JPH07227972A - インクカートリッジおよびインクジェットプリンタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プリンタに装着されたインクカートリッジが
正規なものか否かを自動的に判別する。 【構成】 励磁と信号検出を兼ねたコイル１１をアモル
ファス磁性細線９の周囲に巻回して形成した信号発生素
子６からなる電気信号発生回路２を、予めインクカート
リッジ本体１に付設しておく。インクカートリッジが装
着されるインクジェットプリンタの発振器２１および増
幅器２２が接触端子３を介して、信号発生素子６へ励磁
電流を送る。励磁電流に対応して信号発生素子６のコイ
ル１１からパルス電圧が発生して接触端子３を介し応答
信号としてプリンタ側の分流器２３およびフィルタ回路
２４へ送られる。フィルタ回路２４はパルス電圧を抽出
してから比較器２５へ送り、パルス電圧が所定レベル以
上であれば装着カートリッジが正規であると判別して、
判別信号を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクカートリッジに
よりインクを供給する方式のインクジェットプリンタに
おいて、新たに装着されたインクカートリッジが正規品
か模造品かを判別することを可能にしたインクカートリ
ッジおよびインクジェットプリンタに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクカートリッジによりインク
を供給する方式のインクジェットプリンタでは、インク
カートリッジのインクを使い切るとインクカートリッジ
を新たなものに交換しなければならない。インクカート
リッジはプリンタメーカが指定したものを使用するのが
一般的であるが、形状、寸法が同じインクカートリッジ
であれば、他のメーカの品質の異なるものも装着可能で
ある。そのため、正規なインクカートリッジでないもの
がプリンタに装着された場合は、印字不良や故障の原因
になる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インク
ジェットプリンタには正規なインクカートリッジの使用
が好ましいにもかかわらず、正規品以外のインクカート
リッジが装着された場合、プリンタ自体はそれを検知す
ることができず、専ら交換する人間の目視確認により検
出するしか方法がないという問題があった。本発明は上
記問題点を解決するためになされたもので、その目的と
するところは、インクカートリッジによりインクを供給
する方式のインクジェットプリンタにおいて、新たに装
着されたインクカートリッジが正規品かそうでないかを
プリンタ自体が判別することを可能にしたインクカート
リッジおよびインクジェットプリンタを提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第１の発明のインクカートリッジは、アモルファス
磁性細線の周囲に励磁と信号検出を兼ねたコイルを巻回
して形成された信号発生素子を本体に付設するととも
に、その素子の入出力電極を所定位置に露出させて１対
の接触端子を形成したことを特徴とする。

【０００５】第２の発明のインクジェットプリンタは、
本体に装着された第１の発明のインクカートリッジの信
号発生素子へ接触端子を介して励磁電流を出力する励磁
電流出力回路と、励磁電流に対応して信号発生素子から
接触端子を介して送られてくる応答信号を励磁電流から
分離する信号抽出回路と、信号抽出回路から応答信号が
抽出された場合に装着されたインクカートリッジが正規
のものであると判別して判別信号を出力する判別回路と
を備えたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】第１の発明のインクカートリッジにおいては、
アモルファス磁性細線の周囲に励磁と信号検出を兼ねた
コイルを巻回して形成された信号発生素子が本体に付設
されるとともに、その素子の入出力電極が本体の所定位
置に露出されて１対の接触端子が形成される。それによ
り、インクジェットプリンタ側から接触端子を介して励
磁電流が入力されるとコイルに磁界が発生する。する
と、コイル内のアモルファス磁性細線には、急激な磁化
反転が起こり、コイルの両端にパルス電圧が発生する。
このパルス電圧が応答信号として、接触端子からインク
ジェットプリンタ側へ送られる。

【０００７】第２の発明のインクジェットプリンタにお
いては、第１の発明のインクカートリッジが装着される
と、励磁電流出力回路から接触端子を介して信号発生素
子へ励磁電流が送られる。励磁電流に対応してインクカ
ートリッジの信号発生素子から接触端子を介してプリン
タへ送られてくる応答信号は、信号抽出回路により励磁
電流と分離されて判別回路へ入力される。所定の応答信
号が判別回路へ入力されると、装着されたインクカート
リッジが正規のものであると判別されて判別信号が出力
される。

【０００８】

【実施例】以下、図に沿って本発明の実施例を説明す
る。図１は第１の発明に係るインクカートリッジの実施
例の斜視図である。図示されるように、インクカートリ
ッジ本体１の一方の側面に、電気信号発生回路２が貼着
されている。この電気信号発生回路２の表面には、イン
クカートリッジ本体１がインクジェットプリンタ（図示
せず）に装着された場合にプリンタ側と電気的に接続す
るための接触端子３，３が設けられている。

【０００９】図２は電気信号発生回路２の構成を示す説
明図である。図示されるように、電気信号発生回路２
は、フレキシブルプリント板５上に信号発生素子６を設
置し、その両端がパターンにより形成された線路７，８
と接続され、線路７，８の端部がフレキシブルプリント
板５を貫通して形成された接触端子３，３に接続されて
いる。この電気信号発生回路２をインクカートリッジ本
体１に取り付ける場合は、信号発生素子６等が設置され
た面を裏面にして貼着される。

【００１０】図３は信号発生素子６の構造を示す断面図
である。図において、９はアモルファス磁性細線であ
り、電気的絶縁性を有しかつ非磁性体である高分子材に
より形成されたボビン１０により覆われている。このボ
ビン１０によりアモルファス磁性細線９は外力からも保
護される。さらに、ボビン１０の外周に被覆銅線が巻回
されてコイル１１が形成される。コイル１１の両端が図
２の線路７，８にそれぞれ接続される。

【００１１】なお、アモルファス磁性細線９は、その特
徴として角型磁気履歴曲線を有し、外部から磁性細線９
の磁化方向と反対方向の磁界が加えられると、磁化反転
を起こす磁界強度を越えたところで急激な磁界反転が生
じる。それにともない磁性細線９からの磁束も急激に変
化するため、磁性細線９の近傍に検出コイルを配置して
おくと、検出コイルと鎖交している磁束も急速に変化
し、検出コイル両端間に鎖交磁束の変化にともなうパル
ス状の電圧が発生する。この実施例ではコイル１１がア
モルファス磁性細線９に磁界を加える励磁コイルとして
作用するとともに、磁束変化を電圧に変換して検出する
検出コイルとしても作用する。

【００１２】図４はインクカートリッジが装着される第
２の発明に係るインクジェットプリンタの実施例の電気
的構成を示す回路図である。図において、発振器２１と
増幅器２２とから励磁電流出力回路が構成され、発振器
２１が必要周波数からなる正弦波状電圧を増幅器２２へ
出力する。増幅器２２は入力された正弦波状電圧を増幅
するともに励磁電流に変換して、接触端子３を介しイン
クカートリッジ側の電気信号発生回路２へ送る。する
と、上述したように電気信号発生回路２内のコイル１１
へ励磁電流が送られることにより、コイル１１に電圧が
発生し応答信号として接触端子３から出力され、分流器
２３を介してフィルタ回路２４へ送られる。

【００１３】信号抽出回路であるところのフィルタ回路
２４は、応答信号中に含まれる正弦波状電圧を除去して
パルス電圧信号のみを取り出して、比較器２５へ送る。
判別回路であるところの比較器２５は、入力されたパル
ス電圧信号が所定レベル以上である場合は装着されてい
るインクカートリッジが正規のものであると判別し、所
定レベル未満である場合は正規のものではないと判別し
て、判別信号を出力する。なお、これらの判別結果はイ
ンクジェットプリンタ本体側に送られた後、表示された
り、インタロック信号として用いられる。

【００１４】図５は、フィルタ回路２４へ入力される応
答信号の実測値の一例を示すグラフである。この実施例
では、アモルファス磁性細線９を、ワイヤ直径３０μ
ｍ、長さ３０ｍｍ、保持力約０．３０ｅとし、また、励
磁界電流を約８ｍＡとした場合、最大０．５０ｅの励磁
界強度が得られた。また、図示されるように、励磁界を
発生するのに正弦波状の電流を流しているため、パルス
信号ａに正弦波状電圧ｂが重畳された出力信号となり、
この正弦波状電圧ｂはフィルタ回路２４により除去され
る。

【００１５】上述したように、この実施例では正規なイ
ンクカートリッジ本体１に予め電気信号発生回路２を取
り付けておくとともに、インクジェットプリンタにもイ
ンクカートリッジの電気信号発生回路２の有無を検出す
る回路を設けておくことで、インクジェットプリンタへ
装着されたインクカートリッジが正規品かあるいはそれ
以外の模造品であるかを簡単に判別することが可能にな
る。なお、この実施例のアモルファス磁性細線９は、磁
気特性のひとつである保持力を１０ｅ以下で製造するこ
とが可能であり、また、アモルファス磁性細線９の磁気
履歴曲線が角型であるため、磁化反転を起こす励磁界強
度が１０ｅ以下の小さい値でも急峻なパルス電圧が得ら
れる。

【００１６】そのため、励磁界を生成するための電流値
も一般的な増幅回路により供給することが可能である。
さらに、パルス信号の取り出しには励磁界電圧成分を取
り除くことのできるフィルタ回路２４を用い、パルス電
圧の検知には比較器２５を用いたことにより、全体とし
て簡単な回路構成とすることが可能である。また、本発
明はインクジェットプリンタ以外のインクカートリッジ
についても、さらにはプリンタ以外の各種カートリッジ
の判別にも適用可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように第１の発明のインクカ
ートリッジは、予めアモルファス磁性細線からなる信号
発生素子を付設しておき、このインクカートリッジを第
２の発明のインクジェットプリンタに装着して、プリン
タ側から励磁電流を送りその応答信号を検出すること
で、装着されたインクカートリッジが正規なものか否か
が判別可能になる。それにより、正規でないインクカー
トリッジが使用されたことによる印字不良や故障の発生
が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の発明に係るインクカートリッジの実施例
の斜視図である。

【図２】図１の電気信号発生回路の構成を示す説明図で
ある。

【図３】図２の信号発生素子の構造を示す断面図であ
る。

【図４】第２の発明に係る実施例の電気的構成を示す回
路図である。

【図５】図４で得られる応答信号の実測値の一例を示す
グラフである。

【符号の説明】 １ インクカートリッジ本体 ２ 電気信号発生回路 ３ 接触端子 ５ フレキシブルプリント板 ６ 信号発生素子 ７，８ 線路 ９ アモルファス磁性細線 １０ ボビン １１ コイル ２１ 発振器 ２２ 増幅器 ２３ 分流器 ２４ フィルタ回路 ２５ 比較器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アモルファス磁性細線の周囲に励磁と信
   号検出を兼ねたコイルを巻回して形成された信号発生素
   子を本体に付設するとともに、その素子の入出力電極を
   所定位置に露出させて１対の接触端子を形成したことを
   特徴とするインクカートリッジ。
2. 【請求項２】 本体に装着された請求項１記載のインク
   カートリッジの信号発生素子へ接触端子を介して励磁電
   流を出力する励磁電流出力回路と、 励磁電流に対応して信号発生素子から接触端子を介して
   送られてくる応答信号を励磁電流から分離する信号抽出
   回路と、 信号抽出回路から応答信号が抽出された場合に装着され
   たインクカートリッジが正規のものであると判別して判
   別信号を出力する判別回路と、 を備えたことを特徴とするインクジェットプリンタ。