JPH07228712A - 金属ラミネート用ポリカーボネートフィルム - Google Patents

金属ラミネート用ポリカーボネートフィルム

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JPH07228712A
JPH07228712A JP6105553A JP10555394A JPH07228712A JP H07228712 A JPH07228712 A JP H07228712A JP 6105553 A JP6105553 A JP 6105553A JP 10555394 A JP10555394 A JP 10555394A JP H07228712 A JPH07228712 A JP H07228712A
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JP
Japan
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film
polycarbonate
polycarbonate resin
amount
parts
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Application number
JP6105553A
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English (en)
Inventor
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Ryoji Tsukamoto
亮二 塚本
Masaaki Tsukioka
正明 築岡
Hiroo Inada
博夫 稲田
Seiji Ito
誠司 伊藤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属板との接着性が良好で、金属板にラミネ
ートした際の成形加工性、耐衝撃性に優れた金属ラミネ
ート板を与える金属ラミネート用ポリカーボネートフィ
ルムを提供する。 【構成】 (A)ビスフェノールA型ポリカーボネート
に代表される特定のカーボネート単位からなり、末端O
H基の量が少なくとも20eq/106gであり、粘度
平均分子量が10,000〜40,000の範囲にある
ポリカーボネート樹脂からなり、(B)50℃の水中に
24時間浸漬した後のフィルムの伸度の減少率が30%
以下であり、(C)フィルム厚みが5〜100μmの範
囲にある、ことを特徴とする金属ラミネート用ポリカー
ボネートフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属ラミネート用ポリカ
ーボネートフィルムに関する。さらに詳しくは、金属板
との接着性に優れ、金属板にラミネートした際の成形加
工性、耐衝撃性の良好な金属ラミネート板を与える金属
ラミネート用ポリカーボネートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の内面及び外面の腐食防止
には一般的に塗料が塗布され、その塗料には熱硬化性樹
脂が使用されている。
【0003】しかしながら、熱硬化性樹脂塗料は一般に
溶剤型であり、塗膜の形成には長時間を要し、また15
0〜250℃という高温の加熱が必要である。この焼き
付けの際多量の有機溶剤が飛散あるいは蒸発するため環
境に悪影響を及ぼし、作業の安全性にも問題がある。ま
たその後の加工時にクラックやピンホールが発生しやす
いためこれらの改善が求められている。
【0004】最近、工程簡素化、衛生性向上、公害防止
等の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の
開発が進められ、その一つとして金属缶の熱可塑性樹脂
フィルムによる被覆が試みられている。すなわち、ブリ
キ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に
熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等
により製缶する方法の検討が進められている。この熱可
塑性樹脂フィルムとしてポリオレフィンフィルムやポリ
アミドフィルムが試みられたが、成形加工性、耐熱性、
保香性、耐衝撃性の全てを満足するものではない。
【0005】特開昭56−10451号公報および特開
平1−192546号公報には、二軸配向ポリエチレン
テレフタレートフィルムを低融点ポリエステルの接着層
を介して金属板にラミネートし、製缶材料として用いる
ことが開示されている。しかしながら、二軸配向ポリエ
チレンテレフタレートフィルムは耐熱性、保香性に優れ
るが、成形加工性が不充分であり、大きな変形を伴う製
缶加工ではフィルムの白化(微小クラックの発生)や破
断が発生することがある。
【0006】特開平1−192545号公報および特開
平2−57339号公報には、非晶性もしくは極めて低
結晶性の共重合芳香族ポリエステルフィルムを金属板に
ラミネートし、製缶材料として用いることが開示されて
いる。
【0007】しかしながら、非晶性もしくは極めて低結
晶性の芳香族ポリエステルフィルムは成形加工性は良好
であるが、保香性が劣り、また製缶後の印刷、レトルト
殺菌処理等の後処理、更には長期の保存により脆化しや
すく、また缶外部からの衝撃により割れ易いフィルムに
変質する恐れがある。
【0008】特開昭64−22530号公報には、低配
向で、熱固定された二軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムを金属板にラミネートし、製缶材料として用
いることが開示されている。
【0009】しかしながら、このフィルムは未だ製缶加
工に適用可能な低配向には達しておらず、また変形度の
小さい領域で加工し得たとしても、その後の印刷、缶内
容物を滅菌するなどのレトルト処理により、脆化しやく
なり、缶外部からの衝撃により割れやすいフィルムに変
質する恐れがある。
【0010】本発明者の研究によれば、共重合芳香族ポ
リエステルフィルムは、経時的に構造変化を起こし、次
第に、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性が低下する。従
って、このフィルムを金属に貼合せた後時間を置いて衝
撃を与えると、フィルムにひび割れが生じ易いことがわ
かった。低温下での耐衝撃性が悪いことは、ジュース、
清涼飲料水用の金属缶のように冷却した状態で取扱われ
るものでは、大きな問題となる。
【0011】また、ポリカーボネートはラミネート板の
成形加工に耐え、耐熱性、耐衝撃性にも優れているが、
通常のポリカーボネートは金属に対する接着性及び保香
性がやや不充分である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
な金属ラミネート用ポリカーボネートフィルムを提供す
ることにある。
【0013】本発明の他の目的は、金属板との接着性に
優れ、かつ金属板にラミネートした場合、成形加工性、
耐衝撃性、特に経時耐衝撃性に優れた金属ラミネート用
ポリカーボネートフィルムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的は、 (A)(1)下記式(1)
【0015】
【化2】
【0016】[ここで、R1およびR2は、互いに独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または環員炭
素数5〜6のシクロアルキル基であるか、あるいはR1
とR2はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環員
炭素数5〜6のシクロアルキル基を形成していてもよ
く、R3とR4は互いに独立に、炭素数1〜5のアルキル
基、フェニル基またはハロゲン原子であり、そしてmお
よびnは、互いに独立に、0、1または2である。]で
表わされる繰返し単位から実質的になり、(2)末端O
H基の量が少くとも20eq/106gであり、そして
(3)粘度平均分子量が10,000〜40,000の範
囲にあるポリカーボネート樹脂からなり、 (B)50℃の水中に24時間浸漬した後のフィルムの
伸度の減少率が30%以下であり、そして (C)フィルム厚みが5〜100μmの範囲にある、こ
とを特徴とする本発明の金属ラミネート用ポリカーボネ
ートフィルムによって達成される。
【0017】本発明の金属ラミネート用ポリカーボネー
トフィルムは、上記(A)(1)、(2)および(3)
で特定されるポリカーボネート樹脂からなる。
【0018】このポリカーボネート樹脂の構造を特定す
る上記式(1)において、R1およびR2は、互いに独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または環員炭
素数5〜6のシクロアルキル基であるか、あるいはR1
とR2はそれらが結合する炭素原子と一緒になって環員
炭素数5〜6のシクロアルキル基を形成していてもよ
い。
【0019】炭素数1〜5のアルキル基としては直鎖状
であっても分岐鎖状であってもよく例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、i
so−ブチル、ペンチル等を挙げることができる。
【0020】環員炭素数5〜6のシクロアルキル基とし
ては、例えばシクロペンチル、シクロヘキシルを挙げる
ことができる。
【0021】また、R3とR4は、互いに独立に、炭素数
1〜5のアルキル基、フェニル基またはハロゲン原子で
ある。
【0022】炭素数1〜5のアルキル基としては、上記
したものと同じものを例示することができる。
【0023】ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩
素、臭素等を挙げることができる。
【0024】mおよびnは、互いに独立に、0、1また
は2である。
【0025】上記式(1)で表わされる繰返し単位とし
ては、例えばR1およびR2がメチルでありそしてmおよ
びnが0であるビスフェノールA型カーボネート単位を
好ましいものとして例示できる。
【0026】本発明で用いられるポリカーボネート樹脂
は、上記式(1)で表わされる同種の繰返し単位からな
ることができ、また上記式(1)で表わされる2種以上
の異種の繰返し単位からなることもできる。
【0027】本発明で用いられるポリカーボネート樹脂
は、末端OH基の量が少くとも20eq/106gであ
る必要がある。本発明者は末端OH基の量がポリカーボ
ネートと金属板との接着性を左右し、末端OH基の量が
多いほどポリカーボネートと金属板との接着力が向上す
ることを見いだした。末端OH基の量が20eq/10
6g未満の場合には、金属板にラミネートした際に十分
な接着力を得ることができない。
【0028】末端OH基の量は、好ましくは少くとも3
5eq/106g、より少くとも50eq/106gであ
り、さらに好ましくは少くとも60eq/106gであ
り、いっそうさらに好ましくは少くとも70eq/10
6gであり、特に好ましくは80〜150eq/106
である。
【0029】また、本発明で用いられるポリカーボネー
ト樹脂は粘度平均分子量が10,000〜40,000の
範囲にある。
【0030】粘度平均分子量が10,000未満の場合
にはポリカーボネートフィルムそのものの機械特性が不
十分となり、また金属面からの剥離等が生じやすい。ま
た粘度平均分子量が40,000より大きい場合には、
末端OH基の量を少くとも20モル/106gとするこ
とがむずかしく、またポリマーの溶融粘度が高いため接
着時の金属板との濡れ性が不十分となり高い接着力が得
られず、この場合も金属板からの剥離等の問題がおこ
る。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、好まし
くは13,000〜35,000、より好ましくは15,
000〜30,000である。
【0031】ポリカーボネート樹脂は、通常塩化メチレ
ン等の溶媒中において公知の酸受容体や分子量調節剤の
存在下、対応する2価フェノールとホスゲンのようなカ
ーボネート前駆体との反応により(界面重合法)、ある
いは、対応する2価フェノールとジフェニルカーボネー
トのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応
(溶融重合法)などによって製造される。
【0032】本発明のポリカーボネート樹脂は特に制限
はないが、例えば下記のような方法により製造すること
ができる。すなわち、(イ)界面重合法で樹脂を製造す
る際に、2価フェノールをカーボネート前駆体に対して
過剰に反応させる方法、(ロ)界面重合法で樹脂を製造
する際に末端封鎖を行なう方法、(ハ)溶融重合法で樹
脂を製造する際に、2価フェノールとカーボネート前駆
体との割合を調節する方法、(ニ)溶融重合法で樹脂を
製造する際に、重合反応後期にポリヒドロキシ化合物を
添加する方法、(ホ)末端OH基量20モル/106
未満のポリカーボネート樹脂と適切な量の2価フェノー
ル類を溶融混合し、場合によっては触媒を加えることに
よりポリカーボネート樹脂と2価フェノール類を反応せ
しめて末端OH基量を増加させる方法、が採用される。
【0033】上記(イ)および(ロ)の方法において、
2価のフェノールとしては例えば2,2―ビス(4―ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、ビス(4―ヒドロキシフ
ェニル)メタン、1,1―ビス(4―ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,1―ビス(4―ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、ビス(4―ヒドロキシフェニル)エー
テル、2,2―ビス(3―メチル―4―ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2―ビス(3,5―ジメチル―4
―ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′―ビフェノ
ール、フェノールフタレイン等が好ましく用いられる。
【0034】界面重合法は、例えば2価のフェノールの
アルカリ水溶液と、塩化メチレンの如き水と非相溶性の
有機溶媒との2層系溶媒中で、ホスゲンを反応させるこ
とにより有利に実施される。
【0035】上記(ロ)の方法において、末端封鎖剤と
しては、例えば下記式(2)
【0036】
【化3】
【0037】[ここで、R5は炭素数2〜6のアルキレ
ン基または炭素数5〜10のシクロアルキレン基であ
り、R6は炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは−O
−または−CO−であり、pは0〜3の整数であり、そ
してqは0または1である。]で表わされる化合物が好
ましく用いられる。
【0038】上記式(2)において、R5は炭素数2〜
6のアルキレン基、炭素数5〜10のシクロアルキレン
基から選ばれる。R5としては具体的には、エチレン、
プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、イソプロ
ピリデン、ネオペンチレン、ペンタメチレン、ヘキサメ
チレン、イソブチレン、1,4―シクロヘキシレン等を
挙げることができる。R6は水素原子、炭素数1〜3の
アルキル基を示す。該アルキル基としては具体的には、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピルを挙げること
ができる。Xは―O―または―CO―を示し、qは0ま
たは1を示す。qが0の場合には、R5とベンゼン環と
は直接結合となる。pは1〜3の整数を示す。
【0039】上記式(2)で示される化合物としては、
具体的には4―(2―ヒドロキシエチル)フェノール、
3―(2―ヒドロキシエチル)フェノール、4―(2―
ヒドロキシエチル)―2,6―ジメチルフェノール、4
―(3―ヒドロキシプロピル)フェノール、3―(3―
ヒドロキシプロピル)フェノール、4―(3―ヒドロキ
シプロピル)―2,6―ジメチルフェノール、4―(2
―ヒドロキシエトキシ)フェノール、3―(2―ヒドロ
キシエトキシ)フェノール、4―(2―ヒドロキシエト
キシ)―2,6―ジメチルフェノール、4―(3―ヒド
ロキシプロピルオキシ)フェノール、4―(3―ヒドロ
キシプロピルオキシ)―2,6―ジメチルフェノール、
4―(β―ヒドロキシプロピオニル)フェノール、3―
(β―ヒドロキシプロピオニル)フェノール、4―(β
―ヒドロキシプロピオニル)―2,6―ジメチルフェノ
ール等を挙げることができる。
【0040】上記式(2)で示される化合物は、単独ま
たは2種以上を併用してもよい。また、フェノール、t
―ブチルフェノール等の従来公知の末端封鎖剤を併用し
てもよい。
【0041】上記式(2)で示される化合物の使用量
は、特に制限はなく少くとも20eq/106gの末端
基濃度が得られる量であればよい。2価のフェノールの
使用量に対して好ましくは0.2〜20モル%、より好
ましくは0.5〜10モル%である。
【0042】この重合の際、必要に応じトリエチルアミ
ン、ピリジン等の3級アミン、テトラ―n―ブチルアン
モニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩等の触媒を
用いることも好ましい。
【0043】上記(ハ)および(ニ)の方法において、
2価フェノールとしては、上記(イ)、(ロ)の方法に
ついて例示したものと同じものを用いることができる。
【0044】上記(ハ)および(ニ)の方法において、
使用する触媒としては特に制限はなく、ポリカーボネー
トと2価フェノールとの反応を促進するものであればよ
いが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸
化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、
炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭
酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリ
ウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウ
ム、水素化ホウ素カリウム、ステアリン酸ナトリウム、
ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、安息香
酸ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カリウム、
ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2リチウム塩、2
カリウム塩、フェノールのナトリウム塩、リチウム塩、
カリウム塩などのアルカリ金属化合物、水酸化カルシウ
ム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化スト
ロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、
炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸
バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢
酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸
ストロンチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸ストロンチウム等のアルカリ土類金属化合物、メチ
ルイミダゾール、N―エチルピペリジン等の3級アミン
化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の4
級アンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウムヒドロ
キシド等の4級ホスホニウム塩、ホウ酸、ホウ酸トリフ
ェニル等のホウ酸エステル、アルミニウム、亜鉛、チタ
ン、錫、ゲルマニウム、アンチモン等の酸化物、アルコ
キシド、カルボン酸塩等を挙げることができる。これら
の触媒は1種または2種以上を併用してもよい。触媒の
使用量はポリカーボネートに対し、10-3〜10-7モル
%とすることが好ましく、10-4〜10-6モル%とする
ことが特に好ましい。
【0045】溶融反応または混合温度は180〜320
℃程度とすることが好ましく、200〜300℃程度と
することが特に好ましい。溶融反応または混合時間はポ
リカーボネート前駆体又はポリカーボネートとポリヒド
ロキシ化合物例えば2価フェノール類とが反応するに足
る時間であればよく、またこの時間は、ポリヒドロキシ
化合物の種類、添加量、触媒の種類、添加量、混合温度
などにより異なるが、大略1〜360分程度とすること
が好ましく、2〜240分程度とすることが特に好まし
い。
【0046】この溶融反応または混合は攪拌装置を有す
る反応容器中で実施してもよいし、エクストルーダーな
どの溶融混練押出機を用いて連続的に実施してもよい。
後者の方法によれば、押出しと同時に製膜することが可
能であり、好ましく実施できる。また溶融反応または混
合はポリカーボネートの着色や劣化防止するため窒素、
アルゴン等の不活性ガス気流中で行うことが好ましい。
【0047】また、上記(ニ)の方法において、重合反
応後期において用いられるポリヒドロキシ化合物として
は、例えば上記2価フェノールと同じ2価フェノールお
よび下記式(3)
【0048】
【化4】R7 (CH2OH)l ・・・・・・・(3) [ここで、R7はヘテロ原子を含有していてもよい炭素
数1〜20のl価の炭素水素基でありそしてlは2〜4
の整数である。]で表わされる化合物が好ましく用いら
れる。
【0049】上記式(3)の化合物としては、例えば下
記化合物を好ましい化合物として挙げることができる。
【0050】l=2の場合:トリメチレングリコール、
プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネ
オペンチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、
デカメチレングリコール、デドカメチレングリコール、
シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、m−キシリレ
ングリコール、p−キシリレングリコール、1,4−ビ
ス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス
(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス
(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)エーテルなどが
挙げられる。
【0051】l=3の場合:トリメチロールプロパン、
1,2,4−トリヒドロキシメチルベンゼン、1,3,5−
トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。
【0052】l=4の場合:ペンタエリスリトールなど
が挙げられる。
【0053】ポリヒドロキシ化合物としてはこれらのう
ちl=2の化合物が好ましい。ポリヒドロキシ化合物の
使用割合は特に制限はなく、目的とするポリカーボネー
トの末端OH基量を少くとも20eq/106gにし得
る量であればよいが、ポリカーボネートに対してポリヒ
ドロキシ化合物のOH基濃度が、0.5eq.%以上程度
とすることが好ましく、1.0eq.%以上程度とするこ
とが好ましい。
【0054】重合反応後期に用いられるポリヒドロキシ
化合物は、ポリカーボネートの粘度平均分子量が少くと
も10,000、より好ましくは少くとも18,000に
達した時点で添加するのが有利である。
【0055】本発明の金属ラミネート用ポリカーボネー
トフィルムは、上記ポリカーボネート樹脂からなり、そ
して(B)50℃の水中に24時間浸漬した後のフィル
ムの伸度の減少率が30%以下であり、また(C)フィ
ルム厚みが5〜100μmの範囲にある。
【0056】本発明の該フィルムは、水に浸漬した際の
伸度減少率が小さいために、金属とラミネートし、例え
ば水に浸漬した際に、経時耐衝撃性が良好である。好ま
しい伸度減少率は25%以下であり、より好ましい伸度
減少率は20%以下である。
【0057】本発明の金属ラミネート用ポリカーボネー
トフィルムは上述のポリカーボネート樹脂よりなる膜厚
5〜100μmのフィルムである。かかるフィルムの膜
厚が5μm未満では金属板にラミネートした際ピンホー
ルやクラックなどの欠陥が生じやすく、また膜厚が10
0μmより厚い場合には成形加工性等が低下するほかコ
スト的に不利となり好ましくない。本発明の金属ラミネ
ート用ポリカーボネートフィルムの膜厚は5〜80μm
が好ましく、10〜60μmがより好ましく、15〜4
0μmが特に好ましい。
【0058】本発明の好ましい一つの態様によれば、本
発明のフィルムを構成するポリカーボネート樹脂はポリ
エポキシ化合物を含有する。
【0059】ポリエポキシ化合物としては、分子内に2
個以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく用いられ
る。
【0060】かかるポリエポキシ化合物としては下記化
合物が好ましく用いられる。
【0061】(1)グリシジルエーテル系化合物;例え
ば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、レゾルシノ
ール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、
ナフトールノボラック等の如き芳香族ポリオール類;フ
ェノール、ナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物と
グリオキサール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド、p−ヒドロキシベンズアルデヒドなどのアルデヒド
との例えば酸性触媒下での脱水縮合反応により得られる
ポリオール類;ブタンジオール、ネオペンチレングリコ
ール、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコールなどの多価アルコール類等の如きポ
リオール類等のグリシジルエーテル。
【0062】(2)グリシジルエステル系化合物;例え
ば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、トリメリット酸等の如きポリカルボン酸のグリシジ
ルエステル。
【0063】(3)N−グリシジル系化合物;例えば、
アニリン、イソシアヌル酸、4,4'−ジアミノジフェニ
ルメタン等の如き含窒素化合物の窒素原子に結合した活
性水素をグリシジル基で置換した化合物。
【0064】(4)グリシジルエーテルエステル系化合
物;例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフ
トエ酸等の如きヒドロキシカルボン酸類のグリシジルエ
ーテルエステル。
【0065】(5)シクロペンタジエン、ジシクロペン
タジエン等の如き不飽和脂環式化合物から得られるエポ
キシ樹脂、p−アミノフェノールのトリグリシジル化合
物、ビニルシクロヘキセンジオキサイド等。
【0066】これらのポリエポキシ化合物は1種又は2
種以上を用いることができる。ポリエポキシ化合物とし
てはこれらのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン(ビスフェノールA)のジグリシジルエ
ーテルなどのポリエポキシ化合物を好ましく用いること
ができる。
【0067】これらのポリエポキシ化合物はポリカーボ
ネート樹脂100重量部当り好ましくは0.1〜5重量
部、より好ましくは0.2〜4重量部、特に好ましくは
0.3〜3重量部用いられる。
【0068】ポリエポキシ化合物の添加量がポリカーボ
ネート樹脂100重量部に対し0.1重量部より少ない
とポリエポキシ化合物添加による接着性改善効果が不十
分となり、また5重量部より多いとポリカーボネートが
本来有する耐熱性、機械特性が失われやすく好ましくな
い。
【0069】本発明のフィルムは上記のポリカーボネー
ト樹脂をTダイなどのスリット状吐出口より溶融押出し
て、キャスティングローラーにより引き取る従来公知の
製膜方法により製造することができる。また、上記ポリ
エポキシ化合物を含有する際には、ポリカーボネートと
ポリエポキシ化合物とを、予め溶融ブレンドした後に製
膜してもよいが、ポリカーボネート樹脂とポリエポキシ
化合物をブレンドして直接製膜する方法が生産性の点で
好ましい。
【0070】本発明のポリカーボネート中には必要に応
じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、
無機粒子、有機粒子、帯電防止剤などの添加剤を分散、
配合することができる。
【0071】また、本発明のフィルムは、上記の如きフ
ィルム製造工程における取扱性(巻取性)を改良するた
め、平均粒径2.5μm以下の微粒子をポリカーボネー
ト樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有する
ことが特に推奨される。
【0072】この滑剤は無機、有機系を問わないが、無
機系が好ましい。無機系滑剤としては、シリカ、アルミ
ナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が
例示でき、有機系滑剤としては架橋ポリスチレン粒子、
シリコーン粒子等が例示できる。いずれも平均粒径が
2.5μm以下であることが望ましく、滑剤の平均粒径
が2.5μmを超える場合は、成形加工により変形した
部分の、粗大滑剤粒子(例えば10μm以上の粒子)が
起点となり、ピンホールを生じたり、場合によっては破
断こともある。
【0073】特に、耐ピンホール性の点で好ましい滑剤
は、平均粒径が2.5μm以下であると共に、粒径比
(長径/短径)が1.0〜1.2である単分散の滑剤で
ある。このような滑剤としては、真球状シリカ、真球状
酸化チタン、真球状ジルコニウム、真球状シリコーン粒
子等が例示できる。
【0074】本発明のフィルムが貼合せられる金属板と
しては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム
等の板が適切である。金属板へのフィルムの貼合せは、
例えば下記(ア)、(イ)の方法で行うことができる。
【0075】(ア)金属板をフィルムの軟化温度以上に
加熱しておいてフィルムを貼合せた後冷却して密着させ
る。
【0076】(イ)フィルムに予め接着剤層をプライマ
ーコートしておき、この面と金属板を張り合わせる。接
着剤層としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接
着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着
剤等を用いることができる。
【0077】本発明の金属ラミネート用ポリカーボネー
トフィルムは、好ましくは、スチール板と積層し、衝撃
を与え、次いで通電を行った(耐衝撃性試験)際、0.
1mA以下の電流値しか示さないほどの優れた経時耐衝
撃性を示す。このようなフィルムは成形加工、例えば深
絞り加工により製造する金属容器用として好適に使用さ
れる。
【0078】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明は実施例によりなんら限定されるも
のではない。実施例中「部」は「重量部」を意味する。 (i)ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv) 塩化メチレン溶液中で測定した固有粘度([η])よ
り、下記Schnellの式を用いて算出した。
【0079】
【数1】
【0080】(ii)ポリカーボネートの末端OH基量 TiCl4と末端OH基との相互作用による発色測定(D
ie Makromol. Chem. 88 (1965) 215 記載)によって定
量した。 (iii)フィルムの伸度減少率 フィルムを50℃の水中に24時間浸漬し、浸漬前後の
伸度を求め下記式により算出した。
【0081】
【数2】
【0082】(iv)剥離強度 1枚のフィルムを電解クロム酸処理した厚さ210μm
の鋼板2枚の間に重ね合わせ、285℃のホットプレス
機により20kg/cm2の圧力で30秒間保持するこ
とにより、鋼板とラミネートした。該ラミネート板を幅
10mm、長さ50mmの大きさに切断して試験片を作
成した。この試験片は片方の端部20mmまで予め離型
剤が付着され、ラミネート板も剥れ易いようにしておい
た。
【0083】この試験片の離型剤を付着させた側の20
mmの部分で2枚の鋼板をそれぞれ反対方向に剥してT
字型とし剥した部分の両端を引っ張り試験機で固定し、
引っ張り速度20mm/分で剥離強度を測定した。(J
ISK6854に準ずる)。 (v)融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg) DSCにより測定した。 (vi)経時耐衝撃性 (iv)に記載した方法と同様にして1枚のフィルムと1
枚の鋼板からラミネート板を製造する。製造後50℃の
水中に24時間保持する。その後、このラミネート板に
ついてJISK5400に記載の方法に従って衝撃変形
試験を行う。すなわち、ラミネート板のフィルムがラミ
ネートされていない上面上に、曲率半径5mmの撃ち型
をセットし、該撃ち型の上に高さ20cmの位置から質
量200gのおもりを重力落下させる。このときラミネ
ート板の下には厚さ5mmのゴム板を施設しておく。
【0084】この衝撃変形試験に付した後、ラミネート
板のフィルムをラミネートしていない金属面に一方の電
極を当て、他方のラミネート板のフィルム面のおもり落
下をうけた位置(凸部)に1%の食塩水を溶け込ませた
綿を当てそしてその綿に他方の電極を当てる。6Vの電
圧をかけ、その際の電流値を測定する。電流値(mA)
の小さいものほど経時耐衝撃性が良好である。
【0085】[実施例1〜3及び比較例1]Mv25,
000、末端OH基量15eq/106gのビスフェノ
ールA型ポリカーボネート樹脂50部を、撹拌装置及び
窒素導入口に備えた反応容器に入れ、常圧下窒素気流中
290℃で溶融させた。この溶融ポリマーにビスフェノ
ールAのナトリウム塩0.005及び所定量のビスフェ
ノールAを添加し、15分間溶融混合、反応させた。
【0086】得られたポリマーを30mmφ一軸エクス
トルーダーを用い、ポリマー温度290℃、平均滞留時
間約10分間の条件で、巾30mm、スリット厚さ0.
1mmのTダイより押出し、該フィルムを温度80℃の
キャスティングローラーにより引き取って膜厚約30μ
mのフィルムを製膜した。得られたフィルムのMv及び
末端OH基量(モル/106g)等の性質を表1に示
す。比較例1として、Mv25,000、末端OH基量
15eq/106gのビスフェノールA型ポリカーボネ
ート樹脂について示した。
【0087】得られたフィルムを、上述の(iv)に記載さ
れた方法によって鋼板とラミネートした。上記の方法に
従い、このラミネート板の剥離強度および経時耐衝撃性
を測定したところ、表1に示すようにいずれも優れてい
ることがわかった。
【0088】
【表1】
【0089】[実施例4]ジフェニルカーボネート21
4部、ビスフェノールA239部及びビスフェノールA
のナトリウム塩0.02部を攪拌装置、窒素ガス導入口
及び真空留出系を備えた反応器に入れ、常圧下窒素気流
中220℃で30分間、次いで260℃で30分間反応
後、15分間かけて約100mmHgの減圧条件下とし
た。この条件で30分間反応後、温度を290℃に上げ
て15分間反応させ、次いで同温度で20mmHgの減
圧下で15分間、更に0.5mmHgの減圧下で60分
間反応させた。
【0090】得られたポリマーを実施例1と同様に製膜
し、膜厚約30μmのフイルムを得た。該フィルムはM
v19,000、末端OH基量92eq/106gであっ
た。このフィルムを実施例1と同様の方法で鋼板にラミ
ネートした。このフィルムの剥離強度は2.5kg/c
mであった。またフィルムをそのまま50℃の水中に2
4時間浸漬し、その伸度を測定したところ、浸漬前が8
0%、浸漬後が72%であった(伸度減少率10%)。
また、経時耐衝撃性は0mAであった。
【0091】[実施例5〜7]Mvが25,000、末
端OH基量が10eq/106gであるビスフェノール
A系ポリカーボネート樹脂100部を、攪拌装置、窒素
ガス導入口及び真空留出系を備えた反応容器に入れ、常
圧下窒素気流中290℃で溶融させた。この溶融ポリマ
ーにビスフェノールAのナトリウム塩0.008部及び
所定量のビスフェノールAを添加し、15分間溶融混
合、反応させ、このポリマーを更に同温度0.1mmH
gの減圧下で一定時間反応させた。
【0092】得られたポリマーを30mmΦ同方向回転
2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM3
0)を用いて、ポリマー温度290℃、平均滞留時間約
15分の条件で溶融混練し、これを上記エクストルーダ
ー先端に取り付けた幅300mm、スリット厚さ0.1
mmのTダイより押出し、該フィルムを温度80℃のキ
ャスティングローラーにより引き取って、膜厚約30μ
mのフィルムを製膜した。得られたフィルムのMv、末
端OH基量(eq/106g)等の性質を表2に示す。
【0093】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、表2に
示すように良好であった。
【0094】
【表2】
【0095】[実施例8〜10]表3に示す粘度平均分
子量及び末端OH基量のビスフェノールA型ポリカーボ
ネート樹脂100部を、撹拌装置及び窒素導入口を備え
た反応容器に入れ、常圧下窒素気流中290℃で溶融さ
せた。この溶融ポリマーに表3に示す所定量のポリエポ
キシ化合物(油化シェルエポキシ製「エピコート」82
8)を添加し15分間溶融混合させた。
【0096】得られたポリカーボネート組成物を30m
mΦ同方向回転二軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)
製、PCM30)を用いてポリマー温度290℃、平均
滞留時間約15分の条件下で溶融混練し、これを上記エ
クストルーダー先端に取り付けた幅300mm、スリッ
ト厚さ0.1mmのTダイより押し出し、該フィルムを
温度80℃のキャスティングローラーにより引き取っ
て、膜厚約30μmの透明なフィルムを製膜した。
【0097】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、表3に
併記したように良好であった。
【0098】
【表3】
【0099】[実施例11〜13]Mv25,000、
末端OH基量20eq/106gのビスフェノールA系
ポリカーボネート樹脂50部を、撹拌装置および窒素導
入口を備えた反応容器に入れ、常圧下窒素気流中290
℃で溶融させた。この溶融ポリマーに所定量の1,10
―デカンジオールを添加し、15分間溶融混合し、反応
させた。
【0100】得られたポリマーを30mmφ一軸エクス
トルーダーを用い、ポリマー温度290℃、平均滞溜時
間約10分の条件で、巾30mm、スリット厚さ0.1
mmのTダイより押し出し、該フィルムを温度80℃の
キャスティングローラーにより引き取って膜厚約30μ
mのフィルムを製膜した。得られたフィルムの諸性質を
表4に示す。
【0101】さらに実施例1と同様にして、ラミネート
板を作成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、
表4に併記したように良好であった。
【0102】
【表4】
【0103】[実施例14〜15]1,10―デカンジ
オールのかわりに1,4―シクロヘキサンジメタノール
を用いたこと以外は実施例11〜13と同様の方法で行
った。得られたフィルムのMv、末端OH基量、伸度減
少率等を表5に示す。
【0104】さらに実施例1と同様にして、ラミネート
板を作成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、
表5に併記したように良好であった。
【0105】
【表5】
【0106】以上の実施例1〜15および比較例1の結
果より、金属板とポリカーボネートフィルムとの接着力
はポリカーボネート中の末端OH基量と粘度平均分子量
に関係しており、本発明のフィルムが高い接着力を有し
ていることがわかる。また50℃の水中で保持した後の
フィルムの伸度には大きな変化はなく、またポリカーボ
ネートが有する経時耐衝撃性の良さを併せ持っているこ
とがわかる。
【0107】[実施例16]2,2―ビス(4―ヒドロ
キシフェニル)プロパン100部、48%水酸化ナトリ
ウム水溶液84.5部、蒸留水661部を攪拌機付き反
応容器に仕込み、溶解した。これに塩化メチレン330
部を加え、混合溶液が20℃になるように冷却し、ホス
ゲン49.8部を40分で吹き込んだ。次いで反応液に
4―(2―ヒドロキシエチル)フェノール2.8部を塩
化メチレンに溶解した溶液を加え、48%水酸化ナトリ
ウム水溶液12.4部及びトリエチルアミン0.15部を
加え、2時間攪拌した。反応終了後、反応液から下層の
ポリカーボネートの塩化メチレン溶液を分液し、この溶
液を塩酸水溶液、蒸留水により洗浄後、塩化メチレンを
蒸発除去してポリカーボネートを得た。得られたポリカ
ーボネートは粘度平均分子量21000、末端OH基量
は168eq/106gであった。
【0108】得られたポリカーボネートをCDCl3
溶媒とし、テトラメチルシランを内部標準として1H―
NMRを測定した(日本電子FX―90Q使用)。δ
3.7ppmにヒドロキシル基に隣接するメチレン基の
プロトンシグナルが観測され4―(2―ヒドロキシエチ
ル)フェノールからの末端基が導入されていることを確
認した。上記ポリカーボネート樹脂を30mmφ同方向
回転2軸エクストルーダー(池貝鉄工(株)製、PCM
30)を用いて、ポリマー温度290℃、平均滞留時間
約15分の条件下で溶融混練し、これを上記エクストル
ーダーの先端に取り付けた幅300mm、スリット厚さ
0.1mmのTダイより押し出し、該フィルムを温度8
0℃のキャスティングローラーにより引き取って、膜厚
約30μmのフィルムを製膜した。得られたフィルムの
諸性能を表6に示した。
【0109】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、表6に
併記したように良好であった。
【0110】[実施例17]末端封鎖剤として4―(2
―ヒドロキシエチル)フェノール2.8部の代わりに、
4―(2―ヒドロキシエトキシ)フェノール2.6部を
用いる以外は実施例16と同様にして重合し、ポリカー
ボネートを得た。得られたポリカーボネートは粘度平均
分子量23600、末端OH基量は140eq/106
gであった。
【0111】得られたポリカーボネートをCDCl3
溶媒とし、テトラメチルシランを内部標準として1H―
NMRを測定した(日本電子FX―90Q使用)。δ
3.4ppmにヒドロキシル基に隣接するメチレン基の
プロトンシグナルが観測され4―(2―ヒドロキシエト
キシ)フェノールからの末端基が導入されていることを
確認した。
【0112】実施例16と同様にして膜厚30μmのフ
ィルムを製膜した。得られたフィルムの諸性能を表6に
示した。
【0113】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、表6に
併記したように良好であった。
【0114】[実施例18]末端封鎖剤として4―(2
―ヒドロキシエチル)フェノール2.8部の代わりに、
4―(2―ヒドロキシエトキシ)フェノール2.4部及
び4―t―ブチルフェノール2.2部を用いる以外は実
施例16と同様にして重合し、ポリカーボネートを得
た。得られたポリカーボネートは粘度平均分子量185
00、末端OH基量は124eq/106gであった。
【0115】得られたポリカーボネートをCDCl3
溶媒とし、テトラメチルシランを内部標準として1H―
NMRを測定した(日本電子FX―90Q使用)。δ
3.4ppmにヒドロキシル基に隣接するメチレン基の
プロトンシグナルが観測され4―(2―ヒドロキシエト
キシ)フェノールからの末端基が導入されていることを
確認した。
【0116】実施例16と同様にして膜厚30μmのフ
ィルムを製膜した。得られたフィルムの諸性能を表6に
示した。
【0117】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度、経時耐衝撃性を調べたところ、表6に
併記したように良好であった。
【0118】[比較例2]末端封鎖剤として4―(2―
ヒドロキシエチル)フェノール2.8部の代わりに、4
―t―ブチルフェノール3.0部を用いる以外は実施例
17と同様にして重合し、ポリカーボネートを得た。得
られたポリカーボネートは粘度平均分子量21000、
末端OH基量は18eq/106gであった。
【0119】実施例16と同様にして膜厚30μmのフ
ィルムを製膜した。得られたフィルムの諸性能を表6に
示した。
【0120】実施例1と同様にして、ラミネート板を作
成し、剥離強度を調べたところ、表6に併記したように
良好ではなかった。
【0121】
【表6】
【0122】[実施例19]ジフェニルカーボネートを
216部、ビスフェノールA228部、ビスフェノール
Aのジナトリウム塩0.05部および滑剤として真球状
シリカ3.5部を撹拌装置、窒素ガス導入口を有する真
空留出系を備えた反応容器に仕込み、室温で真空脱気後
窒素ガスを導入する操作を3度繰り返すことにより反応
系を窒素で置換した。次いで常圧下190℃で30分間
加熱反応させた後、同温度で徐々に減圧とし60分後に
50mmHgとした。更に約60分間かけて反応温度を
190℃から290℃まで昇温し、同時に真空度を50
mmHgから1mmHg以下とした。反応の進行ととも
に反応により発生するフェノールが留出した。同条件で
60分間反応させ、粘度平均分子量32000、末端O
H基量が80eq/106gのポリカーボネート樹脂を
得た。
【0123】このポリカーボネート樹脂から実施例16
と全く同様にして厚み30μmのフィルムを得た(ポリ
カーボネート樹脂100重量部当たり真球状シリカ0.
1重量部含有)。このときフィルムの巻取り性は良好で
あった。得られたこのフィルムは剥離強度4.5kg/
cmであった。また水浸漬前後のフィルムの伸度変化を
調べたところ、フィルム伸度減少率は3.8%であった
(水浸漬前のフィルム伸度130%、水浸漬後のフィル
ム伸度125%)。また経時耐衝撃性は0mAであり良
好であった。
【0124】
【発明の効果】本発明の金属ラミネート用ポリカーボネ
ートフィルムは金属板との接着性が良好であり、かかる
フィルムをラミネートした金属板は成形加工性、経時耐
衝撃性に優れているため、板材、缶、容器、電気製品部
材等に広く有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平5−180082 (32)優先日 平5(1993)7月21日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−199591 (32)優先日 平5(1993)8月11日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平5−319918 (32)優先日 平5(1993)12月20日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 稲田 博夫 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 (72)発明者 伊藤 誠司 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(1)下記式(1) 【化1】 [ここで、R1およびR2は、互いに独立に、水素原子、
    炭素数1〜5のアルキル基または環員炭素数5〜6のシ
    クロアルキル基であるか、あるいはR1とR2はそれらが
    結合する炭素原子と一緒になって環員炭素数5〜6のシ
    クロアルキル基を形成していてもよく、R3とR4は互い
    に独立に、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基また
    はハロゲン原子であり、そしてmおよびnは、互いに独
    立に、0、1または2である。]で表わされる繰返し単
    位から実質的になり、(2)末端OH基の量が少くとも
    20eq/106gであり、そして(3)粘度平均分子
    量が10,000〜40,000の範囲にあるポリカーボ
    ネート樹脂からなり、 (B)50℃の水中に24時間浸漬した後のフィルムの
    伸度の減少率が30%以下であり、そして (C)フィルム厚みが5〜100μmの範囲にある、こ
    とを特徴とする金属ラミネート用ポリカーボネートフィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 スチール板と積層し、衝撃を与え次いで
    通電を行った(耐衝撃性試験)際、0.1mA以下の電
    流値しか示さない請求項1記載の金属ラミネート用ポリ
    カーボネートフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエポキシ化合物をポリカーボネート
    樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部含有する請求
    項1記載の金属ラミネート用ポリカーボネートフィル
    ム。
  4. 【請求項4】 平均粒径2.5μm以下の微粒子をポリ
    カーボネート樹脂100重量部に対し0.01〜1重量
    部含有する請求項1記載の金属ラミネート用ポリカーボ
    ネートフィルム。
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