JPH0722259Y2 - 電動車輌のシートスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、電動車輌のシートの位置を車体に対して前後
に調節するための、電動車輌のシートスライド装置に関
するものである。

（従来の技術） 一般に車輌のシートは前後方向に移動可能に設置されて
いる。例えば、第４図に示す自動車用シート１は、両側
に配設したスライドアジャスター２を介して車体３に取
付けられて、前後方向に移動自在に設けられており、ペ
ダル、ハンドル等を楽な姿勢で操作できるようにしてあ
る。

しかしながら一人乗り用の小型の車輌では、従来、その
シートは車体に固定されているものがほとんどであっ
た。なお、一部、シートを回動させる手段については実
開昭61-163629号公報等に提案されている。

（考案が解決しようとする課題） 上記公報記載の電動車輌のシート回動機構においては、
乗降の際にシートの向きを変えることができるので、特
に老人等、身体の動きが充分でない者にとってはその乗
降が著しく楽になる。しかしながら、この種の車輌にあ
っては、シートに着座したときの安定性および操作性も
必要であり、シートに浅く腰掛けてハンドルを握る姿勢
ではバランスが悪くなって好ましくない。そこで、シー
トを車体に対して前後にスライド調整し乗員の体型にハ
ンドルポジションを合わせることのできる電動車輌の出
現が望まれていた。

本考案は、乗員に合わせてシートを前後に位置決めする
ことのできる電動車輌のシートスライド装置を提供する
ことを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は上記目的を達成するために、シート下部の中央
に設けられた摺動部材を、前記シート下方の台座上に設
置したレール状部材に車体前後方向にスライド可能に取
付け、前記シート両側に台座面に向かって垂下する肉厚
のスカート部を、その下端と前記台座面との間に隙間を
有するようにして形成したことを特徴とする。

（作用） 本考案は上記のように構成するので、シートの前後位置
を調整するには摺動部材をレール状部材に沿ってスライ
ドさせる。調整中に体が左右に傾いたときはシートは隙
間分ひずむがスカート部がシートを支持するので摺動部
材とレール状部材との接触抵抗が少なくなる。また、シ
ートの中央部を低くすることにより座り心地が安定し乗
員の体重がレール状部材に掛かり易くなる。

（実施例） つぎに、本考案の実施例を第１図ないし第３図に基づい
て説明する。

まず、第３図に示す電動車輌４の床面５には、駆動装置
を覆った台座６が形成され、台座６の上部にスライド手
段７を介してシート８が取付けられている。また、シー
ト８前方に前輪９の軸と接続されたハンドル10が床面か
ら立設されている。

第１図、第２図に示すように、シート８は背当部11と着
座部12とからなっている。この着座部12の下部には、中
央に前後方向に肉厚部12aが形成され、両側に肉厚のス
カート部12bが形成されている。肉厚部12aには二つの取
付孔12cが開けられ、取付孔12cの着座部上面側はナット
13が十分入る凹部12dが形成されている。なお、着座部
上面にはシートクッション14が張設され、また、実施例
では着座部上面を湾曲させているので中心に乗員の体重
が掛かりやすくなっている。

また、肉厚部12aにはスライド手段７の一方である摺動
部材15がボルト16によって併設され、かつ、摺動部材15
と摺動する、スライド手段７の他方であるレール状部材
17が台座６に開けた取付孔6aにボルト16で固定される。
また、摺動部材15の側部に位置決めレバー18が突出して
設けられている。

また、第２図に示すようにシート８を台座６に組付けた
場合には、スカート部12bの端部と台座６の台座面6bと
の間に隙間Ａを形成するように、着座部12のスカート部
12bの長さが揃えられている。

以上のように構成したスライド手段７を有する電動車輌
４は、レバー18を回動させて摺動部材15のロックを解除
し、シート８を前後方向に移動させて良好な位置に停止
させ、レバー18を操作してシート８を位置決め固定する
ことができる。これにより無理な姿勢をしなくても楽に
ハンドル操作ができる。

シート８に乗員が着座したときに、シート８中心に荷重
が掛かる場合にはシート８両側は台座６から浮いた状態
なのでスライド抵抗はスライド手段７によるだけであ
る。また荷重が左右アンバランスのときにはシート８が
たわみスカート部12bが台座６に接触するが、その変位
は隙間Ａだけですむのでスライド抵抗は軽くなる。

（考案の効果） 本考案は、以上のように構成したものであるので、シー
トを摺動部材とレール状部材とを摺動させて前後位置を
調整できるので、着座したときのハンドル位置が好適に
なり、姿勢が安定し操作が楽に行えるという効果を奏す
る。また、シートの中央に摺動部材とレール状部材を１
組だけ取付け、シートの両側にスカート部を形成させて
いるので、組み付け時の摺動部材とレール状部材との整
合性が簡単であり、乗員が左右に傾いて荷重が両側端部
にかかっても堅固であり、前後移動の操作は容易であ
り、軽量化およびコストを安くすることができるという
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による実施例中の電動車輌のシート取付
構造の展開図、第２図は実施例のシートの要部正面図、
第３図は実施例の電動車輌の斜視図、第４図は従来の車
輌のシートアジャスターの取付構造を示す断面図であ
る。 ４……電動車輌 ６……台座 ７……スライド手段 ８……シート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シート下部の中央に設けられた摺動部材
   を、前記シート下方の台座上に設置したレール状部材に
   車体前後方向にスライド可能に取付け、前記シート両側
   に台座面に向かって垂下する肉厚のスカート部を、その
   下端と前記台座面との間に隙間を有するようにして形成
   したことを特徴とする電動車輌のシートスライド装置