JP3593821B2 - 着磁装置および着磁方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着磁装置および着磁方法に係り、特に、電磁コイルと一体に配設される磁性体を着磁する装置または方法として好適な着磁装置および着磁方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば実開平3−117822号に開示される如く、モータの磁石を、モータの外部から着磁磁界を印加することで着磁させる着磁装置が知られている。上記従来の着磁装置によれば、モータの組み立て工程では、着磁された磁石を用いる必要がない。このため、上記の製造方法によれば、モータの内部に鉄粉等が混入するのを容易に防止することができ、その結果、高い生産性を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
モータの内部には、回転磁界を発生させるための電磁コイルが内蔵されている。従って、上記従来の着磁装置によって磁石の着磁を行う際には、磁石の素材である磁性体と共に、電磁コイルにも着磁磁界が印加される。電磁コイルに着磁磁界が印加されると、電磁コイルの両端には誘導起電力により大きな電圧が発生する。例えば、電磁コイルを構成する導線の被覆に損傷がある場合に、このような高電圧が発生すると、その損傷部分にスパークが生ずることがある。
【0004】
電磁コイルと磁石とを備えるコイル組立体の内部に、上記の如くスパークが生ずると、電磁コイルを構成する導線等に断線が生ずることがある。このため、コイル組立体に内蔵される磁性体を、上記従来の装置で着磁する場合には、その着磁工程の後に、コイル組立体に断線等の異常が生じていないことを確認するための検査を行うことが必要となる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、コイル組立体に電磁コイルと共に内蔵される磁性体を着磁する際に、電磁コイルの両端にスパークの要因となる高電圧を発生させることのない着磁装置を提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、本発明は、コイル組立体に電磁コイルと共に内蔵される磁性体を着磁する際に、電磁コイルの両端にスパークの要因となる高電圧を発生させることのない着磁方法を提供することを第2の目的とする。
更に、本発明は、コイル組立体に電磁コイルと共に内蔵される磁性体を着磁する過程でスパークが生じた場合に、その発生を検出することのできる着磁装置を提供することを第3の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的は、請求項1に記載する如く、電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁装置において、
前記着磁磁界を発生する着磁磁界発生手段と、
前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧の低減を図る電圧低減手段と、
を備える着磁装置により達成される。
【0008】
本発明において、コイル組立体に着磁磁界が印加されると、電磁コイルの両端には誘導起電力による電圧が発生する。このようにして発生する電圧は、電圧低減手段によって低減される。このため、電磁コイルの両端に生ずる電圧は、スパークを誘発するほど高い電圧には至らない。
【0009】
上記第2の目的は、請求項2に記載する如く、電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁方法において、
前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧の低減を図る電圧低減手段を、前記コイル組立体に装着する第1のステップと、
前記第1のステップの後に、前記コイル組立体に対して前記着磁磁界を印加する第2のステップと、
を備える着磁方法により達成される。
【0010】
本発明において、着磁磁界は、コイル組立体に電圧低減手段が装着された後にコイル組立体に印加される。このため、電磁コイルの両端に生ずる電圧は、スパークを誘発するほど高い電圧には至らない。
上記第1の目的は、また、請求項3に記載する如く、上記請求項1記載の着磁装置において、
前記電圧低減手段が、前記電磁コイルの両端に接続される短絡導電体を備える着磁装置によっても達成される。
【0011】
本発明において、コイル組立体に内蔵される電磁コイルの両端は、短絡導電体により電気的に接続される。電磁コイルの両端が短絡導電体により接続されると、電磁コイルの両端電圧はスパークを誘発するほど高い電圧には至らない。
上記第1の目的は、更に、請求項4に記載する如く、上記請求項1記載の着磁装置において、
前記電圧低減手段が、前記着磁磁界の印加を受けた場合に、誘導起電力により前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧を打ち消す方向の電圧を発生する相殺電圧発生コイルを備える着磁装置によっても達成される。
【0012】
本発明において、コイル組立体に対して着磁磁界が印加されると、コイル組立体に内蔵される電磁コイルの両端に誘導起電力により電圧が発生すると共に、相殺電圧発生コイルの両端にも、誘導起電力により電圧が発生する。従って、相殺電圧発生コイルと、電磁コイルとを、それらの両端に生ずる電圧が相殺されるように接続すれば、電磁コイルの両端にスパークを誘発するほど高い電圧が生ずるのを防止することができる。
【0013】
また、上記第3の目的は、請求項5に記載する如く、電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁装置において、
前記着磁磁界を発生する着磁磁界発生手段と、
前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段の検出結果に基づいて、前記コイル組立体の内部にスパークが生じたか否かを判別するスパーク判別手段と、
を備える着磁装置により達成される。
【0014】
本発明において、着磁磁界が印加された際に、誘導起電力により電磁コイルの両端に発生する電圧は、電圧検出手段によって検出される。コイル組立体の内部にスパークが生ずると、電磁コイルを貫いて流通する磁束の密度が一時的に急変する。このため、コイル組立体の内部にスパークが生ずると、電磁コイルの両端には、一時的に、スパークが生じない場合に比して明らかに高い電圧が発生する。スパーク判別手段は、電圧検出手段によってこのような電圧が検出された場合にスパークの発生を判別する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である着磁装置の検査対象となるコイル組立体10の断面図を示す。コイル組立体10は、自動車の車輪と共に回転するロータ(図示せず)と組み合わされることにより、車輪速センサを構成するデバイスである。
【0016】
コイル組立体10はハウジング12を備えている。ハウジング12の内部には電磁コイル14が内蔵されている。電磁コイル14はボビン16を備えている。ボビン16は、その両端にフランジ状の部分を有する筒状の部材である。ボビン16の外周には、所定回数だけ導線を巻回することで得られる巻線部18が形成されている。
【0017】
ボビン20の中央部には、鉄等の軟磁性体で構成されたヨーク20が挿入されている。ヨーク20の一端(図1における下端)には、ハウジング12を貫通してその外部に露出される凸部22が形成されている。コイル組立体10は、この凸部22が車輪と共に回転するロータに対向するように、車両側の部材に固定される。
【0018】
電磁コイル14の上部には、ヨーク20の他端(図1に於ける上端)と当接するように磁石24が固定されている。磁石24は、コイル組立体10の組み立て工程の段階では未着磁であり、コイル組立体10の組み立てが終了した後に着磁される。かかる手法によれば、コイル組立体10の内部に鉄粉が混入する等の不都合を防止することができ、高い生産性を得ることができる。
【0019】
コイル組立体10において、磁石24から発せられる磁束は、ヨーク20の内部を流通することにより電磁コイル14を貫いて流れる。電磁コイル14の巻線部18の両端には、ヨーク20を貫いて流れる磁束の密度が変化した場合に、その変化率および巻線部18のターン数に応じた誘導起電力が発生する。
【0020】
電磁コイル14の上部には、ターミナル26,27(図1には、ターミナル26のみが表されている)が設けられている。ターミナル26,27には、それぞれ巻線部18を構成する導線の一端または他端が接合されている。これらのターミナル26,27は、金属製のプレートで構成された端子28,30の一端にそれぞれ接合されている。
【0021】
端子28,30の他端は、ハウジング12の内部にモールドされている。ハウジング12には、また、ワイヤーハーネス32,34の端部がモールドされている。ワイヤーハーネス32,34は、それぞれ端子28,30と電気的に接続されている。
【0022】
上記の構造によれば、電磁コイル14の巻線部18に生ずる誘導起電力は、端子28,30を介してワイヤーハーネス32,34に伝送される。従って、コイル組立体10が正常に機能する場合には、2本のワイヤーハーネス32,34間に巻線部18に生ずる誘導起電力に応じた電位差が発生する。
【0023】
図2は、本発明の一実施例である着磁装置のシステム構成図を示す。本実施例の着磁装置は着磁コイル40を備えている。コイル組立体10は、その組み立てが終了した後、電磁コイル14および磁石24の素材である磁性体が着磁コイル40に取り囲まれるように、着磁装置にセットされる。
【0024】
着磁コイル40には、着磁電源42が接続されている。また、着磁電源42には、制御用シーケンサ44が接続されている。制御用シーケンサ44は、本実施例の着磁装置の動作を制御する制御装置である。着磁電源42は、制御用シーケンサ44から着磁指令が発せられた場合に、着磁コイル40に対して所定の着磁電流を供給する。
【0025】
本実施例の着磁装置は、短絡抵抗46を備えている。コイル組立体10のワイヤーハーネス32,34は、着磁装置にセットされた後、コネクタ48を介して短絡抵抗46に接続される。磁石24の着磁処理は、上記の如く電磁コイル14の両端を短絡抵抗46で短絡した後に行われる。
【0026】
短絡抵抗46の両端には、抵抗測定器50の2つの入力端子52,54が接続されている。抵抗測定器50は、入力端子52,54に接続されている回路の抵抗値を測定する装置である。抵抗測定器50は、コネクタ48が嵌合されていない場合は短絡抵抗46の抵抗値を測定する。また、抵抗測定器50は、コネクタ48が正常に嵌合されている場合は短絡抵抗46と電磁コイル14とが並列に接続された回路の合成抵抗値を測定する。
【0027】
本実施例の着磁装置においては、起動スイッチが操作された後に、抵抗測定器50によって上記の合成抵抗値が測定されているか否かが判別される。その結果、合成抵抗値が測定されていると判別される場合は、短絡抵抗46が適正に接続されていると判断され、着磁のための処理が実行される。一方、合成抵抗値が測定されていないと判別される場合は、短絡抵抗46が適正に接続されていないと判断され、設備の操作者にその旨が表示される。このため、本実施例の着磁装置によれば、電磁コイル14に短絡抵抗46が接続されていない状態で着磁処理が開始されるのを確実に防止することができる。
【0028】
コイル組立体10が適正にセットされ、かつ、コネクタ48が適正に嵌合された後、図2に示す着磁装置が起動されると、制御用シーケンサ44は、着磁電源42に対して着磁指令を発する。着磁電源42は、着磁指令を受けた後着磁コイル40に対して所定の着磁電流を供給する。着磁コイル40に所定の着磁電流が供給されると、着磁コイル40の内部、すなわち、コイル組立体10の周囲には着磁磁界が発生する。この着磁磁界は、コイル組立体10が備える磁石24を貫いて流通する。その結果、磁石24は、所定の磁力に磁化される。
【0029】
着磁コイル40が発する着磁磁界は、コイル組立体10の磁石24を貫いて流れるのみでなく、コイル組立体10の電磁コイル14をも貫いて流れる。このため、電磁コイル14には、着磁磁界が発生した後、その変化率に応じた誘導起電力が発生する。
【0030】
電磁コイル14に接続されるワイヤーハネース32,34が、互いに開放されていると、それらのワイヤーハーネス32,34間に、誘導起電力により例えば10kV程度の高電圧が発生する。また、ワイヤーハーネス32,34が、互いに開放されていると、誘導起電力により高電圧が発生しても、電磁コイル14に電流が流通することはない。このような状況下では、例えば、導線の被覆が損傷している場合等に、その損傷部分でスパークが生ずることがある。この点、着磁処理に伴って電磁コイル14の両端に、かかる高電圧が発生することは、コイル組立体10の製造工程上好ましいことではない。
【0031】
ワイヤーハーネス32,34間が短絡抵抗46で短絡されていると、誘導起電力が発生した際に、電磁コイル14および短絡抵抗46に電流Iが流通する。この場合、電磁コイル14が直流電流に対して示す抵抗値をR、短絡抵抗46の抵抗値をr、誘導起電力により生ずる電圧をVとすると、電磁コイル14を流れる電流I、および、電磁コイル14の両端に生ずる電圧Vcは、次式の如く表すことができる。
【0032】
Figure 0003593821
尚、上記(2)式は、電圧Vcを、回路の起電力Vと、電磁コイル14を電流Iが流れることにより生ずる電圧降下量R・Iとの関係で表した式である。上記(3)式は、電流Iを(1)式の関係を用いて書き換えた式である。また、上記(4)式は、電圧Vcを、回路の起電力Vと、電磁コイル14と短絡抵抗46とで実現される分圧比とで表した式である。
【0033】
上記(2)〜(4)式に示すように、ワイヤーハーネス32,34間が短絡抵抗46で短絡されていると、誘導起電力が発生した際に電磁コイル14の両端に発生する電圧Vcを、起電力Vに比して小さな値とすることができる。このため、本実施例の着磁装置によれば、電磁コイル14にスパークを発生させることなく、磁石24の着磁を行うことができる。
【0034】
コイル組立体10の着磁工程で電磁コイル14にスパークが生ずる可能性がある場合は、後の工程で、コイル組立体10にスパークに起因する異常が生じているか否かを検査する必要がある。これに対して、コイル組立体10の着磁工程で電磁コイル14にスパークが生じないことが保証されていれば、後の工程で、かかる検査を行う必要がない。従って、本実施例の着磁装置によれば、着磁工程後の検査工程を省略することができる。
【0035】
ところで、本実施例の着磁装置においては、上記(2)式に示す如く、誘導起電力Vが発生した際に、大きな電流Iを流通させるほど、電磁コイル14に印加される電圧Vcを小さな値とすることができる。つまり、本実施例の着磁装置においては、上記(4)式からも明らかなように、短絡抵抗46の抵抗値rを小さな値とするほど、電磁コイル14に印加される電圧Vcを小さな値とすることができる。
【0036】
従って、短絡抵抗46は、所定の抵抗が与えられた抵抗器に限定されるものではなく、電気抵抗の小さな導線で構成してもよい。尚、本実施例においては、短絡抵抗46の抵抗値rを、電磁コイル14に過大な電流Iを流通させず、かつ、電磁コイル14に印加される電圧Vcをスパークを誘発するほどの高電圧としない値に設定している。
【0037】
上記の実施例においては、着磁コイル40および着磁電源42が前記請求項1記載の「着磁磁界発生手段」に、短絡抵抗46が前記請求項1記載の「電圧低減手段」および前記請求項3記載の「短絡導電体」に、それぞれ相当している。また、上記の実施例においては、コイル組立体10のワイヤーハーネス32,34に、コネクタ48を介して短絡抵抗46を接続することにより前記請求項2記載の「第1のステップ」が、着磁コイル40に着磁磁界を発生させることにより前記請求項2記載の「第2のステップ」が、それぞれ実現されている。
【0038】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施例について説明する。図3は、本実施例の着磁装置のシステム構成図を示す。尚、図3において、上記図2に示す構成部分と同一の部分については、同一の符合を付してその説明を省略する。
本実施例の着磁装置は着磁コイル60を備えている。着磁コイル60には、上記図2に示す着磁コイル40と同様に、着磁電源42が接続されている。また、着磁電源42には、制御用シーケンサ44が接続されている。
【0039】
着磁コイル60の内部には、相殺電圧発生コイル62が配設されている。相殺電圧発生コイル62は、コイル組立体10の電磁コイル14と同数のターン数を有している。相殺電圧発生コイル62を構成する導線の両端は、それぞれ低電圧ライン64およびGNDライン66に接続されている。GNDライン66の電位は、常に“0V”に維持されている。
【0040】
相殺電圧発生コイル62は、高さ方向の全ての部位が着磁コイル60に取り囲まれるように、着磁コイル60の内周側に配設されている。コイル組立体10は、その組み立てが終了した後、電磁コイル14および磁石24の素材である磁性体が着磁コイル60に取り囲まれるように、相殺電圧発生コイル62の内部にセットされる。
【0041】
上記の構造によれば、着磁コイル60から発せられる着磁磁界は、コイル組立体10の磁石24および電磁コイル14に作用すると共に、相殺電圧発生コイル62にも作用する。従って、本実施例の着磁装置においては、着磁磁界が発生する際に、電磁コイル14を構成する導線の両端に誘導起電力に起因する電圧Vが生ずると共に、相殺電圧発生コイル62を構成する導体の両端にも誘導起電力に起因する電圧Vが発生する。
【0042】
コイル組立体10のワイヤーハーネス32,34は、磁石24の着磁処理が開始される前に、コネクタ68を介して、それぞれ低電圧ライン64およびGNDライン66に接続される。本実施例において、コイル組立体10の電磁コイル14には、着磁磁界が印加された際に、ワイヤーハーネス32側が高圧側となるように誘導起電力が生ずる。一方、相殺電圧発生コイル62には、着磁磁界が印加された際に、GNDライン66側が高圧側となるように誘導起電力が生ずる。
【0043】
コネクタ68が適正に嵌合された状態では、GNDライン66の電位と同様に、ワイヤーハーネス34の電位もほぼ“0V”とされる。このため、電磁コイル14および相殺電圧発生コイル62が、誘導起電力により発生する電圧が例えば10kVであるとすれば、着磁磁界が印加された際に、ワイヤーハーネス32,34にはそれぞれ“+10kV”または“0V”の電位が、また、低電圧ライン64およびGNDライン66にはそれぞれ“−10kV”または“0V”の電位が生ずる。
【0044】
本実施例の着磁装置が起動されると、着磁コイル60の内部、すなわち、相殺電圧発生コイル62の周囲、および、コイル組立体10の周囲には着磁磁界が発生する。磁石24の素材である磁性体は、この着磁磁界によって所定の磁力に磁化される。
【0045】
また、上記の如く着磁磁界が発生すると、ワイヤーハーネス34の電位およびGNDライン66の電位が“0V”に維持されたまま、ワイヤーハーネス32の電位を“+10kV”に、また、低電圧ライン64の電位を“−10kV”とするように、電磁コイル14および相殺電圧発生コイル62に誘導起電力が生ずる。この場合、ワイヤーハーネス32の電位と低電圧ライン64の電位とが相殺され、それらの電位は、共に“0V”近傍の値となる。
【0046】
ワイヤーハーネース32の電位および低電圧ライン64の電位が“0V”近傍の値とされると、それらの電位と、ワイヤーハーネス34の電位およびGNDライン66の電位との差が十分に小さな値となる。このため、本実施例の着磁装置によれば、上記第1実施例の着磁装置と同様に、電磁コイル14にスパークを発生させることなく磁石24の着磁を行うことができる。
【0047】
尚、上記の実施例においては、着磁コイル60および着磁電源42が前記請求項1記載の「着磁磁界発生手段」に、相殺電圧発生コイル62が前記請求項1記載の「電圧低減手段」に、それぞれ相当している。また、上記の実施例においては、コイル組立体10のワイヤーハーネス32,34に、コネクタ64を介して相殺電圧発生コイル62を接続することにより前記請求項2記載の「第1のステップ」が、着磁コイル60に着磁磁界を発生させることにより前記請求項2記載の「第2のステップ」が、それぞれ実現されている。
【0048】
次に、図4乃至図7を参照して、本発明の第3実施例について説明する。図4は、本実施例の着磁装置のシステム構成図を示す。尚、図4において、上記図2に示す構成部分と同一の部分には、同一の符合を付してその説明を省略する。
本実施例の着磁装置は、データロガー70を備えている。データロガー70には、ロガーボード72およびインターフェースボード74(以下、I/Fボード74と称す)が内蔵されている。ロガーボード72には、コネクタ48を介してワイヤーハーネス32,34が接続されている。ロガーボード72は、着磁工程中にワイヤーハーネス32,34間に生ずる電位差、すなわち、ワイヤーハーネス32,34間に誘導起電力により生ずる電位差を記憶する装置である。
【0049】
I/Fボード74には、データ解析用コンピュータ76が接続されている。制御用シーケンサ44は、ロガーボード72に所望のデータが記憶された後、I/Fボード74に対して所定の指令信号を発する。I/Fボード74は、制御用シーケンサ44から上記の指令信号が発せられた後、ロガーボード72に記憶されている電圧データをコンピュータ76に送信する。コンピュータ76は、I/Fボード74から転送された電圧データを解析して、着磁工程中にコイル組立体10の内部にスパークが生じたか否かを判断する。
【0050】
図2に示す着磁装置が起動されると、制御用シーケンサ44は、着磁電源42に対して着磁指令を発すると共に、ロガーボード78に対してデータの記憶を要求する記憶指令を発する。着磁電源42は、着磁指令を受けた後、着磁コイル40に対して所定の着磁電流を供給する。その結果、着磁コイル40の内部に着磁磁界が発生し、磁石24が磁化されると共に、電磁コイル14に誘導起電力が生ずる。
【0051】
図5は、コイル組立体10の磁化工程が正常に行われた場合にロガーボード72に記憶される電圧信号の波形を示す。コイル組立体10が正常である場合、すなわち、電磁コイル14からワイヤーハーネス32,34に至る伝送経路が正常な導通状態に維持されている場合、ロガーボード72には、図5に示す如く、安定した増減を示す電圧波形が計測される。
【0052】
図6は、コイル組立体10の磁化工程中にスパークが生じた場合にロガーボード72に記憶される電圧信号の波形を示す。上記図5に示す如く、コイル組立体10の内部には、磁石24の磁化工程が行われている間に極めて高い電圧が発生する。このため、例えば、電磁コイル14を構成する導線の被覆に傷がある場合や、導線とワイヤーハーネス32,34との接合が不完全である場合等には、磁石24の着磁工程中に、それらの不良箇所でスパークが生ずることがある。
【0053】
コイル組立体10の内部で上記の如くスパークが生ずると、電磁コイル14を流れる電流値に急激な変化が生ずる。このため、コイル組立体10の内部にスパークが発生すると、図6に示す如く、その時点でロガーボード72には、正常時に比して明らかに高い電圧が検出される。
【0054】
尚、図6に示す波形は、スパークが生じた後、その箇所が外見上接続された状態に維持された場合に得られる波形である。このような箇所は、コイル組立体10に振動が加わると容易に断線する。従って、かかる箇所を含むコイル組立体10は、異常品として扱うことが適切である。
【0055】
また、上述の如く、コイル組立体10の内部にスパークが発生し、その結果、コイル組立体10の内部に断線部分が形成される場合は、ロガーボード72に、スパークの発生に伴って著しく高い電圧が発生した後、電圧が途切れるような波形が検出される。かかる断線箇所を有するコイル組立体10は、正常に機能することができない。従って、このようなコイル組立体10は、異常品として扱うことが適切である。
【0056】
本実施例のシステムによれば、着磁工程中に異常な高電圧が検出されなかった場合は、コイル組立体10の内部でスパークは生じなかったと判断することができる。また、着磁工程中に異常な高電圧が検出された場合は、そのコイル組立体10に異常が発生したと判断することができる。
【0057】
図7は、上記の手法によりスパーク発生の有無を判断すべくコンピュータ76が実行する処理の一例のフローチャートを示す。図7に示す如く、コンピュータ76では、先ずステップ100の処理が実行される。
ステップ100では、I/Fボード74を介してロガーボード72に記憶されているデータが読み込まれる。本ステップ100の処理が終了すると、次にステップ102の処理が実行される。
【0058】
ステップ102では、読み込まれた電圧波形に基づいて、着磁工程中に生じた最大電圧値VMAX が検出される。本ステップ102の処理が終了すると、次にステップ104の処理が実行される。
ステップ104では、上記ステップ102で検出された最大電圧値VMAX が所定のしきい値VTH以上であるか否かが判別される。しきい値VTHは、着磁工程中にコイル組立体10の内部にスパークが発生した場合にのみ検出される電圧値として実験的に定められた値である。本ステップ104で、VMAX ≧VTHが成立すると判別される場合は、スパークが生じたと判断することができる。この場合、次にステップ106の処理が実行される。
【0059】
ステップ106では、着磁工程中にスパークが生じたことを表すための処理、具体的には、異常表示灯を点灯させる等の処理が実行される。本ステップ106の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。上記の如く着磁工程中にスパークが発生したと判断されるコイル組立体10は、以後、不良品として破棄される。
【0060】
上記ステップ104で、VMAX ≧VTHが成立しないと判別された場合は、着磁工程中にスパークが生じなかったと判断することができる。この場合、次にステップ108の処理が実行される。
ステップ108では、コイル組立体10が正常であることを表すための処理が実行される。本ステップ110の処理が終了すると、今回のルーチンが終了される。上記の如くスパークが発生しなかったと判断されるコイル組立体10は、以後、良品として後の工程に供される。
【0061】
上述の如く、本実施例の着磁装置によれば、着磁工程の過程で、コイル組立体10にスパークが生じたか否かを正確に判断することができる。このため、本実施例の着磁装置を用いて着磁工程を行う場合、着磁工程後に、コイル組立体10の断線チェック等を改めて行う必要がない。
【0062】
尚、上記の実施例においては、着磁コイル40および着磁電源42が前記請求項5記載の「着磁磁界発生手段」に、ロガーボード72が前記請求項5記載の「電圧検出手段」に、それぞれ相当している。また、上記の実施例においては、コンピュータ76が上記図7に示す処理を実行することにより前記請求項5記載の「スパーク判別手段」が実現されている。
【0063】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明、乃至、請求項4記載の発明によれば、コイル組立体に内蔵される磁性体を着磁する過程でコイル組立体の内部でスパークが生ずるのを防止することができる。
【0064】
また、請求項5記載の発明によれば、着磁工程でスパークが生じた場合には、その発生を確実に検出することができる。このため、請求項1記載の発明、乃至、請求項5記載の発明によれば、従来は着磁工程の後に必要とされていたコイル組立体の検査工程を廃止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である着磁装置で加工されるコイル組立体の一例である。
【図2】本発明の第1実施例である着磁装置のシステム構成図である。
【図3】本発明の第2実施例である着磁装置のシステム構成図である。
【図4】本発明の第3実施例である着磁装置のシステム構成図である。
【図5】正常に着磁工程が行われた場合に図4に示す着磁装置によって検出される電圧波形の一例である。
【図6】着磁工程中にスパークが生じた場合に図4に示す着磁装置によって検出される電圧波形の一例である。
【図7】図4に示す着磁装置において実行される処理の一例のフローチャートである。
【符号の説明】
10 コイル組立体
14 電磁コイル
24 磁石
40,60 着磁コイル
42 着磁電源
46 短絡抵抗
62 相殺電圧発生コイル
64 低電圧ライン
66 GNDライン
72 ロガーボード
76 コンピュータ

Claims (5)

  1. 電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁装置において、
    前記着磁磁界を発生する着磁磁界発生手段と、
    前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧の低減を図る電圧低減手段と、
    を備えることを特徴とする着磁装置。
  2. 電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁方法において、
    前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧の低減を図る電圧低減手段を、前記コイル組立体に装着する第1のステップと、
    前記第1のステップの後に、前記コイル組立体に対して前記着磁磁界を印加する第2のステップと、
    を備えることを特徴とする着磁方法。
  3. 請求項1記載の着磁装置において、
    前記電圧低減手段が、前記電磁コイルの両端に接続される短絡導電体を備えることを特徴とする着磁装置。
  4. 請求項1記載の着磁装置において、
    前記電圧低減手段が、前記着磁磁界の印加を受けた場合に、誘導起電力により前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧を打ち消す方向の電圧を発生する相殺電圧発生コイルを備えることを特徴とする着磁装置。
  5. 電磁コイルと、着磁されることにより磁石となる磁性体とを備えるコイル組立体に対して、外部より着磁磁界を印加することにより前記磁性体の着磁を図る着磁装置において、
    前記着磁磁界を発生する着磁磁界発生手段と、
    前記着磁磁界が前記電磁コイルに作用した際に誘導起電力によって前記電磁コイルの両端間に生ずる電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段の検出結果に基づいて、前記コイル組立体の内部にスパークが生じたか否かを判別するスパーク判別手段と、
    を備えることを特徴とする着磁装置。
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