に開示
されているような熱硬化性溶剤型塗料組成物では、低温
硬化性に劣るために、自動車の焼き付けラインで採用さ
れうる比較的低い温度で焼き付けた場合、冷熱環境下に
おける耐クラック性、耐酸性、耐溶剤性等の塗膜性能が
不十分となる欠点を有している。
【0005】これらの問題点を解決する目的で、特開平
2−45577号公報、特開平3−287650号公報
や特開平4−363374号公報には、酸基としての酸
無水物基をハーフエステル化した共重合体、ヒドロキシ
化合物およびエポキシ化合物を含有する熱硬化性組成物
や、酸基としての酸無水物基をハーフエステル化した共
重合体、エポキシ基および水酸基を有する化合物を含有
する熱硬化性組成物が提案されている。しかし、これら
の熱硬化性組成物は、使用されるヒドロキシ化合物やエ
ポキシ基および水酸基を有する化合物のヒドロキシ当量
が低いために、塗膜の耐水性が十分でないという問題点
を有している。本発明の目的は、貯蔵安定性、低温硬化
性に優れ、さらに、耐溶剤性、耐酸性、耐擦り傷性、耐
候性、耐水性、美粧性に代表される塗膜性能、特に耐水
性に優れた熱硬化性被覆組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み、熱硬化性被覆組成物ついて鋭意検
討した結果、本発明に至ったものである。すなわち、本
発明の熱硬化性被覆組成物は、α,β−ジカルボン酸モ
ノエステル基を有するアクリル系共重合体(A)と、エ
ポキシ基と水酸基を有し、エポキシ当量が200〜15
00g/eq、水酸基当量が800〜6000g/eq
であるアクリル系共重合体(B)を含有することを特徴
とするものである。
【0007】本発明の熱硬化被覆組成物に用いるアクリ
ル系共重合体(A)は、α,β−ジカルボン酸モノエス
テル基を有する単量体を含む重合性単量体混合物を重合
させるか、二塩基酸無水物基を有する単量体含む重合性
単量体混合物を重合後、酸無水物基をアルカノールでハ
ーフエステル化させて得られるものであり、アクリル系
共重合体(A)にα,β−ジカルボン酸モノエステル基
を存在させることによって、塗料の貯蔵安定性を損なう
ことなく低温硬化性を向上させることができるものであ
る。
【0008】本発明においては、アクリル系共重合体
(A)として、酸価(アクリル系共重合体1gを中和す
るのに要する水酸化カリウムのmg数)が50〜150
mgKOH/g、重量平均分子量が5000〜5000
0であることが好ましい。これは、アクリル系共重合体
(A)の酸価が50mgKOH/g未満であると、硬化
性が不足するために塗膜の硬度、耐溶剤性が低下する傾
向にあり、150mgKOH/gを越えると、共重合体
の粘度が著しく上昇し、さらに塗膜の光沢、耐水性、耐
候性が低下する傾向にあるためであり、より好ましく
は、70〜130mgKOH/gの範囲である。また、
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が5000
未満であると、塗膜の耐水性、耐候性が低下する傾向に
あり、50000を越えると、樹脂の粘度が著しく上昇
し、塗膜の美装性や耐黄変性が低下する傾向にあるため
であり、より好ましくは、7000〜20000の範囲
である。
【0009】本発明のアクリル系共重合体(A)に使用
されるα,β−ジカルボン酸モノエステル基を有する単
量体としては、例えば、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モ
ノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエ
チル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノオクチ
ル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマル酸モノ
メチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フ
マル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル等が挙げ
られる。
【0010】これらは、必要に応じて単独であるいは二
種以上を併用して使用することができ、その使用量とし
てはアクリル系共重合体(A)の酸価が50〜150m
gKOH/gとなるような範囲であることが好ましい。
これは、これらα,β−ジカルボン酸モノエステル基を
有する単量体類が0.5重量%未満では低温硬化性の向
上に十分な効果が得られない傾向にあり、15重量%を
越えると熱硬化性被覆組成物の貯蔵安定性が低下する傾
向にあるためである。、さらに好ましくは1〜10重量
%の範囲である。
【0011】本発明のアクリル系共重合体(A)に使用
されるその他の重合性単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、Sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等のスチレン誘導体類、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−
メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルア
クリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等の
N−アルコキシ置換アミド類;ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類、グ
リシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メ
タ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル
(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の
エポキシ基含有単量体類、メタクリル酸、アクリル酸、
クロトン酸、ビニル安息香酸、フマール酸、イタコン
酸、マレイン酸、シトラコン酸等の一塩基酸または二塩
基酸単量体類、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレ
ート、β−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、
β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレー
ト、β−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒ
ドロフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルアシ
ッドメチルヘキサヒドロフタレート、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルアシッドサクシネート、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトン
またはγ−ブチロラクトンの開環付加物の末端水酸基を
無水コハク酸でエステル化して末端にカルボキシル基を
導入したコハク酸モノエステルや2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ
−ブチロラクトンの開環付加物(例えば、ダイセル化学
(株)製プラクセルF単量体、UCC社製トーンM単量
体)の末端水酸基を無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフ
タル酸でエステル化したフタル酸モノエステル、無水ヘ
キサヒドロフタル酸モノエステル等のカプロラクトン変
性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと酸無水物の
半エステル反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキ
シヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキ
ル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレートへのγ−ブチロラクトン開
環付加物、2−ヒドロキシエチルアクリレートへのε−
カプロラクトン開環付加物、メタクリル酸へのエチレン
オキシドの開環付加物、メタクリル酸へのプロピレンオ
キシドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸
基含有ビニル系単量体類等の長鎖カルボキシル基含有単
量体類等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独で
あるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0012】本発明においては、他の重合性単量体とし
て上記一塩基酸または二塩基酸単量体類、長鎖カルボキ
シル基含有単量体類、水酸基含有単量体類、エポキシ基
含有単量体類を単独でまたは2種以上を組み合わせて使
用し、アクリル系共重合体(A)にα,β−ジカルボン
酸モノエステル基とともに、カルボキシル基、長鎖カル
ボキシル基、水酸基、エポキシ基を含有させることによ
って、貯蔵安定性を損なうことなく被覆組成物の反応性
をより高めることが可能となり、低温硬化性をより向上
させるとともに、塗膜の耐擦り傷性、耐溶剤性及び硬度
をより向上させることができる。
【0013】この場合、アクリル系共重合体(A)の酸
価が50〜150mgKOH/g、アクリル系共重合体
(A)の水酸基当量(1グラム当量の水酸基を含む樹脂
のグラム数)が300g/eq以上、エポキシ当量(1
グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数)が、1
000g/eq以上となるようにすることが好ましい。
これは、アクリル系共重合体(A)の酸価が50mgK
OH/g未満であると、硬化性が不足するために塗膜の
硬度、耐溶剤性が低下し、150mgKOH/gを越え
ると、共重合体の粘度が著しく上昇し、さらに塗膜の光
沢、耐水性、耐候性が低下する傾向にあり、アクリル系
共重合体(A)の水酸基当量が300g/eq未満にな
ると、被覆組成物の粘度が著しく上昇し、塗膜の光沢、
耐水性、耐候性が低下する傾向にあり、エポキシ当量が
1000g/eq未満では、被覆組成物が増粘したりゲ
ル化しやすくなる傾向にあるためである。
【0014】本発明の熱硬化被覆組成物に用いるアクリ
ル系共重合体(B)は、エポキシ基および水酸基を有す
る単量体を特定の比率で共重合させて得られるものであ
り、そのエポキシ当量が200〜1500g/eq、水
酸基当量が800〜6000g/eqであることが重要
である。これは、アクリル系共重合体(B)のエポキシ
当量が1500g/eqを越えると硬化性が不足するた
めに塗膜の硬度や耐溶剤性が低下し、200g/eq未
満になると被覆組成物が増粘したりゲル化しやすくなる
ためであり、好ましくは、250〜950g/eqの範
囲である。また、アクリル系共重合体(B)の水酸基当
量が6000g/eqを越えると塗膜のノンサンドリコ
ート性が低下し、800g/eq未満になると塗膜の耐
水性が低下するためであり、好ましくは1000〜30
00g/eq、さらに好ましくは1200〜3000g
/eqの範囲である。
【0015】また、アクリル系共重合体(B)は、重量
平均分子量が1000〜20000であることが好まし
い。これは、アクリル系共重合体(B)の重量平均分子
量が1000未満であると、塗膜の耐水性、耐候性が低
下する傾向にあり、20000を越えると、樹脂の粘度
が著しく上昇し、塗膜の美装性や耐黄変性が低下する傾
向にあるためであり、より好ましくは、3000〜10
000の範囲である。本発明のアクリル系共重合体
(B)に使用されるエポキシ基含有単量体としては、例
えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシ
ジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジル
エーテル等が挙げられ、これらは、必要に応じて単独で
あるいは二種以上を併用して使用することができる。こ
れらエポキシ基含有単量体の使用量は、アクリル系共重
合体(B)のエポキシ当量が200〜1500g/eq
となるような範囲であることが好ましく、例えば、15
〜60重量%であることが好ましく、さらに好ましくは
20〜50重量%の範囲である。
【0016】また、本発明のアクリル系共重合体(B)
に使用される水酸基含有単量体としては、例えば、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレー
ト等のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル
酸エステル類、2−ヒドロキシエチルメタクリレートへ
のγ−ブチロラクトン開環付加物、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレートへのε−カプロラクトン開環付加物、メ
タクリル酸へのエチレンオキシドの開環付加物、メタク
リル酸へのプロピレンオキシドの開環付加物、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートの2量体や3量体等の
末端に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、p−ヒドロキシ
スチレン等の他の水酸基含有ビニル系単量体類が挙げら
れ、これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を
併用して使用することができる。これら水酸基含有単量
体の使用量としては、アクリル系共重合体(B)の水酸
基当量が800〜6000g/eqとなるような範囲で
あることが好ましく、例えば、2〜40重量%であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは4〜20重量%の範囲
である。
【0017】本発明のアクリル系共重合体(B)に使用
されるその他の重合性単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、Sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等のスチレン誘導体、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN
−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類、メタク
リル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フ
マール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の
一塩基酸または二塩基酸単量体類、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マ
レイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコ
ン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モ
ノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマ
ル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブ
チル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル
等の二塩基酸または酸無水物単量体のモノエステル類、
β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カル
ボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)
アクリロキシエチルアシッドマレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β
−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒ
ドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルア
シッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラ
クトンの開環付加物の末端水酸基を無水コハク酸でエス
テル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モ
ノエステルや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの
開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセル
F単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を
無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化
したフタル酸モノエステル、無水ヘキサヒドロフタル酸
モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メ
タ)アクリル酸エステルと酸無水物の半エステル反応生
成物等の長鎖カルボキシル基含有単量体類等が挙げられ
る。これらは、必要に応じて単独であるいは二種以上を
併用して使用することができる。
【0018】本発明においては、他の重合性単量体とし
てカルボキシル基含有単量体類を使用し、アクリル系共
重合体(B)にエポキシ基および水酸基とともに、カル
ボキシル基を含有させることによって、保存安定性を損
なうことなく、被覆組成物の反応性を高めることが可能
となり、低温硬化性をより向上させるとともに、塗膜の
耐溶剤性及び硬度をより向上させることがでる。この場
合、アクリル系共重合体(B)の酸価は50mgKOH
/g以下が好ましい。これは、酸価が50mgKOH/
gを越えると、被覆組成物が増粘したりゲル化しやすく
なる傾向にあるためである。
【0019】本発明の熱硬化性被覆組成物中のアクリル
系共重合体(A)と(B)の重量比は、1/3≦(A)
/(B)≦10/3の範囲であることが好ましい。これ
は、アクリル系共重合体(A)と(B)の重量比が1/
3未満であると貯蔵安定性や塗膜の耐水性が低下する傾
向にあり、10/3を越えると塗膜の耐溶剤性や硬度が
低下する傾向にあるためであり、より好ましくは、1/
2≦(A)/(B)≦4/2の範囲である。本発明の熱
硬化性被覆組成物のカルボキシル基とエポキシ基のモル
比は、1/2≦カルボキシル基/エポキシ基≦1/0.
5の範囲であることが好ましい。この範囲以外では、未
反応の官能基により、塗膜の耐水性、耐候性などが低下
する傾向にあり好ましくない。より好ましくは、1/
1.8≦カルボキシル基/エポキシ基≦1/0.7の範
囲である。
【0020】また、本発明の熱硬化性被覆組成物には、
耐黄変性やノンサンドリコート性をさらに向上させるた
めに、水酸基を有するアクリル系共重合体(C)をアク
リル系共重合体(A)及び(B)の合計量に対して、
0.5〜30重量%の範囲で添加することができる。こ
れは、アクリル系共重合体(C)の添加量がアクリル系
共重合体(A)及び(B)の合計量に対して0.5重量
%未満であると、塗膜の耐黄変性やノンサンドリコート
性の改良効果が十分でなく、30重量%を越えると塗膜
の硬度、耐溶剤性が低下する傾向にあるためであり、よ
り好ましくは、5〜20重量%の範囲である。
【0021】本発明のアクリル系共重合体(C)は、水
酸基含有単量体を含む重合性単量体混合物を重合させる
ことによって得られるものであり、使用される水酸基含
有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアル
キル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレートへのγ−ブチロラクトン
開環付加物、2−ヒドロキシエチルアクリレートへのε
−カプロラクトン開環付加物、メタクリル酸へのエチレ
ンオキシドの開環付加物、メタクリル酸へのプロピレン
オキシドの開環付加物、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレートの2量体や3量体等の末端に水酸基を有する
(メタ)アクリル酸エステル類、4−ヒドロキシブチル
ビニルエーテル、p−ヒドロキシスチレン等の他の水酸
基含有ビニル系単量体類が挙げられ、これらは、必要に
応じて単独であるいは二種以上を併用して使用すること
ができる。これら水酸基含有単量体の使用量としては、
アクリル系共重合体(C)の水酸基当量が400〜15
00g/eqとなるような範囲であることが好ましく、
例えば10〜40重量%であることが好ましく、さらに
好ましくは15〜25重量%の範囲である。これは、ア
クリル系共重合体(C)の水酸基当量が1500g/e
qを越えると塗膜の耐水性が低下する傾向にあり、40
0g/eq未満になると塗膜のノンサンドリコート性や
耐溶剤性が低下する傾向にあるためである。
【0022】本発明のアクリル系共重合体(C)に使用
されるその他の重合性単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、
t−ブチル(メタ)アクリレート、Sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸
エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン等のスチレン誘導体、アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド等のN
−アルコキシ置換アミド類、ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のエチレン性不飽和塩基性単量体類、メタク
リル酸、アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、フ
マール酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等の
一塩基酸または二塩基酸単量体類、マレイン酸モノメチ
ル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、マ
レイン酸モノオクチル、イタコン酸モノメチル、イタコ
ン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モ
ノオクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、フマ
ル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブ
チル、フマル酸モノオクチル、シトラコン酸モノエチル
等の二塩基酸または酸無水物単量体のモノエステル類、
β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、β−カル
ボキシプロピル(メタ)アクリレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドサクシネート、β−(メタ)
アクリロキシエチルアシッドマレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドフタレート、β−(メタ)ア
クリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、β
−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒ
ドロフタレート、γ−(メタ)アクリロキシプロピルア
シッドサクシネート、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラ
クトンの開環付加物の末端水酸基を無水コハク酸でエス
テル化して末端にカルボキシル基を導入したコハク酸モ
ノエステルや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンの
開環付加物(例えば、ダイセル化学(株)製プラクセル
F単量体、UCC社製トーンM単量体)の末端水酸基を
無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化
したフタル酸モノエステル、無水ヘキサヒドロフタル酸
モノエステル等のカプロラクトン変性水酸基含有(メ
タ)アクリル酸エステルと酸無水物の半エステル反応生
成物等の長鎖カルボキシル基含有単量体類、グリシジル
(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アク
リレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)ア
クリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基
含有単量体類等が挙げられる。これらは、必要に応じて
単独であるいは二種以上を併用して使用することができ
る。
【0023】本発明のアクリル系共重合体(A)、
(B)および(C)は、溶液重合法、塊状重合法、乳化
重合法等の既知の重合法により製造することができる
が、溶液重合法により製造するのが好ましい。溶液重合
法により上記アクリル系共重合体を製造する場合には、
有機溶剤および重合開始剤の存在下に単量体の混合物を
共重合させる。有機溶剤としては、イソプロパノール、
n−ブタノール、トルエン、キシレン等の一般的なもの
を選択できる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチ
ロニトリル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキ
シド等の通常用いられる重合開始剤から選択できる。ま
た、必要に応じて2−メルカプトエタノール、n−オク
チルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用することができ
る。
【0024】溶液重合法でアクリル系共重合体を製造す
る場合、一般的には、分子量をコントロールするため、
80〜160℃の範囲で重合を行なうことが好ましく、
さらに好ましくは100〜140℃の範囲である。アク
リル系共重合体として、カルボキシル基及びエポキシ基
を含有する場合には、カルボキシル基を有する単量体と
エポキシ基を有する単量体を同時に共重合させようとす
ると、カルボキシル基とエポキシ基との反応によって重
合中に著しく粘度が上昇したり、ゲル化を起こし易くな
るため、共重合体中のカルボキシル基及びエポキシ基の
含有量が極めて少量に制限される。従って、本発明のア
クリル系共重合体(A)にエポキシ基を含有させる場合
には、まず、カルボキシル基を有する単量体(必要に応
じて水酸基を有する単量体も含む)を100℃以上の温
度で共重合し、ひき続き、エポキシ基を有する単量体を
重合温度を75℃以下に下げて重合させるという二段重
合法を用いることが好ましい。同様に、アクリル系共重
合体(B)にカルボキシル基を含有させる場合には、ま
ず、エポキシ基を有する単量体および水酸基を有する単
量体を100℃以上の温度で共重合し、ひき続き、カル
ボキシル基を有する単量体を重合温度を75℃以下に下
げて重合させるという二段重合法を用いることが好まし
い。
【0025】本発明の熱硬化性被覆組成物には、必要に
応じて、メラミン系樹脂やブロックイソシアネート系樹
脂を補助硬化剤として添加してもよい。これらは、被覆
組成物の貯蔵安定性や塗膜性能を損なわない程度に適量
添加することができるが、添加量としては、アクリル系
共重合体(A)および(B)の合計量に対して20重量
%以下が好ましい。これは、補助硬化剤の添加量が20
重量%を越えると塗膜の耐酸性が低下したり、塗膜が黄
変しやすくなる傾向にあるためである。上記以外の補助
硬化剤としては、グリシジルエーテル、グリシジルエス
テル、脂環式エポキシ化合物のようなエポキシ化合物類
やアルキルジオール、アルキルポリオール、アクリルポ
リオール、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリ
オール、ヒドロキシ化合物類等を挙げることができる。
これら補助硬化剤は、二種類以上を混合して用いても良
い。
【0026】本発明の熱硬化性被覆組成物には、硬化促
進のため触媒を含有させることができる。硬化触媒とし
ては、酸基とエステル基のエステル化反応に用いられる
公知のもので良く、例えば、4級アンモニウム塩やホス
ホニウム塩等が好ましい。具体的には、ベンジルトリメ
チルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアン
モニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロラ
イド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニル
ホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホ
ニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0027】また、安定性を向上させるため必要に応じ
て、スルホン酸系やリン酸系に代表される酸性化合物を
添加することができる。具体的には、パラトルエンスル
ホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタ
レンスルホン酸およびこれらのアミンブロック化物、モ
ノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、モノアルキル亜
リン酸等が挙げられる。さらに、本発明の熱硬化性被覆
組成物には、有機ベントン、ポリアミド、マイクロゲ
ル、繊維素系樹脂等のようなレオロジー調節剤やシリコ
ーンに代表される表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、酸化防止剤、垂れ止め剤等の添加剤を必要に応じて
公知の手段を用いて適宜配合することができる。
【0028】本発明の熱硬化性被覆組成物を自動車塗装
用のクリヤーコート用塗料として使用する場合、クリヤ
ーコート層と接するベースコート層としては、本発明の
熱硬化性被覆組成物を用いることもできるが、公知の硬
化性樹脂を必要に応じて適宜使用することもできる。こ
れら熱硬化性樹脂には、揮発性の有機溶剤からなる希釈
剤、アミノ樹脂やポリイソシアネート化合物等からなる
硬化剤、アルミニウムペースト、マイカ、リン片状酸化
鉄等の光輝剤、酸化チタン、カーボンブラック、キナク
リドン等の無機顔料および有機顔料、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等の添加樹脂、さら
に表面調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を
必要に応じて公知の手段を用いて適宜配合することがで
きる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。例中の部および%は、全て重量基準である。共重合体の物性の定義 粘度 :ガードナー・ホルト泡粘度計で測定し
た値(25℃) 不揮発分 :1gのレジンをアルミ皿上にサンプリ
ングし、150℃で1時間乾燥させたときの不揮発分の
比率 水酸基当量 :1グラム当量の水酸基を含む樹脂のグ
ラム数 酸価 :アクリル系共重合体1gを中和するの
に要する水酸化カリウムのmg数 エポキシ当量 :1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂
のグラム数 重量平均分子量:ゲルパーミュエーションクロマトグラ
フィーで測定塗料の物性の定義 塗装粘度 :No.4フォードカップ中の塗料が全
て落下流出するまでの秒数(20℃)。
【0030】塗膜性能の定義 目視外観 :ツヤ感や平滑性を中心に判定 光沢 :スガ試験機(株)製のデジタル変角光
沢計uGV−4Dを用いて測定(60°G) 硬度 :三菱鉛筆ユニ使用(45度の角度で塗
膜を引っかいて硬度を測定) 耐酸性 :40%硫酸水溶液をスポットし、50
℃で1時間放置後水洗し、スポット跡を目視判定 耐水性 :40℃の温水に10日間浸漬後、外観
を目視判定 耐溶剤性 :ガーゼにメチルエチルケトンを浸し、
50往復ラビングテストを行った後の外観を目視で判定
した 耐候性 :スガ試験機製サンシャインウェザーオ
メーターで1000時間評価後、50℃の温水に24時
間浸漬した塗膜の外観を目視判定 耐擦傷性 :大栄科学精器(株)製の摩擦堅牢度試
験機を用い、塗面を接触する箇所にガーゼを当て、荷重
1kgで10往復摩擦試験を行い、傷跡を目視により判
定 貯蔵安定性 :30℃で72時間放置後の塗料の状態
を示す ◎:異常なし ○:若干粘度が上昇、実用上問題なし △:増粘、実用上問題あり ×:ゲル化、使用不可。
【0031】ノンサンドリコート性 リン酸亜鉛処理された鋼板(30*90cm)に自動車
用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間焼き
付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料
を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後、塗膜をサ
ンディングし乾燥させ、テストピースを得た。このテス
トピース上にまず、ベースコート塗料とクリヤーコート
塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗りし、160
℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、放冷後さらにサン
ディングしない状態でさらに同じベースコート塗料とク
リヤーコート塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗
りし、120℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、評価
用多層塗膜を形成した。この積層塗膜の1cm四方に1
mm間隔で傷をつけ、100個の碁盤目を作り、この上
にセロハンテープを張り付けた後一気に引きはがし、剥
離せずに残った碁盤目の数から付着性を評価した。 ◎:剥離せずに残った面積が90/100以上 △:剥離せずに残った面積が50/100以上90/1
00未満 ×:剥離せずに残った面積が50/100未満。
【0032】耐冷熱クラック性 リン酸亜鉛処理された鋼板(30×90cm)に自動車
用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間焼き
付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り塗料
を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後、塗膜をサ
ンディングし乾燥させ、テストピースを得た。このテス
トピース上にまず、ベースコート塗料とクリヤーコート
塗料をウェットオンウェット方式で重ね塗りし、120
℃の熱風乾燥機で25分間焼き付け、評価用多層塗膜を
形成した。この塗板を40℃で30分間熱風乾燥機内に
放置した後、−40℃のドライアイスの入ったメタノー
ルバスに入れ急冷する。 メタノールバス中に30分間
放置した後、塗膜中のワレを判定した。同じ操作 を5
サイクル行なう。(数字は、塗板上にワレが発生しない
サイクルの回数を表わす。◎は5サイクルでワレな
し。)。
【0033】目視判定の基準 ◎:性能試験後の塗膜品質が試験前と変化せず、優れた
塗膜性能を維持していると判定 ○:性能試験後の塗膜品質は試験前より若干低下してい
るが、実用性能は十分有していると判定 △:性能試験後の塗膜品質が試験前より低下し、実用上
問題があると判定 ×:性能試験後の塗膜品質が試験前より著しく低下し、
実用上使用不可能と判定。
【0034】(1)ベースコート用塗料(M−1)の製
造例 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール10部、トルエン90部を加
え、攪拌しながら100℃に加熱した後、メチルメタク
リレート40部、エチルアクリレート30部、n−ブチ
ルアクリレート15部、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート12部、メタクリル酸3部、アゾビスイソブチロ
ニトリル1部からなるビニル系単量体と重合開始剤の混
合物を溶剤中に4時間かけて滴下した後、同温度で3時
間重合し、アクリル系共重合体(B−1)を合成した。
得られたアクリル系共重合体(B−1)の不揮発分は5
0%、重量平均分子量は40000であった。さらに、
このアクリル系共重合体(B−1)100部、ユーバン
20SE−60(三井東圧化学(株)製、ブチル化メラ
ミン樹脂、固形分60%)25部、アルペースト#17
00NL(東洋アルミニウム(株)製、アルミニウムペ
ースト、固形分65%)14部を混合し、ベースコート
塗料組成物を得た。このベースコート塗料組成物を酢酸
エチル/トルエン/ソルベッソ#150(エッソ社製、
芳香族炭化水素)=40/30/30(重量%)からな
る混合溶剤で希釈し、ベースコート塗料組成物の粘度を
フォードカップ#4で13秒となるように調製し、シル
バーメタリック系ベースコート塗料(M−1)を得た。
【0035】(2)アクリル系共重合体(P−1)の合
成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール30部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)70部を加え、攪拌
しながら100℃に加熱した後、アクリル酸15部、フ
マール酸モノブチル5部、スチレン40部、n−ブチル
アクリレート20部、トリデシルメタクリレート20
部、アゾビスイソブチロニトリル2部からなるビニル系
単量体と重合開始剤の混合物を溶剤中に4時間かけて滴
下し、さらにフラスコの内温を100℃で保持し、樹脂
への添加率を充分に高めたところで反応を終了させ、ア
クリル系共重合体(P−1)を合成した。得られたアク
リル系共重合体の不揮発分は50%、ガードナー粘度は
V、酸価は133mgKOH/g、重量平均分子量は1
0000であった。
【0036】(3)アクリル系共重合体(P−2)〜
(P−3)、(P−5)〜(P−7)の合成 アクリル系共重合体(P−1)の合成方法と同様な操作
で表1に示すビニル系単量体をそれぞれ重合し、アクリ
ル系共重合体(P−2)〜(P−3)、(P−5)〜
(P−7)を合成した。得られた共重合体の特性値を表
1に示した。
【0037】(4)アクリル系共重合体(P−4)の合
成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール30部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)70部を加え、攪拌
しながら100℃に加熱した後、メタクリル酸10部、
マレイン酸モノメチル2部、β−メタクリロキシエチル
アシッドヘキサヒドロフタレート15部、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート7部、スチレン27部、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート23部、アゾビスイソブチロ
ニトリル3.5部からなるビニル系単量体と重合開始剤
の混合物を溶剤中に4時間かけて滴下した。その後フラ
スコの内温を75℃に低下させ、さらに、グリシジルメ
タクリレート4部、2−ヒドロキシエチルアクリレート
1部、スチレン3部、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト2部、トリデシルメタクリレート6部、アゾビスジメ
チルバレロニトリル1部からなるビニル系単量体と重合
開始剤の混合物を溶剤中に2時間かけて滴下した。滴下
後、フラスコの内温を75℃で保持して樹脂への添加率
を充分に高めたところで反応を終了させ、アクリル系共
重合体(P−4)を合成した。得られたアクリル系共重
合体の不揮発分は50%、ガードナー粘度はV、酸価は
103mgKOH/g、水酸基当量は1450g/e
q、エポキシ当量は3550g/eq、重量平均分子量
は8000であった。
【0038】
【表1】
【0039】(5)アクリル系共重合体(P−9)の合
成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール20部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)80部を加え、攪拌
しながら120℃に加熱した後、グリシジルメタクリレ
ート30部、スチレン30部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート30部、n−ブチルアクリレート10部、ア
ゾビスイソブチロニトリル3部、t−ブチルイソプロピ
ルカーボネート7部からなるビニル系単量体と重合開始
剤の混合物を溶剤中に4時間かけて滴下し、さらにフラ
スコの内温を120℃で保持し、樹脂への添加率を充分
に高めたところで反応を終了させ、アクリル系共重合体
(P−9)を合成した。得られたアクリル系共重合体の
不揮発分は50%、ガードナー粘度はF、エポキシ当量
は473g/eq、重量平均分子量は5000であっ
た。
【0040】(6)アクリル系共重合体(P−10)〜
(P−11)、(P−13)〜(P−16)の合成 アクリル系共重合体(P−9)の合成方法と同様な操作
で表2に示すビニル系単量体をそれぞれ重合し、アクリ
ル系共重合体(P−10)〜(P−11)、(P−1
3)〜(P−16)を合成した。得られた共重合体の特
性値を表2に示した。
【0041】(7)アクリル系共重合体(P−12)の
合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール20部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)80部を加え、攪拌
しながら120℃に加熱した後、グリシジルメタクリレ
ート30部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、
スチレン22部、2−エチルヘキシルメタクリレート2
7部、トリデシルメタクリレート6部、アゾビスイソブ
チロニトリル2部、t−ブチルイソプロピルカーボネー
ト7部からなるビニル系単量体と重合開始剤の混合物を
溶剤中に4時間かけて滴下した。その後フラスコの内温
を70℃に低下させ、さらに、メタクリル酸4部、2−
エチルヘキシルメタクリレート3部、スチレン3部、ア
ゾビスジメチルバレロニトリル1部からなるビニル系単
量体と重合開始剤の混合物を溶剤中に2時間かけて滴下
した。滴下後、フラスコの内温を70℃で保持して樹脂
への添加率を充分に高めたところで反応を終了させ、ア
クリル系共重合体(P−12)を合成した。得られたア
クリル系共重合体の不揮発分は50%、ガードナー粘度
はP、酸価は26mgKOH/g、水酸基当量は232
0g/eq、エポキシ当量は473g/eq、重量平均
分子量は8000であった。
【0042】
【表2】
【0043】(9)アクリル系共重合体(P−17)の
合成 攪拌機、温度制御装置、コンデンサーを備えた容器に溶
剤としてn−ブタノール20部、ソルベッソ#100
(エッソ社製、芳香族石油誘導体)80部を加え、攪拌
しながら120℃に加熱した後、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート20部、スチレン30部、n−ブチルメ
タクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、
メタクリル酸1部、アゾビスイソブチロニトリル3部か
らなるビニル系単量体と重合開始剤の混合物を溶剤中に
4時間かけて滴下し、さらにフラスコの内温を120℃
で保持し、樹脂への添加率を充分に高めたところで反応
を終了させ、アクリル系共重合体(P−17)を合成し
た。得られたアクリル系共重合体の不揮発分は50%、
ガードナー粘度はN、酸価は7mgKOH/g、水酸基
当量は650g/eq、重量平均分子量は8000であ
った。
【0044】
【表3】
【0045】(10)クリヤーコート用塗料の調製 表1、表2、表3記載のアクリル系共重合体を表4およ
び表5記載の割合で配合し、攪拌混合後、混合溶剤(ソ
ルベッソ#100/セロソルブアセテート=50/50
(重量比)を添加し、塗装粘度が25秒(フォードカッ
プNo.4使用、測定温度20秒)となるように希釈し
て、クリヤーコート用塗料を調製した。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】(表中記載の数字はすべて固形分基準であ
る。) *1)モンサント社製、表面調整剤 *2)硬化触媒:ベンジルトリブチルアンモニウムクロ
リド *3)三井東圧化学(株)製、ブチル化メラミン樹脂
(不揮発分60%) *4)ナガセ化成(株)製、ブタンジオールジグリシジ
ルエーテル。
【0049】実施例1〜10および比較例1〜12 リン酸亜鉛処理された鋼板(30cmx90cm)に自
動車用カチオン電着塗料を塗装し、180℃で30分間
焼き付けた。さらに、アミノアルキッド樹脂系の中塗り
塗料を塗装し、160℃で30分間焼き付けた後塗膜を
水研し、乾燥させた。この塗膜上に、まずベースコート
塗料(M−1)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装
し、5分間放置した後、表3または表4記載のクリヤー
コート用塗料を乾燥膜厚が30μmとなるようにウェッ
トオンウェット方式で重ね塗りした。未乾燥の重ね塗り
塗膜を室温で15分間放置後、140℃の熱風乾燥機で
30分間焼き付けて(耐冷熱クラック性評価用サンプル
は120℃x25分間で焼き付け)2コート1ベーク方
式による多層塗膜を形成した。得られた多層塗膜の塗膜
性能を表6および表7に示した。
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】本発明の実施例1〜10の熱硬化性被覆組
成物は、優れた貯蔵安定性、低温硬化性を持ち、塗膜性
能も優れていた。これに対して、本発明が規定する条件
を満たさない比較例1〜12の熱硬化性被覆組成物は、
貯蔵安定性、低温硬化性、塗膜性能ともに低位なもので
あった。
【0053】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかなように、本
発明のアクリル系共重合体を含有する熱硬化被覆組成物
は、貯蔵安定性、低温硬化性に優れ、さらに、これを用
いることによって、塗膜性能、特に耐水性にも優れた塗
膜の提供が可能であり、工業上非常に有益なものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 暁生 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 岩瀬 国男 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 (72)発明者 藤江 忍 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α,β−ジカルボン酸モノエステル基を
    有するアクリル系共重合体(A)と、エポキシ基と水酸
    基を有し、エポキシ当量が200〜1500g/eq、
    水酸基当量が800〜6000g/eqであるアクリル
    系共重合体(B)を含有する熱硬化性被覆組成物。
  2. 【請求項2】 水酸基を有するアクリル系共重合体
    (C)を含有する請求項1記載の熱硬化性被覆組成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ基と水酸基を有し、エポキシ当
    量が200〜1500g/eq、水酸基当量が800〜
    6000g/eqであるアクリル系共重合体。
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